説明

溶融炉における排ガス脱硝方法および溶融炉における排ガス脱硝装置

【課題】還元剤の量を少なく抑えつつNOxおよび未燃ガスの二次燃焼部から外部への排出を抑制することのできる溶融炉における排ガス脱硝方法を提供する。
【解決手段】二次燃焼部2bの第1ガス供給部21に第1ガスを供給して排ガスを燃焼させる第1燃焼工程と、二次燃焼部2bの還元剤供給部22に還元剤を供給して排ガスを脱硝する脱硝工程と、二次燃焼部2bの第2ガス供給部23に第2ガスを供給して第1燃焼工程での燃焼後の排ガスを酸素過剰の雰囲気下で燃焼させる第2燃焼工程とを実施するとともに、溶融部2aから第1ガス供給部21に導入される排ガス中の一酸化炭素に対して第1ガスに含まれる酸素の当量比が1以下となるように、かつ、第1燃焼工程での燃焼後の排ガスに残存する一酸化炭素の濃度が、第2燃焼工程においてNOxが生成する濃度よりも低く第2燃焼工程においてNOxが生成しない濃度となるように、第1ガスの量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を燃焼処理する処理装置から排出された排ガスが燃焼処理される溶融炉において前記排ガスを脱硝処理するための方法およびこの排ガスを脱硝するための手段が設けられた排ガス脱硝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物処理システム等では、被処理物である廃棄物をガス化炉等の処理装置において燃焼処理した後、その処理物を溶融部に導入して処理物中の灰分をスラグ化するとともに処理物中の排ガスを燃焼処理し、さらに溶融部から排出された排ガスの未燃ガスを二次燃焼部にて燃焼処理することが行われている。また、前記二次燃焼部内に還元剤を投入することで二次燃焼部内において排ガス中のNOxを還元処理すなわち排ガスを脱硝処理して、二次燃焼部から外部に排出される排ガス中のNOxを低減することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、前記溶融部および二次燃焼部を有する溶融炉と、前記廃棄物を燃焼処理する処理装置の上流側に設けられてこの廃棄物を乾燥させるための乾燥機とを備えた廃棄物処理システムにおいて、還元剤を二次燃焼部の上流側に供給した後、二次燃焼部の下流側に空気を供給して二次燃焼部内の未燃ガスを完全燃焼させる方法が開示されている。この方法では、二次燃焼部内の温度を還元剤の反応に好ましい温度まで低下させるために、前記二次燃焼部の上流側に前記還元剤と同時に前記乾燥機から排出される乾燥排ガスを供給しており、この二次燃焼部内の温度に応じて前記乾燥排ガスの供給量が決定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−270814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように、二次燃焼部内で排ガス中の未燃ガスを完全燃焼させる方法では、この未燃ガスの燃焼によって二次燃焼部内で新たにサーマルNOxが生成する場合がある。この場合には、前記溶融部から二次燃焼部に導入された排ガスに含まれるNOxに加えてこのサーマルNOxを還元処理するために二次燃焼部内により多くの還元剤を供給する必要がある。これに対して、前記特許文献1に開示されている方法では、前記乾燥排ガスの供給により二次燃焼部内の温度が還元剤の反応に好ましい温度まで低下されており、還元剤が効率よく反応することで還元剤の量をある程度少なく抑えることができる。しかしながら、この方法においても、溶融部から二次燃焼部に導入された排ガス中の未燃ガスの全量が二次燃焼部の下流側において完全燃焼すなわち酸素過剰の雰囲気下で燃焼されており、この多量の未燃ガスの燃焼によって多量のサーマルNOxが生成するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、還元剤の量を少なく抑えつつNOxおよび未燃ガスの二次燃焼部から外部への排出を抑制することのできる溶融炉における排ガス脱硝方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、被処理物を燃焼処理する処理装置から排出された被溶融物と排ガスとが導入されて内側で当該被溶融物が溶融するとともに前記排ガスが燃焼する溶融部と、当該溶融部の下流側に設けられるとともにこの溶融部から排出された排ガスが導入されて内側で当該排ガスが燃焼する二次燃焼部とを有する溶融炉において前記排ガスを脱硝処理するための溶融炉における排ガス脱硝方法であって、前記二次燃焼部に設けられた第1ガス供給部に酸素を含む第1ガスを供給して、前記溶融部から当該第1ガス供給部に導入された前記排ガスを燃焼させる第1燃焼工程と、前記二次燃焼部のうち前記第1ガス供給部よりも下流側に設けられた還元剤供給部に還元剤を供給して、前記第1ガス供給部よりも下流側において前記二次燃焼部内の排ガス中のNOxを還元処理して当該排ガスを脱硝する脱硝工程と、前記二次燃焼部のうち前記還元剤供給部よりも下流側に設けられた第2ガス供給部に酸素を含む第2ガスを供給して、当該第2ガス供給部に導入される前記