説明

濾過フィルタ交換頻度の低減方法

【課題】濾過フィルタの交換頻度を低減させることができる方法を提供すること。
【解決手段】電着塗装に用いられる限外濾過装置の濾過フィルタ交換頻度を低減させる方法であって、当該電着塗装に用いられる電着塗料組成物が、(a)脂肪酸、脂肪酸の誘導体、アミン化合物、またはこれらの3種から選択される少なくとも2種の混合物である顔料沈降防止剤、および(b)無機顔料、を含むことを特徴とする、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電着塗装システムにおける限外濾過装置を用いた濾過方法に関し、より特定的には、限外濾過装置に設けられた濾過フィルタの交換頻度を低減させる濾過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や多くの金属製品には、防錆性や外観を向上させるために塗装が施されている。塗装の際に施される一般的な下塗り塗装として電着塗装がある。
【0003】
電着塗装は、被塗物を電着槽に浸漬し、電圧を印加することにより行われる。このとき、電着槽内の電着塗料を一定量ずつ汲み出し、固形分濃度を高めて電着槽に戻すと共に、残りを洗浄液として利用するという操作が行われる。
【0004】
塗料の固形分濃度を高める手段として、一般的には限外濾過装置が用いられる。しかし、限外濾過装置を継続して使用すると、電着塗料に含まれるゴミやブツにより濾過フィルタが目詰まりを起こす。このため、定期的に濾過フィルタを洗浄して目詰まりを解消する必要がある。
【0005】
特許文献1は、濾過装置の洗浄水として、カチオン電着塗料用の中和酸及び金属キレート剤を含む洗浄水を開示している。特許文献1によれば、強酸を洗浄水に用いる場合に比べ装置を傷めることなく、簡易かつ簡便に限外濾過装置を洗浄することができる。
【特許文献1】特開2006−002216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、濾過フィルタを洗浄しても濾過性能を100%回復させることはできず、洗浄する毎に濾過性能は低下してしまう。このため、所定回数洗浄した濾過フィルタは交換しなければならず、手間とコストがかかるという問題がある。
【0007】
それゆえに本発明の目的は、濾過フィルタの交換頻度を低減させることができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電着塗装に用いられる限外濾過装置の濾過フィルタ交換頻度を低減させる方法であって、当該電着塗装に用いられる電着塗料組成物が、(a)脂肪酸、脂肪酸の誘導体、アミン化合物、またはこれらの3種から選択される少なくとも2種の混合物である顔料沈降防止剤、および(b)無機顔料、を含むことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、顔料沈降防止剤を配合した電着塗料を用いることにより、限外濾過装置に設けられている濾過フィルタの目詰まりを発生しにくくすることができる。これにより、濾過フィルタにおける濾液の透過量を長期間一定値以上に維持できるため、濾過フィルタの交換頻度を低減させることができる。したがって、濾過フィルタを交換する手間やコストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明に係る濾過方法が適用される電着塗装システムの概要を示す図である。図1に示すように、被塗物1を電着槽2に浸漬し、電圧を印加すると、塗料の固形分が被塗物1の表面に析出する。
【0011】
図1に示す電着塗装システムでは、電着槽2の塗料を、ポンプ3を介して濾過装置4及び限外濾過装置(UF)5を通過させ、限外濾過(UF:Ultraflitration)により分離した固形分濃度の高い塗料液(以下、「高固形分濃度液」と呼ぶ。)を電着槽2に戻している。一方で固形分濃度の低い塗料液(以下、「低固形分濃度液」と呼ぶ。)は水洗浴に送られ洗浄水として利用される。
【0012】
濾過装置4は、粒子径約10nm以上の粗い固形分を分離する。濾過装置4によって分離された塗料は限外濾過装置5に送られる。
【0013】
限外濾過装置5は、限外濾過(UF:Ultraflitration)フィルタを有する。フィルタの細孔径は約1〜10nmであり、水やイオン分子、低分子物質を透過する。限外濾過フィルタによって分離された低固形分濃度液は水洗槽へ送られ、高固形分濃度液は電着槽2へ送られる。
【0014】
電着塗料組成物
本発明に係る濾過フィルタ交換頻度の低減方法においては、(a)脂肪酸、脂肪酸の誘導体、アミン化合物、またはこれらの3種から選択される少なくとも2種の混合物である顔料沈降防止剤、および(b)無機顔料、を含む電着塗料組成物が用いられることを特徴とする。
【0015】
本発明において用いられる電着塗料組成物は、カチオン性樹脂を主樹脂として用いるカチオン電着塗料組成物と、アニオン性樹脂を主樹脂として用いるアニオン電着塗料組成物の2種類に分類することができる。本発明において用いられる電着塗料組成物はいずれも包含する概念で用いている。まずカチオン電着塗料組成物に関して説明し、アニオン電着塗料組成物については後述する。
【0016】
カチオン電着塗料組成物
本発明において用いられるカチオン電着塗料組成物は、(a)顔料沈降防止剤、および(b)無機顔料を含み、さらにカチオン性樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含むバインダー樹脂、硬化触媒を含む。本明細書中、「脂肪酸」と「脂肪酸の誘導体」をまとめて「脂肪酸類」と記載することもある。
【0017】
顔料沈降防止剤(a)
本発明において、顔料沈降防止剤(a)を電着塗料組成物に加えることによって、塗料組成物中に含まれる顔料の分散安定性を向上させることができる。このため、限外濾過装置に設けられている濾過フィルタの目詰まりを発生しにくくすることができる。これにより、濾過フィルタの交換頻度を低減させることができ、濾過フィルタを交換する手間やコストを低減させることができる。
【0018】
顔料沈降防止剤(a)の添加によって濾過フィルタの目詰まりを抑制できる理由は、電着塗料液中において顔料沈降防止剤(a)が無機顔料(b)の周りを覆うことにより、無機顔料(b)が凝集しにくくなる効果があるためと考えられる。このため無機顔料(b)の粒度を小さい状態に保つことができ、無機顔料(b)が濾過フィルタで詰まる頻度が低下すると考えられる。
【0019】
