説明

濃度測定方法及び濃度測定装置

【課題】測定対象物に温度変動がある場合の溶質の濃度を、非侵襲的にかつ精度良く測定することができる濃度測定方法及び濃度測定装置を提供する。
【解決手段】演算部は、記憶部に予め記憶しておいた情報(事前準備)を参照して、体液を構成する水(溶媒)の吸収係数(μaw(λ))と、グルコースの見かけの吸収係数(μ’ag(λ))とを得る(S11)。そして、測定時に皮膚に照射した光の波長(λ1),(λ2)…ごとに、参照した水の吸収係数(μaw(λ))、グルコースの見かけの吸収係数(μ’ag(λ)、および測定した吸収係数(μ(λ))に基づいて、以下の(式8)を適用し、皮膚の体液中に含まれるグルコース(第一の溶質)の体積分率(V)、および水(溶媒)の体積分率(V)を得る(S12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光散乱媒質の層により構成される観測対象のうち、目的成分の濃度を、非侵襲的にかつ精度良く測定する濃度測定方法及び濃度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国は飽食の時代にあって、糖尿病の患者が毎年増加し続けている。そのために、糖尿病性腎炎の患者も毎年増加し続けることとなり、その結果、慢性腎不全の患者も毎年1万人もの増加を続け、患者数は28万人を超えるようになってきている。
一方、高齢化社会の到来により、予防医学に対する要求の高まりを受けて、個人における代謝量管理の重要性が急速に増大している。中でも、血糖値測定は、食前や食後の血糖値を測定することで糖代謝の反応が分かることが知られており、糖尿病のごく初期段階での糖代謝の反応を評価することで、糖尿病の早期診断に基づく早期治療が可能になる。
【0003】
従来、血糖値の測定は、腕あるいは指先等の静脈から採血を行い、この血液中のグルコースに対する酵素活性を測定することで行っている。しかし、このような血糖値の測定方法では、採血が煩雑であり、しかも採血に痛みを伴い、さらには感染症の危険性を伴う等の様々な問題がある。
また、血糖値を連続的に測定する方法としては、静脈に注射針を刺した状態で連続的に血糖値相応のグルコースの測定を行う機器が米国にて開発されており、現在臨床試験中である。しかし、静脈に注射針を刺したままにしているために、血糖値の測定中に針が抜ける危険性や感染症の危険性がある。
【0004】
そこで、採血無しに頻繁に血糖値を測定することができ、しかも感染症の危険性が無い血糖値の測定装置の開発が求められている。さらには、簡単にかつ常時装着可能であり、小型化可能な血糖値の測定装置の開発が求められている。
【0005】
非侵襲的に成分濃度を測定する装置としては、分子吸光の原理を用いた一般的な分光分析測定の原理を適用した装置が提案されている。
この装置は、測定対象物に特定波長の光または連続光を照射し、その光吸収量からBeer-Lambert則に基づいて、成分の濃度を算出している。
【0006】
しかしながら、こうしたBeer-Lambert則に基づいて、グルコースの濃度を算出する装置では、測定対象物の温度変動によって光吸収量も変動するため、測定対象物が予め定められた温度範囲になっていないと正確な測定ができないという課題があった。例えば、血液中のグルコースを測定する際に、血液に含まれるグルコースと水(水分)との溶液の温度が、体温の変動などによって変化すると、これら成分の正確な濃度の測定が困難である。
【0007】
一方、こうしたBeer-Lambert則によらず、予め測定対象となる物質の濃度が既知の試料によって検量線を作成し、濃度が未知の被測定対象の測定によって得られた光吸収量を、検量線と対比させ、被測定対象の濃度を求める測定装置もある。(例えば特許文献1、2参照)
【0008】
しかしながら、こうした検量線を用いた測定装置であっても、検量線作成時の試料温度と比較して、測定対象物の温度が異なっていると、測定対象物の成分の光吸収量の変動をもたらし、測定誤差が大きくなり、溶質の正確な濃度が得られないという課題があった。
【0009】
さらに、こうした検量線を用いた測定装置のうち、多成分の濃度変動を考慮した多変量解析を用いたものもある(例えば、特許文献3、4参照)。
こうした多変量解析を用いた測定装置(測定方法)では、シミュレーションによって検量線を作成しており、測定対象物の温度変動や成分間の相互作用が考慮されていない。よって、測定対象物の温度変動がある場合や、さらに測定対象に複数成分が含まれている場合、濃度測定の際に誤差が大きくなり、目的の成分を正確に測定することが困難であった。
また、こうした多数の試料をシミュレーションでなく実測し、こうした実測による光吸収量に基づいて検量線を作成することも考えられるが、こうした相互作用を考慮した検量線の作成は多くの時間と手間が掛かり、実用的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭52−63397号公報
【特許文献2】特許第3903147号公報
【特許文献3】特開2003−050200号公報
【特許文献4】特開2007−259967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、測定対象物に温度変動がある場合でも、溶質の濃度をBeer-Lambert則に基づいて精度良く測定することができる濃度測定方法及び濃度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、以下の濃度測定方法及び濃度測定装置を採用した。
すなわち、本発明の濃度測定方法は、溶媒である水に溶質を溶解させた溶液中の溶質濃度を、吸光光度法によって測定する濃度測定方法であって、
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略同一の、互いに異なる第一と第二の波長の1組の光を前記溶液にそれぞれ入射させ、前記溶液における、前記第一の波長の吸収係数(μ(λ1))と、前記第二の波長の吸収係数(μ(λ2))とを測定する工程と、
前記第一の波長の水の吸収係数(μaw(λ1))、および前記第二の波長の水の吸収係数(μaw(λ2))をそれぞれ参照する工程と、
前記第一の波長の溶質の吸収係数(μag(λ1))、および前記第二の波長の溶質の吸収係数(μag(λ2))をそれぞれ参照する工程と、
これら吸収係数(μ(λ1))、(μ(λ2))、(μaw(λ1))、(μaw(λ2))、(μag(λ1))、および(μag(λ2))に基づいて、連立方程式(式1)(式2)を適用し、未知の溶質の体積分率(V1)、および水の体積分率(V1)を得る工程と、
を少なくとも備えたことを特徴とする。
【0013】
【数1】

