説明

火炎センサ

【課題】 紫外線検出用放電管(UVチューブ)を衝撃等から保護すると共に、UVチューブに貼付された温度記録紙を容易に確認することができ、容易にUVチューブの取り付けができる簡易な構造の火炎センサを提供する。
【解決手段】 円柱状のガラス管10a内に紫外線を受けて放電を生起する一対の放電電極を封入したUVチューブ10は、前記ガラス管10aにおける胴部の所定の位置に貼付されて、UVチューブ10近傍の温度を検出して記録する温度記録紙17を備える一方、このUVチューブ10を保護するカバー体1は、UVチューブ10をカバー体1の内部に嵌め込んだとき、UVチューブ10に貼付された温度記録紙17をカバー体1の外部に現出する窓部1aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎センサに係り、特に表面温度を記録する温度記録紙が貼付された紫外線検出用放電管(UVチューブ)を保護する保持体に装着すると共に、紫外線検出用放電管を保持体に装着した状態で温度記録紙に記録された温度情報を容易に確認できる火炎センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、火炎中に含まれる紫外線を検出する火炎検出装置がある。この火炎検出装置には、紫外線センサの一種である紫外線検出用放電管(UVチューブ)が用いられている。このUVチューブは、円筒形のガラス管内に紫外線を受けて放電を生起する一対の放電電極が封入されたもので、その軸方向の一端部から一対の棒状電極やリード線が導出されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このような用途のUVチューブは、所定の使用温度を超えた状態に一度でも置かれると、その後の信頼性が低下するという問題がある。また、UVチューブは、前述したように筒状のガラス管を用いた構造をしている。このため、その取り扱いに注意が必要である。つまりUVチューブは、粗雑に扱われると、UVチューブを形成しているガラス管が破損し、使用不能になってしまう。このような不具合を防止すべく、UVチューブを筒状のケーシングに納めた火炎検出ユニットが採用されている。この火炎検出ユニットは、ケーシングの後端部にUVチューブに接続される一対の外部接続用端子が並べて設けられたものである。ちなみにこの種の火炎検出ユニットを用いた火炎検出装置や、その封止構造体が知られている(例えば、特許文献2および3を参照)。
【特許文献1】特開平5−12581号公報
【特許文献2】特開2004−37091号公報
【特許文献3】特開2004−11895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した火炎検出装置に適用されるUVチューブにあっては、所定の使用温度を超えたことを検出するために、温度記録紙(サーモラベル)をその胴部に貼付することも考えられる。しかし、UVチューブ自体の保護を行うべくその胴部をカバー体等で覆った場合、サーモラベルを確認するには、一旦、カバー体をはずす必要がある。そしてサーモラベルを確認した後は、再びUVチューブをカバー体で覆い、火炎検出装置に組み込まなければならない。このため、UVチューブに貼付されたサーモラベルの確認作業は、手間と時間、すなわち工数が多くかかるという問題が新たに発生する。
【0005】
上述したUVチューブは、形状にバラツキが多い。このため火炎検出装置にUVチューブを組み込んだとき、火炎検出装置内でUVチューブが、がたつく虞があった。またUVチューブは、形状のバラツキがあるため、その外囲を覆い保護するカバー体が取り付けにくいという問題もあった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、紫外線検出用放電管(UVチューブ)を衝撃等から保護すると共に、UVチューブに貼付された温度記録紙を容易に確認することができ、容易にUVチューブの取り付けができる簡易な構造の火炎センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するべく本発明に係る火炎センサは、円柱状のガラス管内に紫外線を受けて放電を生起する一対の放電電極を封入した紫外線検出用放電管と、円柱状の内周面をもつ筒体の内部に前記紫外線検出用放電管を嵌め込むカバー体を有し、
