説明

溶液の超音波霧化装置

【課題】超音波振動子を駆動する高周波電源の発熱を有効に利用して、溶液を効率よくミストに霧化でき、さらに溶液で高周波電源を冷却して、高周波電源を効率よく冷却できる超音波霧化装置を提供する。
【解決手段】溶液が供給される超音波霧化室4を内部に設けているケーシング49と、ケーシング49に設けられて溶液を超音波振動させる超音波振動子2と、超音波振動子2に高周波電力を供給する高周波電源3とを備え、高周波電源3から超音波振動子2に高周波電力を供給し、超音波振動子2でもって溶液を超音波振動して、溶液を気体中にミストに霧化する。高周波電源3は、冷却用の放熱部51を有する集積回路50を備える。超音波霧化装置は、集積回路50の放熱部51を超音波霧化室4のケーシング49に熱結合状態で連結して、集積回路50の発熱を、放熱部51を介して超音波霧化室4のケーシング49に伝導している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液を微細なミストに霧化する装置に関し、とくに、酒、酒原料のアルコール、石油、原油等をミストに霧化して、目的物質とする濃度の高い溶液を得る装置に使用され、あるいは水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に最適な溶液の超音波霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、溶液をミストに霧化し、霧化されたミストを回収してアルコールから高濃度なアルコールを分離する装置を開発した。(特許文献1参照)この分離装置は、例えばアルコールを含む原液を超音波振動させて、搬送気体中に微細なミストとし、霧化されたミストを搬送気体から分離、回収して原液よりも高濃度なアルコール溶液を分離できる。この方式の分離装置は、原液を加熱して気化させる装置に比較して、少ないエネルギーで高濃度なアルコールを分離できる。
【0003】
また、水を超音波振動させてミストに霧化し、これを強制送風して空気中に気化させる加湿器は、水を加熱して気化させる方式に比較して、少ない消費電力で多量の水を空気中に加湿できる。
【0004】
溶液をミストにする装置は、溶液を超音波振動させて、いかに効率よくミストにできるかが大切である。それは、ミストに霧化できる効率が、使用エネルギー量を決定し、効率が低くなると、使用エネルギーが増加するからである。たとえば、有機物を発酵させて得られる低濃度アルコールから水を分離して高濃度アルコールとする方式として、溶液をミストに霧化するものが使用できる。低濃度アルコールをミストに霧化し、これを回収して高濃度アルコールとなるからである。低濃度アルコールは、廃棄物である有機物を発酵させて製造される。この方式によると、膨大な発生量の廃棄物を有効利用して低濃度アルコールを製造できる。しかしながら、現在は、低濃度アルコールを高濃度アルコールに濃縮するために蒸留するので、相当なエネルギーを消費している。したがって、安価に製造できる低濃度アルコールを、高濃度アルコールにするために多量のエネルギーを消費してコストが高くなっている。低濃度アルコールは、いかに低コストな処理で高濃度アルコールにできるかが大切である。低濃度アルコールをミストに霧化する方法は、蒸留方式のようにアルコールを蒸留して気化させないので、エネルギー消費を少なくできる。ただ、ミストに霧化する方式は、効率よく低濃度アルコールをミストに霧化することが大切である。
【0005】
さらに、水を超音波振動してミストにする加湿器も使用される。この加湿器も、消費電力を少なくして効率よく加湿するために、超音波振動がミストに霧化する効率を高くすることが大切である。
【0006】
本発明者は、超音波振動子が効率よく溶液をミストに霧化するために、溶液を加熱する超音波霧化装置を開発した。(特許文献2、図3参照)
【特許文献1】特開2001−314724号公報
【特許文献2】特開2005−66526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この装置は、溶液を加熱してミストに霧化する効率を高くできる。しかしながら、溶液を加熱するために専用の加熱器を設ける必要があるので、構造が複雑になる。また、溶液を加熱するためにエネルギーを消費する欠点もある。
【0008】
本発明は、さらにこの欠点を解消することを目的に開発されたものである。本発明は、超音波振動子を駆動する高周波電源の発熱を有効に利用して、溶液を効率よくミストに霧化でき、さらに溶液で高周波電源を冷却して、高周波電源を効率よく冷却できる超音波霧化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1の溶液の超音波霧化装置は、溶液が供給される超音波霧化室4を内部に設けているケーシング49と、このケーシング49に設けられて溶液を超音波振動させる超音波振動子2と、この超音波振動子2に高周波電力を供給する高周波電源3とを備える。超音波霧化装置は、高周波電源3から超音波振動子2に高周波電力を供給し、超音波振動子2でもって溶液を超音波振動して、溶液を気体中にミストに霧化する。高周波電源3は、冷却用の放熱部51を有する集積回路50を備える。超音波霧化装置は、集積回路50の放熱部51を超音波霧化室4のケーシング49に熱結合状態で連結して、集積回路50の発熱を、放熱部51を介して超音波霧化室4のケーシング49に伝導している。
【0010】
本発明の請求項2の溶液の超音波霧化装置は、溶液が供給される超音波霧化室4を内部に設けているケーシング49と、このケーシング49に設けられて溶液を超音波振動させる超音波振動子2と、この超音波振動子2に高周波電力を供給する高周波電源3とを備える。超音波霧化装置は、高周波電源3から超音波振動子2に高周波電力を供給し、超音波振動子2でもって溶液を超音波振動して、溶液を気体中にミストに霧化する。さらに、超音波霧化装置は、超音波振動子2の上方に、上端に噴霧口12を開口している筒体6を配設している。この超音波霧化装置は、筒体6内に溶液を充填して、超音波振動子2が噴霧口12に向かって溶液に超音波振動を与えて溶液を噴霧口12からミストに霧化して放出する。さらに、筒体6は、噴霧口12から噴霧されるミストに搬送気体を供給する噴気口14を開口している。筒体は6は、この噴気口14を搬送気体源に連結しており、搬送気体源から供給される搬送気体を噴気口14からミストに供給している。さらにまた、高周波電源3は、冷却用の放熱部51を有する集積回路50を備える。超音波霧化装置は、集積回路50の放熱部51を搬送気体源から送風される搬送気体の風路に配設して、放熱部51の熱で搬送気体を加温して筒体6の噴気口14からミストに供給している。
【0011】
本発明の請求項3の超音波霧化装置は、請求項1または2に記載される超音波霧化装置であって、高周波電源3が、出力トランジスター52を備えると共に、この出力トランジスター52の放熱部51を超音波霧化室4のケーシング49に熱結合し、または出力トランジスター52の放熱部51を搬送気体の風路に配設している。
【0012】
本発明の請求項4の超音波霧化装置は、請求項1に記載される超音波霧化装置であって、集積回路50の放熱部51を超音波霧化室4のケーシング49の底板62に熱結合して連結している。
【0013】
