説明

漂白土を製造するための大表面積を有する粘土、ならびにその粘土の活性化方法

吸着剤の製造方法、その方法によって製造された吸着剤、ならびに特に油および脂質の精製のための漂白土としての前記吸着剤の適用方法が開示されている。本発明に係る方法によれば、200m/g超の比表面積と、40meq/100g超のイオン交換容量と、ならびに0.5ml/g超の細孔容積を有する原料粘土が使用される。細孔容積の少なくとも40%が少なくとも14nmの細孔直径を有する細孔から形成され、細孔容積の最大で25%が7.5nm未満の細孔直径を有する細孔から形成される。酸を使用した表面活性化によって、強力な脱アルミニウムおよび強酸を用いた洗浄によって製造される高活性の漂白土を部分的に上回る程の漂白活性度を有する吸着剤が得られる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、吸着剤の製造方法、その方法によって製造された吸着剤およびその適用方法と、粘土加工物に関する。
【0002】
油および脂質の産業的な製造に際して、汚濁、変色、あるいは酸化作用物質の除去のために漂白土が使用される。吸着性の洗浄によって油および脂質の味、色、および貯蔵安定性を改善することができる。浄化のために多様な等級の漂白土が使用される。最初のグループは、大抵モンモリロナイトに基づいている、高活性の漂白土(HPBE=高性能漂白土)の等級を構成する。このグループは特に酸活性化されたモンモリロナイトを含んでおり、その酸活性化は高温において濃縮酸を使用した原料粘土の脱アルミニウムによる高コストな方法で実施される。この方法によれば、極めて大きな比表面積と大きな細孔容積を有する漂白土加工物が得られる。この高活性の漂白土を少量使用するだけでも、既に原料油の顕著な浄化が達成される。一方で使用された漂白土に油残留分が結合しその結果収量が減少し、他方で使用された漂白土は適宜な法規制に従って処分しなければならないため、漂白工程における使用量を削減する努力がなされている。
【0003】
この高活性の漂白土の問題点は、酸を使用した脱アルミニウムによって製造中に酸化塩を含んだ廃水が大量に発生し、それが高コストなプロセスによってのみ再処理あるいは除去可能であるという事実である。そのような高コストの廃棄物除去ならびに高コストな製造工程が、この種の高活性の漂白土の比較的高い価格の理由となっている。
【0004】
別のグループは、自然活性粘土の等級を構成している。天然に存在している漂白土は、既に数百年も前から脂質および油の浄化に使用されている。この天然のシステム(フラー土とも呼ばれている)は、極めて低コストに入手することができる。しかしながらこれは限られた漂白能力しか有しておらず、従って漂白が難しい油および脂質の浄化には殆ど適していない。さらに、所要の漂白効果を達成するために高活性の漂白土と比べてより大量の吸着剤を使用する必要がある。それによって油あるいは脂質の損失が多くなることも計算しなければならず、それは漂白土を純粋な状態に分離することはできず一定量の油あるいは脂質が漂白土内に残留してしまうためである。
【0005】
低い製造コストと許容可能な活性度との折り合いから、いわゆる表面活性システム(SMBE=表面改質漂白土;表面活性化漂白土)である第3の漂白土の等級が挙げられる。この場合自然活性の原料粘土に少量の酸を付加し、それによって“局所活性化”が達成される。この方法のために、特にアタパルジャイトおよびホルマイトを含んだ原料粘土が適している。これは、天然原料粘土にしては極めて高い、約100ないし180m/gの比表面積と、約0.2ないし0.35ml/gの細孔容積を有している。酸活性化に際して形成された塩あるいは反応し切らなかった酸の成分が洗浄されないため、それが製品上に残留し、少なくとも部分的に細孔内に蓄積される。従って、この酸活性化された漂白土によっては、酸による脱アルミニウムによって製造された高活性の漂白土(HPBE)によって達成されるものと同等な効果は通常達成されない。しかしながら、単純な製造方法で酸性の廃水も発生しないため、比較的低コストな製造が可能になる。
【0006】
米国特許第A−5008226号公報により、天然に存在する酸性アタパルジャイト粘土を使用し前述した酸活性化に従った酸活性化された漂白土の製造方法が知られている。この粘土は0.25ないし0.50ml/gの範囲の細孔容積と、100ないし150m/gの比表面積を有する。天然に存在するアタパルジャイトとベントナイトからなる混合物を使用すれば特に好適である。この鉱物の主成分は、71ないし75重量%のSiOと11ないし16重量%のAlからなっている。このアタパルジャイト/ベントナイト鉱物に、約25ないし100℃の温度において1ないし10重量%の酸の量となるように酸を付加する。この酸活性化された中間生成物は洗浄しないで、乾燥後に粉砕して直接漂白土として使用する。
【0007】
米国特許第A−3029783号公報には、アタパルジャイト粘土の酸による処理方法が記載されている。このアタパルジャイトは約15重量%のAlを含んでいる。この酸によって活性化された粘土は、猫用トイレ砂としての使用に適している。
【0008】
米国特許第A−5869415号公報には、1ないし10重量%の酸を使用して活性化した後200℃ないし400℃の温度で焼結する、少なくとも25meq/100gのイオン交換容量を有した層状珪酸塩の活性化方法が記載されている。この層状珪酸塩は、132ないし167m/gの範囲の比表面積、0.27ないし0.35ml/gの細孔容積、ならびに38ないし68meq/100gの範囲のイオン交換容量を有する。