顔料沈降防止剤(a)として使用することができる脂肪酸として、例えば、直鎖飽和脂肪酸、分岐飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸が含まれる。また脂肪酸の誘導体として、例えば、上記脂肪酸を、アルコール、多価アルコール(グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等)で変性した脂肪酸エステル、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドで変性した脂肪酸エチレンオキサイド付加物または脂肪酸プロピレンオキサイド付加物、アミン化合物で変性した脂肪酸アミド化合物、および多官能脂肪酸が含まれる。これらの脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミド化合物には、エチレンオキサイドが開環付加したもの(エチレンオキサイド開環付加物)も含まれる。これらの脂肪酸類は、分子の骨格中に不飽和結合、エーテル結合、エステル結合等の化学結合、水酸基、アミノ基、カルボニル基等の官能基、酸素、窒素、イオウ、ハロゲンなどのヘテロ原子を含んでいてもよい。また多官能カルボン酸なども、脂肪酸の誘導体に含まれる。脂肪酸の誘導体として、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド化合物およびこれらのエチレンオキサイド開環付加物を用いるのがより好ましい。
【0020】
本発明で使用される脂肪酸類において、好ましくは炭素数4〜22の脂肪酸およびその誘導体であり、より好ましくは炭素数7〜20の脂肪酸およびその誘導体である。
【0021】
具体的な脂肪酸類として、例えば以下の化合物が挙げられる:
(1)直鎖飽和脂肪酸
アラキジン酸、トリコサン酸、ベヘニン酸、ヘンエイコサン酸、エイコサン酸、ノナデカン酸、ステアリン酸、ヘプタデカン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ミリスチン酸、トリデカン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、オクタン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、吉草酸、酪酸等、花王社製精製ステアリン酸(450V、550V、700V)等;
(2)分岐飽和脂肪酸
イソステアリン酸、メチルテトラデカン酸、メチルヘプタデカン酸、メチルオクタデカン酸、イソ吉草酸等;
(3)不飽和脂肪酸
オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、エライジン酸、パルミトレイン酸、アラキドン酸、ウンデセン酸、ソルビン酸、クロトン酸等;
(4)多官能カルボン酸
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、フタル酸、ドデカン二酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、3−tert−ブチルアジピン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等;
(5)ヘテロ原子含有脂肪酸
ヘキシロキシ酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、サリチル酸、安息香酸、p−ブトキシ安息香酸、N−アセチルグリシン、N−アセチル−β−アラニン、チオクト酸等;
(6)脂肪酸エステル(アルコールエステル系)
ライオン社製カデナックス(GS−90,SO−80C)、花王社製レオドール(SP−L10、SP−P10,SP−S10V,SP−S30V、AS−10、AO−10、AO−15V)、花王社製レオドールスーパーSP−L10、花王社製エマゾール(L−10(F)、P−10(F)、S−10V、O−10V)等;
(7)脂肪酸エステル(エチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル系)
ライオン社製リオノン(DT−600S,DEH−40)、旭電化工業社製アデカエストール(OEG−102,OEG−106)等;
(8)脂肪酸メチルエステル(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加系)
ライオン社製レオファット(LA−110M−95,OC−0503M)、花王社製エマノーン(1112,3199,3299,4110,CH−25,CH−40,CH−60(K),CH−80)等
(9)脂肪酸エチレンオキサイド付加物
ライオン社製エソファット(O/15,O/20,60/15)、旭電化工業社製アデカエストール(TL−144,TL−161,TL−162,S−60,S−80,T−81,T−82)、花王社製レオドール(TW−L120,TW−L106,TW−P120,TW−S120V,TW−S106,TW−S320V,TW−O120V,TW−O106V,TW−O320V,TW−IS399C,430,440,460)、花王社製レオドールスーパーTW−L120等;
(10)脂肪酸エステル(グリセリンエステル系)
花王社製エキセルT−95,VS−95,O−95R,200,300,122V,P−40S)、花王社製レオドール(MS−50,MS−60,MO−60,MS165V)等;
(11)脂肪酸アミド化合物である飽和脂肪酸モノアミド化合物
ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等;
(12)脂肪酸アミド化合物である不飽和脂肪酸モノアミド
オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エシル酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド等、これらの工業製品として、例えば、花王社製カオーワックス(EB−G、EB−P、EB−FF、85−P、220、230−2)、花王社製脂肪酸アマイドS,T,O−N,E)、旭電化工業社製アデカソールYAなどが含まれる;
(13)脂肪酸アミド化合物である飽和脂肪酸ビスアミド類
メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサエチレンビスパルミチン酸アミド等;
(14)脂肪酸アミド化合物である不飽和脂肪酸ビスアミド類
エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等;
(15)脂肪酸アミド化合物である置換アミド類
N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等;
(16)脂肪酸アミド化合物である芳香族ビスアミド類
メチロールステアリン酸アミド類;メチロールベヘン酸アミド等のメチロールアミド類、N,N−ジステアリルイソフタール酸アミド、メタキシリレンビスステアリン酸アミド等;
(17)脂肪酸アミド化合物である分岐型アミド類
