説明

溶液濃度計用電極取り付け具、および溶液濃度計

【課題】アモルファスカーボン電極を使用した場合にも、電極が破損損傷したり、表面が傷つくことがなく、電極とリード線との接触部分における導通抵抗が小さく、安定した電気的接続を維持することができ、溶液の濃度を正確に測定することができる溶液濃度計用電極取り付け具、および溶液濃度計を提供する。
【解決手段】電極を挿着して挟持する挿着用開口部を画成するように挿着用凹部が形成された一対の相互に離間した挟持片と、挟持片の基端部同士を連結する連結部とから構成される取り付け具本体と、挟持片の先端部同士を締結する締結部材とを備え、締結部材によって、挟持片の先端部同士を締結することによって、挟持片に形成した挿着用開口部に挿着した電極を挟持固定するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一対の電極を、被測定溶液に接触させて、電極間を流れる電流によって被測定液体の導電率を測定することにより、被測定溶液の濃度を測定するように構成した溶液濃度計における電極とリード線を接続するための溶液濃度計用電極取り付け具、および溶液濃度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、半導体製造工程では、シリコンウェハの表面に付着した不純物、酸化物などを取り除くために、洗浄工程が行われている。この洗浄工程において、十分に不純物、酸化物などを取り除かなければ、パターニング工程において、電子回路のパターニングが正確に行われないことになる。
【0003】
このため、洗浄工程では、洗浄液の薬液としてとして、例えば、強酸であるフッ酸などを用いて、シリコンウェハの表面に付着した不純物、酸化物などを取り除くことが行われている。この際には、洗浄液の薬液であるフッ酸などを、所定濃度に希釈して使用している。
【0004】
ところで、この薬液の濃度により、シリコンウェハの表面に付着した不純物、酸化物などを取り除く除去能力が大きく変化するため、薬液の濃度(イオン度)を管理する必要がある。
【0005】
このため、従来より、薬液の濃度を測定する方法として、特許文献1(特開昭53−119085号公報)に開示されるように、いわゆる「4電極法」を用いて、各種溶液の導電率を測定する導電率計が提案されている。
【0006】
また、このような導電率を用いた溶液濃度計では、上記のように半導体製造の洗浄工程で使用されるフッ酸などは強酸であるため、電極用材料としては、例えば、ステンレスなどでは、十分な耐食性を有していないため、腐食するおそれがあり、また、白金電極などでは高価であり、実用上からすれば適切ではない。
【0007】
このため、特許文献2(実用新案登録第2528025号公報では)、緻密で、気孔率がゼロで、不純物も含まれず、しかも、導電性、耐食性も良好な電極として、アモルファスカーボン(ガラス状カーボン)電極を使用することが開示されている。
【0008】
さらに、特許文献3(特開2004−20231号公報)では、図14に示したように、半導体洗浄用の配管100に、電極102、104を取り付ける構造が開示されている。
【0009】
すなわち、電極保持部材106と締付部材108から構成される筒形状のスルー継手110を用いて取り付けられるようになっている。
具体的には、半導体洗浄用の配管100に、筒形状のスルー継手110の取り付け孔112を設け、電極保持部材106の下端部106aを、取り付け孔112に溶着し、電極保持部材106に電極102、104を嵌める。
【0010】
その後、締付部材108の下端に形成されたメネジと、電極保持部材106に形成されたオネジとを螺合することによって、半導体洗浄用の配管100に、電極102、104を取り付けるように構成されている。
【0011】
さらに、電極102、104とリード線114との接続は、リード線114を装着したキャップ部材116に形成した接触ピン118を、電極102、104の上部に接触させることによって、リード線114と電極102、104との電気的な接続がなされるように構成されている。
【特許文献1】特開昭53−119085号公報
【特許文献2】実用新案登録第2528025号公報
【特許文献3】特開2004−20231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、このような導電率を用いた溶液濃度計では、電極にリード線を接続する必要がある。このため、従来では、図15(A)に示したように、電極200に取り付け孔202を穿設して、リード線204を接続したピン206を挿入してリード線204を接続したり、図15(B)に示したように、リード線204を接続したバネ部材208の内部に電極200を挿通することによって、電極200にリード線204を接続することが行われている。
【0013】
上記のようなアモルファスカーボン(ガラス状カーボン)電極は、電極の材質が硬くて、脆い性質を有しており、電極を破壊しないようにする必要がある。
しかしながら、上記のような電極200に取り付け孔202を穿設する際に、アモルファスカーボン電極が破損損傷してしまうおそれがある。また、バネ部材208の内部に電極200を挿通する際にも、アモルファスカーボン電極の表面に傷がつくおそれがある。
【0014】
ところで、このような導電率によって薬液の濃度を測る溶液濃度計では、薬液に挿入した電極間の電気抵抗は、薬液の種類や濃度によっては、数十Ωから数Ω以下と低い値になる。
【0015】
従って、上記のように電極が破損損傷したり、表面が傷ついた場合には、アモルファスカーボン製の電極とリード線との接合部分における導通抵抗が大きくなったり、不安定となる。
【0016】
このため、薬液の導電率が、低く測定されたり、不安定になり、薬液の濃度を正確に測定することができないことになる。
従って、半導体製造工程において、洗浄液の濃度を測定する溶液濃度計に使用した場合には、洗浄効果が低下して、シリコンウェハの表面に付着した不純物、酸化物などを取り除く除去能力が大きく変化してしまい、半導体自体の品質の低下をきたすことになる。
【0017】
また、特許文献3のように、電極保持部材106と締付部材108から構成される筒形状のスルー継手110を用いて、半導体洗浄用の配管100に、電極102、104を取り付ける構造では、電極保持部材106の下端部106aを、取り付け孔112に溶着するなど、その取り付け構造が複雑で、取り付け作業も煩雑な作業になる。