第1燃焼工程での燃焼後の排ガスを当該排ガスに含まれる未燃ガスが完全燃焼可能となる酸素過剰の雰囲気下で燃焼させる第2燃焼工程と、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素の濃度を検出する一酸化炭素濃度検出工程と、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガスの流量を検出する流量検出工程と、前記第1ガス供給部に供給する第1ガスの量を決定する第1ガス量決定工程とを含み、前記第1ガス量決定工程では、前記一酸化炭素濃度検出工程で検出された前記排ガス中の一酸化炭素の濃度と前記流量検出工程で検出された前記排ガスの流量とに基づいて、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素に対して前記第1ガスに含まれる酸素の当量比が1以下となるように、かつ、前記第1ガスに含まれる酸素によって前記第1燃焼工程にて前記排ガスに含まれる一酸化炭素が燃焼することで、当該第1燃焼工程での燃焼後の排ガスに残存する一酸化炭素の濃度が、前記第2燃焼工程においてこの残存する一酸化炭素の燃焼に伴いNOxが生成する濃度よりも低く当該第2燃焼工程においてNOxが生成しない濃度となるように、前記第1ガスの量が決定されることを特徴とする溶融炉における排ガス脱硝方法を提供する。
【0008】
この方法によれば、二次燃焼部でのNOxの生成が抑えられるとともに還元剤の酸化が抑制されることで、より少ない還元剤の量でNOxを還元処理しつつ溶融部から二次燃焼部に導入された未燃ガスを完全燃焼させることができ、二次燃焼部から外部へのNOxおよび未燃ガスの排出をより確実に抑えることができる。
【0009】
すなわち、この方法では、第1燃焼工程において排ガスに第1ガスが供給されて排ガスが燃焼する。この第1燃焼工程において、排ガス中に供給される酸素の量はこの排ガス中の一酸化炭素に対する当量比が1以下となる量である。そのため、この第1燃焼工程では、還元雰囲気下すなわち排ガスおよび第1ガスに含まれる窒素と酸素との反応が抑制された状態で燃焼が行われ、生成するNOxがより確実に少なく抑えられつつ排ガスが燃焼する。ここで、この第1燃焼工程では、還元雰囲気下すなわち酸素が不足の雰囲気下で燃焼が行われることで、未燃ガスのうち一部のみが完全燃焼して未燃ガスの一部は排ガス中に残存する。
【0010】
前記第1燃焼工程で生成したNOxおよび溶融部から導入されたNOxは、脱硝工程において還元処理される。前述のように前記第1燃焼工程で生成されるNOx量は少なく抑えられている。従って、この脱硝工程では少ない量の還元剤でNOxが還元処理される。しかも、この還元剤が供給される還元剤供給部は、第1ガス供給部と第2ガス供給部との間の部分であり、還元剤は酸素不足の状態にある排ガス中に供給されるため、還元剤の酸化がより確実に抑制され、少ない還元剤で効率よくNOxが還元処理される。すなわち、第2ガス供給部の上流側に還元剤が供給されて、第2ガスとの接触によって無駄に還元剤が酸化されることが抑制されており、この酸化される還元剤量分過剰に還元剤を供給する場合に比べて還元剤の量が少なく抑えられる。
【0011】
前記第1燃焼工程で排ガス中に残存する未燃ガスは、前記第2燃焼工程において完全燃焼する。ここで、第1燃焼工程では、この第1燃焼後の排ガスに残存する一酸化炭素の濃度が第2燃焼工程においてこの残存する一酸化炭素の燃焼に伴いNOxが生成する濃度よりも低く当該第2燃焼工程においてNOxが生成しない濃度となるような量の第1ガスが供給されており、第2燃焼工程ではNOxの生成が抑制されつつ一酸化炭素に代表される未燃ガスが完全燃焼する。
【0012】
ここで、前記一酸化炭素濃度検出工程で検出された前記排ガス中の一酸化炭素の濃度が、前記第2燃焼工程においてこの排ガス中の一酸化炭素の燃焼に伴いNOxが生成する濃度よりも低い場合は、第2燃焼工程においてNOxを生成させることなく排ガス中の未燃ガスをすべて完全燃焼させることができる。そのため、本発明において、前記一酸化炭素濃度検出工程で検出された前記排ガス中の一酸化炭素の濃度が、前記第2燃焼工程においてこの排ガス中の一酸化炭素の燃焼に伴いNOxが生成する濃度よりも低い場合は、前記第1ガス供給部への前記第1ガスの供給を停止して第1燃焼工程での燃焼を省略するのが好ましい(請求項2)。
【0013】
また、本発明において、前記第1ガスとしては前記二次燃焼部から排出された排ガスあるいは空気を用いる方法が挙げられ、前記第2ガスとしては空気を用いる方法が挙げられる(請求項3)。
【0014】
また、本発明において、前記第1ガス量決定工程では、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素に対して前記第1ガスに含まれる酸素の当量比が1となるように前記第1ガスの量が決定されるのが好ましい(請求項4)。
【0015】
このようにすれば、第1燃焼工程において、NOxの生成を抑制しつつより多くの未燃ガスを完全燃焼させることができ、第2燃焼工程において未燃ガスの燃焼に伴うNOxの生成がより確実に抑制される。