【0009】
国際特許出願公開第99/02256号公報には、酸含有率を高めた漂白土の製造方法が記載されている。その際水を使用したプロセスを行わないため、活性化は環境に負担のかからないものとなる。2.5ないし5重量%の水性溶液の酸を予め乾燥させ粉砕した原料粘土に添加することが好適である。適宜な酸の例としては塩酸、燐酸、ならびにクエン酸が記載されており、それがパリゴルスカイト−スメクタイト級の原料粘土上に付加される。
【0010】
従って前述した酸化性化した漂白土の製造に際して、通常特にスメクタイトおよびパリゴルスカイト等の層状珪酸塩あるいはそれらの珪酸塩の混合物が使用される。原材料として使用される原料粘土は、100ないし180m/gの範囲の比表面積と、0.25ないし0.50ml/gの範囲の細孔容積と、38ないし68meq/100gの範囲のイオン交換容量を有する。これらの層状珪酸塩は、11重量%超のAl−含有率を有している。
【0011】
前述したように、表面活性化された漂白土(SMBE)は製造が低コストであるという利点を有している。しかしながらこれは、高活性の漂白土(HPBE)によって達成されるような漂白効果は達成できない。従って所要の漂白結果を達成するためには、高活性の漂白土の場合に比べて多量の表面活性化された漂白土が必要となる。このことによっても再び、油および脂質の吸着による漂白に際して漂白土内における高い油損失を考慮する必要があり、一方で大量の使用済み漂白土を再処理あるいは廃棄しなければならない。
【0012】
従って本発明の目的は、前述した従来の技術の問題点を解消し、特に油および脂質の漂白効果に関して高い吸着能力を有する製品に得ることができる、吸着剤の製造方法を提供することである。
【0013】
前記の課題は請求項1の特徴からなる方法によって解決される。従属請求項の対象は好適な追加実施形態である。
【0014】
意外なことに、請求項1によって定義された原料粘土を使用すれば、強酸を使用した強力な脱アルミニウムによって得られた高活性の漂白土と同等か部分的にそれを上回る程の活性度を有する吸着剤あるいは漂白土が比較的単純な活性化によって得られることが判明した。
【0015】
その際、使用される原料粘土が200m/g超の比表面積(BET比表面積)と、40meq/100g超のイオン交換容量と、ならびに0.5ml/g超の細孔容積を有していて、細孔容積の少なくとも40%が少なくとも14nmの細孔直径を有する細孔から形成され、細孔容積の最大で25%が7.5nm未満の細孔直径を有する細孔から形成されることが、本発明において重要である。
【0016】
比表面積、細孔容積、およびイオン交換容量を判定するための好適な分析方法は、後述する実施例の欄において記述する。
【0017】
原料粘土の最大で20%、特に最大で15%が7.5nm未満の細孔直径を有する細孔から形成されることが好適である。7.5ないし14nmの範囲の細孔直径を有する細孔から形成される細孔容積の総細孔容積に対する割合は最大で25%、特に最大で15%、特に好適には最大で10%となる。14ないし25nmの範囲の細孔直径を有する細孔から形成される細孔容積の総細孔容積に対する割合は最大で25%、特に最大で20%、特に好適には最大で15%となる。25ないし80nmの範囲の細孔直径を有する細孔から形成される細孔容積の総細孔容積に対する割合は少なくとも25%、特に少なくとも30%、特に好適には少なくとも40%となる。少なくとも25nmの細孔直径を有する細孔から形成される細孔容積の総細孔容積に対する割合は少なくとも30%、特に少なくとも40%、さらに好適には少なくとも50%、特に好適には少なくとも60%となる。80nm超の細孔直径を有する細孔から形成される細孔容積の総細孔容積に対する割合は最大で30%、特に最大で25%、特に好適には最大で25%となる。本発明に係る方法において使用される原料粘土は高い割合で中程度あるいは大型の細孔を有している。その点においてこれは、例えば酸浸出によって製造される高活性の漂白土と異なっている。高活性の漂白土はより高い割合で小さな細孔を有している。
【0018】
50meq/100g超、特に55ないし75meq/100gの範囲のイオン交換容量を有する原料粘土を使用することが極めて好適である。原料粘土は200ないし280m/gの範囲、特に200ないし260m/gの範囲の比表面積(BET)を有することが好適である。使用される原料粘土の(総)細孔容積(比細孔容積)は、0.7ないし1.0ml/100gの範囲、特に0.80ないし1.0ml/100gの範囲であることが好適である。
【0019】
本発明に係る方法において使用される原料粘土は、酒石酸によって浸出可能なAs、Pb、Cd、Hg等の重金属の割合が25ppm未満、特に15ppm未満、特に好適には10ppm未満である。酒石酸によって浸出可能な砒素の割合は1.5ppm未満、特に1ppm未満であることが好適である。酒石酸によって浸出可能な鉛の割合は5ppm未満、特に4ppm未満であることが好適である。酒石酸によって浸出可能なカドミウムの割合は0.5ppm未満、特に0.3ppm未満であり、酒石酸によって浸出可能な水銀の割合は0.2ppm未満、特に0.1ppm未満であることが好適である。
【0020】
酒石酸によって浸出可能な重金属の割合の判定方法は後述する実施例の欄に定義される。
【0021】