【0014】
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第三の波長の光によって、前記溶液の前記第三の波長の吸収係数(μ(λ3))を測定する工程を更に備え、
前記第三の波長の水の吸収係数(μaw(λ3))、および前記第三の波長の溶質の吸収係数(μag(λ3))とともに(式3)に適用し、この(式3)と前記(式1)(式2)の中から任意の数の式を用いて連立方程式を構成して、未知の溶質の体積分率(V1)、および水の体積分率(V1)を得ることを特徴とする。
【0015】
【数2】

【0016】
また、本発明の濃度測定方法は、溶媒である水に溶質を溶解させた溶液中の溶質濃度を、吸光光度法によって測定する濃度測定方法であって、
水の温度変化による水の吸収係数の変化量の絶対値が略同一であり、かつ正負が逆である、互いに異なる第四と第五の波長の1組の光を前記溶液にそれぞれ入射させ、前記溶液における前記第四の波長の吸収係数(μ(λ4))と、前記第五の波長の吸収係数(μ(λ5))とを測定する工程と、
前記第四の波長の水の吸収係数(μaw(λ4))、および前記第五の波長の水の吸収係数(μaw(λ5))をそれぞれ参照する工程と、
前記第四の波長の溶質の吸収係数(μag(λ4))、および前記第五の波長の溶質の吸収係数(μag(λ5))をそれぞれ参照する工程と、
これら吸収係数(μ(λ4))、(μ(λ5))、(μaw(λ4))、(μaw(λ5))、(μag(λ4))、および(μag(λ5))に基づいて、連立方程式(式4)(式5)を適用し、未知の溶質の体積分率(V2)、および水の体積分率(V2)を得る工程と、
を少なくとも備えたことを特徴とする。
【0017】
【数3】

【0018】
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第六の波長の光によって、前記溶液の前記第六の波長の吸収係数(μ(λ6))を測定する工程を更に備え、
前記第六の波長の水の吸収係数(μaw(λ6))、および前記第六の波長の溶質の吸収係数(μag(λ6))とともに(式6)に適用し、この(式6)と前記(式4)(式5)の中から任意の数の式を用いて連立方程式を構成して、未知の溶質の体積分率(V2)、および水の体積分率(V2)を得ることを特徴とする。
【0019】
【数4】