N.N’−2−ヒドロキシエチルステアリン酸アミド、N.N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N.N’−キシレンビスステアリン酸アミド、N.N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N.N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N.N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等;
(18)脂肪酸アミド化合物であるアルカノールアミド類
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノ−ルアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプロパノールアミド、ラウリン酸モノプロパノールアミド、ミリスチン酸モノプロパノールアミド、オレイン酸モノプロパノールアミド、ポリオキシアルキレンアルカノールアミドなど、工業製品としてライオン社製アーマイド(O,HT)、ライオン社製アーモスリップ(CP,E,E−Y)など;
等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0022】
アミン化合物は、窒素原子に炭素数4以上のアルキル鎖が結合したアミン化合物であるのが好ましい。窒素原子に結合するアルキル鎖は1つであってもよく、または2以上のアルキル鎖が結合していてもよい。これらのアミン化合物として、1級、2級および3級アミンの何れを用いてもよい。これらのアミン化合物はその骨格中に複数個のアミノ基を有していてもよく、また、骨格自体がエチレンオキサイド等で変性されていてもよい。本発明で使用されるアミン化合物は、好ましくはアルキル鎖の炭素数4〜22であり、より好ましくはアルキル鎖の炭素数7〜20である。
【0023】
具体的なアミン化合物として、例えば以下のものが挙げられる:
(1)1級アミン化合物
(1−1)脂肪族モノおよびポリアミン化合物
n−ブチルアミン、アミルアミン、n−ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、ノニルアミン、ラウリルアミン、テトラデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、2,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン等の脂肪族1級アミン化合物類、
(1−2)脂環族モノおよびポリアミン化合物
シクロヘキシルアミン、1,3−および1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−1−アミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジアミノシクロヘキサン等の脂環族1級アミン化合物類、
(1−3)芳香族モノおよびポリアミン化合物
アニリン、メタおよびパラトルイジン、ナフチルアミン、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、1−メチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,4,−および4,4,−ジアミノジフェニルメタン、4,4,−ジアミノビフェニル、1,5−および2,6−ナフタレンジアミン等の芳香族1級アミン化合物類、
(1−4)アラルキルモノおよびポリアミン化合物
1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,5−および2,6−ビス(アミノメチル)ナフタレン等のアラルキル1級アミン化合物類、
これらの工業製品として、ライオン社製アーミン(CD,OD,TD,HT,8D,12D,14D,16D,18D)、花王社製ファーミン(CS,08D,20D,80,86T,O,T)等が挙げられる;
(2)2級アミン化合物
ジ−n−ブチルアミン、ジイソアミルアミン、ジベンジルアミン、メチルジエチルエチレンジアミン、メチルアニリン、ピペリジン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、モルホリン、N−メチル−グルカミン、グルコサミン、t−ブチルアミン等の2級アミン、
これらの工業製品として、花王社製ファーミン(D86)等が挙げられる;
(3)3級アミン化合物
トリ(n−ブチル)アミン、テトラメチルエチレンジアミン、1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチレンジアミン、ビスジメチルアミノエチルエーテル、トリイソプロパノールアミン等の3級アミン、
これらの工業製品として、ライオン社製アーミン(DMMCD,DMTD,DMMHTD,DM12D,DM14D,DM16D,DM18D,DM22D,M2HT,M2O,M210D)、花王社製ファーミン(DM24C,DM0898,DM1098,DM2098,DM2465,DM2463,DM2458,DM4098,DM4662,DM6098,DM6875,DM8680,DM8098,DM2285,M2−2095,T−08)等が挙げられる;
(4)アルカノールアミン
花王社製アミノーン(PK−02S,L−02)等;
(5)変性アミン
(5−1)アルキルアミンエチレンオキサイド付加物
ライオン社製エソミン(C/12,C/15,C/25,T/12,T/15,T/25,S/15,S/25,O/12,O/17,O/20,HT/12,HT/14,HT/17)、ライオン社製エソマイド(HT/15,HT/60,O/15)、旭電化工業社製アデカソール(CO,COA,CMA,YA−6)、花王社製アミート(105,320);
等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0024】
これらの脂肪酸類とアミン化合物は単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。顔料沈降防止剤としてより好ましくは、炭素数4〜22の脂肪酸、炭素数4〜22の脂肪酸の誘導体、またはこれら2種類の混合物が挙げられる。
【0025】
脂肪酸類またはアミン化合物を加えることによって無機顔料(b)の分散性が向上する作用機構は明確ではないが、例えば、脂肪酸が無機顔料(b)に対して単分子膜のような構造または2分子膜のような構造の配置をとり、これによって無機顔料(b)の水に対する抵抗等が大きくなり、無機顔料(b)の沈降が防止されると考えられる。本発明において顔料沈降防止剤(a)として使用される脂肪酸類またはアミン化合物は、分子膜のような構造に配置する能力が高いため、無機顔料(b)の沈降を防止する性能に優れると考えられる。そしてこれにより、立体形状を有する被塗物を電着塗装する場合であっても光沢均一性に優れた電着塗膜を形成することができる電着塗料組成物が得られることとなる。
