説明

漏水検知装置

【課題】 装置がコンパクトでメンテナンスもし易く、しかも漏水報知の信頼性が高い床下設置用の漏水検知装置を提供する。
【解決手段】 建築物における床下FUでの漏水を検知する装置であって、一対の検知用電極部4b1,4b2を備えた漏水検知部4と、電源部5と、前記一対の電極部4b1,4b2が短絡され電源部5より前記電極部4b1,4b2に電力が供給された時に作動する報知部7と、スイッチ部8と、制御部6とを備える。前記漏水検知部4は床下FUに置かれ、前記電源部5、報知部7、スイッチ部8および制御部6はユニット化されて建築物の居室壁部Wに設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏水検知装置、特に集合住宅等における居室の床下に進水する漏水を検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅での漏水の原因は、初期段階では給水給湯配管の施工上のトラブルによる漏水が大半である。また、築年数が増えるにつれ、その原因は日常生活における居住者による不意の水こぼしや、洗濯機のオーバーフロー、或いは各種機器と配管との接続部の緩み等による場合に変化して行く。そのため、初期段階で漏水がなかったからと言ってその後も漏水がないとは限らず、居住者は漏水を起こさないよう常に注意が必要である。対策としては、漏水を起こさないようにすることが最も肝要であるが、漏水を起こしてしまった時には、いかに早く対応できるかで被害の程度が異なる。したがって、早期発見によって被害を最小限に抑えることができることは言うまでもない。しかし、近年のマンション等の集合住宅は、2重床とされ、床下に多くの配管が配設されているため、床下で漏水があっても気付かないことがある。また、床上での水こぼしや洗濯機のオーバーフロー等があった際にも床下に進水するため、下階の天井より漏水があることを下階の居住者から指摘されて初めて知ることになり、床を開けると床下に水が溜っていたというケースが多く、下階の居住者に多大な迷惑をかけることになる。
【0003】
このような観点から、床下に設置され、床下の漏水を検知して居住者に報知するようにした漏水検知装置が実用化されている。特許文献1は、そのような漏水検知装置の一例を示すものである。この特許文献1に開示された漏水検知装置は、装置本体にセンサー部と、電源部と、警報部または発信部と、制御部とを設け、これを建築物における床下のコンクリートスラブ上に設置するよう構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−362384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された漏水検知装置は、関係する大半の機器が装置本体に搭載され、そのまま床下に設置されるものであるから、装置のメンテナンス時には床面を外して行う必要があり、極めて煩雑である。特に、装置の設置状態が居室内から確認できないため、横倒れしていても判らず、装置の正常な作動が保障されない状態に放置されることも予想される。また、漏水が起こると水没によって関係機器が故障する懸念があるため、特許文献1では、これら機器の水没を防止するための浮き材も設けられており、構成部品が多く、コスト高となると共に、装置全体が大きくなり、設置スペースを大きく確保する必要がある。更に、一度漏水の警報が発せられると、居室内には警報を止める手段がないため、漏水がなくなるまで警報が継続されることにもなる。また、電源部として、ボタン電池や乾電池などの独立した小型の電源手段が用いられているため、定期的に電池交換をする必要があり、大変面倒である。電池交換の忘れにより、実質は初期段階の(設置後1年程度)の漏水を検知するのみにとどまることもある。そして、電池切れによって電池切れ警報ブザーが途中で止まってしまう恐れもあり、居住者の不在時間が長いと電池切れに気付かずそのままになってしまうこともある。また、インターホーンに組み込むタイプの漏水センサ(通常、オプション)も実用化されているが、極めて高価であり、汎用性に乏しいとの指摘もされている。
【0006】
