説明

溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんが及び製造方法、並びにそれを用いた窯炉設備及び施工方法

【課題】スピネルを添加したアルミナカーボン系不焼成れんがにおいて水和反応を抑制し、各種スラグに対する耐食性、熱間強度を向上させるとともに、溶融金属保持炉から放出される熱ロスを削減するために熱伝導率維持特性を改善すること。
【解決手段】炭素原料を6質量%以上25質量%以下、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1%以上4質量%以下、スピネル超微粉を2質量%以上20質量%以下、残部が主としてアルミナ原料からなる耐火原料配合物に有機バインダーを添加して混練し、成形後、1000℃以下で熱処理して得られる溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんがである。耐火原料配合物中のスピネル超微粉は、粒径が150μm未満で平均粒径が0.1〜50μm、MgO含有量が25〜50質量%で残部がAlからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属の保持炉例えば製鋼プロセスにおける溶銑輸送、あるいは脱珪、脱燐、脱硫などの溶銑予備処理を行う混銑車もしくは取鍋等の内張りに使用される、アルミナ−カーボンれんが、アルミナ−炭化珪素−カーボンれんが、アルミナ−マグネシア−カーボンれんが等のアルミナカーボン系不焼成れんが及びその製造方法に関する。また、アルミナカーボン系不焼成れんがを用いた窯炉設備及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミナカーボン系れんがは、アルミナ原料と炭素原料とを基本構成とする耐火原料配合物に、有機バインダーを結合剤として添加して混練し、成形後、熱処理することで製造され、カーボンボンドを有するアルミナ系の耐火物である。とくに1000℃以下の温度で熱処理される不焼成タイプは、低コストで製造可能でしかも耐用性に優れるため、現在は溶融金属保持炉の内張り用れんがの主流となっている。これら不焼成れんがの具備特性として、各種スラグに対する耐食性、耐熱衝撃性、熱間強度の他に、近年とくに必要性が高まっている省エネルギー及びCO削減対策として、溶融金属保持炉の外表面から放出される熱ロスを削減するため、長期間に渡って使用される炉の内張り用れんがには、稼働経過に伴って熱伝導率が増大しない特性(以下、熱伝導率維持特性という。)が求められている。
【0003】
このアルミナカーボン系不焼成れんがにおいてアルミナ原料と炭素原料以外にはその用途や使用条件によって様々な耐火原料が使用されている。例えば、取鍋の内張りとして使用されるれんがにはマグネシア(粗粒)やスピネル(粗粒)が、混銑車の内張り用れんがには炭化珪素が使用されている。また、耐酸化性改善を目的に金属粉、ホウ化物あるいはガラス等も耐火原料として使用される。
【0004】
このアルミナカーボン系不焼成れんがにおいて、さらにスラグに対する耐食性向上や使用時の目地開き防止を目的とする場合には、マグネシアやスピネルの微粉を耐火原料として使用する場合がある。この考え方は、使用時の熱によって、れんが中のMgOやスピネル中のMgOがアルミナ原料と反応して耐スラグ性の強いスピネルを生成し、さらにスピネル生成時の膨張により組織を緻密化し耐食性を向上させようとするものである。
【0005】
しかし、マグネシアは空気中の水分と反応して、水和し膨張する性質(消化)があり、とくに粒径100μm以下の微粉で使用した場合に問題になる。例えば築炉時、微粉マグネシアを添加したアルミナカーボン系れんがを炉内にライニングし、その後予熱するときに、このれんがの背面側で使用されたモルタルの水分から発生する水蒸気によって、れんが中のマグネシアが水和されて膨張し、れんが組織の破壊によって強度が大幅に低下してしまうことがある。このため、マグネシアを使用する場合は、消化しにくいマグネシアの粗粒とアルミナの微粉又は超微粉とを組み合わせて使用するのが一般的である。このためマグネシアを利用したスピネル形成反応は活性が低く、その耐食性向上効果には限界がある。なお、従来一般的に耐火原料の種別において粗粒とは粒径1mm以上、微粉とは10μm以上1mm未満、超微粉とは粒径10μm未満程度を意味する。ただし、後述する本発明のスピネル超微粉については、上記従来の種別に拘束されず、本発明による定義に従う。
【0006】
また、マグネシアの代わりに、MgOを含有し、しかも消化しにくいスピネルを使用すする場合もある。
【0007】
例えば、特許文献1には、MgO/Alの質量比が50/50〜95/5でMgOとAlの合量が95質量%以上の電融マグネシア富化スピネル原料を10〜80質量%、カーボン質原料を3〜60質量%、及びアルミナ質原料を10〜85質量%配合してなるアルミナ−マグネシア富化スピネル−カーボンれんがが記載されている。このアルミナ−マグネシア富化スピネル−カーボンれんがは、スラグに含まれるCaO成分等と反応し難いため、耐スラグ性が向上し、さらに、スピネルの含有量が比較的少量でも適度な残存膨張率のれんがを得ることができると記載されている。
