説明

火源探査システム

【課題】赤外線カメラを用いて確実にかつ迅速に火源を特定することのできる火源探査システムを得る。
【解決手段】赤外線カメラ(14)で取得された撮像データに基づいて、所定閾値を超える画素値を検出することで火源位置の特定を行うシステムであり、撮像データに基づいて所定閾値を超える画素の集合をラベル付けし、撮像データ内の最高温度を示す画素値、ラベル付けされたN番目(Nは、1以上の整数)までの各集合の重心座標、およびN番目までの各集合内の最高温度を示す画素値を含む検出データを生成する赤外線カメラ制御部(12)と、検出データに基づいて、N番目までの各集合内の最高温度を示す画素値の中で撮像データ内の最高温度を示す画素値と一致する集合が存在する場合には、一致した集合の重心座標を火源位置として特定する統括処理部(11)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線カメラにより撮像された画像に基づいて、速やかに火災発生地点である火源を特定する火源探査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線カメラを用いた火源探査では、火災発生地点を温度に基づいて検出している。具体的には、一定の監視領域を2次元的に走査し、赤外線カメラから得られた温度に応じた検出信号の中で、あらかじめ設定したアラームレベル(閾値)を超えた信号が得られた領域を火源として検出している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このような火源検出に当たっては、監視領域の全画素について比較判断を行っている。なお、特許文献1においては、監視領域内に、例えば太陽の反射光を発する区域があった場合には、アラームレベルを超えた信号が得られたとしても火源と判断しないように、非判断領域の設定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−1949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来の火源探査システムでは、監視領域の全画素について比較判断を行っているため、火源検知に時間がかかってしまうという問題があった。非判断領域の設定を行った場合であっても、基本的には、監視領域の全画素について比較判断を行って火源検出を行った後に、非判断領域で火源検出されたものを取り除く処理を行っており、同様の問題があった。
【0006】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、赤外線カメラを用いて確実にかつ迅速に火源を特定することのできる火源探査システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る火源探査システムは、監視領域の温度状態に応じた信号として赤外線カメラで取得された撮像データに基づいて、撮像データを構成する複数の画素値の中から所定閾値を超える画素値を検出することで火源位置の特定を行う火源探査システムであって、赤外線カメラの起動制御を行うとともに、赤外線カメラから取得した撮像データに基づいて、所定閾値を超える画素の集合をラベル付けし、撮像データ内の最高温度を示す画素値、ラベル付けされたそれぞれの集合のうちあらかじめ設定されたN番目(Nは、1以上の整数)までの各集合の重心座標、およびN番目までの各集合内の最高温度を示す画素値を含む検出データを生成する赤外線カメラ制御部と、赤外線カメラ制御部で生成された検出データに基づいて、N番目までの各集合内の最高温度を示す画素値の中で撮像データ内の最高温度を示す画素値と一致する集合が存在する場合には、一致した集合の重心座標を前記火源位置として特定する統括処理部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る火源探査システムによれば、赤外線カメラで取得した撮像データに特定の加工を施して、データ量を圧縮した検出データを作成し、この検出データに基づいて火源検知処理を行うことにより、赤外線カメラを用いて確実にかつ迅速に火源を特定することのできる火源探査システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における火源探査システムを含む放水砲システムの全体構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における火源探査システムの赤外線カメラ制御部で作成される検出データの一覧表である。
【図3】本発明の実施の形態1における火源探査システムの赤外線カメラ制御部で実行されるグループ化処理の例示図である。