本発明の目的は、装置がコンパクトでメンテナンスもし易く、しかも漏水報知の信頼性が高い床下設置用の漏水検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の漏水検知装置は、建築物における床下での漏水を検知する装置であって、一対の検知用電極部を備えた漏水検知部と、電源部と、前記一対の検知用電極部が短絡され電源部より該電極部に電力が供給された時に作動する報知部と、スイッチ部と、制御部とを備え、前記漏水検知部は床下に置かれ、前記電源部、報知部、スイッチ部および制御部はユニット化されて建築物の居室壁部に設置されるよう構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の漏水検知装置において、前記漏水検知部が、絶縁性芯材と、該絶縁性芯材の周体に巻回された導電線からなる一対の検知用電極部とにより構成されているものとすることができる。この場合、絶縁性芯材を、中空の筒状体からなるものとしても良い。絶縁性芯材としては、ゴム製のものや塩化ビニル樹脂等の樹脂製のものが用いられる。特にゴム製のものは、絶縁性に優れ、かつ重量もあることから、床下での設置安定性が良く、望ましく採用される。また、前記導電線を、コイル線によるリング体からなるものとしても良い。
【0009】
本発明の漏水検知装置において、前記一対の検知用電極部間の電圧変化を検出する検出手段を更に備え、前記制御部は、該検出手段による検出値が所定の閾値を超えたときに前記報知部を作動させるよう制御するものとしても良い。
【0010】
本発明の漏水検知装置において、前記電源部が、交流電源に接続され交流電力を直流電力に変換して前記電極部に直流電力を供給するアダプタを備えているものとしても良い。また、前記スイッチ部を、前記電源部による電力供給をオン・オフする操作スイッチからなるものとしても良い。
【0011】
本発明の漏水検知装置において、前記報知部として、ランプ或いはスピーカが望ましく用いられ、両者を併用することも可能である。ランプとしてはLED(発光ダイオード)、ハロゲンランプその他の公知のランプが用いられ、連続発光や点滅発光等の発光モードが適宜設定される。また、スピーカからはブザーを発する場合の他、予め制御部に登録された合成音声メッセージ(例えば、「水漏れです。」等)を発するよう構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の漏水検知装置によれば、漏水検知部が床下に置かれ、床下に漏水があったときには、一対の検知用電極部が漏水に浸漬され、これによって検知用電極部が電気的に短絡する。この電気的短絡により、電源部から検知用電極部に電力が供給され、これによって報知部が作動し、居室内の居住者は床下に漏水があることを逸早く知ることができる。しかも、報知部は居室の壁部に設置されているから、視覚的或いは聴覚的に報知部の報知を的確に認識することができ、漏水処置の速やかな対応が可能となる。そして、スイッチ部も報知部と共に居室壁部に設けられているから、漏水検知が不要な時にスイッチ部をオフとすることができ、或いは漏水報知を認識し、漏水処置作業をする際に不要な報知を遮断することができる。更に、検知用電極部以外の電気的機器はユニット化されて居室壁部に設置されるから、漏水によってこれら機器が水没する懸念がなく、水濡れによる故障が生じることもない。主要な機器がユニット化されて居室壁部に設置されることからメンテナンスにも優れ、信頼性の高い漏水報知が約束される。しかも、構造が簡単であるから、コンパクトに構成でき、かつ安価に提供することができる。
【0013】
前記漏水検知部が、絶縁性芯材と、該絶縁性芯材の周体に巻回された導電線からなる一対の検知用電極部とにより構成されているものとした場合、検知用電極部は絶縁性芯材の周体に巻回されているから、絶縁性芯材がどのように床下に置かれようと、検知用電極部が床下面に接することになり、漏水検知が的確になされる。また、漏水検知部が簡易な構造によって構成されているから、その設置スペースを大きく確保する必要もない。そして、絶縁性芯材を、中空の筒状体からなるものとすれば、検知用電極部に対するリード線の引き回しおよび電気的結線が簡易になされる。
【0014】
更に、前記導電線をコイル線によるリング体からなるものとすれば、絶縁性芯材の表面から導電線がコイル径分突出することになるから、検知用電極部が置かれる床下面に多少の不陸があっても導電線の床下面への接触が確実になされ、漏水検知の信頼性がより高められると共に、コイル線によるばね性が付与され、絶縁性芯材の周体に対する導電線の巻回装着が簡易かつ安定的になされる。
【0015】
