説明

漏れ検査用急速管継ぎ手

【課題】疑似漏れ(継ぎ手自身からの漏れ)がチャンバー内に漏れ出すのを抑制することができる急速管継ぎ手を提供すること。
【解決手段】連結管と気密に連結するためのシール部3bをもつピストン3のシール部3bの近傍にシール部3bを漏れ出す検査ガスを外部に排出する排出通路7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷熱空調機に対する冷媒ガス充填用機器の接続、吸水・給湯用配管、ガス配管などに際して、相手側の連結対象管にワンタッチ接続できるようにした急速管継ぎ手に関する。特に、燃料タンク等中空部品の漏れを検査するための急速管継ぎ手であって、検出ガス(ヘリウム等)源と被検査部品を短時間で接続・解除できるようにした漏れ検査用急速管継ぎ手に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品において、燃料系(ガソリンタンク、配管等)や冷却機器(ラジエータ、カーエアコン等)は、無漏洩が必須条件であるため、全数が漏れ検査される。
【0003】
従来、漏れ検査は、図8に示す検査装置を使って行われていた(例えば、非特許文献1参照。)。すなわち、検査部品101がチャンバー内100に挿入され、Heガスボンベ103に接続された管継ぎ手102で検査部品101の連結管101aが接続される。チャンバー内100の空気が真空ポンプ105で排気された後、Heガスボンベ103のバルブが開けられ、検査ガスであるHeガスが検査部品101に注入される。検査部品101に漏れがあると、チャンバー内100に漏れ出たHeガスがHeディテクター104で検出される。
【0004】
自動車部品は、全数検査をする必要があるが、量産品であるため、検査は効率よく行われなければならない。そこで、管継ぎ手102に急速管継ぎ手を用いて検査部品である検査体101とHeガスボンベ103との接続・解除が行われる。
【0005】
図9は、図8の急速管継ぎ手102の詳細を示す半断面図である。従来の急速管継ぎ手は、連結管101aの管通路101bに連通する継ぎ手通路33をもち且つ先端部に連結管101aと気密に連結するためのシール部32をもち、継ぎ手本体10に気密状態に内挿され連結管101aの前記先端部との間で装着時停止位置と装着が解除された非装着時停止位置との間を移動する筒状ピストン30を備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3002168号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】”自動車用燃料タンク漏れ検査システム”〔online〕、1999年3月,YAMAHA NEWS RELEASE、〔2000年7月26日検索〕、インターネット<URL:http//www.yamaha.co.jp/news/99032401.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、従来の急速管継ぎ手102は、シール部32で連結管101aと気密に接続されるが、管通路101b内のHeガスがシール部32から継ぎ手の外部に漏れ出すことがある。Heガスの漏れの原因は、主に、シール部材とシール溝の面粗度を含む寸法精度によるが、Oリング等のシール部材そのものからHeガスの透過により漏れることもある。漏れ出たHeガスはチャンバー内100に漏れ出して、Heディテクター104で検出されるので、検査体101に漏れがなくても漏れありと判定(疑似漏れ判定)されてしまう。このような急速管継ぎ手からの疑似漏れは僅かであるため、従来は問題にならなかった。しかし、最近の自動車部品(例えば、燃料電池用容器等)は、高精度の漏れ検査が要求されるため、上記従来の急速管継ぎ手からの疑似漏れを抑制する必要がある。
【0009】