【0026】
顔料沈降防止剤(a)の含有量は、電着塗料組成物中に含まれる無機顔料(b)の総質量に対して5〜20質量%であることが好ましい。顔料沈降防止剤(a)の量が当該範囲内である場合、良好な透過性を維持することができる。また、耐食性が低下したり、粘度が高くなり塗料調製が困難となるといった問題が生じるおそれがない。
【0027】
無機顔料(b)
顔料は、無機顔料(b)、有機顔料、カーボンブラックまたはそれらの組合せを含有し得る。無機顔料(b)は主として、着色顔料、体質顔料および防錆顔料に分別される。なお体質顔料とは一般に、使用するビヒクルに不溶である、粒状または粉状形状の、塗料・塗膜のある種の性能(ハジキ防止、耐チッピング性、塗膜硬度、耐候性、付着性など)の改質を目的として配合される顔料を意味する(JIS K5500に準拠。)。無機顔料(b)の具体例として、例えば、チタンホワイト、カーボンブラックおよびベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレーおよびシリカのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウムおよびリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料;などが挙げられる。本明細書中で「有機顔料」とは、無機顔料(b)と対比する概念で用いる。有機顔料の例としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ベンズイミダゾロンエロー、キナクリドンレッド、モノアゾレッド、ボリアゾレッド、またはベリレンレッド等の着色顔料が挙げられる。
【0028】
本発明において、上記いずれの顔料も用いることができる。これらは単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0029】
無機顔料(b)の含有量は、一般に、カチオン電着塗料組成物の全固形分に対して下限1質量%、上限60質量%を占める量である。上記上限は30質量%であるのが好ましい。
【0030】
体質顔料の含有量は、無機顔料(b)の総質量に対して30〜95質量%であることが好ましい。
【0031】
カチオン性樹脂
カチオン性エポキシ樹脂
カチオン性樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。カチオン性樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
【0032】
ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
【0033】
カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィドおよび酸混合物がある。本発明において1級、2級または/および3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
【0034】
具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数のものを併用して用いてもよい。
【0035】
カチオン性アクリル樹脂
カチオン電着塗料組成物は、必要に応じてカチオン性アクリル樹脂を含んでもよい。これにより、無機顔料(b)の含有量が少ない場合に生じうる油ハジキ性の低下を防止することができるからである。カチオン性アクリル樹脂は、分子内に複数のオキシラン環を含むアクリル共重合体とアミンとの開環付加反応によってつくることができる。このようなアクリル重合体は、(i)グリシジル(メタ)アクリレートと、(ii)ヒドロキシル基含有アクリルモノマー、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、プラクセルFAおよびFMシリーズとして知られる2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応生成物と、(iii)その他のアクリル系および/または非アクリル系モノマーを共重合することによって得られる。その他のアクリル系および非アクリル系モノマーの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルケトン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルなどである。
【0036】
このオキシラン環を含むアクリル共重合体は、エポキシ樹脂のオキシラン環をアミンで開環してカチオン性基を導入するのと同様に、そのオキシラン環の全部を1級アミン、2級アミンまたは3級アミン酸塩との反応によって開環することにより、カチオン性アクリル樹脂とすることができる。
【0037】
他の方法として、アミノ基を有するアクリルモノマーを他のモノマーと共重合することによってカチオン性アクリル樹脂を得ることもできる。この場合、前述の(i)グリシジル(メタ)アクリレートの代わりにアミノ基含有アクリルモノマーを用いる。アミノ基含有アクリルモノマーは、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有アクリルモノマーなどである。
【0038】
カチオン性アクリル樹脂は、重合体の数平均分子量が1,000〜20,000、好ましくは2,000〜10,000、より好ましくは5,000〜10,000の範囲内になるように常法によって前記モノマーを共重合することによって得られる。
【0039】
カチオン性アクリル樹脂の配合量は、カチオン電着塗料組成物中の樹脂固形分100質量部に対し10〜100質量部であるのが好ましい。
【0040】
ブロックポリイソシアネート硬化剤
カチオン電着塗料組成物は、ポリイソシアネートをブロック剤でブロックして得られたブロックポリイソシアネート硬化剤を含む。ここでポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
【0041】
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、およびナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、およびリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、および1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレットおよび/またはイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
