説明

溶着ビーズ玩具

【課題】意匠性に優れたビーズ溶着作品を簡単に作製できる溶着ビーズ玩具を提供する。
【解決手段】粒状ビーズの底部を保持する保持凹部12が等間隔に形成された水平なベース面11を有する基板部材2と、該基板部材2のベース面11に重なるように設置されて、ベース面11との間で、ベース面11上の粒状ビーズを挟圧する挟圧部材3と、基板部材2と挟圧部材3を、粒状ビーズを挟圧する状態に保持する挟圧保持機構とによって溶着ビーズ玩具1を構成し、ベース面11上に熱可塑性樹脂からなる粒状ビーズを並べ、該粒状ビーズに水分を供給した後、挟圧保持機構によって基板部材2と挟圧部材3の間で粒状ビーズを挟圧しながら電子レンジで加熱することによって、該粒状ビーズを塑性変形させるとともに相互に溶着するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面配列した複数のビーズを一体的に溶着してなるビーズ溶着作品を作製するための溶着ビーズ玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂からなる複数のビーズを平面上に並べた状態で相互に溶着し、様々なデザインのビーズ溶着作品を作製する溶着ビーズ玩具が知られている(例えば特許文献1。)。特許文献1に記載された従来の溶着ビーズ玩具は、複数のガイドピンが等間隔に立設された基板部材を備えており、孔あきビーズを一個ずつガイドピンに挿通して基板部材上に保持し、所要配列に並べたビーズをアイロンで加熱することによってビーズ同士を溶着するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−34429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の溶着ビーズ玩具は、孔あきビーズをガイドピンに挿通保持した状態で溶着する構成であるため、表裏の意匠面にガイドピンの孔が開いたビーズ溶着作品しか作製できず、意匠性の向上が求められている。また、ビーズを溶着するのにわざわざアイロンを予熱しなくてはならず、溶着作業が面倒である。また、子供がアイロンを使用する際にはアイロン火傷をしないように十分に注意しなくてはならず、子供の年齢によっては大人が溶着作業を代行しなくてはならない。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来の溶着ビーズ玩具に比べて、意匠性に優れたビーズ溶着作品を簡単に作製できる溶着ビーズ玩具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、平面配列した複数のビーズを一体的に溶着してなるビーズ溶着作品を作製するための溶着ビーズ玩具であって、粒状ビーズの底部を保持する保持凹部が等間隔に形成された水平なベース面を有する基板部材と、該基板部材のベース面に重なるように設置されて、ベース面との間で、ベース面上の粒状ビーズを挟圧する挟圧部材と、基板部材と挟圧部材を、粒状ビーズを挟圧する状態に保持する挟圧保持機構とを備え、ベース面上に熱可塑性樹脂からなる粒状ビーズを並べ、該粒状ビーズに水分を供給した後、挟圧保持機構によって基板部材と挟圧部材の間で粒状ビーズを挟圧しながら電子レンジで加熱することにより、該粒状ビーズを塑性変形させるとともに相互に溶着するものであることを特徴とする溶着ビーズ玩具である。
【0007】
かかる溶着ビーズ玩具は、基板部材上の保持凹部に粒状ビーズを保持する構成であるため、孔なしビーズを使用することで意匠面に孔のないビーズ溶着作品を作製でき、また、孔あきビーズであっても十分に加熱して変形させれば、意匠面に孔のないビーズ溶着作品を作製し得る。また、本発明では、基板部材と挟圧部材で挟圧しながら粒状ビーズを変形・溶着させるものであるため、基板部材や挟圧部材の、粒状ビーズを挟圧する部位に意匠性のある凹凸形状を形成することで、ビーズ溶着作品の表面に前記凹凸形状に倣う意匠性のある凹凸形状を形成できる。また、本発明の溶着ビーズ玩具は、ビーズの溶着作業を電子レンジを用いて行うことができるため、アイロンを用いる従来の溶着ビーズ玩具よりもビーズ溶着作品を簡単に作製でき、また、溶着作業において火傷をする危険性も少なくなる。