本発明は、上記従来の漏れ検査用急速管継ぎ手の問題に鑑みてなされたものであり、疑似漏れがチャンバー内に漏れ出すのを抑制することができる急速管継ぎ手を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するためになされた本発明の漏れ検査用急速管継ぎ手は、検査ガスを充填して漏れ検査を行う漏れ検査体の内部に連通する連結管の先端部が軸線方向に先端側から挿抜される筒状の継ぎ手本体と、前記継ぎ手本体に移動可能に装着され前記連結管の先端部外周に係合する係合位置と前記先端部外周を解離する解除位置との間で変位する係止部材と、前記連結管の管通路に連通する継ぎ手通路をもち且つ先端部に前記連結管と気密に連結するためのシール部をもち、前記継ぎ手本体に気密状態に内挿され前記連結管の前記先端部との間で装着時停止位置と装着が解除された非装着時停止位置との間を移動する筒状ピストンと、前記継ぎ手本体の外周側に軸線方向移動可能に案内され、前記継ぎ手本体の前記先端側から後退或いは前進して前記係止部材を前記係合位置に変位させてロックし前記先端側に前進或いは後退して前記係止部材を前記解除位置に変位させる変位ロック部をもつスリーブと、を有する漏れ検査用急速管継ぎ手であって、前記ピストンの前記シール部の近傍に前記シール部を漏れ出す前記検査ガスを外部に排出する排出通路を備えることを特徴とする。
【0011】
排出通路に排気管を接続して真空ポンプでチャンバー外に排気することができる。その結果、チャンバー内への疑似漏れを抑制することができる。
【0012】
上記の漏れ検査用急速管継ぎ手において、前記排出通路を前記シール部とで挟む位置に補助シール部を備えるとよい。
【0013】
シール部から漏れ出す検出ガスを排出通路を介して有効に外部に排出することができる。その結果疑似漏れを一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
シール部の近傍に前記シール部を漏れ出す検査ガスを外部に排出する排出通路を備えるので、排出通路に排気管を接続して真空ポンプでチャンバー外に排気することができる。その結果、疑似漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】係止部材が係合位置にある実施形態1に係る急速管継ぎ手(接続後)の半断面図である。
【図2】係止部材が解除位置にある実施形態1に係る急速管継ぎ手(接続前)の半断面図である。
【図3】実施形態1に係る急速管継ぎ手を用いた漏れ検査装置の概略構成図である。
【図4】実施形態2に係る急速管継ぎ手(接続後)の半断面図である。
【図5】実施形態3に係る急速管継ぎ手(接続前)の半断面図である。
【図6】実施形態3に係る急速管継ぎ手(接続後)の半断面図である。
【図7】実施形態4に係る急速管継ぎ手(接続後)の半断面図である。
【図8】従来の急速管継ぎ手を用いた漏れ検査装置の概略構成図である。
【図9】従来の急速管継ぎ手の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)本実施形態の急速管継ぎ手V1は、図1〜図3に示すように、漏れ検査体101の内部に連通する連結管101aの先端部が軸線方向に先端側から挿抜される筒状の継ぎ手本体1と、継ぎ手本体1に移動可能に装着され連結管101aの先端部外周に係合する係合位置と前記先端部外周を解離する解除位置との間で変位する係止部材2と、連結管102aの管通路101bに連通する継ぎ手通路3cをもち且つ先端部に連結管101aと気密に連結するためのシール部3bをもち、継ぎ手本体1に気密状態に内挿され連結管101aの先端部との間で装着時停止位置と装着が解除された非装着時停止位置との間を移動する筒状ピストン3を有している。本実施形態の急速管継ぎ手V1は、更に継ぎ手本体1の外周側に軸線方向移動可能に案内され、継ぎ手本体1の先端側に前進して係止部材2を係合位置に変位させてロックし先端側から後退して係止部材2を解除位置に変位させる変位ロック部52をもつスリーブ5と、を有し、シール部3bの近傍にシール部3bを漏れ出す検査ガスを外部に排出する排出通路7を備えている。
【0017】
急速管継ぎ手V1は、係止部材(ボール)2を連結管101aの外周凸部101cに係合させて連結管101aと接続される。
【0018】
継ぎ手本体1の前端部においては、その内周から外周に貫通するテーパ孔11が周方向に8個形成されている。このテーパ孔11には、ボール(係合部材)2が径方向の移動可能に収容されている。
【0019】
ボール2の外径寸法は継ぎ手本体1の厚さよりも大きく設定されているため、ボール2は継ぎ手本体1の内周側と外周側の少なくとも一方に必ず突出する。