【0016】
また、本発明は、被処理物を燃焼処理する処理装置から排出された被溶融物と排ガスとが導入されて内側で当該被溶融物が溶融するとともに前記排ガスが燃焼する溶融部と、前記溶融部の下流側に設けられるとともにこの溶融部から排出された排ガスが導入されて内側で当該排ガスが燃焼する二次燃焼部とを備えた溶融炉における排ガス脱硝装置であって、前記二次燃焼部に設けられた第1ガス供給部に、前記溶融部から当該第1ガス供給部に導入された前記排ガスを燃焼可能な酸素を含む第1ガスを供給する第1ガス供給手段と、前記二次燃焼部のうち前記第1ガス供給部よりも下流側に設けられた還元剤供給部に、前記二次燃焼部のうち前記第1ガス供給部よりも下流側に存在するNOxを還元処理して当該排ガスを脱硝可能な還元剤を供給する還元剤供給手段と、前記二次燃焼部のうち前記還元剤供給部よりも下流側に設けられた第2ガス供給部に、当該第2ガス供給部に導入される排ガスを燃焼可能な酸素を含む第2ガスを、当該第2ガスに含まれる酸素によって前記第2供給部に導入される排ガスに含まれる未燃ガスが完全燃焼可能となるように供給する第2ガス供給手段と、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素の濃度を検出可能な一酸化炭素濃度検出手段と、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガスの流量を検出可能な流量検出手段と、前記第1ガス供給部に供給する第1ガスの量を決定する第1ガス量決定手段とを備え、前記第1ガス量決定手段は、前記一酸化炭素濃度検出手段で検出された前記排ガス中の一酸化炭素の濃度と前記流量検出手段で検出された前記排ガスの流量とに基づいて、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素に対して前記第1ガスに含まれる酸素の当量比が1以下となるように、かつ、前記第1ガス供給部で供給された第1ガスによる燃焼後の排ガスに残存する一酸化炭素の濃度が、前記第2ガス供給部で供給された第2ガスによってこの残存する一酸化炭素が燃焼するのに伴いNOxが生成する濃度よりも低く当該第2ガスによる一酸化炭素の燃焼によってNOxが生成しない濃度となるように、前記第1ガスの量を決定することを特徴とする溶融炉における排ガス脱硝装置を提供する(請求項5)。
【0017】
この装置によれば、二次燃焼部でのNOxの生成が抑えられるとともに還元剤の酸化が抑制されることで、より少ない還元剤の量でNOxを還元処理しつつ溶融部から二次燃焼部に導入された未燃ガスを完全燃焼させることができ、二次燃焼部から外部へのNOxおよび未燃ガスの排出をより確実に抑えることができる。
【0018】
すなわち、この装置では、第1ガス供給手段により排ガス中の一酸化炭素に対する当量比が1以下となる量の酸素を含む第1ガスが排ガス中に供給されており、排ガスは還元雰囲気下でこの第1ガス中の酸素と燃焼反応する。そのため、この第1ガスとの反応時にはNOxの生成量が抑制されつつ排ガス中の未燃ガスが燃焼する。ここで、還元雰囲気下すなわち酸素不足の雰囲気下で燃焼が行われることで、この第1ガスによって排ガス中の未燃ガスのうち一部のみが完全燃焼して未燃ガスの一部は残存する。
【0019】
この第1ガスとの反応により生成したNOxおよび溶融部から導入されたNOxは、還元剤供給手段により供給された還元剤で還元処理される。前述のように前記第1ガスとの反応に伴い生成されるNOx量は少なく抑えられている。従って、この装置では、より少ない量の還元剤でNOxが還元処理される。しかも、この還元剤が供給される還元剤供給部は、前記第1ガス供給部と第2ガス供給部との間の部分であり、還元剤は酸素不足の状態にある排ガス中に供給される。そのため、還元剤の酸化は抑制され、少ない還元剤で効率よくNOxが還元処理される。すなわち、第2ガス供給部の上流側に還元剤が供給されて、第2ガスとの接触によって無駄に還元剤が酸化されることが抑制されており、この酸化される還元剤量分過剰に還元剤を供給する場合に比べて還元剤の量が少なく抑えられる。
【0020】
そして、前記第1ガスとの反応で燃焼されずに排ガス中に残った未燃ガスは、前記第2ガス供給手段により供給された第2ガスに含まれる酸素によって完全燃焼する。ここで、前記第1ガスは、この第1ガスとの燃焼反応後の排ガスに残存する一酸化炭素の濃度が第2ガスによってこの残存する一酸化炭素が燃焼するのに伴いNOxが生成する濃度よりも低く当該第2ガスによる一酸化炭素の燃焼によってNOxが生成しない濃度となるような量に設定されており、この第2ガスとの反応時にはNOxの生成が抑えられつつ一酸化炭素に代表される未燃ガスが完全燃焼する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、還元剤の量を少なく抑えつつ二次燃焼部から外部へのNOxおよび未燃ガスの排出を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る排ガス脱硝方法が適用される廃棄物処理システムの全体構成を示した図である。
【図2】図1に示す溶融炉付近の構成図である。