本発明の請求項5の超音波霧化装置は、請求項1または2に記載される超音波霧化装置であって、集積回路50の放熱部51を金属板として、金属板を超音波霧化室4の底板62に固定して熱結合し、あるいは金属板を搬送気体の風路に配設している。
【0014】
本発明の請求項6の超音波霧化装置は、請求項1に記載される超音波霧化装置であって、超音波霧化室4のケーシング49の底板62に開口部67を設けて、開口部67を閉塞するように超音波振動子2を固定して、放熱部51を開口部67の外周縁部において底板62に熱結合状態で固定している。
【0015】
本発明の請求項7の超音波霧化装置は、請求項1に記載される超音波霧化装置であって、集積回路50の放熱部51を、絶縁樹脂56を介して超音波霧化室4のケーシング49に熱結合状態で連結している。
【0016】
本発明の請求項8の超音波霧化装置は、請求項1に記載される超音波霧化装置であって、超音波霧化室4のケーシング49の底板62に、高周波電源3の集積回路50を内蔵する閉鎖構造の金属ケース63を連結し、この金属ケース63内に高周波電源3の集積回路50を絶縁樹脂56を介して埋設して、集積回路50の放熱部51を絶縁樹脂56と金属ケース63を介してケーシング49に熱結合状態で連結している。この超音波霧化装置は、放熱部51の熱を絶縁樹脂56と金属ケース63を介して超音波霧化室4のケーシング49に伝導している。
【0017】
本発明の請求項9の超音波霧化装置は、請求項2に記載される超音波霧化装置であって、超音波霧化室4のケーシング49に、高周波電源3の集積回路50を内蔵する閉鎖構造の金属ケース63を固定して、この金属ケース63内に高周波電源3の集積回路50を絶縁樹脂56を介して埋設して、集積回路50の放熱部51を絶縁樹脂56と金属ケース63を介してケーシング49に熱結合状態で連結している。この超音波霧化装置は、放熱部51の熱を絶縁樹脂56と金属ケース63を介して超音波霧化室4のケーシング49に伝導し、さらに、金属ケース63の外側を搬送気体の風路として、金属ケース63で搬送気体を加温している。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1の超音波霧化装置は、超音波振動子を駆動する高周波電源の発熱を有効に利用して溶液を加熱して、溶液を効率よくミストに霧化できる特徴がある。とくに、本発明の装置は、高周波電源を構成する集積回路の放熱部を超音波霧化室のケーシングに熱結合しているので、集積回路の発熱は放熱部を介して超音波霧化室のケーシングに、さらにケーシングから溶液に伝導されて、溶液を加熱する。このため、高周波電源の発熱が溶液を加温する。溶液は加温して温度が上昇すると、ミストに霧化される効率が高くなる。したがって、本発明の装置は、高周波電源の発熱で効率よく溶液を加温し、超音波振動によって効率よくミストに霧化される。
【0019】
さらに、本発明の請求項1の超音波霧化装置は、高周波電源を構成する集積回路の放熱部を超音波霧化室のケーシングに熱結合するので、溶液でもって集積回路を効率よく冷却できる。溶液がケーシングを冷却し、ケーシングが放熱部を冷却して集積回路を冷却するからである。このため、集積回路に内蔵している出力トランジスター等の発熱部品を溶液でもって効率よく冷却して、これ等が過熱される弊害を防止し、高周波電源を安定し動作できる特徴がある。
【0020】
また、本発明の請求項2の超音波霧化装置は、超音波振動子を駆動する高周波電源の発熱を有効に利用して、筒体から噴射する搬送気体を加温して、溶液を効率よくミストに霧化できる特徴がある。とくに、本発明の装置は、高周波電源を構成する集積回路の放熱部を、筒体の噴気口から噴射される搬送気体の風路に配設し、搬送気体で放熱部を冷却し、いいかえると放熱部で搬送気体を加温するので、集積回路の発熱は放熱部を介して搬送気体を加熱する。このため、高周波電源の発熱で搬送気体を加温できる。ミストを筒体から噴霧して、これに搬送気体を供給する装置は、搬送気体の温度を高くして霧化効率を向上できる。したがって、本発明の装置は、高周波電源の発熱で効率よく搬送気体を加温して、超音波振動によって効率よくミストに霧化できる。
【0021】
さらに、本発明の請求項2の霧化装置は、高周波電源を構成する集積回路の放熱部を搬送気体の風路に配設するので、搬送気体でもって集積回路を効率よく冷却できる。このため、集積回路に内蔵している出力トランジスター等の発熱部品を搬送気体でもって効率よく冷却して、これ等が過熱される弊害を防止し、高周波電源を安定し動作できる特徴がある。
【0022】
さらに、本発明の請求項1と2の超音波霧化装置は、溶液や搬送気体で集積回路の放熱部を冷却するので、高周波電源を強制冷却するための機構を簡素化し、あるいは省略して、冷却構造を極めて簡単にしながら、集積回路の放熱部を効率よく冷却できる。
【0023】
本発明の請求項3の超音波霧化装置は、高周波電源に内蔵される出力トランジスターの放熱部を超音波霧化室のケーシングに熱結合して配置し、あるいは出力トランジスターの放熱部を搬送気体の風路に配置するので、出力トランジスターを溶液や搬送気体で効率よく冷却して、出力トランジスターを安定して動作てきる特徴がある。
【0024】
また、本発明の請求項5の超音波霧化装置は、集積回路の放熱部を金属板として超音波霧化室の底板に熱結合するように固定し、あるいはこの金属板を搬送気体の風路に配置するので、金属板の放熱部でケーシングを介して溶液を加温し、または金属板の放熱部で搬送気体を効率よく加温してミストに霧化する効率を高くできる。
【0025】
また、本発明の請求項6の超音波霧化装置は、超音波霧化室のケーシングの底板に開口部を設けて、開口部を閉塞するように超音波振動子を固定し、放熱部が開口部の外周縁部において底板に熱結合状態で固定しているので、超音波振動子を超音波振動される溶液をその周囲から効率よく加温できる。
【0026】
さらに、本発明の請求項7の超音波霧化装置は、集積回路の放熱部と超音波霧化室のケーシングとの間に絶縁樹脂を配設して、両者を熱結合するので、ケーシングを放熱部から絶縁しながら、溶液で放熱部を冷却し、また、放熱部で溶液を加温できる。
【0027】
また、本発明の請求項8の超音波霧化装置は、超音波霧化室のケーシングに閉鎖構造の金属ケースを固定すると共に、この金属ケース内に高周波電源の集積回路を絶縁樹脂を介して埋設して、集積回路の放熱部を絶縁樹脂と金属ケースを介してケーシングに熱結合状態で連結している。この超音波霧化装置は、放熱部の熱を絶縁樹脂と金属ケースを介して超音波霧化室のケーシングに伝導するので、溶液で集積回路の放熱部を効率よく冷却しながら、集積回路の放熱部からは溶液を加温して効率よくミストに霧化できる。
【0028】
さらに、本発明の請求項9の超音波霧化装置は、金属ケースの外側を搬送気体の風路として、金属ケースで搬送気体を加温するので、集積回路の放熱部でもって溶液を加温し、さらに搬送気体も加温して、溶液をより効率よくミストに霧化でき、また、溶液と搬送気体の両方で集積回路の放熱部を効果的に冷却できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための超音波霧化装置を例示するものであって、本発明は超音波霧化装置を以下のものに特定しない。
【0030】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0031】
