説明

演出装置およびゲーム装置

【課題】観者から見て投影面よりも奥側の空間も演出空間とすることができる演出装置を提供すること。
【解決手段】本発明では、第1の投影面18に画像が投影されるとともに、第2の投影面22に第1の投影面18を透過した画像が投影される。そして本発明では、第2の投影面22に投影された画像は、第1の投影面18を透過するため、観者は第2の投影面22に投影された画像を第1の投影面18を通じて視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出装置およびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プロジェクタなどの投影部を用いて種々の画像を投影面に投影することにより、種々の画像演出を行う演出装置が知られている。このような演出装置として、特開2005−323769号公報で開示されている演出装置がある。
【特許文献1】特開2005−323769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし従来の演出装置では、投影面に画像を明確に投影するために、光を透過させ難い素材のものを投影面としていた。従って、観者から見て投影面よりも奥側の空間を演出空間とすることができなかった。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、観者から見て投影面よりも奥側の空間も演出空間とすることができる演出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、
画像を投影する投影部と、
前記画像が投影されるとともに、前記画像の所与の光成分を透過させる第1の投影面と、
前記第1の投影面を透過した画像が投影される第2の投影面と、
を備え、
前記第1の投影面が、
前記第2の投影面に投影された画像を透過させることを特徴とする演出装置に関係する。
【0006】
本発明では、第1の投影面に画像が投影されるとともに、第2の投影面に第1の投影面を透過した画像が投影される。そして本発明では、第2の投影面に投影された画像は、第1の投影面を透過するため、観者は第2の投影面に投影された画像を第1の投影面を通じて視認することができる。従って本発明によれば、第1の投影面に投影された画像と第2の投影面に投影された画像とが、観者から見て奥行き方向に連続して見える演出を実現することができる。
【0007】
(2)また本発明は、
前記第1の投影面と前記第2の投影面との間の空間であって、所与の立体物を配置することができる立体物配置空間を更に備えるようにしてもよい。
【0008】
このようにすれば、立体物配置空間に立体物を配置することにより、配置した立体物を演出対象としたり、配置した立体物による演出によって更に演出効果を高めるようにすることができる。
【0009】
(3)また本発明は、
前記立体物配置空間を照明する第1の照明部を更に備えるようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、立体物配置空間に配置された立体物の視認性を高めることにより、配置された立体物に対する演出効果を高めたり、配置された立体物による演出効果を高めたりすることができる。
【0011】
(4)また本発明は、
前記立体物配置空間に配置され、円周上に複数の演出物が配列され前記円周の中心を回転軸として回転する回転体と、
前記回転体を回転させる動力部と、
前記立体物配置空間を所与の時間間隔で瞬間的に照明する第2の照明部と、
を更に備えるようにしてもよい。
【0012】
本発明において、「演出物」とは、回転体に配置される立体物としてもよいし、回転体に印刷される図柄などの平面物としてもよい。
【0013】
このようにすれば、回転体の回転速度と、第2の照明部が回転体を瞬間的に照明する時間間隔とを、回転体に配列された演出物の間隔に応じて調整することにより、回転体に配列された演出物がアニメーションするように見えるいわゆるストロボアニメーションによる演出を行うことができる。そして本発明によれば、第1の投影面に投影された画像と第2の投影面に投影された画像との間の空間において、ストロボアニメーションによる演出を行うことにより、演出効果を更に高めることができる。
【0014】
(5)また本発明は、
前記第1の投影面と前記第2の投影面とに交差し、前記第1の投影面に投影された画像と前記第2の投影面に投影された画像とを反射する反射面を更に備えるようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、観者から見て奥行き方向に画像が連続して見える演出を、反射面においても行うことができる。
【0016】
(6)また本発明は、
前記反射面が、
前記反射した画像を更に反射するようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、観者から見て奥行き方向に画像が連続して見える演出を、反射面において反復するように行うことができる。
【0018】
