説明

濾過システム

【課題】給水量を確保しつつ、安定した水質の処理水を製造することができる濾過システムを提供すること。
【解決手段】処理水を製造する複数の濾過手段と、処理水の水質をそれぞれ計測する複数の水質計測手段6a,6bと、複数の濾過手段において、濾材の汚濁の程度である汚濁度をそれぞれ検出する複数の汚濁度検出手段3,6a,6bと、複数の濾過手段において、逆洗浄工程及び水洗工程からなる濾材の洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する洗浄動作実施要求判定手段16と、複数の濾過手段において洗浄動作の実施要求がなされていると判定された場合に、処理水の水質(濁度)を比較し、及び/又は汚濁度を比較することにより、複数の濾過手段のうち、洗浄動作を優先的に実施させる濾過手段を選択する濾過手段選択手段17と、選択された濾過手段に洗浄動作を実施させるように制御する洗浄動作実施制御手段18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する濾過処理装置を複数備えた濾過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地下水等の原水に含まれる懸濁物質(例えば、微粒子、有機物、溶存鉄の酸化析出物等)を濾材により捕捉して処理水を製造する濾過処理装置を備えた濾過システムが提供されている(例えば、特許文献1,2参照)。
ところで、必要な処理水量を確保するために、このような濾過処理装置を複数並列に接続して濾過システムを構成する場合がある。そのような濾過システムの各濾過処理装置においては、多くの場合、逆洗浄工程及び水洗工程からなる濾材の洗浄動作が、それぞれ異なる時刻に実施されるように制御されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−191014号公報
【特許文献2】特開2003−190973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、濾過処理中に、様々な原因により原水の水質が悪化し、複数の濾過処理装置において、前記洗浄動作を同時に実施するように制御要求がなされる場合がある。そのような場合、洗浄動作を、予め定められた時刻に実施せずに同時に実施すると、洗浄動作の間、全ての濾過処理装置において処理水の製造を停止しなければならず、必要な処理水量(給水量)を確保できないという問題があった。
【0005】
本発明は、給水量を確保しつつ、安定した水質の処理水を製造することができる濾過システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する複数の濾過手段と、前記複数の濾過手段で製造された処理水の水質をそれぞれ計測する複数の水質計測手段と、前記複数の濾過手段において、前記濾材の汚濁の程度である汚濁度をそれぞれ検出する複数の汚濁度検出手段と、前記複数の濾過手段において、逆洗浄工程及び水洗工程からなる前記濾材の洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する洗浄動作実施要求判定手段と、前記洗浄動作実施要求判定手段により前記複数の濾過手段において洗浄動作の実施要求がなされていると判定された場合に、前記複数の水質計測手段により計測された処理水の水質を比較し、及び/又は前記複数の汚濁度検出手段により検出された汚濁度を比較することにより、前記複数の濾過手段のうち、洗浄動作を優先的に実施させる前記濾過手段を選択する濾過手段選択手段と、前記濾過手段選択手段により選択された前記濾過手段に洗浄動作を実施させるように制御する洗浄動作実施制御手段と、を備える濾過システムに関する。
【0007】
また、前記濾過手段選択手段は、前記複数の水質計測手段により計測された処理水の水質が異なる場合には、処理水の水質が悪い側の前記濾過手段を選択し、前記複数の水質計測手段により計測された処理水の水質が等しい場合には、前記複数の汚濁度検出手段により検出された汚濁度が高い側の前記濾過手段を選択することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、給水量を確保しつつ、安定した水質の処理水を製造することができる濾過システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の濾過システム1を示す構成図である。
【図2】本実施形態の濾過システム1の制御に係る機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の濾過システム1の制御を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の濾過システム1の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態の濾過システム1を示す構成図である。
【0011】