【図3】二次燃焼前の排ガス中のCO濃度と酸素過剰雰囲気下での二次燃焼後に発生するNOxの濃度との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る排ガス脱硝方法において還元剤の量を算出する手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係る排ガス脱硝処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る溶融炉2およびこの溶融炉2における排ガス脱硝装置を備える廃棄物処理システム10の全体構成を示した概略図である。ここでは、廃棄物処理システム10が、廃棄物を燃焼処理する処理装置として流動床式ガス化炉1を備え、前記溶融炉2がこの流動床式ガス化炉1の下流に設けられている場合について説明する。
【0025】
まず、この廃棄物処理システム10における廃棄物の処理要領について説明する。
【0026】
この廃棄物処理システム10は、前記流動床式ガス化炉1と、溶融炉2と、溶融炉2からの排ガス中の熱を回収する廃熱ボイラー3と、排ガス減温塔4と、集じん器5と、煙突7とを有している。
【0027】
産業廃棄物や都市ごみ等の廃棄物は、まず流動床式ガス化炉1に投入される。この流動床式ガス化炉1では、例えば空気比が0.2〜0.4の条件で前記廃棄物の部分燃焼が行われ、砂層等からなる流動層の温度を450℃〜650℃に維持した熱分解すなわちガス化が行われる。この流動床式ガス化炉1で発生した熱分解ガスは、前記溶融炉2に導かれる。一方、前記廃棄物のうち不燃物は炉床下部より抜き出され、非鉄金属、鉄分等にそれぞれ分離されて、再利用されるべくこの廃棄物処理システム10の外部に搬送される。
【0028】
前記溶融炉2では前記熱分解ガスがさらに燃焼される。この溶融炉2は、図2に示すように、溶融部2aと、二次燃焼室(二次燃焼部)2bとを有している。前記溶融部2aは、前記流動床式ガス化炉1につながっている。前記二次燃焼室2bは、前記溶融部2aの下流に設けられており、前記廃熱ボイラー3につながっている。
【0029】
前記溶融部2a内には、旋回流が形成されているとともに、一次空気が供給されている。この溶融部2a内では、前記一次空気との接触により前記熱分解ガスが燃焼する。この溶融部2aでは、例えば、約1300℃の高温燃焼が行われる。
【0030】
前記溶融部2aでの燃焼過程において、前記熱分解ガス中の灰分は溶融され、溶融部2内にはスラグが生成する。この生成したスラグは、前記溶融部2aの下部に形成されたシュート2c内に導出されて、このシュート2c内を流下してスラグ冷却装置に案内される。
【0031】
前記灰分が分離された溶融排ガスは前記二次燃焼室2bに導入される。この二次燃焼室2b内には、空気が供給されており、この二次燃焼室2b内では、この空気との接触により前記溶融排ガスが二次燃焼して、この溶融排ガス中の未燃ガスの完全燃焼が行われる。
【0032】
このようにして溶融炉2では溶融排ガスの燃焼処理が行われ、この溶融炉2からは高温のガスが排出される。この高温ガスは、前記廃熱ボイラー3に導入されて、この廃熱ボイラー3にてその廃熱が回収される。廃熱ボイラー3から排出されたガスは前記排ガス減温塔4にて冷却された後、集じん器5で除塵されて煙突7から排出される。
【0033】
ここで、前記流動床式ガス化炉1および溶融炉2での燃焼時には、NOxが生成される。そのため、この廃棄物処理システム10では、溶融炉2内に還元剤を供給してNOxを還元処理する、すなわち、排ガスを脱硝処理することが行われている。
【0034】
次に、この脱硝処理を行うための構成について説明する。
【0035】
廃棄物処理システム10は、前記排ガスを脱硝するための排ガス脱硝処理装置として、第1空気供給装置(第1ガス供給手段)11と、還元剤供給装置(還元剤供給手段)12と、第2空気供給装置(第2ガス供給手段)13と、CO濃度計(一酸化炭素濃度検出手段)14と、流量計(流量検出手段)18と、演算装置(第1ガス量決定手段)20とを有している。
【0036】
前記第1空気供給装置11は、前記二次燃焼室2bに、前記溶融部2aから二次燃焼室2bに導入された溶融排ガスを二次燃焼させるための空気(第1ガス)を供給するものである。この第1空気供給装置11は、前記二次燃焼室2bの上流側の部分に設けられた第1空気供給部(第1ガス供給部)21に制御弁11aを介して接続されており、この二次燃焼室2bの上流側の部分に空気を供給する。この空気の供給を受けて第1空気供給部21付近では、前記溶融排ガスが燃焼する。
【0037】
前記還元剤供給装置12は、前記二次燃焼室2bに前記還元剤としてのアンモニアあるいは尿素を供給するためのものである。この還元剤供給装置12は、前記第1空気供給部21よりも下流側に設けられた還元剤供給部22おいて二次燃焼室2bに接続されており、前記第1空気供給装置11によって二次燃焼室2b内に空気が供給される部分よりも下流側において二次燃焼室2b内に還元剤を供給する。この還元剤の供給を受けて還元剤供給部22付近では、排ガス中のNOxが還元処理される。
【0038】
