説明

潤滑組成物

本発明は、循滑組成物に関するものであり、この組成物は少なくとも:−基油;−金属硫化物または金属酸化物、好ましくは金属硫化物;および−有機硫黄化合物から成るものである。さらに他の実施形態によれば、本発明は上記の潤滑組成物を極圧能および耐魔耗性のうちの1つまたはそれ以上の性能を改善するために使用することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属硫化物または金属酸化物を含む潤滑組成物とくにグリースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来グリース中に、二硫化モリブデン(MoS)添加する代わりに、硫化ビスマス(Bi)を用いることは知られている。例えばロア(O.Rohr)他は、「固体状潤滑剤としてグリースの耐荷重能(Loadcarrying properties)に対する硫化ビスマスの効果に関する研究」という論文を、2006年3月のNLGI Spokesman,第69巻、第12号の第8−13頁(2004年10月に行われたNLGIの第71回年会で発表)において、グリース中の極圧添加剤として硫化ビスマスを用いることを提案している。
【0003】
上記の周知のグリースに関する問題点は、ASTM D2596の基準に従う四球式荷重試験(four−ball test)で測定された荷重能が比較的に貧弱であるという点にある。
【0004】
本発明の目的の一つは、上記の問題を最小化にすることにある。
【0005】
本発明の他の一つの目的は従来のものに代わる潤滑組成物、とくにグリースを提供する点にある。
【0006】
上記の本発明の目的の一つ以上またはその他の目的は、本発明に従って、少なくとも
― 基油;
― 金属硫化物または金属酸化物、好ましくは金属硫化物;および
― 有機硫黄化合物
を含む潤滑組成物を提供することによって達成することがてきる。
【0007】
驚くべきことに、本発明によれば、金属硫化物または金属酸化物と有機硫黄化合物を共に含む潤滑組成物は、ASTM D2596の基準に従って測定された四球試験による極圧性能および耐摩耗性において予期し得ない程にすぐれた改良を示すことが発見された。
【0008】
本発明の重要な利点の一つは、同じ添加物の総添加濃度において、改善された極圧性能の向上(extreme pressure performance)が得られるのみならず、より少ない濃度の添加剤を用いながら、同等の極圧性能が得られるということにある。このことはコストの削減(比較的高価な添加剤の使用量が少なくてすむこと)のほかに典型的な極圧添加剤の使用濃度のおいて起こる、例えば腐食、酸化不安定性、高温での使用による製品の寿命の劣化等を伴う色々な問題を回避し、また減少したりすることができるという多くの利点をもたらす。
【0009】
本発明による潤滑組成物に用いられる金属硫化物または金属酸化物に関しては特別な制限はなく、通常市場で入手できる種々の金属硫化物や金属酸化物がそれぞれ単独で、またはそれらの混合物の形で用いられる。
【0010】
これら金属硫化物または酸化物の例としては、Bi,ZnS,WS,Sb,MoS,Fe,ZnO,TiO,MoOなどがあげられる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記金属化合物としては金属硫化物を用いる方が、金属酸化物を用いるよりも好ましく、その例としてはBi,ZnS,WSおよびMoSから選ばれたものがあげられる。とりわけ金属硫化物としてBiを用いるのが一そう好ましい。
【0012】
本発明に用いられる有機硫黄化合物は広範囲なものから選ぶことができる。
【0013】
これらの有機硫黄化合物としては、好ましくは不飽和炭化水素基(moieties)を含む化合物を硫黄化(sulphurization)することにより得られる如きものがある。
この際の炭化水素基としては、C原子とH原子だけから成るものが好ましい。
特に硫黄化されたエステル類、脂肪類および硫黄化されたポリアルケン類(例えばポリブテン類)が好ましい。
【0014】
適する有機硫黄化合物類、およびそれらの製造法の例については米国特許第4,191,659号中に例示されており、その中の記載はここに参照として引用する。
【0015】
これらの硫黄化合物は、決してそれに限定する意図で示すものではないが例としては、オレフィン性化合物(すなわち少なくとも1つの非芳香族性二重結合をもつもの)を硫黄化して得られるようなものであることができ、例えば下記の一般式(1)
C=CR (1)