図1に示すように、本発明の第1実施形態の濾過システム1は、地下水等の原水W1が流通する原水ラインL1と、原水ラインL1の下流側の分岐点J1から分岐された分岐第1ラインL1a及び分岐第2ラインL1bと、分岐第1ラインL1aの下流側の端部に接続され、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉して処理水W2を製造する第1濾過処理装置2aと、分岐第2ラインL1bの下流側の端部に接続され、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉して処理水W2を製造する第2濾過処理装置2bと、第1濾過処理水W2a(後述)が流通する処理水第1ラインL2aと、第2濾過処理水W2b(後述)が流通する処理水第2ラインL2bと、処理水合流ラインL2cと、処理水タンク10と、処理水配給ラインL3と、逆洗水供給ラインL4と、逆洗水第1供給ラインL4a及び逆洗水第2供給ラインL4bと、制御装置15と、を主体に構成されている。以下、第1濾過処理装置2aで製造される処理水W2を「第1濾過処理水W2a」ともいう。また、第2濾過処理装置2bで製造される処理水W2を「第2濾過処理水W2b」ともいう。
なお、本明細書でいう「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0012】
また、濾過システム1は、原水用水質計3と、第1薬剤添加装置5a,処理水用第1水質計6a,第1流量計7a,第2薬剤添加装置5b,処理水用第2水質計6b,第2流量計7bと、を備える。
【0013】
原水用水質計3は、原水ラインL1に接続されている。原水用水質計3は、原水ラインL1に流通する原水W1の水質(濁度)を検出する。つまり、原水用水質計3は、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bの濾材の汚濁の程度である汚濁度を濾材の入口側において検出する汚濁度検出手段として機能する。原水用水質計3は、制御装置15(後述)と電気的に接続されている。原水用水質計3によって計測された信号は、制御装置15に入力される。原水ラインL1には、原水ポンプ(図示せず)が設けられている。原水ポンプは、原水W1を第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bに向けて送出する。原水ポンプは、制御装置15(後述)によって運転(駆動及び停止)を制御される。
【0014】
分岐第1ラインL1aは、原水ラインL1の下流側の分岐点J1から分岐している。分岐第1ラインL1aには、分岐第1ラインL1aを開閉する第1原水バルブ4aが設けられる。第1原水バルブ4aは、制御装置15(後述)によって開閉を制御される。
【0015】
第1薬剤添加装置5aは、分岐第1ラインL1aに接続されている。第1薬剤添加装置5aは、分岐第1ラインL1aに流通する原水W1に所定の薬剤を添加する。薬剤は、凝集剤や酸化剤であり、第1濾過処理装置2aの濾過方法に応じて、適宜選択される。薬剤の詳細については、後述する。第1薬剤添加装置5aによる薬剤の添加量は、制御装置15(後述)によって制御される。
【0016】
次に、濾過手段としての第1濾過処理装置2aについて説明する。第1濾過処理装置2aは、分岐第1ラインL1aの下流側の端部に設けられ、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉することにより第1濾過処理水W2a(処理水W2)を製造する。図示を省略するが、第1濾過処理装置2aは、内部に濾材を有する濾過塔と、コントロールバルブと、排水ラインと、を備える。第1濾過処理装置2aは、内部の濾材を定期的に洗浄(逆洗浄工程及び水洗工程を実施)されると共に、後述する制御装置15による制御によって必要に応じて洗浄されるようになっている。
【0017】
逆洗浄工程時には、逆洗水供給ラインL4(後述)を介して濾材に洗浄水(本実施形態においては、処理水W2である。以下、適宜、「逆洗水」ということもある)が供給され、濾材によって捕捉された懸濁物質が洗浄水と共に系外へ排出されるように構成されている。水洗工程時には、逆洗浄された濾材を濯ぐために、濾材に濯ぎ水(本実施形態においては、原水W1)が供給され、濾材を濯いだ濯ぎ水が系外へ排出されるように構成されている。
【0018】
濾過塔は、懸濁物質を濾過するための濾材(図示せず)をその内部に有する。コントロールバルブは、濾過塔に対して流入又は流出する水(原水W1、処理水W2、濾材洗浄時の逆洗水や濯ぎ水等)の流路を制御する。コントロールバルブは、制御装置15(後述)と電気的に接続されている。コントロールバルブは、制御装置15によって開閉を制御される。排水ラインは、コントロールバルブに接続され、濾材洗浄時の逆洗水(処理水W2)や濾材水洗時の濯ぎ水(原水W1)等を系外に排出する。
【0019】
第1濾過処理装置2aは、処理水タンク10から逆洗水供給ラインL4(後述)及び逆洗水第1供給ラインL4a(後述)を介して供給される処理水W2によって、逆洗浄可能に構成されている。
【0020】
第1濾過処理装置2aは、原水W1中の除去対象物質に応じて種々選択される。第1濾過処理装置2aの例として、例えば、次のような砂濾過装置、除鉄除マンガン装置及び活性炭濾過装置を挙げることができる。これらの装置は、いずれも原水W1に含まれる懸濁物質を濾材の篩効果により捕捉して除去可能なものである。
【0021】
砂濾過装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉して除去するものである。砂濾過装置としては、例えば、硅石等の粗粒濾材と、アンスラサイト、濾過砂等の細粒濾材と、から形成された濾材層(図示せず)を有する塔式のものが挙げられる。第1濾過処理装置2aとして、砂濾過装置が使用される場合には、原水W1に含まれる懸濁物質を凝集(フロック化)させて除去し易くする必要がある。そのため、濾過塔の上流側に配置された第1薬剤添加装置5aによって、凝集剤を添加する。凝集剤としては、例えば、無機系凝集剤を用いることができ、具体的には、ポリ塩化アルミニウム(PAC)や硫酸アルミニウム等が挙げられる。
