災害時対応アプリケーションシステム
【課題】大規模災害発生時に予め登録してあるIC乗車券の所持者の安否に関する情報等を取得することができるIC乗車券システムを利用した災害時対応アプリケーションシステムを提供する。
【解決手段】専用駅務端末30は通信網70を介して災害時対応アプリケーションシステム100に接続されている。専用駅務端末30では、複数のIC乗車券10を一つのグループIDの下に登録する機能を有しており、グループIDとその下に登録されたIC乗車券10のID情報はグループID登録データベース101に記憶される。災害時対応アプリケーションシステム100は、既存のIC乗車券システム50とも通信回線15で接続されており、グループID登録データベース101に登録されたIC乗車券10に係る一件明細情報を、定期的にIC乗車券システム50に要求することにより、常に最新の一件明細情報を履歴データベース109に蓄積するように構成される。
【解決手段】専用駅務端末30は通信網70を介して災害時対応アプリケーションシステム100に接続されている。専用駅務端末30では、複数のIC乗車券10を一つのグループIDの下に登録する機能を有しており、グループIDとその下に登録されたIC乗車券10のID情報はグループID登録データベース101に記憶される。災害時対応アプリケーションシステム100は、既存のIC乗車券システム50とも通信回線15で接続されており、グループID登録データベース101に登録されたIC乗車券10に係る一件明細情報を、定期的にIC乗車券システム50に要求することにより、常に最新の一件明細情報を履歴データベース109に蓄積するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模災害の発生時において予め登録してあるIC乗車券の所持者の安否に関する情報等を提供するIC乗車券システムを利用した災害時対応アプリケーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震等の自然災害発生時においては、家族、友人、社員、職員、在校生等の安否に係る情報をできるだけ早く知りたいと考えるものであり、また被災者本人も自身が安全であることや負傷してしまったこと等を家族、知人、会社、学校等にできるだけ早く知らせたいと考えるものである。しかしながら、甚大な自然災害等が発生すると、停電、電話回線の不通等のインフラの障害により、そのような要求を満たすことができなくなってしまう。
【0003】
例え固定電話回線の不通等が発生しなかったとしても、大規模な災害が発生すると、その直後から救助・消防活動等への連絡や、被災者への安否確認などを行うための電話通話が被災地に対して大量に発信されるため、被災地域周辺では通信回線が混雑し輻輳状態に陥ってしまうことが多々起きている。このような輻輳は、固定電話に限らず、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)などのいずれの移動体通信の回線においても起こりうることである。
【0004】
そこで地方自治体等により、インターネットを利用し、災害発生時に地域住民各個人の安否情報等を防災ポータルサイトで提供する試みがなされている。
【0005】
これは、地震等の大規模な災害が発生した場合には、安否確認等の電話が急増して回線混雑により輻輳状態となるなどの混乱が生じ、被災者の安否を確認することができなくなってしまうことや、テレビ放送、ラジオ放送からの情報では、被災者各個人の安否情報を容易には入手できないことなどから、実用化が強く望まれているものである。
【0006】
特許文献1(特開2002-342859号公報)に記載の安否情報提供システムは、地域住民が予めインターネット上に設置されたサーバに利用登録をしておき、大規模災害時に自分が被災者となった場合には、携帯端末等を用いて上記サーバに自身の安否情報等を送信し蓄積させることができるものであり、また、被災者以外の者(例えば、被災者の家族や友人・知人など)は、上記サーバにアクセスして、当該被災者の安否情報等を検索し、確認することができることを特徴とするものである。
【0007】
この安否情報提供システムにおいて利用登録や安否情報照会、各種情報検索を行うには、コンピュータ端末機や携帯端末のWEBブラウザを利用することができるようになっており、利用者にとって利便性が高く、また、システム構築コスト及び運用コストが低く抑えられている。
【特許文献1】特開2002-342859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述したように移動体通信の回線も、災害発生時には輻輳してしまうという問題があり、このような状況では、被災者が上記の安否情報提供システムを利用して自己の安否情報等をサーバに送信しようとしても通信回線の輻輳のため、サーバへのアクセスができないという問題が起きてしまう。
【0009】
災害発生時の通信回線の輻輳を回避しようと、緊急用の基地局設置等で回線を増強したりするなどの試みがなされる可能性はあるものの、このような対処を行うとしても、災害発生後の一定時間経過後となってしまうことは容易に予想されることであり、結局、災害発生後数日間は、通信回線の輻輳状態を回避できないというのが現状である。
【0010】
従って、現実には、現存する上記のような安否情報提供システムでは災害発生から一定期間が経過し通信回線の輻輳状態が治った時点で、例えば災害発生から3日後以降に、被災者の安否情報の収集を行うことができる状態であればよいというような、割り切った運営をせざるを得ない。
【0011】
しかしながら、被災者の家族らは、被災者の安否状況について、たとえわずかな情報であってもできるだけ早く知りたいと考えるものであり、また、被災者本人も、自分が安全であることや負傷してしまったことなどを、安否確認システムを利用していち早く通知したいと考えるものである。さらには、災害現場で復旧作業を行う者が、行方不明者を発見したり、負傷者を発見したりした場合にも、安否確認システムを利用して迅速に通報する必要が生じる。
【0012】
このような要請がある中で、災害発生後に数時間〜数日間もの間、被災者の安否情報の通知や照会が全く行えないのは、安否確認システムの存在意義そのものが問われるような問題点である。
【0013】
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて、鉄道事業者がその業務に活用しているIC乗車券システムのインフラを利用することによって、災害発生直後に、通信回線の輻輳状態に影響されることなく、被災者の安否情報を収集でき、その安否情報を公開することが可能なシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、鉄道事業者が業務に活用するIC乗車券システムを利用し、IC乗車券の所持者間で安否情報を共有する災害時対応アプリケーションシステムにおいて、複数の前記IC乗車券を一つのグループIDの下に登録する専用駅務端末を具備することを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記グループIDの下に登録された複数の前記IC乗車券を記憶するグループID登録データベースを備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記グループIDの下に登録された複数の前記IC乗車券それぞれの最新一件明細を記憶する履歴データベースを備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券を利用することで、前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の最新一件明細を専用駅務端末で参照可能に構成されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記IC乗車券は複数の前記グループIDの下に登録することが可能に構成されることを特徴とする。
【0019】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、複数の前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券を利用することで、それぞれの前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の一件明細を前記専用駅務端末で参照可能に構成されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記IC乗車券を前記専用駅務端末で利用する際には、パスワードを設定することが可能に構成されることを特徴とする。
【0021】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、複数の前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の前記パスワードの設定は、前記グループIDごとに行うことができることを特徴とする。
【0022】
また、請求項9に係る発明は、請求項4又は請求項6記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記専用駅務端末で参照可能な情報は、パーソナルコンピュータにより専用WEBサイトでも参照可能に構成されたことを特徴とする。
【0023】
また、請求項10に係る発明は、請求項9に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記専用WEBサイトへは、グループID及びパスワードを入力してからログインすることを特徴とする。
【0024】
また、請求項11に係る発明は、請求項9又は請求項10に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、運行状況取得手段を備え、当該運行状況取得手段で取得した鉄道の運行状況を、前記専用駅務端末及び前記パーソナルコンピュータで参照することが可能に構成されることを特徴とする。
【0025】
また、請求項12に係る発明は、請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記専用駅務端末又は前記パーソナルコンピュータから登録されたメッセージを記憶するメッセージ・履歴データベースを備えることを特徴とする。
【0026】
また、請求項13に係る発明は、請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記IC乗車券ごとの避難場所を登録する避難場所登録データベースを備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項14に係る発明は、請求項13に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記避難場所登録データベースは、前記グループIDごとの避難場所も登録することを特徴とする。
【0028】
また、請求項15に係る発明は、請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記避難場所登録データベースに登録されている避難場所への経路を表示することが可能に構成されることを特徴とする。
【0029】
また、請求項16に係る発明は、請求項15に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、避難場所への経路を表示するにあたっては、運賃、所要時間、不通区間も表示することを特徴とする。
【0030】
また、請求項17に係る発明は、請求項16に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、表示された避難場所への切符を購入することが可能なボタンを備えることを特徴とする。
【0031】
また、請求項18に係る発明は、請求項9乃至請求項17のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記IC乗車券にチャージされた電子マネーを所属する前記グループIDの下に登録された他のIC乗車券で使用しても良いとの許可を登録するデータベースと、当該データベースの登録に基づいて、前記他のIC乗車券で切符を購入する際に、当該電子マネーを決裁に利用することを特徴とする。
【0032】
また、請求項19に係る発明は、請求項9乃至請求項18のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、不通区間情報、履歴情報、メッセージ情報、避難場所への経路情報、避難場所地図情報を前記IC乗車券の空きメモリ領域にダウンロード可能に構成されることを特徴とする。
【0033】
また、請求項20に係る発明は、請求項19に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、ダウンロードされた情報は、可搬型ビューア又は前記パーソナルコンピュータによって参照可能に設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明の災害時対応アプリケーションシステムは、鉄道事業者が業務に活用するIC乗車券システムで用いる複数のIC乗車券を一つのグループIDの下に登録する専用駅務端末を備えるものであるので、大規模地震や台風等の甚大な自然災害等が発生した際、例え固定通信回線、移動通信回線が不通になったとしても、鉄道事業者の運営する駅に赴き、駅の改札機をあらかじめグループ登録されたIC乗車券で通過することによって一件明細情報が登録される。また、駅備え付けの専用駅務端末にIC乗車券を挿入し、所定の操作をすることによって、同一グループIDの下に登録されているIC乗車券の所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することができる。このことによって、その通過時点には少なくともその所持者が安全であるという情報を、前記グループIDの下にIC乗車券を登録している家族、友人、知人間で共有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、IC乗車券システムの概略を模式的に示す図である。ここで、IC乗車券システムに用いるIC乗車券についてまず説明する。近年、鉄道事業者などにおいてリサイクル使用できるICカードが利用され始めている。以下の説明ではこのようなICカードをIC乗車券というが、IC乗車券は、例えば、定期券としての価値情報や乗車券をプリペイドするための金額情報が書き込まれていて、『Suica(登録商標)』などと呼ばれ、定期券やストアードフェア型の乗車券として広く普及し始めている。このようなIC乗車券をストアードフェア乗車券として利用する場合には、あらかじめIC乗車券に所定の金額情報をチャージ(入金処理)しておけば、このIC乗車券を自動改札機の読取部にかざすことによってIC乗車券にチャージされている金額情報が読み取られる。これによって、このIC乗車券にチャージされている金額情報から乗車料金が相殺されて行くので、ストアードフェア型の乗車券として極めて便利なカードである。また、定期券用のIC乗車券の場合は、自動改札機の読取部にかざすと乗車区間情報などが読み取られて通常の定期券として使用することができると共に、上述のようなストアードフェア乗車券として利用することもできる。
【0036】
このような鉄道用IC乗車券に金額情報をチャージする場合は、通常、カード発売機や乗越し清算機などの読書装置に鉄道用IC乗車券と所定の金額を投入すれば、IC乗車券に所定の金額情報が書き込まれてチャージが行われる。このようなチャージを繰り返すことによって、IC乗車券は何回でもリサイクル使用することができる。
【0037】
なお、近年このようなIC乗車券にチャージされた金額情報により、特定の販売店等において、物品購買に伴う決済を行うことができるようになっており、IC乗車券の金銭情報は所謂電子マネーとしての機能を有するようになっている。
【0038】
図1において、10はIC乗車券であり、20はIC乗車券10に対応した自動改札機である。IC乗車券10は、鉄道事業者が提供する鉄道サービスの利用者が所持しているものであり、自動改札機20は鉄道事業者が各駅の改札に設置するものである。ここで、IC乗車券10の一例として非接触型のものを用いて説明するが、本発明で用い得るIC乗車券は必ずしもこれに限定されるものではない。非接触型のIC乗車券10には、ICチップ、アンテナが組み込まれており、カードリーダライタにかざすと、カードリーダライタ内のアンテナとの間で通信が行われ、カードリーダライタ側で、IC乗車券10の検知、認証、データの読み取り、残額情報等のデータの書き込み等が行われる仕組みとなっている。
【0039】
自動改札機20には、このようなカードリーダライタが内蔵されており、鉄道利用客は所持するIC乗車券10を自動改札機20内蔵のカードリーダライタ部にかざすことにより、入札、出札を行う。自動改札機20側では入札の際、IC乗車券10から鉄道の最低運賃を引き去り、出札の際に、さらにIC乗車券10から運賃と最低運賃との差額を引き去るように設定されている。
【0040】
このような入札、出札の記録については、発行されているIC乗車券10一枚一枚ごとに管理が成されている。具体的には、IC乗車券10一枚一枚ごとにそれぞれ異なるIDを割り当て、それぞれのID毎の入札、出札の記録を、通信回線25を通して、鉄道事業者の中央管理センタ等に設置されるIC乗車券システム50に送信する。IC乗車券システム50は受信したID毎の情報を一件明細データベース51に格納するように構成されている。なお、自動改札機20とIC乗車券システム50は必ずしも通信回線25で直に繋がっているわけではなく、途中駅務サーバなどを介するが、ここでは単純化したシステム概略を示している。
【0041】
図2は、IC乗車券システム50の一件明細データベース51のデータ構造を示す図である。当該データ構造は、一件明細データベース51の一部を抜粋したものである。図において、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)で示されるデータが、それぞれ一枚一枚のIC乗車券10のIDに対応するデータである。一件明細データベース51のデータ構造は図示するように、「IC乗車券10のID番号」、「IC乗車券10を利用した年月日」、「IC乗車券10を最後に利用した時分」、「入札出札の種別」、「利用駅」、「入札出札の種別」、「利用駅」、「利用額」、「IC乗車券10の残額」となっている。例えば、(1)の最新のデータを例に取ると、「IC乗車券10のID番号」は「JE012−3456−7890−XXX1」で、「IC乗車券10を利用した年月日」は「2005年10月31日」、「IC乗車券10を最後に利用した時分」は「13:20」で、「入札出札の種別」は「入札」で、その時の「利用駅」が「長岡」で、「入札出札の種別」は「出札」で、その時の「利用駅」が「新潟」であり、「利用額」が「1110円」であり、「IC乗車券10の残額」が「2780円」、というようになる。以上のように、IC乗車券10のID毎に、IC乗車券10の利用履歴がIC乗車券システム50の一件明細データベース51に蓄積される仕組みとなっている。
【0042】
以上の仕組みは、既に実施されている既存のシステムであり、本発明は、この既存のシステムに災害時対応アプリケーションシステムを付加することにより構成されるものである。以下、本発明の災害時対応アプリケーションシステムについて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係るIC乗車券を利用した災害時対応アプリケーションシステム全体のシステム構成概略を模式的に示した図である。
【0043】
図3の左側の示されているシステム構成は既に説明した既存のIC乗車券システム50である。本発明の災害時対応アプリケーションシステム100は、この既存のIC乗車券システム50に通信回線15を介して接続されている。52はファイヤーウォールであり、万が一通信回線15を通じて第三者が侵入し、IC乗車券システム50のデータやプログラムの盗み見・改ざん・破壊などが行なわれることのないように、流れるデータを監視し、不正なアクセスを検出・遮断するものである。
【0044】
本発明の災害時対応アプリケーションシステム100は、主としてグループID登録データベース101及び履歴データベース109からなり、さらに、災害時対応アプリケーションシステム100は通信回線17を介して、インターネットやLAN、WAN等を含む有線又は無線の通信網70に接続されている。110は、災害時対応アプリケーションシステム100への接続要求に対して、アクセスを許可するかどうかを認証するログイン認証部である。