(式中 R、R、R、およびRは各々独立して水素または有機基を示す。)で表される。
【0016】
一般的に、R−R(水素ではない場合)の有機基は、−C(R、−COOR、−CON(R、−COON(R、−COOM、−CN、−C(=NR)R、−X、−YRまたは−Ar、
(これらの式で、Rはそれぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、アリール、置換されたアルキル、置換されたアルケニル、または置換されたアリール
―ただし、これらの中のどの2つのR基でも約12個までの炭素原子の環を形成できるアルキレン基または置換されたアルキレン基であることができる。―)
― Mは金属カチオン(好ましくは例えばナトリウム、カリウム、バリウム、 カルシウムのような)第I属または第II属の金属カチオンの1当量を表し、
― Xはハロゲン(例えばCl,BrまたはI)を表し、
― Yは酸素または二価の硫黄を表し
― Arはアリールまたは約12までの炭素原子から成るアリールまたは置換されたアリール基を表す。
【0017】
−Rのうちのどの2個が共に一緒になって、アルキレン基または置換されたアルキレン基を形成してもよい。例えばオレフィン性化合物は脂環式化合物であってもよい。
【0018】
上記の式で表される化合物中の置換基の種類は通常本発明にとって臨界的なものではない。その代表的な例としては、上記に揚げられたすべての基の外に、水酸基、アミジン、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルホン酸基(sulfonate)、ニトロ基、りん酸基(phosphate)、亜りん酸基(phosphite)、アルカリ金属、メルカプトのような基があげられる。
【0019】
上記のオレフィン性化合物は水素でない各Rの値がそれぞれ独立してアルキル、アルケニルまたはアリールまたは(より少ない場合ではあるが)対応する置換された基であるような化合物である。モンオレフィンおよびジオレフィン化合物、特にその前者が好ましく、とくに末端モノオレフィン性炭化水素すなわちRとRが水素でRとRがアルキルまたはアリール、とくにアルキル(すなわちオレフィンが脂肪族であるもの)が好ましい。炭素原子数が約3−30、とくに3−16(多くの場合は9より少ない)であるオレフィン性化合物が特に望ましい。
【0020】
イソブテン、プロピレンおよびそれらのダイマー類、トリマー類およびテトラマー類、およびそれらの混合物が好ましいオレフィン性化合物である。これらの化合物の中で、イソブチレンおよびジイソブチレンは、その入手が容易であることに加えて特にそれらから製造することのできる高硫黄含有量の組成物が得られるという点で特に好ましい。
【0021】
決してそれに限定されるものではない上記の有機硫黄化合物の例は、前述した米国特許第4191659号に掲載されており、その記載内容は参考としてここに取り込まれるものとする。
本発明において適当な有機硫黄化合物として市場で入手可能な商品としては、PCAS(フランス、ロンジュモー Longjumeau)から入手できるRoscan 144、およびハリソン製造会社(Harrison Manufacturing Co,Ltd,オーストラリア)から入手可能な SVE 10Cがある。
【0022】
本発明は好ましい実施形態に従えば、有機硫黄化合物はそのSの含有量がその有機硫黄化合物の重量を基準として5から40重量%の範囲、好ましくは7から20、より好ましくは8から12重量%の範囲にある化合物である。
【0023】
さらに本発明の潤滑組成物はその最終製品に基づいて好ましくはSの含有率が0.1から10重量、好ましくは1から8重量%の範囲であるものが好ましい。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態として、潤滑組成物が1種またはそれ以上の増ちょう剤(thickener)を含有するグリースの形態であるのが好ましい。
【0025】
本発明の潤滑組成物の基油として用いられるものに関しては、特別な制限はなく、種々の慣用または市販の鉱油および合成油を任意に用いることができる。ここでいう「基油」(base oil)はグリースの基質原料 (basic stock)をも含む広い意味で用いられる。
【0026】
本発明で用いられる基油は通常1種またはそれ以上の種類の鉱油および/または1種またはそれ以上の種類の合成油の混合物が任意に用いられる。