前記紫外線検出用放電管は、前記ガラス管における胴部の所定の位置に貼付されて、該紫外線検出用放電管近傍の温度を検出して記録する温度記録紙を備え、
前記カバー体は、前記紫外線検出用放電管を前記筒体の内部に嵌め込んだとき、該紫外線検出用放電管に貼付された上記温度記録紙を該カバー体の外部に現出する窓部を備えることを特徴としている。
【0007】
上述の火炎センサは、紫外線検出用放電管(UVチューブ)を構成する筒状のガラス管に貼付された温度記録紙によって該UVチューブの表面温度を検出して記録する。一方、UVチューブは、円柱状の内周面をもつ筒体からなるカバー体の中に嵌め込まれる。このカバー体は、UVチューブを該カバー体の中に収納した状態でUVチューブに貼付された温度記録紙を確認(視認)できる窓部を備えている。このためこの窓部を介して、紫外線放電管近傍、具体的には、前記ガラス管の表面温度やUVチューブが組み込まれた火炎検出装置の周囲温度を温度記録紙(例えばサーモラベル)によって検出して表示する。
【0008】
好ましくは前記カバー体は、該カバー体の軸心方向にその一部を切り欠いて開放した切欠部を備えることが望ましい。
上述の火炎センサは、前記筒体を形成するカバー体の一部を開放する切欠部を備えているので、該カバー体にUVチューブをスムーズに嵌め込むことが可能となり、作業性が向上する。
【0009】
より好ましくは、前記カバー体は、前記紫外線検出用放電管の受光面が位置付けられる端部の所定の位置に前記筒体の外周面から突出した突起部を備えることが望ましい。
上述の火炎センサは、UVチューブの形状のバラツキ、具体的にはUVチューブ毎にガラス管の管径や長さ、或いは形状自体の違いなどがある。それ故、火炎センサの形状のバラツキから火炎検出装置に火炎センサを組み込んだときに生じるがたつきをUVチューブに設けた突起部で吸収する。
【0010】
ちなみに前記カバー体は、前記ガラス管の外径と略等しい内径および該ガラス管と略等しい長さのシリコーンゴムまたはフッ素ゴムから構成される。このカバー体によれば、UVチューブの形状のバラツキを吸収しつつ、その内部にUVチューブを容易に嵌め込むことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明の火炎センサは、円柱状の内周面をもつ筒状のカバー体の所定の部位に窓部が設けられている。このためカバー体を取り外すことなく、窓部を介して紫外線検出用放電管に貼付された温度検出・記録用の温度記録紙(サーモラベル)を確認することができる。またこのカバー体は、可とう性に富む弾性部材、例えばシリコーンゴムから構成されている。このため、UVチューブの形状のバラツキを吸収しつつ、簡易にして確実にUVチューブを衝撃等から保護することができる等の実用上多大なる効果が奏せられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る火炎センサについて説明する。尚、この図に示す火炎検出装置は、本発明に係る一実施形態を示す図であって、この図によって本発明が限定されるものではない。
この火炎センサは、図1に示すように、UVチューブ10の外周面を保護する円柱状の内周面を持つカバー体1を備える。このカバー体1は、その内部に円柱状の外周面を持つ紫外線検出用放電管(UVチューブ)10を収納する。またカバー体1には、UVチューブ10を収納したまま、このUVチューブ10に貼付される温度記録紙(サーモラベル)17を確認できる窓部1aが設けられている。この窓部1aは、ガラス管10aに貼付されたサーモラベル17より略大きな形状としてカバー体1の胴部の所定の位置に設けられる。ちなみに温度記録紙(サーモラベル)17は、後述するUVチューブ10を構成するガラス管10aの外周面(胴部)の所定の位置に貼付される。
【0013】
またこのカバー体1には、UVチューブ10の収納方向に向けてその長軸方向の一部を切り欠いて開放した切欠部1bが設けられている。この切欠部1bは、UVチューブ10をカバー体1の内部に嵌め込み易くする役割を担っている。
ちなみにUVチューブ10は、紫外線を受けて放電を生起する一対の放電電極(図示せず)を円筒形のガラス管10a内に封入したものである。この放電電極は、UVチューブ10の軸方向の一端部から一対の棒状電極(電極ピン)12に接続されている。棒状電極12は、UVチューブの軸心廻りに対称に位置付けて導出した封止部10bに封止されている。