【0045】
30は災害時対応アプリケーションシステム100用の専用駅務端末であり、タッチパネル機能を有する表示パネル31、IC乗車券投入口32、入力キー33を備えており、通信回線37を介して通信網70に接続され、災害時対応アプリケーションシステム100にアクセスしログインし得るように構成されている。この専用駅務端末30は、鉄道事業者が営業する各駅に設置されて、IC乗車券10の利用者のうち、災害時対応アプリケーションシステム100によるサービスを受けたい者に開放されるものである。
【0046】
本発明のIC乗車券システム50を利用した災害時対応アプリケーションシステム100は、この専用駅務端末30によりサービスを受けたい者がグループ登録を行った上で利用されるものである。このような登録を行った利用者からは、災害時対応アプリケーションシステム100サービスの初期登録費用としてIC乗車券10から所定の金額の電子マネーを徴収するものとする。
【0047】
災害時対応アプリケーションシステム100によるサービス利用者はまず専用駅務端末30で自分のIC乗車券10にグループIDを付与する手続きを行う。この手続きは、利用者が専用駅務端末30に自分のIC乗車券10をIC乗車券投入口32から投入し、表示パネル31の表示情報を参照しながら入力キー33を操作することによってなされる。専用駅務端末30は、投入されたIC乗車券10に係る情報を読み取り、読み取った情報に基づき、通信網70を介して、災害時対応アプリケーションシステム100と交信して所定の処理を行う。
【0048】
以上のような専用駅務端末30の操作により、例えば、「JE012−3456−7890−XXX1」のIDのIC乗車券10に「3890」のグループIDが付与されたものとする。次に、「JE012−3456−7890−XXX2」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10の所持者も、専用駅務端末30よる同様の操作でそれぞれのIC乗車券10に「3890」のグループIDが付与されたものとする。専用駅務端末30では、グループIDの他に、そのグループの名称も付与することができるようになっており、ここで「3890」のグループIDの他にグループ名「山田家」が付与されたものとする。
【0049】
上記のようにグループIDが付与されると、災害時対応アプリケーションシステム100のグループID登録データベース101には、図4に示されるようなデータ構造のデータが作成される。図4は、グループID登録データベース101に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。当該データ構造によれば、「グループID」が「3890」で、「グループ名」が「山田家」であるグループの下に、「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIDのIC乗車券10が登録される構造となっている。
【0050】
災害時対応アプリケーションシステム100は、定期的にIC乗車券システム50と通信を行い、自身の履歴データベース109を更新するようにプログラムされている。図6は、災害時対応アプリケーションシステム100とIC乗車券システム50との交信のステップを図示したものである。以下、このステップについて説明する。まず、災害時対応アプリケーションシステム100は、S61において、グループID登録データベース101を参照して、登録されているグループID下に所属する全てのIC乗車券10のIDをリストアップする。次に、S62において、リストアップした全てのIC乗車券10のIDにつき、最新の一件明細のダウンロードを要求するコマンドを、IC乗車券システム50に対して送信する。この送信されたコマンドは「最新一件明細リロードコマンド」と称するものである。このコマンドを受信したIC乗車券システム50は、S63において、災害時対応アプリケーションシステム100により情報要求されたIC乗車券10のIDにつき一件明細データベース51を参照して、最新の一件明細のみを抽出してリストアップする。最新の一件明細とは、即ち、IC乗車券10の所持者が最も直近に改札を通過した際のデータのことであり、図2に示されるデータのうち、「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,入,長岡,出,新潟,1110,2780」のデータや「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,入,新宿,出,池袋,150,1700」のデータがそれに相当する。次に、IC乗車券システム50は、S64において、リストアップされた一件明細を災害時対応アプリケーションシステム100に対して送信する。災害時対応アプリケーションシステム100は、S65において、IC乗車券システム50より受信した最新の一件明細のリストに基づいて、自身の履歴データベース109を更新する。
【0051】
次に、以上のようにして更新される履歴データベース109で管理されるデータのデータ構造について説明する。図5は、履歴データベース109に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。図5の例に基づき、データ構造について説明する。本例では、「グループID」が「3890」の下に所属する「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」の各履歴のデータ管理の構造が示されるものである。「最新通過駅」情報及び通過した「年月日」、「時分」情報は、IC乗車券システム50から送信される最新の一件明細情報から抽出して作成されるデータである。すなわち、前述した最新の一件明細データである「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,入,長岡,出,新潟,1110,2780」のデータや「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,入,新宿,出,池袋,150,1700」のデータのうちから、それぞれ「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,新潟」、「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,池袋」が抽出され、履歴データベース109に記憶される。前述したように、履歴データベース109は定期的に更新され、「最新通過駅」情報及び通過した「年月日」、「時分」情報は、常に上書きされるように更新される仕組みとなっており、当該データベースのこれらの情報を参照することにより、IC乗車券の所持者が直近でどの駅を通過したかが判別できるようになっている。
【0052】
以上が本発明のシステム構成概要であり、このシステム構成を具体的にどのように用いるのかにつき以下に説明する。本発明のIC乗車券システム50を利用した災害時対応アプリケーションシステム100は、上述したような一連の登録作業を行った利用者が、自身所有のIC乗車券10を専用駅務端末30のIC乗車券投入口32に挿入し、所定の操作を行うことによって、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報が参照できることが最大の特徴点である。
【0053】
図7は専用駅務端末30の表示パネル31上の表示例を示す図である。災害時対応アプリケーションシステム100のサービス利用者が、専用駅務端末30のIC乗車券投入口32にIC乗車券10を挿入すると、専用駅務端末30は、災害時対応アプリケーションシステム100と交信を行い、そのIC乗車券10が既に登録されているものであるものかを確認する。既に、登録されているものであった場合には、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報を表示する画面に、利用者の求めに応じて移行するように設定されるが、その前段として、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを有するものである場合、及び、パスワードの設定が成されている際には、図7に示される画面が表示パネル31に表示される。
【0054】
本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを登録することが可能となっている。すなわち、IC乗車券10の所持者は、「家族」のグループ、「会社」のグループ、「サークル」のグループ等の種々のグループに所属していることが想定されるため、このような複数の登録機能を設定するものである。また、セキュリティーに敏感な利用者のために、パスワードを設定し、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報が参照できる画面に到達する前に、パスワードの入力を要求するように設定することができる。
【0055】
ところで、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、このようなパスワードを設定することはあくまでオプションとする。なぜなら、お年寄りなどのように、情報機器の操作に不慣れな人の場合は、パスワードを設定してしまうと、本システムをいざ利用しようと言うときにパスワードを忘れてしまったというようなことで、本発明のシステムが提供するサービスが受けられない、といった状況に陥ってしまう。このような状況では、折角の緊急用の安否情報を提供することができる本発明のシステムのメリットを享受できない。このような理由で、パスワードの設定はあくまでオプションとしてある。パスワードを設定する・設定しない、の区別は、カード単位、又はグループ単位で設定可能に構成される。これにより、例えば、家族をグループのメンバーとして登録する場合には、パスワードなしで、最新の通過駅に関する情報が参照できるようにし、会社のメンバーをグループのメンバーとして登録する場合には、パスワードなしでは、最新の通過駅に関する情報が参照できないように設定することができる。
【0056】
図7に戻り、IC乗車券10一枚で複数のグループIDが登録されている場合、及び、パスワードが設定されている場合には、グループID入力欄81、パスワード入力欄82により利用者にそれぞれの入力を促す画面が表示パネル31に表示される。利用者はこれらの入力欄を入力し、入力キー33で「OK」の旨のキーを入力すると、専用駅務端末30は、その情報を基に災害時対応アプリケーションシステム100と交信を行い、そのグループIDが既に登録されており、またパスワードが真正であるかをチェックする。災害時対応アプリケーションシステム100により、グループID、パスワードの判定が正しいと判定されると、災害時対応アプリケーションシステム100は、履歴データベース109上の当該グループIDに対応する情報を、専用駅務端末30に対して送信する。専用駅務端末30は、この情報を受信し、表示パネル31に表示する。
【0057】
図8は、このような受信情報を専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した例を示す図である。図において、83はグループID表示欄、84はグループ名表示欄、85はグループIDの下に所属するIC乗車券10のID表示欄、86は最新一件明細情報から抽出された、IC乗車券10所持者の最新通過駅情報、及びその日時を表示する最新履歴表示欄である。このような表示は、グループID「3890」に所属するIDのIC乗車券10を所持者全員が、専用駅務端末30で参照することができるようになっている。
【0058】
仮に地震発生日を10月30日早朝、地震発生地を新潟とすると、図8の例では、被災したID「JE012−3456−7890−XXX1」のIC乗車券10所持者が少なくとも10月31日13:20に新潟駅を通過し、無事であることを、首都圏に住むID「JE012−3456−7890−XXX2」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10所持者達は、専用駅務端末30を操作することにより確認することができる。
【0059】
このように、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100にグループ登録をしておいて、専用駅務端末に自分のIC乗車券10を挿入し、必要に応じてパスワード等の所定の操作をするだけで、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することができる。
【0060】
したがって、大規模地震や台風等の甚大な自然災害等が発生した際、例え固定通信回線、移動通信回線が不通になったとしても、鉄道事業者の運営する駅に赴き、駅備え付けの専用駅務端末30にIC乗車券を挿入し、所定の操作し、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することによって、その通過時点には少なくともその所持者が安全であるという情報を、グループに登録している家族、友人、知人間で共有することができる。
【0061】
前記したように、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを登録することが可能となっている。すなわち、IC乗車券10の所持者は、「家族」のグループの他に、例えば「会社」のグループ等のグループに所属していることが想定されるためであり、例えば、グループID「3890」グループ名「山田家」に所属するID「JE012−3456−7890−XXX5」の所持者は、例えば、グループID「2976」グループ名「○×(株)」のグループ等にも所属し得るようになっている。図9は、このようなグループID「2976」グループ名「○×(株)」に係る情報を専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した例を示す図である。
【0062】
このように本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDの登録が可能であり、IC乗車券10が所属する複数のグループにおけるそれぞれの安否情報を確認することができ有効である。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態に係るIC乗車券を利用した災害時対応アプリケーションシステム全体のシステム構成概略を模式的に示した図である。なお、先の実施の形態において説明したものと同様の構成には同じ参照番号が付されている。
【0064】
図10の左側の示されているシステム構成は既に説明した既存のIC乗車券システム50である。第2の実施の形態では、IC乗車券システム50の下に接続されているIC乗車券10を使用することができる券売機60も重要な構成要素となる。この券売機60は、タッチパネル機能を有する表示パネル61、IC乗車券投入口62、入力キー63を備えている。IC乗車券投入口62からIC乗車券10を挿入することにより、券売機60がIC乗車券10のID、チャージされている電子マネー情報等を読み取り、キャッシュレスで乗車券を発券することができる。
【0065】
災害時対応アプリケーションシステム100は、この既存のIC乗車券システム50に通信回線15を介して接続されている。52はファイヤーウォールであり、万が一通信回線15を通じて第三者が侵入し、IC乗車券システム50のデータやプログラムの盗み見・改ざん・破壊などが行なわれることのないように、流れるデータを監視し、不正なアクセスを検出・遮断するものである。
【0066】
第2の実施の形態の災害時対応アプリケーションシステム100は、主としてグループID登録データベース101及びメッセージ・履歴データベース102、避難場所登録データベース103、地図情報データベース104、経路・料金データベース105、運行状況取得手段106、電子マネー利用許可コマンド発行手段107、各種情報ダウンロード手段108から構成されている。
【0067】
さらに、災害時対応アプリケーションシステム100は通信回線17を介して、インターネットやLAN、WAN等を含む有線又は無線の通信網70に接続されている。110は、災害時対応アプリケーションシステム100への接続要求に対して、アクセスを許可するかどうかを認証するログイン認証部である。
【0068】
30は災害時対応アプリケーションシステム100用の専用駅務端末であり、タッチパネル機能を有する表示パネル31、IC乗車券投入口32、入力キー33を備えており、通信回線37を介して通信網70に接続され、災害時対応アプリケーションシステム100にアクセスしログインし得るように構成されている。この専用駅務端末30は、鉄道事業者が営業する各駅に設置されて、IC乗車券10の利用者のうち、災害時対応アプリケーションシステム100によるサービスを受けたい者に開放されるものである。
【0069】
また、第2の実施の形態に係る災害時対応アプリケーションシステム100は、IC乗車券10に記録されている情報を読み取ることができるカードリーダライタ41を備えたパーソナルコンピュータ40からも通信網70等を介してアクセスすることができるように構成されている。パーソナルコンピュータ40から災害時対応アプリケーションシステム100にアクセスするためには、カードリーダライタ41でIC乗車券10のIDを読み取り、ログイン認証部110でログイン認証を受けてから、パーソナルコンピュータ40専用のWEBサイトへと通じる仕組みとなっている。このような専用のWEBサイトを利用したいユーザーには、所定のWEBサービス利用費用を課金するものとする。
【0070】
IC乗車券システム50を利用した災害時対応アプリケーションシステム100は、この専用駅務端末30によりサービスを受けたい者がグループ登録を行った上で利用されるものである。このような登録を行った利用者からは、災害時対応アプリケーションシステム100サービスの初期登録費用としてIC乗車券10から所定の金額の電子マネーを徴収するものとする。
【0071】
災害時対応アプリケーションシステム100によるサービス利用者はまず専用駅務端末30で自分のIC乗車券10にグループIDを付与する手続きを行う。この手続きは、利用者が専用駅務端末30に自分のIC乗車券10をIC乗車券投入口32から投入し、表示パネル31の表示情報を参照しながら入力キー33を操作することによってなされる。専用駅務端末30は、投入されたIC乗車券10に係る情報を読み取り、読み取った情報に基づき、通信網70を介して、災害時対応アプリケーションシステム100と交信して所定の処理を行う。
【0072】
以上のような専用駅務端末30の操作により、例えば、「JE012−3456−7890−XXX1」のIDのIC乗車券10に「3890」のグループIDが付与されたものとする。次に、「JE012−3456−7890−XXX2」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10の所持者も、専用駅務端末30よる同様の操作でそれぞれのIC乗車券10に「3890」のグループIDが付与されたものとする。専用駅務端末30では、グループIDの他に、そのグループの名称も付与することができるようになっており、ここで「3890」のグループIDの他にグループ名「山田家」が付与されたものとする。
【0073】
上記のようにグループIDが付与されると、災害時対応アプリケーションシステム100のグループID登録データベース101には、図11に示されるようなデータ構造のデータが作成される。図11は、グループID登録データベース101に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。当該データ構造によれば、「グループID」が「3890」で、「グループ名」が「山田家」であるグループの下に、「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIDのIC乗車券10が登録される構造となっている。
グループIDを登録する際には、さらに自らのIC乗車券10にチャージされた電子マネーを同じグループに登録されている他のIC乗車券10所持者に使用させることを許可するか、或いは許可しないかも予め登録する。第2の実施の形態においては、IC乗車券10にチャージされた電子マネーを融通しあえる仕組みが設けられており、災害が発生し緊急に移動しなくてはならないような場合に、電子マネーが足りない、或いは、現金の持ち合わせがない、というような状況に陥っても、電子マネーの使用を許可してくれている他のグループメンバーから電子マネーの補填を受けることができ、切符を購入することができる。