【0020】
また、本発明の濃度測定装置は、溶媒である水に溶質を溶解させた溶液中の溶質濃度を、吸光光度法によって測定する濃度測定装置であって、
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略同一の、互いに異なる第七と第八の波長の1組の光を照射可能な光源と、
前記第七の波長の水の吸収係数(μaw(λ7))、前記第八の波長の水の吸収係数(μaw(λ8))、前記第七の波長の溶質の吸収係数(μag(λ7))、および前記第八の波長の溶質の吸収係数(μag(λ8))をそれぞれ記憶する記憶部と、
これら吸収係数(μaw(λ7))、(μaw(λ8))、(μag(λ7))、および(μag(λ8))に基づいて、前記溶液の溶質の体積分率(V3)、および水の体積分率(V3)を算出する演算部と、
を少なくとも備えたことを特徴とする。
【0021】
前記第七の波長は1440〜1480nmの範囲であり、前記第八の波長は、1500〜1800nmの範囲であることを特徴とする。
【0022】
前記光源は、水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第九の波長の光を更に照射可能であることを特徴とする。
【0023】
前記第九の波長は、1789±10nm、1440±10nm、または1000〜1300nmのいずれかの波長域であることを特徴とする。
【0024】
前記光源は、複数の波長からなる光を、少なくとも前記第七の波長の光、および前記第八の波長の光にそれぞれ分光する分光手段を含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の濃度測定装置は、溶媒である水に溶質を溶解させた溶液中の溶質濃度を、吸光光度法によって測定する濃度測定装置であって、
水の温度変化による水の吸収係数の変化量の絶対値が略同一であり、かつ正負が逆である、互いに異なる第十と第十一の波長の1組の光を照射可能な光源と、
前記第十の波長の水の吸収係数(μaw(λ10))、前記第十一の波長の水の吸収係数(μaw(λ11))、前記第十の波長の溶質の吸収係数(μag(λ10))、および前記第十一の波長の溶質の吸収係数(μag(λ11))をそれぞれ記憶する記憶部と、
これら吸収係数(μaw(λ10))、(μaw(λ11))、(μag(λ10))、および(μag(λ11))に基づいて、前記溶液の溶質の体積分率(V4)、および水の体積分率(V4)を算出する演算部と、
を少なくとも備えたことを特徴とする。
【0026】
前記第十の波長は1440〜1480nmの範囲であり、前記第十一の波長は、1500〜1800nmの範囲であることを特徴とする。
【0027】
前記光源は、水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第十二の波長の光を更に照射可能であることを特徴とする。
【0028】
前記第十二の波長は、1789±10nm、1440±10nm、または1000〜1300nmのいずれかの波長域であることを特徴とする。
【0029】
前記光源は、複数の波長からなる光を、少なくとも前記第十の波長の光、および前記第十一の波長の光にそれぞれ分光する分光手段を含むことを特徴とする。
【0030】
前記溶質はグルコースであり、前記溶液はグルコース水溶液であることを特徴とする
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態の濃度測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の濃度測定装置が試料の濃度を測定する動作を示すフローチャートである。
【図3】グルコース水溶液の状態を模式的に示した模式図である。
【図4】本発明の他の実施形態の濃度測定方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態の濃度測定方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態の濃度測定装置を示すブロックダイアグラムである。
【図7】本発明の他の実施形態の濃度測定装置を示すブロックダイアグラムである。
【図8】吸収係数スペクトルを示すグラフである。
【図9】超純水の温度による吸収係数変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の濃度測定装置及び濃度測定方法を実施するための形態について説明する。
なお、本実施形態は発明の趣旨をより良く理解させるために、一例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0033】
図1は、本発明の第1の実施形態の濃度測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
この濃度測定装置100は、第一の溶質を溶解させた溶液中の第一の溶質の濃度を、吸光光度法によって正確に測定可能なものであり、演算部101、記憶部102、表示部103、計測光強度取得部(測定部)104と、照射部105および受光部106からなる測定ユニット107を備えている。
【0034】
この濃度測定装置100は、例えば、皮膚(観測対象)の真皮層(任意の層)に存在する体液(試料:溶液)に相当する液体に代表される、溶媒である水(溶媒)に溶解した第一の溶質、例えばグルコースの濃度を測定(定量)することができる。以下、第一の溶質の一例としてグルコース、測定対象として体液相当の液体を例示する。
なお、本発明では、水(溶媒)とグルコースのように、互いに相互作用を生じる水溶液に対しても適用できる。ここでいう相互作用とは、溶媒に対して溶質を溶解させた際に生じるクラスターの形成による作用、例えば、分子間の水素結合数の変化、グルコース水溶液中の水とグルコースの水素結合、水と塩化ナトリウムのイオン結合などが挙げられる。
【0035】
記憶部102は、水(溶媒)の吸収係数(μaw(λ))、および、水にグルコース(第一の溶質)を溶解させた既知のグルコースの濃度における水溶液から測定したグルコースの見かけの吸収係数(μ’ag(λ))を記憶する。
計測光強度取得部(測定部)104は、グルコースの濃度が未知である第一の試料、即ち、皮膚(観測対象)の真皮層(任意の層)に存在する体液の吸収係数(μ(λ))を測定する。
【0036】
光源である照射部(光源)105は、皮膚(観測対象)に向けて所定の波長の光を照射する。こうした照射部(光源)105は、例えば、レーザー光源から構成されればよい。
【0037】
また、照射部105は、測定対象の試料(体液相当の液体)を入れるガラスセル110に対して光を照射する。
【0038】
演算部101は、水(溶媒)の吸収係数(μaw(λ))、既知のグルコースの見かけの吸収係数(μ’ag(λ))、および未知のグルコース濃度の観測対象の吸収係数(μ(λ))に基づいて、未知のグルコースの体積分率(V)、および溶媒の体積分率(V)を算出する。こうした演算部101は、例えば、CPU、メモリーなどから構成されていればよい。
受光部106は、例えば、光がガラスセル110を透過した光を受光すればよい。
【0039】
次に、濃度測定装置100の動作、即ち、本発明の濃度測定方法を説明する。
濃度測定装置100は、測定を行う前に、予め、水(溶媒)に所定量のグルコース(第一の溶質)を溶解させて、グルコース濃度が既知の溶液を作成し、この溶液における吸収係数の測定値からグルコースの見かけの吸収係数(μ’ag(λ))を算出し、記憶部102に記憶させておく。なお、図8に、グルコース(第一の溶質)の見かけの吸収係数(μ’ag(λ))と水(溶媒)の吸収係数(μaw(λ))の例を示す。
【0040】
図2は、濃度測定装置を用いて溶質の濃度を測定する際の動作を示すフローチャートである。
まず、測定者は、濃度測定装置100を動作させる。そして、まず最初に、ガラスセル110に試料を入れない状態で、第一の波長の光、例えば1450nmの光を照射部(光源)105から出射させる(S1)。
【0041】
照射部105が第一の波長(1450nm)の光を照射すると、受光部106は、照射部105から照射され受光(測定)し、光強度Iを得る(S2)。
【0042】
次に、ガラスセル110に試料を入れない状態で、第二の波長の光、例えば1588nmの光を照射部(光源)105から出射させる(S3)。
【0043】
照射部105が第二の波長(1588nm)の光を照射すると、受光部106は、照射部105から照射され受光(測定)し、光強度Iを得る(S4)。
【0044】
今度は、ガラスセル110に試料(体液相当の液体)を入れた状態で、第一の波長の光、例えば1450nmの光を照射部(光源)105から出射させる(S5)。
【0045】
照射部105が第一の波長(1450nm)の光を照射すると、受光部106は、照射部105から照射され受光(測定)し、光強度Iを得る(S6)。
【0046】
同様に、ガラスセル110に試料(体液相当の液体)を入れた状態で、第二の波長の光、例えば1588nmの光を照射部(光源)105から出射させる(S7)。
【0047】
照射部105が第一の波長(1588nm)の光を照射すると、受光部106は、照射部105から照射され受光(測定)し、光強度Iを得る(S8)。
【0048】
次いで、記憶部102が記憶する波長の光路長情報から、光路長を取得する(S9)。
そして、(式7)に基づいて、演算部101は試料の吸収係数を算出する(S10)。
【0049】
【数5】