本発明の超音波霧化装置は、溶液を超音波振動させて気体中にミストに霧化する。以下、本発明の実施例として、超音波霧化装置を分離装置に使用する具体例を説明する。以下に示す溶液の分離装置は、超音波霧化装置によって、2種以上の物質を含む溶液を超音波振動させてミストに霧化し、霧化したミストを凝集して回収し、溶液を分離する。ただ、本発明は、超音波霧化装置の用途を溶液の分離装置には特定しない。本発明の超音波霧化装置は、水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に使用することもできる。
【0032】
以下の超音波霧化装置を備える分離装置は、少なくとも2種の物質を含む溶液から高濃度の特定溶液を分離する。分離装置は、溶液の溶媒と溶質を特定するものではないが、溶媒は、主として水である。ただ、水以外にもアルコール等の有機溶媒も使用できる。溶液は、例えば以下のものである。
(1) 清酒、ビール、ワイン、食酢、みりん、スピリッツ、焼酎、ブランデー、ウイスキー、リキュール
(2) ピネン、リナロール、リモネン、ポリフェノール類などの香料、芳香成分ないし香気成分を含む溶液
(3) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合した物質を含む溶液
(4) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をハロゲンによって置き換えた物質を含む溶液
(5) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基を水酸基によって置き換えた物質を含む溶液
(6) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をアミノ基によって置き換えた物質を含む溶液
(7) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボニル基によって置き換えた物質を含む溶液
(8) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボキシル基によって置き換えた物質を含む溶液
(9) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をニトロ基によって置き換えた物質を含む溶液
(10) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をシアノ基によって置き換えた物質を含む溶液
(11) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をメルカプト基によって置き換えた物質を含む溶液
(12) 前述の(3)〜(11)の溶液に含まれるいずれか一つ以上の原子を金属イオンによって置換した物質を含む溶液
(13) 先述の(3)〜(11)の溶液に含まれる分子のうち任意の水素原子、炭素原子もしくは官能基を(3)〜(11)の分子のうち任意の分子で置き換えた物質を含む溶液
【0033】
2種以上の物質を含む溶液を超音波振動させて溶液からミストを分離し、分離したミストを凝集して回収すると、ミストから回収された溶液と、ミストにならないで残存する溶液とで、含有物質の濃度が異なる。たとえば、アルコール水溶液を超音波振動でミストに霧化し、霧化されたミストを回収すると、ミストにならないで残存するアルコールよりも高濃度なアルコールとなる。ミストを凝集して回収した溶液のアルコール濃度が高いのは、超音波振動によって、アルコールが水よりもミストに霧化されやすいからである。
【0034】
以下、溶液をアルコールとし、このアルコールを超音波霧化装置でミストに霧化し、このミストを回収して高濃度なアルコールを分離する分離装置を示す。ただし、超音波霧化装置と分離装置は、霧化して分離する溶液をアルコールには特定しない。ミストに霧化して分離できる前述した溶液、あるいはその他の溶液の分離に使用できるからである。
【0035】
図1ないし図4に示す溶液の分離装置は、溶液をミストに霧化する超音波霧化装置1と、この超音波霧化装置1で霧化されたミストを回収する回収部40とを備える。
【0036】
超音波霧化装置1は、溶液が供給される閉鎖構造の超音波霧化室4を内部に設けているケーシング49と、このケーシング49の底板62に固定されて、超音波霧化室4の溶液を超音波振動させてミストに霧化する超音波振動子2と、この超音波振動子2に高周波電力を供給する高周波電源3とを備える。この超音波霧化装置1は、高周波電源3から超音波振動子2に高周波電力を供給し、超音波振動子2でもって溶液を超音波振動して、溶液を気体中にミストに霧化する。
【0037】
ケーシング49は、溶液が供給される超音波霧化室4を内部に設けており、底面である底板62に超音波振動子2を固定している。図1と図2に示す超音波霧化装置1は、ひとつのケーシング49を備えており、このケーシング49を閉鎖構造として、内部に超音波霧化室4を設けている。図1のケーシング49は、底板62にひとつの超音波振動子2を固定しており、図2に示すケーシング49は、底板62に複数の超音波振動子2を固定している。また、図3と図4に示す超音波霧化装置1は、複数のケーシング49を備えており、これらのケーシング49を密閉構造の閉鎖室99の内部に配設している。図3と図4の超音波霧化装置1は、複数のケーシング49が各々の内部に超音波霧化室4を設けており、複数のケーシング49を脱着できるように基台90に連結して閉鎖室99の内部に配設している。
【0038】
超音波振動子2は、図5の拡大断面図に示すように、超音波霧化室4のケーシング49の底板62に設けている開口部67を水密に閉塞するように固定されている。超音波振動子2は、下面に設けている電極を高周波電源3に接続して、高周波電源3から供給される電力で超音波振動される。高周波電源3は、リード線27を介して超音波振動子2に接続されて、超音波振動子2に高周波出力を出力する。図のケーシング49は、高周波電源3を構成する電子部品をケーシング49の底板62に設けた収納室64に収納し、この収納室64の開口部に超音波振動子2を固定している。
【0039】
図6と図7に示す高周波電源3は、所定の周期でオンオフにスイッチングされて、超音波振動子2に高周波電力を出力する出力トランジスター52を備える。出力トランジスター52の出力側はトランス53を介して超音波振動子2に接続される。これらの図の高周波電源3は、出力トランジスター52をFETとしているが、バイポーラトランジスターとすることもできる。出力トランジスター52は、電力効率を100%にはできないので、動作時に発熱する。出力トランジスター52の発熱量は、入力される電力と出力される電力との差電力となる。たとえば、出力トランジスター52の高周波出力を10W、直流入力を15Wとすれば、出力トランジスター52の発熱電力は5Wとなる。発熱する出力トランジスター52を冷却するために、高周波電源3を構成する集積回路50は、出力トランジスター52の放熱部51を設けている。出力トランジスター52の放熱部51は金属板としている。
【0040】