前記一対の検知用電極部間の電圧変化を検出する検出手段を更に備え、前記制御部を、該検出手段による検出値が所定の閾値を超えたときに前記報知部を作動させるよう制御するものとした場合、床下面が保湿する湿分や湿度変化によって検知用電極部が電気的に短絡した場合の微小な電圧値より大きな値に前記閾値を設定しておけば、漏水がないにも拘わらず漏水報知がなされるような誤作動の発生を防止することができる。この閾値の設定は、漏水以外の原因で電圧値が変化する場合を種々想定して実験的に検証した上で適性になされる。
【0016】
前記電源部が、交流電源に接続され交流電力を直流電力に変換して前記電極部に直流電力を供給するアダプタを備えているものとした場合、一般の商用電源を使用することができるから、通常の電気コンセント等の設置と同様の感覚で建築物の一設計事項として組み込むことができる。また、電池を電源とするもののように煩わしい定期的な電池交換作業を不要とすると共に、電池交換の忘れによって作動不能状態に放置されるような懸念もない。
【0017】
前記スイッチ部を、前記電源部による電力供給をオン・オフする操作スイッチからなるものとした場合、漏水検知が不要の際には、操作スイッチをオフとして電力の浪費を防止することができる。また、漏水報知があった際には、操作スイッチをオフとした上で漏水処置にとりかかることができ、漏水処置作業中にも漏水報知がそのまま継続されるような状態を回避することができる。
【0018】
前記報知部として、ランプ或いはスピーカを用いた場合、居室内の居住者は視覚的に、或いは聴覚的に漏水を認識することができ、的確かつ速やかな対応を行うことができる。ランプとスピーカを併用した場合には、居住者の状態(例えば、近くにいる場合、少し離れた位置にいる場合、就寝している場合等)に応じても的確な報知がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の漏水検知装置の一実施形態を図1〜図7を参照して説明する。図1は同実施形態に係る漏水検知装置1を集合住宅(建築物)の居室Rに設置した状態を示し、該居室Rの下には、下階居室(図示せず)との境界となる床下地としてのコンクリートスラブSが存在する。床FとコンクリートスラブSとの間の空間部分(床下)FUには、給水或いは給湯用の配管Pが配設されている。居室Rが洗面場や台所の場合は、このような配管Pが床下FUに多く配設される。したがって、本漏水検知装置1による漏水検知箇所は、洗面場や台所の床下が望ましい。床F上には、間仕切り用の壁(居室壁部)Wが構築され、該壁Wは内装材と断熱材等によって構成される。
【0020】
漏水検知装置1は、壁Wに設置される制御ボックス2と、該制御ボックス2より導出された分岐線10b1,10b2(後記する)に2芯ケーブル3を介して接続され、床下FUのコンクリートスラブS上に置かれる漏水検知部4とよりなる。漏水検知部4は、中空円筒状に成型されたゴム製の絶縁性芯材4aの周体に巻回された一対の検知用電極部4b1,4b2とよりなり、該検知用電極部4b1,4b2には前記ケーブル3のリード線3b1,3b2に半田付け等によって電気的に結線されている(図4参照)。ケーブル3の途中にはコネクタ部3aが設けられ、制御ボックス2に対しコネクタ部3aを介して漏水検知部4が電気的に接続されている。制御ボックス2は、操作パネル部2aと、方形箱型のボックス本体部2bとよりなり、操作パネル部2aが居室R内に露出するよう壁W内に設置されている。ボックス本体部2b内には電源部5および制御部6が設置され、操作パネル部2aには報知部7としてのランプ7aおよびスピーカ7bと、入り切り操作スイッチ(スイッチ部)8が取付けられている。図2は操作パネル部2aを居室R側から見た状態を示し、居室R内の居住者がランプ7aの発光状態を視認し易い位置に設けられる。スピーカ7bからは、ブザーや音声メッセージ等が居室R内に発信される。更に、操作スイッチ8は居住者が操作し易い位置に設けられる。
【0021】
漏水検知部4は、図3および図4に示すように、ゴムの成型体からなる中空円筒状絶縁性芯材4aの周体に、銅線等によるコイル線をリング状に形成した導電線4b1,4b2が巻回され、この導電線4b1,4b2によって一対の検知用電極部が構成されている。検知用電極部としての導電線4b1,4b2は、コイル線のリング体からなるから、ばね性を保有し、これにより絶縁性芯材4aの周体への巻回が簡易かつ安定的になされる。絶縁性芯材4aの筒壁4aaには透孔4abが形成され、該透孔4abより前記2芯ケーブル3が内筒部4ac内に挿入されている。ケーブル3の2本のリード線3b1,3b2は、内筒部4ac内で被覆が剥離された状態とされると共に、絶縁性芯材4aの筒壁4aaを貫き絶縁性芯材4aの外周部に導出され、絶縁性芯材4aの周体に巻回された導電線4b1,4b2に半田等により電気的に結線されている。絶縁性芯材4aは、ゴム製で中空の筒状体からなるから、リード線3b1,3b2のこのような引き回しと、導電線4b1,4b2との電気的結線が簡易かつ強固になされる。