【0050】
そして、演算部101は、記憶部102に予め記憶しておいた情報(事前準備)を参照して、体液を構成する水(溶媒)の吸収係数(μaw(λ))と、グルコースの見かけの吸収係数(μ’ag(λ))とを得る(S11)。
そして、測定時に皮膚に照射した光の波長(λ1),(λ2)…ごとに、参照した水の吸収係数(μaw(λ))、グルコースの見かけの吸収係数(μ’ag(λ)、および測定した吸収係数(μ(λ))に基づいて、以下の(式8)を適用し、皮膚の体液中に含まれるグルコース(第一の溶質)の体積分率(V)、および水(溶媒)の体積分率(V)を得る(S12)。
【0051】
【数6】

【0052】
得られた体積分率(V)をmg/dlに変換する(S13)。こうして得られたグルコース(第一の溶質)の濃度は、表示部103、例えばモニター画面やプリンターに出力すればよい(S14)。
【0053】
ここで、グルコース(第一の溶質)の見かけの吸収係数について説明する。見かけの吸収係数とは、溶質の吸収特性を表す値で溶媒、例えば水との相互作用を含むものである。ここでは、グルコース水溶液を例にとってグルコースの見かけの吸収係数について説明する。
【0054】
図3は、グルコース水溶液の状態を模式的に示した模式図である。
グルコース水溶液において、成分はグルコースと水の2つである。水溶液中では、グルコースと水が水素結合により相互に作用を及ぼすと考えられる。血糖値相当のグルコース水溶液のように水がグルコースに比較して十分に多い場合、全てのグルコースは水素結合の影響を受け、水については一部がその影響を受けると考えられる。よって、水については、グルコースと結合した水(水和水)と結合していない水(バルク水)を別成分として考える。この考えにもとづくとグルコース水溶液の吸収係数は、式(9)のように表すことができる。
【0055】
【数7】