図5に示す高周波電源3を構成する集積回路50は、放熱部51を、超音波霧化室4のケーシング49に熱結合している。この構造によると、放熱部51の発生熱が、ケーシング49を介して溶液に伝導されて溶液を加温し、溶液が放熱部51を冷却する。図の超音波霧化装置1は、ケーシング49の底板62に金属ケース63を連結し、この金属ケース63内に設けた収納室64に高周波電源3の集積回路50を埋設して、放熱部51をケーシング49に熱結合している。金属ケース63は、底を閉塞する筒形としている。図の超音波霧化装置は、ケーシング49の底板62と金属ケース63をアルミニウム等の金属で一体構造としている。金属ケース63は、収納室64の内部に集積回路50を配設し、ウレタン樹脂やフェノール樹脂等の絶縁樹脂56にポッティングして集積回路50を埋設している。絶縁樹脂56に埋設される集積回路50の放熱部51は、絶縁樹脂56と金属ケース63を介してケーシング49の底板62に熱結合状態で連結される。
【0041】
金属ケース63は、超音波振動子2を開口部に固定するために、開口縁の内面に段差部65を設けている。この段差部65に、パッキン28を介して超音波振動子2を水密構造で配置している。ここに固定される超音波振動子2は、絶縁樹脂56との間に隙間を設けている。超音波振動子2を絶縁樹脂56に接触させないで振動させるためである。段差部65の上方開口部は、底板62の上面に固定する固定部66で閉塞している。固定部66は、パッキン28の内径に等しい開口部67を有し、パッキン28の上面に密着されて超音波振動子2を水密構造に段差部65に固定する。固定部66はネジ止めされて、底板62に固定される。
【0042】
集積回路50の放熱部51を熱結合しているケーシング49の底板62は、上面を溶液に接触させて溶液に熱結合させる。図の底板62は、上面に固定部66を固定しているので、固定部66を介して溶液に熱結合される。この構造は、集積回路50の放熱部51を、絶縁樹脂56と金属ケース63と底板62を介して溶液に熱結合する。このため、放熱部51の発熱は、絶縁樹脂56と金属ケース63と底板62を介して溶液に放熱される。したがって、放熱部51の発熱で溶液を加温し、溶液が加温されることで放熱部51が冷却される。さらに、図5に示す高周波電源3は、電力を供給する電源コード76を金属ケース63の外部に引き出しており、この電源コード76をケーシング49の外部において電源59に接続している。
【0043】
溶液は、供給機構7で超音波霧化室4に供給される。図1ないし図4に示す供給機構7は、超音波霧化室4に供給される溶液を蓄えている溶液タンク11と、この溶液タンク11の溶液を超音波霧化室4に供給する溶液ポンプ10とを備える。溶液ポンプ10は、吸入側を溶液タンク11に連結して、排出側を超音波霧化室4に連結している。この供給機構7は、溶液ポンプ10でもって、溶液タンク11から連続的に、超音波霧化室4に溶液を供給する構造としている。図1と図2の超音波霧化装置1は、超音波霧化室4の溶液を排出しながら、溶液タンク11から溶液を供給して、超音波霧化室4の溶液のアルコール等の目的物質濃度が低下するのを防止する。この超音波霧化装置1は、目的物質の濃度が低下すると、すなわち、一定の時間経過すると超音波霧化室4と溶液タンク11の溶液を新しいものに入れ換えて、溶液を交換することができる。また、図の矢印Aで示すように、超音波霧化室4の溶液を溶液タンク11に循環することなく外部に排出して、溶液タンク11に含まれる目的物質の濃度が低下するのを防止することもできる。
【0044】
さらに、図2ないし図4の超音波霧化装置1は、超音波霧化室4の内部に筒体6を配設している。筒体6は、超音波振動子2の上方に配設されて、超音波振動子2で超音波振動される溶液から効率よくミストを飛散させる。筒体6は、先端を細くする円錐筒状として、上端に噴霧口12を開口している。これらの図の超音波霧化装置1は、超音波霧化室4に供給される溶液を、筒体6の内部に供給すると共に、筒体内部に供給される溶液に、噴霧口12に向かって超音波振動子2から超音波振動を与えて、噴霧口12からミストに霧化して飛散させる。図の超音波振動子2は、上方に超音波を放射する。したがって、筒体6は、超音波振動子2の上方に、垂直な姿勢で配設している。
【0045】
図2に示す超音波霧化装置1は、超音波霧化室4の下部に複数の筒体6を配設している。この超音波霧化装置1は、複数の筒体6を、超音波振動子2を固定している底板62から上方に離して配設している。この超音波霧化装置1は、筒体6の下端よりも下方に位置する超音波振動子2の超音波振動を筒体6の内部に案内し、筒体6の上端にある噴霧口12からミストとして飛散させる。複数の筒体6は、下端を連結プレート31で連結して、同一平面上に配設している。この超音波霧化装置1は、溶液が供給される超音波霧化室4の下部を、筒体6と連結プレート31とケーシング49とで閉鎖構造としており、ここに供給される溶液を、超音波振動によって複数の筒体6の噴霧口12から気体中に排出するようにしている。
【0046】
図3と図4に示す超音波霧化装置1は、各ケーシング49に、各々筒体6を配設している。これらの筒体6は、下端をケーシング49の底板62に固定して閉塞しており、この筒体6の内部に溶液を供給して、溶液を超音波霧化室4に供給するようにしている。この超音波霧化装置1は、筒体6の内部に供給される溶液を、超音波振動によって筒体6の噴霧口12から気体中に排出するようにしている。
【0047】
筒体6を備える超音波霧化装置1は、筒体6の内部に供給される溶液に、超音波振動子2から噴霧口12に向かって超音波振動を与えて、噴霧口12からミストに霧化して飛散させる。この筒体6は、超音波振動子2で超音波振動される溶液から効率よくミストを飛散させる。図の筒体6は、上端に向かって次第に細くなる円錐ホーンである。ただし、筒体は、内面の形状をエクスポーネンシャルカーブとするエクスポーネンシャルホーンとすることもできる。円錐ホーンやエクスポーネンシャルホーンの筒体6は、内部に効率よく超音波振動を伝達させて、溶液を能率よくミストに霧化できる特徴がある。ただ、筒体は、円筒形状、楕円筒状、多角筒状とすることもできる。
【0048】
筒体6の下端の内形は、超音波振動を効率よく内部に伝達できるように、超音波振動子2の外形より小さく、あるいは大きくして、超音波振動が内面に沿って上昇するようにする。図2に示すように、超音波振動子2を固定する底板62から離して配設される筒体6は、たとえば、筒体6の下端の噴霧口の内径を、超音波振動子2の外径の50〜150%、好ましくは60〜100%とする。また、図3と図4に示すように、超音波振動子2を固定する底板62に下端を固定する筒体6は、下端の内形を超音波振動子2の外形より大きくする。たとえば、筒体6の下端の内径は、超音波振動子2の外径の100〜500%、好ましくは150〜300%とする。
【0049】
筒体6の噴霧口12の大きさは、筒体6に供給される溶液が液柱として噴霧口12から突出するときの液柱の太さ、すなわち液柱の断面積を特定する。断面積の大きい液柱は、表面積が広くなるので超音波振動によって気体中に効率よくミストに霧化できる。ただ、断面積が大きすぎると、液柱の表面から霧化するのに必要な超音波振動子のエネルギーが大きくなる。反対に、断面積を小さくすると、霧化するのに必要な超音波振動子のエネルギーを小さくできるが、液柱の表面積が小さくなるので超音波振動によってミストに霧化する効率が低下する。したがって、筒体6の噴霧口12の大きさは、これらのことを考慮しながら、超音波振動子2の大きさ、出力、周波数等によって最適値に設計される。