【0022】
図5は、前記のように構成される漏水検知装置1の電気的制御ブロック図を示している。本漏水検知装置1は、商用の交流電源(例えば、AC100V)10に接続される。交流電源10から供給される交流電力は、制御ボックス2内に設置された電源部5を構成するアダプタ5aによって直流電力に変換されかつ変圧され、その出力線10a1,10a2が制御部としてのCPU6に入力される。出力線10a1,10a2から分岐された分岐線10b1,10b2には、コネクタ部3aを介して前記2芯ケーブル3が接続されている。出力線10a1,10a2の一方に操作スイッチ8が設けられ、漏水検知装置1に対する電力供給のオン・オフがなされる。分岐線10b1,10b2間には直流電圧計9が橋絡され、該直流電圧計9が電極部4b1,4b2間の電圧変化を検出する検出手段を構成している。この電圧計9による検出信号はCPU6に入力される。CPU6は、入力される検出信号(電圧値)と予め設定された閾値Vs(図6参照)とを比較する比較手段(図示せず)を有している。制御ボックス2には、図5に示すように、アダプタ5、CPU6、報知部7、操作スイッチ9および電圧計9がユニット化されて組み込まれ、図1に示すように居室Rの壁Wに設置される。また、制御ボックス2から分岐線10b1,10b2およびケーブル3を介して導出接続された漏水検知部4は、床下FUのコンクリートスラブSの上に置かれ、これらによって床下FUにおける漏水の漏水検知装置1が構成される。
【0023】
前記のように構成された漏水検知装置1による床下FUの漏水検出について、図7のフロー図も参照しながら述べる。前記閾値Vsは、前述の通り、コンクリートスラブSが保湿する湿分や外部環境の湿度等によって検知用電極部4b1,4b2が電気的に短絡状態になった場合の微小な電圧値より大きな値に設定されている。スイッチ8がオンとされた状態(ステップS2)で、床下FUに、床F上での不意の水こぼし等や、配管Pのトラブル等によって進水すると、検知用電極部(導電線)4b1,4b2が水中に浸漬され、これによって両検知用電極部4b1,4b2が電気的に短絡する。この電気的短絡によって、検知用電極部4b1,4b2間に直流電流が流れる。CPU6は電圧計9で検出される電圧値Vを監視し、この検出電圧値Vを閾値Vsと比較する。検知用電極部4b1,4b2が漏水によって短絡した時の検出電圧値Vは閾値Vsを超える(ステップS3)から、CPU6は、報知部7(ランプ7aおよびスピーカ7b)を作動させ(ステップS4)、居室R内の居住者に漏水があることを知らせる。居住者は、スイッチ8をオフとして報知を停止させた上で、漏水の処置を講じることができる。
【0024】
図6は、電圧計9での検出電圧Vの変化を示すグラフであり、閾値VsをラインLで示す検出電圧Vが超えた時に報知部7が作動するようになされており、これにより、漏水がないにも拘らず報知部7が誤作動するような事態が回避される。ランプ7aによる報知は、連続発光、点滅発光等の発光モードに適宜設定される。発光色は注意を喚起し易い点で赤色やオレンジ色が望ましく採用される。また、スピーカ7bによる報知は、ブザーや合成された音声メッセージ等が採用される。ランプ7aとしては、耐用寿命が長く、消費電力が少なくかつ小型であることから、LEDが望ましく採用される。
【0025】