【図4】本発明の実施の形態1における火源探査システムの一連動作の流れを示す処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の火源探査システムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における火源探査システムを含む放水砲システムの全体構成図である。図1に示すように、本実施の形態1では、例えば、サブシステムとして、監視領域に対して左右2台の火源探査システム10L、10Rが設けられており、上位の放水砲システム統括処理部20により統括制御されている。
【0012】
2台の火源探査システム10L、10Rは、同一の機能を備えており、同様の動作を行うが、放水砲システム統括処理部20からの指令により、所定時間毎に左右交互に単独で監視領域の火源探査を行うこととなる。よって、火源探査システム10L、10Rは、長期間にわたり正常運転できる。また、一方が故障した場合には、残る一方を連続運転させることで、システム全体がダウンしてしまうことを防ぐことができる。
【0013】
火源探査システム10L(10R)は、統括処理部11、赤外線カメラ制御部12、電動旋回台制御部13、赤外線カメラ14、および赤外線カメラ14が搭載されている電動旋回台15を備えている。以下では、左側の火源探査システム10Lを用いて、本実施の形態1の火源探査システムについて説明する。
【0014】
まず始めに、各構成要素の機能について、個別に説明する。
統括処理部11は、以下の機能を有している。
(A1)放水砲システム統括処理部20からの火源検知開始指令を受け取ると、電動旋回台15を所望の監視領域に向けて旋回移動させるために、電動旋回台制御部13に対して移動指令を送信し、その返答として移動完了信号を受信する。
(A2)移動完了信号を受信した後、赤外線カメラ14を起動させるために、赤外線カメラ制御部12に対して探査スタート指令を送信する。
【0015】
(A3)赤外線カメラ制御部12に対してデータ読取り指令を送信し、その返答として、赤外線カメラ14の撮像結果に基づいて赤外線カメラ制御部12によって生成された検出データを取得する。なお、データ読取り指令を送信する際に、統括処理部11は、赤外線カメラ制御部12による検出データの生成に用いられる閾値(例えば、60℃)も合わせて送信する。
(A4)さらに、取得した検出データを解析し、火源が検知できたか否かを判断する。
【0016】
また、赤外線カメラ制御部12は、以下の機能を有している。
(B1)統括処理部11からの探査スタート指令に基づいて、赤外線カメラ14を起動させるとともに、赤外線カメラ14から撮像データを取得する。
(B2)赤外線カメラ14から取得した撮像データに対して特定の加工を施して検出データを作成し、統括処理部11に返送する。
【0017】
また、電動旋回台制御部13は、以下の機能を有している。
(C1)統括処理部11からの移動指令に基づいて、電動旋回台15を所望の監視領域に向けて旋回移動させるとともに、移動が完了した際に移動完了信号を統括処理部11に送信する。
【0018】
また、赤外線カメラ14は、例えば、数万画素を備え、以下の機能を有している。
(D1)赤外線カメラ制御部12からの探査スタート指令に基づいて、所望の監視領域を撮像し、全画素の撮像データを赤外線カメラ制御部12に返送する。
【0019】
さらに、電動旋回台15は、以下の機能を有している。
(E1)電動旋回台制御部13からの移動指令に基づいて、設定された位置に旋回移動することで、搭載されている赤外線カメラ14を所望の監視領域に向けて旋回移動させる。
【0020】
本発明では、上述した各種機能のうち、特に、赤外線カメラ制御部12の(B2)の機能により、検出データを作成する点(第1の特徴)、および統括処理部11の(A4)の機能により、検出データの解析処理を行う点(第2の特徴)の2点を技術的特徴としている。すなわち、赤外線カメラ14による撮像データのすべてを統括処理部11に返送する代わりに、赤外線カメラ制御部12が撮像データに基づいて特定の加工を施して撮像データのうち火源である可能性が高いデータの絞り込みを行うことで作成した検出データを返送し、その検出データに基づいて統括処理部11が火源検出処理を行うことで、データ通信時間、演算時間の削減を図っている。
【0021】
そこで、まず始めに、第1の特徴である赤外線カメラ制御部12による検出データの作成について説明する。図2は、本発明の実施の形態1における火源探査システムの赤外線カメラ制御部12で作成される検出データの一覧表である。赤外線カメラ14は、監視領域の画素ごとに、検出温度に相当する各測定値を撮像データとして出力する。
【0022】
このようにして得られた撮像データに対して、赤外線カメラ制御部12は、例えば、以下のような処理を施すこととなる。
[処理1−1]撮像データの全画素の各測定値から、最大値(検出温度の最高値に相当)を抽出する。この値が、図2のNO1の値に相当する。
[処理1−2]処理1−1で抽出した最大値の画素のX、Y座標として、最大値のX方向とY方向の画素値を抽出する。これらの値が、図2のNO2、3の値に相当する。