【0008】
また、特許文献2には、マグネシアかマグネシア富化スピネルの何れかの粒径100μm以下の微粉を、全配合量に対し、ペリクレースとして0.5〜4.0質量%添加して、マトリックス部をカーボン結合とスピネル結合の組織としたアルミナ−炭化珪素−カーボン質耐火物が記載されている。このマグネシアかマグネシア富化スピネルは1250℃以上でアルミナと反応し、スピネルを生成するため、分散性を上げるためにできるだけ微細な方がよい(好ましくは粒径50μm以下だが、耐火物原料としては粒径100μm以下)と記載されている。
【0009】
また、特許文献3には、アルミナ質材料30〜90質量%、炭素材料3〜30質量%、粒径1mm以下のAl−MgO系スピネル質材料5〜50質量%、ガラス質材料を外掛けで0.1〜5質量%含む配合物に炭素系結合剤を添加して混練、成形、乾燥する炭素含有耐火物の製造方法が記載されている。この耐火物は、ガラス質材料の介在でスピネル粒同士が結合し耐火物使用中の稼働面にスピネル架橋層を形成することで、耐食性及び耐酸化性に優れた耐火物を得ることができると記載されている。
【0010】
また、特許文献4には、Al含有量が95質量%以上、SiO含有量3質量%以下のアルミナ60〜95質量%、粒径75μm以下のAl・MgO系スピネル1〜25質量%、粒径が75μmを超えるAl・MgO系スピネル0〜5質量%、炭素1〜15質量%を含む耐火骨材100質量%と、外掛けでアルミニウム及び/又はアルミニウム合金0.5〜8質量%及び炭素質結合剤を含む配合物を成形後、加熱乾燥するスライディングノズル装置用上ノズルの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−238811号公報
【特許文献2】特開昭59−3069号公報
【特許文献3】特開平9−25160号公報
【特許文献4】特開平9−87011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1のアルミナ−マグネシア富化スピネル−カーボンれんがは、マグネシア富化スピネル中のMgO含有量が多く、空気中の水分との反応で、フリーなMgOの水和反応が生じやすい問題がある。また、特許文献1の表2には、粒径1mm以下のスピネルを使用することが記載されているが、1mm以下という粒径の特定では、とりわけ粒径が大きい場合にその影響が顕著に現れるが、その使用量によってはスピネル結晶相の高熱膨張率に起因する熱衝撃抵抗性の低下、せり応力の増大による割れ、剥離等の問題が生じる場合がある。
【0013】
特許文献2の粒径100μm以下のマグネシア富化スピネルを使用したアルミナカーボン系れんがの場合、確かに耐食性の向上効果は見られるものの十分ではない。すなわち、実炉で使用される場合には、依然として耐食性がネックで寿命となっており、さらなる耐食性の向上が望まれている。また、詳細は後述するように、アルミニウム又はアルミニウム合金を使用していないため、熱伝導率維持特性との両立が困難である。また、特許文献2においても水和の問題が生じる場合がある。
【0014】
特許文献3のアルミナ−スピネル−カーボン−ガラス系耐火物の場合、耐食性は向上するが、スピネル粒同士の結合を高温で軟化するガラス質材料によって形成しているため熱間強度が低く、また結合部分の耐食性が低いため、耐食性の改善効果には限界がある。
【0015】
特許文献4は、上ノズル用の材料であり、本発明の溶融金属保持炉の内張り用とは用途が異なる。また、特許文献4の実施例によると後述する本発明と比較してアルミニウムの配合割合が多かったり、炭素原料の配合割合が少なかったりしているため、耐食性と熱伝導率維持特性との両立が困難である。特許文献4の実施例に開示された配合組成では稼働経過に伴って組織が緻密化し、熱伝導率が大幅に増大する。上ノズルのように耐火物を通しての熱ロスが非常に少ない用途では問題ないが、溶融金属保持炉の内張り用れんがとしては不適当である。
【0016】
そこで本発明が解決しようとする課題は、スピネルを添加したアルミナカーボン系不焼成れんがにおいて水和反応を抑制し、各種スラグに対する耐食性、熱間強度を向上させるとともに、溶融金属保持炉から放出される熱ロスを削減するために熱伝導率維持特性を改善することにある。また、このアルミナカーボン系不焼成れんがを用いた窯炉設備及び施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、鋭意研究を行った結果、アルミナカーボン系不焼成れんがにおいて水和反応を抑制し、各種スラグに対する耐食性、熱間強度及び熱伝導率維持特性を改善するためには、耐火原料配合物に配合するスピネル原料について、(1)平均粒径、(2)MgO含有量、(3)耐火物原料配合物中の含有量(配合量)を特定し、さらに炭素原料とアルミニウム及び/又はアルミニウム合金の配合量を特定する必要があることを見出した。