【0014】
また詳細は後述するがUVチューブ10の受光部側に位置付けられるカバー体1の端部の外周部には、突起部1cが設けられている。この突起部1cは、後述する火炎検出装置を構成するユニットホルダ30に収納した際のがたつきを抑えるものである。この突起部1cは、UVチューブ10を構成するガラス管の工作精度の悪さ(直径や管長、外観形状のバラツキ)を補う役割を担っている。
【0015】
UVチューブ10は、保持体11によってユニットホルダ30に装着・固定される。保持体11は、例えば絶縁性を有する耐熱プラスチック等で形成される。この保持対11は、UVチューブ10の封止部10bの外径より略大きな内径を有している。また保持対11は、一端が封止された円筒状の形状をなしている。この保持体11は、後述するユニットホルダ30にUVチューブ10をビス止めによって固定する役割を担う。詳しくは保持体11は、この保持体11と共にUVチューブ10をビス止めして固定するフランジ部11cおよびこのフランジ部11c貫通するビス貫通孔11eを備える。
【0016】
尚、上述したカバー体1の突起部1cは、カバー体1の内部にUVチューブ10を収納した状態で、例えば作業台上あるいは机上のような水平面に置いたとき、保持体11のフランジ部11cの底面側と、上記カバー体1の突起部1cの底面側とを一致させるものである。このため、カバー体1の内部にUVチューブ10を収納し、更にUVチューブ10の封止部10bを保持体11の内部に収納して、作業台上のような水平面上に置いたとしても安定な状態を維持することができる。
【0017】
概略的には上述したように構成される本発明の火炎センサが特徴とするところは、UVチューブ10を保護するカバー体1の所定の部位に窓部を設けた点にある。つまり、カバー体1に窓部を設けたことにより、カバー体1を外すことなくUVチューブ10に貼付した温度記録紙を確認することが可能となる。
このような特徴あるカバー体1を適用して実現される火炎検出装置について図面を参照しながら説明する。この火炎検出装置は、図3にその分解構造を示すように、ガスバーナ等の覗き窓(図示せず)に装着されるフランジユニット20と、このフランジユニット20に取り付けられるユニットホルダ30、このユニットホルダ30の下部に組み込まれるシャッタユニット40とを備えている。前記UVチューブ10は、上記ユニットホルダ30に装着して用いられる。尚、図中50は、上述したユニットホルダ30やシャッタユニット40のカバーである。また、火炎検出装置は、カバー体1にUVチューブ10を収納した後、前記封止部10bを保持体11の内側部に嵌合させて火炎センサ60を備える。
【0018】
ユニットホルダ30は、前記フランジユニット20への取り付け面側に前記UVチューブ10の先端部が嵌め込まれる先端保持部(受け部)31を備える。この先端保持部31の内側には、前述したシャッタ41が選択的に位置付けられる。
そしてUVチューブ10の電極ピン12は、ユニットホルダ30の後端部32に設けられた接続端子33に接触して接続される。一方、火炎センサ60は、ビス16によってユニットホルダ30に固定される。このビス16は、保持体11のフランジ部11cに設けられたビス貫通孔11eを介してユニットホルダ30に火炎センサ60を固定するものである。
【0019】
ところでUVチューブ10は、形状のバラツキによって所定の管長より短いとき、UVチューブ10の先端部(紫外線検出側)と先端保持部(受け部)31との間に隙間が生じるおそれがある。すなわち、封止部10b側だけが固定されて先端部が浮いた、いわゆる片持ち梁の状態になる可能性がある。このような片持ち梁は外部からの振動に共振して、機械的、電気的に振動の影響を受けやすい。そこで、本実施例では、ユニットホルダ30に保持体11がビス止めされると、UVチューブ10の先端部とユニットホルダ30との間に突起部1cが挟まれて、やや変形収縮する。これによって、UVチューブ10の先端が保持されるので、外部から振動を受けたときもUVチューブ10の共振が抑制される。つまり突起部1cは、ユニットホルダ30の上面(UVチューブ10の搭載面)に火炎センサ60を安定に位置付ける役割を担う。
【0020】