【0023】
[処理1−3]監視領域の画素のデータから、温度平均値を算出する。この値が、図2のNO4の値に相当する。
【0024】
[処理1−4]火源を検出するために、あらかじめ設定された閾値を超える温度を示す画素を抽出し、さらに、抽出した画素の中で互いに連結している画素の集合に対して同一のラベルを付すことで、複数の画素をグループとして抽出するとともに、1つだけ独立した画素を抽出して同様にラベルを付す。なお、この閾値は、統括処理部11からのデータ読取り指令と同時に、統括処理部11により設定できるものとする。また、初期の閾値は、あらかじめ赤外線カメラ制御部12に持たせておくことも可能である。
【0025】
この処理は、2値画像に対するラベリング処理と等価であり、抽出によりグループ化されたそれぞれの領域は、左上→右上→左下→右下の順で番号が自動的に割付けされる。図3は、本発明の実施の形態1における火源探査システムの赤外線カメラ制御部12で実行されるグループ化処理の例示図である。図3に示すように、あらかじめ設定された閾値を超える画素の領域として抽出されたそれぞれのグループは、左上→右上→左下→右下の順で1から順にラベル付けされることとなる。以下の説明では、ラベル付けされた各グループを「熱かたまり」と呼ぶこととする。
【0026】
[処理1−5]次に、1番目にラベル付けされた熱かたまり(熱かたまり#1)について、その熱かたまり内で温度の最大値を示す画素値、熱かたまりの重心のX、Y座標、および熱かたまりに含まれる画素数を求める。これらの値が、図2のNO5〜8の値に相当する。ここで求める重心は、熱かたまりの重心自体を求めてもよいし、熱かたまりの外接長方形の重心を簡易的に求めてもよい。これにより、放水砲システムの放水時は、図示しない放水砲が重心の位置またはその近傍に指向されて放水するので、確実に初期消火できる。
[処理1−6]処理1−5と同様の処理を、熱かたまり#2〜#5についても行う。これらの値が、図2のNO9〜24の値に相当する。
【0027】
赤外線カメラ制御部12は、統括処理部11からのデータ読取り指令に基づいて、このような一連処理を行うことで、赤外線カメラ14から送信された撮像データに特定の加工を施して、図2に示すような検出データを作成し、作成した検出データを統括処理部11に返送する。このように、赤外線カメラ制御部12から統括処理部11に送信するデータ量を、全画素のデータの代わりに、例えば、図2に示したような24データに限定することで、通信時間の短縮を図ることができる。
【0028】
なお、図2においては、検出データに含める熱かたまりの数を5個としているが、5個に限定されるものではない。火源探査システムが適用される現場環境、あるいは監視領域の大きさ、許容される演算時間等に応じて、熱かたまりの数を適切な個数に変更することができる。
【0029】
次に、第2の特徴である統括処理部11による検出データの解析処理について説明する。統括処理部11は、赤外線カメラ制御部12から受信した検出データに基づいて、以下のような処理を施すこととなる。
[処理2−1]検出データで得られた全画素での温度の最大値(NO1のデータに相当)を、各熱かたまりの温度の最大値(NO5、9、13、17、21の各データに相当)と比較する。
[処理2−2]いずれかの熱かたまりの温度の最大値が、全画素での温度の最大値と一致した場合には、該当する熱かたまりを火源位置と特定する。
【0030】
[処理2−3]処理2−1において、すべての熱かたまりの温度の最大値が、全画素での温度の最大値と不一致であった場合(すなわち、すべての熱かたまりの温度の最大値が、全画素での温度の最大値未満であった場合)には、熱かたまり#6以降の中に、全画素での温度の最大値と一致するものがあると考えられる。
【0031】
そこで、処理2−1での比較結果が不一致であると判断した場合には、統括処理部11は、火源を検出するための閾値を、前回のデータ読取り指令送信時に設定した閾値よりも高く、かつ全画素での温度の最大値よりも低い値(例えば、200℃)を設定し直し、再度、赤外線カメラ制御部12に対してデータ読取り指令を送信する。データ読取り指令の返信として、再度、赤外線カメラ制御部12から取得した新たな検出データに対して、統括処理部11は、処理2−1〜処理2−3を繰り返すこととなる。
【0032】
なお、処理2−3において再設定される閾値は、熱かたまり#1〜#5の温度の最大値よりも大きくすることで、今回の検出データに含まれていた熱かたまり#1〜#5を、次回の新たな検出データから除外することができる。また、データ読取り指令を送信する前に、電動旋回台15を動かすことなしに、赤外線カメラ14を同じ位置としたままで、再度、探査スタート指令を送信し、所望の監視領域を撮像した後に、閾値を再設定したデータ読取り指令を送信することも可能である。
【0033】