【0074】
登録されたIC乗車券10は、専用駅務端末30又はパーソナルコンピュータ40により、メッセージを入力し得るように構成されている。専用駅務端末30によるメッセージの入力は、IC乗車券10をIC乗車券投入口32に投入し、表示パネル31の表示情報を参照しながら入力キー33を操作することによってなされる。また、パーソナルコンピュータ40によるメッセージの入力は、ログイン認証部110でログイン認証を受けてから、専用のWEBサイトへと入り、専用のWEBサイトのメッセージ記入欄にメッセージを記入する形で行う。登録されたメッセージは、後述するように災害時対応アプリケーションシステム100のメッセージ・履歴データベース102に記憶される。このようなメッセージを登録する機能を利用するにあたっては、その費用としてIC乗車券10から所定の金額の電子マネーを徴収したり、クレジットカードから引き去りを行ったりして、メッセージ登録利用料を徴収するものとする。
【0075】
災害時対応アプリケーションシステム100は、定期的にIC乗車券システム50と通信を行い、自身のメッセージ・履歴データベース102を更新するようにプログラムされている。図14は、災害時対応アプリケーションシステム100とIC乗車券システム50との交信のステップを図示したものである。以下、このステップについて説明する。まず、災害時対応アプリケーションシステム100は、S61において、グループID登録データベース101を参照して、登録されているグループID下に所属する全てのIC乗車券10のIDをリストアップする。次に、S62において、リストアップした全てのIC乗車券10のIDにつき、最新の一件明細をダウンロードを要求するコマンドを、IC乗車券システム50に対して送信する。この送信されたコマンドは「最新一件明細リロードコマンド」と称するものである。このコマンドを受信したIC乗車券システム50は、S63において、災害時対応アプリケーションシステム100により情報要求されたIC乗車券10のIDにつき一件明細データベース51を参照して、最新の一件明細のみを抽出してリストアップする。最新の一件明細とは、即ち、IC乗車券10の所持者が最も直近に改札を通過した際のデータのことであり、図2に示されるデータのうち、「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,入,長岡,出,新潟,1110,2780」のデータや「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,入,新宿,出,池袋,150,1700」のデータがそれに相当する。次に、IC乗車券システム50は、S64において、リストアップされた一件明細を災害時対応アプリケーションシステム100に対して送信する。災害時対応アプリケーションシステム100は、S65において、IC乗車券システム50より受信した最新の一件明細のリストに基づいて、自身のメッセージ・履歴データベース102を更新する。
【0076】
次に、以上のようにして更新されるメッセージ・履歴データベース102で管理されるデータのデータ構造について説明する。図12は、メッセージ・履歴データベース102に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。図12の例に基づき、データ構造について説明する。本例では、「グループID」が「3890」の下に所属する「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」の各履歴及びメッセージのデータ管理の構造が示されるものである。「最新通過駅」情報及び通過した「年月日」、「時分」情報は、IC乗車券システム50から送信される最新の一件明細情報から抽出して作成されるデータである。すなわち、前述した最新の一件明細データである「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,入,長岡,出,新潟,1110,2780」のデータや「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,入,新宿,出,池袋,150,1700」のデータのうちから、それぞれ「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,新潟」、「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,池袋」が抽出され、メッセージ・履歴データベース102に記憶される。前述したように、メッセージ・履歴データベース102は定期的に更新され、「最新通過駅」情報及び通過した「年月日」、「時分」情報は、常に上書きされるように更新される仕組みとなっており、当該データベースのこれらの情報を参照することにより、IC乗車券の所持者が直近でいつどの駅を通過したかが判別できるようになっている。
【0077】
第2の実施の形態に係る災害時対応アプリケーションシステム100が提供するサービスでは、登録されたIC乗車券10に対応して、専用駅務端末30の入力キー33の操作により、又はパーソナルコンピュータ40から専用WEBサイトにアクセすることにより、メッセージを入力し得るように構成されており、入力されたメッセージは、メッセージ・履歴データベース102に登録される。メッセージ・履歴データベース102に記憶されるメッセージに係るデータは、図12に示されるように、メッセージ登録有無データと実メッセージデータである。図12に示される例では、「JE012−3456−7890−XXX1」、「JE012−3456−7890−XXX3」、「JE012−3456−7890−XXX6」のIDのIC乗車券10所持者により入力されたメッセージが登録されている。
【0078】
次に、避難場所登録データベース103で管理されるデータについて説明する。図13は、避難場所登録データベース103に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。図13を参照しつつ、避難場所登録データベース103のデータについて説明する。
【0079】
第2の実施の形態に係る災害時対応アプリケーションシステム100では、最初に、専用駅務端末30により、災害時対応アプリケーションシステム100の利用登録を行う際に、避難場所も登録することができる。このとき登録した場所は、後に専用駅務端末30又はパーソナルコンピュータ40により変更することもできる。避難場所は、グループIDに一つ、それぞれのIC乗車券10のIDに対応して一つずつの登録が可能であり、災害時、グループ全体としてどこに集合するか、或いは個人としてどこに避難するか、等を考慮した上で登録を行うといざというときに便利である。このような避難場所を登録する機能を利用するにあたっては、その費用としてIC乗車券10から所定の金額の電子マネーを徴収したり、クレジットカードから引き去りを行ったりして、避難場所登録利用料を徴収するものとする。
【0080】
図13では、「グループID」としてグループメンバー全員に共通の避難場所として「新宿御苑公園」が登録され、ID「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」個々人の避難場所として、「新潟市民体育館」、「大宮公園」、「千葉大学」、「新宿御苑公園」が登録されているデータベースの構造が示されている。
【0081】
避難場所登録データベース103には、主な避難場所の所在地及びその最寄駅に係る情報もデータベース化され記憶されており、後述する地図情報データベース104、経路・料金データベース105と連携して、避難場所への旅行に付帯する情報としてIC乗車券10所持者に提供される。
【0082】
地図情報データベース104は、全国の地図情報を収録するデータベースであり、例えば、株式会社アルプス社のプロアトラス(登録商標)等市販のものを使用することができる。また、経路・料金データベース105は、全国の鉄道網及びその運賃体系を収録するデータベースであり、例えば、株式会社ヴァル研究所の駅すぱーと(登録商標)を使用することができる。
【0083】
運行状況取得手段106は、IC乗車券システム50又は通信網70上の所定の交通情報発信機関と通信を行い、災害時の鉄道の不通区間等の情報を取得するものである。ここで、取得された不通区間情報は、専用駅務端末30又は専用のWEBサイトにて参照できるように構成される。また、IC乗車券10所持者が避難場所への切符を購入しようとする際に、運行状況取得手段106で取得された不通区間情報に考慮した経路が選択される。
【0084】
電子マネー利用許可コマンド発行手段107は、IC乗車券システム50に対して、電子マネーの使用を許可してくれている他のグループメンバーから電子マネーの補填を受けることを要求するコマンドを発行するものである。このようなIC乗車券10にチャージされた電子マネーを融通しあえる仕組みが設けられており、災害が発生し緊急に移動しなくてはならないような場合に、電子マネーが足りない、或いは、現金の持ち合わせがない、というような状況に陥っても、切符を購入することができる。
【0085】
各種情報ダウンロード手段108は、災害時対応アプリケーションシステム100が提供できる情報を、IC乗車券10のメモリの空き領域にダウンロードする手段である。当該手段は、専用駅務端末30に挿入されているIC乗車券10の空きメモリ領域、又は、パーソナルコンピュータ40のカードリーダライタ41に近接しているIC乗車券10の空きメモリ領域の双方に対して各種の情報をダウンロードすることができるように設定されている。
【0086】
以上が本発明の第2実施形態のシステム構成であり、このシステム構成を具体的にどのように用いるのかにつき以下に説明する。第2実施形態に係るIC乗車券システム50を利用した災害時対応アプリケーションシステム100は、上述したような一連の登録作業を行った利用者が、自身所有のIC乗車券10を専用駅務端末30のIC乗車券投入口32に挿入し、所定の操作を行うことによって、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報やグループメンバーが登録したメッセージを参照できることが最大の特徴点である。
【0087】
図15は専用駅務端末30の表示パネル31上の表示例を示す図である。なお、パーソナルコンピュータ40を利用して災害時対応アプリケーションシステム100のパーソナルコンピュータ40専用のWEBサイトへとアクセスした場合にも同様の表示をパーソナルコンピュータ40画面上に行う。災害時対応アプリケーションシステム100のパーソナルコンピュータ40専用のWEBサイトへログインすることにより専用駅務端末30を用いた例と同様のサービスをパーソナルコンピュータ40上でも受けることが可能である。
【0088】
災害時対応アプリケーションシステム100のサービス利用者が、専用駅務端末30のIC乗車券投入口32にIC乗車券10を挿入すると、専用駅務端末30は、災害時対応アプリケーションシステム100と交信を行い、そのIC乗車券10が既に登録されているものであるものかを確認する。既に、登録されているものであった場合には、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報を表示する画面に、利用者の求めに応じて移行するように設定されるが、その前段として、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを有するものである場合、及び、パスワードの設定が成されている際には、図15に示される画面が表示パネル31に表示される。パーソナルコンピュータ40を利用して災害時対応アプリケーションシステム100のパーソナルコンピュータ40専用のWEBサイトへログインする際にも同様の画面表示が成される。パーソナルコンピュータ40で、専用WEBサイトへログインする際には、パスワード入力は必須なものとする。
【0089】
災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを登録することが可能となっている。すなわち、IC乗車券10の所持者は、「家族」のグループ、「会社」のグループ、「サークル」のグループ等の種々のグループに所属していることが想定されるため、このような複数の登録機能を設定するものである。また、セキュリティーに敏感な利用者のために、パスワードを設定し、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報が参照できる画面に到達する前に、パスワードの入力を要求するように設定することができる。
【0090】
なお、災害時対応アプリケーションシステム100では、このようなパスワードを設定することはあくまでオプションとする。なぜなら、お年寄りなどのように、情報機器の操作に不慣れな人の場合は、パスワードを設定してしまうと、本システムをいざ利用しようと言うときにパスワードを忘れてしまったというようなことで、本発明のシステムが提供するサービスが受けられない、といった状況に陥ってしまう。このような状況では、折角の緊急用の安否情報を提供することができる本発明のシステムのメリットを享受できない。このような理由で、パスワードの設定はあくまでオプションとしてある。ただし、前記の通りパーソナルコンピュータ40による利用には必ずパスワードを設定する。
【0091】
パスワードを設定する・設定しない、の区別は、カード単位、又はグループ単位で設定可能に構成される。これにより、例えば、家族をグループのメンバーとして登録する場合には、パスワードなしで、最新の通過駅に関する情報や登録メッセージが参照できるようにし、会社のメンバーをグループのメンバーとして登録する場合には、パスワードなしでは、最新の通過駅に関する情報や登録メッセージが参照できないように設定することができる。
【0092】
図15に戻り、IC乗車券10一枚で複数のグループIDが登録されている場合、及び、パスワードが設定されている場合には、グループID入力欄81、パスワード入力欄82により利用者にそれぞれの入力を促す画面が表示パネル31に表示される。利用者はこれらの入力欄を入力し、入力キー33で「OK」の旨のキーを入力すると、専用駅務端末30は、その情報を基に災害時対応アプリケーションシステム100と交信を行い、そのグループIDが既に登録されており、またパスワードが真正であるかをチェックする。災害時対応アプリケーションシステム100により、グループID、パスワードの判定が正しいと判定されると、災害時対応アプリケーションシステム100は、メッセージ・履歴データベース102上の当該グループIDに対応する情報を、専用駅務端末30に対して送信する。専用駅務端末30は、この情報を受信し、表示パネル31に表示する。パーソナルコンピュータ40を利用して災害時対応アプリケーションシステム100の専用のWEBサイトへログインする際にも同様の交信が、パーソナルコンピュータ40と災害時対応アプリケーションシステム100との間で行われる。
【0093】
図16は、このような受信情報を専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した「履歴・メッセージ一覧」の画面例を示す図である。図16において、83はグループID表示欄、84はグループ名表示欄、85はグループIDの下に所属するIC乗車券10のID表示欄、86は最新一件明細情報から抽出されたIC乗車券10所持者の最新通過駅情報、及びその日時、また添付メッセージの有無を表示する最新履歴表示欄、87はIC乗車券10所持者が専用駅務端末30で入力したメッセージを表示するメッセージ表示欄、88は画面変更ボタンである。このような表示は、グループID「3890」に所属するIDのIC乗車券10を所持者全員が、専用駅務端末30で参照することができるようになっている。パーソナルコンピュータ40からでも、同様の表示を、災害時対応アプリケーションシステム100の専用のWEBサイト上で参照することができる。
【0094】
仮に地震発生日を10月30日早朝、地震発生地を新潟とすると、図16の例では、被災したID「JE012−3456−7890−XXX1」のIC乗車券10所持者が少なくとも10月31日13:20に新潟駅を通過し、無事であることを、首都圏に住むID「JE012−3456−7890−XXX2」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10所持者達は、専用駅務端末30を操作することにより確認することができる。
【0095】
このように、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100にグループ登録をしておいて、専用駅務端末に自分のIC乗車券10を挿入し、必要に応じてパスワード等の所定の操作をするだけで、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することができる。そして、パーソナルコンピュータ40でも、災害時対応アプリケーションシステム100の専用のWEBサイトへログインすることにより専用駅務端末30を用いた例と同様に、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することができる。
【0096】
以上のように、大規模地震や台風等の甚大な自然災害等が発生した際、例え固定通信回線、移動通信回線が不通になったとしても、鉄道事業者の運営する駅に赴き、駅備え付けの専用駅務端末30にIC乗車券を挿入、所定の操作を行うか、或いは、パーソナルコンピュータ40で、災害時対応アプリケーションシステム100の専用のWEBサイトへログインするかで、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照するができる。これにより、その通過時点には少なくともその所持者が安全であるという情報を、グループに登録している家族、友人、知人間で共有することができる。
【0097】
本発明の災害時対応アプリケーションシステム100においては、さらに必要であれば、メッセージ表示欄87にメッセージも表示させ得るように構成されているので、例えば、図8の例に示すように、被災したID「JE012−3456−7890−XXX1」のIC乗車券10所持者が「無事です。携帯電話は使えません。避難場所は総合体育館で番号は、XXXX−XX−XXXXです。」等のメッセージを登録することでき、家族の他のメンバーは、自分達のIC乗車券10で専用駅務端末30を操作することにより、このメッセージ参照することができる。また、前述のような操作を通じて、ID「JE012−3456−7890−XXX3」、「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10所持者のように、「よかった、無事なんですね。ほっとしました。」等のメッセージを登録することができる。このようなメッセージ登録機能は、専用駅務端末30及びパーソナルコンピュータ40の双方から操作することができる。
【0098】
前記したように、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを登録することが可能となっている。すなわち、IC乗車券10の所持者は、「家族」のグループの他に、例えば「会社」のグループ等のグループに所属していることが想定されるためであり、例えば、グループID「3890」グループ名「山田家」に所属するID「JE012−3456−7890−XXX5」の所持者は、例えば、グループID「2976」グループ名「○×(株)」のグループ等にも所属し得るようになっている。図17は、このようなグループID「2976」グループ名「○×(株)」に係る情報を専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した例を示す図である。
【0099】
図17は、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100を会社員間で利用する形態につき説明するものであり、会社の管理部門の長であるID「JE012−3456−7890−XXX5」のIC乗車券10所持者は、大規模地震や台風等の甚大な自然災害等が発生した際、本発明のメッセージ登録機能を利用して「本日会社は公休として各自住居の確保等をお願いします。管理職で出社可能な方は明日から出社して下さい。」とのメッセージを登録し、これに応答する形で管理職であるID「JE012−3456−7890−YYY1」のID乗車券10の所持者が専用駅務端末30を用いて「我が家は無事です。明日、出社いたします。」とのメッセージを登録しており、言わば会社の連絡網的に、本システムを利用する様子が示されている。