かくしてこのように構成された本発明の火炎センサに適用されるカバー体1には、窓部1aが設けられている。このため、カバー体1を外すことなくUVチューブ10に貼付されたサーモラベル17を確認できる。また窓部1aを設けたことによって、UVチューブ10に加わった温度だけでなく、このUVチューブ10を組み込んで構成した火炎検出装置の周囲温度を容易に確認することができる。したがって本発明の火炎センサによれば、温度確認作業に要する所要時間を大幅に削減することが可能となる。
【0021】
さらに本発明の火炎センサに適用されるカバー体1は、カバー体1の軸心方向にその一部を切り欠いて開放した切欠部1bを備えている。このためカバー体1にUVチューブ10をスムーズに嵌め込むことが可能となる。したがって、UVチューブ10に対するカバー体1の脱着時間の短縮、作業性の向上等をはかることができる。
また上記カバー体1は、UVチューブ10の受光面が位置付けられる端部の所定の位置に前記筒体1の外周面から突出した突起部1cを備えている。このためUVチューブ10の形状のバラツキをこの突起部1cで吸収することができる。それ故、本発明の火炎センサは、火炎検出装置に組み込んだとき、がたつきを生じない。このため信頼性の高い火炎検出装置を構成することが可能である。
【0022】
特に前記カバー体1は、前記ガラス管10aの外径と略等しい内径および該ガラス管10aと略等しい長さのシリコーンゴムまたはフッ素ゴムから構成されている。このため、上述したようなUVチューブ10の形状のバラツキを吸収しつつ、その内部にUVチューブ10を容易に嵌め込むことが可能となる等実用上多大なる効果を奏する。
尚、本発明の火炎センサは、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、カバー体1をなす弾性部材の素材自体を代えることで、その弾性率を調整することも勿論可能である。更にはカバー体1の各部の寸法等は、その仕様に応じて設定すれば良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る火炎センサにおいて、UVチューブを筒状のカバー体に収納した火炎センサの一例を示す斜視図。
【図2】図1に示す火炎センサを保持体に保持する様子を説明するための図。
【図3】図1に示す火炎センサを用いた火炎検出装置の概略構成を分解して示す図。
【符号の説明】
【0024】
1 カバー体(筒体)
1a 窓部
1b 切欠部
1c 突起部
10 チューブ
10a ガラス管
10b 封止部
17 サーモラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状のガラス管内に紫外線を受けて放電を生起する一対の放電電極を封入した紫外線検出用放電管と、
円柱状の内周面をもつ筒体の内部に前記紫外線検出用放電管を収納するカバー体とを有する火炎センサにおいて、
前記紫外線検出用放電管は、前記ガラス管における胴部の所定の位置に貼付されて、該紫外線検出用放電管近傍の温度を検出して記録する温度記録紙を備え、
前記カバー体は、前記紫外線検出用放電管を前記筒体の内部に嵌め込んだとき、該紫外線検出用放電管に貼付された上記温度記録紙を該カバー体の外部に現出する窓部を備えることを特徴とする火炎センサ。
【請求項2】
前記カバー体は、該カバー体の軸心方向にその一部を切り欠いて開放した切欠部を備えることを特徴とする請求項1に記載の火炎センサ。
【請求項3】
前記カバー体は、前記紫外線検出用放電管の受光面が位置付けられる端部の所定の位置に前記筒体の外周面から突出した突起部を備えることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の火炎センサ。
【請求項4】
前記カバー体は、前記ガラス管の外径と略等しい内径および該ガラス管と略等しい長さのシリコーンゴムまたはフッ素ゴムからなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の火炎センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−71488(P2006−71488A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255889(P2004−255889)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】