原料粘土の水中における沈降容積は10ml/2g未満であることが好適であり、すなわちこの原料粘土は水が存在しても実質的に膨潤しない。それによってこの漂白土加工物は原料油内に均等に分散させ、また漂白工程の後に濾過によって再び分離することができる。
【0022】
所要の特性を有する吸着剤あるいは漂白土を得るために、原料粘土に活性化、特に酸活性化が施される。
【0023】
活性化とは、SMBEの製造において一般的であるような原料粘土の処理であると理解される。この種の方法は当業者において周知である。これは熱処理、あるいは特に酸を使用した処理によって実施される。活性化に際して原料粘土の鉱物構造は実質的に変化しない。原料粘土の比表面積および細孔容積は、本発明に従って、酸活性化の方式に応じて最大20%まで低下する。
【0024】
本発明に係る方法において、まず乾燥された原料粘土が生成される。本発明の枠内において原料粘土とは、自然活性あるいは非自然活性の粘土材料であると理解され、また従来の機械的あるいは化学的処理工程によって追加処理されているものの漂白土とは異なって(特別な)活性化工程による活性化は施されていない粘土材料も含まれる。その際原料粘土の活性化とは、AOCS Cc13b−45に従った油中の色数値(ロビボンド値)および/またはAOCS Cc13d−55に従ったクロロフィルa測定によって判定される、特に油および脂質の漂白に際しての漂白効果の向上につながる処理であると理解される。
【0025】
同様に、本発明の枠内において漂白土とは、(活性化工程によって)活性化された、特に熱および/または酸処理によって活性化された粘土材料であると理解される。漂白土の概念は当業者において一般的であり、その吸着あるいは漂白活性度のため特に食用油および脂質の浄化に使用することができる、活性化された粘土材料が含まれる。
【0026】
特に本発明において原料粘土とは、化学的な改質が施されていない、すなわち例えば未だ強酸が付加されていないかあるいは脱アルミニウム化されていない、天然に存在する自然活性粘土材料あるいは非自然活性粘土材料であると理解される。活性化の前に原料粘土を必要に応じて乾燥および粉砕することができる。
【0027】
Alとして計算して無水の原料粘土に対して11重量%未満のアルミニウム含有率を有する原料粘土を使用することが極めて好適である。
【0028】
極低い結晶性を有する、すなわち層状珪酸塩の等級に含まれる原料粘土を使用することが極めて好適である。この低い結晶性は例えばX線回折法によって確認することができる。その際特に好適な原料粘土はX線で観察して極めて非晶質のものであり、従ってそれはアタパルジャイトあるいはスメクタイトの等級には含まれない。
【0029】
本発明に係る方法において使用される原料粘土は、従来の高活性の漂白土とは異なった細孔分布を有する。高活性の漂白土において細孔容積は主に小さな直径を有する細孔から形成されている。その細孔は主に2ないし14nmの範囲の直径を有している。それに対して本発明に係る方法において使用される原料粘土においては、細孔容積のうちの大きな比率が、それより顕著に大きな直径を有する細孔によって形成されている。
【0030】
本発明に従って使用され原料粘土の特徴は、総細孔容積(BJH法によって判定、後述参照)の少なくとも40%が14nm超の細孔直径を有する細孔から形成されていることである。総細孔容積の50%超、特に60%超が14nm超の直径を有する細孔から形成されることが好適である。前述したように、この原料粘土の総細孔容積は0.5ml/gとなる。細孔分布または総細孔容積は窒素多孔度測定法(DIN66131号)、ならびにBJH法(後述参照)に従った吸着等温線の分析によって判定される。
【0031】
上述した特性を有する原料粘土は、少量の酸を使用した活性化、例えば前述した“局所活性化”によって、極めて良好な漂白特性を有する漂白土加工物に変換し得ることが判明した。この漂白土加工物の漂白効果は高活性の漂白土の性能に到達し、場合によってそれを超過する。“局所活性化”とは、前述した酸活性化された漂白土(SMBE)において一般的な原料粘土の酸活性化であると理解される。
【0032】
一般的に、本発明に係る原料粘土の活性化は酸を使用した処理によって実施することができる。そのため、原料粘土を無機酸あるいは有機酸と接触させる。原則的に、当業者において一般的な任意の粘土の酸活性化方法を使用することができ、それには国際特許出願公開第99/02256号公報、米国特許第5008226号公報、および米国特許第5869415号公報に記載されている方法も含まれ、それらの記述は本明細書において引用されている。
【0033】
本発明の好適な実施形態によれば、余剰な酸および活性化に際して発生した塩を洗浄することは不要である。むしろ、通常は酸活性化である酸の用途の完了後に洗浄工程は実施せずに、処理された原料粘土を乾燥させ所要の粒子大に粉砕する。粉砕に際して典型的な漂白土の微粒子性に調節される。その際乾燥篩残留量は、63μmのメッシュ幅の篩において20ないし40重量%の範囲となる。25μmのメッシュ幅の篩における乾燥篩残留量は50ないし65重量%の範囲となる。
【0034】
