説明

火炎検出回路

【課題】火炎検出回路のコストを低減させる。
【解決手段】火炎によって整流作用を発揮する火炎センサ(3)と、この火炎センサと直列に接続されたコンデンサ(2)と、火炎センサおよびコンデンサに接続された交流電源(1)と、火炎センサの外部端子に接続される入力端子を備え、コンデンサおよび交流電源から電力の供給を受けて火炎が発生していることを検出する信号処理回路(5)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎の有無を検出する火炎検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボイラシステムなど燃焼炉を備えたシステムでは、燃焼炉の火炎の有無を検出する火炎検出回路が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。この火炎検出回路の一例を図3に示す。
【0003】
図3に示す火炎検出回路は、交流電源11と、コンデンサ12と、コンデンサ12に対して直列に接続された火炎センサ13と、この火炎センサ13の外部端子にLPF(Low Pass Filter)14を介して入力端子が接続された信号処理回路15と、この信号処理回路15に電力を供給する直流電源16とを備えている。
【0004】
図3において、火炎センサ13は、整流式の火炎センサの一種である「フレームロッド」と呼ばれる挿入式の火炎センサである。このフレームロッドは、火炎の中に挿入される一対の電極を備えており、火炎に対して一の電極(陰極)を内炎と外炎の境界近傍に、他の電極(陽極)を外炎から離して設置して、それらの電極間に交流電源を印加すると、火炎の整流現象によって整流作用を発揮する。その結果、交流電源に接続された火炎センサ13には、火炎がある場合には半波整流された電流(以下、「フレーム電流」という。)が流れ、火炎がない場合には電流が流れないので、火炎の有無を検出することができる。このような整流式の火炎センサ13は、火炎がある場合については、図3に示すように、直列に接続されたダイオードと抵抗とによって表すことができる。
【0005】
このような火炎センサ(フレームロッド)13を用いた火炎検出回路の動作は次のとおりである。
まず、図示しないバーナ等に火炎が発生している場合は、火炎の整流現象によって交流電源11よりフレーム電流が供給され、これがコンデンサ12によって平滑されて火炎センサ13には符号bで示す方向の直流電流が流れる。この直流電流によって火炎センサ13の外部端子間に生じる電圧は、LPF14によりリップル成分が除去された後、信号処理回路15に入力される。
【0006】
一方、火炎が発生していない場合は、火炎センサ13は高抵抗な状態となるので、交流電源11、コンデンサ12および火炎センサ13からなる回路には電流は流れない。したがって、火炎センサ13の外部端子間には電圧が生じず、よって、信号処理回路15には信号が入力されない。
【0007】
信号処理回路15は、交流電源11とは別に設けられた直流電源16から供給される電力により駆動され、LPF14を介して入力される電圧信号に基づいて火炎の有無を判断する。上述したように火炎が発生している場合には、信号処理回路15には、LPF14から信号が入力されるので、火炎が発生していると判断することができる。一方、火炎が発生していない場合には、信号処理回路15には、LPF14側から信号が入力されないので、火炎が発生していないと判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−089195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の火炎検出回路では、火炎の有無を常時監視するために外部電源16を設けて信号処理回路15を常時駆動しておかなければならなかった。その結果、外部電源16を設置したり、信号処理回路15を常時駆動するためにコストがかかっていた。また、常時駆動しておかなければならないので、火炎が無い場合にも通電しているために、本来火炎が無い場合に外部の装置による電気的なノイズ等によって火炎有りと誤検出または誤動作するおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、火炎検出の確実性を向上させるとともに、コストを低減させることができる火炎検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る火炎検出回路は、火炎によって整流作用を発揮する火炎センサと、この火炎センサと直列に接続されたコンデンサと、火炎センサおよびコンデンサに接続された交流電源と、火炎センサの外部端子に接続される入力端子を備え、コンデンサおよび交流電源から電力の供給を受けて火炎が発生していることを検出する信号処理回路とを備えたことを特徴とする。
【0012】
上記の火炎検出回路において、信号処理回路の入力端子は、ローパスフィルタを介して火炎センサの外部端子に接続されてもよい。