【0020】
継ぎ手本体1内には、ピストン3が軸方向の移動可能に且つスプリング31によって前方(先端側)へ付勢されて設けられている。
【0021】
継ぎ手本体1の後端部には、排出通路中間部7bと連通する孔7cが形成されている。
【0022】
連結管101aの前端部が当接するピストン3の内側中央付近の溝にはパッキンが装着されシール部3bを構成している。ピストン3の後端部外周には後述するアダプタ6を介して継ぎ手本体1との間をシールするOリング3aが嵌着されている。
【0023】
ピストン3の先端部内周には連結管101aの外周と気密に係合するための補助シール部(Oリング)3dを備えている。
【0024】
ピストン3のシール部3bと補助シール部3dとの間に、一端部が継ぎ手通路3cに開口し他端部が排出通路中間部7bに開口する通孔7aを備えている。すなわち、本実施形態の急速管継ぎ手V1は、シール部3bの低圧側に通孔7aを備えている。
【0025】
継ぎ手本体1の後端部内周にはアダプタ6が螺合されている。継ぎ手通路3cと連通するアダプタ6の開口6aには、Heガスボンベ103と連結する配管103aが螺合接続される。
【0026】
アダプタ6と継ぎ手本体1との気密は、継ぎ手本体1の後端部に嵌着されたOリング1aで達成される。
【0027】
アダプタ6の側方には、補助真空ポンプ106の配管106aが連結される排気孔7eが開口している。そして、排気孔7eの内壁には継ぎ手本体1の孔7cに連通する孔7dが形成されている。
【0028】
排出通路中間部7bは、継ぎ手本体1の内壁、ピストン3の外壁及びアダプタ6の外壁で形成され、後端部が孔7cに連通し、他端部が連結管101aとの接続時、通孔7aと連通する。したがって、通孔7a、排出通路中間部7b、孔7c、孔7d、排気孔7eで排出通路7を構成する。
【0029】
継ぎ手本体1の外周には、スリーブ5が軸方向の移動可能に且つスプリング51により先端側(ロック方向)へ付勢された状態で設けられている。
【0030】
スリーブ5の前端部には変位ロック部52を備えている。変位ロック部52は、ボール2の外周を後方から押してそのボール2を内周側(係合位置側)へ押動する押動斜面52bと、ボール2を外周側から押圧して係合位置にロックする押圧部52aと、係合位置にあるボール2の解除位置側への変位を規制する規制部52cとを備えている。また、スリーブ5の外周には、このスリーブ5を後方(ロック解除方向)へスライド操作するための指掛け凸部5cが形成されている。
【0031】
図3に示すように、検査体101の漏れ検査を行う際は、真空ポンプ105及び補助真空ポンプ106が作動し、Heガスボンベ103のバルブが開けられ継ぎ手通路3c内が高圧になる。すると、継ぎ手通路3cに充満するHeガスの一部は、シール部3bの先端面と連結管101aの先端面との間の隙間を通り連結管101aの外周隙間(低圧側)に漏れ出す。漏れ出たHeガスは、ピストン3の内周壁と連結管101aの外周壁の間を通り、シール部3bの近傍に開口する排出通路7の通孔7aを通って補助真空ポンプ106で排気される。
【0032】
したがって、急速管継ぎ手V1のシール部3bから漏れ出すHeガスがチャンバー内100には漏れ出さないので、検査体101の漏れを高精度に検査することができる。
【0033】
本実施形態の急速管継ぎ手V1は、排出通路7の通孔7aをシール部3bとで挟む位置に補助シール部3dを備えているので、シール部3bを漏れ出たHeガスが通孔7aから排気される前にピストン3の内周壁と連結管101aの外周壁との間の隙間を通ってチャンバー内100に漏れ出すことが無くなる。その結果、検査体101の漏れ検査を一層高精度に行うことができる。
【0034】
なお、補助シール部3dを省略しても、例えば、補助真空ポンプ106の能力を上げることで、検査体101の漏れを高精度に検査することができる。
【0035】
また、3dをシール部、3bを補助シール部としてもよい。この場合、通孔7aはシール部3dの高圧側に開口することになる。したがって、排出通路7(通孔7a)はシール部の近傍にあればよく、シール部の高圧側でも低圧側でもよい。
【0036】