(7)また本発明は、
所与のゲーム条件が満たされたか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記投影部に画像を投影させる投影制御部と、
を備えるようにしてもよい。
【0019】
本発明によれば、ゲーム状況に応じて、観者から見て奥行き方向に画像が連続して見える演出を行うことができるゲーム装置を実現することができる。
【0020】
(8)また本発明は、
所与のゲーム条件が満たされたか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記投影部に投影させる画像を制御する表示制御部と、
を備えるようにしてもよい。
【0021】
本発明によれば、ゲーム状況に応じて、観者から見て奥行き方向に画像が連続して見える演出の内容を変化させることができるゲーム装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0023】
1.外観構成
図1は、本発明の実施の形態に係る演出装置10の外観構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の演出装置10は、四角柱状の筐体12を有している。そして筐体12の上部には、筐体12の内部に向けて画像を投影するプロジェクタ14(投影部90の一例)が設けられている。
【0024】
また筐体12の前面の中央部は、透明のアクリル板16により構成されており、筐体12の前面から筐体12の内部を観者が視認できるようになっている。そして筐体12の内部には、透明のアクリル板16の底辺の位置において透明のアクリル板16と直交(交差の一例)するように、投影板18(第1の投影面の一例)が水平に設けられている。
【0025】
本実施形態の投影板18は、プロジェクタ14が投影した画像が投影されるとともに、プロジェクタ14が投影した画像を透過させる。すなわち投影板18は、プロジェクタ14が投影した画像の一部の光成分を反射して、反射した画像を投影板18上に映し出すとともに、プロジェクタ14が投影した画像の一部の光成分を透過させる。
【0026】
更に投影板18は、プロジェクタ14が画像を投影する方向とは逆の方向からの光をほとんど反射せずに透過させる。すなわち投影板18は、プロジェクタ14が画像を投影する側から投影板18を通じて反対側の空間を観者が視認できるようになっている。
【0027】
詳細には本実施形態の投影板18は、液晶高分子を固体化させたものを数ミクロンメートルの厚さのフィルム状に加工したものを用いて構成されている。これにより投影板18は、一の方向から入射した光を60パーセント程度の透過率で透過させる一方で、一の方向から入射した光のうち、RGB成分の光を選択的に反射することによりプロジェクタ14が投影した画像を効率的に散乱反射するとともに、他の方向から入射した光をほとんど散乱反射せずに透過させる特性を有している。なお投影板18は、一の方向から入射した光を透過させる際に、一部の偏光成分を透過させるようにしてもよい。
【0028】
そして筐体12の内部であって、投影板18よりも下方の空間は、所与の立体物を配置することができる立体物配置空間20として構成されている。この立体物配置空間20は、観者が筐体12の前面の透明のアクリル板16と投影板18とを通じて、立体物配置空間20の底面を視認できるように深さが調整されている。そして、立体物配置空間20の底面は、乳白色のアクリル板22(第2の投影面の一例)により構成されており、乳白色のアクリル板22には、投影板18を透過した画像が投影される。
【0029】
そして投影板18は、プロジェクタ14が画像を投影する方向とは逆の方向からの光をほとんど反射せずに透過させるので、底面の乳白色のアクリル板22に投影された画像を透過させる。従って本実施形態では、観者は底面の乳白色のアクリル板22に投影された画像を、投影板18を通じて視認することができる。すなわち本実施形態の演出装置10によれば、投影板18に投影された画像と底面の乳白色のアクリル板22に投影された画像とが、観者から見て奥行き方向に連続して見える演出を実現することができる。
【0030】
また立体物配置空間20の底面の下方には、蛍光灯24(第1の照明部94)が設けられており、底面の乳白色のアクリル板22を介して立体物配置空間20に配置された立体物を照明することができる。
【0031】
また立体物配置空間20の底面の下方には、5つのストロボライト26(第2の照明部96)が設けられており、各ストロボライト26を所与の時間間隔で順次発光させることにより、底面の乳白色のアクリル板22を介して立体物配置空間20に配置された立体物を所与の時間間隔で瞬間的に照明することができる。
【0032】
そして、立体物配置空間20の底面の中央部には、立体物配置空間20の底面の下方に設けられた図示しないモータから突出させた回転軸28が、底面に対して垂直に設けられている。この回転軸28には、3枚の円形板状の回転板30(回転体の一例)が、各回転板30の中心が回転軸28となるように、縦方向に位置を変えて回転軸28に対して直交するように(底面と平行に)設けられている。すなわち各回転板30は、回転軸28を中心とした同心円となるように回転軸28に設けられている。