【0056】
水素結合の数はグルコースの量に依存すると考えられる。また、vw1とvw2の和をvとすると比例定数αを用いて式(9)は、式(10)のように変換できる。
【0057】
【数8】

【0058】
ここで、式(10)の[]内をμ’ag(λ)とおくと、見かけ上Beer-Lambert則が得られる。μ’ag(λ)は、見かけの吸収係数であり、「水に溶けたグルコースの吸収係数μag(λ)」と「グルコース添加による水の吸収係数の変化量μaw2(λ)−μaw(λ)に比例定数αをかけたもの」の和を表している。μ’ag(λ)vがvに対して線形である(すなわちμ’ag(λ)がvによって変動しない)範囲で、式(6)を用いてμ’ag(λ)を物性値のひとつとして扱うことで成分の体積分率を求めることが可能である。
【0059】
以下に、本発明における測定波長の組み合わせ例を例示する。まず最初に、本発明における測定波長の組み合わせ選択に用いるグラフを図9にしめす。この図9は超純水1℃あたり吸収係数がどれたけ変化するかを波長ごとに示したものである。以下の説明において、
このグラフにおける水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである波長1300nmをA波長、1430nmをD波長、1789nmをG波長とする。また、水の温度変化による水の吸収係数の変化量が+0.01(mm−1)である波長1390nmをB波長、1420nmをC波長とする。更に、水の温度変化による水の吸収係数の変化量が−0.01(mm−1)である波長1450nmをE波長、1588nmをF波長とする。
【0060】
(波長組合せ例1)
本発明の測定波長の組合せとして、まず、第一の波長の吸収係数(μ(λ1))と、第二の波長の吸収係数(μ(λ2))とを測定した上で、第一の波長の水の吸収係数(μaw(λ1))、第二の波長の水の吸収係数(μaw(λ2))、および第一の波長のグルコースの吸収係数(μag(λ1))、第二の波長のグルコースの吸収係数(μag(λ2))をそれぞれ参照し、これら吸収係数(μ(λ1))、(μ(λ2))、(μaw(λ1))、(μaw(λ2))、(μag(λ1))、および(μag(λ2))に基づいて、連立方程式(式1)(式2)を適用し、未知のグルコースの体積分率(V1)、および水の体積分率(V1)を得る。
【0061】
【数9】

【0062】
この時の第一の波長と第二の波長の組み合わせ例として、図9における吸収係数の変化量が−0.01(mm−1)となるE波長とF波長の光を組み合わせることが例示できる。また、図9における吸収係数の変化量が+0.01(mm−1)となるB波長とC波長の光を組み合わせることが例示できる
【0063】
(波長組合せ例2)
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第三の波長の光によって、グルコース水溶液の第三の波長の吸収係数(μ(λ3))を測定する工程を更に備え、この第三の波長の水の吸収係数(μaw(λ3))、および前記第三の波長のグルコースの吸収係数(μag(λ3))とともに(式3)に適用し、この(式3)と(式1)(式2)の中から任意の数の式を用いて連立方程式を構成して、未知のグルコースの体積分率(V1)、および水の体積分率(V1)を得ることもできる。
【0064】
【数10】

【0065】
この時の第三の波長の光としては、図9における吸収係数の変化量が略ゼロとなるA波長、D波長、G波長の光を用いることが例示できる。
【0066】
(波長組合せ例3)
水の温度変化による水の吸収係数の変化量の絶対値が略同一であり、かつ正負が逆である、互いに異なる第四と第五の波長の1組の光をグルコース水溶液にそれぞれ入射させ、グルコース水溶液における、第四の波長の吸収係数(μ(λ4))と、第五の波長の吸収係数(μ(λ5))とを測定する工程を備え、
第四の波長の水の吸収係数(μaw(λ4))、第五の波長の水の吸収係数(μaw(λ5))、および第四の波長のグルコースの吸収係数(μag(λ4))、第五の波長のグルコースの吸収係数(μag(λ5))をそれぞれ参照して、これら吸収係数(μ(λ4))、(μ(λ5))、(μaw(λ4))、(μaw(λ5))、(μag(λ4))、および(μag(λ5))に基づいて、連立方程式(式4)(式5)を適用し、未知のグルコースの体積分率(V2)、および水の体積分率(V2)を得ることもできる。
【0067】
【数11】