次に、本実施形態の急速管継ぎ手V1の動作について説明する。図1のボール2が係合位置にある接続状態で、指掛け凸部5cに指をかけてスリーブ5をスプリング51の付勢力に抗して後退させると、スリーブ51の規制部52cがボール2に対向する。すると、ピストン3がスプリング31の付勢力で先端側に押され連結管101aも先端側に押し出される。すると、連結管101aの外周凸部101cがボール2を解除位置(図1で上方)に変位させ、図2に示すように、ピストン3の先端部でボール2の係合位置(図2で下方)への変位を規制するので、ボール2が係合位置方向(図2で下方)に変位することがない。
【0037】
この状態(図2の解除状態)から連結管101aを接続する際には、継ぎ手本体1内に連結管101aを挿入して急速管継ぎ手V1を先端側(連結管101の方)に押して、その先端をピストン3のシール部3bに当接させ、さらにスプリング31の付勢力に抗して所定の深さまで押し込むようにする。すると、ピストン3が後退し、それに伴ってボール2の係合方向への変位を規制していたピストン3の先端部も後退してボール2が係合位置に変位することができるようになる。同時にスリーブ5がスプリング51の付勢力で先端側に前進して押動斜面52bでボール2を係合位置に変位させ、押圧部52aが係合位置にあるボール2を押圧して図1の接続状態となる。
【0038】
この係合状態(図1の接続状態)から連結管101aを離脱(解除)する際には、図1に示す状態からスリーブ5を手でスプリング51の付勢力に抗して後方にスライドさせる。すると、スリーブ51の規制部52cがボール2に対向する。この状態で急速管継ぎ手V1を後端側に後退させると、連結管101aの外周凸部101cがボール2を解除位置(図1で上方)に変位させ、同時にピストン3がスプリング31の付勢力で先端側にスライドし、図2に示すように、ピストン3の先端部でボール2の係合位置(図2で下方)への変位を規制するので、ボール2が係合位置方向(図2で下方)に変位することがなく、解除位置に留まる。
【0039】
上記動作説明でわかるように、本実施形態の急速管継ぎ手V1は、接続する際は、急速管継ぎ手V1を先端側(連結管101aに接近する方)に押し、解除する際は、スリーブ5を後端側(連結管101aから遠ざかる方)に引く、所謂プッシュプルタイプである。
(実施形態2)本実施形態の急速管継ぎ手V1Aは、図4に示すように、ピストン3Aが実施形態1の急速管継ぎ手V1のピストン3と相違するだけで、その他は、同じである。同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0040】
ピストン3Aは、連結管101aの内面をシールするシール部3Abを備えている。したがって、シール部3Abから漏れ出すHeガスは、ピストン3Aと連結管101aの間の隙間を通り、シール部3Abの近傍に開口する排出通路7の通孔7aを通って外部に排気される。よって、検査体101の漏れを高精度に検査することができる。
(実施形態3)本実施形態の急速管継ぎ手V2は、図5及び図6に示すように、実施形態1のプッシュプルタイプ急速管継ぎ手V1をプッシュ・プッシュタイプにしたものである。すなわち、本実施形態の急速管継ぎ手V2は、接続する際も、急速管継ぎ手V2を先端側(連結管101aに接近する方)に押し、解除する際も、スリーブ5Bを先端側(連結管101aに接近する方)に押すタイプである。
【0041】
したがって、スリーブ5Bと係止部材2Bが大きく相違し、継ぎ手本体1Bとアダプタ6Bが僅かに相違する以外は、実施形態1の急速管継ぎ手V1と同じである。同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0042】
本実施形態の急速管継ぎ手V2は、継ぎ手本体1Bの外周側に軸線方向移動可能に案内され、継ぎ手本体1Bの先端側から後退して係止部材2Bを係合位置に変位させてロックし先端側に前進した係止部材2Bを解除位置に変位させる変位ロック部52Bをもつスリーブ5Bを有し、シール部3bの近傍にシール部3bを漏れ出す検査ガスを外部に排出する排出通路7を備えている。
【0043】
継ぎ手本体1Bは、筒状をなし、その前端部には連結管101aが挿入される。継ぎ手本体1Bの後端部の内周にはアダプタ6Bが螺合されている。アダプタ6Bと継ぎ手本体1Bとの気密は、継ぎ手本体1Bの後端部に嵌着されたOリング1Baで達成される。このアダプタ6BにはHeガスボンベ103と連結する配管103aがねじ込みにより接続される(図3参照。)。