【0018】
しかも、電極保持部材106に電極102、104を嵌める際に、上記のように電極の表面に傷がつくおそれがあり、電極とリード線との接合部分における導通抵抗が大きくなったり、不安定となる。
【0019】
さらに、電極保持部材106に電極102、104との間から、半導体洗浄用の配管100から腐食性の薬液が漏洩して、リード線接続金具などが腐食されるおそれもある。
本発明は、このような現状に鑑み、電極を用いて溶液の導電率を計測する溶液濃度計に
おいて、例えば、耐食性の材料であるアモルファスカーボン電極を使用した場合にも、電極が破損損傷したり、表面が傷つくことがなく、電極とリード線を電気的に接続する部分における導通抵抗が小さく、安定した電気的接続を維持することができ、溶液の濃度を正確に測定することができる溶液濃度計用電極取り付け具、および溶液濃度計を提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、電極を濃度計本体に取り付ける構造が簡単で、取り付け作業も簡便であり、溶液の圧力上昇に対して、十分なシール性を保持でき、濃度計本体内の接液部からの腐食性の溶液が漏洩することがなく、万一、腐食性の溶液が漏洩した場合にも、電気的接続部を樹脂材にて保護することによって、しかも、取り付け具自体を耐食性の高い、ハステロイなどの耐食性金属で構成することによって、リード線取り付け部分などが腐食されることがなく、この部分の導通抵抗が低い状態で、長期間確実に維持することができる溶液濃度計用電極取り付け具、および溶液濃度計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具は、
少なくとも一対の電極を、被測定溶液に接触させて、電極間を流れる電流によって被測定液体の導電率を測定することにより、被測定溶液の濃度を測定するように構成した溶液濃度計において、電極とリード線を接続するための溶液濃度計用電極取り付け具であって、
電極を挿着して挟持する挿着用開口部を画成するように挿着用凹部が形成された一対の相互に離間した挟持片と、
前記挟持片の基端部同士を連結する連結部とから構成される取り付け具本体と、
前記挟持片の先端部同士を締結する締結部材とを備え、
前記締結部材によって、挟持片の先端部同士を締結することによって、挟持片に形成した挿着用開口部に挿着した電極を挟持固定するように構成したことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の溶液濃度計は、
少なくとも一対の電極を、被測定溶液に接触させて、電極間を流れる電流によって被測定液体の導電率を測定することにより、被測定溶液の濃度を測定するように構成した溶液濃度計であって、
電極を挿着して挟持する挿着用開口部を画成するように挿着用凹部が形成された一対の相互に離間した挟持片と、
前記挟持片の基端部同士を連結する連結部とから構成される取り付け具本体と、
前記挟持片の先端部同士を締結する締結部材とを備え、
前記締結部材によって、挟持片の先端部同士を締結することによって、挟持片に形成した挿着用開口部に挿着した電極を挟持固定するように構成した溶液濃度計用電極取り付け具を用いて、電極とリード線を接続したことを特徴とする。
【0023】
このように構成することによって、挟持片に形成した挿着用開口部に電極を挿着する際にも、一対の挟持片が相互に離間している状態であるので、電極を破損損傷したり、傷つけたりすることがなく、しかも、挿着用開口部に電極表面が接触するので、接触面積が大きくなり、安定した電気的接続を維持することができる。
【0024】
さらに、挟持片の先端部同士を、締結部材によって締結する際に、挟持片の基端部同士を連結する連結部がバネとして機能して、外側から予め設定された均一な力で、締め付けることができるので、電極と溶液濃度計用電極取り付け具との導通抵抗を低く、かつ、安定して保つことができる。
【0025】
従って、半導体製造工程の洗浄工程において、洗浄液として、フッ酸などの強酸を用いる場合に、電極として、例えば、アモルファスカーボンのように硬くて脆い性質の電極を用いた場合でも、電極を破損損傷したり、傷つけたりすることがなく、接触面積が大きくなり、電極と溶液濃度計用電極取り付け具との導通抵抗を低く、かつ、安定して保つことができ、溶液の濃度を正確に測定することができる。
【0026】
従って、半導体製造工程において、洗浄液の濃度を測定する溶液濃度計に使用した場合にも、洗浄効果が一定であり、シリコンウェハの表面に付着した不純物、酸化物などを取り除く除去能力が大きく変化することなく、半導体自体の品質を向上することができる。
【0027】
また、本発明では、前記締結部材に、リード線を取り付けるためのリード線連結部を備えることを特徴とする。
このように締結部材に、リード線を取り付けるためのリード線連結部を備えることによって、挟持片の先端部同士を、締結部材によって締結するだけで、簡単に電極とリード線との電気的接続を達成することができる。
【0028】
また、本発明では、
前記挟持片の先端部に、締結部材装着孔が形成され、
前記締結部材装着孔に、締結部材を装着することによって、電極を挟持固定するように構成したことを特徴とする。
【0029】
このように構成することによって、挟持片の先端部に形成した締結部材装着孔に、締結部材を装着し、外側から予め設定された均一な力で、締め付けるだけで、電極を容易に適切な嵌合状態で固定することができる。
【0030】
また、本発明では、前記挟持片に、複数の電極をそれぞれ挿着して挟持する、複数の挿着用開口部が形成されていることを特徴とする。
このように、挟持片に、複数の電極をそれぞれ挿着して挟持する、複数の挿着用開口部が形成されていることによって、一度に複数の電極にリード線を取り付けることができ、取り付け作業が容易で便利である。
【0031】
また、本発明では、前記締結部材が、複数の溶液濃度計用電極取り付け具の挟持片の先端部同士を同時に挟持するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、複数の溶液濃度計用電極取り付け具を、一つの締結部材で同時に挟持することができるので、一度に複数の電極にリード線を取り付けることができ、取り付け作業が容易で便利である。
【0032】
また、本発明では、前記電極が、アモルファスカーボンから構成されていることを特徴とする。