【0068】
この時の第四の波長の光と第五の波長の光との組み合わせ例としては、例えば、吸収係数の変化量が+0.01(mm−1)となるB波長の光と、吸収係数の変化量が−0.01(mm−1)となるE波長の光との組み合わせ、同様にC波長とF波長の光の組み合わせ、B波長とF波長の光の組み合わせ、C波長とE波長の光の組み合わせなどが例示できる。
【0069】
(波長組合せ例4)
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第六の波長の光によって、グルコース水溶液の第六の波長の吸収係数(μ(λ6))を測定する工程を更に備え、
第六の波長の水の吸収係数(μaw(λ6))、および第六の波長のグルコースの吸収係数(μag(λ6))とともに(式6)に適用し、この(式6)と(式4)(式5)の中から任意の数の式を用いて連立方程式を構成して、未知のグルコースの体積分率(V2)、および水の体積分率(V2)を得ることもできる。
【0070】
【数12】

【0071】
この時の第六の波長の光としては、図9における吸収係数の変化量が略ゼロとなるA波長、D波長、G波長の光を用いることが例示できる。
【0072】
なお、水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである波長の光としては、図9のグラフに示す波長1000〜1300nmの変化量が略ゼロの平坦な領域の光を用いることもできる。
【0073】
以下、本発明の測定手順(濃度測定方法)のバリエーションを列記するが、本願発明はこれらの手順に限定されるものではない。
(他の濃度測定方法1)
図4は、本発明の濃度測定方法の他の一例を示すフローチャートである。
この実施形態においては、上述した(式1)に2波長のデータを代入した2つの式から体積分率を求める。この場合、光源として波長の異なる4種類の光を測定対象(試料)に照射させる必要がある。ここでは、波長1450nmと波長1588nmの光のペアと、波長1440nmと1300nmの光のペアを用いている。これら光の波長のペアは、水の吸収係数における温度変動量が互いに同じになるように選択される。それ以外の部分は図2に示す手順と同様である。
【0074】
(他の濃度測定方法2)
図5は、本発明の濃度測定方法の他の一例を示すフローチャートである。
この実施形態においては、図4に示す実施形態で示した2つの波長ペアのうち、波長1440nmの光と波長1300nmの光とは水の吸収係数の温度変化がほぼゼロである。従って、これらの波長の光は、波長ペアの差分を用いず単独で用いても、水の温度変化による影響が殆ど無い。よって、精度の高い測定が可能である。この実施形態では、波長1450nmの光、波長1588nmの光、および波長1440nmの光を用いた構成を示している。それ以外の部分は図2に示す手順と同様である。
【0075】
以下、本発明の濃度測定装置のバリエーションを列記するが、本願発明はこれらの構成に限定されるものではない。
(他の濃度測定装置1)
図6は、本発明の濃度測定装置の他の一例を示すブロックダイアグラムである。
この実施形態に示した濃度測定装置おいては、互いに異なる波長の光を照射する3つの光射出部(光源)を備え、それぞれの光源から照射した光を測定対象(試料)で反射させた反射光(後方散乱光)を受光する構成である。図1に示した測定対象(試料)を透過させた透過光を受光する構成と比べて、試料自体に光の反射性がある場合に好適に適用でき、また、試料を入れたセルの一面に光学反射膜を形成することでも実現できる。
【0076】
(他の濃度測定装置2)
図7は、本発明の濃度測定装置の他の一例を示すブロックダイアグラムである。
この実施形態に示した濃度測定装置おいては、複数の波長を含む光、例えば白色光を照射する光射出部(光源から)出射させた光を分光手段で特定の波長ごとに光を分光させ、分光させた後の光を測定対象(試料)に入射させて吸収係数を測定する構成である。分光手段としては、例えば、プリズムや回折格子などを備えた分光器を用いればよい。
【0077】
以上、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等が可能である。
【0078】
例えば、式1に示した体積分率を求める式においては、左辺において吸収係数どうしを減算しているが、逆に吸収係数どうしを加算しても同様に体積分率を得ることができる。
【0079】
例えば、水の体積分率と吸収係数、グルコースの体積分率と吸収係数などは、それぞれ水のモル濃度とモル吸光係数、グルコースのモル濃度とモル吸光係数に置き換えることができる。置き換えた場合、(式1)に対応する式は(式12)となる。
【0080】
【数13】