【0044】
アダプタ6Bの側方には、補助真空ポンプ106の配管106aが連結される排気孔7eが開口している。そして、排気孔7eの内壁には排出通路中間部7bに連通する孔7dが形成されている。
【0045】
継ぎ手本体1Bの前端部においては、その内周から外周に貫通する上下一対の切欠部11Bが形成されている。
【0046】
切欠部11Bは、上下方向から視て方形に開口し、軸線Lと90°をなす直角壁面11Ba、11Bbをもつ。
【0047】
この両切欠部11Bには、夫々、断面略L字状の係止部材(コレット)2Bが収容されている。コレット2Bは、前端部に切欠部11Bの直角壁面11Baに当接する直角壁面2Baを、後端部に直角壁面11Bbに当接する直角壁面2Bbもつ。また、コレット2Bは、前端外周に凹部2Bcをもち、後端外周に凸部2Beをもつ。凹部2Bcと凸部2Beとは、斜面2Bdで連結されている。また、内周面2Bgと壁面2Bbとは、斜面2Bfで連結されている。
【0048】
継ぎ手本体1Bの外周には、スリーブ5Bが軸線L方向の移動可能に且つスプリング51Bによりロック方向(先端方向)へ付勢された状態で設けられている。スリーブ5Bは、コレット2Bを係合位置と解除位置とに変位させてロックする変位ロック部52Bを備えている。
【0049】
変位ロック部52Bは、先端側にスライドされた際、コレット2Bを解除位置に変位させるべくコレット2Bの凹部2Bcが当接される面52Ba、斜面2Bdが当接される斜面52Bc、凸部2Beが当接される凹部52Bcをもつ。また、変位ロック部52Bは、後端側にスライドされた際、コレット2Bを係合位置に変位させるべくコレット2Bの凹部2Bcに当接する面52Bd、斜面2Bdに当接する斜面52Beを備えている。
【0050】
図3に示すように、検査体101の漏れ検査を行う際は、真空ポンプ105及び補助真空ポンプ106が作動し、Heガスボンベ103のバルブが開けられる。すると、継ぎ手通路3cに充満するHeガスの一部は、シール部3bの先端面と連結管101aの先端面との間の隙間を通り漏れ出す。漏れ出たHeガスは、ピストン3の内周壁と連結管101aの外周壁の間を通り、シール部3bの近傍に開口する排出通路7の通孔7aを通って補助真空ポンプ106で排気される。
【0051】
したがって、急速管継ぎ手V2のシール部3bから漏れ出すHeガスがチャンバー内100には漏れ出さないので、検査体101の漏れを高精度に検査することができる。
【0052】
次に、本実施形態の急速管継ぎ手V2の動作について説明する。連結管101aがピストン3で先端側(矢印A1方向)に押され、外周をコレット2Bで狭持された接続状態にある図5の状態からスリーブ5Bを連結管101aの方向(矢印A1方向)に押して前進させる。すると、面52Baがコレット2Bの凹部2Bcに対向し、凹部52Bcが凸部2Beに対向するようになる。また、コレット2Bの斜面2Bfと係合していた連結管101aの外周凸部101cがスプリング31の付勢力で矢印A1方向に移動してコレット2Bを外周方向に押し、コレット2Bの凸部2Beが変位ロック部52Bの凹部52Bcに滑り込んで図6に示す状態となる。このとき、ピストン3を押すスプリング31は、延びた状態になる。一方、スプリング1Bは縮んだ状態でスリーブ5Bを後端側(矢印A2 方向)に付勢して(引っ張って)いる。
【0053】
図6に示す解除状態から連結管101aを接続する際には、アダプタ6Bを指でつまんで急速管継ぎ手V2を連結管101aの方に移動させ、ピストン3の前端部のシール部3bを連結管101aの先端部に当接させる。次に、アダプタ6Bを矢印A1方向に押すと、ピストン3と継ぎ手本体1Bには矢印A1方向に移動しようとする力が掛かる。一方、スリーブ5Bにはスプリング51Bの付勢力で矢印A2方向(矢印A1と逆方向)に移動する力が掛かっているので、アダプタ6Bを矢印A1方向に押す力が大きくなると、コレット2Bの斜面2Bdと変位ロック部52Bの斜面52Bcとの間の摺動摩擦力に打ち勝ってスリーブ5Bが矢印A2方向に移動(後退)する。すると、コレット2Bは、変位ロック部52Bで内周側に押し込まれ、連結管101aと係合する係合位置に変位ロックされ図5の状態になる。