本発明に係る方法の一実施形態によれば、原料粘土の活性化は水性の層において実施される。そのため、酸を水性の溶液として原料粘土と接触させる。その際、好適には粉末状態で用意された原料粘土を水中で浸漬させることができる。続いて、酸を濃色形態で添加する。しかしながら、原料粘土を直接酸の水性溶液中で浸漬させるか、あるいは酸の水性溶液を原料粘土上に添加することもできる。好適な実施形態によれば、水性の酸溶液を割り砕かれたあるいは粉末状の原料粘土上に噴霧することができ、その際水分量を可能な限り少なく選択し、また例えば濃縮された酸あるいは酸溶液を使用することができる。酸の量は、無水の原料粘土(完全乾燥)に対して1ないし10重量%、特に2ないし6重量%の強酸、特に硫酸等の鉱酸であるように選択することが好適である。必要であれば、余剰な水分を蒸発させ、活性化された粘土材料を所要の細度になるまで粉砕することができる。前述したものと同様に、この本発明の方法の実施形態においても洗浄工程は不要である。水性の酸溶液の用途完了後に、必要に応じて所要の水分含有率に達するまで乾燥させれば充分である。大抵の場合、得られた漂白土加工物の水分含有率は20重量%未満、特に10重量%未満に調節される。
【0035】
前述の水性の酸溶液あるいは濃縮された酸を使用した活性化のために、酸は任意のものを選択することができる。鉱酸、有機酸、あるいはそれらの混合物のいずれを選択することも可能である。塩酸、燐酸、あるいは硫酸等の一般的な酸を使用することができ、中でも硫酸が特に好適である。濃縮または希釈された酸あるいは酸溶液を使用することができる。有機酸としては、酒石酸あるいは蓚酸等の溶液を使用することができる。特に酒石酸が好適である。
【0036】
本発明に係る吸着剤の粒子大あるいは平均粒子大は、その後の活性化された原料粘土あるいは漂白土としての使用に際して、精製された製品からのこの粘土の完全かつ容易な分離が可能になるように選択することが好適である。粉末状の原料粘土の平均粒子大は10ないし63μmの範囲に選択することが好適である。通常細度は、63μmのメッシュ幅の篩上において約20ないし40重量%の混合物が残留し(篩残留物)、25μmのメッシュ幅の篩上においては約50ないし65重量%の混合物が残留するように選択される。これは、典型的な漂白土細度と呼ぶことができる。
【0037】
前述したように、本発明に係る方法によれば、その吸着あるいは漂白活性度が驚くほど高くいくつかの面では従来の高活性漂白土の活性度を超えたものとなる、吸着剤あるいは漂白土を簡便かつ低コストな方式によって提供することができる。
【0038】
従って本発明の対象はさらに、前述した方法によって生成することができる吸着剤、特に漂白土である。本発明に係る吸着剤は、例えば高コストな処理が必要な廃棄物が発生しないため、低コストに製造することができる。本発明に係る吸着剤は、その高い漂白活性度のため、例えば油および脂質の精製のために必要な量を大幅に低減することができる。その結果、吸着剤の分離に際してその中に残留する油および脂質等の原材料の損失も大幅に低減することができる。
【0039】
従って本発明の対象はさらに上記の吸着剤の漂白土としての適用方法である。前記の吸着剤は、油および脂質の精製、特に食用油の精製のために使用することが好適である。さらに、本発明に係る吸着剤は乾燥剤として、あるいはガスの吸着のために使用することもできる。
【0040】
本発明に係る吸着剤を製造するために使用される原料粘土は既にそれ自体、酸による容易かつ高い活性化特性等の、好適な特性を有している。従って本発明の対象はさらに、
− 200m/g超の比表面積と;
− 40meq/100g超のイオン交換容量と;
− 0.50ml/g超の比細孔容積を有していて、
その際細孔容積の少なくとも40%が少なくとも14nmの細孔直径を有する細孔から形成されるとともに、細孔容積の最大25%が7.5nm未満の細孔直径を有する細孔から形成された、
原料粘土を含んだ粘土加工物である。
【0041】
比表面積(BET表面積)および比細孔容積は、DIN66131に従った窒素多孔度測定法によって判定される。比表面積は200ないし270m/gの範囲、特に200ないし260m/gの範囲となることが好適である。比細孔容積は、0.5ないし1.0ml/gの範囲、特に0.7ないし1.0ml/gの範囲であることが好適である。イオン交換容量は後述する実施例に記載されている方法で判定される。それは50meq/100g超、特に55ないし75meq/100gの範囲であれば好適である。10重量%の原料粘土の水中における懸濁液が、5.5ないし8.5、特に5.9ないし8.2のpH値を有することが好適である。このpH値はpH電極によって測定される。
【0042】
前述したように、原料粘土は特徴的な細孔半径分布を有している。細孔容積の少なくとも40%が14nm超の細孔直径を有する細孔から形成される。細孔容積の少なくとも50%、特に細孔容積の少なくとも60%が14nm超の細孔直径を有する細孔から形成されることが好適である。細孔サイズまたは細孔サイズ分布は、DIN66131に従った窒素多孔度測定法ならびにBJH法に従った分析によって判定される。総細孔容積は、2ないし130nmの直径を有する細孔に対してのものである。粘土加工物は少なくとも98%、特に100%原料粘土から形成されることが好適である。多孔度、沈降容積、ならびに酒石酸によって浸出可能な金属の含有量に関しての原料粘土の好適な数値は既に前述したものとなる。
【0043】
本発明はさらに、
− 植物性あるいは動物性の材料から得られた原料油を生成し;
− 200m/g超の比表面積と;
− 40meq/100g超のイオン交換容量と;
− 0.50ml/g超の細孔容積を有していて、