このようにアモルファスカーボンのように硬くて脆い性質の電極の場合でも、電極を破損損傷したり、傷つけたりすることがなく、接触面積が大きくなり、電極と溶液濃度計用電極取り付け具との導通抵抗を低く、かつ、安定して保つことができ、溶液の濃度を正確に測定することができる。
【0033】
また、本発明の溶液濃度計は、
被測定溶液を流通させる測定用管部と、
前記測定用管部に、測定用管部の軸方向に対して、垂直な方向に電極を装着するための電極装着用開口部と、
を備えた濃度計本体を備え、
前記溶液濃度計が、
前記電極装着用開口部に、電極を装着した状態で、電極を挟持固定した溶液濃度計用電極取り付け具を、濃度計本体側に固定する電極固定板を備えることを特徴とする。
【0034】
このように構成することによって、測定用管部の電極装着用開口部に、電極を装着した状態で、電極を挟持固定した溶液濃度計用電極取り付け具を、電極固定板を介して、濃度計本体側に固定することができる。
【0035】
従って、電極を濃度計本体に取り付ける構造が簡単であり、取り付け作業も簡便であり、しかも、溶液濃度計用電極取り付け具を介して、電極固定板によって濃度計本体側に固定するので、電極自体を固定するのではないので、電極が破損損傷することもない。
【0036】
また、本発明の溶液濃度計は、前記電極固定板が、濃度計本体を覆う蓋部材で、濃度計本体に固定されていることを特徴とする。
このように構成することによって、濃度計本体を覆う蓋部材を、濃度計本体に固定するだけで、電極固定板を濃度計本体に固定することができ、これによって、電極固定板によって、電極を挟持固定した溶液濃度計用電極取り付け具を濃度計本体側に固定することができ、構造が簡単で取り付け作業も容易である。
【0037】
また、本発明の溶液濃度計は、前記蓋部材と濃度計本体との間の空間が、樹脂を充填して封止されていることを特徴とする。
このように蓋部材と濃度計本体との間の空間が、樹脂を充填して封止されていることによって、濃度計本体内の接液部から、万一、腐食性の被測定溶液が漏洩した場合にも、リード線取り付け部分などが腐食されることがなく、この部分の導通抵抗が低い状態で、長期間確実に維持することができる。
【0038】
また、本発明の溶液濃度計は、
前記測定用管部の電極装着用開口部に装着したシール材と、
前記シール材を固定する固定部材とを備えることを特徴とする。
【0039】
このように構成することによって、被測定溶液を流通させる測定用管部の管路内の圧力が上昇しても、固定部材によって、シール材が浮いてシール材のシール効果が低下するのを抑制することができ、濃度計本体内の接液部からの腐食性の溶液が漏洩することがなく、溶液濃度計の安定的な使用が可能となる。
【0040】
また、本発明の溶液濃度計は、前記固定部材が、電極固定板によって固定されていることを特徴とする。
このように構成することによって、電極固定板によって、固定部材を固定することができ、構造が簡単で取り付け作業も容易である。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、挟持片に形成した挿着用開口部に電極を挿着する際にも、一対の挟持片が相互に離間している状態であるので、電極を破損損傷したり、傷つけたりすることがなく、しかも、挿着用開口部に電極表面が接触するので、接触面積が大きくなり、安定した電気的接続を維持することができる。
【0042】
さらに、挟持片の先端部同士を、締結部材によって締結する際に、挟持片の基端部同士を連結する連結部がバネとして機能して、外側から予め設定された均一な力で締め付けることができるので、電極と溶液濃度計用電極取り付け具との導通抵抗を低く、かつ、安定して保つことができる。
【0043】
従って、半導体製造工程の洗浄工程において、洗浄液として、フッ酸などの強酸を用いる場合に、電極として、例えば、アモルファスカーボンのように硬くて脆い性質の電極を用いた場合でも、電極を破損損傷したり、傷つけたりすることがなく、接触面積が大きくなり、電極と溶液濃度計用電極取り付け具との導通抵抗を低く、かつ、安定して保つことができ、溶液の濃度を正確に測定することができる。
【0044】
従って、半導体製造工程において、洗浄液の濃度を測定する溶液濃度計に使用した場合にも、洗浄効果が一定であり、シリコンウェハの表面に付着した不純物、酸化物などを取り除く除去能力が大きく変化することなく、半導体自体の品質を向上することができる。
【0045】
また、本発明の溶液濃度計によれば、測定用管部の電極装着用開口部に、電極を装着した状態で、電極を挟持固定した溶液濃度計用電極取り付け具を、電極固定板を介して、濃度計本体側に固定することができる。
【0046】
従って、電極を濃度計本体に取り付ける構造が簡単であり、取り付け作業も簡便であり、しかも、溶液濃度計用電極取り付け具を介して、電極固定板によって濃度計本体側に固定するので、電極自体を固定するのではないので、電極が破損損傷することもない。
【0047】
また、本発明の溶液濃度計によれば、蓋部材と濃度計本体との間の空間が、樹脂を充填して封止されていることによって、濃度計本体内の接液部から、万一、腐食性の被測定溶液が漏洩した場合にも、リード線取り付け部分などが腐食されることがなく、この部分の導通抵抗が低い状態で、長期間確実に維持することができる。
【0048】
また、本発明の溶液濃度計によれば、被測定溶液を流通させる測定用管部の管路内の圧力が上昇しても、固定部材によって、シール材が浮いてシール材のシール効果が低下するのを抑制することができ、濃度計本体内の接液部からの腐食性の溶液が漏洩することがなく、溶液濃度計の安定的な使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の取り付け具本体の斜視図、図2は、図1の溶液濃度計用電極取り付け具の取り付け具本体の上面図、図3は、図1の溶液濃度計用電極取り付け具に電極を取り付ける状態を説明する概略図である。
【0050】
図1〜図3において、符号10は、全体で本発明の溶液濃度計用電極取り付け具(以下、単に「電極取り付け具」と言う)を示している。
なお、この場合、図1、図2では、説明の便宜上、電極取り付け具10の取り付け具本体11のみを示している。
【0051】
図1および図2に示したように、電極取り付け具10は、取り付け具本体11を備えており、この取り付け具本体11は、略クリップ形状であって、スリット12、20を介して、一対の相互に離間した挟持片14、16を備えている。これらの挟持片14、16の基端部14a、16a同士が、連結部18を介して連結されている。