【0042】
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーもブロックポリイソシアネート硬化剤として使用してよい。
【0043】
脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートの好ましい具体例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添TDI、水添MDI、水添XDI、IPDI、ノルボルナンジイソシアネート、それらの二量体(ビウレット)、三量体(イソシアヌレート)等が挙げられる。
【0044】
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
【0045】
ブロック剤としては、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤、およびホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤を使用するのが良い。
【0046】
カチオン顔料分散ペースト
無機顔料(b)などの顔料を電着塗料組成物の成分として用いる場合、一般に顔料を顔料分散樹脂と呼ばれる樹脂と共に予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。固体状硬化触媒を用いる場合、この顔料分散ペーストを作成する際に加えてもよいし、他の塗料製造工程で加えてもよい。
【0047】
カチオン性顔料分散樹脂としては、一般に、カチオン性またはノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基および/または3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等を用いる。水性媒体としてはイオン交換水または少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分散樹脂は顔料分散ペーストの固形分中で20〜40質量%、顔料および固体状硬化触媒は60〜80質量%の比率で用いる。カチオン顔料分散ペーストは、カチオン性顔料分散樹脂、および顔料、必要に応じて酸などの中和剤および水性媒体を、混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散させて得ることができる。
【0048】
硬化触媒
カチオン電着塗料組成物は、硬化触媒を加えて、ブロックポリイソシアネート硬化剤のブロック剤の解離を促進させてもよい。硬化触媒としては、硬化剤のブロック剤の解離を促進させるものであれば特に限定されないが、代表的な硬化触媒としては、錫触媒が挙げられる。錫触媒としては、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、モノブチル錫オキサイドおよびそれらの混合物等の固体触媒、ジブチル錫ジラウレート等の液状錫触媒、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0049】
上記硬化触媒は、電着塗料組成物中の樹脂固形分に対し0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%の量で配合する。
【0050】
カチオン電着塗料組成物の調製
カチオン電着塗料組成物は、カチオン性樹脂およびブロックポリイソシアネート硬化剤を水性媒体中に分散させたもの(カチオン性メインエマルション)、必要に応じて用いられる、カチオン性アクリル樹脂およびブロックポリイソシアネート硬化剤を水性媒体中に分散させたもの(サブエマルション)、そして顔料分散ペースト、脱イオン水を所定の割合で混合することによって調製される。
【0051】
カチオン電着塗料組成物の調製において、顔料沈降防止剤(a)は、何れの分散・混合段階においても加えることができる。顔料沈降防止剤(a)は、好ましくは、上記のカチオン性顔料分散ペーストに加えられ、その後、カチオン性メインエマルション等の他の成分と混合される。この場合は、顔料の沈降を防止する性能により優れるからである。
【0052】
水性媒体としては、例えばイオン交換水を用いることができ、少量のアルコール類を含んでいてもよい。そして水性媒体にはカチオン性樹脂の分散性を向上させるために中和剤を含有させる。中和剤は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。その量は少なくとも20%、好ましくは30〜60%の中和率を達成する量である。
【0053】
ブロックポリイソシアネート硬化剤の量は、硬化時にカチオン性樹脂中の1級、2級および/または3級アミノ基、水酸基等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチオン性樹脂のブロックポリイソシアネート硬化剤に対する質量比で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/35の範囲である。
【0054】
カチオン電着塗料組成物は、水混和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、および紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。
【0055】
アニオン電着塗料組成物
本発明のアニオン電着塗料組成物は、前述のカチオン電着塗料組成物と比較すると、主樹脂と硬化触媒とが相違する。その他の成分は共通であるため、以下、相違点についてのみ説明する。
【0056】
アニオン性樹脂
アニオン電着塗料組成物では、カチオン性樹脂の代わりにアニオン性樹脂を用いる。本発明で用いるアニオン性樹脂として、電着塗料組成物の分野では周知のカルボキシル基および場合によりさらに水酸基を有する樹脂を用いることができる。アニオン性樹脂として、例えば、カルボキシル基を有するアクリル樹脂またはカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂を用いるのが好ましく、カルボキシル基および水酸基を有するアクリル樹脂またはカルボキシル基および水酸基を有するポリウレタン樹脂を用いるのが特に好ましい。塗膜の耐候性、平滑性に優れるからである。
【0057】
上記のカルボキシル基および水酸基を有するアクリル樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有不飽和モノマー、水酸基含有アクリル系モノマー、さらに必要に応じてその他の重合性モノマーを用い、これらのモノマーをラジカル重合させてなる共重合体が使用できる。
【0058】