【0018】
すなわち本発明の溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんがは、炭素原料を6質量%以上25質量%以下、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1%以上4質量%以下、スピネル超微粉を2質量%以上20質量%以下、残部が主としてアルミナ原料からなる耐火原料配合物に有機バインダーを添加して混練し、成形後、1000℃以下で熱処理して得られる溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんがであって、耐火原料配合物中のスピネル超微粉は、粒径が150μm未満で平均粒径が0.1〜50μm、MgO含有量が25〜50質量%で残部がAlからなることを特徴とする。
【0019】
アルミナカーボン系不焼成れんがの耐火原料配合物にスピネル原料を配合する場合、上記特許文献2のようなアルミニウム及び/又はアルミニウム合金の添加なしに粒径100μm以下という特定では、二次スピネル生成反応が遅く、二次スピネル生成による耐食性向上の効果が小さい。二次スピネルの生成を増大させるためにはスピネルの配合量を増大させたり、スピネル中のMgOの含有量を増大させたりする手法があるが、これらの手法は耐消化性の低下をもたらすため実用上問題が多い。
【0020】
これに対して本発明で使用するスピネル超微粉は、その平均粒径が0.1〜50μmであり比表面積が大きいため活性が非常に高いことに加えてMgO含有量が25〜50質量%であり、れんが内部を強い還元雰囲気としてさらにAlが共存することでスピネル超微粉を構成するMgOから気相Mgが容易に生成して、周囲のアルミナ骨材表面で再酸化されて、多孔質の二次スピネルを生成することを見出した。これらの結果として、れんがマトリックス組織及びアルミナ骨材表層は多孔質化するとともに骨材同士の結合が発達するために、熱伝導率の増大が抑えられるとともに熱間強度が増大する。
【0021】
さらに、各種スラグ、なかでも高塩基度スラグに対してはアルミナ骨材は容易にスラグへ溶解するが、スラグ中のAl濃度が上昇し、このようなスラグに接するれんが稼働面においてスピネル粒子が存在すると、そのスピネル粒子を起点にしてスラグと気相Mgからスピネル結晶の析出、成長が容易に始まる。結果として、れんが稼働面に連続したスピネル質保護層を形成する。このため耐食性が向上すると考えられる。このような過程は、スピネル超微粉のMgO含有量が25〜50質量%の場合に効果的に進行することを見出した。
【0022】
なお、スピネル超微粉による上述の作用効果は、その粒径が150μm未満の場合にのみ顕著に奏される。したがって、本発明でいうスピネル超微粉とは、粒径が150μm未満であることを前提とし、さらに平均粒径が0.1〜50μmでMgO含有量が25〜50質量%で残部がAlであることを要件とする。粒径が150μm以上のスピネル原料については、本発明ではとくに限定されず、スピネル超微粉とともに配合してもよいし、配合しなくてもよい。
【0023】
ここで、本発明において、粒子の粒径がd未満とは、その粒子がJIS−Z8801に規定する目開きdの篩を通過する粒度であることを意味し、粒子の粒径がd以上とは、その粒子が同篩上に残る粒度であること意味する。また、本発明において、平均粒径とは、レーザー回折散乱式粒度分布計で測定した粒径と質量割合をグラフにプロットし、積算割合が50%の場合の粒径を意味する。
【0024】
図1は本発明及び従来例によるアルミナカーボン系不焼成れんがのスラグ侵食試験後の被食面付近の微構造の写真で、(a)が本発明、(b)が従来例である。図2は図1(a)の組織を模式的に示したもので、付着スラグ層3との境界のれんが1表面にスピネルを主成分とするスピネル質保護層2が形成されている。本発明はこのような作用により、マグネシア含有量が比較的少ないスピネルを多量に使用することなく二次スピネル(スピネル質保護層)を十分生成することが可能となる。これに対して従来例では図1(b)に示すように、二次スピネル(スピネル質保護層)は生成していない。
【0025】
また、本発明において気相Mgの抜けたスピネル粒子は微細な気孔を含むとともに、アルミナ原料表面に生成した二次スピネルの結晶粒間にも空隙が生成し、結果としてバインダーの揮発分以上に気孔率が増大し、多孔質化する。その結果、気孔率は増加するものの、生成した二次スピネルの結合により熱間強度が大幅に向上する一方で弾性率の増加が抑制され、耐熱衝撃性が向上する。さらには従来のアルミナ−カーボン系不焼成れんがで生じている稼働経過に伴う熱伝導率の大幅な増大が本発明のれんがでは大幅に抑制される。
【0026】