【0050】
筒体6の噴霧口12で霧化されたミストは、搬送気体で移送されて超音波霧化室4から排出される。筒体6は、図8ないし図13に示すように、噴霧口12の周囲に、搬送気体を噴出する噴気口14を開口して設けている。これらの図の筒体6は、内筒6aの外側に外筒6bを配設して、内筒6aと外筒6bとの間に搬送気体のダクト15を設けている。ダクト15は、筒体6の上端の噴霧口12の周囲に噴気口14を開口しており、ダクト15に供給される搬送気体を噴気口14から排出するようにしている。噴気口14は、筒体上端の周囲に、スリット状に開口されている。スリット状の噴気口14は、気体をリング状に排気する。リング状に排気される気体の内側に溶液が噴出されて、噴出される溶液の表面からミストが放出される。この構造の筒体6は、噴霧口12から突出する液柱の表面に新鮮な気体を供給するので、液柱の表面から効率よくミストに霧化できる。ミストが溶液濃度の低い気体中に霧化されるからである。
【0051】
筒体6のダクト15は、気体供給源に連結している。気体供給源から供給される搬送気体は、噴気口14から排出されて、噴霧口12から噴霧されるミストに供給される。気体供給源から供給される搬送気体は噴気口14からミストに供給され、噴霧口12から噴霧されるミストは気体中に霧化される。
【0052】
図8の筒体6は、下部を連結プレート31である連結ダクト16に脱着自在に連結できる構造としている。連結プレート31は、筒体6の連結部に貫通穴32を開口しており、この貫通穴32を通過して溶液を筒体6の内部に供給すると共に、超音波振動を内部に案内するようにしている。連結ダクト16は、内部に供給ダクト19を設けている。この供給ダクト19は、ダクト15に連結している。連結ダクト16の供給ダクト19は、気体供給源に連結している。連結プレート31には、図2に示すように、複数の筒体6を連結している。図8の筒体6は、下端の外周に雄ネジ17を設け、連結ダクト16には筒体6の雄ネジ17をねじ込む雌ネジ穴18を設けている。筒体6は、雄ネジ17を雌ネジ穴18の雌ネジにねじ込んで、連結ダクト16に連結される。連結ダクト16は、内部に気体の供給ダクト19を設けている。筒体6は、連結ダクト16に連結される状態で、ダクト15の入口を連結ダクト16の供給ダクト19に連結して、連結ダクト16の供給ダクト19から筒体6のダクト15に気体が供給される。図8の筒体6は、雄ネジ17の上方と底面とに、リング溝を設けて、ここにOリング20、21を入れている。Oリング20、21は、筒体6を連結ダクト16に連結する状態で、雌ネジ穴18の内面に密着して、連結ダクト16と筒体6との連結部の気体漏れを阻止する。すなわち、筒体6を気密な状態で連結ダクト16に連結する。
【0053】
以上の超音波霧化装置1は、超音波振動子2を超音波振動させて、溶液をミストとして筒体6の押出口12から飛散させる。溶液は、筒体6の内部で超音波振動され、押出口12からミストとして飛散される。図の霧化装置1は、超音波振動子2を上向きに配設している。超音波振動子2は、底から筒体6の内部に向かって上向きに、垂直方向に超音波を放射して、筒体内部の溶液を超音波振動させる。筒体内部の溶液は、超音波振動される状態で筒体6の押出口12から気体中に噴出されて、筒体6の押出口12から気体中にミストに霧化される。
【0054】
さらに、図2の超音波霧化装置1は、筒体6の噴霧口12から飛散するミストを効率よく回収して超音波霧化室4から排出するために、筒体6の噴霧口12の上方に、ミストの吸入部9を設けている。図に示す吸入部9は、円筒状のパイプで、筒体6の上方に垂直の姿勢で配置している。筒状のパイプである吸入部9は、下端を筒体6の上部に配置して、上端を超音波霧化室4の上方に延長している。図に示す吸入部9は、筒体6の上端縁に位置して、円筒状パイプの下端縁を配置している。ただ、吸入部は、下端部を筒体の上部にラップする状態で配置することも、あるいは、下端縁を筒体の上端縁から離して配置することもできる。さらに、吸入部9の下端の開口部は、筒体6の噴霧口12よりも広い開口面積としており、筒体6の上端から飛散されるミストを漏れなく回収できるようにしている。吸入部9の上端は、超音波霧化室4の上部で連結されており、この連結部をダクト41に連結して、吸入部9で回収されたミストをダクト41に移送させるようにしている。ただ、吸入部は、必ずしも設ける必要はない。
【0055】
さらに、図2に示す霧化装置は、筒体6の噴霧口12からオーバーフローして噴射された溶液を回収するために、超音波霧化室4に排出路47を連結している。超音波振動する状態で筒体6の噴霧口12から噴出される液体は、超音波振動によって気体中にミストに霧化されるが、一部は霧化されることなく溶液の状態で筒体6の周囲に流下する。この溶液を回収するために、超音波霧化室4に排出路47を連結している。排出路47で回収される溶液は、再び溶液タンク11に循環し、あるいは、図の矢印Bで示すように外部に排出される。
【0056】
さらに、図9ないし図13の筒体6は、内部に溶液を供給するために、筒体6の内部とケーシング49の外部とを連通する溶液供給管70を連結している。図の溶液供給管70は、ケーシング49の底板62を貫通して配設している。溶液供給管70は、一端を筒体6の内部に、他端をケーシング49の外部に配設している。溶液供給管70は、図3と図4に示す溶液の供給機構7に連結されており、この供給機構7でもって、筒体6の内部に原液を供給している。さらに、図9ないし図13に示す溶液供給管70は、ケーシング49の外部に配設される端部を、脱着コネクタ71を介して溶液の供給機構7に連結している。この連結構造は、簡単かつ速やかに、しかも脱着自在に溶液供給管70を供給機構7に連結できる。
【0057】
さらに、図9ないし図13に示すケーシング49は、筒体6に設けたダクト15に気体を供給する気体供給管72を連結している。図に示す気体供給管72は、ケーシング49の底板62を貫通して配設している。気体供給管72は、一端を筒体6のダクト15の内部に、他端をケーシング49の外部に配設している。気体供給管72は、気体供給源に連結されて、気体が供給される。図9ないし図12に示す気体供給管72は、ケーシング49の外部に配設される端部を、脱着コネクタ73を介して気体供給源に連結している。この連結構造も、簡単かつ速やかに、気体供給管72を気体供給源に連結できる。
【0058】
また、図13の超音波霧化装置1は、集積回路50を埋設する金属ケース63を搬送気体の風路に配置している。図の超音波霧化装置1は、金属ケース63の外側に外ケース86を設けており、この外ケース86の内部に密閉構造の送風ダクト87を設けて、この送風ダクト87の内部に金属ケース63を配設している。さらに、この送風ダクト87は、内側に、気体供給管72の下端を開口しており、送風ダクト87に強制送風される搬送気体を気体供給管72を介して筒体6のダクト15に供給できるようにしている。
【0059】