カルボキシル基含有不飽和モノマーは、1分子中にカルボキシル基と重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、カプロラクトン変性カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーなどがあげられる。
【0059】
水酸基含有アクリル系モノマーは、1分子中に水酸基と重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個有する化合物であり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;これらの水酸基含有アクリル系モノマーと、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウリロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトンなどのラクトン類化合物との反応物などがあげられ、市販品としては、プラクセルFM1(ダイセル化学社製、商品名、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル類)、プラクセルFM2(同左)、プラクセルFM3(同左)、プラクセルFA1(同左)、プラクセルFA2(同左)、プラクセルFA3(同左)などがあげられる。
【0060】
その他の重合性モノマーは、上記のカルボキシル基含有不飽和モノマーおよび水酸基含有アクリル系モノマー以外であって、1分子中に重合性不飽和結合を少なくとも1個有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のC1〜C18のアルキルまたはシクロアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族重合性モノマー;(メタ)アクリル酸アミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリアミド、N−メチロール(メタ)アクリアミドなどの(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;(メタ)アクリロニトリル化合物類;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有重合性モノマーなどがあげられる。
【0061】
これらのモノマーの配合割合として、カルボキシル基含有不飽和モノマーを、モノマーの合計質量に対して3〜30質量%、特に4〜20質量%の範囲内で用いることが好ましい。水酸基含有アクリル系モノマーを、モノマーの合計質量に対して3〜40質量%、特に5〜30質量%の範囲内で用いることが好ましい。
【0062】
これらのモノマーをラジカル共重合反応させる方法は従来から既知の溶液重合方法などを用いることができる。
【0063】
カルボキシル基および水酸基を有するポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリオール類およびジヒドロキシカルボン酸を、水酸基が過剰となる当量比で、ワンショット法または多段法によりウレタン化反応させることにより得られるものがあげられる。
【0064】
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートなどが好適に使用される。
【0065】
ポリオール類は、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)および/または複素環式エーテル(テトラヒドロフラン)を重合または共重合(ブロックまたはランダム)させて得られるポリエーテルジオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコールなど;ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸など)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)とを縮重合させて得られるポリエステルジオール、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリネオペンチル−ヘキシルアジペートなど;ポリラクトンジオール、例えば、ポリカプロラクトンジオール、ポリ3−メチルバレロラクトンジオールなど;ポリカーボネートジオール;これらから選ばれる2種以上からなる混合物などがあげられる。これらのポリオール類の数平均分子量は、一般に500以上、好ましくは500〜5,000、より好ましくは1,000〜3,000である。
【0066】
また、ポリオール類として、1分子中に2個以上の水酸基を有し、かつ数平均分子量が500未満の低分子量のポリオールも使用することができる。具体的には、上記のポリエステルジオールの原料としてあげたグリコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(分子量500未満);3価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロルエタン、トリメチロールプロパンなどおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(分子量500未満);これらから選ばれた2種以上からなる混合物などがあげられる。
【0067】
数平均分子量が500以上のポリオール類と数平均分子量が500未満の低分子量のポリオール類とを併用する系において、これら両ポリオールの構成比率は、両ポリオールの合計量を基準にして、前者は80〜99.9質量%、特に90〜99.5質量%、後者は20〜0.1質量%、特に10〜0.5質量%の範囲内にあることが好ましい。
【0068】
ジヒドロキシカルボン酸は、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールブタン酸などがあげられる。
【0069】
以上に述べたポリイソシアネート化合物、ポリオール類およびジヒドロキシカルボン酸によるウレタン化反応はそれ自体既知の方法で行なうことができる。
【0070】
硬化剤
アニオン電着塗料組成物において、アニオン性樹脂に対する硬化剤として、例えばメラミン樹脂、ブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0071】
メラミン樹脂としては、メラミンにホルムアルデヒドなどを反応させてなるメチロールメラミンのメチロール基の一部もしくは全部がC1〜C10のモノアルコールから選ばれた1種もしくは2種以上のアルコールで変性されたエーテル化メラミン樹脂を使用することができる。また、メラミン樹脂中にはイミノ基、メチロール基、その他の官能基が含まれていてもよい。