ここで「鉱油」としては、液状の石油や、溶媒処理、または酸処理したパラフィン性/ナフテン性型またはこれらの混合型の潤滑油、またはこれらをさらに水添精製または脱ろう(dewaxing)処理をしたものを用いることができる。
【0027】
本発明の潤滑油組成物に用いるのに好ましい基油には第I類(GroupI),第II類(GroupII)または第III類(GroupIII)基油、ポリアルファオレフィン類、フィッシャートロプシュ系の基油またはこれらの混合物がある。
【0028】
本発明で、第I類基油、第II類基油、および第III類基油と呼ばれるものは、米国石油協会(American Petroleum Institute(API))での定義に従って、それぞれカテゴリーI、−IIおよび−IIIとして分類された潤滑油基油を意味する。
このAPIのカテゴリーに関しては、APIの出版物(publication)1509,第15版の添付物E(Appendix E),2002年4月の中に定義されている。
【0029】
本発明の潤滑油組成物に用いるのに適しているフィッシャートロプシュ系基油としては、例えばEP 0776959、EP0668342、WO 97/21788,WO 00/15736,WO 00/14188,WO 00/14187,WO 00/14183,WO 00/14179,WO 00/08115,WO 99/41332,EP1029029,WO 01/18156およびWO 01/57166に開示されているようなものがある。
【0030】
本発明の組成物中の基油として用いられる合成油には、オレフィンオリゴマー(PAOs)などの炭化水素油、二塩基酸エステル、ポリオールエステル、脱ろうされた含ろう(waxy)ラフィネートなどがある。
合成炭化水素基油として本発明の潤滑組成物において好ましく用いられるものには、「XHVI」(商標)の名で販売されているシエル(shell)グループの製品がある。
【0031】
本発明の潤滑組成物中に含まれる基油の好ましい量は、潤滑組成物の総重量に基づいて代表的には60から99重量%まで、好ましくは75から99重量%まで、もっとも好ましくは75から98重量%の範囲にある。
【0032】
本発明の最終潤滑組成物製品中における金属硫化物および1または金属酸化物の総量は、潤滑組成物の全重量に基づいて通常0.5から10.0重量%、好ましくは1.0から5.0重量%の範囲内である。
【0033】
本発明は最終潤滑組成物中に存在する有機硫黄化合物酸化物の総量は、潤滑組成物の全重量に基づいて代表的に0.5から10.0重量%、好ましくは、1.0から5.0重量%の範囲にある。
【0034】
もし必要ならば、本発明の最終潤滑組成物製品は、さらに1種またはそれ以上の添加物、例えば酸化防止剤、耐摩耗性添加剤(anti−wear agent)、分散剤、洗浄剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤(pour point depressant)、粘着剤(tackifying agents)、腐食防止剤、乳化防止剤(demulsifiers),泡消し剤(defoaming agent)およびシール混合安定剤(seal compatibility agent)などを含むことができる。
【0035】
この分野の当業者であれば、上記した種々の添加剤および他の添加剤等について熟知しているものと思われるので、これらについてのこれ以上の詳述はしない。
【0036】
上記の添加剤類は、本発明の潤滑組成物の全重量に基づいて、通常は重量で0.01から12.5%、好ましくは0.05から10.0%より好ましくは1.0から9.0%、そしてもっとも好ましいのは2.0から5.0重量%の量で存在する。
【0037】
本発明の潤滑剤組織物は、グリース状、好ましくはグリースの形態であるのが好ましく、潤滑組成物中に含有量されている基油は、ふつう例えばリチウム石けん、リチウム錯体(complex)石けん、テレフタル酸ナトリウム、尿素/ウレタン化合物および粘土のような金属石けん、有機または無機物質などのような増ちょう剤の1種またはそれ以上を含むかそれらと配合されていることができる。
【0038】
好ましくは本発明の潤滑組成物は、その100℃における動粘度(ASTM D445)が、2から80mm/s、より好ましくは3から70mm/s、もっとも好ましくは4から50mm/sの範囲にあるのが良い。
【0039】