【0022】
除鉄除マンガン装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質と共に、溶存鉄及び溶存マンガンを濾材(図示せず)により捕捉して除去するものであり、この濾材が充填された濾過塔を備えている。濾材には、通常、粒子状のマンガンシャモットやマンガンゼオライトが使用される。また、第1濾過処理装置2aとして、除鉄除マンガン装置が使用される場合には、原水W1に含まれる溶存鉄及び溶存マンガンを酸化してから除去する。そのため、濾過塔の上流側に配置された第1薬剤添加装置5aによって、酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)を添加する。
【0023】
具体的には、原水W1に含まれる溶存鉄は、上記酸化剤の作用により酸化され、不溶性の水酸化第一鉄を経て水酸化第二鉄へと変化(すなわち、懸濁物質化)し、上記濾材によって濾過される。原水W1に含まれる溶存マンガンは、上記酸化剤の作用により上記濾材と接触したときに、酸化が進行し、濾材によって吸着され除去される。
【0024】
活性炭濾過装置は、原水W1に含まれる懸濁物質と共に、有機物、色度成分及び臭気成分等の不純物を吸着材からなる濾材で除去するものであり、この吸着材が充填された濾過塔を備えている。吸着材には、通常、粒子状又は繊維状の活性炭が使用される。
【0025】
以上のように構成される第1濾過処理装置2aの下流側には、処理水第1ラインL2aが接続されている。処理水第1ラインL2aの上流側の端部は、第1濾過処理装置2aに接続されている。処理水第1ラインL2aの下流側の端部は、合流点J2において、処理水第2ラインL2b(後述)及び処理水合流ラインL2cに接続されている。
【0026】
処理水第1ラインL2aには、第1濾過処理水W2a(処理水W2)が流通する。処理水第1ラインL2aには、処理水第1ラインL2aを開閉する第1給水バルブ8aが設けられている。第1給水バルブ8aは、制御装置15(後述)と電気的に接続されている。第1給水バルブ8aは、制御装置15によって開閉を制御される。
【0027】
処理水用第1水質計6aは、処理水第1ラインL2aに接続されている。処理水用第1水質計6aは、処理水第1ラインL2aを流通する第1濾過処理水W2aの水質(後述の処理水濁度)を計測する。つまり、処理水用第1水質計6aは、水質計測手段として機能する。また、処理水用第1水質計6aは、第1濾過処理装置2aの濾材の汚濁度を濾材の出口側において検出する汚濁度検出手段としても機能する。処理水用第1水質計6aは、制御装置15(後述)と電気的に接続されている。処理水用第1水質計6aによって計測された信号は、制御装置15に入力される。第1濾過処理水W2aの水質は、制御装置15によって判定される。
【0028】
第1流量計7aは、処理水第1ラインL2aに接続されている。第1流量計7aは、処理水第1ラインL2aを流通する第1濾過処理水W2aの流量を計測する。第1流量計7aは、制御装置15(後述)と電気的に接続されている。第1流量計7aによって計測された信号は、制御装置15に入力される。第1濾過処理水W2aの流量は、制御装置15によって算出される。
【0029】
濾過手段としての第2濾過処理装置2bは、第1濾過処理装置2aと同様に構成されている。また、分岐第2ラインL1b及び処理水第2ラインL2bは、それぞれ分岐第1ラインL1a及び処理水第1ラインL2aと同様に構成されている。第2原水バルブ4b及び第2給水バルブ8bは、それぞれ第1原水バルブ4a及び第1給水バルブ8aと同様に構成されている。第2薬剤添加装置5bは、第1薬剤添加装置5aと同様に構成されている。処理水用第2水質計6bは、処理水用第1水質計6aと同様に構成され、汚濁度検出手段及び水質計測手段として機能する。第2流量計7bは、第1流量計7aと同様に構成されている。
【0030】
処理水合流ラインL2cは、合流点J2において、処理水第1ラインL2aの下流側の端部及び処理水第2ラインL2bの下流側の端部に接続される。処理水合流ラインL2cには、処理水W2(第1濾過処理水W2a及び/又は第2濾過処理水W2b)が流通する。
【0031】
処理水タンク10は、処理水合流ラインL2cの下流側の端部に接続され、処理水W2を貯留する。
処理水配給ラインL3は、処理水W2が流通可能に構成されている。処理水配給ラインL3の上流側の端部は、処理水タンク10に接続されている。処理水配給ラインL3の下流側の端部は、処理水W2の需要箇所(図示せず)に接続されている。
【0032】
次に、逆洗水供給ラインL4について説明する。逆洗水供給ラインL4には、逆洗水を送出する逆洗水供給ポンプ11が設けられている。逆洗水供給ポンプ11は、制御装置15(後述)と接続されている。逆洗水供給ポンプ11は、制御装置15によって運転(駆動及び停止)を制御される。逆洗水供給ラインL4の下流側の分岐点J3からは、逆洗水第1供給ラインL4a及び逆洗水第2供給ラインL4bが分岐している。
【0033】