【0033】
ここで各回転板30には、図2(A)に示すような、円周上に複数の演出物36が配列されたストロボアニメーション用のシート32が載置される。図2(A)の例のシート32は、回転板30に載置するため円環形状に形成されつつ、回転板30に載置する際に回転板30の回転軸28を通すためのスリット34が設けられている。そしてシート32には、シート32が回転板30に載置された場合における回転軸28を中心とする円周上に、12個の三角柱状の演出物36が同一の向きで等間隔に配列されている。従ってシート32を回転板30に載置して回転板30を回転させると、回転軸28を中心とした円周上を12個の演出物36が移動することになる。
【0034】
そして、ストロボライト26を瞬間的に発光させたときに各演出物36が見えた位置に、各演出物36の隣に配列されている演出物36が移動してくるタイミングで、ストロボライト26を再び瞬間的に発光させることを繰り返す。すると図2(A)の例のシート32では、12個の演出物36はシート32上で同一の向きに配列されているため、回転軸28に対しては各演出物36の向きがそれぞれ30°(=360°/12個)異なっていることになるので、上記タイミングでストロボライト26を瞬間的に発光させると、図2(B)に示すように、12個の演出物36が位置を変えずにその場で回転しているように見える。すなわち本実施形態では、回転板30の回転速度と、ストロボライト26が回転体を瞬間的に照明する時間間隔とを、回転板30に配列された演出物36の間隔に応じて調整することにより、回転板30に配列された演出物36がアニメーションするように見えるいわゆるストロボアニメーションによる演出を行うことができる。
【0035】
ここで図1に示す各回転板30は、透明のアクリル板16により構成されており、各回転板30に載置されるシート32も透明とされている。従って本実施形態では、立体物配置空間20に回転板30およびシート32を配置しても、投影板18を透過した画像が底面の乳白色のアクリル板22に可及的広い領域で投影されるようにすることができる。そして本実施形態によれば、投影板18に投影された画像と底面の乳白色のアクリル板22に投影された画像との間の空間において、ストロボアニメーションによる演出を行うことにより、演出効果を更に高めることができる。
【0036】
なお本実施形態では、回転板30にシート32を載置する構成を採用しているので、円周上に配列される演出物36が異なる複数種類のシート32を用意しておき、回転板30に載置するシート32を他のシート32に交換すれば、ストロボアニメーションによる演出内容を変化させることができる。
【0037】
また、図1に示す立体物配置空間20の前面、左右側面、背面は、筐体12の内部側を鏡面(反射面の一例)とする下部ミラー38により構成されており、鏡面に筐体12の内部を映し出すようになっている。また投影板18よりも上方の空間の左右側面および背面は、筐体12の内部側を鏡面(反射面の一例)とする上部ミラー40により構成されており、鏡面に筐体12の内部を映し出すようになっている。
【0038】
すなわち本実施形態では、下部ミラー38および上部ミラー40が、投影板18および底面の乳白色のアクリル板22に直交(交差の一例)するように設けられている。そして下部ミラー38と上部ミラー40とは、投影板18に投影された画像と底面の乳白色のアクリル板22に投影された画像と、立体物配置空間20に配置された回転板30の像とを反射する。更に下部ミラー38と上部ミラー40とは、鏡面が向かい合うように設けられている。従って本実施形態では、観者から見て奥行き方向に画像が連続して見える演出と、ストロボアニメーションによる演出とを、鏡面において反復するように行うことができる。
【0039】
2.機能ブロック
図3は、本実施形態の演出装置10をゲーム装置に適用した場合の機能ブロック図である。
【0040】
操作部50は、図1で示した筐体12の外部側に設けられ、プレーヤがゲームを行うための操作入力を行うためのものであり、ボタンやレバーなどにより実現することができる。
【0041】
検出部60は、図1で示した筐体12の内部側に設けられ、ゲームに用いられるメダルなどの遊技媒体の通過や接触などを検出するものであり、スイッチや光学センサなどにより実現することができる。
【0042】
記憶部70は、処理部100や通信部98などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(VRAM)などにより実現できる。そして、本実施形態の記憶部70は、ワーク領域として使用される主記憶部71と、最終的な表示画像等が記憶されるフレームバッファ72と、画像として表示されるゲームキャラクタなどの表示物のモデルデータが記憶される表示物データ記憶部73とを含む。なお、これらの一部を省略する構成としてもよい。
【0043】
情報記憶媒体80(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。