前記第2空気供給装置13は、前記第1空気供給部21での燃焼後の排ガスをさらに二次燃焼させるための空気(第2ガス)を前記二次燃焼室2bに供給するものである。この空気供給装置13は、前記還元剤供給部22よりも下流側に設けられた空気供給部(第2ガス供給部)23において二次燃焼室2bに接続されており、前記還元剤供給装置12によって二次燃焼室2b内に還元剤が供給される部分よりも下流側において二次燃焼室2b内に空気を供給する。この空気の供給を受けて第2空気供給部23付近では、前記排ガスが燃焼する。
【0039】
前記CO濃度計14は、前記溶融部2aから二次燃焼室2bに導入される排ガス中のCO(一酸化炭素)濃度を検出するためのものである。このCO濃度計14は、前記第1空気供給部21すなわち前記第1空気供給装置11により二次燃焼室2b内に空気が供給される部分よりも上流側に設けられており、前記溶融部2aから第1空気供給部21に導入される排ガスすなわち二次燃焼前の排ガス中のCO濃度を検出する。以下、この溶融部2aから第1空気供給部21に導入される排ガスであって二次燃焼前の排ガスを二次燃焼前排ガスと言う。このCO濃度計14で計測された値は、前記演算装置20に送信される。このCO濃度計14は、前記二次燃焼前排ガス中のCO濃度を計測できるものであればどのようなものであってもよいが、応答性が高く高温のガス中のCO濃度を精度良く計測できるものとして、半導体レーザーを光源としてCOの吸収スペクトルを測定する計測計が挙げられる。
【0040】
前記流量計18は、前記二次燃焼室2bから排出された排ガスすなわち二次燃焼室2b内の排ガスの流量を計測するためのものである。この流量計18は、前記二次燃焼室2bよりも下流側に設けられており、二次燃焼室2bの下流側を通過する排ガスの流量を計測する。この流量計18で計測された値は、前記演算装置20に送信される。前記流量計18の位置は特に限定されないが、例えば、集じん器5の下流に設けられている。
【0041】
前記演算装置20は、前記第1空気供給装置11により二次燃焼室2b内に供給する空気(以下第1空気という)の量を算出する部分である。この演算装置20は、前記CO濃度計14で計測された前記二次燃焼前排ガスのCO濃度と、前記流量計18で計測された前記排ガスの流量とに基づいて、前記第1空気の量を算出する。この演算装置20は、前記第1空気の量として、二次燃焼前排ガス中のCOに対する第1空気中の酸素の当量比が1以下となり、かつ、この第1空気によって前記第1空気供給部21付近で二次燃焼前排ガスが燃焼した際に、燃焼後の排ガスに残存するCOの濃度が後述するNOx生成開始濃度Rよりも低くなるような量を算出する。
【0042】
前記NOx生成開始濃度Rについて説明する。図3に、二次燃焼室2b内において前記溶融排ガスを二次燃焼させた際の二次燃焼前の溶融排ガスのCO濃度に対する二次燃焼後の排ガス中のNOx濃度すなわち二次燃焼時に生成するNOx濃度の変化を示す。この図3において、CO濃度に対してNOxの濃度は領域Aの範囲内で変化する。この図3に示されるように、二次燃焼前の溶融排ガス中のCO濃度が高くなるほど二次燃焼時に生成するNOx濃度は増加していく。特に、CO濃度が所定値を越えるとNOx濃度は急激に高くなり、CO濃度がこの所定値以上ではNOx濃度は許容値Y以上になる。前記NOx生成開始濃度Rは、このNOx濃度が急増を開始する濃度すなわち許容値Yとなるときの濃度であり、二次燃焼前の溶融排ガスのCO濃度がこのNOx生成開始濃度R以下では二次燃焼時に生成するNOxの濃度は前記許容値Y以下となりNOxは実質的に生成しない。ここで、前記許容値Yの具体的な値およびNOx生成限界濃度Rの具体的な値は、廃棄物処理システムに対して求められる排ガス規制値に応じて適宜設定可能であるが、例えば、許容値Yを50ppmとし、NOx生成開始濃度Rを1%とする場合が挙げられる。
【0043】
なお、図3に示したグラフは、酸素過剰の雰囲気下で溶融排ガスが二次燃焼したときの結果である。また、図3に示すようにCO濃度が高くなるほど生成されるNOxが増加するのは、二次燃焼時において溶融排ガス中のCO量が増加してこのCOの燃焼に伴って燃焼温度が高くなることでサーマルNOxの生成量が増加するためと考えられる。
【0044】
次に、演算装置20における、第1空気の量の具体的な算出手順について、図4のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、第1空気に含まれる酸素の量が前記二次燃焼前排ガスのCO濃度を、0から前記NOx生成限界濃度Rの範囲内の予め設定された基準濃度Xに低下させるのに必要な量となるように、第1空気の量を算出する。
【0045】
ここで、前記二次燃焼前排ガスのCO濃度を0に低下させるのに必要な酸素量とは、すなわち、二次燃焼前排ガスに含まれるCOに対して酸素の当量比が1となる量である。従って、二次燃焼前排ガスのCO濃度を0以上に設定された基準濃度Xに低下させるのに必要な酸素量は、この酸素の二次燃焼前排ガスに含まれるCOに対する当量比が1以下となる量である。
【0046】