逆洗水第1供給ラインL4aの下流側の端部は、第1濾過処理装置2aに接続されている。逆洗水第1供給ラインL4aには、逆洗水第1供給ラインL4aを開閉する第1逆洗バルブ12aが設けられている。第1逆洗バルブ12aは、制御装置15(後述)と接続されている。第1逆洗バルブ12aは、制御装置15によって開閉を制御される。
【0034】
逆洗水第2供給ラインL4bの下流側の端部は、第2濾過処理装置2bに接続されている。逆洗水第2供給ラインL4bには、逆洗水第2供給ラインL4bを開閉する第2逆洗バルブ12bが設けられている。第2逆洗バルブ12bは、制御装置15(後述)と接続されている。第2逆洗バルブ12bは、制御装置15によって開閉を制御される。
【0035】
次に、図2を参照して、本実施形態の濾過システム1の制御に係る機能について説明する。図2は、第1実施形態の濾過システム1の制御に係る機能ブロック図である。
制御装置15は、本実施形態の濾過システム1における各部を制御する。図2に示すように、制御装置15は、例えば、第1原水バルブ4a、第2原水バルブ4b、第1薬剤添加装置5a、第2薬剤添加装置5b、第1給水バルブ8a、第2給水バルブ8b、第1逆洗バルブ12a、第2逆洗バルブ12b、逆洗水供給ポンプ11等に電気的に接続される。
【0036】
また、制御装置15は、濾過システム1における各計測装置に電気的に接続され、各計測装置から計測情報を受信する。計測装置は、例えば、原水用水質計3、処理水用第1水質計6a、処理水用第2水質計6b、第1流量計7a及び第2流量計7bである。
【0037】
制御装置15は、洗浄動作実施要求判定手段としての洗浄動作実施要求判定部16と、濾過手段選択手段としての濾過処理装置選択部17と、洗浄動作実施制御手段としての洗浄動作実施制御部18と、メモリ部20と、タイマカウンタ部(図示せず)と、を備える。メモリ部20については、後述する。
【0038】
洗浄動作実施要求判定部16は、第1濾過処理装置2a及び/又は第2濾過処理装置2bにおいて、洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する。洗浄動作の実施要求は、処理水W2の濁度が所定値を超えた場合に出力される。
【0039】
濾過処理装置選択部17は、第1濾過処理装置2a及び/又は第2濾過処理装置2bにおいて、洗浄動作の実施要求がなされている場合に、洗浄動作を優先的に実施させる濾過処理装置として第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2bを選択する。
また、濾過処理装置選択部17は、処理水用第1水質計6aによって計測された第1濾過処理水W2aの水質(濁度)を検出する。濾過処理装置選択部17は、処理水用第2水質計6bによって計測された第2濾過処理水W2bの濁度を検出する。濾過処理装置選択部17は、第1濾過処理水W2aの濁度と第2濾過処理水W2bの濁度を比較する。
【0040】
また、濾過処理装置選択部17は、第1濾過処理装置2aの濁質捕捉量及び第2濾過処理装置2bの濁質捕捉量(単位濾材量あたりの濁質捕捉量)を、次式によりそれぞれ算出する。
【0041】
濁質捕捉量=処理水の瞬間流量×通水時間×{(濾過処理装置の入口側における原水の濁度−濾過処理装置の出口側における処理水の濁度)+薬剤添加量}/濾材の量
【0042】
ここで、上式における「処理水W2の瞬間流量」は、処理水用第1水質計6aによって計測される第1濾過処理水W2aの瞬間流量又は処理水用第2水質計6bによって計測される第2濾過処理水W2bの瞬間流量である。「通水時間」とは、濾過処理装置において前回洗浄動作を行ってから現在に至るまでの通水時間である。「通水時間」は、制御装置15のタイマカウンタ部(図示せず)により計測される。
【0043】
「濾過処理装置の入口側における原水の濁度」は、第1濾過処理装置2aの入口側における原水W1の濁度又は第2濾過処理装置2bの入口側における原水W1の濁度(単位量の原水に含まれる懸濁物質の量)である。原水W1の濁度は、原水用水質計3によって計測される。
【0044】
「濾過処理装置の出口側における処理水の濁度」は、第1濾過処理装置2aの出口側における第1濾過処理水W2aの濁度又は第2濾過処理装置2bの出口側における第2濾過処理水W2bの濁度(単位量の処理水に含まれる懸濁物質の量)である。つまり、第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2bにおける濾材の濁質捕捉量の増加により、濾材の濾過能力が低下し、処理水W2に漏出した濁度(以下、「処理水濁度」という)である。処理水濁度は、処理水用第1水質計6a又は処理水用第2水質計6bによって計測される。
【0045】
ところで、処理水用第1水質計6aによって計測された濁度(水質)と処理水用第2水質計6bによって計測された濁度(水質)とが、等しい場合が考えられる。ここで、「濁度(水質)が等しい」とは、濁度が同一である場合を含むほか、所定の範囲内で実質的に等しい場合(例えば、一方の濁度の値に対して、他方の濁度の値が±5%以下である場合)をも含む。本明細書においては、「実質的に等しい場合」も、単に「等しい」と表現する。
【0046】
「薬剤添加量」は、第1薬剤添加装置5aにより添加された薬剤の量又は第2薬剤添加装置5bにより添加された薬剤の量(単位量の原水に含まれる薬剤の量)であり、制御装置15によって算出される。
「濾材の量」は、第1濾過処理装置2aの濾材の量又は第2濾過処理装置2bの濾材の量(通常は、容積)であり、共に既知の値である。
【0047】