報知部7による報知は、光および音によってなされるから、当該居室R内に居住者がいる場合はもとより、別の居室(例えば、寝室)やバルコニー等にいる場合でも、或いは居住者の肉体的条件が異なる場合でも、居住者は漏水があったことを的確に認識することができる。そして、漏水検知部4は、中空円筒形の絶縁性芯材4aの周体に検知用電極部4b1,4b2を巻回しただけの簡単な構造からなるから、設置スペースを大きく確保する必要がない。また、コンクリートスラブSの表面にどのように置かれても、検知用電極部4b1,4b2がコンクリートスラブSの表面に接し、漏水があったときにはその短絡が確実になされる。特に、検知用電極部4b1,4b2が、導電線を螺旋状に巻いて形成されたコイル線からなるから、絶縁性芯材4aの外周よりコイル径分突出し、また、ばね弾性も有することになり、これにより、コンクリートスラブSの表面に多少の不陸があっても、検知用電極部4b1,4b2のコンクリートスラブS表面との接触状態が確実に維持されると共に、漏水検知部4がコンクリートスラブSの表面に安定的に置かれる。また、漏水検知部4には検知用電極部4b1,4b2が存在するのみで、電気的機器を含まないから、水没によって漏水検知部4が故障するといった懸念がなく、したがって、背景技術で述べた特許文献1のような浮き部材を設ける必要がない。
【0026】
電源部5としてのアダプタ5a、CPU6、報知部7、操作スイッチ8および電圧計9は、ユニット化されて制御ボックス2に組み込まれ、壁Wに設置されているから、これらの電気機器は、床下FUに漏水があっても、水没することがなく、水濡れによる故障を生じる懸念がない。制御ボックス2は、通常のスイッチボックスのようにコンパクトに構成されるから、居室Rの雰囲気を崩すこともない。また、漏水検知装置1は、交流電源10によって作動するよう構成されるから、終日漏水監視が可能とされ、電池交換等のメンテナンスが不要で、電池切れによって非検知状態に放置されることもない。そして、漏水検知装置1は、単純な機能を奏するものであるから、故障が少なく、従来のものに比べて安価に構成される。
【0027】
図8は、漏水検知部4の他の実施形態を示すものであり、漏水検知部4における絶縁性芯材4aの形状が前記実施形態のものと異なる。即ち、本実施形態の漏水検知部4における絶縁性芯材4aは、ゴムの成型体からなる中空円筒体の両端を斜めにカットして断面台形状に形成されたものである。台形状の短辺側筒壁4aaには前記同様透孔4abが形成され、該透孔4abより前記2芯ケーブル3が内筒部4ac内に挿入されている。この場合も、ケーブル3の2本のリード線3b,3bは、内筒部4ac内で被覆が剥離された状態とされると共に、絶縁性芯材4aの筒壁4aaを貫き絶縁性芯材4aの外周部に導出され、周体に絶縁性芯材4aの巻回された導電線(検知用電極部)4b1,4b2に半田等により電気的に結線されている。本実施形態の漏水検知部4の場合、長辺側筒壁4aaの重量が大となるから、コンクリートスラブSに置かれた状態では、短辺側が上に、長辺側が下になる状態になり易く、その設置状態が安定する。
【0028】
図9は、漏水検知部4の更に他の実施形態を示すものであり、漏水検知部4における絶縁性芯材4aが中空角筒体のゴムの成型体からなる点で前記の実施形態と異なる。このように、絶縁性芯材4aを中空角筒体により構成すると、コンクリートスラブS上での漏水検知部4の設置状態の安定化が図られる。絶縁性芯材4aの両端を前記同様斜めにカットすれば、より安定化が図られる。この場合も、筒壁4aaには透孔4abが形成され、該透孔4abより前記2芯ケーブル3が内筒部4ac内に挿入されている。そして、ケーブル3の2本のリード線3b1,3b2は、内筒部4ac内で被覆が剥離された状態とされると共に、絶縁性芯材4aの筒壁4aaを貫き絶縁性芯材4aの絶縁性芯材4a外周部に導出され、周体に巻回された導電線(検知用電極部)4b1,4b2に半田等により電気的に結線されている。
【0029】
図8および図9に示す実施形態の漏水検知部4も、図1および図5に示すように、2芯ケーブル3およびコネクタ部3aを介して壁Wに設置される制御ボックス2内の電源部5に接続される。そして、該漏水検知部4はコンクリートスラブS上に置かれ、漏水による導電線(検知用電極部)4b1,4b2間の電気的短絡に伴う直流電圧計9の電圧変化を検出して、検出電圧Vが閾値Vsを超えたときに、CPU6が報知部7を作動させ、漏水報知がなされる。
【0030】