【0100】
このように本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDの登録が可能であり、IC乗車券10が所属する複数のグループにおけるそれぞれの安否情報を確認することができ有効である。
【0101】
図18は、専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した「避難場所一覧」の画面例を示す図である。この画面も、災害時対応アプリケーションシステム100の専用WEBサイト上でパーソナルコンピュータ40から参照することができる。この画面へは、「履歴・メッセージ一覧」の画面において、「登録避難場所一覧へ」の画面変更ボタン88を、専用駅務端末30のタッチパネル機能を有する表示パネル31上で押下したり、パーソナルコンピュータ40の画面上でクリックしたりすることにより、移行することができる。
【0102】
図18において、93はグループID表示欄、94はグループ名表示欄、95はグループID及びその下に所属するIC乗車券10のIDを表示するID表示欄、96は登録避難場所表示欄、97は登録避難場所の最寄駅を示す最寄駅表示欄、98は画面変更ボタンである。
【0103】
このように、グループIDとしての避難場所、それぞれのIC乗車券10の所持者毎に対応した避難場所が表示されるので、グループ全体としてどこに集合すればグループメンバーと落ち合えるのか、或いは、消息の分からないメンバーについてはどこの避難場所を探せばよいのか、等の情報を得ることができとても有用である。
【0104】
図19は、専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した「不通区間情報」の画面例を示す図である。この画面も、災害時対応アプリケーションシステム100の専用WEBサイト上でパーソナルコンピュータ40から参照することができる。専用駅務端末30の表示パネル31上又はパーソナルコンピュータ40の画面上の「履歴・メッセージ一覧」の画面で画面変更ボタン88の「不通区間情報へ」を選択するか、又は、「避難場所一覧」の画面で画面変更ボタン98の「不通区間情報へ」を選択するか、等によって、この「不通区間情報」の画面へと進むことができる。
【0105】
図19において、89はグループID表示欄、90はグループ名表示欄等の基本情報表示欄で、91は現在の不通区間に関する情報を表示する不通情報表示欄、92は画面変更ボタンである。このような画面は、専用駅務端末30又はパーソナルコンピュータ40が、災害時対応アプリケーションシステム100の運行状況取得手段106から取得することにより表示することができる。
【0106】
次に、券売機60で、グループ全体の避難場所への切符を購入する方法につき説明する。IC乗車券10は券売機60でも使用可能であり、IC乗車券投入口62にIC乗車券10を挿入することにより、券売機60がIC乗車券10のID、チャージされている電子マネー情報等を読み取り、キャッシュレスで切符を購入することができる。なお、券売機60は厳密に言えば、IC乗車券システム10の下に所属するものであるが、災害時等の緊急時には、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100とも連携することを想定し、このような場合には券売機60も本発明の災害時対応アプリケーションシステム100の一部とみなすこととする。
【0107】
災害時において、この券売機60にIC乗車券10を挿入し、前述したグループ全体として登録された避難場所への切符を購入するモードを選択すると、図20のような画面が表示パネル61に表示される。この画面において、201はIC乗車券10のID表示欄、202はグループID表示欄、203はIC乗車券10で登録されているグループ全体の避難場所を表示するグループ避難場所表示欄、204は当該避難場所への移動方法を検索した結果にさらに不通区間情報を加味して表示した検索経路表示欄、205は検索経路表示欄204から経路を選択し入力する経路選択欄、206は切符購入ボタンである。検索経路表示欄204には、避難場所への経路とともに、運賃、所要時間、不通区間も表示される。
【0108】
このような画面は、券売機60がIC乗車券システム50を介して、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100の各データベース及び運行状況取得手段106からデータを収集することにより形成される。IC乗車券10所持者は、検索された避難場所への移動方法の何通りかのうち、不通区間情報を考慮した上で、経路の番号を選択して、経路選択欄205に番号を入力し、切符を購入する場合は、切符購入ボタン206を表示パネル61で押下し、切符を購入する仕組みとなっている。このとき、IC乗車券10に切符を購入するに十分な電子マネーが予めチャージされていれば、切符が発券されるが、十分な電子マネーがない場合には、図21に示されるような画面が表示される。
【0109】
図21において、201はIC乗車券10のID表示欄、202はグループID表示欄、203はIC乗車券10で登録されているグループ全体の避難場所を表示するグループ避難場所表示欄、207は前画面で選択された経路が表示される選択経路表示欄、208はIC乗車券10では支払うに足りない金額分を表示する不足金額表示欄、209は現金投入ボタン、210はグループ内チャージ利用ボタンである。選択経路表示欄207で選択した経路の切符を購入するには足りない電子マネー分は、IC乗車券10所持者が現金で支払うのが通常であるが、災害時にはそのような現金を用立てることもままならないことが多い。そこで、グループ内で、自らのIC乗車券10にチャージされた電子マネーを使っても良いとの許可を表明しているグループメンバーのIC乗車券10の電子マネーで決裁する機能が設定される。自らのIC乗車券10にチャージされた電子マネーを同じグループに登録されている他のIC乗車券10所持者に使用させることを許可するか、或いは許可しないかは、グループID登録データベース101に登録されている。IC乗車券システム50は、災害時対応アプリケーションシステム100に対して、このような電子マネー使用許可が有るかどうかを尋ねる。災害時対応アプリケーションシステム100は、グループID登録データベース101を参照して、このような電子マネー使用許可があることを確認した上で、電子マネー利用許可コマンド発行手段107で、IC乗車券システム50に対して、グループの他のメンバーのIC乗車券10の電子マネーの使用許可を要求する特例的なコマンドを発行する。IC乗車券システム50は、グループ内チャージ利用ボタン210が押下され、さらにこのコマンドを受領した場合に限り、このような例外的な決済方法を認めて、切符の発券を行うように設定されている。通常通り、現金で切符を購入する場合は、現金投入ボタン209を押下すればよい。
【0110】
図22は、専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した「ダウンロード」の画面例を示す図である。この画面も、災害時対応アプリケーションシステム100の専用WEBサイト上でパーソナルコンピュータ40から参照することができる。専用駅務端末30の表示パネル31上又はパーソナルコンピュータ40の画面上の「履歴・メッセージ一覧」、「避難場所一覧」、「不通区間情報」の画面変更ボタンを操作するこのよって、この「ダウンロード」の画面へと進むことができる。この画面の操作を行うことによって、IC乗車券10のメモリ空き容量に災害時対応アプリケーションシステム100の各種情報をダウンロードすることができるように設定されている。
【0111】
図22において、211はIC乗車券10のID表示欄、212はグループID表示欄、213は災害時対応アプリケーションシステム100上の情報でダウンロードすることが可能な情報の一覧を示すダウンロード可能情報表示欄、214はダウンロード可能情報表示欄213で表示された情報のうちダウンロードしたい情報の番号を入力する情報番号選択欄、215はダウンロードの実行を促すダウンロードボタン、216は画面変更ボタンである。
【0112】
災害時対応アプリケーションシステム100は、これまで見てきたとおり、鉄道の不通区間情報、グループメンバーの一件明細に係る履歴情報、グループメンバーにより登録されたメッセージ情報、避難場所への経路に係る情報、地図情報データベース104に蓄積された避難場所地図情報など災害時に有用なデータを保持しており、これを有効利用するべく、本発明のダウンロード機能は、これらの有用なデータをIC乗車券10のメモリの空き容量にダウンロードするものである。このようなダウンロードは、専用駅務端末30に挿入されたIC乗車券10、又はパーソナルコンピュータ40に接続されたカードリーダライタ41に近接したIC乗車券10に対して行われる。ダウンロードされたデータは、図23に示されるような、IC乗車券10に記録された情報を読み取り表示することができる可搬型ビューア120で利用されたり、或いは、パーソナルコンピュータ40上で利用されたりすることが想定される。
【0113】
図23において、可搬型ビューア120、121は可搬型ビューア120の表示パネル、122はIC乗車券の読み取りを行うスロット、123は入力キーである。図22の「ダウンロード」画面において、IC乗車券10所持者は、ダウンロード可能情報表示欄213で表示された情報のうちダウンロードしたい情報の番号を情報番号選択欄214に入力し、ダウンロードボタン215を押下することによりIC乗車券10へのダウンロードが実行される。このような機能を利用することにより、例えば、初めて行く避難場所への地図等を入手することができるので利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】IC乗車券システムの概略を模式的に示す図である。
【図2】IC乗車券システムの一件明細データベースのデータ構造を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るIC乗車券を利用した災害時対応アプリケーションシステム全体のシステム構成概略を模式的に示す図である。
【図4】グループID登録データベースに記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図5】履歴データベースに記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図6】災害時対応アプリケーションシステムとIC乗車券システムとの交信ステップを示す図である。
【図7】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図8】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図9】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るIC乗車券を利用した災害時対応アプリケーションシステム全体のシステム構成概略を模式的に示す図である。
【図11】グループID登録データベースに記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図12】メッセージ・履歴データベースに記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図13】避難場所登録データベース103に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図14】災害時対応アプリケーションシステムとIC乗車券システムとの交信ステップを示す図である。
【図15】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図16】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図17】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図18】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図19】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図20】券売機の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図21】券売機の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図22】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図23】IC乗車券に記録された情報を読み取り表示する可搬型ビューアを示す図である。
【符号の説明】
【0115】
10・・・IC乗車券、15・・・通信回線、20・・・自動改札機、25・・・通信回線、30・・・専用駅務端末、31・・・表示パネル、32・・・IC乗車券投入口、33・・・入力キー、40・・・パーソナルコンピュータ、41・・・カードリーダライタ、47・・・通信回線、50・・・IC乗車券システム、52・・・ファイヤーウォール、60・・・券売機、61・・・表示パネル、62・・・IC乗車券投入口、63・・・入力キー、64・・・発券部、70・・・通信網、81・・・グループID入力欄、82・・・パスワード入力欄、83・・・グループID表示欄、84・・・グループ名表示欄、85・・・ID表示欄、86・・・最新履歴表示欄、87・・・メッセージ表示欄、88・・・画面変更ボタン、89・・・グループID表示欄、90・・・グループ名表示欄、91・・・不通情報表示欄、92・・・画面変更ボタン、93・・・グループID表示欄、94・・・グループ名表示欄、95・・・ID表示欄、96・・・避難場所表示欄、97・・・最寄駅表示欄、98・・・画面変更ボタン、100・・・災害時対応アプリケーションシステム、101・・・グループID登録データベース、102・・・メッセージ・履歴データベース、103・・避難場所登録データベース、104・・・地図情報データベース、105・・・経路・料金データベース、106・・・運行状況取得手段、107・・・電子マネー利用許可コマンド発行手段、108・・各種情報ダウンロード手段、109・・・履歴データベース、110・・・ログイン認証部、120・・・可搬型ビューア、121・・・表示パネル、122・・・スロット、123・・・入力キー、201・・・ID表示欄、202・・・グループID表示欄、203・・・グループ避難場所表示欄、204・・・検索経路表示欄、205・・・経路選択欄、206・・・切符購入ボタン、207・・・選択経路表示欄、208・・・不足金額表示欄、209・・・現金投入ボタン、210・・・グループ内チャージ利用ボタン、211・・・ID表示欄、212・・・グループID表示欄、213・・・ダウンロード可能情報表示欄、214・・・情報番号選択欄、215・・・ダウンロードボタン、216・・・画面変更ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模災害の発生時において予め登録してあるIC乗車券の所持者の安否に関する情報等を提供するIC乗車券システムを利用した災害時対応アプリケーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震等の自然災害発生時においては、家族、友人、社員、職員、在校生等の安否に係る情報をできるだけ早く知りたいと考えるものであり、また被災者本人も自身が安全であることや負傷してしまったこと等を家族、知人、会社、学校等にできるだけ早く知らせたいと考えるものである。しかしながら、甚大な自然災害等が発生すると、停電、電話回線の不通等のインフラの障害により、そのような要求を満たすことができなくなってしまう。
【0003】
例え固定電話回線の不通等が発生しなかったとしても、大規模な災害が発生すると、その直後から救助・消防活動等への連絡や、被災者への安否確認などを行うための電話通話が被災地に対して大量に発信されるため、被災地域周辺では通信回線が混雑し輻輳状態に陥ってしまうことが多々起きている。このような輻輳は、固定電話に限らず、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)などのいずれの移動体通信の回線においても起こりうることである。
【0004】
そこで地方自治体等により、インターネットを利用し、災害発生時に地域住民各個人の安否情報等を防災ポータルサイトで提供する試みがなされている。
【0005】
これは、地震等の大規模な災害が発生した場合には、安否確認等の電話が急増して回線混雑により輻輳状態となるなどの混乱が生じ、被災者の安否を確認することができなくなってしまうことや、テレビ放送、ラジオ放送からの情報では、被災者各個人の安否情報を容易には入手できないことなどから、実用化が強く望まれているものである。
【0006】
特許文献1(特開2002-342859号公報)に記載の安否情報提供システムは、地域住民が予めインターネット上に設置されたサーバに利用登録をしておき、大規模災害時に自分が被災者となった場合には、携帯端末等を用いて上記サーバに自身の安否情報等を送信し蓄積させることができるものであり、また、被災者以外の者(例えば、被災者の家族や友人・知人など)は、上記サーバにアクセスして、当該被災者の安否情報等を検索し、確認することができることを特徴とするものである。
【0007】
この安否情報提供システムにおいて利用登録や安否情報照会、各種情報検索を行うには、コンピュータ端末機や携帯端末のWEBブラウザを利用することができるようになっており、利用者にとって利便性が高く、また、システム構築コスト及び運用コストが低く抑えられている。
【特許文献1】特開2002-342859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述したように移動体通信の回線も、災害発生時には輻輳してしまうという問題があり、このような状況では、被災者が上記の安否情報提供システムを利用して自己の安否情報等をサーバに送信しようとしても通信回線の輻輳のため、サーバへのアクセスができないという問題が起きてしまう。
【0009】
災害発生時の通信回線の輻輳を回避しようと、緊急用の基地局設置等で回線を増強したりするなどの試みがなされる可能性はあるものの、このような対処を行うとしても、災害発生後の一定時間経過後となってしまうことは容易に予想されることであり、結局、災害発生後数日間は、通信回線の輻輳状態を回避できないというのが現状である。
【0010】
従って、現実には、現存する上記のような安否情報提供システムでは災害発生から一定期間が経過し通信回線の輻輳状態が治った時点で、例えば災害発生から3日後以降に、被災者の安否情報の収集を行うことができる状態であればよいというような、割り切った運営をせざるを得ない。
【0011】
しかしながら、被災者の家族らは、被災者の安否状況について、たとえわずかな情報であってもできるだけ早く知りたいと考えるものであり、また、被災者本人も、自分が安全であることや負傷してしまったことなどを、安否確認システムを利用していち早く通知したいと考えるものである。さらには、災害現場で復旧作業を行う者が、行方不明者を発見したり、負傷者を発見したりした場合にも、安否確認システムを利用して迅速に通報する必要が生じる。
【0012】
このような要請がある中で、災害発生後に数時間〜数日間もの間、被災者の安否情報の通知や照会が全く行えないのは、安否確認システムの存在意義そのものが問われるような問題点である。
【0013】