【0081】
なお、式12において
μa(λ1):波長λ1における水溶液の吸収係数
μa(λ2):波長λ2における水溶液の吸収係数
εw(λ1):波長λ1における水のモル吸光係数
εw(λ2):波長λ2における水のモル吸光係数
ε(λ1):波長λ1における溶質のモル吸光係数
ε(λ2):波長λ2における溶質のモル吸光係数
C:水のモル濃度
C:溶質のモル濃度
をそれぞれ表している。
【0082】
また、上述した実施形態においては、水に1成分の溶質(例えばグルコース)を溶解させた溶液における、温度変化に対応した体積分率の測定について示しているが、水に2成分以上の溶質(例えば、グルコースと塩化ナトリウムなど)を溶解させた溶液に対して、温度変化に対応したそれぞれの成分ごとの体積分率を求める実施形態にも同様に適用可能である。
【0083】
また、例えば、観測対象として人の手のひらの皮膚を、また、目的成分として互いに相互作用が生じる任意の溶媒と溶質との間で、それぞれの成分の濃度を測定する他の装置に用いてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、試料を透過した透過光によって測定を行っているが、試料で反射透過した反射光によって測定を行ってもよい。こうした反射光を用いた測定の一例として、例えば、照射部(光源)から人体の皮膚(観測対象)に向けて所定の波長の光を照射する。照射部は、皮膚に対して光を照射すればよい。
【0085】
この照射部が照射する複数の光は、皮膚を構成する主成分の各々の成分の吸収スペクトル分布の直交性が高くなる波長の光、すなわち、皮膚を構成する主成分の各々の成分のうち、ある主成分における特定成分の吸収スペクトルの極大値が他の成分の吸収スペクトルの極大値と大きく異なる波長の光を含んでいる。そして、光が皮膚によって後方散乱した光(測定光)を受光し、これに基づいて皮膚の体液に含まれるグルコース濃度を測定することもできる。
【符号の説明】
【0086】
100…濃度測定装置、102…記憶部、103…表示部、104…計測光強度取得部、105…照射部(光源)、106…受光部、110…ガラスセル。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒である水に溶質を溶解させた溶液中の溶質濃度を、吸光光度法によって測定する濃度測定方法であって、
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略同一の、互いに異なる第一と第二の波長の1組の光を前記溶液にそれぞれ入射させ、前記溶液における前記第一の波長の吸収係数(μ(λ1))と、前記第二の波長の吸収係数(μ(λ2))とを測定する工程と、
前記第一の波長の水の吸収係数(μaw(λ1))、および前記第二の波長の水の吸収係数(μaw(λ2))をそれぞれ参照する工程と、
前記第一の波長の溶質の吸収係数(μag(λ1))、および前記第二の波長の溶質の吸収係数(μag(λ2))をそれぞれ参照する工程と、
これら吸収係数(μ(λ1))、(μ(λ2))、(μaw(λ1))、(μaw(λ2))、(μag(λ1))、および(μag(λ2))に基づいて、連立方程式(式1)(式2)を適用し、未知の溶質の体積分率(V1)、および水の体積分率(V1)を得る工程と、
を少なくとも備えたことを特徴とする濃度測定方法。
【数1】

μ(λ1)−μ(λ2)=(μaw(λ1)−μaw(λ2))V+(μag(λ1)−μag(λ2))V (式1)
1+V1=1 (式2)
【請求項2】
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第三の波長の光によって、前記溶液の前記第三の波長の吸収係数(μ(λ3))を測定する工程を更に備え、
前記第三の波長の水の吸収係数(μaw(λ3))、および前記第三の波長の溶質の吸収係数(μag(λ3))とともに(式3)に適用し、この(式3)と前記(式1)(式2)の中から任意の数の式を用いて連立方程式を構成して、未知の溶質の体積分率(V1)、および水の体積分率(V1)を得ることを特徴とする請求項1記載の濃度測定方法。
【数2】

μ(λ3)=(μaw(λ3)×V1)+(μag(λ3)×V1) (式3)
【請求項3】
溶媒である水に溶質を溶解させた溶液中の溶質濃度を、吸光光度法によって測定する濃度測定方法であって、
水の温度変化による水の吸収係数の変化量の絶対値が略同一であり、かつ正負が逆である、互いに異なる第四と第五の波長の1組の光を前記溶液にそれぞれ入射させ、前記溶液における前記第四の波長の吸収係数(μ(λ4))と、前記第五の波長の吸収係数(μ(λ5))とを測定する工程と、
前記第四の波長の水の吸収係数(μaw(λ4))、および前記第五の波長の水の吸収係数(μaw(λ5))をそれぞれ参照する工程と、
前記第四の波長の溶質の吸収係数(μag(λ4))、および前記第五の波長の溶質の吸収係数(μag(λ5))をそれぞれ参照する工程と、
これら吸収係数(μ(λ4))、(μ(λ5))、(μaw(λ4))、(μaw(λ5))、(μag(λ4))、および(μag(λ5))に基づいて、連立方程式(式4)(式5)を適用し、未知の溶質の体積分率(V2)、および水の体積分率(V2)を得る工程と、
を少なくとも備えたことを特徴とする濃度測定方法。
【数3】