また、信号処理部の入力端子間にレギュレータをさらに設けてもよい。
【0013】
また、上記の火炎検出回路において、火炎センサは、火炎の中に挿入される一対の電極を有するフレームロッド、および紫外線を検出する紫外線光電管を有する紫外線式火炎検出器のいずれかであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、火炎が発生している場合に生じるフレーム電流によってコンデンサが充放電され、信号処理部はこのコンデンサと交流電源とから電力の供給を受けて火炎が発生していることを検出する。したがって、信号処理部に電力を供給するための直流電源を交流電源とは別に設けなくてよい。また、火炎が発生していないときには信号処理部は動作しなくなるため、火炎の有無を監視するために信号処理部を常時駆動させる必要がなくなる。その結果、火炎の検出の確実性が向上するとともに、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る火炎検出回路の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施の形態に係る火炎検出回路の構成を示す図である。
【図3】図3は、従来の火炎検出回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
[火炎検出回路の構成]
第1の実施の形態に係る火炎検出回路は、図1に示すように、交流電源1と、コンデンサ2と、このコンデンサ2と直列に接続された火炎センサ3と、入力端子がLPF(Low Pass Filter)4を介して火炎センサ3の外部端子に接続された信号処理回路5と、この信号処理回路5の入力端子間に設けられたレギュレータ6とを備えている。
【0018】
ここで、火炎センサ3は、火炎によって整流作用を発揮する整流式の火炎センサである。本実施の形態においては、火炎の中に挿入される一対の電極を有するフレームロッドを用いるものとする。
【0019】
信号処理回路5は、火炎が発生して火炎センサ3が整流作用を発揮している場合には交流電源1およびコンデンサ2から電力の供給を受けて動作して、火炎センサ3の端子間電圧に応じた信号を処理して火炎の有無を判断する。
なお、信号処理回路5の入力端子をLPF4を介して火炎センサ3の外部端子に接続することによって、信号処理回路5には、火炎センサ3の端子間電圧信号からリップル成分が除去されて入力される。
【0020】
レギュレータ6は、交流電源1およびコンデンサ2から信号処理回路5に供給される電流を安定化させる電流レギュレータである。
【0021】
[火炎検出回路の動作]
次に、本実施の形態に係る火炎検出回路の動作について説明する。
【0022】
(1)火炎が発生している場合
交流電源1により火炎センサ3に交流電流を供給した状態において、図示しないバーナ等に火炎が発生し、この火炎の内炎および外炎に火炎センサ(フレームロッド)3に設けられた一対の電極(陰極および陽極)が接触すると、火炎の整流現象により、火炎センサ3は整流作用を発揮して、図1の符号aで示す方向にフレーム電流を流すようになる。
このとき、交流電源1から整流作用を有する火炎センサ3に順方向の電圧が印加される間は、フレーム電流によってコンデンサ2が充電される。
その結果、交流電源1から供給される交流電流は、火炎センサ3によって整流されるとともに、コンデンサ2により平滑化されて、直流電流となる。ここで、直流電流は、火炎センサ3を符号a方向に流れるとともに、その一部がレギュレータ6により安定化されて信号処理回路5に供給される。
また、火炎センサ3の内部抵抗によって外部端子間に生じる電圧信号は、LPF4によりリップル成分が除去された後、信号処理回路5に入力される。
【0023】
信号処理回路5は、コンデンサ2および火炎センサ3により供給された直流電流によって駆動され、LPF4を介して入力される電圧信号に応じて火炎が発生していることを意味する検出信号を出力する。この検出信号は、火炎検出回路が設けられたシステムにおいて燃焼炉の運転を制御する安全制御装置(図示せず)に入力される。
なお、この安全制御装置は、火炎の検出信号が入力されていることを条件として、燃焼システム内の各構成要素の制御を行う装置である。
【0024】
(2)火炎が発生していない場合
一方、火炎が発生していない場合には、火炎センサ3は整流作用を発揮せず、高抵抗な状態(絶縁状態)となるので、フレーム電流は発生しない。すなわち、火炎が発生していない場合には、交流電源1、コンデンサ2および火炎センサ3から構成される直列回路には電流が流れない。したがって、火炎センサ3の外部端子から信号処理回路5に電力は供給されないので、信号処理回路5は動作しないこととなる。
【0025】