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて、鉄道事業者がその業務に活用しているIC乗車券システムのインフラを利用することによって、災害発生直後に、通信回線の輻輳状態に影響されることなく、被災者の安否情報を収集でき、その安否情報を公開することが可能なシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、鉄道事業者が業務に活用するIC乗車券システムを利用し、IC乗車券の所持者間で安否情報を共有する災害時対応アプリケーションシステムにおいて、複数の前記IC乗車券を一つのグループIDの下に登録する専用駅務端末を具備することを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記グループIDの下に登録された複数の前記IC乗車券を記憶するグループID登録データベースを備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記グループIDの下に登録された複数の前記IC乗車券それぞれの最新一件明細を記憶する履歴データベースを備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券を利用することで、前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の最新一件明細を専用駅務端末で参照可能に構成されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記IC乗車券は複数の前記グループIDの下に登録することが可能に構成されることを特徴とする。
【0019】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、複数の前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券を利用することで、それぞれの前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の一件明細を前記専用駅務端末で参照可能に構成されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記IC乗車券を前記専用駅務端末で利用する際には、パスワードを設定することが可能に構成されることを特徴とする。
【0021】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、複数の前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の前記パスワードの設定は、前記グループIDごとに行うことができることを特徴とする。
【0022】
また、請求項9に係る発明は、請求項4又は請求項6記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記専用駅務端末で参照可能な情報は、パーソナルコンピュータにより専用WEBサイトでも参照可能に構成されたことを特徴とする。
【0023】
また、請求項10に係る発明は、請求項9に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記専用WEBサイトへは、グループID及びパスワードを入力してからログインすることを特徴とする。
【0024】
また、請求項11に係る発明は、請求項9又は請求項10に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、運行状況取得手段を備え、当該運行状況取得手段で取得した鉄道の運行状況を、前記専用駅務端末及び前記パーソナルコンピュータで参照することが可能に構成されることを特徴とする。
【0025】
また、請求項12に係る発明は、請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記専用駅務端末又は前記パーソナルコンピュータから登録されたメッセージを記憶するメッセージ・履歴データベースを備えることを特徴とする。
【0026】
また、請求項13に係る発明は、請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記IC乗車券ごとの避難場所を登録する避難場所登録データベースを備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項14に係る発明は、請求項13に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記避難場所登録データベースは、前記グループIDごとの避難場所も登録することを特徴とする。
【0028】
また、請求項15に係る発明は、請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記避難場所登録データベースに登録されている避難場所への経路を表示することが可能に構成されることを特徴とする。
【0029】
また、請求項16に係る発明は、請求項15に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、避難場所への経路を表示するにあたっては、運賃、所要時間、不通区間も表示することを特徴とする。
【0030】
また、請求項17に係る発明は、請求項16に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、表示された避難場所への切符を購入することが可能なボタンを備えることを特徴とする。
【0031】
また、請求項18に係る発明は、請求項9乃至請求項17のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、前記IC乗車券にチャージされた電子マネーを所属する前記グループIDの下に登録された他のIC乗車券で使用しても良いとの許可を登録するデータベースと、当該データベースの登録に基づいて、前記他のIC乗車券で切符を購入する際に、当該電子マネーを決裁に利用することを特徴とする。
【0032】
また、請求項19に係る発明は、請求項9乃至請求項18のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、不通区間情報、履歴情報、メッセージ情報、避難場所への経路情報、避難場所地図情報を前記IC乗車券の空きメモリ領域にダウンロード可能に構成されることを特徴とする。
【0033】
また、請求項20に係る発明は、請求項19に記載の災害時対応アプリケーションシステムにおいて、ダウンロードされた情報は、可搬型ビューア又は前記パーソナルコンピュータによって参照可能に設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明の災害時対応アプリケーションシステムは、鉄道事業者が業務に活用するIC乗車券システムで用いる複数のIC乗車券を一つのグループIDの下に登録する専用駅務端末を備えるものであるので、大規模地震や台風等の甚大な自然災害等が発生した際、例え固定通信回線、移動通信回線が不通になったとしても、鉄道事業者の運営する駅に赴き、駅の改札機をあらかじめグループ登録されたIC乗車券で通過することによって一件明細情報が登録される。また、駅備え付けの専用駅務端末にIC乗車券を挿入し、所定の操作をすることによって、同一グループIDの下に登録されているIC乗車券の所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することができる。このことによって、その通過時点には少なくともその所持者が安全であるという情報を、前記グループIDの下にIC乗車券を登録している家族、友人、知人間で共有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、IC乗車券システムの概略を模式的に示す図である。ここで、IC乗車券システムに用いるIC乗車券についてまず説明する。近年、鉄道事業者などにおいてリサイクル使用できるICカードが利用され始めている。以下の説明ではこのようなICカードをIC乗車券というが、IC乗車券は、例えば、定期券としての価値情報や乗車券をプリペイドするための金額情報が書き込まれていて、『Suica(登録商標)』などと呼ばれ、定期券やストアードフェア型の乗車券として広く普及し始めている。このようなIC乗車券をストアードフェア乗車券として利用する場合には、あらかじめIC乗車券に所定の金額情報をチャージ(入金処理)しておけば、このIC乗車券を自動改札機の読取部にかざすことによってIC乗車券にチャージされている金額情報が読み取られる。これによって、このIC乗車券にチャージされている金額情報から乗車料金が相殺されて行くので、ストアードフェア型の乗車券として極めて便利なカードである。また、定期券用のIC乗車券の場合は、自動改札機の読取部にかざすと乗車区間情報などが読み取られて通常の定期券として使用することができると共に、上述のようなストアードフェア乗車券として利用することもできる。
【0036】
このような鉄道用IC乗車券に金額情報をチャージする場合は、通常、カード発売機や乗越し清算機などの読書装置に鉄道用IC乗車券と所定の金額を投入すれば、IC乗車券に所定の金額情報が書き込まれてチャージが行われる。このようなチャージを繰り返すことによって、IC乗車券は何回でもリサイクル使用することができる。
【0037】
なお、近年このようなIC乗車券にチャージされた金額情報により、特定の販売店等において、物品購買に伴う決済を行うことができるようになっており、IC乗車券の金銭情報は所謂電子マネーとしての機能を有するようになっている。
【0038】
図1において、10はIC乗車券であり、20はIC乗車券10に対応した自動改札機である。IC乗車券10は、鉄道事業者が提供する鉄道サービスの利用者が所持しているものであり、自動改札機20は鉄道事業者が各駅の改札に設置するものである。ここで、IC乗車券10の一例として非接触型のものを用いて説明するが、本発明で用い得るIC乗車券は必ずしもこれに限定されるものではない。非接触型のIC乗車券10には、ICチップ、アンテナが組み込まれており、カードリーダライタにかざすと、カードリーダライタ内のアンテナとの間で通信が行われ、カードリーダライタ側で、IC乗車券10の検知、認証、データの読み取り、残額情報等のデータの書き込み等が行われる仕組みとなっている。
【0039】
自動改札機20には、このようなカードリーダライタが内蔵されており、鉄道利用客は所持するIC乗車券10を自動改札機20内蔵のカードリーダライタ部にかざすことにより、入札、出札を行う。自動改札機20側では入札の際、IC乗車券10から鉄道の最低運賃を引き去り、出札の際に、さらにIC乗車券10から運賃と最低運賃との差額を引き去るように設定されている。
【0040】
このような入札、出札の記録については、発行されているIC乗車券10一枚一枚ごとに管理が成されている。具体的には、IC乗車券10一枚一枚ごとにそれぞれ異なるIDを割り当て、それぞれのID毎の入札、出札の記録を、通信回線25を通して、鉄道事業者の中央管理センタ等に設置されるIC乗車券システム50に送信する。IC乗車券システム50は受信したID毎の情報を一件明細データベース51に格納するように構成されている。なお、自動改札機20とIC乗車券システム50は必ずしも通信回線25で直に繋がっているわけではなく、途中駅務サーバなどを介するが、ここでは単純化したシステム概略を示している。
【0041】
図2は、IC乗車券システム50の一件明細データベース51のデータ構造を示す図である。当該データ構造は、一件明細データベース51の一部を抜粋したものである。図において、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)で示されるデータが、それぞれ一枚一枚のIC乗車券10のIDに対応するデータである。一件明細データベース51のデータ構造は図示するように、「IC乗車券10のID番号」、「IC乗車券10を利用した年月日」、「IC乗車券10を最後に利用した時分」、「入札出札の種別」、「利用駅」、「入札出札の種別」、「利用駅」、「利用額」、「IC乗車券10の残額」となっている。例えば、(1)の最新のデータを例に取ると、「IC乗車券10のID番号」は「JE012−3456−7890−XXX1」で、「IC乗車券10を利用した年月日」は「2005年10月31日」、「IC乗車券10を最後に利用した時分」は「13:20」で、「入札出札の種別」は「入札」で、その時の「利用駅」が「長岡」で、「入札出札の種別」は「出札」で、その時の「利用駅」が「新潟」であり、「利用額」が「1110円」であり、「IC乗車券10の残額」が「2780円」、というようになる。以上のように、IC乗車券10のID毎に、IC乗車券10の利用履歴がIC乗車券システム50の一件明細データベース51に蓄積される仕組みとなっている。
【0042】
以上の仕組みは、既に実施されている既存のシステムであり、本発明は、この既存のシステムに災害時対応アプリケーションシステムを付加することにより構成されるものである。以下、本発明の災害時対応アプリケーションシステムについて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係るIC乗車券を利用した災害時対応アプリケーションシステム全体のシステム構成概略を模式的に示した図である。
【0043】
図3の左側の示されているシステム構成は既に説明した既存のIC乗車券システム50である。本発明の災害時対応アプリケーションシステム100は、この既存のIC乗車券システム50に通信回線15を介して接続されている。52はファイヤーウォールであり、万が一通信回線15を通じて第三者が侵入し、IC乗車券システム50のデータやプログラムの盗み見・改ざん・破壊などが行なわれることのないように、流れるデータを監視し、不正なアクセスを検出・遮断するものである。
【0044】
本発明の災害時対応アプリケーションシステム100は、主としてグループID登録データベース101及び履歴データベース109からなり、さらに、災害時対応アプリケーションシステム100は通信回線17を介して、インターネットやLAN、WAN等を含む有線又は無線の通信網70に接続されている。110は、災害時対応アプリケーションシステム100への接続要求に対して、アクセスを許可するかどうかを認証するログイン認証部である。
【0045】
30は災害時対応アプリケーションシステム100用の専用駅務端末であり、タッチパネル機能を有する表示パネル31、IC乗車券投入口32、入力キー33を備えており、通信回線37を介して通信網70に接続され、災害時対応アプリケーションシステム100にアクセスしログインし得るように構成されている。この専用駅務端末30は、鉄道事業者が営業する各駅に設置されて、IC乗車券10の利用者のうち、災害時対応アプリケーションシステム100によるサービスを受けたい者に開放されるものである。
【0046】
本発明のIC乗車券システム50を利用した災害時対応アプリケーションシステム100は、この専用駅務端末30によりサービスを受けたい者がグループ登録を行った上で利用されるものである。このような登録を行った利用者からは、災害時対応アプリケーションシステム100サービスの初期登録費用としてIC乗車券10から所定の金額の電子マネーを徴収するものとする。
【0047】
災害時対応アプリケーションシステム100によるサービス利用者はまず専用駅務端末30で自分のIC乗車券10にグループIDを付与する手続きを行う。この手続きは、利用者が専用駅務端末30に自分のIC乗車券10をIC乗車券投入口32から投入し、表示パネル31の表示情報を参照しながら入力キー33を操作することによってなされる。専用駅務端末30は、投入されたIC乗車券10に係る情報を読み取り、読み取った情報に基づき、通信網70を介して、災害時対応アプリケーションシステム100と交信して所定の処理を行う。
【0048】
以上のような専用駅務端末30の操作により、例えば、「JE012−3456−7890−XXX1」のIDのIC乗車券10に「3890」のグループIDが付与されたものとする。次に、「JE012−3456−7890−XXX2」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10の所持者も、専用駅務端末30よる同様の操作でそれぞれのIC乗車券10に「3890」のグループIDが付与されたものとする。専用駅務端末30では、グループIDの他に、そのグループの名称も付与することができるようになっており、ここで「3890」のグループIDの他にグループ名「山田家」が付与されたものとする。
【0049】
上記のようにグループIDが付与されると、災害時対応アプリケーションシステム100のグループID登録データベース101には、図4に示されるようなデータ構造のデータが作成される。図4は、グループID登録データベース101に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。当該データ構造によれば、「グループID」が「3890」で、「グループ名」が「山田家」であるグループの下に、「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIDのIC乗車券10が登録される構造となっている。
【0050】
災害時対応アプリケーションシステム100は、定期的にIC乗車券システム50と通信を行い、自身の履歴データベース109を更新するようにプログラムされている。図6は、災害時対応アプリケーションシステム100とIC乗車券システム50との交信のステップを図示したものである。以下、このステップについて説明する。まず、災害時対応アプリケーションシステム100は、S61において、グループID登録データベース101を参照して、登録されているグループID下に所属する全てのIC乗車券10のIDをリストアップする。次に、S62において、リストアップした全てのIC乗車券10のIDにつき、最新の一件明細のダウンロードを要求するコマンドを、IC乗車券システム50に対して送信する。この送信されたコマンドは「最新一件明細リロードコマンド」と称するものである。このコマンドを受信したIC乗車券システム50は、S63において、災害時対応アプリケーションシステム100により情報要求されたIC乗車券10のIDにつき一件明細データベース51を参照して、最新の一件明細のみを抽出してリストアップする。最新の一件明細とは、即ち、IC乗車券10の所持者が最も直近に改札を通過した際のデータのことであり、図2に示されるデータのうち、「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,入,長岡,出,新潟,1110,2780」のデータや「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,入,新宿,出,池袋,150,1700」のデータがそれに相当する。次に、IC乗車券システム50は、S64において、リストアップされた一件明細を災害時対応アプリケーションシステム100に対して送信する。災害時対応アプリケーションシステム100は、S65において、IC乗車券システム50より受信した最新の一件明細のリストに基づいて、自身の履歴データベース109を更新する。
【0051】
次に、以上のようにして更新される履歴データベース109で管理されるデータのデータ構造について説明する。図5は、履歴データベース109に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。図5の例に基づき、データ構造について説明する。本例では、「グループID」が「3890」の下に所属する「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」の各履歴のデータ管理の構造が示されるものである。「最新通過駅」情報及び通過した「年月日」、「時分」情報は、IC乗車券システム50から送信される最新の一件明細情報から抽出して作成されるデータである。すなわち、前述した最新の一件明細データである「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,入,長岡,出,新潟,1110,2780」のデータや「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,入,新宿,出,池袋,150,1700」のデータのうちから、それぞれ「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,新潟」、「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,池袋」が抽出され、履歴データベース109に記憶される。前述したように、履歴データベース109は定期的に更新され、「最新通過駅」情報及び通過した「年月日」、「時分」情報は、常に上書きされるように更新される仕組みとなっており、当該データベースのこれらの情報を参照することにより、IC乗車券の所持者が直近でどの駅を通過したかが判別できるようになっている。