気体供給源から送風ダクト87に供給される搬送気体は、金属ケース63の表面を通過してダクト15に供給され、筒体6の噴気口14から排出される。金属ケース63は、集積回路50の放熱部51で加温される。したがって、搬送気体は、金属ケース63の表面を通過するときに加温される。搬送気体を加温する金属ケース63は、搬送気体で冷却され、金属ケース63が集積回路50の放熱部51を冷却する。図に示す金属ケース63は、外側面にフィン88を設けて、放熱面積を大きくしている。このフィン88は、搬送気体の流動方向と平行な姿勢となるように設けている。この超音波霧化装置1は、気体供給源から排出される搬送気体を、放熱部51から伝導される熱で加温する。したがって、筒体6の噴気口14から排出される搬送気体は、温度が高くなって、噴霧口12から効率よくミストを噴霧させる。また、搬送気体は集積回路50の放熱部51を冷却する。
【0060】
以上のように、筒体6を備える超音波霧化装置1は、噴霧口12の周囲に設けた噴気口14から気体を排出するので、筒体6の噴霧口12で霧化されるミストに気体を供給して、効率よくケーシング49の外部に排出できる特長がある。ただ、霧化装置は、必ずしも筒体の噴霧口の周囲に噴気口を設ける必要はない。噴気口は、たとえば、ケーシングの下方に設けて、筒体の噴霧口から気体中にミストに霧化される溶液を外部に排出することもできる。
【0061】
さらに、図9ないし図11、及び図13に示すケーシング49は、筒体6の上端の噴霧口12からオーバーフローして排出された溶液をケーシング49の外部に排出する構造としている。図のケーシング49は、筒体6の周囲に溜まった溶液を排出するために、ケーシング49の内部と外部を連通する溶液排出管74を連結している。溶液排出管74は、ケーシング49の底板62を貫通して配設している。溶液排出管74は、一端を筒体6の外側であってケーシング49の底部に、他端をケーシング49の外部に配設している。図9ないし図11に示す溶液排出管74は、ケーシング49の外部に配設される端部を、脱着コネクタ75を介して溶液の排出機構(図示せず)に連結している。
【0062】
さらに、図9と図10に示す超音波霧化装置1は、高周波電源3に電力を供給する電源コード76を金属ケース63の外部に引き出している。図9と図10の基台90は、電源コード76を電源59に接続するコンセント77を設けている。この超音波霧化装置は、電源コード76の連結プラグ78をコンセント77に接続して電源59に接続され、電源59から電力が供給される。この構造は、高周波電源3を極めて簡単に電源59に電気接続できる特長がある。
【0063】
図9に示すケーシング49は、底板62に超音波振動子2と筒体6とを固定している。この構造は、ケーシング49を交換して、超音波振動子2及び筒体6を交換できる。さらに、図10と図11に示すケーシング49は、超音波振動子2と筒体6とを一体的に連結してなる脱着ユニット80を底板62に脱着自在に連結している。この構造は、ケーシング49を交換することなく脱着ユニット80のみを交換して、超音波振動子2及び筒体6を交換できる。
【0064】
脱着ユニット80は、ケーシング49の底板62に開口して設けている円形の連結開口部68に脱着できるように連結される。底板62は、連結開口部68の内周面に、脱着ユニット80の外周面に設けた雄ネジ82をねじ込む雌ネジ69を設けている。脱着ユニット80は、ケーシング2の底板62となる円形状の連結プレート81の外周を連結開口部68に挿入できる外形として、連結プレート81の外周面に雄ネジ82を設けている。脱着ユニット80は、連結プレート81の雄ネジ82を連結開口部68の雌ネジ69にねじ込んでケーシング49に連結される。連結開口部68はケーシング49の内部に連通しているので、脱着ユニット80はケーシング49の底板62に液密な構造で連結する必要がある。このため、底板62の連結開口部68の内面と脱着ユニット80の外周面との間にOリング30を挟着している。Oリング30は、連結開口部68と脱着ユニット80との間を液密な状態で連結して、連結開口部68を脱着ユニット80の連結プレート81で液密に閉塞する。
【0065】
さらに、ケーシングは、図12に示す構造で底板62に超音波振動子2を固定することもできる。この図のケーシング49は、超音波振動子2と高周波電源3を収納してなる金属ケース63を底板62に脱着自在に連結している。図の金属ケース63は、上方を開口する収納室64に高周波電源3の集積回路50を収納して絶縁樹脂56に埋設すると共に、開口縁部に超音波振動子2を配置している。この金属ケース63は、底板62の下端に、下方に開口して設けている連結凹部83に脱着できるように連結している。連結凹部83は、内面に雌ネジ84を設けている。金属ケース63は、連結凹部83に挿入できる外形として、連結凹部83の雌ネジ84にねじ込む雄ネジ85を上部の外周に設けている。この金属ケース63は、雄ネジ85を雌ネジ84にねじ込んで、連結凹部83に連結される。連結凹部83は、底部を開口しており、この開口部67から超音波振動子2を筒体6の内部に表出させている。連結凹部83は、筒体6の内部に連通しているので、金属ケース63と連結凹部83は、水密な構造で連結する必要がある。このため、連結凹部83の内面と金属ケース63の外周との間にOリング30を挟着して、これらを水密構造で連結している。この超音波霧化装置も、金属ケース63とケーシング49の底板62とを熱結合状態で連結して、絶縁樹脂56に埋設される集積回路50からの放熱を、絶縁樹脂56と金属ケース63を介してケーシングに伝導する。さらに、図の金属ケース63は、収納室64に、超音波振動子2と高周波電源3を内蔵するので、金属ケース63のみを交換して、これらを簡単に交換できる特徴がある。
【0066】
基台90は、図3、図4、図9、図10、及び図13に示すように、複数のケーシング49を脱着自在に装着できるように、上面に複数の装着凹部91を形成している。装着凹部91は、ケーシング49の下部を装着できる凹部で、この凹部にケーシング49の下部を嵌着させて、所定の位置に保持できるようにしている。図の基台90は、ケーシング49の外周に沿う筒状の隔壁92を設けており、この隔壁92の内側に装着凹部91を設けている。装着凹部91は、内面に段差部93を設けており、この段差部93でケーシング49の底面を支持して所定の位置に連結できるようにしている。さらに、図に示す装着凹部91は、ケーシング49を位置ずれすることなく連結できるように、隔壁92の内面に弾性支持体94を備えている。図の弾性支持体94はゴム状弾性体からなるパッキンで、装着凹部91の内面とケーシング49の外面とに密着してケーシング49を所定の位置に保持できるようにしている。ただ、弾性支持体は必ずしも必要ではない。
【0067】
さらに、装着凹部91は、段差部93より下側に、ケーシング49との連結部を配設するための収納室95を設けている。この収納室95には、超音波霧化室4に溶液や気体、電力を供給し、あるいは、溶液を排出するための配管や配線を配設している。装着凹部91に装着されるケーシング49は、収納室65の内部において、溶液供給管70を供給機構7に連結し、気体供給管72を気体の供給源に連結し、高周波電源3を電源に接続し、さらに、溶液排出管74を排出機構に連結する。
【0068】
さらに、図に示す基台90は、装着凹部91の周囲に貯水槽96を設けて、この貯水槽93に水を貯溜している。図の貯水槽95は、ケーシング49の周囲に設けた隔壁92を周壁としており、この隔壁92で区画される領域を貯水槽96として水を貯溜している。この貯水槽96は、装着凹部91の隔壁92の外側であって、隣接する装着凹部91の隔壁92との間に形成している。このように、ケーシング49の周囲に水を貯溜して、言い換えると液中にケーシング49を配設する構造は、超音波霧化室4で霧化されるアルコール等のミストが爆発を起こすのを有効に防止する、すなわち防爆の効果がある。したがって、貯水槽96は、有効に防爆できるように、所定の面積および貯水量となるように設計して設けられる。