【0072】
ブロックポリイソシアネートは、前記のカチオン電着塗料組成物で例示したブロックポリイソシアネート硬化剤を使用することができる。
【0073】
アニオン性顔料分散ペースト
アニオン電着塗料組成物に無機顔料(b)等の顔料を含有させる場合、顔料の分散容易性の観点から、顔料を予め顔料分散ペーストの形態に調製するのが好ましい。アニオン性顔料分散ペーストは、顔料をアニオン性顔料分散樹脂に分散させて調製することができる。顔料として、前記のカチオン電着塗料組成物で例示した顔料を使用することができる。
【0074】
アニオン性顔料分散樹脂として例えば、アクリル酸エステル、アクリル酸およびアゾニトリル化合物を有する変性アクリル樹脂を用いることができる。
【0075】
アニオン性顔料分散ペーストは、上記のアニオン性顔料分散樹脂と顔料と中和剤を加え、これを分散させるか溶解させることにより調製することができる。
【0076】
一般に、アニオン性顔料分散ペーストは、固形分35〜70質量%、好ましくは40〜65質量%に調製される。
【0077】
アニオン性顔料分散ペーストは、アニオン性顔料分散樹脂、および顔料、必要に応じてトリエチルアミンなどの中和剤および水性媒体を、混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、通常の分散装置を用いて分散させて得ることができる。
【0078】
アニオン電着塗料組成物の調製
本発明において用いられるアニオン電着塗料組成物は、上に述べたアニオン性樹脂、アニオン性顔料分散ペーストを水性媒体中に分散させることによって調製される。また、通常、水性媒体にはアニオン性樹脂を中和して分散性を向上させるために中和塩基(アミンまたはアルカリ化合物)を含有させる。この中和塩基として用いるアミンは具体的には炭素数が3以下の低い分子量のものであり、前述の顔料沈降防止剤とは異なるものである。このような炭素数であると、顔料との相互作用よりも樹脂との相互作用が大きくなるので、顔料の沈降防止剤としての効果は無くなる。中和塩基の例としては、アンモニア;ジエチルアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、エチルアミノエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ジエチレントリアミンなどの有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物などの塩基性化合物である。
【0079】
本発明において用いられるアニオン性電着塗料組成物の調製において、顔料沈降防止剤(a)は、何れの分散・混合段階においても加えることができる。顔料沈降防止剤(a)は、好ましくは、上記のアニオン性顔料分散ペーストに加えられ、その後、アニオン性メインエマルション等の他の成分と混合される。この場合は、顔料の沈降を防止する性能により優れるからである。なお、脂肪酸またはアミン化合物の配合量は、カチオン電着塗料組成物の場合と同じである。
【0080】
硬化剤の量は、アニオン性樹脂と硬化剤との固形分質量比(アニオン性樹脂/硬化剤)で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜50/50の範囲である。中和塩基の量は、アニオン性樹脂のアニオン性基の少なくとも30%、好ましくは50〜120%を中和するのに足りる量である。
【0081】
電着塗膜形成
被塗物
本発明の方法によって電着塗膜が形成される被塗物は、導電性を有し、電着塗装において電極となり得るものであれば特に制限はないが、金属基材であることが好ましい。被塗物はまた、予めリン酸亜鉛処理、ジルコニウム処理などの表面処理が施されていることが好ましい。
【0082】
カチオン電着塗装
カチオン電着塗料組成物を用いる場合の電着塗装は、被塗物を陰極として陽極との間に、通常1〜400Vの電圧を印加して行われる。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は10〜45℃、好ましくは15〜30℃に調節される。
【0083】
電着塗装後、被塗物の表面に形成された被膜を焼き付けにより硬化させる。焼き付けは焼付炉等を用い、通常140℃〜180℃の温度で行う。
【0084】
アニオン電着塗装
電着塗料組成物としてアニオン電着塗料組成物を用いる場合の電着塗装は、被塗物を陽極として陰極との間に、通常1〜400Vの電圧を印加して行われる。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は10〜45℃、好ましくは15〜30℃に、pHは6.0〜9.0、好ましくは7.0〜8.0に調節される。
【0085】
電着塗装後、被塗物の表面に形成された被膜を焼き付けにより硬化させる。焼き付けは焼付炉等を用い、通常140℃〜180℃の温度で行う。
【0086】
電着塗装
電着塗料に含まれる夾雑物は濾過装置4によって取り除かれるが、濾過装置4を透過した微小な夾雑物は限外濾過装置5に到達し、濾過フィルタの目詰まりの原因となる。特に、従来の電着塗料は顔料が沈降しないよう常時ポンプで攪拌する必要がある。このため、攪拌によって塗料中の顔料の衝突回数が増えることで顔料が凝集しやすくなり、濾過フィルタの目詰まりの原因となるという問題がある。
【0087】
濾過フィルタが目詰まりを起こしているか否かは、限外濾過器5の透過量の減少率によって判断することができる。
【0088】
一般的な塗装ラインにおける濾過フィルタの交換頻度は2〜3年に一度程度であるが、通常、限外濾過器における透過量が20〜50%程度減少すると濾過フィルタを交換する必要があると考えられる。
【0089】
しかしながら、本発明に係る電着塗料組成物を用いれば、同条件で電着塗装した場合であっても、限外濾過器における透過量の減少率を抑制することができる。これにより、濾過フィルタの交換頻度を低減することができる。
【実施例】
【0090】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0091】
製造例1 カチオン性樹脂の調製
撹拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を備え付けた反応容器に、エピコート1001(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量475のビスフェノールA型エポキシ樹脂)99.8部、エピコート1004(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量950のビスフェノールA型エポキシ樹脂)850.2部、ノニルフェノール55部、メチルイソブチルケトン(MIBK)193.3部およびベンジルジメチルアミン4.5gを加え、140℃で4時間反応し、エポキシ当量1175を有する樹脂を得た。ここにエチレングリコールn−ヘキシルエーテル69.1部、2−アミノエチルエタノールアミンのMIBKケチミン化物のMIBK溶液(固形分78質量%)35.4部、N−メチルエタノールアミン26.5部およびジエタノールアミン37.1部を加えた。これを120℃で2時間反応させ、目的とする樹脂を得た。