統括処理部11は、赤外線カメラ制御部12から取得した検出データに基づいて、このような一連の解析処理を行うことで、絞り込まれた検出データの中から確実にかつ迅速に火源位置を特定することができ、演算時間の短縮を図ることができる。
【0034】
次に、本実施の形態1の火源探査システムの一連動作について、処理フローを用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1における火源探査システムの一連動作の流れを示す処理フローである。まず始めに、ステップS01において、統括処理部11は、放水砲システム統括処理部20から火源検知開始指令を受け取った後に、電動旋回台15を所望の監視領域に向けて旋回移動させるために、電動旋回台制御部13に対して移動指令を送信する。
【0035】
次に、ステップS02において、電動旋回台制御部13は、統括処理部11からの移動指令に基づいて、電動旋回台15の移動制御を行う。この結果、ステップS03において、電動旋回台15は、所望の監視領域に向けて旋回移動することとなる。次に、ステップS04において、電動旋回台制御部13は、電動旋回台15から移動完了信号を受け取る。なお、電動旋回台15の位置制御がパルスモータ等を使用したオープンループで行われる場合には、電動旋回台制御部13自身が移動完了信号を生成することとなる。
【0036】
次に、ステップS05において、電動旋回台制御部13は、先のステップS01の移動指令の返答として、統括処理部11に対して移動完了信号を送信する。このようにして、ステップS01〜S05までの一連動作により、電動旋回台15の位置合わせを行うことで、赤外線カメラ14を所望の監視領域に向けて旋回することができる。
【0037】
次に、ステップS06において、統括処理部11は、赤外線カメラ14を起動させるために、赤外線カメラ制御部12に対して探査スタート指令を送信する。次に、ステップS07において、赤外線カメラ制御部12は、統括処理部11からの探査スタート指令に基づいて、赤外線カメラ14を起動させる。
【0038】
次に、ステップS08において、すでに所望の監視領域に向けて旋回された赤外線カメラ14は、赤外線カメラ制御部12からの指令に基づいて、所望の監視領域を撮像する。そして、ステップS09において、赤外線カメラ制御部12は、赤外線カメラ14による撮像データを取得する。
【0039】
次に、ステップS10において、統括処理部11は、赤外線カメラ制御部12に対して、火源検出に用いられる閾値の設定とともに、データ読取り指令を送信する。次に、ステップS11において、赤外線カメラ制御部12は、統括処理部11から受け取った閾値およびデータ読取り指令に基づいて、赤外線カメラ14から取得した撮像データに対して、上述したような特定の加工を施して、先の図2に示したような検出データを作成する。なお、検出データを作成するための初期の閾値は、あらかじめ赤外線カメラ制御部12に持たせておくことも可能である。
【0040】
さらに、ステップS12において、赤外線カメラ制御部12は、先のステップS11におけるデータ読取り指令の返答として、統括処理部11に対して、作成した検出データを返送する。
【0041】
そして、ステップS13において、統括処理部11は、赤外線カメラ制御部12から取得した検出データに対して、上述したような判断処理を施し、火源検知を行う。なお、この判断処理において、処理2−3で述べたように、すべての熱かたまりの温度の最大値が、全画素での温度の最大値と不一致であったと判断された場合には、統括処理部11は、閾値を再設定した後、ステップS06による探査スタート指令、またはステップS10によるデータ読取り指令を送信し、それ以降の処理を繰り返すことで、火源検知および位置特定を行うこととなる。
【0042】
以上のように、実施の形態1によれば、赤外線カメラで取得した撮像データに特定の加工を施して、データ量を圧縮した検出データを作成し、この検出データに基づいて火源検知処理を行っている。この結果、データの通信処理や演算処理に要する時間を短縮した上で、赤外線カメラを用いて確実にかつ迅速に火源を特定することのできる火源探査システムを得ることができる。
【0043】
なお、上述した処理2−2では、いずれかの熱かたまりの温度の最大値が、全画素での温度の最大値と一致した場合には、該当する熱かたまりで火源位置と特定する場合について説明した。しかしながら、本発明による火源位置の特定は、これに限定されない。この処理2−2で火源位置と特定される熱かたまりが検出された場合には、その重心位置が監視領域のセンタとなるように電動旋回台15を移動させた後に、再度、火源検知処理を行うことも考えられる。この場合には、最終的な火源の有無の判断を、赤外線カメラの中央部分の画素値に基づいて、常に一定の条件で行うことができ、検出精度のさらなる向上を図ることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、赤外線カメラによる撮像領域を1つの監視領域に対応付けて説明した。しかしながら、本発明による監視領域の設定は、これに限定されない。例えば、ドーム球場における全体の領域を、上方斜めに設置された赤外線カメラで捕らえることで火源検知を行う場合を考える。この場合には、撮像領域の上側ほど火源までの距離が遠く、下側ほど火源までの距離が近いこととなる。従って、このような場合には、上下方向で監視対象領域を複数に分割し、各領域で適切な閾値を用いて火源検知を行うことが考えられる。