【0008】
本発明にあっては、基板部材及び挟圧部材は板状部材であり、挟圧保持機構は、基板部材と挟圧部材を重ねて載置する台座部材と、台座部材の上に載置された挟圧部材に被さる蓋部材と、基板部材と挟圧部材を挟持した状態で台座部材と蓋部材を固定するロック機構とを備えてなることが提案される。かかる構成にあっては、基板部材及び挟圧部材が、挟圧保持機構と分離可能な、シンプルな板状部材となるため、基板部材や挟圧部材を簡単に交換可能となる。
【0009】
また、本発明にあっては、基板部材は、ベース面上の保持凹部の形状又は配置の異なる複数種類の中から選択されることが提案される。また、挟圧部材は、ベース面と上下に対向して、粒状ビーズを下方に押圧する挟圧面を備えるものであって、該挟圧面の表面形状が異なる複数種類の中から選択されることが提案される。かかる構成にあっては、基板部材や挟圧部材を適宜選択することで、ビーズ溶着作品の表面に様々な凹凸形状を形成可能となる。
【0010】
また、本発明にあって、挟圧部材は、ベース面と上下に対向して、粒状ビーズを下方に押圧する挟圧面を両面に備える板状部材であり、該両面の挟圧面は夫々表面形状が異なっており、挟圧部材は、該両面の挟圧面を選択的にベース面と対向させることが提案される。かかる構成にあっては、一枚の挟圧部材によって、二通りの表面形状を有するビーズ溶着作品を作製可能となる。
【0011】
また、本発明の溶着ビーズ玩具は、電子レンジのマイクロ波を透過可能な耐熱性材料で構成されていることが提案される。かかる構成にあっては、電子レンジのマイクロ波がベース面上の粒状ビーズに到達し、水分を介して粒状ビーズを確実に加熱できる。また、本発明の溶着ビーズ玩具には、100℃以下の温度で溶着・塑性変形可能となる熱可塑性材料製の粒状ビーズを好適に使用できる。粒状ビーズには、球状の孔なしビーズを使用することが望ましいが、孔あきビーズも使用可能であり、また、直方体状や短円筒状のビーズなども使用可能である。
【発明の効果】
【0012】
以上に述べたように、本発明の溶着ビーズ玩具によれば、意匠面に孔のないビーズ溶着作品を作製することができ、従来の溶着ビーズ玩具に比べて、意匠性に優れたビーズ溶着作品を作製可能となる。また、本発明の溶着ビーズ玩具は、電子レンジを使用してビーズを変形・溶着させるものであるから、アイロンを使用する従来の溶着ビーズ玩具に比べて、簡単に、かつ安全にビーズ溶着作品を作製できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】溶着ビーズ玩具1の斜視図である。
【図2】溶着ビーズ玩具1の分解斜視図である。
【図3】蓋部材7を分離して示す溶着ビーズ玩具1の斜視図である。
【図4】蓋部材7を取り除き挟圧部材3を分離して示す溶着ビーズ玩具1の斜視図である。
【図5】基板部材2と下絵シート5と台座部材6を分離して示す斜視図である。
【図6】蓋部材7と挟圧部材3を分離して示す、溶着ビーズ玩具1の裏面側の斜視図である。
【図7】係合部材9と連係部材10を台座部材6から分離して示す斜視図である。
【図8】溶着ビーズ玩具1を長尺方向の中央位置で切断して示す縦断面図である。
【図9】溶着ビーズ玩具1の使用方法を示す説明図である。
【図10】溶着ビーズ玩具1の使用方法を示す説明図である。
【図11】(a)は、ビーズ溶着作品Pの表面図であり、(b)は、同ビーズ溶着作品Pの裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0015】