洗浄動作実施制御部18は、濾過処理装置選択部17により選択された第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2bに洗浄動作を実施させるように制御する。
【0048】
タイマカウンタ部(図示せず)は、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bにおいて、前回洗浄動作を行ってから現在に至るまでの通水時間を計測する。
【0049】
メモリ部20は、濾過システム1の制御に必要な制御プログラムや各種データ等を記憶する。具体的には、メモリ部20は、濾過システム1の制御に必要な各種機能を動作させる制御プログラム、前記各計測装置によって計測された各種計測データ(例えば、第1流量計7a及び第2流量計7bによって計測された流量データ、原水用水質計3、処理水用第1水質計6a、処理水用第2水質計6bによって計測された水質データ、タイマカウンタ部により計測された濾過継続時間)、各種閾値(例えば、濁質捕捉量や処理水濁度の所定の閾値)等を記憶する。
【0050】
次に、本実施形態の濾過システム1の基本動作について図1を参照しながら説明する。
通常運転時の濾過工程の場合、第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2bのコントロールバルブ(図示せず)が濾過工程用の流路に設定されている。処理水W2の配給要求があると、制御装置15によって処理水配給ポンプ(図示せず)が稼働されることにより、処理水タンク10に貯留された処理水W2が下流側の需要箇所に送出される(配給開始)。
【0051】
そして、処理水タンク10の所定量の減水が検出されると、制御装置15によって、原水ポンプ(図示せず)、第1薬剤添加装置5a及び第2薬剤添加装置5bが稼働されると共に、第1原水バルブ4a及び第2原水バルブ4bが開弁される。また、制御装置15によって、第1給水バルブ8a及び第2給水バルブ8bが開弁される。この場合、逆洗水供給ラインL4における逆洗水供給ポンプ11は、稼働されず、第1逆洗バルブ12a及び第2逆洗バルブ12bは閉弁されたままとなっている。
【0052】
原水W1は、原水ポンプ(図示せず)によって原水ラインL1に送出される。そして、原水ラインL1においては、原水用水質計3によって原水W1の濁度が計測される。また、第1薬剤添加装置5a及び第2薬剤添加装置5bによって原水W1に所定の薬剤が添加される。
【0053】
薬剤が添加された原水W1は、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bのそれぞれ濾過塔の内部に導入される。濾過塔においては、原水W1が上記濾材層に対して下降するように流される。これにより、原水W1に含まれる懸濁物質が濾材により捕捉され、処理水W2が製造される。製造された処理水W2は、処理水第1ラインL2a、処理水第2ラインL2b及び処理水合流ラインL2cに流通され、処理水タンク10に貯留される。
【0054】
処理水第1ラインL2aにおいては、処理水用第1水質計6aによって第1濾過処理水W2aの濁度が計測されると共に、第1流量計7aによって第1濾過処理水W2aの流量が計測される。これらの計測情報は、制御装置15によって受信される。処理水第2ラインL2bにおいても同様に、処理水用第2水質計6bによって第2濾過処理水W2bの濁度が計測され、第2流量計7bによって第2濾過処理水W2bの流量が計測される。これらの計測情報も、制御装置15によって受信される。
【0055】
処理水W2の配給要求がなくなると、制御装置15によって処理水配給ポンプ(図示せず)が停止される(配給停止)。続いて、処理水タンク10の満水が検出されると、制御装置15によって、原水ラインL1における原水ポンプ(図示せず)、第1薬剤添加装置5a及び第2薬剤添加装置5bが停止されると共に、第1原水バルブ4a及び第2原水バルブ4bが閉弁される。また、制御装置15によって、第1給水バルブ8a及び第2給水バルブ8bが閉弁される。
【0056】
次に、第1濾過処理装置2aの洗浄工程(逆洗浄工程及び水洗工程)について説明する。第2濾過処理装置2bの洗浄工程は、第1濾過処理装置2aの洗浄工程と同様であるので、重複説明を省略する。
逆洗浄工程時には、制御装置15によって、第1原水バルブ4aが閉弁され、かつ、第1濾過処理装置2aのコントロールバルブ(図示せず)が逆洗浄工程用の流路に設定される。また、制御装置15によって、第1給水バルブ8aが閉弁されると共に、逆洗水供給ラインL4における逆洗水供給ポンプ11が稼働され、第1逆洗バルブ12aが開弁される。これにより、第1濾過処理装置2aの濾過塔において、処理水W2が上記濾材層に対して上昇するように流され、濾材が展開される。洗浄後の逆洗水は、排水ライン(図示せず)を介して、系外に排出される。
【0057】
また、水洗工程時には、制御装置15によって、第1原水バルブ4aが開弁され、かつ、第1濾過処理装置2aのコントロールバルブ(図示せず)が水洗工程用の流路に設定される。また、制御装置15によって、第1給水バルブ8aが閉弁状態を維持されると共に、逆洗水供給ラインL4における逆洗水供給ポンプ11が停止され、第1逆洗バルブ12aが閉弁される。これにより、第1濾過処理装置2aの濾過塔において、濯ぎ水としての原水W1が上記濾材層に対して下降するように流され、濾材が濯がれる。水洗後の濯ぎ水は、排水ライン(図示せず)を介して、系外に排出される。
【0058】