図3は本発明及び従来例による1500℃×7日間熱処理後のアルミナ骨材の表面の微構造の写真で、(a)が本発明、(b)が従来例である。図3(a)に示すように、本発明ではアルミナ骨材がスピネル化する過程でその表面に多孔質な二次スピネル(図中の丸囲み部分)を形成することで、熱間強度と熱伝導率維持特性の改善を達成することができる。これに対して従来例では図3(b)に示すように、アルミナ骨材表面は緻密で平滑な組織のままである。
【0027】
本発明における上述のガス化反応による二次スピネル生成は、従来の粒径100μm以下という特定のスピネル原料のみでは生じにくく、平均粒径が0.1〜50μmでMgO含有量が25〜50質量%で残部がAlであるスピネル超微粉と6質量%以上の炭素原料及び0.1質量%以上のアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を配合することによって顕著となる。
【0028】
平均粒径が0.1μm未満では水和しやすくなり、50μmを超えると二次スピネルの生成量が少なくなるため、熱間強度、耐食性および熱伝導率維持特性の向上効果が低下する。二次スピネルの生成を促進するためにはスピネル超微粉の平均粒径は小さい方が好ましく、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下である。
【0029】
本発明で使用するスピネル超微粉の化学組成は、MgO含有量が25〜50質量%で残部がAlである(無論、不可避的な不純物は含まれる。)。スピネル超微粉のMgO含有量が25質量%未満では、いかに高温還元雰囲気中とはいえ気相Mgの生成が不十分であり、二次スピネル生成反応が不足であるとともに、多孔質化による熱伝導率増大の抑制も不十分である。一方、スピネル超微粉のMgO含有量が50質量%を超えると消化しやすくなるという問題が生じる。スピネル超微粉中のMgO含有量については30質量%以上45質量%以下が、二次スピネルの生成反応と耐消化性のバランスを考慮した場合より好ましい。
【0030】
超微粉スピネルからのMgのガス化反応を促進するためには、れんが内を強い還元雰囲気に保持する必要がある。このためには炭素原料は6質量%以上必要である。6質量%未満ではれんが内雰囲気の還元性が弱く、ガス化反応が起こりにくい。ただし、25質量%を超えると耐食性の低下が顕著になり、また熱伝導率維持特性が優れていても熱伝導率自体が増大するため本発明が解決しようとする熱ロスの低減という課題に対しては不適当である。
【0031】
また、さらにガス化反応を促進させるためにはアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1質量%以上配合する必要がある。アルミニウムはスピネル超微粉と反応してMgガスの放出を促進する。ただし、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金の配合量は4質量%以下である必要がある。過剰に添加したアルミニウム及び/又はアルミニウム合金は炭素原料と例えばAlのような化合物を生成してフリーの炭素を消費するため、れんが内雰囲気の還元性が弱くなる。また、粒子間の結合が過剰となり組織が緻密になりすぎて耐熱衝撃性が大きく低下する。
【0032】
スピネル超微粉は、耐火原料配合物中の含有量が2〜20質量%となるように配合する。2質量%未満では生成する二次スピネルの割合が少なく、耐食性や熱間強度の増大あるいは熱伝導率維持特性の改善効果が小さい。20質量%を超えると、消化しやすくなるとともに、れんがの熱膨張が大きくなって割れ損傷を引き起し、実用上の問題となる。
【0033】
また、本発明の耐火原料配合物の副原料として、炭化珪素原料を耐火原料配合物中の含有量が0.5〜10質量%となるように配合したり、消化抑制のため粒径が0.1mm以上のマグネシア原料を耐火原料配合物中の含有量が0.5〜25質量%となるように配合したりすることもできる。炭化珪素原料を配合した場合には、混銑車の内張り材として好適なアルミナカーボン系不焼成れんがとなる。マグネシア原料を配合した場合には、取鍋の内張り材として好適なアルミナカーボン系不焼成れんがとなる。
【0034】
本発明においては、硼珪酸ガラスなどのガラス質原料の配合量は1.7質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、最も好ましくは配合しないことである。ガラス質原料は生成した二次スピネル中に低融物を生成し、熱間強度及び耐食性の低下をもたらす。上記特許文献3においてはガラス質材料がスピネル粒同士を結合させるための必須成分となっており、粒径0.075mm以下のスピネル原料とアルミニウム又はアルミニウム合金を使用した実施例6、実施例8及び比較例2ではガラス質原料を外掛けで2〜4質量%(本発明でいう耐火原料配合物中に占める割合で1.8〜3.7質量%)配合しており、本発明と比較して熱間強度及び耐食性が低下していると考えられる。また、ガラス質原料は溶融してスピネル超微粉の表面を被覆しMgガスの発生を阻害するため、二次スピネルの生成にも悪影響を及ぼす場合がある。