本実施例の溶着ビーズ玩具1は、図1,2に示すように、粒状ビーズを載せる板状の基板部材2と、該基板部材2の上に設置されて、基板部材2との間で粒状ビーズを挟圧する板状の挟圧部材3と、基板部材2と挟圧部材3とを、粒状ビーズを挟圧する状態に保持する挟圧保持機構と、基板部材2に粒状ビーズを載せる際の指標となる下絵シート5とを備えている。挟圧保持機構は、基板部材2と挟圧部材3を重ねて載置する台座部材6と、挟圧部材3の上に被さる蓋部材7と、基板部材2と挟圧部材3を挟持した状態で台座部材6と蓋部材7を固定するロック機構8とを備えてなる。図2に示すように、ロック機構8の解除状態では台座部材6から蓋部材7を分離することができ、蓋部材7を分離すると、基板部材2、挟圧部材3及び下絵シート5を台座部材6から取り外し可能となる。なお、溶着ビーズ玩具1を構成するこれらの各部材は、電子レンジのマイクロ波を好適に透過し、かつビーズ溶着時の熱に耐え得る耐熱性樹脂によって構成される。
【0016】
基板部材2は、図4,5に示すように、透明樹脂からなる板状体であり、その上面を、粒状ビーズを配置するベース面11とする。ベース面11は、平坦な水平面に、粒状ビーズを保持する複数の保持凹部12を等間隔に、密集状に形成してなるものである。各保持凹部12は、一個の粒状ビーズの底部を収容して、粒状ビーズがベース面11上を転動しないよう保持する程度の浅い凹部であり、隣接する保持凹部12に所定径の粒状ビーズを夫々嵌合させると、粒状ビーズ同士が近接状態で保持されるようになっている。また、基板部材2の周縁部には、挟圧部材3や下絵シート5との位置合わせに用いる位置決め突部13a,13bと、ツマミ14,14が配設されている。なお、溶着ビーズ玩具1は、図示した基板部材2以外にも、ベース面上の保持凹部の形状や配列の異なる基板部材を複数備えており、作製するビーズ溶着作品や、使用する粒状ビーズに応じて適切な基板部材を選択して使用するよう構成されている。
【0017】
挟圧部材3は、図3,4,6に示すように、基板部材2と略同じ平面形状をなす板状樹脂部材である。挟圧部材3の周縁部には、全周に亘って上下に突出するフランジ部17と、基板部材2との位置を合わせ用の位置決め突部18a,18bと、ツマミ19,19が形成されている。この挟圧部材3は、略表裏対称形状をなしており、表裏を反転して使用できる。ここで、挟圧部材3の表裏には、表面形状が異なる挟圧面16a,16bが形成されており、ベース面11と対向する挟圧面16a,16bを表裏反転して変更することで、二通りの表面形状を有するビーズ溶着作品を作製できる。具体的には、一方の挟圧面16aは凹凸のない平坦面であり、この挟圧面16aをベース面11に向けて使用した場合には、平坦な意匠面を有するビーズ溶着作品が作製される。これに対して、他方の挟圧面16bには多数の凹部17が密集状に形成されており、この挟圧面16bをベース面11に向けて使用した場合には、ビーズ溶着作品の意匠面に、該凹部17に倣う形状の突部が形成されることとなる。なお、溶着ビーズ玩具1は、図示した挟圧部材3以外にも、挟圧面の形状が異なる挟圧部材を複数備えており、作製するビーズ溶着作品に応じて適切な挟圧部材を選択して使用するよう構成されている。
【0018】
台座部材6は、図5〜7に示すように、上下に格子状のフィン22が形成された肉厚板状体であり、その上面に下絵シート5、基板部材2、挟圧部材3を重ねて載置するよう構成される。台座部材6の上面両側部には、基板部材2及び挟圧部材3を整一に重ねるための位置決め板部24,24が形成され、さらに、台座部材6の上面周縁部には、基板部材2と下絵シート5を整一に重ねるための位置決め突起25が形成される。また、台座部材6の両側には、ロック機構8を連結する板状の軸支板部23,23が配設される。
【0019】