細孔容積の少なくとも40%が少なくとも14nmの細孔直径を有する細孔から形成されるとともに、細孔容積の最大25%が7.5nm未満の細孔直径を有する細孔から形成された、原料粘土を含んだ漂白土加工物を使用して処理することによって前記の原料油に漂白を施し、
− 漂白された油を前記の漂白土加工物から分離する、
脂質および/または油の精製方法に関する。
【0044】
本発明に係る方法において使用される漂白土加工物によれば、ロビボンド値の顕著な低下と同時にリンおよび鉄分の含有率の顕著な低下を達成することができる。従って、本発明に係る方法によって高速かつ簡便な油および脂質の精製が可能になる。
【0045】
通常油の精製に際して粘性成分を油から除去するためにまず原料油に脱粘化を施す。そのため油を70ないし80℃の範囲の温度で水によって処理し、その際約10ないし20分常圧下で攪拌する。例えば遠心分離によって粘性成分を除去した後、酸脱粘化が実施され、その際前記脱粘された油を酸、特に燐酸あるいはクエン酸を用いて70ないし100℃の温度かつ大気圧下で処理する。粘性成分の分離は水性の相と共に、例えば遠心分離によって実施される。この酸脱粘化に際しては、その脱粘化の効率をさらに改善するため、処理時間の末期にさらに水を、通常は原料油に対して1ないし2重量%の分量で添加することができる。
【0046】
漂白に際してまず、前記脱粘化された油に漂白土と水を付加しその後その混合物を大気圧および約80ないし100℃の温度下で攪拌する、湿式漂白を実施する。湿式漂白の後に圧力を低下させ、約100ミリバールの領域で漂白を続行し、また必要に応じて温度を所要の数値、例えば90ないし120℃の範囲の温度に高める。
【0047】
本発明に係る方法において、特定の条件下で前記の酸脱粘化および湿式漂白を省略し、漂白土加工物を添加した後直ぐに減圧漂白を開始することができる。
【0048】
この革新化された精製方式は、100ppm未満、特に50ppm未満のリン含有率、特にリン脂質含有率を有する油に特に適している。リン含有率は例えば元素分析によって判定することができる。
【0049】
本発明に係る方法は特にパーム油の精製に適している。
【0050】
次に、本発明について例および添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0051】
原料油、特にパーム油は、通常図1に示されているような方法に従った物理的精製の原理によって精製される。例えば搾油設備において適宜な植物種子を圧搾することによって得られた原料油は、パーム油の場合例えば溶解している酸素を油から除去するためにまず乾燥およびガス抜きが施される。その原料油は、特にリン脂質等の粘性成分が分離される脱粘化工程に供給される。その脱粘化工程は予備脱粘化および酸脱粘化を含むことができる。予備脱粘化において水を原料油に付加し、混合物を約70ないし80℃の温度かつ常圧下で攪拌する。その後水性のレシチン相を分離する。原料油は予備脱粘化の後に約100ないし200ppmの範囲のリン含有率を有している。酸脱粘化においては前記の予備脱粘化された油に酸を付加し、約70ないし100℃かつ常圧下で攪拌する。好適な酸は例えば燐酸あるいはクエン酸である。例示的な条件は、50%の燐酸からなる0.06重量%の酸の量、約95℃の処理温度、約15分の処理時間である。粘性成分の分離を容易化するために、酸脱粘化の最後にさらに水を添加することができ、その際の水分量は約0.2重量%に選択される。続いて例えば遠心分離によって水性の相を分離する。酸脱粘化の後に油は約10ないし20ppmの範囲のリン含有率を有している。この脱粘化は、後続する漂白との組み合わせによって油中に含まれるリン脂質(粘性成分)ならびに金属の比率を低下させるために必要である。脱粘化を省略した場合、赤/黄のロビボンド値が充分に低かったとしても精製された油中におけるリンおよび鉄の含有率が高過ぎるものとなる。脱粘化の後に必要に応じて油を乾燥およびガス抜きすることができる。例えばパーム油等のリンが少ない原料油については場合によって酸脱粘化を省略し、直接漂白を実施することができる。
【0052】
脱粘化に続いて油の漂白が実施され、その際まず湿式漂白、その後減圧漂白が実施される。湿式漂白に際して油に水と漂白土が付加され、その際の分量は約0.1ないし0.5重量%の範囲の水と0.3ないし2.0重量%の漂白土に選択する。油は常圧下で約80ないし100℃に加熱され、約20分間攪拌される。続いて減圧(例えば100ミリバール)を形成し、油を約90ないし120℃でさらに30分間攪拌する。その後例えば紙フィルタを取り付けた吸込みフィルタによって油を濾過する。この濾過は約80℃の温度で実施する。
【0053】
漂白の後にさらに油を脱臭する。そのため約240ないし260℃の放射温度を有する超加熱した水蒸気を、油を介して誘導し、それによって脂肪酸ならびに不快な味および臭い成分を除去する。この脱臭は、5ミリバール未満、特に1ないし3ミリバールの範囲の圧力からなる減圧下において実施する。
【0054】
精製後に油は3ppm未満のリン含有率と0.1ppm未満の鉄含有率を有する。
【0055】
本発明に係る方法において原料油の精製は上述した方式で実施されるが、その際に特別な粘土加工物を吸着剤あるいは漂白土として、特に漂白に際して使用する。約80ppm未満、より好適には50ppm未満のリン含有率を有する油の場合、脱粘化工程を省略することができ、原料油を乾燥およびガス抜きした後に直接油の漂白を実施することもできる。
【0056】
例:
次に、例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【0057】