前記演算装置20は、まず、ステップS1にて、前記CO計測計14で計測された二次燃焼前排ガスのCO濃度を読込むとともに、ステップS2にて、前記流量計18で計測された前記排ガスの流量を読込む。
【0047】
次に、ステップS3にて、前記CO計測計14で計測された二次燃焼前排ガスのCO濃度と前記基準濃度Xの差を算出するとともに、この濃度差と前記排ガス流量とを積算して、前記二次燃焼前排ガスのCO濃度を基準濃度Xに低下させるために燃焼処理されねばならないCOの量を算出する。なお、より正確に前記二次燃焼前排ガスに含まれるCOの量を算出するためには、第1空気供給装置11により二次燃焼室2b内に供給される第1空気および第2空気供給装置13により二次燃焼室2b内に供給される空気の供給量を別途設けた流量計で測定し、この測定された供給空気量と前記流量計18で計測された排ガス流量とに基づいて、二次燃焼前排ガスの排ガス量を算出し、この算出値と前記CO濃度とに基づいてCOの量を算出するのが好ましい。さらに、前記二次燃焼室2bから前記流量計18までの間、例えば、前記集じん器5において、空気や水等が二次燃焼室2bから排出された排ガス中に供給される場合には、流量計18で計測された値からこれら供給された空気や水等を減算する補正を行い、この補正後の値に基づいてCOの量を算出するのが好ましい。具体的には、流量計18で計測された値に対して一定の補正係数を乗じて流量計18の値を補正する方法が挙げられる。
【0048】
次に、ステップS4にて、前記ステップS3で算出された量のCOを完全燃焼させるのに必要な酸素量を算出する。COを完全燃焼させるためには、CO+1/2O→2COで示されるようにCO量の半分の量の酸素が必要である。従って、前記必要な酸素量として前記ステップS1で算出されたCOの量の1/2の値を算出する。
【0049】
その後、ステップS5にて、空気の酸素濃度(約20.9%)を用いて、前記ステップS4にて算出された酸素量を含む第1空気の量を算出する。
【0050】
この演算装置20で算出された値は前記制御弁11aを駆動するための制御弁駆動装置40に送信される。この制御弁駆動装置40は、前記第1空気供給装置11から二次燃焼室2bに供給される空気の量が前記算出値となるように前記制御弁11aの開度を変更する。
【0051】
次に、以上のように構成された本廃棄物処理システム10における排ガスの脱硝処理の手順を説明する。
【0052】
本廃棄物処理システム10では、まず、前記演算装置20が、前述のように、前記CO濃度計14で計測された前記二次燃焼前排ガスのCO濃度と、前記流量計18で計測された前記排ガスの流量とに基づいて、前記第1空気の量を算出する。
【0053】
次に、前記第1空気供給装置11が、前記溶融部2aから二次燃焼室2b内に導入された前記二次燃焼前排ガス中に、前記演算装置20で算出された量の第1空気を供給する。この第1空気により、前記第1空気供給部21付近では、前記二次燃焼前排ガス中のCOに代表される未燃ガスが燃焼する(第1燃焼工程)。
【0054】
ここで、前述のように、この第1燃焼工程で供給される第1空気の量は前記二次燃焼前排ガス中のCOに対して酸素の当量比が1以下となる量である。従って、この第1燃焼工程では、酸素不足すなわち還元雰囲気下で燃焼が行われる。これにより、二次燃焼前排ガス中の窒素あるいは空気中の窒素と酸素との接触機会は少なく抑えられ、この第1燃焼工程ではNOxの生成が抑えられつつ未燃ガスの一部が燃焼する。
【0055】
また、前述のように、この第1燃焼工程で供給される第1空気の量は、この第1空気に含まれる酸素による燃焼後の排ガスに残存するCOの濃度が前記基準濃度Xとなるような量である。従って、この第1燃焼工程後の排ガスのCO濃度は、およそこの基準濃度Xとなる。
【0056】
次に、前記還元剤供給装置12が前記第1燃焼工程後の排ガスに還元剤を供給する。そして、前記還元剤供給部22付近において、前記排ガス中のNOxが還元処理される(脱硝工程)。具体的には、前記第1燃焼工程で生成したサーマルNOxおよび溶融部2aから二次燃焼室2bに導入された前記二次燃焼前排ガス中のNOxが還元処理される。前述のように、前記第1燃焼工程ではNOxの生成が抑制されており、このNOxを還元するための還元剤の量は少なく抑えられる。ここで、この還元剤が供給される還元剤供給部22は前記第2空気供給部23の上流側であり、第2空気供給部23において第2空気供給装置13により供給される空気との接触によって無駄に還元剤が酸化されることが抑制されており、この酸化される還元剤量分過剰に還元剤を供給する場合に比べて供給する還元剤の量は少なくなる。
【0057】
次に、前記第2空気供給装置13が、前記脱硝工程後の排ガスに空気を供給する。これにより、前記第2空気供給部23付近において、前記脱硝工程後の排ガスが燃焼する(第2燃焼工程)。この第2燃焼工程では、前記第1燃焼工程で完全燃焼しなかった残りの未燃ガスが完全燃焼する(第2燃焼工程)。ここで、この未燃ガスの燃焼に伴ってこの第2燃焼工程ではサーマルNOxが生成されるおそれがある。しかしながら、前述のように、前記第1燃焼工程後の排ガスのCO濃度は、前記NOx生成開始濃度Rよりも低く設定された基準濃度Xであり、この第2燃焼工程ではNOxが実質的に生成することなく未燃ガスが完全燃焼する。