蓋部材7は、図3,6に示すように、台座部材6同様に上下に格子状のフィン22が形成された肉厚板状体である。蓋部材7の両側には、一対の係合耳部28,28が側方に延成されている。この係合耳部28はロック機構8と係合するものであり、台座部材6の軸支板部23と上下に重なる位置に形成され、その上面には、ロック機構8の脱落を防止する瘤状のストッパ29,29が形成される。また、蓋部材7の底面には、挟圧部材3のフランジ部17と嵌合する周状の嵌合溝30が形成される。
【0020】
下絵シート5は、図5に示すように、台座部材6と基板部材2の間に挿入される樹脂シートである。溶着ビーズ玩具1は下絵シート5を複数種類備えており、各下絵シート5には、所定のビーズ溶着作品のビーズ配列を示す指示イラスト32が記されている。この指示イラスト32では、下絵シート5を設置した時に保持凹部12と重なる部分が丸印で記されており、粒状ビーズを載置すべき保持凹部12に対応する丸印は、載置すべき粒状ビーズの色で着色されている。すなわち、使用者は、透明な基板部材2を通して指示イラスト32を参照しながら各色の粒状ビーズを並べることで、所定のビーズ溶着作品に必要な配列を実現できる。
【0021】
ロック機構8,8は、図1,2に示すように、台座部材6の両側に連結されて、蓋部材7の両側部の係合耳部28,28と係合し、これにより、基板部材2と挟圧部材3を挟持した状態で台座部材6と蓋部材7を固定する。具体的には、図7,8に示すように、夫々のロック機構8は、台座部材6の軸支板部23に軸支される連係部材10と、該連係部材10に回動可能に軸支される係合部材9とからなる。係合部材9は、先端に係合耳部28と係合する爪部35を備える円弧状に湾曲した板状部材であり、図8に示すように、係合耳部28のストッパ29に爪部35を引っ掛け、係合部材9の円弧状部分を撓ませながら連係部材10を内側下方に回動させるとロック機構8がロック状態となる。そして、両側のロック機構8をロック状態とすると、係合部材9,9の弾性力によって蓋部材7が台座部材6側に押圧された状態で固定され、台座部材6と蓋部材7の間に基板部材2と挟圧部材3が挟圧保持される。挟持された基板部材2と挟圧部材3は、図8に示すように、ベース面11と挟圧面16aを粒状ビーズBの径よりも近接させて、粒状ビーズBを変形・溶着する溶着間隙36を形成する。この時、挟圧部材3のフランジ部17はベース面11に当接して、ベース面11と挟圧面16aの間隔を規定するスペーサとして機能する。
【0022】
以下に、本実施例の溶着ビーズ玩具1の使用方法について説明する。
まず、図9に示すように、台座部材6の上に下絵シート5と基板部材2のみを設置する。そして、かかる状態で、基板部材2のベース面11上に粒状ビーズBを配置する。具体的には、指やピンセットを用いて、下絵シート5の指示イラスト32に適合する色の粒状ビーズBを一個ずつ保持凹部12に収容する。粒状ビーズBには、60〜80℃程度で溶融する、熱可塑性樹脂製の孔なし球状ビーズが好適に用いられる。そして、下絵シート5の通りに粒状ビーズBをベース面11に並べたら、スポイトSで水を滴下するなどして、ベース面11上の粒状ビーズBを満遍なく濡らす。なお、粒状ビーズBは、ベース面11に並べる前に水に漬けて濡らしてもよい。
【0023】
続いて、図10(a)に示すように、基板部材2に挟圧部材3を載せてベース面11と挟圧面16aの間に粒状ビーズBを挟み、さらに、蓋部材7を挟圧部材3に被せ、ロック機構8,8によって台座部材6と蓋部材7を固定する。かかる状態では、基板部材2と挟圧部材3が溶着間隙36を狭める方向に挟圧保持され、ベース面11上の粒状ビーズBは挟圧面16aとの間で強く挟圧されて弾性変形した状態で保持される。
【0024】
次に、かかる溶着ビーズ玩具1を、電子レンジに収容して所定時間(例えば、600Wで3分)マイクロ波を照射する。かかるマイクロ波により、予め濡らされた粒状ビーズBは加熱されて溶融状態となる。そして、溶融状態となった粒状ビーズBは、図10(b)に示すように、ベース面11と挟圧面16aの挟圧によって潰れるように塑性変形するとともに隣接する粒状ビーズBと溶着し、これにより溶着間隙36内にビーズ溶着作品Pが形成されることとなる。このように形成されたビーズ溶着作品Pは、溶着ビーズ玩具1ごと常温で放置したり水に付けたりして冷却した後に取り出すことができる。