【0052】
これらの挟持片14、16の先端部には、スリット12が形成され、挟持片14、16の基端部14a、16aには、スリット20が形成されている。
そしてこれらのスリット12とスリット20との間に、挟持片14、16の基端部14a、16a側に偏って、電極22を挿着して挟持する挿着用開口部24が形成されている。
【0053】
このように、挿着用開口部24が挟持片14、16の基端部14a、16a側に偏って形成することによって、後述するように、締結部材であるネジ部材30を締め付けて、挟持片14、16の先端部同士を締結して、挿着用開口部24によって電極22を挟持固定する際に、連結部18が支点として、ネジ部材30の位置が力点として、挿着用開口部24が作用点として作用することになる。従って、締め付け時のモーメントが大きくなり、小さなネジ部材30の締付け力で、挿着用開口部24によって電極22を締め付け、固定することができる。
【0054】
この挿着用開口部24は、電極22の形状に合致するように、挟持片14、16にそれぞれ対向するように形成された一対の挿着用凹部26、28から形成されている。
この挿着用開口部24の寸法は、電極22と同じか寸法か、僅かに大きい寸法の開口部となるように設定されている。
【0055】
また、挟持片14、16の先端部に、締結部材装着孔14b、16bが形成されており、一方の挟持片16の締結部材装着孔16bには、ネジ溝16cが形成されている。
そして、このように構成される電極取り付け具10を使用する場合には、図3示したように用いられる。
【0056】
先ず、図3(A)に示したように、挟持片14、16に形成した挿着用開口部24に電極22を挿着する。
この際には、一対の挟持片14、16が相互に離間している状態であり、挿着用開口部24の寸法が、挿着用開口部24の寸法は、電極22と同じ寸法か、僅かに大きい寸法の開口部となるように設定されているので、電極22を破損損傷したり、傷つけたりすることがないようなっている。
【0057】
しかも、挿着用開口部24、すなわち、挿着用凹部26、28に電極22の表面が接触するので、接触面積が大きくなり、安定した電気的接続を維持することができる。
そして、この状態で、図3(B)に示したように、締結部材であるネジ部材30に、リード線連結部を構成するリード線接続端子32のリング33と、緩み防止のためのスプリングワッシャ34と、平ワッシャ36を挿通する。これにより、締結部材であるネジ部材30が、リード線を取り付けるためのリード線連結部として機能することになる。
【0058】
なお、図3(B)に示したように、リード線31は、リード線接続端子32の基端部にかしめ加工を施すことによって接続されている。また、リード線31をリード線接続端子32に接続する方法としては、このようにかしめ加工を施す以外にも、例えば、溶接、ロウ付け、半田付けなど適宜の公知の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。
【0059】
この状態で、図3(C)の矢印Fで示したように、ネジ部材30を締結部材装着孔14b、16bに挿通して、例えば、トルクレンチを用いて、図3(C)の矢印Gで示したように、ネジ部材30を一定のトルクで締め付けることによって、挟持片14、16の先端部同士を締結する。
【0060】
この際、前述したように、挿着用開口部24が挟持片14、16の基端部14a、16a側に偏って形成されているので、挿着用開口部24によって電極22を挟持固定する際に、連結部18が支点として、ネジ部材30の位置が力点として、挿着用開口部24が作用点として作用することになり、締め付け時のモーメントが大きくなり、小さなネジ部材30の締付け力で、挿着用開口部24によって電極22を締め付け固定することができる。
【0061】
これにより、挟持片14、16の基端部14a、16a同士を連結する連結部18がバネとして機能して、外側から予め設定された均一な力で締め付けることができるので、電極22と電極取り付け具10との導通抵抗を低く、かつ、安定して保つことができる。
【0062】
従って、半導体製造工程の洗浄工程において、洗浄液として、フッ酸などの強酸を用いる場合に、電極22として、例えば、アモルファスカーボンのように硬くて脆い性質の電極を用いた場合でも、電極22を破損損傷したり、傷つけたりすることがなく、接触面積が大きくなり、電極22と電極取り付け具10との導通抵抗を低く、かつ、安定して保つことができ、溶液の濃度を正確に測定することができる。
【0063】
従って、半導体製造工程において、洗浄液の濃度を測定する溶液濃度計に使用した場合にも、洗浄効果が一定であり、シリコンウェハの表面に付着した不純物、酸化物などを取り除く除去能力が大きく変化することなく、半導体自体の品質を向上することができる。
【0064】
また、締結部材に、リード線を取り付けるためのリード線連結部を備えることによって、挟持片の先端部同士を、締結部材によって締結するだけで、簡単に電極とリード線との電気的接続を達成することができる。
【0065】
この場合、電極22の形状としては、特に限定されるものではないが、円柱形状、円筒形状、楕円円柱形状、矩形の柱形状などを採用することができ、この電極22の形状に応じて、挿着用開口部24、すなわち、挿着用凹部26、28の形状を適宜設定すればよい。
【0066】
また、電極22としては、白金電極など公知の電極を使用することができ、特に限定されるものではないが、半導体製造工程の洗浄工程において、洗浄液として、フッ酸などの強酸を用いる場合に、電極22として、例えば、アモルファスカーボンのように硬くて脆い性質の電極を用いた場合、本発明の電極取り付け具を用いることによって、上記のように、電極22を破損損傷したり、傷つけたりすることがなく、接触面積が大きくなり、電極22と電極取り付け具10との導通抵抗を低く、かつ、安定して保つことができ、溶液の濃度を正確に測定することができるので好適である。また、アモルファスカーボンの表面を鏡面仕上げを施すことによって、より安定して正確に導電率を測定できるので望ましい。
【0067】