【0054】
この接続状態(図5の状態)から連結管101aを解除する際は、スリーブ5Bをスプリング51Bの付勢力に抗して先端側(矢印A1方向)に押して前進させる。すると、コレット2Bの斜面2Bfと係合していた連結管101aの外周凸部101cがスプリング31の付勢力で矢印A1方向に押されコレット2Bを外周側に押すと同時に、コレット2Bの斜面2Bdが変位ロック部52Bの斜面52Bbに摺接し、コレット2Bの凸部2Beが凹部52Bcに、滑り込んで図6に示す状態になる。
【0055】
上記のように、本実施形態の急速管継ぎ手V2は、アダプタ6Bを矢印A1方向に押すことで連結管101aと接続することができる。また、スリーブ5Bを矢印A1方向に押すことで連結管101aを解除することができる。すなわち、本実施形態の急速管継ぎ手V2は、プッシュ・プッシュタイプである。
(実施形態4)本実施形態の急速管継ぎ手V2Aは、図7に示すように、ピストン3Aが実施形態3の急速管継ぎ手V2のピストン3と相違するだけで、その他は、同じである。同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0056】
ピストン3Aは、連結管101aの内面をシールするシール部3Abを備えている。したがって、シール部3Abから漏れ出すHeガスは、ピストン3Aと連結管101aの間の隙間を通り、シール部3Abの近傍に開口する排出通路7の通孔7aを通って外部に排気される。よって、検査体101の漏れを高精度に検査することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、1B・ ・・・・・・・・ ・・継ぎ手本体
2、2B・・・・・・・・・・・・係止部材
3、3A・・・・・・・・・・・・ピストン
3c・・・・・・・・・・・・継ぎ手通路
3b、3Ab・・・・・・・・・シール部
3d・・・・・・・・・・・・補助シール部
5、5B・・・・・・・・・・・・スリーブ
52、52B・・・・・・・・変位ロック部
7・・・・・・・・ ・・・・・・排出通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査ガスを充填して漏れ検査を行う漏れ検査体の内部に連通する連結管の先端部が軸線方向に先端側から挿抜される筒状の継ぎ手本体と、
前記継ぎ手本体に移動可能に装着され前記連結管の先端部外周に係合する係合位置と前記先端部外周を解離する解除位置との間で変位する係止部材と、
前記連結管の管通路に連通する継ぎ手通路をもち且つ前記連結管と気密に連結するためのシール部をもち、前記継ぎ手本体に気密状態に内挿され前記連結管の前記先端部との間で装着時停止位置と装着が解除された非装着時停止位置との間を移動する筒状ピストンと、
前記継ぎ手本体の外周側に軸線方向移動可能に案内され、前記継ぎ手本体の前記先端側から後退或いは前進して前記係止部材を前記係合位置に変位させてロックし前記先端側に前進或いは後退して前記係止部材を前記解除位置に変位させる変位ロック部をもつスリーブと、
を有する漏れ検査用急速管継ぎ手であって、
前記筒状ピストンの前記シール部の近傍に前記シール部を漏れ出す前記検査ガスを外部に排出する排出通路を備えることを特徴とする漏れ検査用急速管継ぎ手。
【請求項2】
前記排出通路を前記シール部とで挟む位置に補助シール部を備える請求項1に記載の漏れ検査用急速管継ぎ手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−17817(P2012−17817A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156426(P2010−156426)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【特許番号】特許第4662295号(P4662295)
【特許公報発行日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(599128723)株式会社暁技研 (3)
【Fターム(参考)】