以上のような洗浄工程(洗浄動作)は、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bのそれぞれにおいて、定期的(例えば、所定の時刻に1日1回)に行われると共に、処理水W2の濁度が所定値を超えた場合に実施される。そして、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bにおいて、洗浄動作の実施要求が同時になされた場合には、次のように制御を行う。
【0059】
次に、本実施形態の濾過システム1の特徴的な制御方法について図3及び図4を参照しながら説明する。図3及び図4は、本実施形態の濾過システム1の制御を示すフローチャートである。
【0060】
図3に示すように、ステップST1において、洗浄動作実施要求判定部16は、第1濾過処理装置2aにおいて、洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する。
【0061】
第1濾過処理装置2aにおいて、洗浄動作の実施要求がなされている(YES)場合には、ステップST2に進む。一方、第1濾過処理装置2aにおいて、洗浄動作の実施要求がなされていない(NO)場合には、ステップST5に進む。ステップST5における動作については、後述する。
【0062】
ステップST2において、洗浄動作実施要求判定部16は、第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する。第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされている(YES)場合には、ステップST3に進む。つまり、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bの両方において洗浄動作の実施要求がなされている場合には、ステップST3に進む。
【0063】
一方、ステップST2において、第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされていない(NO)場合には、ステップST9(図4参照)に進む。つまり、第1濾過処理装置2aのみにおいて洗浄動作の実施要求がなされている場合には、ステップST9に進む。ステップST9における動作については、後述する。
【0064】
ステップST3において、濾過処理装置選択部17は、処理水第1ラインL2aにおける第1濾過処理水W2aの水質(処理水濁度)を処理水用第1水質計6aによって検出(計測)する。また、濾過処理装置選択部17は、処理水第2ラインL2bにおける第2濾過処理水W2bの水質(処理水濁度)を処理水用第2水質計6bによって検出する。
【0065】
ステップST4において、濾過処理装置選択部17は、第1濾過処理水W2aの濁度が、第2濾過処理水W2bの濁度よりも高いか否かを判定する。第1濾過処理水W2aの濁度が、第2濾過処理水W2bの濁度よりも高い(YES)場合には、濾過処理装置選択部17は、洗浄動作を優先的に実施させる濾過処理装置として第1濾過処理装置2aを選択し、ステップST9(図4参照)に進む。ステップST9における動作については、後述する。
【0066】
一方、ステップST4において、第1濾過処理水W2aの濁度が、第2濾過処理水W2bの濁度よりも高くない(NO)場合には、ステップST6(図4参照)に進む。ステップST6における動作については、後述する。
【0067】
ステップST5において、洗浄動作実施要求判定部16は、第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する。第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされている(YES)場合には、ステップST10に進む。つまり、第2濾過処理装置2bのみにおいて洗浄動作の実施要求がなされている場合には、ステップST10(図4参照)に進む。ステップST10における動作については、後述する。
【0068】
一方、ステップST5において、第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされていない(NO)場合には、ステップST1へ戻る。つまり、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bの両方において洗浄動作の実施要求がなされていない場合には、ステップST1へ戻る。
【0069】
ステップST6において、濾過処理装置選択部17は、第1濾過処理水W2aの濁度が、第2濾過処理水W2bの濁度よりも小さいか否かを判定する。第1濾過処理水W2aの濁度が、第2濾過処理水W2bの濁度よりも小さい(YES)場合には、濾過処理装置選択部17は、洗浄動作を優先的に実施させる濾過処理装置として第2濾過処理装置2bを選択し、ステップST10に進む。ステップST10における動作については、後述する。
【0070】
一方、第1濾過処理水W2aの濁度が、第2濾過処理水W2bの濁度よりも小さくない(NO)場合には、ステップST7に進む。つまり、第1濾過処理水W2aの濁度と第2濾過処理水W2bの濁度とが等しい場合には、ステップST7に進む。
【0071】
ステップST7において、濾過処理装置選択部17は、第1濾過処理装置2aの濁質捕捉量及び第2濾過処理装置2bの濁質捕捉量を前述した式によりそれぞれ算出し、ステップST8に進む。
【0072】