さらに、電極取り付け具10を構成する材料としては、導電性を有する金属であれば特に限定されるものではないが、例えば、SUS、チタン、モネル、ハステロイなどの耐食性金属を使用するのが望ましい。このような耐食性金属を使用することによって、透過性が高く腐食性の大きな被測定溶液を長期間、継続的に測定する場合にも、電極取り付け具10の腐食による導通抵抗の増加を防ぐことができる。
【0068】
なお、スプリングワッシャ34、ネジ部材30、平ワッシャ36も(図示しないが、ナットを使用する場合にはナットも)、電極取り付け具10を構成する材料と同様に、例えば、SUS、チタン、モネル、ハステロイなどの耐食性金属を使用するのが望ましい。
【0069】
また、ネジ部材30の締め付けトルクとしては、電極22の材質、寸法、ネジ部材3の寸法、挟持片14、16の寸法(挿着用開口部24の寸法、位置など)の条件によって、電極22が破損損傷しないように適宜決定すればよい。
【0070】
例えば、後述するように、挟持片14、16の基端部14a、16aのスリット20端部から、締結部材装着孔14b、16bの中心までの距離L1と、挟持片14、16の基端部14a、16aのスリット20端部から挿着用開口部24の中心までの距離L2の割
合に応じて、ネジ部材30の締め付けトルクを設定すれば良い。
【0071】
一例を挙げれば、電極22が、アモルファスカーボン製で、外径が4mmであり、かつ内径を2mmの中空にした時は、ネジ部材30の締め付けトルクは、10〜50cNm、好ましくは、10〜30cNmとすれば、硬くて脆い性質のアモルファスカーボン製の電極22と電極取り付け具10を、破損損傷するこがなく、導通抵抗が低い状態で長期間確実に維持することができ、溶液の濃度を正確に測定することができる。
【0072】
また、挟持片14、16の基端部14a、16aのスリット20端部から、締結部材装着孔14b、16bの中心までの距離L1と、挟持片14、16の基端部14a、16aのスリット20端部から挿着用開口部24の中心までの距離L2の割合としては、上記の電極22を破損損傷しない締め付け力(締め付け時のモーメント)を考慮すれば、2:1〜5:1、好ましくは、3:1〜4:1とするのが望ましい。
【0073】
また、図2に示したように、スリット12の幅S1としては、締め付け時に、挟持片14、16が相互に接触しない程度の値とするのが望ましい。
なお、この実施例の電極取り付け具10では、締結部材として、ネジ部材30を用いたが、図示しないが、挟持片16の締結部材装着孔16bには、ネジ溝16cを形成せずに、ボルトとナットから構成することも可能である。
【0074】
さらに、上記実施例では、締結部材であるネジ部材30を、リード線を取り付けるためのリード線連結部として機能するようにしたが、例えば、挟持片14、16に溶接、ロウ付けなどによって、リード線を取り付けるようにすることも可能である。
【0075】
図4は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具を用いた溶液濃度計の縦断面図、図5は、図4のA−A線についての断面図、図6は、図4のB−B線についての断面図、図7は、図4のC方向矢視図、図8は、測定用管部部分拡大断面図である。
【0076】
なお、電極取り付け具10自体は、図1〜図3に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
図4〜図7において、符号40は、全体で本発明の溶液濃度計を示している。
【0077】
図4〜図7に示したように、溶液濃度計40は、溶液濃度計40を機器類に設置するための取り付け孔41aが形成されたベース板41と、濃度計本体42と、濃度計本体42を覆うように、濃度計本体42に固定された蓋部材44を備えている。
【0078】
この濃度計本体42は、図4、図6に示したように、被測定溶液を流通させる測定用管部46を備えており、この測定用管部46の図4において上側の側壁には、測定用管部46に、測定用管部46の軸方向に対して、垂直な方向に電極22を装着するための電極装着用開口部48が形成されている。
【0079】
この場合、この実施例の溶液濃度計40は、いわゆる「4電極法」を用いて、被測定溶液の導電率を測定する溶液濃度計であって、4つの電極22a〜22dを装着するための電極装着用開口部48a〜48dが、図4および図5に示したように、所定間隔離間して形成されている。
【0080】
すなわち、4つの電極22a〜22dのうち、外側の2つの電極22a、22dが一定電流を流すための電流用電極であり、内側の2つの電極22c、22dが、電圧検出用の電圧電極を構成している。これにより、外側の2つの電流用電極22a、22dに一定電流を流すことによって、内側の2つの電圧検出用の電圧電極22c、22dの電位差を測
定することによって、被測定溶液の導電率を求めるようになっている。
【0081】
また、図4において、測定用管部46の電極装着用開口部48a〜48dの反対側の壁面にはそれぞれ、電極22a〜22dの先端部分を固定するための凹部50a〜50dが形成されている。
【0082】
これらの凹部50a〜50dに、電極22a〜22dの先端部分を挿着することによって、測定用管部46の軸方向に対して、垂直な方向に電極22a〜22dを固定することができるようになっている。これによって、測定用管部46内を流れる被測定用溶液の流れによって、電極22a〜22dが移動したり振動することを防止し、正確な導電率の測定を阻害するのを防止するように構成されている。
【0083】
また、図8に示したように、電極装着用開口部48には、シール材54の装着を容易にするために、端部がテーパ状に加工されたシール溝52が形成されており、このシール溝52内に、測定用管部46の接液部と電極22を液密にシールするためのOリングからなるシール材54を収容するようになっている。
【0084】
そして、このシール溝52のシール材54の上部には、このシール材54を固定するリング形状の固定部材56が取り付けられている。
このように構成することによって、図8の矢印Dで示したように、測定用管部46を流れる被測定溶液によって、シール材54を上方に移動させる力(矢印E)に対して、固定部材56によって、シール材54が固定されることになる。これにより、シール材54が濃度計本体42の測定用管部46の内部の接液部の圧力上昇に対して、位置がずれないようになっている。
【0085】