【0052】
以上が本発明のシステム構成概要であり、このシステム構成を具体的にどのように用いるのかにつき以下に説明する。本発明のIC乗車券システム50を利用した災害時対応アプリケーションシステム100は、上述したような一連の登録作業を行った利用者が、自身所有のIC乗車券10を専用駅務端末30のIC乗車券投入口32に挿入し、所定の操作を行うことによって、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報が参照できることが最大の特徴点である。
【0053】
図7は専用駅務端末30の表示パネル31上の表示例を示す図である。災害時対応アプリケーションシステム100のサービス利用者が、専用駅務端末30のIC乗車券投入口32にIC乗車券10を挿入すると、専用駅務端末30は、災害時対応アプリケーションシステム100と交信を行い、そのIC乗車券10が既に登録されているものであるものかを確認する。既に、登録されているものであった場合には、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報を表示する画面に、利用者の求めに応じて移行するように設定されるが、その前段として、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを有するものである場合、及び、パスワードの設定が成されている際には、図7に示される画面が表示パネル31に表示される。
【0054】
本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを登録することが可能となっている。すなわち、IC乗車券10の所持者は、「家族」のグループ、「会社」のグループ、「サークル」のグループ等の種々のグループに所属していることが想定されるため、このような複数の登録機能を設定するものである。また、セキュリティーに敏感な利用者のために、パスワードを設定し、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報が参照できる画面に到達する前に、パスワードの入力を要求するように設定することができる。
【0055】
ところで、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、このようなパスワードを設定することはあくまでオプションとする。なぜなら、お年寄りなどのように、情報機器の操作に不慣れな人の場合は、パスワードを設定してしまうと、本システムをいざ利用しようと言うときにパスワードを忘れてしまったというようなことで、本発明のシステムが提供するサービスが受けられない、といった状況に陥ってしまう。このような状況では、折角の緊急用の安否情報を提供することができる本発明のシステムのメリットを享受できない。このような理由で、パスワードの設定はあくまでオプションとしてある。パスワードを設定する・設定しない、の区別は、カード単位、又はグループ単位で設定可能に構成される。これにより、例えば、家族をグループのメンバーとして登録する場合には、パスワードなしで、最新の通過駅に関する情報が参照できるようにし、会社のメンバーをグループのメンバーとして登録する場合には、パスワードなしでは、最新の通過駅に関する情報が参照できないように設定することができる。
【0056】
図7に戻り、IC乗車券10一枚で複数のグループIDが登録されている場合、及び、パスワードが設定されている場合には、グループID入力欄81、パスワード入力欄82により利用者にそれぞれの入力を促す画面が表示パネル31に表示される。利用者はこれらの入力欄を入力し、入力キー33で「OK」の旨のキーを入力すると、専用駅務端末30は、その情報を基に災害時対応アプリケーションシステム100と交信を行い、そのグループIDが既に登録されており、またパスワードが真正であるかをチェックする。災害時対応アプリケーションシステム100により、グループID、パスワードの判定が正しいと判定されると、災害時対応アプリケーションシステム100は、履歴データベース109上の当該グループIDに対応する情報を、専用駅務端末30に対して送信する。専用駅務端末30は、この情報を受信し、表示パネル31に表示する。
【0057】
図8は、このような受信情報を専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した例を示す図である。図において、83はグループID表示欄、84はグループ名表示欄、85はグループIDの下に所属するIC乗車券10のID表示欄、86は最新一件明細情報から抽出された、IC乗車券10所持者の最新通過駅情報、及びその日時を表示する最新履歴表示欄である。このような表示は、グループID「3890」に所属するIDのIC乗車券10を所持者全員が、専用駅務端末30で参照することができるようになっている。
【0058】
仮に地震発生日を10月30日早朝、地震発生地を新潟とすると、図8の例では、被災したID「JE012−3456−7890−XXX1」のIC乗車券10所持者が少なくとも10月31日13:20に新潟駅を通過し、無事であることを、首都圏に住むID「JE012−3456−7890−XXX2」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10所持者達は、専用駅務端末30を操作することにより確認することができる。
【0059】
このように、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100にグループ登録をしておいて、専用駅務端末に自分のIC乗車券10を挿入し、必要に応じてパスワード等の所定の操作をするだけで、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することができる。
【0060】
したがって、大規模地震や台風等の甚大な自然災害等が発生した際、例え固定通信回線、移動通信回線が不通になったとしても、鉄道事業者の運営する駅に赴き、駅備え付けの専用駅務端末30にIC乗車券を挿入し、所定の操作し、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することによって、その通過時点には少なくともその所持者が安全であるという情報を、グループに登録している家族、友人、知人間で共有することができる。
【0061】
前記したように、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを登録することが可能となっている。すなわち、IC乗車券10の所持者は、「家族」のグループの他に、例えば「会社」のグループ等のグループに所属していることが想定されるためであり、例えば、グループID「3890」グループ名「山田家」に所属するID「JE012−3456−7890−XXX5」の所持者は、例えば、グループID「2976」グループ名「○×(株)」のグループ等にも所属し得るようになっている。図9は、このようなグループID「2976」グループ名「○×(株)」に係る情報を専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した例を示す図である。
【0062】
このように本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDの登録が可能であり、IC乗車券10が所属する複数のグループにおけるそれぞれの安否情報を確認することができ有効である。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態に係るIC乗車券を利用した災害時対応アプリケーションシステム全体のシステム構成概略を模式的に示した図である。なお、先の実施の形態において説明したものと同様の構成には同じ参照番号が付されている。
【0064】
図10の左側の示されているシステム構成は既に説明した既存のIC乗車券システム50である。第2の実施の形態では、IC乗車券システム50の下に接続されているIC乗車券10を使用することができる券売機60も重要な構成要素となる。この券売機60は、タッチパネル機能を有する表示パネル61、IC乗車券投入口62、入力キー63を備えている。IC乗車券投入口62からIC乗車券10を挿入することにより、券売機60がIC乗車券10のID、チャージされている電子マネー情報等を読み取り、キャッシュレスで乗車券を発券することができる。
【0065】
災害時対応アプリケーションシステム100は、この既存のIC乗車券システム50に通信回線15を介して接続されている。52はファイヤーウォールであり、万が一通信回線15を通じて第三者が侵入し、IC乗車券システム50のデータやプログラムの盗み見・改ざん・破壊などが行なわれることのないように、流れるデータを監視し、不正なアクセスを検出・遮断するものである。
【0066】
第2の実施の形態の災害時対応アプリケーションシステム100は、主としてグループID登録データベース101及びメッセージ・履歴データベース102、避難場所登録データベース103、地図情報データベース104、経路・料金データベース105、運行状況取得手段106、電子マネー利用許可コマンド発行手段107、各種情報ダウンロード手段108から構成されている。
【0067】
さらに、災害時対応アプリケーションシステム100は通信回線17を介して、インターネットやLAN、WAN等を含む有線又は無線の通信網70に接続されている。110は、災害時対応アプリケーションシステム100への接続要求に対して、アクセスを許可するかどうかを認証するログイン認証部である。
【0068】
30は災害時対応アプリケーションシステム100用の専用駅務端末であり、タッチパネル機能を有する表示パネル31、IC乗車券投入口32、入力キー33を備えており、通信回線37を介して通信網70に接続され、災害時対応アプリケーションシステム100にアクセスしログインし得るように構成されている。この専用駅務端末30は、鉄道事業者が営業する各駅に設置されて、IC乗車券10の利用者のうち、災害時対応アプリケーションシステム100によるサービスを受けたい者に開放されるものである。
【0069】
また、第2の実施の形態に係る災害時対応アプリケーションシステム100は、IC乗車券10に記録されている情報を読み取ることができるカードリーダライタ41を備えたパーソナルコンピュータ40からも通信網70等を介してアクセスすることができるように構成されている。パーソナルコンピュータ40から災害時対応アプリケーションシステム100にアクセスするためには、カードリーダライタ41でIC乗車券10のIDを読み取り、ログイン認証部110でログイン認証を受けてから、パーソナルコンピュータ40専用のWEBサイトへと通じる仕組みとなっている。このような専用のWEBサイトを利用したいユーザーには、所定のWEBサービス利用費用を課金するものとする。
【0070】
IC乗車券システム50を利用した災害時対応アプリケーションシステム100は、この専用駅務端末30によりサービスを受けたい者がグループ登録を行った上で利用されるものである。このような登録を行った利用者からは、災害時対応アプリケーションシステム100サービスの初期登録費用としてIC乗車券10から所定の金額の電子マネーを徴収するものとする。
【0071】
災害時対応アプリケーションシステム100によるサービス利用者はまず専用駅務端末30で自分のIC乗車券10にグループIDを付与する手続きを行う。この手続きは、利用者が専用駅務端末30に自分のIC乗車券10をIC乗車券投入口32から投入し、表示パネル31の表示情報を参照しながら入力キー33を操作することによってなされる。専用駅務端末30は、投入されたIC乗車券10に係る情報を読み取り、読み取った情報に基づき、通信網70を介して、災害時対応アプリケーションシステム100と交信して所定の処理を行う。
【0072】
以上のような専用駅務端末30の操作により、例えば、「JE012−3456−7890−XXX1」のIDのIC乗車券10に「3890」のグループIDが付与されたものとする。次に、「JE012−3456−7890−XXX2」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10の所持者も、専用駅務端末30よる同様の操作でそれぞれのIC乗車券10に「3890」のグループIDが付与されたものとする。専用駅務端末30では、グループIDの他に、そのグループの名称も付与することができるようになっており、ここで「3890」のグループIDの他にグループ名「山田家」が付与されたものとする。
【0073】
上記のようにグループIDが付与されると、災害時対応アプリケーションシステム100のグループID登録データベース101には、図11に示されるようなデータ構造のデータが作成される。図11は、グループID登録データベース101に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。当該データ構造によれば、「グループID」が「3890」で、「グループ名」が「山田家」であるグループの下に、「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIDのIC乗車券10が登録される構造となっている。
グループIDを登録する際には、さらに自らのIC乗車券10にチャージされた電子マネーを同じグループに登録されている他のIC乗車券10所持者に使用させることを許可するか、或いは許可しないかも予め登録する。第2の実施の形態においては、IC乗車券10にチャージされた電子マネーを融通しあえる仕組みが設けられており、災害が発生し緊急に移動しなくてはならないような場合に、電子マネーが足りない、或いは、現金の持ち合わせがない、というような状況に陥っても、電子マネーの使用を許可してくれている他のグループメンバーから電子マネーの補填を受けることができ、切符を購入することができる。
【0074】
登録されたIC乗車券10は、専用駅務端末30又はパーソナルコンピュータ40により、メッセージを入力し得るように構成されている。専用駅務端末30によるメッセージの入力は、IC乗車券10をIC乗車券投入口32に投入し、表示パネル31の表示情報を参照しながら入力キー33を操作することによってなされる。また、パーソナルコンピュータ40によるメッセージの入力は、ログイン認証部110でログイン認証を受けてから、専用のWEBサイトへと入り、専用のWEBサイトのメッセージ記入欄にメッセージを記入する形で行う。登録されたメッセージは、後述するように災害時対応アプリケーションシステム100のメッセージ・履歴データベース102に記憶される。このようなメッセージを登録する機能を利用するにあたっては、その費用としてIC乗車券10から所定の金額の電子マネーを徴収したり、クレジットカードから引き去りを行ったりして、メッセージ登録利用料を徴収するものとする。
【0075】
災害時対応アプリケーションシステム100は、定期的にIC乗車券システム50と通信を行い、自身のメッセージ・履歴データベース102を更新するようにプログラムされている。図14は、災害時対応アプリケーションシステム100とIC乗車券システム50との交信のステップを図示したものである。以下、このステップについて説明する。まず、災害時対応アプリケーションシステム100は、S61において、グループID登録データベース101を参照して、登録されているグループID下に所属する全てのIC乗車券10のIDをリストアップする。次に、S62において、リストアップした全てのIC乗車券10のIDにつき、最新の一件明細をダウンロードを要求するコマンドを、IC乗車券システム50に対して送信する。この送信されたコマンドは「最新一件明細リロードコマンド」と称するものである。このコマンドを受信したIC乗車券システム50は、S63において、災害時対応アプリケーションシステム100により情報要求されたIC乗車券10のIDにつき一件明細データベース51を参照して、最新の一件明細のみを抽出してリストアップする。最新の一件明細とは、即ち、IC乗車券10の所持者が最も直近に改札を通過した際のデータのことであり、図2に示されるデータのうち、「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,入,長岡,出,新潟,1110,2780」のデータや「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,入,新宿,出,池袋,150,1700」のデータがそれに相当する。次に、IC乗車券システム50は、S64において、リストアップされた一件明細を災害時対応アプリケーションシステム100に対して送信する。災害時対応アプリケーションシステム100は、S65において、IC乗車券システム50より受信した最新の一件明細のリストに基づいて、自身のメッセージ・履歴データベース102を更新する。
【0076】
次に、以上のようにして更新されるメッセージ・履歴データベース102で管理されるデータのデータ構造について説明する。図12は、メッセージ・履歴データベース102に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。図12の例に基づき、データ構造について説明する。本例では、「グループID」が「3890」の下に所属する「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」の各履歴及びメッセージのデータ管理の構造が示されるものである。「最新通過駅」情報及び通過した「年月日」、「時分」情報は、IC乗車券システム50から送信される最新の一件明細情報から抽出して作成されるデータである。すなわち、前述した最新の一件明細データである「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,入,長岡,出,新潟,1110,2780」のデータや「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,入,新宿,出,池袋,150,1700」のデータのうちから、それぞれ「JE012−3456−7890−XXX1,2005/10/31,13:20,新潟」、「JE012−3456−7890−XXX2,2005/10/28,17:32,池袋」が抽出され、メッセージ・履歴データベース102に記憶される。前述したように、メッセージ・履歴データベース102は定期的に更新され、「最新通過駅」情報及び通過した「年月日」、「時分」情報は、常に上書きされるように更新される仕組みとなっており、当該データベースのこれらの情報を参照することにより、IC乗車券の所持者が直近でいつどの駅を通過したかが判別できるようになっている。
【0077】
第2の実施の形態に係る災害時対応アプリケーションシステム100が提供するサービスでは、登録されたIC乗車券10に対応して、専用駅務端末30の入力キー33の操作により、又はパーソナルコンピュータ40から専用WEBサイトにアクセすることにより、メッセージを入力し得るように構成されており、入力されたメッセージは、メッセージ・履歴データベース102に登録される。メッセージ・履歴データベース102に記憶されるメッセージに係るデータは、図12に示されるように、メッセージ登録有無データと実メッセージデータである。図12に示される例では、「JE012−3456−7890−XXX1」、「JE012−3456−7890−XXX3」、「JE012−3456−7890−XXX6」のIDのIC乗車券10所持者により入力されたメッセージが登録されている。
【0078】
次に、避難場所登録データベース103で管理されるデータについて説明する。図13は、避難場所登録データベース103に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。図13を参照しつつ、避難場所登録データベース103のデータについて説明する。
【0079】
第2の実施の形態に係る災害時対応アプリケーションシステム100では、最初に、専用駅務端末30により、災害時対応アプリケーションシステム100の利用登録を行う際に、避難場所も登録することができる。このとき登録した場所は、後に専用駅務端末30又はパーソナルコンピュータ40により変更することもできる。避難場所は、グループIDに一つ、それぞれのIC乗車券10のIDに対応して一つずつの登録が可能であり、災害時、グループ全体としてどこに集合するか、或いは個人としてどこに避難するか、等を考慮した上で登録を行うといざというときに便利である。このような避難場所を登録する機能を利用するにあたっては、その費用としてIC乗車券10から所定の金額の電子マネーを徴収したり、クレジットカードから引き去りを行ったりして、避難場所登録利用料を徴収するものとする。