以下の分析方法を使用した:
表面積/細孔容積:
比表面積はミクロメトリクス社製のASAP2010型全自動窒素多孔度測定装置によってDIN66131に従って判定した。細孔容積はBJH法を使用して測定した(E.P.バレット氏、J.G.ジョイナー氏、P.P.ハイエンダ氏等による米国化学会誌第73版(1951年)第373号参照)。特定の細孔寸法範囲の細孔容積は、BJH法に従った吸着等温線の分析によって得られた細孔容積増分の累積によって判定される。BJH法に従った総細孔容積は2ないし130nmの直径を有する細孔に関するものである。
【0058】
油分析:
油中の色値(ロビボンド値)はAOCS Cc13b−45に従って判定した。クロロフィルA法はAOCS Cc13d−55に従って実施した。
【0059】
水分含有率:
105℃における製品の水分含有率はDIN/ISO−787/2の方法を使用して判定した。
【0060】
この分析は原料粘土あるいは対応する製品の総分解に関するものである。固形成分を分解した後個別成分を従来の特殊分析方法、例えばICPによって分析および定量化する。
【0061】
イオン交換容量:
イオン交換容量(IUF)を判定するために、検査する原料粘土を105℃において2時間乾燥させた。その後乾燥した材料を充分な2N NHCl溶液と共に還流しながら1時間反応させる。室温中における16時間の放置後に薄膜吸込みフィルタを介して濾過し、その後フィルタケークを洗浄、乾燥、ならびに粉砕し、原料粘土中のHH含有量を製造者(レコ社製のCHN分析機)の指示に従って窒素測定法によって判定した。測定された粘土材料中に吸収されているNH量から陽イオン交換能力を計算する。交換された金属イオンの比率と種類を濾過液中においてICP分光分析によって判定した。
【0062】
X線回折法:
フィリップス社製のCu陽極を備えた高解像度粉末回折計(X′−ペルトMPD(PW3040)によってX線画像が作成された。
【0063】
沈降容積の判定
目盛付けされた100mlメスシリンダに100mlの蒸留水あるいは1%のソーダと2%のポリリン酸トリナトリウムからなる水性溶液を充填する。2gの測定すべき物質を遅速かつそれぞれ0.1ないし0.2gに分割して杓子を使って水の表面に付加する。付加した分片が沈降した後次の分片を付加する。2gの物質を全て付加しそれがメスシリンダの底部に沈降した後、シリンダを1時間室温中に放置する。その後メスシリンダの目盛上で沈降容積をml/2gの単位で読み取る。
【0064】
沈降容積の容積増加(膨潤容量)の測定
上述した沈降容積の測定に使用したものと同様な試験材料をパラフィルム(R)によって遮蔽し、室温中において3日間無振動で放置する。その後メスシリンダの目盛上で沈降容積を読み取る。沈降容積の増加は、測定開始時と3日間の放置時間後の沈降容積の差によって示される。
【0065】
乾燥篩残留物の測定
約50gの空気乾燥させた検査される鉱物を45μmの目幅の篩上で計量する。この篩は吸引機に接続されていて、これは篩の下側に開口した吸引口によって篩よりも細かい全ての成分をその篩を介して吸引するものである。篩をプラスチック蓋部材によって遮蔽し、吸引機を点入する。5分後に吸引機を停止して、篩上に残留した大粒の成分を重量差によって判定する。
【0066】
強熱減量:
焼き付けて計量した蓋付の磁器るつぼ内で約1gの乾燥した試料を0.1mgの精度で計量し、マッフル炉内において1000℃で2時間焼結する。その後るつぼを乾燥器内で冷却し計量する。
【0067】
例1: 原料粘土の特徴判定
本発明に係る方法に適した原料粘土(ドイツ国、モースブルグ市のズードケミー社より市販の原料粘土製品番号:05041)をその物理化学特性に関して検査した。それによって得られた結果は表Iないし表IIIにまとめられている。
【0068】
【表1】

【0069】
酒石酸の金属抽出
2.5gの表Iにおいて特徴付けられた原料粘土(空気乾燥)を250mlのメスフラスコ内に計量して入れ、指標位置まで1%の酒石酸溶液を注入する。そのメスフラスコを24時間室温で放置し、ひだ付濾紙を介してフラスコの内容物を濾過する。濾過液中においてAASを使用して表IIに示された数値を測定する。比較のためにドイツワイン法に従った限界値も示されている。
【0070】
【表2】

【0071】
データは粘土材料の極めて低い金属抽出を示している。特に、粘土材料は極少量の抽出された重金属を含んでいる。
【0072】
次に、表Iによって特徴付けられている粘土材料について、細孔容積中の特定の半径を有する細孔から形成された割合を検査した。そのデータは表IIIaないし表IIIcに示されている。
【0073】
【表3−a】

【0074】
【表3−b】

【0075】
【表3−c】

【0076】
例2
硫酸による原料粘土の活性化
例1で特徴付けられた原料粘土を水と混合し、その後3重量%のHSOによって活性化した。さらに、9.3%HO含有率に乾燥させた100gの粉末を、208gの水および2.83gのHSO(96%のもの)とビーカグラス内で完全に混和させた。生成された混合物を110℃で9.4%の水分含有率まで乾燥させ、その後一般的な漂白土の細度に粉砕した(63μmのメッシュ幅の篩上における乾燥篩残留物:20ないし40重量%;25μmのメッシュ幅の篩上における乾燥篩残留物:50ないし65重量%)。
【0077】
比較例1