【0069】
以上の構造の超音波霧化装置1は、閉鎖室99の内部において、複数のケーシング49を基台90に連結している。複数のケーシング49は、基台90に連結される状態で、供給機構7から筒体6の内部に溶液が供給されると共に、筒体6の内部の溶液に超音波振動子2から超音波振動が与えられて、筒体6の噴霧口12からミストに霧化される。さらに、複数の超音波霧化室4で霧化されたミストは、噴気口14から供給される気体でもって、ケーシング49の外部に排出される。
【0070】
図3に示す超音波霧化機1は、ケーシング49から排出されるミストを一次的に回収するデミスタ97を備える。図の超音波霧化機1は、各ケーシング49の上端にデミスタ97を連結しており、ケーシング49から排出される気体に含まれるミストをデミスタ97で回収している。この超音波霧化機1は、デミスタ97で一次的にミストが回収された気体を霧化室4から排出する。
【0071】
図4に示す超音波霧化装置1は、各ケーシング49の上端を開口しており、これらの開口部からミストを含む搬送気体を排出している。各ケーシング49から排出される搬送気体は、集合されて超音波霧化室4から排出される。図に示す超音波霧化装置1は、各ケーシング49の上端開口部の周囲を閉塞蓋98で閉塞しており、霧化されたミストの搬送路を貯水槽96から分離している。
【0072】
以上の霧化装置1は、超音波霧化室4の溶液を、超音波振動子2で超音波振動してミストに霧化する。霧化装置1で霧化されたミストは、溶液よりも目的物質の濃度が高い。したがって、霧化装置1で溶液をミストに霧化し、ミストを凝集して回収することで、高濃度な溶液を効率よく分離できる。
【0073】
霧化装置1で霧化された溶液のミストは、搬送気体を介して回収部40に流入されて、回収部40で回収される。ミストを回収部40に流入させるために、図1ないし図4の分離装置は、回収部40をダクト41で超音波霧化装置1に連結している。図の分離装置は、搬送気体をブロア48で回収部40に搬送している。これらの分離装置は、ミストを含む搬送気体を超音波霧化装置1から回収部40に搬送する。とくに、図に示す分離装置は、回収部40の排出側を超音波霧化室4に連結しており、ミスト成分が分離された搬送気体を超音波霧化室4に環流している。この分離装置は、好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性なガスを搬送気体とすることができる。この分離装置は、不活性ガスによって、超音波霧化装置1や回収部40における溶液の変質が防止される。このため、より高品質な状態で高濃度の溶液を得ることができる。ただし、搬送気体には、空気も使用できる。さらに、分離装置は、搬送気体を循環させることなく、回収部の排出側において排気し、超音波霧化室に気体供給源を連結して、搬送気体を供給することもできる。この搬送気体には空気が使用できる。
【0074】
回収部40は、微細なミストを凝集させて高濃度のアルコール溶液として回収する。したがって、この回収部には、微細なミストを凝集させて回収できるすべての構造であって、現在すでに開発され、あるいは今後開発されるすべての構造が使用できる。ミストは、気体ではないので、必ずしも冷却しないで凝集させて回収できる。ただ、ミストを冷却して速やかに回収できる。回収部40は、たとえば、図1と図2に示すように、ミストを冷却して凝集させる冷却用熱交換器33を内蔵して、回収部40に流入されるミストを冷却しながら大きく凝集させて溶液として回収することができる。
【0075】
さらに、回収部は、図示しないが、気体に含まれる目的物質であるアルコール等の蒸気を吸着剤に吸着させて回収することもできる。この回収部は、たとえば、加熱された回収気体で吸着剤に吸着されたアルコールを排出し、回収気体を冷却して排出されたアルコールを結露させて回収することができる。この回収部は、たとえば、空隙に吸着剤を設けているローターと、このローターを回転させる回転駆動機構とで構成することができる。ローターは、回転軸の方向に気体を通過できる空隙を有するハニカムローターである。吸着剤には、たとえば、ゼオライト、活性炭、酸化リチウム、シリカゲルのいずれか、もしくはこれらの混合物が使用できる。この回収部は、回転駆動機構でローターを所定の速度で回転させて、蒸気を吸着させる吸着領域と、吸着した蒸気を排出する再生領域とに移動させる。ローターが吸着領域に移動されると、目的物質であるアルコールの蒸気を含む気体が空隙に通過されて、気体に含まれる目的物質のアルコールが吸着剤に吸着される。ローターが回転して再生領域に移動されると、吸着した目的物質のアルコールを排出する。排出された目的物質のアルコールは、回収気体を冷却して回収される。ローターの吸着領域を通過した気体は、再び超音波霧化室に移動される。
【0076】
さらに、回収部は、閉鎖チャンバーに、溶液を散水するノズルを設けて、このノズルから溶液を噴霧して、搬送気体に含まれるミストを回収することもできる。さらに、回収部は、内部に複数枚の邪魔板を配設して、この邪魔板の表面にミストを衝突させて付着する溶液を自然に流下させて回収することもできる。この邪魔板は、表面を凹凸面として、ミストをより効率よく接触させて回収することができる。さらにまた、回収部は、ミストを強制送風して撹拌するファンを設けて、回収部のミストを撹拌して互いに衝突させて凝集させることもできる。凝集するミストは、速やかに落下させて回収することができる。
【0077】
さらにまた、回収部は、ミストを振動して互いに衝突する確率を高くするミスト振動器を設けることもできる。ミスト振動器は、回収部の気体を振動させる電気振動−機械振動変換器と、この電気振動−機械振動変換器を駆動する振動電源とを備え、電気振動−機械振動変換器から可聴周波数の音や、可聴周波数よりも高い超音波を放射して、ミストを激しく振動させて効率よく衝突させて、速やかに回収することもできる。
【0078】
さらにまた、超音波分離装置は、回収部に、溶液を噴霧するノズルと、ミストを撹拌するファンと、ミストを振動させる振動器の全てを内蔵させて、最も効率よくミストを凝集できる。また、ミストを凝集させるふたつの装置を内蔵して、ミストを効率よく凝集させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施例にかかる超音波霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図2】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図3】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図5】高周波電源とケーシングとを熱結合する状態を示す拡大断面図である。
【図6】高周波電源の一例を示す回路図である。
【図7】高周波電源の他の一例を示す回路図である。
【図8】図2に示す超音波霧化装置の筒体を示す拡大断面正面図である。