μ(λ4)+μ(λ5)=(μaw(λ4)+μaw(λ5))V2+(μag(λ4)+μag(λ5))V2 (式4)
2+V2=1 (式5)
【請求項4】
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第六の波長の光によって、前記溶液の前記第六の波長の吸収係数(μ(λ6))を測定する工程を更に備え、
前記第六の波長の水の吸収係数(μaw(λ6))、および前記第六の波長の溶質の吸収係数(μag(λ6))とともに(式6)に適用し、この(式6)と前記(式4)(式5)の中から任意の数の式を用いて連立方程式を構成して、未知の溶質の体積分率(V2)、および水の体積分率(V2)を得ることを特徴とする請求項3記載の濃度測定方法。
【数4】

μ(λ6)=(μaw(λ6)×V2)+(μag(λ6)×V2) (式6)
【請求項5】
溶媒である水に溶質を溶解させた溶液中の溶質濃度を、吸光光度法によって測定する濃度測定装置であって、
水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略同一の、互いに異なる第七と第八の波長の1組の光を照射可能な光源と、
前記第七の波長の水の吸収係数(μaw(λ7))、前記第八の波長の水の吸収係数(μaw(λ8))、前記第七の波長の溶質の吸収係数(μag(λ7))、および前記第八の波長の溶質の吸収係数(μag(λ8))をそれぞれ記憶する記憶部と、
これら吸収係数(μaw(λ7))、(μaw(λ8))、(μag(λ7))、および(μag(λ8))に基づいて、前記溶液の溶質の体積分率(V3)、および水の体積分率(V3)を算出する演算部と、
を少なくとも備えたことを特徴とする濃度測定装置。
【請求項6】
前記第七の波長は1440〜1480nmの範囲であり、前記第八の波長は、1500〜1800nmの範囲であることを特徴とする請求項3記載の濃度測定装置。
【請求項7】
前記光源は、水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第九の波長の光を更に照射可能であることを特徴とする請求項5または6記載の濃度測定装置。
【請求項8】
前記第九の波長は、1789±10nm、1440±10nm、または1000〜1300nmのいずれかの波長域であることを特徴とする請求項7記載の濃度測定装置。
【請求項9】
前記光源は、複数の波長からなる光を、少なくとも前記第七の波長の光、および前記第八の波長の光にそれぞれ分光する分光手段を含むことを特徴とする請求項5ないし8いずれか1項記載の濃度測定装置。
【請求項10】
溶媒である水に溶質を溶解させた溶液中の溶質濃度を、吸光光度法によって測定する濃度測定装置であって、
水の温度変化による水の吸収係数の変化量の絶対値が略同一であり、かつ正負が逆である、互いに異なる第十と第十一の波長の1組の光を照射可能な光源と、
前記第十の波長の水の吸収係数(μaw(λ10))、前記第十一の波長の水の吸収係数(μaw(λ11))、前記第十の波長の溶質の吸収係数(μag(λ10))、および前記第十一の波長の溶質の吸収係数(μag(λ11))をそれぞれ記憶する記憶部と、
これら吸収係数(μaw(λ10))、(μaw(λ11))、(μag(λ10))、および(μag(λ11))に基づいて、前記溶液中の溶質の体積分率(V4)、および水の体積分率(V4)を算出する演算部と、
を少なくとも備えたことを特徴とする濃度測定装置。
【請求項11】
前記第十の波長は1440〜1480nmの範囲であり、前記第十一の波長は、1500〜1800nmの範囲であることを特徴とする請求項10記載の濃度測定装置。
【請求項12】
前記光源は、水の温度変化による水の吸収係数の変化量が略ゼロである第十二の波長の光を更に照射可能であることを特徴とする請求項10または11記載の濃度測定装置。
【請求項13】
前記第十二の波長は、1789±10nm、1440±10nm、または1000〜1300nmのいずれかの波長域であることを特徴とする請求項12記載の濃度測定装置。
【請求項14】
前記光源は、複数の波長からなる光を、少なくとも前記第十の波長の光、および前記第十一の波長の光にそれぞれ分光する分光手段を含むことを特徴とする請求項10ないし13いずれか1項記載の濃度測定装置。
【請求項15】
前記溶質はグルコースであり、前記溶液はグルコース水溶液であることを特徴とする請求項1ないし14いずれか1項記載の濃度測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−64631(P2013−64631A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203102(P2011−203102)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】