米国特許第A−5008226号公報に従った漂白土を製造するための酸性アタパルジャイト/ベントナイトの硫酸活性化
米国ジョージア州地域産の天然に存在するアタパルジャイトとベントナイトの酸性混合物を15ないし20重量%のHOとなるまで予備乾燥させ、回転羽根式粉砕機によって粉砕し、さらに8重量%の水分含有率まで乾燥させた。生成された粉末100gを、309gの水および2.88gのHSO(96%のもの)とビーカグラス内で完全に混和させた。得られた混合物を110℃で9%の水分含有率まで乾燥させ、その後一般的な漂白土の細度に粉砕した(63μmのメッシュ幅の篩上における乾燥篩残留物:20ないし40重量%;25μmのメッシュ幅の篩上における乾燥篩残留物:50ないし65重量%)。
【0078】
比較例2
従来の技術による基準漂白土
酸を使用した脱アルミニウムによって生成可能な高活性漂白土(HPBE)の基準として、市販の漂白土トンシルオプティマム210FFおよびトンシルスプレーメ110FF(ズードヘミーAG社)を選択した。両方の製品とも、塩酸を使用したモンモリロナイトの脱アルミニウムによって製造される。
【0079】
従来の表面活性化された漂白土(SMBE)の例としては、オイル−ドゥリ社製のスプレーメプロアクティブを使用した。
【0080】
例3
菜種油および大豆油の漂白
脱粘化および非酸化した菜種油あるいは大豆油を、0.30あるは0.73重量%の漂白土を使用して110℃あるいは100℃かつ30ミリバールの圧力下で30分間漂白した。続いて漂白土を濾過し、油の色値を5″キュベット内でロビボンド方法によって判定した。この油の一部は、追加的に水蒸気処理によって脱臭した(30分、240℃、<1ミリバール)。ここで得られた油もロビボンド方法を使用して分析した。表IVおよび表Vに漂白の結果が示されている。
【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
表IVおよび表Vにより、例2の本発明に係る漂白土によって極めて良好な油の脱色(赤の色値およびクロロフィルA)が達成されることが顕著に示されている。ここで、実用上において全ての油が漂白後に脱色されるため、脱臭の数値が特別な意味を持っている。本発明に係る漂白土の浄化能力は高活性の漂白土と同等かあるいはそれより良好であり、また従来の表面活性化された漂白土を大幅に超えるものとなる。
【0084】
例4
パーム油の漂白
精製実験のために2つの異なったパーム油が使用されており、それらの特性は表VIに示されている。
【0085】
【表6】

【0086】
生のパーム油を以下の方法で精製した:
a) 脱粘化を伴ったパーム油Aの精製:
パーム油Aを精製するために、乾燥させガス抜きした生パーム油にまず0.06重量%のHPO(50%)を付加し、混合物を95℃かつ大気圧下で15分間攪拌した。その後0.2重量%のHOを添加し、さらに10分間大気圧下で攪拌した。脱粘化の後、油にいずれも2重量%の表Vに記載された漂白土を付加した。その混合物をまず95℃で20分間攪拌し、その後圧力を100ミリバールまで低下させ混合物をさらに95℃で30分間攪拌した。漂泊の後に油を80℃の温度下で紙フィルタを取り付けた吸込みフィルタを介して濾過した。
【0087】
漂白された油の脱臭は、1ミリバール未満の圧力下でまず30分間超加熱した水蒸気(流出温度:270℃)を、その後さらに60分間超加熱した水蒸気(流出温度:240℃)を、油を介して誘導することによって実施した。その後精製された油を特性分析した。その値は表VIIに記載されている。
【0088】
b) 脱塩化を伴わないパーム油Aの精製
精製のために、乾燥させガス抜きした生パーム油に直接2重量%の表VIIに記載された漂白土を付加し、混合物を95℃の温度かつ100ミリバールの圧力下で30分間攪拌した。その混合物をa)で記述したように濾過および脱臭した。その精製されたパーム油について得られた数値は同様に表VIIに記載されている。
【0089】
c) 脱粘化を伴ったパーム油Bの精製:
パーム油Bをまずa)で記述したように脱粘化し、その後漂白のためにいずれも1.35重量%の表VIIに記載された漂白土を付加した。次に混合物を95℃かつ大気圧下で20分間攪拌した。その後温度を115℃に高めて100ミリバールの圧力下で混合物をさらに25分間攪拌した。混合物を80℃の温度下で紙フィルタを取り付けた吸込みフィルタを介して濾過した。漂白された油の脱臭は、まず270℃の流出温度を有する水蒸気を、30分間油を介して誘導し、その後さらに60分間1ミリバール未満の圧力下で240℃の流出温度を有する超加熱した水蒸気によって油を処理することによって実施した。その後精製された油を特性分析した。その値は同様に表VIIに記載されている。
【0090】
d) 脱塩化を伴わないパーム油Bの精製
乾燥させガス抜きしたパーム油Bに直接1.35重量%の漂白土を付加し、混合物を115℃かつ100ミリバールの圧力下で25分間攪拌した。その処理の終了後、80℃の温度下で紙フィルタを取り付けた吸込みフィルタを介して油を濾過した。脱臭化のために、まず270℃の流出温度を有する超加熱した水蒸気を、30分間油を介して誘導した。その後さらに60分間1ミリバール未満の圧力下で240℃の流出温度を有する超加熱した水蒸気を、油を介して誘導することによって脱臭を続行した。精製されたパーム油のデータは表VIIに記載れている。
【0091】
【表7】

【0092】