【図9】図3と図4に示す超音波霧化装置の筒体の一例を示す拡大断面図である。
【図10】図3と図4に示す超音波霧化装置の筒体の他の一例を示す拡大断面図である。
【図11】図10に示す筒体の断面斜視図である。
【図12】超音波振動子の連結構造の他の一例を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかるの超音波霧化装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0080】
1…超音波霧化装置
2…超音波振動子
3…高周波電源
4…超音波霧化室
6…筒体 6a…内筒
6b…外筒
7…供給機構
9…吸入部
10…溶液ポンプ
11…溶液タンク
12…噴霧口
14…噴気口
15…ダクト
16…連結ダクト
17…雄ネジ
18…雌ネジ穴
19…供給ダクト
20…Oリング
21…Oリング
27…リード線
28…パッキン
30…Oリング
31…連結プレート
32…貫通穴
33…冷却用熱交換器
40…回収部
41…ダクト
47…排出路
48…ブロア
49…ケーシング
50…集積回路
51…放熱部
52…出力トランジスター
53…トランス
56…絶縁樹脂
59…電源
62…底板
63…金属ケース
64…収納室
65…段差部
66…固定部
67…開口部
68…連結開口部
69…雌ネジ
70…溶液供給管
71…脱着コネクタ
72…気体供給管
73…脱着コネクタ
74…溶液排出管
75…脱着コネクタ
76…電源コード
77…コンセント
78…連結プラグ
80…脱着ユニット
81…連結プレート
82…雄ネジ
83…連結凹部
84…雌ネジ
85…雄ネジ
86…外ケース
87…送風ダクト
88…フィン
90…基台
91…装着凹部
92…隔壁
93…段差部
94…弾性支持体
95…収納室
96…貯水槽
97…デミスタ
98…閉塞蓋
99…閉塞室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液が供給される超音波霧化室(4)を内部に設けているケーシング(49)と、このケーシング(49)に設けられて溶液を超音波振動させる超音波振動子(2)と、この超音波振動子(2)に高周波電力を供給する高周波電源(3)とを備え、高周波電源(3)から超音波振動子(2)に高周波電力を供給し、超音波振動子(2)でもって溶液を超音波振動して、溶液を気体中にミストに霧化する溶液の超音波霧化装置において、
高周波電源(3)が、冷却用の放熱部(51)を有する集積回路(50)を備えると共に、この集積回路(50)の放熱部(51)を超音波霧化室(4)のケーシング(49)に熱結合状態で連結して、集積回路(50)の発熱を、放熱部(51)を介して超音波霧化室(4)のケーシング(49)に伝導するようにしてなることを特徴とする溶液の超音波霧化装置。
【請求項2】
溶液が供給される超音波霧化室(4)を内部に設けているケーシング(49)と、このケーシング(49)に設けられて溶液を超音波振動させる超音波振動子(2)と、この超音波振動子(2)に高周波電力を供給する高周波電源(3)とを備え、高周波電源(3)から超音波振動子(2)に高周波電力を供給し、超音波振動子(2)でもって溶液を超音波振動して、溶液を気体中にミストに霧化する溶液の超音波霧化装置であって、
超音波振動子(2)の上方に、上端に噴霧口(12)を開口している筒体(6)を配設しており、この筒体(6)内に溶液を充填して、超音波振動子(2)が噴霧口(12)に向かって溶液に超音波振動を与えて溶液を噴霧口(12)からミストに霧化して放出するようにしており、
さらに、筒体(6)は、噴霧口(12)から噴霧されるミストに搬送気体を供給する噴気口(14)を開口して、この噴気口(14)を搬送気体源に連結しており、搬送気体源から供給される搬送気体を噴気口(14)からミストに供給し、
さらにまた、高周波電源(3)は、冷却用の放熱部(51)を有する集積回路(50)を備えると共に、この集積回路(50)の放熱部(51)を搬送気体源から送風される搬送気体の風路に配設して、放熱部(51)の熱で搬送気体を加温して筒体(6)の噴気口(14)からミストに供給するようにしてなる溶液の超音波霧化装置。
【請求項3】
高周波電源(3)が、出力トランジスター(52)を備えると共に、この出力トランジスター(52)の放熱部(51)を超音波霧化室(4)のケーシング(49)に熱結合し、または出力トランジスター(52)の放熱部(51)を搬送気体の風路に配設している請求項1又は2に記載される溶液の超音波霧化装置。
【請求項4】
集積回路(50)の放熱部(51)を超音波霧化室(4)のケーシング(49)の底板(62)に熱結合して連結している請求項1に記載される溶液の超音波霧化装置。
【請求項5】
集積回路(50)の放熱部(51)が金属板で、金属板を超音波霧化室(4)の底板(62)に固定して熱結合し、あるいは金属板を搬送気体の風路に配設している請求項1又は2に記載される溶液の超音波霧化装置。
【請求項6】
超音波霧化室(4)のケーシング(49)の底板(62)に開口部(67)を設けて、開口部(67)を閉塞するように超音波振動子(2)を固定しており、放熱部(51)が開口部(67)の外周縁部において底板(62)に熱結合状態で固定されてなる請求項1に記載される溶液の超音波霧化装置。
【請求項7】
集積回路(50)の放熱部(51)が、絶縁樹脂(56)を介して超音波霧化室(4)のケーシング(49)に熱結合状態で連結してなる請求項1に記載される溶液の超音波霧化装置。
【請求項8】
超音波霧化室(4)のケーシング(49)の底板(62)に、高周波電源(3)の集積回路(50)を内蔵する閉鎖構造の金属ケース(63)を連結しており、この金属ケース(63)内に高周波電源(3)の集積回路(50)を絶縁樹脂(56)を介して埋設して、集積回路(3)の放熱部(51)を絶縁樹脂(56)と金属ケース(63)を介してケーシング(49)に熱結合状態で連結しており、放熱部(51)の熱を絶縁樹脂(56)と金属ケース(63)を介して超音波霧化室(4)のケーシング(49)に伝導するようにしてなる請求項1に記載される溶液の超音波霧化装置。
【請求項9】
超音波霧化室(4)のケーシング(49)に、高周波電源(3)の集積回路(50)を内蔵する閉鎖構造の金属ケース(63)を固定しており、この金属ケース(63)内に高周波電源(3)の集積回路(50)を絶縁樹脂(56)を介して埋設して、集積回路(50)の放熱部(51)を絶縁樹脂(56)と金属ケース(63)を介してケーシング(49)に熱結合状態で連結しており、放熱部(51)の熱を絶縁樹脂(56)と金属ケース(63)を介して超音波霧化室(4)のケーシング(49)に伝導し、さらに、金属ケース(63)の外側を搬送気体の風路として、金属ケース(63)で搬送気体を加温するようにしてなる請求項2に記載される溶液の超音波霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−283164(P2007−283164A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110213(P2006−110213)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(503268143)超音波醸造所有限会社 (20)
【Fターム(参考)】