【0058】
このようにして、本方法では、第1燃焼工程において還元雰囲気下での燃焼が行なわれることでNOxの生成が抑制されて、より少ない還元剤でNOxの還元処理を行うことができる。また、還元剤が還元雰囲気下の排ガス中に供給されて還元剤の酸化が抑制されており、より多くの還元剤を有効にNOxの還元処理に使用することができる。しかも、前記第1燃焼工程では燃焼後の排ガス中のCO濃度が前記NOx生成開始濃度Rよりも低くなるように第1空気が供給されており、第2燃焼工程において、NOxを生成させることなく未燃ガスを完全燃焼することができる。
【0059】
ここで、前記基準濃度Xの具体的な値は、0以上かつNOx生成開始濃度R以下の値であればよいが、例えば、基準濃度Xを0として、前記第1空気の量を、この第1空気中の酸素の前記二次燃焼前排ガス中のCOに対する当量比が1となる量とすれば、第1燃焼工程後に排ガス中に残存する未燃ガスの量が少なく抑えられて、第2燃焼工程における未燃ガスの燃焼時にNOxが生成するのをより確実に回避することができる。
【0060】
また、前記二次燃焼前排ガスのCO濃度が前記NOx生成開始濃度Rよりも低い場合は、この二次燃焼前排ガスを第2燃焼工程において全て燃焼させたとしてもNOxは生成されない。そのため、前記CO濃度計14で計測された前記二次燃焼前排ガスのCO濃度が前記NOx生成開始濃度Rよりも低い場合は、前記第1空気の供給を停止して第1燃焼工程を省略してもよい。
【0061】
また、前記第1空気供給部21に供給する酸素を含むガスは空気に限らない。例えば、前記二次燃焼室2bから外部に排出された排ガスを前記第1空気供給部21に供給してもよい。例えば、図5に示すように、第1空気供給装置111を、前記集じん器5の下流部分と前記第1空気供給部21とを連通する排ガス通路111bに設けて、前記二次燃焼室2bから排出されて集じん器5で処理された排ガスの一部を、前記第1空気供給部21に供給してもよい。この場合には、前記排ガス通路111b等に、集じん器5側から第1空気供給部21に供給される排ガスの酸素濃度を計測する酸素濃度計111aを設けておき、前記演算装置20において第1空気の量を算出する前記ステップS5において、前記ステップS4で算出された酸素量とこの酸素濃度計111aで計測された値を用いて第1空気供給部21に供給する排ガスの量を算出すればよい。この構成では、二次燃焼室2bから外部にNOxが排出された場合であっても、再びこのNOxを二次燃焼室2b内で処理することができ、廃棄物処理システム10全体から排出されるNOxをより少なく抑えることができる。また、二次燃焼室2cから外部に排出された排ガスは空気に比べて酸素含有量が少ないため、第1空気供給装置11から供給されるガス量は、空気を利用する場合に比べてこの排ガスを利用する場合の方が多くなる。そのため、ガス供給による撹拌効果が高まり、二次燃焼室2cの第1空気供給装置11近傍で酸素濃度をより均一な濃度として、局所的に酸素濃度が高い箇所でNOxが生成するのを抑えることが可能となる。
【0062】
また、前記溶融炉2の上流に設けられる処理装置は、前記流動床式ガス化炉1に限らず、溶融炉2に所定の溶融排ガスを供給する燃焼設備であればよい。
【0063】
なお、本実施形態では無触媒脱硝を利用した排ガス脱硝方法について説明したが、必要に応じて集塵器5の下流側に脱硝用の触媒を設け、別途触媒脱硝を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 流動床式ガス化炉(処理装置)
2 溶融炉
2a 溶融部
2b 二次燃焼室(二次燃焼部)
10 廃棄物処理システム
11 第1空気供給装置(第1ガス供給手段)
12 還元剤供給装置(還元剤供給手段)
13 第2空気供給装置(第2ガス供給手段)
14 CO濃度計(一酸化炭素濃度検出手段)
18 流量計
20 演算装置(第1ガス量決定手段)
21 第1空気供給部(第1ガス供給部)
22 還元剤供給部(還元剤供給部)
23 第2空気供給部(第2ガス供給部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を燃焼処理する処理装置から排出された被溶融物と排ガスとが導入されて内側で当該被溶融物が溶融するとともに前記排ガスが燃焼する溶融部と、当該溶融部の下流側に設けられるとともにこの溶融部から排出された排ガスが導入されて内側で当該排ガスが燃焼する二次燃焼部とを有する溶融炉において前記排ガスを脱硝処理するための溶融炉における排ガス脱硝方法であって、
前記二次燃焼部に設けられた第1ガス供給部に酸素を含む第1ガスを供給して、前記溶融部から当該第1ガス供給部に導入された前記排ガスを燃焼させる第1燃焼工程と、
前記二次燃焼部のうち前記第1ガス供給部よりも下流側に設けられた還元剤供給部に還元剤を供給して、前記第1ガス供給部よりも下流側において前記二次燃焼部内の排ガス中のNOxを還元処理して当該排ガスを脱硝する脱硝工程と、