【0035】
本発明においては、上記アルミナカーボン系不焼成れんがを、溶融金属の保持炉の内張り用れんがとして、混銑車、取鍋のような各種窯炉設備に使用することができる。混銑車、取鍋のような各種窯炉設備に本発明のれんがを施工する際には、設備全体の内張り用れんがとして施工しても良いが、スラグラインや湯当たり部など耐食性や熱間強度が必要とされる部位を優先的に施工するのも好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明のアルミナカーボン系不焼成れんがは、耐食性、熱間強度及び熱伝導率維持特性に優れている。また、耐熱衝撃性にも優れるため割れ剥離を抑制できる。このため、本発明のれんがを内張りした混銑車や取鍋などの窯炉設備の寿命が向上するとともに、窯炉設備の鉄皮外表面からの熱ロスを抑制することで省エネルギーやCO削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明及び従来例によるアルミナカーボン系不焼成れんがのスラグ侵食試験後の被食面付近の微構造の写真で、(a)が本発明、(b)が従来例である。
【図2】図1(a)の本発明によるアルミナカーボン系不焼成れんがのスラグ侵食試験後の微構造の模式図である。
【図3】本発明及び従来例による1500℃×7日間熱処理後のアルミナ骨材の表面の微構造の写真で、(a)が本発明、(b)が従来例である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明で使用するアルミナ原料は、Alを90質量%以上含有する耐火原料であり、耐火物に一般的に使用されているアルミナ原料を使用することができる。例えば、電融アルミナ、焼結アルミナ、仮焼アルミナ、ボーキサイト、及びバン土頁岩のうち1種以上を使用することができる。
【0039】
アルミナ原料は、耐食性に優れた原料として、粗粒から微粉にわたり耐火原料配合物中の主原料として使用し、その配合量は60〜80質量%程度である。ただし、二次スピネルを形成しやすい点から粒径100μm未満のものを15〜40質量%使用することがより好ましい。
【0040】
炭素原料は、通常の耐火物に一般的に使用されているものであれば問題なく使用することができる。好ましくは、C含有量が90質量%以上の鱗状黒鉛、カーボンブラック、無煙炭、及びピッチ等のうち1種以上を使用する。炭素原料は、耐火原料配合物中に6〜25質量%配合する必要があり、より好ましくは8〜20質量%である。
【0041】
アルミニウム及びアルミニウム合金は、通常の耐火物に一般的に使用されるものを問題なく使用することができる。アルミニウム合金としては、Al−Si合金、Al−Mg合金、Al−Si−Mg合金などを使用することができる。アルミニウム及びアルミニウム合金は、粉末状で粒径が100μm未満のような微細な粉末が好ましく、耐火原料配合物中に0.1〜4質量%配合する必要があり、より好ましくは0.3〜2質量%である。
【0042】
本発明で使用するスピネル超微粉は、化学組成としてMgO含有量が25〜50質量%で残部はAlであり、より好ましくはMgO含有量が30〜45質量%である。なお、不可避的な不純物成分は1質量%未満であることが好ましい。
【0043】
本発明で使用するスピネル超微粉は、電融法、焼結法、あるいは湿式合成法等の従来の製法で製造されたものを使用することができる。このうち、湿式合成法で製造されたものは活性が非常に高く、れんが組織中で二次スピネルを生成しやすいためより好ましい。
【0044】
湿式合成法としては、例えばマグネシウムとアルミニウムの混合酸性塩に塩基剤を加えてマグネシウムの化合物とアルミニウムの化合物を共沈させる化学湿式法、この混合溶液を高温雰囲気に噴霧して乾燥する噴霧乾燥法、あるいは混合溶液を噴霧して凍結させてから減圧して乾燥させる凍結乾燥法、マグネシウムとアルミニウムのアルコキシドを混合してから水和するアルコキシド法等が知られている。このような湿式合成法で得られた混合物を仮焼後、粉砕し、篩うことにより、粒径150μm未満で平均粒径0.1〜50μmに調整することができる。スピネル超微粉中のMgOとAlの割合は、どの製法でも出発原料の混合比によって任意の割合とすることが可能である。
【0045】
本発明では、アルミナ原料を主原料とし、炭素原料、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金、並びにスピネル超微粉を含有する耐火原料配合物を使用するが、これらの原料以外に、副原料として炭化珪素、マグネシア、ジルコニア、ムライト、ジルコニアムライト、アルミナジルコニア、粘土、炭化硼素、及びガラス等のうち1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