ステップST8において、濾過処理装置選択部17は、第1濾過処理装置2aの濁質捕捉量が第2濾過処理装置2bの濁質捕捉量以上であるか否かを判定する。第1濾過処理装置2aの濁質捕捉量が第2濾過処理装置2bの濁質捕捉量以上である(YES)場合には、濾過処理装置選択部17は、洗浄動作を優先的に実施させる濾過処理装置として、第1濾過処理装置2aを選択し、ステップST9に進む。
【0073】
一方、第1濾過処理装置2aの濁質捕捉量が、第2濾過処理装置2bの濁質捕捉量以上でない(NO)場合には、濾過処理装置選択部17は、洗浄動作を優先的に実施させる濾過処理装置として、第2濾過処理装置2bを選択し、ステップST10に進む。ステップST10における動作については、後述する。
【0074】
ステップST9において、洗浄動作実施制御部18は、第1濾過処理装置2aに洗浄動作を実施させる。これにより、必要性(優先度)が高い第1濾過処理装置2aに洗浄動作を実施させることができる。そのため、濾材が洗浄された第1濾過処理装置2aによって、安定した水質の第1濾過処理水W2aを製造することができる。ステップST9の終了後は、本制御を終了する。
【0075】
ステップST10において、洗浄動作実施制御部18は、第2濾過処理装置2bに洗浄動作を実施させるように制御する。これにより、必要性(優先度)が高い第2濾過処理装置2bに洗浄動作を実施させることができる。そのため、濾材が洗浄された第2濾過処理装置2bによって、安定した水質の第2濾過処理水W2bを製造することができる。
ステップST10の終了後は、本制御を終了する。
【0076】
ここで、上述したステップST3からステップST8において、処理水濁度を濁質捕捉量よりも先に判定する理由について説明する。処理水濁度が所定の閾値を超えている場合には、濾材層の濁質捕捉能力が破過状態に至ることにより、実際に処理水W2中への懸濁物質の漏出が起こっている。一方、濁質捕捉量が所定の閾値を超えている場合には、濾材層の濁質捕捉能力が破過状態に至っていることを推定できるものの、実際に処理水W2中への懸濁物質の漏出が起こっていない場合もある。そのため、本実施形態においては、処理水W2を利用するユーザーにとってリスクの高い処理水濁度を優先し、この処理水濁度を濁質捕捉量よりも先に判定するようにしている。
【0077】
以上に説明した本実施形態の濾過システム1によれば、以下に示す各効果が奏される。
本実施形態の濾過システム1は、複数の濾過手段としての第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bと、複数の水質計測手段としての処理水用第1水質計6a及び処理水用第2水質計6bと、複数の汚濁度検出手段としての原水用水質計3、処理水用第1水質計6a及び処理水用第2水質計6bと、前記複数の濾過手段(第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2b)において洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する洗浄動作実施要求判定部16と、洗浄動作実施要求判定部16により前記濾過手段において洗浄動作の実施要求がなされていると判定された場合に、前記水質計測手段により計測された処理水W2(第1濾過処理水W2a及び第2濾過処理水W2b)の水質(濁度)を比較し、及び前記汚濁度検出手段により検出された濁質捕捉量を比較することにより、洗浄動作を優先的に実施させる前記濾過手段を選択する濾過処理装置選択部17と、濾過処理装置選択部17により選択された前記濾過手段に洗浄動作を実施させるように制御する洗浄動作実施制御部18と、を備える。
【0078】
そのため、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作を実施するタイミングが重なった場合であっても、洗浄動作を実施する必要性が高い一方の濾過手段(例えば、第1濾過処理装置2a)において洗浄動作を実施(濾材を洗浄)することができると共に、洗浄動作を実施する必要性が低い他方の濾過手段(例えば、第2濾過処理装置2b)において濾過工程を継続して実施することができる。
【0079】
これにより、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作を実施するタイミングが重なった場合であっても、全ての濾過手段において洗浄動作が同時に実施され、処理水W2の製造(給水)が停止されることを回避することができる。そして、上記一方の濾過手段の洗浄動作の実施時には、上記他方の濾過手段によって処理水W2を製造することができる。従って、本実施形態の濾過システム1によれば、給水量を確保しつつ、安定した水質の処理水W2を製造することができる。
【0080】
また、本実施形態の濾過システム1においては、濾過処理装置選択部17は、前記複数の水質計測手段により計測された処理水W2(第1濾過処理水W2a及び第2濾過処理水W2b)の水質(処理水濁度)が異なる場合には、処理水W2の水質が悪い側の前記濾過手段(第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2b)を選択し、前記複数の水質計測手段により計測された処理水W2の水質が等しい場合には、前記複数の汚濁度検出手段により検出された汚濁度(濁質捕捉量)が高い側の前記濾過手段を選択する。
【0081】