このように構成することによって、被測定溶液を流通させる測定用管部46の管路内の圧力が上昇しても、固定部材56によって、シール材54が浮いてシール材54のシール効果が低下するのを抑制することができ、濃度計本体内の接液部からの腐食性の溶液が漏洩することがなく、溶液濃度計40の安定的な使用が可能となる。
【0086】
また、図4〜図6に示したように、この電極装着用開口部48に、電極22を装着し、シール溝52のシール材54と固定部材56を装着した状態で、電極22の上端が、電極取り付け具10によって挟持固定されている。そして、電極取り付け具10が、測定用管部46の上部に載置されるような状態になっている。
【0087】
この場合、図5に示したように、左右2本ずつの電極22a、22bと電極22c、22dを挟持固定する電極取り付け具10が、測定用管部46の軸線をはさんで対向するように配置された状態となっている。
【0088】
すなわち、このように対向配置することによって、締結部材であるネジ部材30をトルクレンチなどの締め付け具を使用する際に邪魔にならず、締め付けやすいようになっている。
【0089】
さらに、電極取り付け具10が、測定用管部46の上部に載置された状態で、電極取り付け具10の上部には、電極取り付け具10に当接した状態で、略矩形平板状の電極固定板58が配置されている。
【0090】
この電極固定板58には、図6に示したように、リード線31とリード線接続端子32を、電極固定板58の上部に引き出すための操作用開口部60が、左右2本ずつの電極22a、22bと電極22c、22dに対応した位置に、4個形成されている。
【0091】
また、図6に示したように、蓋部材44には、長手方向の側壁62、64の内側に段部62a、64aが形成されるとともに、図4に示したように、幅方向の一方の側壁66の内側に段部66aが形成されている。
【0092】
これにより、蓋部材44を、濃度計本体42に締結部材(図示せず)で、取り付け固定した際に、これらの段部62a、64a、66aが、電極固定板58の上端に当接して、電極22を挟持固定した電極取り付け具10を、濃度計本体42側に固定するようになっている。
【0093】
なお、この場合、蓋部材44を濃度計本体42側に固定するには、図5に示したように、濃度計本体42の四隅に形成した締結用孔45を介して、図示しない締結部材で、例えば、ハステロイなどの耐食性材料で表面をテフロン(登録商標)処理された金属材料で構成したベース板41に固定することによって、蓋部材44、濃度計本体42、ベース板41が一体的に連結、固定されるようになっている。
【0094】
これにより、電極固定板58によって、電極取り付け具10、電極22、シール材54と固定部材56が固定され、測定用管部46を流れる被測定溶液によって、上方に移動させる力に対して、固定部材56によって、電極取り付け具10、電極22、シール材54と固定部材56が固定されることになる。
【0095】
このように構成することによって、被測定溶液を流通させる測定用管部46の管路内の圧力が上昇しても、固定部材56によって、シール材が浮いてシール材のシール効果が低下するのを抑制することができ、濃度計本体内の接液部からの腐食性の溶液が漏洩することがなく、しかも、溶液濃度計40の安定的な使用が可能となる。
【0096】
このように構成することによって、測定用管部46の電極装着用開口部48に、電極22を装着した状態で、電極22を挟持固定した電極取り付け具10を、濃度計本体42を覆う蓋部材44を、濃度計本体42に固定するだけで、蓋部材44、電極固定板58を介して、濃度計本体42側に固定することができる。
【0097】
従って、電極22を濃度計本体42に取り付ける構造が簡単であり、取り付け作業も簡便であり、しかも、電極取り付け具10を介して、電極固定板58によって濃度計本体42側に固定するので、電極22自体を固定するのではないので、電極22が破損損傷することもない。
【0098】
さらに、図4に示したように、蓋部材44には、他方の幅方向の側壁68にリード線クランプ70が装着されており、リード線クランプ70には、リード線接続端子32に接続されたリード線31が挿着され、このリード線クランプ70によってシールされるようになっている。
【0099】
また、図4に示したように、蓋部材44と濃度計本体42との間の空間72が、樹脂74を充填することによって封止されている。
このように蓋部材44と濃度計本体42との間の空間72が、樹脂74を充填することによって封止されていることによって、濃度計本体42内の接液部(電極装着用開口部48)から、万一、腐食性の被測定溶液が漏洩した場合にも、電極取り付け具10などのリード線取り付け部分などが腐食されることがなく、この部分の導通抵抗が低い状態で、長期間確実に維持することができる。
【0100】
この場合、樹脂封止するための樹脂74としては、耐食性樹脂材料であれば、特に限定
されるものではないが、例えば、シリコーン系の樹脂、エポキシ系の樹脂などを使用することができる。
【0101】
さらに、濃度計本体42の測定用管部46の両端には、機器類の配管に接続するための接続配管76、78が連結されている。
なお、測定用管部46、接続配管76、78の材質としては、特に限定されるものではないが、被測定溶液として、例えば、半導体製造工程の洗浄工程において、洗浄液として、フッ酸などの強酸を用いる場合には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂などを使用するのが望ましい。
【0102】
この場合、接続配管76、78を、濃度計本体42の測定用管部46に接続するには、溶接するか(図4の溶接部分75参照)、切削による一体形成するか、または、成型により一体成形すればよい。
【0103】
図9は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の別の実施例の上面図である。
なお、この実施例の電極取り付け具10は、図1〜図3に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0104】
この実施例の電極取り付け具10は、図9に示したように、締結部材であるネジ部材30の代わりに、クランプ部材80を用いて、挟持片14、16の先端部同士を挟持して締結するように構成されている。
【0105】
また、このクランプ部材80のクランプ片82、84の先端部内側近傍には、挟持片14、16の先端部に形成した締結部材装着孔14b、16bにそれぞれ係合する係止突設部82a、84aが形成されている。