【0025】
図11は、ベース面11と挟圧面16aによって作製されるビーズ溶着作品の一例である。かかるビーズ溶着作品Pは、六角形状に配置した多数の粒状ビーズBを相互に溶着するとともに、板状に塑性変形させたものである。このビーズ溶着作品Pの表面側は、図11(a)に示すように平坦な挟圧面16aに倣う平坦面となっており、一方、ベース面11に押圧された裏面側には、図11(b)に示すように、ベース面11上の保持凹部12に倣う、密集状の突部Qが立体的な模様として形成される。このように、本実施例の溶着ビーズ玩具1によれば、表裏の意匠面に孔の開いていないビーズ溶着作品Pを作製でき、また、ビーズ溶着作品Pの意匠面にベース面11や挟圧面16a,16bに倣う凹凸形状を形成できる。
【0026】
以上のように、本実施例の溶着ビーズ玩具1では、保持凹部12に保持した粒状ビーズBを、基板部材2と挟圧部材3の間で挟圧しながら加熱溶着するものであるため、意匠面に孔のあいていないビーズ溶着作品Pを作製でき、従来の溶着ビーズ玩具では作製できない、新しいデザインのビーズ溶着作品Pを作製可能となる。なお、本実施例の溶着ビーズ玩具1には、孔なしビーズを使用することが望ましいが、孔あきビーズも使用可能であり、加熱条件を設定すれば、孔あきビーズを使用して孔のあいていないビーズ溶着作品を作製可能である。また、本実施例の溶着ビーズ玩具1は、粒状ビーズの配置や溶着具合を適宜設定することで、意匠面に孔の開いたビーズ溶着作品も作製可能である。
【0027】
また、本実施例の溶着ビーズ玩具1では、ビーズ溶着作品Pの表裏面がベース面11と挟圧面16a,16bに倣う形状となるから、凹凸形状を有するベース面11や挟圧面16bを使用することで、ビーズ溶着作品Pの表裏面に凹凸形状を形成することができる。本実施例の溶着ビーズ玩具1は、ベース面の保持凹部の形状・配置の異なる複数種類の中から基板部材を選択可能であり、また、挟圧部材も挟圧面の形状の異なる複数種類の中から選択可能となっており、様々な表面形状を有するビーズ溶着作品を作製可能となっている。特に、挟圧部材3は、形状の異なる表裏の挟圧面16a,16Bを選択的に使用可能となっており、一枚の挟圧部材3で、ビーズ溶着作品Pに二通りの表面形状を付与できるという利点がある。なお、図11に示したビーズ溶着作品Pの表裏面は、ベース面11と挟圧面16aの表面形状に倣う形状に完全に変形させたものであるが、本実施例の溶着ビーズ玩具1は、電子レンジでの加熱条件を弱めに設定することによって、粒状ビーズBの本来の表面形状をある程度残したビーズ溶着作品も作製可能である。
【0028】
また、本実施例の溶着ビーズ玩具1は、マイクロ波を透過可能な耐熱性材料からなるため、電子レンジによって粒状ビーズを加熱溶着できる。この点において、本実施例の溶着ビーズ玩具1と、アイロンで加熱する従来品を比較すると、本実施例では、アイロンの予熱が不要となり、スイッチ操作のみでビーズを加熱できるから、従来品よりも手軽にビーズの溶着作業を行うことができる。また、電子レンジは、アイロンに比べて火傷の危険性が低く、子供でも比較的容易に使用できるという利点がある。特に、水を介して加熱される粒状ビーズは100℃以上にはならないため、アイロンで150℃程度に加熱する従来品よりも溶着温度を抑えることができる。また、本実施例では、粒状ビーズを台座部材6と蓋部材7で覆った状態で加熱溶着するが、台座部材6と蓋部材7は水分を含んでいないためマイクロ波に加熱されて熱くなることはなく、さらに、台座部材6と蓋部材7に設けられた格子状のフィン22が、溶融した粒状ビーズBの熱が外表面に伝達するの抑える働きをする。このため、電子レンジで加熱した直後でも、溶着ビーズ玩具1の外表面はそれほど熱くならず、触っても火傷をするおそれが極めて少ない。さらに言えば、本実施例では、電子レンジの出力や作動時間によってビーズの変形・溶着具合を細かく調節できるため、従来品に比べてビーズ溶着作品の出来栄えが安定したものとなる。