【0045】
このように、監視対象領域を複数に分割した場合には、先の図2で示した検出データをそれぞれの領域ごとに作成し、領域別に設定された閾値を用いることで、適切な火源検知を行うことが可能となる。さらに、このように領域分割を行って火源が検知された場合にも、その位置が赤外線カメラのセンタとなるようにしてから再検知を行うことで、検出精度のさらなる向上を図ることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、電動旋回台15および電動旋回台制御部13を備えた火源探査システムについて説明した。しかしながら、赤外線カメラ14を固定で設置する場合には、これらの構成要素を不要とすることもできる。
【符号の説明】
【0047】
10L、10R 火源探査システム、11 統括処理部、12 赤外線カメラ制御部、13 電動旋回台制御部、14 赤外線カメラ、15 電動旋回台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の温度状態に応じた信号として赤外線カメラで取得された撮像データに基づいて、前記撮像データを構成する複数の画素値の中から所定閾値を超える画素値を検出することで火源位置の特定を行う火源探査システムであって、
前記赤外線カメラの起動制御を行うとともに、前記赤外線カメラから取得した前記撮像データに基づいて、前記所定閾値を超える画素の集合をラベル付けし、前記撮像データ内の最高温度を示す画素値、前記ラベル付けされたそれぞれの前記集合のうちあらかじめ設定されたN番目(Nは、1以上の整数)までの各集合の重心座標、および前記N番目までの各集合内の最高温度を示す画素値を含む検出データを生成する赤外線カメラ制御部と、
前記赤外線カメラ制御部で生成された前記検出データに基づいて、前記N番目までの各集合内の最高温度を示す画素値の中で前記撮像データ内の最高温度を示す画素値と一致する集合が存在する場合には、一致した集合の重心座標を前記火源位置として特定する統括処理部と
を備えることを特徴とする火源探査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の火源探査システムにおいて、
前記統括処理部は、前記N番目までの各集合内の最高温度を示す画素値の中で前記撮像データ内の最高温度を示す画素値と一致する集合が存在しない場合には、前記所定閾値を前記撮像データ内の最高温度を示す画素値に所定量近づくようにより大きな値に設定変更して新たな閾値を生成し、設定変更後の前記新たな閾値を用いて前記赤外線カメラ制御部に前記検出データを作成させるために、前記赤外線カメラ制御部に対して前記新たな閾値とともにデータ読取り指令を送信し、
前記赤外線カメラ制御部は、前記統括処理部から前記新たな閾値とともに前記データ読取り指令を受信した場合には、前記新たな閾値を用いて新たな検出データを再度生成して、前記統括処理部に返送し、
前記統括処理部は、返送された前記新たな検出データに基づいて前記火源位置の特定を行う
ことを特徴とする火源探査システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の火源探査システムにおいて、
前記赤外線カメラが搭載され、旋回可能な電動旋回台と、
前記電動旋回台の移動制御を行う電動旋回台制御部と
をさらに備え、
前記統括処理部は、前記電動旋回台制御部を介して前記電動旋回台を移動させることで、前記赤外線カメラの撮像領域を所望の監視領域に向けて旋回させた後に、前記火源位置の特定を行うために、前記赤外線カメラ制御部に対して探査スタート指令を送信し、
前記赤外線カメラ制御部は、前記探査スタート指令を受信した後に、前記赤外線カメラの起動制御、前記赤外線カメラからの前記撮像データの取得、および取得した前記撮像データに基づく前記検出データの生成の一連処理を実行し、生成した検出データを前記統括処理部に返送する
ことを特徴とする火源探査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−95798(P2011−95798A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246119(P2009−246119)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】