前記二次燃焼部のうち前記還元剤供給部よりも下流側に設けられた第2ガス供給部に酸素を含む第2ガスを供給して、当該第2ガス供給部に導入される前記第1燃焼工程での燃焼後の排ガスを当該排ガスに含まれる未燃ガスが完全燃焼可能となる酸素過剰の雰囲気下で燃焼させる第2燃焼工程と、
前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素の濃度を検出する一酸化炭素濃度検出工程と、
前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガスの流量を検出する流量検出工程と、
前記第1ガス供給部に供給する第1ガスの量を決定する第1ガス量決定工程とを含み、
前記第1ガス量決定工程では、前記一酸化炭素濃度検出工程で検出された前記排ガス中の一酸化炭素の濃度と前記流量検出工程で検出された前記排ガスの流量とに基づいて、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素に対して前記第1ガスに含まれる酸素の当量比が1以下となるように、かつ、前記第1ガスに含まれる酸素によって前記第1燃焼工程にて前記排ガスに含まれる一酸化炭素が燃焼することで、当該第1燃焼工程での燃焼後の排ガスに残存する一酸化炭素の濃度が、前記第2燃焼工程においてこの残存する一酸化炭素の燃焼に伴いNOxが生成する濃度よりも低く当該第2燃焼工程においてNOxが生成しない濃度となるように、前記第1ガスの量が決定されることを特徴とする溶融炉における排ガス脱硝方法。
【請求項2】
請求項1に記載の溶融炉における排ガス脱硝方法であって、
前記一酸化炭素濃度検出工程で検出された前記排ガス中の一酸化炭素の濃度が、前記第2燃焼工程においてこの排ガス中の一酸化炭素の燃焼に伴いNOxが生成する濃度よりも低い場合は、前記第1ガス供給部への前記第1ガスの供給を停止することを特徴とする溶融炉における排ガス脱硝方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の溶融炉における排ガス脱硝方法であって、
前記第1ガスが前記二次燃焼部から排出された排ガス又は空気である一方、前記第2ガスが空気であることを特徴とする溶融炉における排ガス脱硝方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の溶融炉における排ガス脱硝方法であって、
前記第1ガス量決定工程では、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素に対して前記第1ガスに含まれる酸素の当量比が1となるように前記第1ガスの量が決定されることを特徴とする溶融炉における排ガス脱硝方法。
【請求項5】
被処理物を燃焼処理する処理装置から排出された被溶融物と排ガスとが導入されて内側で当該被溶融物が溶融するとともに前記排ガスが燃焼する溶融部と、前記溶融部の下流側に設けられるとともにこの溶融部から排出された排ガスが導入されて内側で当該排ガスが燃焼する二次燃焼部とを備えた溶融炉における排ガス脱硝装置であって、
前記二次燃焼部に設けられた第1ガス供給部に、前記溶融部から当該第1ガス供給部に導入された前記排ガスを燃焼可能な酸素を含む第1ガスを供給する第1ガス供給手段と、
前記二次燃焼部のうち前記第1ガス供給部よりも下流側に設けられた還元剤供給部に、前記二次燃焼部のうち前記第1ガス供給部よりも下流側に存在するNOxを還元処理して当該排ガスを脱硝可能な還元剤を供給する還元剤供給手段と、
前記二次燃焼部のうち前記還元剤供給部よりも下流側に設けられた第2ガス供給部に、当該第2ガス供給部に導入される排ガスを燃焼可能な酸素を含む第2ガスを、当該第2ガスに含まれる酸素によって前記第2供給部に導入される排ガスに含まれる未燃ガスが完全燃焼可能となるように供給する第2ガス供給手段と、
前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素の濃度を検出可能な一酸化炭素濃度検出手段と、
前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガスの流量を検出可能な流量検出手段と、
前記第1ガス供給部に供給する第1ガスの量を決定する第1ガス量決定手段とを備え、
前記第1ガス量決定手段は、前記一酸化炭素濃度検出手段で検出された前記排ガス中の一酸化炭素の濃度と前記流量検出手段で検出された前記排ガスの流量とに基づいて、前記溶融部から前記第1ガス供給部に導入される排ガス中の一酸化炭素に対して前記第1ガスに含まれる酸素の当量比が1以下となるように、かつ、前記第1ガス供給部で供給された第1ガスによる燃焼後の排ガスに残存する一酸化炭素の濃度が、前記第2ガス供給部で供給された第2ガスによってこの残存する一酸化炭素が燃焼するのに伴いNOxが生成する濃度よりも低く当該第2ガスによる一酸化炭素の燃焼によってNOxが生成しない濃度となるように、前記第1ガスの量を決定することを特徴とする溶融炉における排ガス脱硝装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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