脱粘化を省略した場合、意外なことに全ての漂白土に関して脱粘化を行った場合と比べてより低いロビボンド値が脱臭後に得られる。しかしながら、例2の漂白土を使用した場合を除いて、過度に高い油中におけるリンおよび鉄の含有率が示されている。例2の漂白土によって漂白された油においては、脱粘化/湿式漂白を伴った場合および伴わない場合のいずれにしても、リンおよび鉄の値が0.8あるいは0.1ppmの検出限界値未満である。パーム油“B”の場合は、1重量%である削減された分量によっても、良好な精製結果を達成し得ることが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】油、特にパーム油の物理的精製のための概略的なプロセスフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 200m/g超の比表面積と;
− 40meq/100g超のイオン交換容量と;
− 0.50ml/g超の細孔容積を有していて、細孔容積の少なくとも40%が少なくとも14nmの細孔直径を有する細孔から形成されるとともに、細孔容積の最大25%が7.5nm未満の細孔直径を有する細孔から形成されている、
原料粘土に活性化を施してなる吸着剤、特に漂白土加工物を製造するための方法。
【請求項2】
原料粘土のイオン交換容量が50meq/100g超である請求項1記載の方法。
【請求項3】
原料粘土が無水の原料粘土に対して11重量%未満のAl含有率を有してなる請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
原料粘土が無水の原料粘土に対して65重量%超のSiO含有率を有してなる請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
原料粘土が25ppm未満の、酒石酸によって浸出可能なAs、Pb、Cd、Hg等の重金属の比率を有してなる請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
酒石酸によって浸出可能な砒素の割合が1.5ppm未満、および/または酒石酸によって浸出可能な鉛の割合が5ppm未満、および/または酒石酸によって浸出可能なカドミウムの割合が0.5ppm未満、および/または酒石酸によって浸出可能な水銀の割合が0.2ppm未満である請求項5記載の方法。
【請求項7】
水中における原料粘土の沈降容積が10ml/2g未満である請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
表面活性化のために原料粘土を酸と接触させてなる請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
酸は水性の溶液として原料粘土と接触させてなる請求項8記載の方法。
【請求項10】
酸は鉱酸である請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
鉱酸は硫酸あるいは燐酸である請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の方法によって生成される吸着剤。
【請求項13】
請求項12記載の吸着剤の漂白土としての適用方法。
【請求項14】
油および脂質の精製のための請求項13記載の吸着剤の適用方法。
【請求項15】
− 200m/g超の比表面積と;
− 40meq/100g超のイオン交換容量と;
− 窒素多孔度測定法によって測定した0.50ml/g超の細孔容積を有していて、細孔容積の少なくとも40%が少なくとも14nmの細孔直径を有する細孔から形成されるとともに、細孔容積の最大25%が7.5nm未満の細孔直径を有する細孔から形成されている原料粘土を含んだ粘土加工物。
【請求項16】
原料粘土が25ppm未満の、酒石酸によって浸出可能なAs、Pb、Cd、Hg等の重金属の比率を有する請求項15記載の粘土加工物。
【請求項17】
− 植物性あるいは動物性の材料から得られた原料油を生成し;
− 200m/g超の比表面積と;
− 40meq/100g超のイオン交換容量と;
− 0.50ml/g超の細孔容積を有していて、細孔容積の少なくとも40%が少なくとも14nmの細孔直径を有する細孔から形成されるとともに、細孔容積の最大25%が7.5nm未満の細孔直径を有する細孔から形成されている、
原料粘土を含んだ漂白土加工物を使用して処理することによって前記の原料油に漂白を施し、
− 漂白された油を前記漂白土加工物から分離してなる、
脂質および/または油の精製方法。
【請求項18】
原料油がPとして計算して100ppm未満のリン含有率を有する請求項17記載の方法。
【請求項19】
原料油に脱粘化を施さない請求項17または18記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−542021(P2008−542021A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515052(P2008−515052)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006174
【国際公開番号】WO2006/131136
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507294959)ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (21)
【Fターム(参考)】