【0080】
図13では、「グループID」としてグループメンバー全員に共通の避難場所として「新宿御苑公園」が登録され、ID「JE012−3456−7890−XXX1」〜「JE012−3456−7890−XXX6」個々人の避難場所として、「新潟市民体育館」、「大宮公園」、「千葉大学」、「新宿御苑公園」が登録されているデータベースの構造が示されている。
【0081】
避難場所登録データベース103には、主な避難場所の所在地及びその最寄駅に係る情報もデータベース化され記憶されており、後述する地図情報データベース104、経路・料金データベース105と連携して、避難場所への旅行に付帯する情報としてIC乗車券10所持者に提供される。
【0082】
地図情報データベース104は、全国の地図情報を収録するデータベースであり、例えば、株式会社アルプス社のプロアトラス(登録商標)等市販のものを使用することができる。また、経路・料金データベース105は、全国の鉄道網及びその運賃体系を収録するデータベースであり、例えば、株式会社ヴァル研究所の駅すぱーと(登録商標)を使用することができる。
【0083】
運行状況取得手段106は、IC乗車券システム50又は通信網70上の所定の交通情報発信機関と通信を行い、災害時の鉄道の不通区間等の情報を取得するものである。ここで、取得された不通区間情報は、専用駅務端末30又は専用のWEBサイトにて参照できるように構成される。また、IC乗車券10所持者が避難場所への切符を購入しようとする際に、運行状況取得手段106で取得された不通区間情報に考慮した経路が選択される。
【0084】
電子マネー利用許可コマンド発行手段107は、IC乗車券システム50に対して、電子マネーの使用を許可してくれている他のグループメンバーから電子マネーの補填を受けることを要求するコマンドを発行するものである。このようなIC乗車券10にチャージされた電子マネーを融通しあえる仕組みが設けられており、災害が発生し緊急に移動しなくてはならないような場合に、電子マネーが足りない、或いは、現金の持ち合わせがない、というような状況に陥っても、切符を購入することができる。
【0085】
各種情報ダウンロード手段108は、災害時対応アプリケーションシステム100が提供できる情報を、IC乗車券10のメモリの空き領域にダウンロードする手段である。当該手段は、専用駅務端末30に挿入されているIC乗車券10の空きメモリ領域、又は、パーソナルコンピュータ40のカードリーダライタ41に近接しているIC乗車券10の空きメモリ領域の双方に対して各種の情報をダウンロードすることができるように設定されている。
【0086】
以上が本発明の第2実施形態のシステム構成であり、このシステム構成を具体的にどのように用いるのかにつき以下に説明する。第2実施形態に係るIC乗車券システム50を利用した災害時対応アプリケーションシステム100は、上述したような一連の登録作業を行った利用者が、自身所有のIC乗車券10を専用駅務端末30のIC乗車券投入口32に挿入し、所定の操作を行うことによって、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報やグループメンバーが登録したメッセージを参照できることが最大の特徴点である。
【0087】
図15は専用駅務端末30の表示パネル31上の表示例を示す図である。なお、パーソナルコンピュータ40を利用して災害時対応アプリケーションシステム100のパーソナルコンピュータ40専用のWEBサイトへとアクセスした場合にも同様の表示をパーソナルコンピュータ40画面上に行う。災害時対応アプリケーションシステム100のパーソナルコンピュータ40専用のWEBサイトへログインすることにより専用駅務端末30を用いた例と同様のサービスをパーソナルコンピュータ40上でも受けることが可能である。
【0088】
災害時対応アプリケーションシステム100のサービス利用者が、専用駅務端末30のIC乗車券投入口32にIC乗車券10を挿入すると、専用駅務端末30は、災害時対応アプリケーションシステム100と交信を行い、そのIC乗車券10が既に登録されているものであるものかを確認する。既に、登録されているものであった場合には、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報を表示する画面に、利用者の求めに応じて移行するように設定されるが、その前段として、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを有するものである場合、及び、パスワードの設定が成されている際には、図15に示される画面が表示パネル31に表示される。パーソナルコンピュータ40を利用して災害時対応アプリケーションシステム100のパーソナルコンピュータ40専用のWEBサイトへログインする際にも同様の画面表示が成される。パーソナルコンピュータ40で、専用WEBサイトへログインする際には、パスワード入力は必須なものとする。
【0089】
災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを登録することが可能となっている。すなわち、IC乗車券10の所持者は、「家族」のグループ、「会社」のグループ、「サークル」のグループ等の種々のグループに所属していることが想定されるため、このような複数の登録機能を設定するものである。また、セキュリティーに敏感な利用者のために、パスワードを設定し、グループ内のIC乗車券10所持者の最新の通過駅に関する情報が参照できる画面に到達する前に、パスワードの入力を要求するように設定することができる。
【0090】
なお、災害時対応アプリケーションシステム100では、このようなパスワードを設定することはあくまでオプションとする。なぜなら、お年寄りなどのように、情報機器の操作に不慣れな人の場合は、パスワードを設定してしまうと、本システムをいざ利用しようと言うときにパスワードを忘れてしまったというようなことで、本発明のシステムが提供するサービスが受けられない、といった状況に陥ってしまう。このような状況では、折角の緊急用の安否情報を提供することができる本発明のシステムのメリットを享受できない。このような理由で、パスワードの設定はあくまでオプションとしてある。ただし、前記の通りパーソナルコンピュータ40による利用には必ずパスワードを設定する。
【0091】
パスワードを設定する・設定しない、の区別は、カード単位、又はグループ単位で設定可能に構成される。これにより、例えば、家族をグループのメンバーとして登録する場合には、パスワードなしで、最新の通過駅に関する情報や登録メッセージが参照できるようにし、会社のメンバーをグループのメンバーとして登録する場合には、パスワードなしでは、最新の通過駅に関する情報や登録メッセージが参照できないように設定することができる。
【0092】
図15に戻り、IC乗車券10一枚で複数のグループIDが登録されている場合、及び、パスワードが設定されている場合には、グループID入力欄81、パスワード入力欄82により利用者にそれぞれの入力を促す画面が表示パネル31に表示される。利用者はこれらの入力欄を入力し、入力キー33で「OK」の旨のキーを入力すると、専用駅務端末30は、その情報を基に災害時対応アプリケーションシステム100と交信を行い、そのグループIDが既に登録されており、またパスワードが真正であるかをチェックする。災害時対応アプリケーションシステム100により、グループID、パスワードの判定が正しいと判定されると、災害時対応アプリケーションシステム100は、メッセージ・履歴データベース102上の当該グループIDに対応する情報を、専用駅務端末30に対して送信する。専用駅務端末30は、この情報を受信し、表示パネル31に表示する。パーソナルコンピュータ40を利用して災害時対応アプリケーションシステム100の専用のWEBサイトへログインする際にも同様の交信が、パーソナルコンピュータ40と災害時対応アプリケーションシステム100との間で行われる。
【0093】
図16は、このような受信情報を専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した「履歴・メッセージ一覧」の画面例を示す図である。図16において、83はグループID表示欄、84はグループ名表示欄、85はグループIDの下に所属するIC乗車券10のID表示欄、86は最新一件明細情報から抽出されたIC乗車券10所持者の最新通過駅情報、及びその日時、また添付メッセージの有無を表示する最新履歴表示欄、87はIC乗車券10所持者が専用駅務端末30で入力したメッセージを表示するメッセージ表示欄、88は画面変更ボタンである。このような表示は、グループID「3890」に所属するIDのIC乗車券10を所持者全員が、専用駅務端末30で参照することができるようになっている。パーソナルコンピュータ40からでも、同様の表示を、災害時対応アプリケーションシステム100の専用のWEBサイト上で参照することができる。
【0094】
仮に地震発生日を10月30日早朝、地震発生地を新潟とすると、図16の例では、被災したID「JE012−3456−7890−XXX1」のIC乗車券10所持者が少なくとも10月31日13:20に新潟駅を通過し、無事であることを、首都圏に住むID「JE012−3456−7890−XXX2」〜「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10所持者達は、専用駅務端末30を操作することにより確認することができる。
【0095】
このように、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100にグループ登録をしておいて、専用駅務端末に自分のIC乗車券10を挿入し、必要に応じてパスワード等の所定の操作をするだけで、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することができる。そして、パーソナルコンピュータ40でも、災害時対応アプリケーションシステム100の専用のWEBサイトへログインすることにより専用駅務端末30を用いた例と同様に、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照することができる。
【0096】
以上のように、大規模地震や台風等の甚大な自然災害等が発生した際、例え固定通信回線、移動通信回線が不通になったとしても、鉄道事業者の運営する駅に赴き、駅備え付けの専用駅務端末30にIC乗車券を挿入、所定の操作を行うか、或いは、パーソナルコンピュータ40で、災害時対応アプリケーションシステム100の専用のWEBサイトへログインするかで、グループに登録されているIC乗車券10所持者の最新通過駅情報及びその日時を参照するができる。これにより、その通過時点には少なくともその所持者が安全であるという情報を、グループに登録している家族、友人、知人間で共有することができる。
【0097】
本発明の災害時対応アプリケーションシステム100においては、さらに必要であれば、メッセージ表示欄87にメッセージも表示させ得るように構成されているので、例えば、図8の例に示すように、被災したID「JE012−3456−7890−XXX1」のIC乗車券10所持者が「無事です。携帯電話は使えません。避難場所は総合体育館で番号は、XXXX−XX−XXXXです。」等のメッセージを登録することでき、家族の他のメンバーは、自分達のIC乗車券10で専用駅務端末30を操作することにより、このメッセージ参照することができる。また、前述のような操作を通じて、ID「JE012−3456−7890−XXX3」、「JE012−3456−7890−XXX6」のIC乗車券10所持者のように、「よかった、無事なんですね。ほっとしました。」等のメッセージを登録することができる。このようなメッセージ登録機能は、専用駅務端末30及びパーソナルコンピュータ40の双方から操作することができる。
【0098】
前記したように、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDを登録することが可能となっている。すなわち、IC乗車券10の所持者は、「家族」のグループの他に、例えば「会社」のグループ等のグループに所属していることが想定されるためであり、例えば、グループID「3890」グループ名「山田家」に所属するID「JE012−3456−7890−XXX5」の所持者は、例えば、グループID「2976」グループ名「○×(株)」のグループ等にも所属し得るようになっている。図17は、このようなグループID「2976」グループ名「○×(株)」に係る情報を専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した例を示す図である。
【0099】
図17は、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100を会社員間で利用する形態につき説明するものであり、会社の管理部門の長であるID「JE012−3456−7890−XXX5」のIC乗車券10所持者は、大規模地震や台風等の甚大な自然災害等が発生した際、本発明のメッセージ登録機能を利用して「本日会社は公休として各自住居の確保等をお願いします。管理職で出社可能な方は明日から出社して下さい。」とのメッセージを登録し、これに応答する形で管理職であるID「JE012−3456−7890−YYY1」のID乗車券10の所持者が専用駅務端末30を用いて「我が家は無事です。明日、出社いたします。」とのメッセージを登録しており、言わば会社の連絡網的に、本システムを利用する様子が示されている。
【0100】
このように本発明の災害時対応アプリケーションシステム100では、IC乗車券10一枚で複数のグループIDの登録が可能であり、IC乗車券10が所属する複数のグループにおけるそれぞれの安否情報を確認することができ有効である。
【0101】
図18は、専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した「避難場所一覧」の画面例を示す図である。この画面も、災害時対応アプリケーションシステム100の専用WEBサイト上でパーソナルコンピュータ40から参照することができる。この画面へは、「履歴・メッセージ一覧」の画面において、「登録避難場所一覧へ」の画面変更ボタン88を、専用駅務端末30のタッチパネル機能を有する表示パネル31上で押下したり、パーソナルコンピュータ40の画面上でクリックしたりすることにより、移行することができる。
【0102】
図18において、93はグループID表示欄、94はグループ名表示欄、95はグループID及びその下に所属するIC乗車券10のIDを表示するID表示欄、96は登録避難場所表示欄、97は登録避難場所の最寄駅を示す最寄駅表示欄、98は画面変更ボタンである。
【0103】
このように、グループIDとしての避難場所、それぞれのIC乗車券10の所持者毎に対応した避難場所が表示されるので、グループ全体としてどこに集合すればグループメンバーと落ち合えるのか、或いは、消息の分からないメンバーについてはどこの避難場所を探せばよいのか、等の情報を得ることができとても有用である。
【0104】
図19は、専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した「不通区間情報」の画面例を示す図である。この画面も、災害時対応アプリケーションシステム100の専用WEBサイト上でパーソナルコンピュータ40から参照することができる。専用駅務端末30の表示パネル31上又はパーソナルコンピュータ40の画面上の「履歴・メッセージ一覧」の画面で画面変更ボタン88の「不通区間情報へ」を選択するか、又は、「避難場所一覧」の画面で画面変更ボタン98の「不通区間情報へ」を選択するか、等によって、この「不通区間情報」の画面へと進むことができる。
【0105】
図19において、89はグループID表示欄、90はグループ名表示欄等の基本情報表示欄で、91は現在の不通区間に関する情報を表示する不通情報表示欄、92は画面変更ボタンである。このような画面は、専用駅務端末30又はパーソナルコンピュータ40が、災害時対応アプリケーションシステム100の運行状況取得手段106から取得することにより表示することができる。
【0106】
次に、券売機60で、グループ全体の避難場所への切符を購入する方法につき説明する。IC乗車券10は券売機60でも使用可能であり、IC乗車券投入口62にIC乗車券10を挿入することにより、券売機60がIC乗車券10のID、チャージされている電子マネー情報等を読み取り、キャッシュレスで切符を購入することができる。なお、券売機60は厳密に言えば、IC乗車券システム10の下に所属するものであるが、災害時等の緊急時には、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100とも連携することを想定し、このような場合には券売機60も本発明の災害時対応アプリケーションシステム100の一部とみなすこととする。
【0107】
災害時において、この券売機60にIC乗車券10を挿入し、前述したグループ全体として登録された避難場所への切符を購入するモードを選択すると、図20のような画面が表示パネル61に表示される。この画面において、201はIC乗車券10のID表示欄、202はグループID表示欄、203はIC乗車券10で登録されているグループ全体の避難場所を表示するグループ避難場所表示欄、204は当該避難場所への移動方法を検索した結果にさらに不通区間情報を加味して表示した検索経路表示欄、205は検索経路表示欄204から経路を選択し入力する経路選択欄、206は切符購入ボタンである。検索経路表示欄204には、避難場所への経路とともに、運賃、所要時間、不通区間も表示される。
【0108】
このような画面は、券売機60がIC乗車券システム50を介して、本発明の災害時対応アプリケーションシステム100の各データベース及び運行状況取得手段106からデータを収集することにより形成される。IC乗車券10所持者は、検索された避難場所への移動方法の何通りかのうち、不通区間情報を考慮した上で、経路の番号を選択して、経路選択欄205に番号を入力し、切符を購入する場合は、切符購入ボタン206を表示パネル61で押下し、切符を購入する仕組みとなっている。このとき、IC乗車券10に切符を購入するに十分な電子マネーが予めチャージされていれば、切符が発券されるが、十分な電子マネーがない場合には、図21に示されるような画面が表示される。
【0109】
図21において、201はIC乗車券10のID表示欄、202はグループID表示欄、203はIC乗車券10で登録されているグループ全体の避難場所を表示するグループ避難場所表示欄、207は前画面で選択された経路が表示される選択経路表示欄、208はIC乗車券10では支払うに足りない金額分を表示する不足金額表示欄、209は現金投入ボタン、210はグループ内チャージ利用ボタンである。選択経路表示欄207で選択した経路の切符を購入するには足りない電子マネー分は、IC乗車券10所持者が現金で支払うのが通常であるが、災害時にはそのような現金を用立てることもままならないことが多い。そこで、グループ内で、自らのIC乗車券10にチャージされた電子マネーを使っても良いとの許可を表明しているグループメンバーのIC乗車券10の電子マネーで決裁する機能が設定される。自らのIC乗車券10にチャージされた電子マネーを同じグループに登録されている他のIC乗車券10所持者に使用させることを許可するか、或いは許可しないかは、グループID登録データベース101に登録されている。IC乗車券システム50は、災害時対応アプリケーションシステム100に対して、このような電子マネー使用許可が有るかどうかを尋ねる。災害時対応アプリケーションシステム100は、グループID登録データベース101を参照して、このような電子マネー使用許可があることを確認した上で、電子マネー利用許可コマンド発行手段107で、IC乗車券システム50に対して、グループの他のメンバーのIC乗車券10の電子マネーの使用許可を要求する特例的なコマンドを発行する。IC乗車券システム50は、グループ内チャージ利用ボタン210が押下され、さらにこのコマンドを受領した場合に限り、このような例外的な決済方法を認めて、切符の発券を行うように設定されている。通常通り、現金で切符を購入する場合は、現金投入ボタン209を押下すればよい。