本発明の潤滑組成物は、ふつう好ましくは1種またはそれ以上の基油および必要に応じてそれに通常の潤滑組成物中に通常配合されている上記で例示したような種々の添加物を加えたものを鉱油および/または合成油に添加混合することにより容易に調整することができる。好ましくはここで用いられる金属硫化物(類)または金属酸化物(類)は、潤滑組成物中へ容易かつ十分に分散しうるように十分に細かい粒径(例えば50μmより小さい、好ましくは20μmより小さい粒径)であるものがよい。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、本発明は本発明に従う潤滑組成物を潤滑に用いることによって、潤滑剤の極圧性または/および耐摩耗性の1つまたはそれ以上の性質を改善する方法を提供することにある。その上本発明によれば、本発明は、特にASTM D2596に従う極圧性および耐摩耗性の1つまたはそれ以上を改善するために本発明の潤滑組成物を使用することにも関するものである。
【0041】
本発明を以下に記載する実施例によって説明するが、これらの例は如何なる意味でも決して本発明の範囲を限定する意図で示されるものではない。
【0042】
実施例
潤滑油組成物
表1は、ここで試験された潤滑油組成物の組成を示したもので、その成分中の量は最終的に調製された組成物の総量に基づいた重量%を示している。
実施例1および比較例1〜4で用いられている「グリース基油原料」(Grease base stock)とは、慣用のグリース基油原料で、約10%m/mリチウム12−ヒドロキシステアレートの粘ちょう剤、および約90%m/mのSN500およびブライト ストック(bright stock)(ASTM D445による40℃における粘度が180mm/sであるもの)からブレンドされたパラフィン系鉱油から或るものであった。“Bi”は例えばブラジルのミラセマ−ニュオデックス(Miracema−Nuodex)から得られるものである。実施例1で用いられた「有機硫黄化合物」は、PCAS(Longjumeau/フランス)から得られ商品名を「ロスカン(Roscan)144」と称される硫黄化された(Sulphurised)エステルである。
実施例1および比較例2〜4で用いられた組成物は、グリース基油原料、前記Biおよび(もし添加された場合には)上記の硫黄化されたエステルを実験用パドルミキサーを用いて単に混合することによって得られたものである。
【0043】
【表1】

【0044】
耐荷重能試験
本発明の潤滑剤組成物の極圧性および耐摩耗性を実証するために、ASTM D2596の基準に従って 種々の変化する荷重値を用いて測定を行った。標準試験と一致させるためにすべての試験は室温で開始した。 測定された摩耗瘢痕(wear scars)(mmによる)は下記の表2に示した。この表2はまた各組成が不合格とされた(failed)荷重値も示されており、この荷重は1分間保持されるか、またはそのような不合格(failure)が1分以内に起こったものについて示されている。不合格は試験に用いられた上側の球が下側の3つの球と相互に強く接合された(bond)場合か、または鍛接(welded)された場合に判断される。このことは試験機からのノイズおよび振動が急に大きくなった時で決定され、しばしば球の間から煙の発生が伴うことによって検知されうる。
【0045】
【表2】

【0046】
考察
実施例の記載からわかるように本発明による潤滑組成物はASTM D2596の基準によって測定されたような極圧性能および耐摩耗性において予期できないような改善を達成することができる。
【0047】
比較例1〜3の結果からわかるように、代表的な濃度である3重量%(比較例2)および高濃度である8重量%(比較例3)で、硫化ビスマスにおいては400kgの鍛接荷重に達し、これは極圧グリースの鍛接荷重としては良好な値であるといえる。この点から、硫化ビスマスの量を3から8重量%に増加してみても、極圧性能においてはほとんど利点がないことがわかる。このことは400kgという値は達成可能な最高の値であると認められるべきであることを示している。
【0048】
8重量%(という比較的高い量)の硫黄化エステルを単独で用いること(比較例4)によって、315kgという鍛接荷重が達成され、これは比較例1(硫黄化エステルを含まない場合)と比べた場合の極圧性の度合を示している。
【0049】
驚くべきことは、本発明の実施例1(硫黄化エステルおよび硫化ビスマスの両方を含む)によれば、400kgをも越す大きい鍛接荷重の達成を可能とすることができる。800kgのような予期し得ない程高い鍛接荷重能が本発明によって達成されたということは、最高の荷重用として使用に適した極めて高い極圧性を有するグリース用に好適に用いられることを意味する。
【0050】