【0044】
この情報記憶媒体80には、処理部100において本実施形態の種々の処理を行うためのプログラム(データ)が記憶されている。即ち、この情報記憶媒体80には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶されている。
【0045】
また情報記憶媒体80には、投影部90から表示出力される種々の演出画像が記憶されている。本実施形態では情報記憶媒体80には、カメラで撮影された実写の動画像や、予めレンダリングされた3次元CG(コンピュータ・グラフィックス)などのムービー画像が演出画像として記憶されている。
【0046】
投影部90は、投影面に画像を投影するためのものであり、液晶プロジェクタ、DLPプロジェクタ、CRTプロジェクタ(三管式、単管式)などにより実現することができる。そして投影部90は、演出画像やゲーム画像など種々の画像を投影する。
【0047】
動力部92は、図1で示した筐体12の内部側に設けられ、回転板30を回転させるためのものであり、モータなどにより実現できる。
【0048】
第1の照明部94は、図1で示した立体物配置空間20を照明するためのものであり、蛍光灯やLEDなどにより実現できる。
【0049】
第2の照明部96は、立体物配置空間20を所与の時間間隔で瞬間的に照明するためのものであり、ストロボライトなどにより実現できる。
【0050】
音出力部97は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォンなどにより実現できる。
【0051】
通信部98は、外部(例えばサーバや他のゲーム装置)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサまたは通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0052】
処理部100(プロセッサ)は、操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、プログラムなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、或いは音生成処理などの処理を行う。この処理部100の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。そして処理部100は、記憶部70をワーク領域として各種処理を行う。そして本実施形態では処理部100は、ゲーム処理部102、判定部104、表示制御部106、描画処理部120、音処理部130を含む。なお、これらの一部を省略する構成としてもよい。
【0053】
ゲーム処理部102は、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、ゲーム結果を演算する処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などのゲーム処理を行う。
【0054】
判定部104は、操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、プログラムなどに基づいて、ゲーム条件が満たされたか否かを判定する処理を行う。
【0055】
表示制御部106は、操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、判定部104の判定結果、プログラムなどに基づいて、投影部90から表示出力される画像の表示制御を行う。本実施形態では、情報記憶媒体80に記憶されている種々の演出画像から、投影部90に表示出力させる画像を選択し、選択した演出画像を情報記憶媒体80から読み出す制御を行う。
【0056】
また表示制御部106は、操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、判定部104の判定結果、プログラムなどに基づいて、投影部90から表示出力される表示物(オブジェクト)の表示制御を行う。具体的には、表示物(ゲームキャラクタ、背景、標的、車、ボール、アイテム、建物、樹木、柱、壁、マップ)を発生させたり、表示物の表示位置を指示したり、表示物を消滅させたりするなどの表示制御を行う。即ち発生した表示物を表示物リストに登録したり、表示物リストを描画処理部120等に転送したり、消滅した表示物を表示物リストから削除したりするなどの表示制御を行う。
【0057】
また表示制御部106は、操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、判定部104の判定結果、プログラムなどにより、表示物の移動や動作が発生した場合に、発生した移動や動作の画像を投影部90に出力するための制御を行う。また表示制御部106は、ゲームキャラクタを移動させたり動作させたりするアニメーション処理を行う。
【0058】