【0092】
製造例2 ブロックポリイソシアネート硬化剤の調製
還流冷却器、撹拌機、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた5つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(コロネートEH)199.1部とメチルイソブチルケトン31.6部を仕込み、窒素雰囲気下40℃に加熱保持した。これへジブチル錫ジラウレート0.2部を加え、さらにメチルエチルケトオキシム87.0部を滴下ロートより2時間かけて滴下し、滴下終了後、IRスペクトルによりイソシアネート基のピークが消失するまで70℃で反応させた。反応終了後、メチルイソブチルケトン38.1部およびブタノール1.6部を加え冷却し、固形分80%のブロックポリイソシアネート硬化剤を得た。
【0093】
製造例3 エポキシ樹脂系顔料分散樹脂の調製
エピコート828 382部、ビスフェノールA118部を反応容器に入れ、窒素雰囲気下150〜160℃へ加熱した。反応混合物を150〜160℃でエポキシ当量が500に達するまで反応させた。次いで、反応混合物を140〜145℃に冷却後、2−エチルヘキサノールハーフブロック化トルエンジイソシアネート203部を加えた。反応混合物を140〜145℃に約1時間保ち、次いで、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル209部を加えた。次に、反応混合物を90℃以下に冷却し、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)プロパン−2−オール272部、ジメチロールプロピオン酸134部、脱イオン水144部を加えた。この混合物を約8の酸価が得られるまで65〜75℃で反応させて顔料分散用樹脂を得た。これを冷却し、30%の固形分量になるまで脱イオン水で希釈し、顔料分散用ワニスを得た。
【0094】
製造例4 カチオン性メインエマルションの調製
製造例1のカチオン性樹脂と製造例2のポリイソシアネート硬化剤を固形分として70:30の割合で混合し、酢酸で中和率40%に中和し、脱イオン水を加え、ゆっくり希釈し、ついで不揮発分が37質量%になるようにメチルイソブチルケトン及び脱イオン水を除去し、バインダー樹脂エマルションであるカチオン性メインエマルションを得た。
【0095】
製造例5 カチオン電着塗料組成物の調製
カチオン性顔料ペーストの調製
下記配合量のものを分散することによりカチオン性顔料ペーストを調製した。
カーボンブラック 1質量部
酸化チタン 23質量部
焼成カオリン*1(体質顔料) 5質量部
製造例3のエポキシ樹脂系顔料分散樹脂 63質量部
ジブチルスズオキサイド 1質量部
ガテナックス GS−90*2(顔料沈降防止剤) 2.8質量部
(無機顔料の質量100質量部に対して10質量部(10質量%))
脱イオン水 6質量部
*1:ENGEL HARD CORPORATION製、品番SATINTON 5、吸油量90ml/100g、平均粒径0.8μm
*2:ライオン株式会社製、アルコール系脂肪酸エステル
なお上記表中、カーボンブラック:三菱化学株式会社製、MA−100、酸化チタン:石原産業株式会社製、タイペークCR−97である。
【0096】
製造例4のカチオン性メインエマルション35質量部、上記より得られたカチオン性顔料分散ペースト13.3質量部、および脱イオン水47.4質量部を混合して、カチオン電着塗料組成物を得た。
【0097】
実施例
(実施例)
得られた電着塗料組成物を用い、図2に示す実験装置により限外濾過装置の透過量を調べた。図2に示す実験装置において、電着塗料槽に入ったカチオン電着塗料組成物10リットルを、ポンプで20L/分の量で新品の濾過フィルタを取り付けた限外濾過器(ポリテックス社のED−500HK、膜面積5m)に循環させた。電着塗料槽と限外濾過装置(ポリテックス社のED−500HK、膜面積5m)とはポンプを介して接続されており、限外濾過装置により分離された高固形分濃度液及び低固形分濃度液の双方を電着塗料槽に返して循環させる。そして、限外濾過装置から排出される高固形分濃度液及び低固形分濃度液の初期の合計流量と、連続運転10日後及び20日後の流量を測定することにより、透過量維持効果を評価した。
【0098】
(比較例)
顔料沈降防止剤を配合しない電着塗料組成物を用いたこと以外は実施例と同様にして高固形分濃度液及び低固形分濃度液の初期の合計流量を測定し、限外濾過器の透過量維持効果を評価した。
【0099】
測定結果を表1に示す。
【0100】
【表1】

表1の結果から、実施例では10日連続運転しても流量に変化はなく、20日連続運転しても初期の流量に比べ3%程度しか減少しなかった。これに対し、比較例では10日連続運転すると初期の流量に比べ4%程度減少し、20日連続運転すると初期の流量に比べ20%程度減少することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、濾過フィルタの交換頻度を低減させる方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の限外濾過装置の所在を示す模式図である。
【図2】本発明の洗浄方法の実施例で用いた実験装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0103】
1 被塗物
2 電着浴
3 ポンプ
4 濾過装置
5 限外濾過装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電着塗装に用いられる限外濾過装置の濾過フィルタ交換頻度を低減させる方法であって、
当該電着塗装に用いられる電着塗料組成物が、
(a)脂肪酸、脂肪酸の誘導体、アミン化合物、またはこれらの3種から選択される少なくとも2種の混合物である顔料沈降防止剤、および
(b)無機顔料、
を含むことを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−227889(P2009−227889A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77355(P2008−77355)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】