具体的な耐火原料配合物の基本構成は、超微粉スピネル原料を2〜20質量%、炭素原料を6〜25質量%、並びにアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1〜4質量%含有し、残部が主としてアルミナ原料からなる。この耐火原料配合物は、前記基本構成のみとしてもよいが、その用途に応じてさらに副原料を0.5〜40質量%含有する構成とすることができる。
【0047】
例えば、混銑車の内張り用れんがとしての用途には、副原料として炭化珪素原料を0.5〜10質量%、及び/又はマグネシア原料を0.5〜25質量%添加することが好適である。炭化珪素は耐酸化性を向上させ、マグネシアは内張りされたれんが間の目地開きを防止したり耐食性を向上させたりする効果がある。このうちマグネシア原料の粒径は、消化防止のために0.1mm以上とすることが好ましい。
【0048】
本発明では、非常に活性の高いスピネル超微粉を使用するため、耐火原料中の低融点成分を形成するような不純物分を少なくすると耐食性が一段と向上する。したがってガラス質原料の配合量は1.7質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、最も好ましくは配合しないことである。
【0049】
上記の原料から成る耐火原料配合物にフェノール樹脂等の有機バインダーを添加して混練し、成形後、熱処理することで本発明のアルミナカーボン系不焼成れんがが得られる。成形は金型に混練物を充填してフリクションプレスやオイルプレス等によって行う。また、熱処理は1000℃以下好ましくは700℃以下で行う。なお、熱処理は、有機バインダーを硬化させることが主目的であるため、熱処理温度は100〜700℃でも十分である。
【0050】
本発明のアルミナカーボン系不焼成れんがは、稼働時の受熱によってアルミニウムやスピネル超微粉などが反応することでさらなる結合組織を形成する。そして、本発明のアルミナカーボン系不焼成れんがは、稼働時の受熱により二次スピネルを形成し極めて耐食性に優れるとともに熱伝導率維持特性に優れたれんがとなるため、溶銑輸送、あるいは脱珪、脱燐、脱硫などの溶銑予備処理を行う混銑車もしくは取鍋の内張りれんがとして使用することで、混銑車や取鍋の寿命が飛躍的に向上するとともに省エネルギーにも大きく寄与する。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0052】
表1は、本発明の実施例及び比較例で使用したスピネル超微粉の特性を示す。表2〜表6は、実施例及び比較例で使用した耐火原料配合物の組成と、試作したアルミナカーボン系不焼成れんがの特性試験結果を示す。
【0053】
表2〜表6に示す耐火原料配合物にフェノール樹脂を添加して混練し、フリクションプレスで並形形状に成形後、250℃で熱処理することでアルミナカーボン系不焼成れんがを試作した。フェノール樹脂は有機溶剤で希釈して粘性を調整した液状タイプのものを使用し、その添加量は外掛けで3〜5質量%とした。
【0054】
表1〜表6に示す各原料について説明する。スピネル原料は、湿式合成法で製造したものを仮焼処理後に微粉砕し、篩いで篩って、表1に示す平均粒径に調整した。なお、表1に示すスピネル原料の粒径はいずれも150μm未満である。スピネル原料のAlとMgOのそれぞれの含有量は表1に示すとおりで、不純物の合量が1質量%のものを使用した。表1中、スピネルB〜F及びスピネルH〜Lが本発明の規定を充足するスピネル超微粉である。
【0055】
電融アルミナはAlが95質量%のものを、炭化珪素はSiCが95質量%のものを、黒鉛はCが95質量%のものを、無煙炭はCが90質量%のものを、カーボンブラックはCが99質量%のものを、マグネシアはMgOが98質量%のものを、アルミニウムはAlが99質量%のものを、Al−Mg合金はAlが80質量%、Mgが20質量%のものを、ガラスはBが15質量%、NaOが5質量%の硼珪酸ガラスをそれぞれ使用した。
【0056】
次に表2〜6に示すアルミナカーボン系不焼成れんがの特性評価の項目について説明する。
【0057】
見掛け気孔率は、JIS R2205に準拠して測定した。見掛け気孔率については250℃熱処理後及び1400℃で3時間熱処理後について測定を行った。
【0058】
弾性率は超音波の伝播速度から算出する方法で測定した。
【0059】
熱間曲げ強さは、JIS R2656に準拠し窒素流通の不活性雰囲気中、1400℃で測定した。
【0060】
耐熱衝撃性は、1600℃の溶銑に90秒間浸漬し取り出して水冷を30秒間行った後空冷を30秒行う操作を、試験体(200×50×40mm)の一部が剥落するまで繰り返し、最高12回まで実施した。表には、剥落が発生した試験回数を表示した。数値が大きいほど耐熱衝撃性が良好であることを示す。なお、表中で「>12」と記載したものは、12回繰り返しても剥落しなかったことを示す。
【0061】
なお、弾性率、熱間曲げ強さ、耐熱衝撃性について評価したサンプルは1400℃で3時間熱処理したものである。
【0062】