アニメーション処理としては、ゲームフィールド(2次元又は3次元のゲーム空間)でゲームキャラクタ(2次元データ又は3次元データで定義される表示物)を移動させるための処理を行うことができる。具体的には操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、判定部104の判定結果、プログラム(移動アルゴリズム)、各種データなどに基づいて、表示物を移動させるアニメーション処理を行う。さらに具体的には、表示物の移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求める処理を行う。なおフレームは、表示物の移動や動作を制御する処理や画像を生成する描画処理を行う時間の単位である。
【0059】
またアニメーション処理としては、表示物を動作させるための処理も行うことができる。即ち操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、判定部104の判定結果、プログラム(動作アルゴリズム)、各種データ(モーションデータ)などに基づいて、表示物を動作(モーション)させるアニメーション処理を行う。更に具体的には、表示物の動作情報(各パーツの位置、回転角度、或いは形状)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求める処理を行う。
【0060】
描画処理部120は、処理部100で行われる種々の処理(ゲーム処理)の結果に基づいて描画処理を行い、これにより画像を生成し、投影部90に出力する。この場合、描画処理部120が生成する画像は、いわゆる2次元画像であってもよいし、3次元画像であってもよい。そして3次元画像を生成する場合には、まず、座標変換(ワールド座標変換、カメラ座標変換)、クリッピング処理、或いは透視変換等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、描画データ(プリミティブの頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等)が作成される。そして、この描画データ(プリミティブデータ)に基づいて、透視変換後(ジオメトリ処理後)の表示物(1又は複数プリミティブ)を描画バッファ(フレームバッファあるいは中間バッファなどのピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ。VRAM)に描画する。これにより、ゲーム空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成される。
【0061】
音処理部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部97に出力する。
【0062】
投影制御部140は、操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、判定部104の判定結果、プログラムなどに基づいて、投影部90のON/OFFを制御する。
【0063】
駆動制御部142は、操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、判定部104の判定結果、プログラムなどに基づいて、動力部92のON/OFFや、動力部92が回転板30を回転させる回転速度を制御する。
【0064】
照明制御部144は、操作部50からの操作データ、検出部60からの検出データ、判定部104の判定結果、プログラムなどに基づいて、第1の照明部94のON/OFFや、第2の照明部96のON/OFFの時間間隔を制御する。
【0065】
本実施形態では駆動制御部142と照明制御部144とは、回転板30に配列された演出物36がアニメーションして見えるように、回転板30の回転速度と、ストロボライト26が立体物配置空間20を瞬間的に照明する時間間隔とを、回転板30に配列された演出物36の間隔に応じて調整する。
【0066】
3.本実施形態の手法
図4は、図1におけるI−I線断面図である。図4に示すように、本実施形態の演出装置10では、プロジェクタ14が、投影板18上で画像が結像されるようにピントが調整された状態で、図中矢印Aのように画像を投影板18に向けて投影する。すると、プロジェクタ14が投影した画像のうち所定の光成分は、図中矢印Bのように投影板18に反射され、筐体12の前面の透明のアクリル板16を透過して観者の目に到達する。
【0067】
またプロジェクタ14が投影した画像のうち他の所定の光成分は、図中矢印Cのように投影板18を透過し、立体物配置空間20の底面の乳白色のアクリル板22に到達する。すると、投影板18を透過した画像は、図中矢印Dのように底面の乳白色のアクリル板22に散乱反射され、投影板18と筐体12の前面の透明のアクリル板16とを透過して観者の目に到達する。
【0068】