この場合、信号処理回路5からは検出信号が出力されることもないので、信号処理回路5の誤動作に対する安全制御を考慮しなくてよいこととなる。その結果、火炎検出回路の設計をより簡潔にすることができる。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態によれば、火炎の整流現象に基づく火炎センサ3の整流作用によって生成された電流によって信号処理回路5を動作させるので、信号処理回路5に電力を供給するための直流電源を交流電源1とは別に設ける必要がなくなる。また、火炎が発生していないときには信号処理回路5が動作しなくなるため、火炎の有無を監視するために信号処理回路5を常時駆動させることがなくなり、火炎検出回路の設計をより簡潔にすることができる。その結果、コストを低減させることができる。
【0027】
なお、本実施の形態では、火炎センサ3としてフレームロッドを用いた場合を例に説明したが、火炎が発生している場合に整流作用を発揮する火炎センサであれば、フレームロッド以外の火炎センサを用いてもよい。
【0028】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、火炎センサ3として紫外線式火炎検出器を用いたものである。したがって、本実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付して、適宜説明を省略する。
【0029】
図2示すように、本実施の形態に係る火炎検出回路は、交流電源1と、コンデンサ2と、このコンデンサ2と直列に接続された火炎センサ3’と、入力端子がLPF(Low Pass Filter)4を介して火炎センサ3’の外部端子に接続された信号処理回路5と、この信号処理回路5の入力端子間に設けられたレギュレータ6とを備えている。また、交流電源1と、コンデンサ2および火炎センサ3’との間には、整流補完回路7が設けられている。
【0030】
ここで、整流補完回路7は、紫外線式火炎検出器からなる火炎センサ3’の整流作用を補完する回路であり、電気的には+極性の直流電流に等価である。したがって、火炎センサ3’に対して、接点bから接点cの方向には印加電圧が大きなるので、フレーム電流が流れやすくなるが、接点cから接点bの方向には印加電圧が小さくなるので、フレーム電流が流れにくくなる。
【0031】
上述したように、本実施の形態において、火炎センサ3’は、紫外線式火炎検出器から構成される。この紫外線式火炎検出器とは、紫外線を検出する紫外線光電管(以下、「UVチューブ」という。)を内蔵したものであり、火炎から放射された紫外線がUVチューブに入ってこのUVチューブ内部の電極の受光面に当たると、光電効果により光電子が放出され、封入ガスをイオン化することにより、放電電流が流れるものである。通常、紫外線式火炎検出器は、フレームロッドに比べて整流効果が小さいため、上述した第1の実施の形態における火炎検出回路に紫外線式火炎検出器を適用する場合には、フレームロッドの替わりに紫外線式火炎検出器を置き換えるとともに、さらに整流補完回路7を用いた構成とすることが望ましい。紫外線式火炎検出器からの放電電流をコンデンサで平滑化して生成した直流電流により信号処理回路5を駆動させることで、上述した第1の実施の形態と同等の作用効果を実現することができる。
【0032】
なお、上述した第1,第2の実施の形態では、レギュレータ6を設けた場合を例に説明したが、レギュレータ6は設けないようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えばフレームロッドやUVチューブなどの整流作用を有する機器を備えた回路や各種システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…交流電源、2…コンデンサ、3,3’…火炎センサ、4…LPF、5…信号処理回路、6…レギュレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎によって整流作用を発揮する火炎センサと、
この火炎センサと直列に接続されたコンデンサと、
前記火炎センサおよび前記コンデンサに接続された交流電源と、
前記火炎センサの外部端子に接続される入力端子を備え、前記コンデンサおよび前記交流電源から電力の供給を受けて火炎が発生していることを検出する信号処理回路と
を備えたことを特徴とする火炎検出回路。
【請求項2】
前記信号処理回路の前記入力端子は、ローパスフィルタを介して前記火炎センサの外部端子に接続される
ことを特徴とする請求項1記載の火炎検出回路。
【請求項3】
前記信号処理部の前記入力端子間に設けられたレギュレータをさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2記載の火炎検出回路。
【請求項4】
前記火炎センサは、
火炎の中に挿入される一対の電極を有するフレームロッド、および紫外線を検出する紫外線光電管を有する紫外線式火炎検出器のいずれかである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の火炎検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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