【0110】
図22は、専用駅務端末30の表示パネル31上に表示した「ダウンロード」の画面例を示す図である。この画面も、災害時対応アプリケーションシステム100の専用WEBサイト上でパーソナルコンピュータ40から参照することができる。専用駅務端末30の表示パネル31上又はパーソナルコンピュータ40の画面上の「履歴・メッセージ一覧」、「避難場所一覧」、「不通区間情報」の画面変更ボタンを操作するこのよって、この「ダウンロード」の画面へと進むことができる。この画面の操作を行うことによって、IC乗車券10のメモリ空き容量に災害時対応アプリケーションシステム100の各種情報をダウンロードすることができるように設定されている。
【0111】
図22において、211はIC乗車券10のID表示欄、212はグループID表示欄、213は災害時対応アプリケーションシステム100上の情報でダウンロードすることが可能な情報の一覧を示すダウンロード可能情報表示欄、214はダウンロード可能情報表示欄213で表示された情報のうちダウンロードしたい情報の番号を入力する情報番号選択欄、215はダウンロードの実行を促すダウンロードボタン、216は画面変更ボタンである。
【0112】
災害時対応アプリケーションシステム100は、これまで見てきたとおり、鉄道の不通区間情報、グループメンバーの一件明細に係る履歴情報、グループメンバーにより登録されたメッセージ情報、避難場所への経路に係る情報、地図情報データベース104に蓄積された避難場所地図情報など災害時に有用なデータを保持しており、これを有効利用するべく、本発明のダウンロード機能は、これらの有用なデータをIC乗車券10のメモリの空き容量にダウンロードするものである。このようなダウンロードは、専用駅務端末30に挿入されたIC乗車券10、又はパーソナルコンピュータ40に接続されたカードリーダライタ41に近接したIC乗車券10に対して行われる。ダウンロードされたデータは、図23に示されるような、IC乗車券10に記録された情報を読み取り表示することができる可搬型ビューア120で利用されたり、或いは、パーソナルコンピュータ40上で利用されたりすることが想定される。
【0113】
図23において、可搬型ビューア120、121は可搬型ビューア120の表示パネル、122はIC乗車券の読み取りを行うスロット、123は入力キーである。図22の「ダウンロード」画面において、IC乗車券10所持者は、ダウンロード可能情報表示欄213で表示された情報のうちダウンロードしたい情報の番号を情報番号選択欄214に入力し、ダウンロードボタン215を押下することによりIC乗車券10へのダウンロードが実行される。このような機能を利用することにより、例えば、初めて行く避難場所への地図等を入手することができるので利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】IC乗車券システムの概略を模式的に示す図である。
【図2】IC乗車券システムの一件明細データベースのデータ構造を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るIC乗車券を利用した災害時対応アプリケーションシステム全体のシステム構成概略を模式的に示す図である。
【図4】グループID登録データベースに記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図5】履歴データベースに記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図6】災害時対応アプリケーションシステムとIC乗車券システムとの交信ステップを示す図である。
【図7】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図8】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図9】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るIC乗車券を利用した災害時対応アプリケーションシステム全体のシステム構成概略を模式的に示す図である。
【図11】グループID登録データベースに記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図12】メッセージ・履歴データベースに記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図13】避難場所登録データベース103に記憶されるデータのデータ構造を例示する概略図である。
【図14】災害時対応アプリケーションシステムとIC乗車券システムとの交信ステップを示す図である。
【図15】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図16】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図17】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図18】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図19】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図20】券売機の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図21】券売機の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図22】本発明の専用駅務端末の表示パネル上の表示例を示す図である。
【図23】IC乗車券に記録された情報を読み取り表示する可搬型ビューアを示す図である。
【符号の説明】
【0115】
10・・・IC乗車券、15・・・通信回線、20・・・自動改札機、25・・・通信回線、30・・・専用駅務端末、31・・・表示パネル、32・・・IC乗車券投入口、33・・・入力キー、40・・・パーソナルコンピュータ、41・・・カードリーダライタ、47・・・通信回線、50・・・IC乗車券システム、52・・・ファイヤーウォール、60・・・券売機、61・・・表示パネル、62・・・IC乗車券投入口、63・・・入力キー、64・・・発券部、70・・・通信網、81・・・グループID入力欄、82・・・パスワード入力欄、83・・・グループID表示欄、84・・・グループ名表示欄、85・・・ID表示欄、86・・・最新履歴表示欄、87・・・メッセージ表示欄、88・・・画面変更ボタン、89・・・グループID表示欄、90・・・グループ名表示欄、91・・・不通情報表示欄、92・・・画面変更ボタン、93・・・グループID表示欄、94・・・グループ名表示欄、95・・・ID表示欄、96・・・避難場所表示欄、97・・・最寄駅表示欄、98・・・画面変更ボタン、100・・・災害時対応アプリケーションシステム、101・・・グループID登録データベース、102・・・メッセージ・履歴データベース、103・・避難場所登録データベース、104・・・地図情報データベース、105・・・経路・料金データベース、106・・・運行状況取得手段、107・・・電子マネー利用許可コマンド発行手段、108・・各種情報ダウンロード手段、109・・・履歴データベース、110・・・ログイン認証部、120・・・可搬型ビューア、121・・・表示パネル、122・・・スロット、123・・・入力キー、201・・・ID表示欄、202・・・グループID表示欄、203・・・グループ避難場所表示欄、204・・・検索経路表示欄、205・・・経路選択欄、206・・・切符購入ボタン、207・・・選択経路表示欄、208・・・不足金額表示欄、209・・・現金投入ボタン、210・・・グループ内チャージ利用ボタン、211・・・ID表示欄、212・・・グループID表示欄、213・・・ダウンロード可能情報表示欄、214・・・情報番号選択欄、215・・・ダウンロードボタン、216・・・画面変更ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道事業者が業務に活用するIC乗車券システムを利用し、IC乗車券の所持者間で安否情報を共有する災害時対応アプリケーションシステムにおいて、
複数の前記IC乗車券を一つのグループIDの下に登録する専用駅務端末を具備することを特徴とする災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項2】
前記グループIDの下に登録された複数の前記IC乗車券を記憶するグループID登録データベースを備えることを特徴とする請求項1に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項3】
前記グループIDの下に登録された複数の前記IC乗車券それぞれの最新一件明細を記憶する履歴データベースを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項4】
前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券を利用することで、前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の最新一件明細を専用駅務端末で参照可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項5】
前記IC乗車券は複数の前記グループIDの下に登録することが可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項6】
複数の前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券を利用することで、それぞれの前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の一件明細を前記専用駅務端末で参照可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項7】
前記IC乗車券を前記専用駅務端末で利用する際には、パスワードを設定することが可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項8】
複数の前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の前記パスワードの設定は、前記グループIDごとに行うことができることを特徴とする請求項7に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項9】
前記専用駅務端末で参照可能な情報は、パーソナルコンピュータにより専用WEBサイトでも参照可能に構成されたことを特徴とする請求項4又は請求項6記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項10】
前記専用WEBサイトへは、グループID及びパスワードを入力してからログインすることを特徴とする請求項9に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項11】
運行状況取得手段を備え、当該運行状況取得手段で取得した鉄道の運行状況を、前記専用駅務端末及び前記パーソナルコンピュータで参照することが可能に構成されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項12】
前記専用駅務端末又は前記パーソナルコンピュータから登録されたメッセージを記憶するメッセージ・履歴データベースを備えることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項13】
前記IC乗車券ごとの避難場所を登録する避難場所登録データベースを備えることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項14】
前記避難場所登録データベースは、前記グループIDごとの避難場所も登録することを特徴とする請求項13に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項15】
前記避難場所登録データベースに登録されている避難場所への経路を表示することが可能に構成されることを特徴とする請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項16】
避難場所への経路を表示するにあたっては、運賃、所要時間、不通区間も表示することを特徴とする請求項15に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項17】
表示された避難場所への切符を購入することが可能なボタンを備えることを特徴とする請求項16に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項18】
前記IC乗車券にチャージされた電子マネーを所属する前記グループIDの下に登録された他のIC乗車券で使用しても良いとの許可を登録するデータベースと、当該データベースの登録に基づいて、前記他のIC乗車券で切符を購入する際に、当該電子マネーを決裁に利用することを特徴とする請求項9乃至請求項17のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項19】
不通区間情報、履歴情報、メッセージ情報、避難場所への経路情報、避難場所地図情報を前記IC乗車券の空きメモリ領域にダウンロード可能に構成されることを特徴とする請求項9乃至請求項18のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項20】
ダウンロードされた情報は、可搬型ビューア又は前記パーソナルコンピュータによって参照可能に設定されることを特徴とする請求項19に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項1】
鉄道事業者が業務に活用するIC乗車券システムを利用し、IC乗車券の所持者間で安否情報を共有する災害時対応アプリケーションシステムにおいて、
複数の前記IC乗車券を一つのグループIDの下に登録する専用駅務端末を具備することを特徴とする災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項2】
前記グループIDの下に登録された複数の前記IC乗車券を記憶するグループID登録データベースを備えることを特徴とする請求項1に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項3】
前記グループIDの下に登録された複数の前記IC乗車券それぞれの最新一件明細を記憶する履歴データベースを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項4】
前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券を利用することで、前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の最新一件明細を専用駅務端末で参照可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項5】
前記IC乗車券は複数の前記グループIDの下に登録することが可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項6】
複数の前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券を利用することで、それぞれの前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の一件明細を前記専用駅務端末で参照可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項7】
前記IC乗車券を前記専用駅務端末で利用する際には、パスワードを設定することが可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項8】
複数の前記グループIDの下に登録された前記IC乗車券の前記パスワードの設定は、前記グループIDごとに行うことができることを特徴とする請求項7に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項9】
前記専用駅務端末で参照可能な情報は、パーソナルコンピュータにより専用WEBサイトでも参照可能に構成されたことを特徴とする請求項4又は請求項6記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項10】
前記専用WEBサイトへは、グループID及びパスワードを入力してからログインすることを特徴とする請求項9に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項11】
運行状況取得手段を備え、当該運行状況取得手段で取得した鉄道の運行状況を、前記専用駅務端末及び前記パーソナルコンピュータで参照することが可能に構成されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項12】
前記専用駅務端末又は前記パーソナルコンピュータから登録されたメッセージを記憶するメッセージ・履歴データベースを備えることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項13】
前記IC乗車券ごとの避難場所を登録する避難場所登録データベースを備えることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項14】
前記避難場所登録データベースは、前記グループIDごとの避難場所も登録することを特徴とする請求項13に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項15】
前記避難場所登録データベースに登録されている避難場所への経路を表示することが可能に構成されることを特徴とする請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項16】
避難場所への経路を表示するにあたっては、運賃、所要時間、不通区間も表示することを特徴とする請求項15に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項17】
表示された避難場所への切符を購入することが可能なボタンを備えることを特徴とする請求項16に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項18】
前記IC乗車券にチャージされた電子マネーを所属する前記グループIDの下に登録された他のIC乗車券で使用しても良いとの許可を登録するデータベースと、当該データベースの登録に基づいて、前記他のIC乗車券で切符を購入する際に、当該電子マネーを決裁に利用することを特徴とする請求項9乃至請求項17のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項19】
不通区間情報、履歴情報、メッセージ情報、避難場所への経路情報、避難場所地図情報を前記IC乗車券の空きメモリ領域にダウンロード可能に構成されることを特徴とする請求項9乃至請求項18のいずれかに記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【請求項20】
ダウンロードされた情報は、可搬型ビューア又は前記パーソナルコンピュータによって参照可能に設定されることを特徴とする請求項19に記載の災害時対応アプリケーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−133799(P2007−133799A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328275(P2005−328275)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
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