【0106】
これによって、クランプ部材80を用いて、挟持片14、16の先端部同士を挟持して締結した際に、電極取り付け具10からクランプ部材80が脱落するのが防止されるようになっている。
【0107】
このように構成することによって、クランプ部材80によって、挟持片14、16の先端部同士を挟持するだけで、簡単容易に、電極22持固定することができ、電極22側から均一な力で締め付けることができる。
【0108】
図10は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の別の実施例の上面図である。
なお、この実施例の電極取り付け具10は、図1〜図3に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0109】
この実施例の電極取り付け具10は、図10に示したように、挟持片14、16には、複数(この実施例では2本の)電極22をそれぞれ挿着して挟持する、複数の挿着用開口部24が形成されている。
【0110】
なお、この場合、複数の挿着用開口部24の間は、例えば、樹脂などからなる絶縁部14c、16cで電気的に絶縁されるようになっている。
このように、挟持片14、16に、複数の電極22をそれぞれ挿着して挟持する、複数の挿着用開口部24が形成されていることによって、一度に複数の電極22にリード線を取り付けることができ、取り付け作業が容易で便利である。
【0111】
この場合、挿着用開口部24の数は、複数であれば、電極の数に応じて適宜決定される
ものであり、特に限定されるものではない。
図11〜図13は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の別の実施例の上面図である。
【0112】
なお、この実施例の電極取り付け具10は、図1〜図3に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例の電極取り付け具10は、図11に示したように、複数の電極取り付け具10の挟持片14、16の先端部同士を同時に挟持するように、図9と同様なクランプ部材80が電極取り付け具10の数に応じて一体になった(図11では、2個、図12では、4個のクランプ部材が一体になった)クランプ部材90を用いるようになっている。
【0113】
なお、クランプ部材90のクランプ基端部の間は、相互に樹脂などの絶縁部92によって、電気的に絶縁されるようになっている。
このように構成することによって、複数の電極取り付け具10を、一つの締結部材であるクランプ部材90で同時に挟持することができるので、一度に複数の電極22にリード線を取り付けることができ、取り付け作業が容易で便利である。
【0114】
特に、図12のように、4個の電極取り付け具10を片側から、一つのクランプ部材90で同時に締結することができるので、例えば、いわゆる「4電極法」に使用すれば、締結作業が一度に行え、極めて便利である。
【0115】
なお、このようなクランプ部材90を用いる代わりに、図13に示したように、1本の締結部材であるネジ部材30、ナット35を用いて、複数の電極取り付け具10の締結部材装着孔14b、16bに挿通して締結するようにすることも可能である。
【0116】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、いわゆる「4電極法」に使用した場合について説明したが、2電極法、3電極法などにも用いることが可能である。
【0117】
また、上記実施例では、締結部材であるネジ部材30を、リード線を取り付けるためのリード線連結部として機能するようにしたが、例えば、挟持片14、16に溶接。ロウ付けなどによって、リード線を取り付けるようにすることも可能である。
【0118】
さらに、上記実施例では、例示として、被測定溶液として、例えば、半導体製造工程の洗浄工程において、洗浄液として、フッ酸などの強酸を用いる場合について説明したが、半導体製造工程の分野に限らず、例えば、アンモニア、塩酸、過酸化水素水、肥料、養殖魚類用海水、洗濯液など、イオン化され、原液を希釈するタイプの被測定溶液の濃度を導電率で測定する場合の全てに適用することも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の取り付け具本体の斜視図である。
【図2】図2は、図1の溶液濃度計用電極取り付け具の取り付け具本体の上面図である。
【図3】図3は、図1の溶液濃度計用電極取り付け具に電極を取り付ける状態を説明する概略図である。
【図4】図4は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具を用いた溶液濃度計の縦断面図である。
【図5】図5は、図4のA−A線についての断面図である。
【図6】図6は、図4のB−B線についての断面図である。
【図7】図7は、図4のC方向矢視図である。
【図8】図8は、測定用管部部分拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の別の実施例の上面図である。
【図10】図10は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の別の実施例の上面図である。
【図11】図11は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の別の実施例の上面図である。
【図12】図12は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の別の実施例の上面図である。
【図13】図13は、本発明の溶液濃度計用電極取り付け具の別の実施例の上面図である。
【図14】図14は、従来の電極の取り付け方法を説明する概略図である。
【図15】図15は、従来の電極の取り付け方法を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0120】
10 溶液濃度計用電極取り付け具
11 取り付け具本体
12 スリット
14 挟持片
14a 基端部
14b 締結部材装着孔
14c 絶縁部
16 挟持片
16a 基端部
16b 締結部材装着孔
16c ネジ溝
18 連結部
20 スリット
22 電極
22a〜22d 電極
24 挿着用開口部
26、28 挿着用凹部
30 ネジ部材
31 リード線
32 リード線接続端子