耐食性は、ASTM C874−77に記載の試験方法に沿って、回転スラグ試験法で実施した。塩基度(CaO/SiO)が6の合成スラグ(高炉スラグと石灰の混合物)を使用して、1650℃で行った。比較例1の溶損量を100として指数で表示した。この指数が小さい程耐食性が良好であることを示す。
【0063】
耐消化性は、学振法によるマグネシアクリンカーの消化性試験方法に準じてブリケットの圧縮強さ低下率で評価した。数値が小さいほど耐消化性は良好である。
【0064】
熱伝導率は、定常法カロリーメーター方式装置を使い、測定温度600℃における熱伝導率を調査した。熱伝導率は稼働初期と長期経過後の熱伝導率の変化率を評価するため、稼働初期を想定して1500℃で1時間熱処理したサンプルと、長期経過後を想定して1500℃で7日間熱処理したサンプルについて熱伝導率をそれぞれ測定し、(1500℃×7日間熱処理後サンプルの熱伝導率)/(1500℃×1時間熱処理後サンプルの熱伝導率)にて熱伝導率維持特性を評価した。この比が1.0未満を◎、1.0以上1.2未満を○、1.2以上1.5未満を△、1.5以上を×と表中では表記した。数値が小さいほど長期経過後の熱伝導率の増大が抑制されていることを表すので、◎、○、△、×の順に良好であることを示す。
【0065】
表2は、スピネル原料の平均粒径と使用量に関して調査した結果を示す。実施例1〜5は平均粒径が本発明の範囲内にあるスピネル超微粉を使用したもので、熱間曲げ強さ、耐熱衝撃性、耐食性、熱伝導率維持特性のいずれも比較例1と比較して優れている。とくに平均粒径30μm以下の実施例2〜5においては諸特性の改善が顕著であり好ましい。さらに平均粒径15μm以下では耐食性改善効果がより顕著になりより好ましい。なお、実施例2〜5は耐消化性の点で比較例1よりも若干劣るが実使用上は問題ない。
【0066】
これに対して、スピネル原料のMgO含有率が25〜50質量%の範囲内であっても平均粒径が50μmを超える場合には比較例1に示すとおり、熱処理後の弾性率と熱間曲げ強さがかなり低いことから、受熱時に二次スピネルの生成量が少ないことが推測され、その結果、実施例1〜5と比較すると、耐熱衝撃性、耐食性、熱伝導率維持特性が低くなっている。
【0067】
実施例6〜実施例9は、耐火原料配合物中のスピネル超微粉含有量が本発明の範囲内であり、いずれの特性も良好である。比較例2及び3は、スピネル超微粉含有量が本発明の下限を下回っており、実施例に比べて熱間曲げ強さ、耐食性、熱伝導率維持特性が低下している。また、比較例4は、スピネル超微粉含有量が本発明の上限を超えており耐熱衝撃性と耐消化性の低下が著しく実用には適さない。スピネル超微粉含有量が多すぎると、れんがの熱膨張が大きくなるため、耐熱衝撃性が低下するとともに耐消化性も低下する。
【0068】
表3は、異なる化学組成のスピネル超微粉を使用した例である。表3に示す実施例10〜14はスピネル超微粉の化学組成が本発明の範囲内であり、いずれの特性も良好である。比較例5は、MgO含有量が少ないスピネル超微粉を使用しているため、二次スピネルの生成が不十分であり、熱間曲げ強さ及び熱伝導率維持特性が良くない。比較例6はMgO含有量が多すぎる場合で、耐熱衝撃性と耐消化性が不良で実用には適さない。熱伝導率維持特性と耐消化性のバランスを考慮するとMgO含有量は30質量%以上45質量%以下がより好ましいことが分かる。
【0069】
表4は、配合中の炭素原料の割合を変更した例である。実施例15〜19は炭素原料の配合割合が本発明の範囲であり、いずれの特性も良好である。比較例7は炭素原料の配合割合が少ないため耐熱衝撃性や熱伝導率維持特性に劣る。比較例8は炭素原料の配合割合が多いため、耐食性の低下が顕著であり実用に適さない。実施例の中では実施例16〜18が諸特性のバランスが良好であり、炭素原料の配合割合は8質量%〜20質量%がより好ましいことが分かる。
【0070】
表5は、耐火原料配合物中のアルミニウムの割合を変更した例である。実施例20〜24はアルミニウムの配合割合が本発明の範囲であり、いずれの特性も良好である。比較例9はアルミニウムの配合割合が少ないため耐食性や熱伝導率維持特性に劣る。比較例10はアルミニウムの配合割合が多いため、耐熱衝撃性及び熱伝導率維持特性の低下が顕著であり実用に適さない。実施例の中では実施例21〜23が諸特性のバランスが良好であり、アルミニウムの配合割合は0.3質量%〜2質量%がより好ましいことが分かる。
【0071】
表6中の実施例25〜29は、炭素原料として黒鉛以外も使用した例、マグネシアを添加した例、Al−Mg合金を使用した例を示す。いずれの例においても優れた特性を示していることが分かる。
【0072】
表6中の実施例30〜33はガラスを添加した例である。この表から明らかなように、ガラスの添加は1.7質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましくいことが分かる。
【0073】