【0029】
なお、本発明の溶着ビーズ玩具は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、ベース面や挟圧面の表面形状や、使用する粒状ビーズの形状は上記実施例から適宜変更可能である。また、挟圧保持機構についても、上記実施例の構成に限らず、既存一般の挟圧保持機構に置換可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 溶着ビーズ玩具
2 基板部材
3 挟圧部材
5 下絵シート
6 台座部材
7 蓋部材
8 ロック機構
9 係合部材
10 連係部材
11 ベース面
12 保持凹部
16a,16b 挟圧面
28 係合耳部
B 粒状ビーズ
P ビーズ溶着作品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面配列した複数のビーズを一体的に溶着してなるビーズ溶着作品を作製するための溶着ビーズ玩具であって、
粒状ビーズの底部を保持する保持凹部が等間隔に形成された水平なベース面を有する基板部材と、
該基板部材のベース面に重なるように設置されて、ベース面との間で、ベース面上の粒状ビーズを挟圧する挟圧部材と、
基板部材と挟圧部材を、粒状ビーズを挟圧する状態に保持する挟圧保持機構とを備え、
ベース面上に熱可塑性樹脂からなる粒状ビーズを並べ、該粒状ビーズに水分を供給した後、挟圧保持機構によって基板部材と挟圧部材の間で粒状ビーズを挟圧しながら電子レンジで加熱することにより、該粒状ビーズを塑性変形させるとともに相互に溶着するものであることを特徴とする溶着ビーズ玩具。
【請求項2】
基板部材及び挟圧部材は板状部材であり、
挟圧保持機構は、基板部材と挟圧部材を重ねて載置する台座部材と、台座部材の上に載置された挟圧部材に被さる蓋部材と、基板部材と挟圧部材を挟持した状態で台座部材と蓋部材を固定するロック機構とを備えてなることを特徴とする請求項1記載の溶着ビーズ玩具。
【請求項3】
基板部材は、ベース面上の保持凹部の形状又は配置が異なる複数種類の中から選択されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶着ビーズ玩具。
【請求項4】
挟圧部材は、ベース面と上下に対向して、粒状ビーズを下方に押圧する挟圧面を備えるものであって、該挟圧面の表面形状が異なる複数種類の中から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の溶着ビーズ玩具。
【請求項5】
挟圧部材は、ベース面と上下に対向して、粒状ビーズを下方に押圧する挟圧面を両面に備える板状部材であり、該両面の挟圧面は夫々表面形状が異なっており、挟圧部材は、該両面の挟圧面を選択的にベース面と対向させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の溶着ビーズ玩具。
【請求項6】
電子レンジのマイクロ波を透過可能な耐熱性材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の溶着ビーズ玩具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−139820(P2011−139820A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2552(P2010−2552)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【出願人】(000116091)ロイヤル工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】