なお、前記実施形態では、報知部7がランプ7aとスピーカ7bの両方からなる例について述べたが、これらはどちらか一方でも良い。ランプ7aとスピーカ7bの両方を備えた場合でも、ユーザーの好みに応じてどちらかを一方を選択し得るよう選択スイッチを設けても良い。また、ランプ7aの光量やスピーカ7bの音量を調整する手段を設けることも、設計的事項として適宜採択され得ることは言うまでもない。更に、絶縁性芯材4aの形状や材質は、例示のものに限定されず、他の形状および材質(例えば、樹脂)のものも採用することができる。また、絶縁性芯材4aは、中空筒状体であることが、リード線3b1,3b2の引き回しや、導電線4b1,4b2との結線部の安定性の点で好ましいが、中実体であっても良い。加えて、電源部5を交流電源10に接続されるアダプタ5aを備えたものとしたが、これに電池を併用し、停電時には電池によって直流電力が供給されるよう構成しても良い。この場合、電池も制御ボックス2内に設置されるから、電池が漏水時に水濡れしたりすることがなく、また電池交換等のメンテナンスも容易になし得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る漏水検知装置を居室に設置した状態を概念的に示す縦断面図である。
【図2】同漏水検知装置における制御ボックスの正面図である。
【図3】同漏水検知装置における漏水検知部の斜視図である。
【図4】同漏水検知部の断面図である。
【図5】同漏水検知装置の電気制御ブロック図である。
【図6】漏水検知部の電圧変化と閾値との関係を示すグラフである。
【図7】同漏水検知装置における漏水検出過程を示すフロー図である。
【図8】漏水検知部の他の実施形態を示す部分破断正面図である。
【図9】漏水検知部の更に他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 漏水検知装置
4 漏水検知部
4a 絶縁性芯材
4b1,4b2 導電線(検知用電極部)
5 電源部
5a アダプタ
6 CPU(制御部)
7 報知部
7a ランプ
7b スピーカ
8 操作スイッチ(スイッチ部)
9 直流電圧計(検出手段)
10 直流電源
FU 床下
R 居室
W 壁(居室壁部)
Vs 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物における床下での漏水を検知する装置であって、
一対の検知用電極部を備えた漏水検知部と、電源部と、前記一対の検知用電極部が短絡され電源部より該電極部に電力が供給された時に作動する報知部と、スイッチ部と、制御部とを備え、
前記漏水検知部は床下に置かれ、前記電源部、報知部、スイッチ部および制御部はユニット化されて建築物の居室壁部に設置されるよう構成されていることを特徴とする漏水検知装置。
【請求項2】
前記漏水検知部は、絶縁性芯材と、該絶縁性芯材の周体に巻回された導電線からなる一対の検知用電極部とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の漏水検知装置。
【請求項3】
前記絶縁性芯材は、中空の筒状体からなることを特徴とする請求項2に記載の漏水検知装置。
【請求項4】
前記導電線は、コイル線によるリング体からなることを特徴とする請求項2または3に記載の漏水検知装置。
【請求項5】
前記一対の検知用電極部間の電圧変化を検出する検出手段を更に備え、前記制御部は、該検出手段による検出値が所定の閾値を超えたときに前記報知部を作動させるよう制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の漏水検知装置。
【請求項6】
前記電源部は、交流電源に接続され交流電力を直流電力に変換して前記電極部に直流電力を供給するアダプタを備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の漏水検知装置。
【請求項7】
前記スイッチ部は、前記電源部による電力供給をオン・オフする操作スイッチからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の漏水検知装置。
【請求項8】
前記報知部がランプであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の漏水検知装置。
【請求項9】
前記報知部がスピーカであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の漏水検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−175811(P2009−175811A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11002(P2008−11002)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(304038149)村本建設株式会社 (11)
【Fターム(参考)】