また、本発明のアルミナカーボン系不焼成れんがを、実際に窯炉設備へ適用した実施例を以下に示す。実施例4の本発明品のれんがと、比較例2の従来品のれんがとを、容量250tonの混銑車のスラグラインに、比較のため隣り合わせに張り合わせて179ch使用した。その結果、実施例4のれんがの溶損厚みは、比較例2のれんがの溶損厚みの40%に止まり、非常に良好な耐食性を示した。回収したれんがの物性値を測定したところ、見掛気孔率は実施例4のれんがの方が比較例2のれんがよりも大きくなった。また、熱間曲げ強さも実施例4のれんがの方が比較例2のれんがより高い値となった。熱伝導率については、実施例4のれんがは、使用前と使用後でほぼ同じであったが、比較例2のれんがは、使用前に比較して使用後は約1.5倍に増大しており、本発明品は優れた耐食性を示すとともに、長期間使用後も熱伝導率の増加が少ないため、窯炉設備からの熱ロスを抑制する効果が大きいことが明らかになった。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【符号の説明】
【0080】
1 れんが
2 スピネル質保護層
3 付着スラグ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素原料を6質量%以上25質量%以下、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1%以上4質量%以下、スピネル超微粉を2質量%以上20質量%以下、残部が主としてアルミナ原料からなる耐火原料配合物に有機バインダーを添加して混練し、成形後、1000℃以下で熱処理して得られる溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんがであって、耐火原料配合物中のスピネル超微粉は、粒径が150μm未満で平均粒径が0.1〜50μm、MgO含有量が25〜50質量%で残部がAlからなる溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんが。
【請求項2】
スピネル超微粉の平均粒径が0.1〜30μmである請求項1に記載の溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんが。
【請求項3】
スピネル超微粉の平均粒径が0.1〜15μmである請求項1に記載の溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんが。
【請求項4】
耐火原料配合物が、さらに、炭化珪素原料を0.5〜10質量%、及び/又は粒径が0.1mm以上のマグネシア原料を0.5〜25質量%含有する請求項1から3のいずれかに記載の溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんが。
【請求項5】
耐火原料配合物中のガラス質原料の含有量が1.7質量%以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんが。
【請求項6】
耐火原料配合物中のガラス質原料の含有量が1質量%以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんが。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんがを内張りれんがとして使用した窯炉設備。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんがを溶融金属保持炉に内張りする施工方法。
【請求項9】
炭素原料を6質量%以上25質量%以下、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1%以上4質量%以下、スピネル超微粉を2質量%以上20質量%以下、残部が主としてアルミナ原料からなる耐火原料配合物に有機バインダーを添加して混練し、成形後、1000℃以下で熱処理する溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんがの製造方法において、耐火原料配合物中のスピネル超微粉は、粒径が150μm未満で平均粒径が0.1〜50μm、MgO含有量が25〜50質量%で残部がAlからなる溶融金属保持炉の内張り用アルミナカーボン系不焼成れんがの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−36064(P2012−36064A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180344(P2010−180344)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000170716)黒崎播磨株式会社 (314)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】