33 リング
34 スプリングワッシャ
35 ナット
36 平ワッシャ
40 溶液濃度計
41 ベース板
41a 取り付け孔
42 濃度計本体
44 蓋部材
45 締結用孔
46 測定用管部
48 電極装着用開口部
48a-48d 電極装着用開口部
50a-50d 凹部
52 シール溝
54 シール材
56 固定部材
58 電極固定板
60 操作用開口部
62、64 側壁
62a、64a 段部
66 側壁
66a 段部
68 側壁
70 リード線クランプ
72 空間
74 樹脂
75 溶接部分
76、78 接続配管
80 クランプ部材
82、84 クランプ片
82a、84a 係止突設部
90 クランプ部材
92 絶縁部
100 配管
102、104 電極
106 電極保持部材
106a 下端部
108 締付部材
110 スルー継手
112 取り付け孔
114 リード線
116 キャップ部材
118 接触ピン
200 電極
202 取り付け孔
204 リード線
206 ピン
208 バネ部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の電極を、被測定溶液に接触させて、電極間を流れる電流によって被測定液体の導電率を測定することにより、被測定溶液の濃度を測定するように構成した溶液濃度計において、電極とリード線を接続するための溶液濃度計用電極取り付け具であって、
電極を挿着して挟持する挿着用開口部を画成するように挿着用凹部が形成された一対の相互に離間した挟持片と、
前記挟持片の基端部同士を連結する連結部とから構成される取り付け具本体と、
前記挟持片の先端部同士を締結する締結部材とを備え、
前記締結部材によって、挟持片の先端部同士を締結することによって、挟持片に形成した挿着用開口部に挿着した電極を挟持固定するように構成したことを特徴とする溶液濃度計用電極取り付け具。
【請求項2】
前記締結部材に、リード線を取り付けるためのリード線連結部を備えることを特徴とする請求項1に記載の溶液濃度計用電極取り付け具。
【請求項3】
前記挟持片の先端部に、締結部材装着孔が形成され、
前記締結部材装着孔に、締結部材を装着することによって、電極を挟持固定するように構成したことを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の溶液濃度計用電極取り付け具。
【請求項4】
前記挟持片に、複数の電極をそれぞれ挿着して挟持する、複数の挿着用開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の溶液濃度計用電極取り付け具。
【請求項5】
前記締結部材が、複数の溶液濃度計用電極取り付け具の挟持片の先端部同士を同時に挟持するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の溶液濃度計用電極取り付け具。
【請求項6】
少なくとも一対の電極を、被測定溶液に接触させて、電極間を流れる電流によって被測定液体の導電率を測定することにより、被測定溶液の濃度を測定するように構成した溶液濃度計であって、
電極を挿着して挟持する挿着用開口部を画成するように挿着用凹部が形成された一対の相互に離間した挟持片と、
前記挟持片の基端部同士を連結する連結部とから構成される取り付け具本体と、
前記挟持片の先端部同士を締結する締結部材とを備え、
前記締結部材によって、挟持片の先端部同士を締結することによって、挟持片に形成した挿着用開口部に挿着した電極を挟持固定するように構成した溶液濃度計用電極取り付け具を用いて、電極とリード線を接続したことを特徴とする溶液濃度計。
【請求項7】
被測定溶液を流通させる測定用管部と、
前記測定用管部に、測定用管部の軸方向に対して、垂直な方向に電極を装着するための電極装着用開口部と、
を備えた濃度計本体を備え、
前記溶液濃度計が、
前記電極装着用開口部に、電極を装着した状態で、電極を挟持固定した溶液濃度計用電極取り付け具を、濃度計本体側に固定する電極固定板を備えることを特徴とする請求項6に記載の溶液濃度計。
【請求項8】
前記電極固定板が、濃度計本体を覆う蓋部材で、濃度計本体に固定されていることを特徴とする請求項6から7のいずれかに記載の溶液濃度計。
【請求項9】
前記蓋部材と濃度計本体との間の空間が、樹脂を充填して封止されていることを特徴とする請求項8に記載の溶液濃度計。
【請求項10】
前記測定用管部の電極装着用開口部に装着したシール材と、
前記シール材を固定する固定部材とを備えることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の溶液濃度計。
【請求項11】
前記固定部材が、電極固定板によって固定されていることを特徴とする請求項10に記載の溶液濃度計。
【請求項12】
前記締結部材に、リード線を取り付けるためのリード線連結部を備えることを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載の溶液濃度計。
【請求項13】
前記挟持片の先端部に、締結部材装着孔が形成され、
前記締結部材装着孔に、締結部材を装着することによって、電極を挟持固定するように構成したことを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載の溶液濃度計。
【請求項14】
前記挟持片に、複数の電極をそれぞれ挿着して挟持する、複数の挿着用開口部が形成されていることを特徴とする請求項6から13のいずれかに記載の溶液濃度計。
【請求項15】
前記締結部材が、複数の溶液濃度計用電極取り付け具の挟持片の先端部同士を同時に挟持するように構成されていることを特徴とする請求項6から14のいずれかに記載の溶液濃度計。
【請求項16】
前記電極が、アモルファスカーボンから構成されていることを特徴とする請求項6から15のいずれかに記載の溶液濃度計。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−285819(P2007−285819A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112363(P2006−112363)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000143949)株式会社鷺宮製作所 (253)
【Fターム(参考)】