そのため、本実施形態の濾過システム1は、処理水W2の水質(処理水濁度)を前記濾過手段の汚濁度(濁質捕捉量)に優先して、濾過手段の洗浄動作を実施することができる。従って、より安定した水質の処理水W2を製造することができる。
【0082】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0083】
前述した実施形態では、前記複数の濾過手段において、洗浄動作の実施要求は、処理水W2の濁度が所定値を超えた場合に出力されるものと説明したが、これに制限されない。例えば、洗浄動作の実施要求は、それぞれの濾過手段における濁質捕捉量が所定値を超えた場合に出力されるようにしてもよい。この例でも、複数の濾過手段において、同時に洗浄動作の実施要求がなされていると判断された場合には、濾過手段選択手段は、前記水質計測手段により計測された処理水W2の水質(濁度)を比較し、かつ、前記汚濁度検出手段により検出された濁質捕捉量を比較することにより、洗浄動作を優先的に実施させる濾過手段を選択する。
【0084】
また、前述した実施形態では、前記複数の濾過手段において、同時に洗浄動作の実施要求がなされていると判定された場合には、濾過手段選択手段は、前記水質計測手段により計測された処理水W2の水質(濁度)を比較し、及び前記汚濁度検出手段により検出された濁質捕捉量を比較することにより、洗浄動作を優先的に実施させる濾過手段を選択するものとして説明したが、これに制限されない。例えば、濾過手段選択手段は、前記水質計測手段により計測された処理水W2の水質(濁度)のみを比較し、濁度の高い側の濾過手段を選択してもよい。また、濾過手段選択手段は、前記汚濁度検出手段により検出された濁質捕捉量のみを比較し、濁質捕捉量の多い側の濾過手段を選択してもよい。
【0085】
また、前記実施形態の濾過システム1においては、処理水W2の水質を前記濾過手段の汚濁度(濁質捕捉量)に優先して、濾過手段の洗浄動作を実施するものとして説明したが、これに制限されない。例えば、濾過システム1は、前記濾過手段の汚濁度(濁質捕捉量)を処理水W2の水質に優先して、濾過手段の洗浄動作を実施してもよい。
【0086】
また、前記実施形態の濾過システム1においては、汚濁度検出手段として、原水用水質計3、処理水用第1水質計6a及び処理水用第2水質計6bを用いるものとして説明したが、前記濾過手段の入口側と出口側との差圧を計測する差圧計によって、濾材の汚濁度を検出してもよい。
【0087】
更に、前記実施形態の濾過システム1においては、第1薬剤添加装置5a及び第2薬剤添加装置5bを個別に設けるものとして説明したが、原水ラインL1に単一の薬剤添加装置を設けるようにしてもよい。また、前記実施形態の濾過システム1においては、原水用水質計3は、原水ラインL1のみに設けるものとして説明したが、分岐第1ラインL1a及び分岐第2ラインL1bのそれぞれに個別の原水用水質計を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 濾過システム
2a 第1濾過処理装置(濾過手段)
2b 第2濾過処理装置(濾過手段)
3 原水用水質計(汚濁度検出手段)
6a 処理水用第1水質計(汚濁度検出手段、水質計測手段)
6b 処理水用第2水質計(汚濁度検出手段、水質計測手段)
15 制御装置
16 洗浄動作実施要求判定部(洗浄動作実施要求判定手段)
17 濾過処理装置選択部(濾過手段選択手段)
18 洗浄動作実施制御部(洗浄動作実施制御手段)
W1 原水
W2 処理水
W2a 第1濾過処理水(処理水)
W2b 第2濾過処理水(処理水)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する複数の濾過手段と、
前記複数の濾過手段で製造された処理水の水質をそれぞれ計測する複数の水質計測手段と、
前記複数の濾過手段において、前記濾材の汚濁の程度である汚濁度をそれぞれ検出する複数の汚濁度検出手段と、
前記複数の濾過手段において、逆洗浄工程及び水洗工程からなる前記濾材の洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する洗浄動作実施要求判定手段と、
前記洗浄動作実施要求判定手段により前記複数の濾過手段において洗浄動作の実施要求がなされていると判定された場合に、前記複数の水質計測手段により計測された処理水の水質を比較し、及び/又は前記複数の汚濁度検出手段により検出された汚濁度を比較することにより、前記複数の濾過手段のうち、洗浄動作を優先的に実施させる前記濾過手段を選択する濾過手段選択手段と、
前記濾過手段選択手段により選択された前記濾過手段に洗浄動作を実施させるように制御する洗浄動作実施制御手段と、
を備える濾過システム。
【請求項2】
前記濾過手段選択手段は、前記複数の水質計測手段により計測された処理水の水質が異なる場合には、処理水の水質が悪い側の前記濾過手段を選択し、前記複数の水質計測手段により計測された処理水の水質が等しい場合には、前記複数の汚濁度検出手段により検出された汚濁度が高い側の前記濾過手段を選択する請求項1に記載の濾過システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−189283(P2011−189283A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57975(P2010−57975)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】