そして本実施形態では、図4に示すように、プロジェクタ14が画像を投影する方向と、観者の視線方向とが交差するように、前面の透明のアクリル板16が設けられている。すなわち本実施形態の演出装置10は、プロジェクタ14と観者の視点とがいずれも投影板18よりも上方となるが、プロジェクタ14の位置は投影板18の真上であるのに対し、観者の視点位置は投影板18の斜め上方となるように構成されている。従って本実施形態では、投影板18と底面の乳白色のアクリル板22との距離Lに応じて、投影板18に投影された画像と底面の乳白色のアクリル板22に投影された画像とが位置をずらして、観者から見て奥行き方向に連続して見える演出を実現することができる。
【0069】
図5は、投影板18と底面の乳白色のアクリル板22とに投影された画像を、演出装置10の前面から見た状態を示す斜視図である。図5の例では、ゲームで用いられるメダル(遊技媒体の一例)を表したメダル表示物200が下方から次々に湧き出してくるように移動する3次元CGのムービー画像を、プロジェクタ14から投影している。従って図5の例では、かかるムービー画像が、投影板18と底面の乳白色のアクリル板22とにおいて、観者から奥行き方向に位置を変えて連続して表示される。これにより図5の例では、奥行きがあるように見える3次元CGのムービー画像を、更に奥行きがあるように見せることができる。
【0070】
図6は、投影板18と底面の乳白色のアクリル板22とに投影された画像が、演出装置10の内部に設けられた下部ミラー38および上部ミラー40において映し出されている状態を示す斜視図である。図6の例では、図5で示した3次元CGのムービー画像が観者から奥行き方向に向かって位置を変えて連続して表示される演出が、下部ミラー38および上部ミラー40において、投影板18および底面の乳白色のアクリル板22に沿った方向に連続して表示される。これにより図6の例では、奥行きがあるように見える3次元CGのムービー画像が更に奥行きがあるように見える演出を、視線方向に交差する方向に広がっているように見せることができる。
【0071】
図7は、図6の状態において、立体物配置空間20に3枚の回転板30を配置することにより、いわゆるストロボアニメーションによる演出を更に行った状態を示す斜視図である。
【0072】
図7の例では3枚の回転板30には、図8に示すような3枚のシート32がそれぞれ載置されている。図8の例の3枚のシート32は、メダルを表したメダル図柄202が円周上に配列されたものであり、上段のシート32は上段の回転板30に載置され、中段のシート32は中段の回転板30に載置され、下段のシート32は下段の回転板30に載置されるように、各シート32におけるメダル図柄202の配置が決定されている。すなわち図8の例では、各シート32には4つのメダル図柄202が配列されているが、3枚のシート32を重ねると、各シート32のメダル図柄202の配置位置が円周上においてそれぞれ30°異なるような位置に、各メダル図柄202が配列されている。更に図8の例では、上段の回転板30に載置される上段のシート32には大きなメダル図柄202が配置され、中段、下段になるにつれ小さなメダル図柄202が配置されている。
【0073】
従って図8に示す各シート32を、各シート32の相対的な向きが図8に示す向きとなるように各回転板30に載置して、3枚の回転板30の回転速度とストロボライト26の発光間隔とを調整すると、図7に示すように、12個のメダル図柄202が下段の回転板30から上段の回転板30に向けて、互いに異なるタイミングで垂直に上昇した後に下降するようなストロボアニメーションによる演出を行うことができる。これにより図7の例では、投影板18と底面の乳白色のアクリル板22との間の空間において、ムービー画像によるメダル表示物200と、ストロボアニメーションによるメダル図柄202とが、立体的に移動するように見える演出を行うことができる。
【0074】
4.変形例
上記実施形態で説明した手法は、一例を示したに過ぎず、上記実施形態の手法と同様の効果を奏する均等な手法を採用した場合においても本発明の範囲に含めることができる。また本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。そして上記実施形態の手法や、変形例として後述する各種の手法は、本発明を実現する手法として適宜組み合わせて採用することができる。
【0075】
例えば上記実施形態では、演出装置10の筐体12が四角柱状であるものを例に挙げて説明したが、筐体12の形状は円柱状のものや球状のものなど、種々の形状とすることができる。
【0076】
また上記実施形態では、透明のアクリル板16が筐体12の前面に設けられ、筐体12の前面から筐体12の内部を観者が視認できる例を挙げて説明したが、側面や背面からも筐体12の内部を視認できるようにしてもよい。この場合、下部ミラー38、上部ミラー40をハーフミラーにより構成してもよい。
【0077】
また上記実施形態では、投影板18と底面の乳白色のアクリル板22とが平行に設けられている例を挙げて説明したが、両者が平行にならないようにしてもよい。
【0078】
また上記実施形態では、下部ミラー38および上部ミラー40が、投影板18および底面の乳白色のアクリル板22に直交するように設けられている例を挙げて説明したが、下部ミラー38や上部ミラー40は、種々の角度で投影板18や底面の乳白色のアクリル板22と交差させることができる。