本発明の重要な利点の一つは、改善された極圧性能が同一の添加剤の総合計濃度で得られるのみならず、より少ない添加剤の濃度であっても高濃度のものと同等な極圧性能が得られるということである。
このことは費用の節約(比較的高価な添加剤の量が少なくて済む)が可能であるということの外に、ふつうの極圧添加剤を通常の使用量で用いた場合に往々にして生ずる腐食、酸化不安定性の防止、高温度での製品の使用寿命の向上に資するといういくつかの多大な利点を同時にもたらすという効果が明らかにに達成されることがわかる。
【0051】
これまで詳細に述べてきたように、格別の欠陥を伴うことなく高荷重下での使用が可能であるということの外に、本発明は前記の摩耗瘢痕(wear scars)の大きさの試験について述べたように、不合格であった場合の荷重よりも小さい魔耗痕を生ずる、すなわちすぐれた魔耗に対する保護を達成しうる。通常の標準的使用での荷重度における試験において、本発明実施例1によれば魔耗痕がすべての比較例の場合よりも少ないことが示されている。同じように150kgではいくらかこれより高いが、その荷重は中程度である。実施例1の試験で魔耗痕は同じように多量の硫化ビスマスを含む比較例3と共に最小であった。比較例3のように硫化ビスマスを多量に含む場合は潤滑油メーカーにとって原材料の費用が極めて高価になるので、経済的な意味でのその実用性は考慮されないものと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】米国特許第4,191,659号
【特許文献2】EP 0776959
【特許文献3】EP0668342
【特許文献4】EP1209029
【特許文献5】WO 97/21788
【特許文献6】WO 00/15736
【特許文献7】WO 00/14188
【特許文献8】WO 00/14187
【特許文献9】WO 00/14183
【特許文献10】WO 00/14179
【特許文献11】WO 00/08115
【特許文献12】WO 99/41332
【特許文献13】WO 01/18156
【特許文献14】WO 01/57166
【非特許文献】
【0053】
【非特許文献1】2006年3月のNLGI Spokesman,第69巻第12号の第8−13頁(2004年10月に行われたNLGIの第71回年会で発表)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
− 基油;
− 金属硫化物または金属酸化物、好ましくは金属硫化物、および
− 有機硫黄化合物
を含む潤滑組成物。
【請求項2】
金属硫化物がBi,ZnS,WSおよびMoSからなる群から選ばれるものである請求項1に記載した潤滑組成物。
【請求項3】
金属硫化物がBiである請求項1または2に記載した潤滑組成物。
【請求項4】
有機硫黄化合物が、不飽和炭化水素基を含有する化合物を硫黄化することによって得られるものであり、上記炭化水素基が好ましくは水素および炭素原子のみから成るものである請求項1,2または3のいずれかに記載した潤滑組成物。
【請求項5】
有機硫黄化合物が、同化合物の重量に対して5から40重量%、好ましくは7から20、より好ましくは8から12重量%のS含有量を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載した潤滑組成物。
【請求項6】
最終潤滑組成物の重量に基いて、有機硫黄化合物0.1から10重量%、好ましくは1〜8重量%のS含有量を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載した潤滑組成物。
【請求項7】
潤滑剤組成物がグリースの形態を有し、かつ1種またはそれ以上の増ちょう剤を含有している請求項1〜6のいずれかに記載した潤滑組成物。
【請求項8】
極圧性および耐魔耗性、とくにASTM D2596の基準に従うこれらの性質の一つまたはそれ以上を改良するために請求項1〜7のいずれかに記載した潤滑組成物を使用する方法。

【公表番号】特表2011−530638(P2011−530638A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522494(P2011−522494)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060328
【国際公開番号】WO2010/018148
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】