【0079】
また上記実施形態では、プロジェクタ14が投影板18に画像を投影する際の入射角が0°(投影面に対して垂直)となる例を挙げて説明したが、他の入射角となるようにプロジェクタ14と投影板18とを設けるようにしてもよい。
【0080】
また本実施形態の演出装置10は、種々のゲーム装置に適用することができ、メダルなどの遊技媒体をゲームフィールドで移動させるゲームの他、操作部50の操作によりキャラクタを移動させるゲームや、操作部50の操作によりゲームフィールドに配置された景品を獲得するゲームなどに適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施形態の演出装置の外観を示す斜視図。
【図2】本実施形態の演出装置で用いられる演出物36を示す平面図。
【図3】本実施形態の演出装置の機能ブロック図。
【図4】本実施形態の演出装置の断面図。
【図5】本実施形態の演出装置で演出が行われている状態を示す斜視図。
【図6】本実施形態の演出装置で演出が行われている状態を示す斜視図。
【図7】本実施形態の演出装置で演出が行われている状態を示す斜視図。
【図8】本実施形態の演出装置で用いられる演出物36を示す平面図。
【符号の説明】
【0082】
10 演出装置、12 筐体、14 プロジェクタ、16 透明のアクリル板、
18 投影板、20 立体物配置空間、22 乳白色のアクリル板、24 蛍光灯、
26 ストロボライト、28 回転軸、30 回転板、32 シート、34 スリット、
36 演出物、38 下部ミラー、40 上部ミラー、50 操作部、60 検出部、
70 記憶部、80 情報記憶媒体、90 投影部、92 動力部、
94 第1の照明部、96 第2の照明部、97 音出力部、98 通信部、
100 処理部、102 ゲーム処理部、104 判定部、106 表示制御部、
120 描画処理部、130 音処理部、140 投影制御部、142 駆動制御部、
144 照明制御部、200 メダル表示物、202 メダル図柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投影する投影部と、
前記画像が投影されるとともに、前記画像の所与の光成分を透過させる第1の投影面と、
前記第1の投影面を透過した画像が投影される第2の投影面と、
を備え、
前記第1の投影面が、
前記第2の投影面に投影された画像を透過させることを特徴とする演出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の投影面と前記第2の投影面との間の空間であって、所与の立体物を配置することができる立体物配置空間を更に備えることを特徴とする演出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記立体物配置空間を照明する第1の照明部を更に備えることを特徴とする演出装置。
【請求項4】
請求項2、3のいずれかにおいて、
前記立体物配置空間に配置され、円周上に複数の演出物が配列され前記円周の中心を回転軸として回転する回転体と、
前記回転体を回転させる動力部と、
前記立体物配置空間を所与の時間間隔で瞬間的に照明する第2の照明部と、
を更に備えることを特徴とする演出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記第1の投影面と前記第2の投影面とに交差し、前記第1の投影面に投影された画像と前記第2の投影面に投影された画像とを反射する反射面を更に備えることを特徴とする演出装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記反射面が、
前記反射した画像を更に反射することを特徴とする演出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載された演出装置を備えるゲーム装置であって、
所与のゲーム条件が満たされたか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記投影部に画像を投影させる投影制御部と、
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載された演出装置を備えるゲーム装置であって、
所与のゲーム条件が満たされたか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記投影部に投影させる画像を制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とするゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−165681(P2009−165681A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7693(P2008−7693)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】