説明

災害防止補助システムおよび災害防止補助方法

【課題】移動体と、その移動体に近接して危険となる危険領域に存在する人との対応関係を明確にする。
【解決手段】作業者X(50)の装着している警報タグ20が電磁波受信可能エリア40内に存在するときは、警報タグ20は、移動体30を識別するトリガーIDを含むトリガー情報を車載装置10から受信して、警報を発報するとともに、受信したトリガーIDおよび自身を識別する警報タグIDを含む警報タグ情報を発信する。その警報タグ情報は、車載装置10の警報出力装置14を発報させる。なお、車載装置10は、受信した警報タグ情報に含まれるトリガーIDが自身を識別するトリガーIDと異なる場合には、警報タグ情報を無視する。そして、車載装置10は、警報タグ20から受信した警報停止情報に含まれるトリガーIDと自身のIDとが同じ場合、警報の発報を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体と人とが接近したときに警報を発報する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体(特に、重機)が稼動しているような作業場所において、移動体によって人(作業員)が撥ねられたり、挟まれたりする災害が発生している。このような災害を防止するために、重機に備えた親局と、人が携帯する子局との間で信号を送受信して、重機と人との間の距離を算出し、危険区域に人が居るのか居ないのかを判定し、危険区域内に人が居ると判定した場合に、警報を発する技術が開示されている(特許文献1,2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−260932号公報
【特許文献2】特開2005−164441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に開示されている技術では、親局が複数存在する場合、親局を識別することができないため、どの重機に接近して危険となっているのかが曖昧になるという問題がある。
そこで、本発明では、移動体と、その移動体に近接して危険となる危険領域に存在する人との対応関係を明確にし、災害防止の補助にする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、移動体に備えられる車載装置(親局)と、作業者によって携帯される警報タグ(子局)とを用いて、どの移動体の危険領域に作業者が存在するのかについての対応関係を明確にする。具体的には、車載装置は、自身を識別するトリガーIDを含むトリガー情報を変調した電磁波を発信し、移動体と作業者とが近接して危険となる危険領域を形成する。警報タグは、トリガー情報を受信し、警報を発報するとともに、受信したトリガーIDと自身を識別する警報タグIDとを含む警報タグ情報を発信する。そして、車載装置は、警報タグ情報を受信し、その警報タグ情報に含まれるトリガーIDが自身を識別するトリガーIDと同じである場合、警報を発報する。すなわち、トリガーIDを移動体と警報タグとの間で送受信して、移動体と、その移動体に近接して危険となる危険領域に存在する作業者との対応関係を明確にすることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、移動体と、その移動体に近接して危険となる危険領域に存在する人との対応関係を明確にし、災害防止の補助にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態における災害防止補助システムの概要を示す図であり、(a)は、電磁波受信可能エリア内に1つの警報タグがある場合を表し、(b)は、電磁波受信可能エリア内に2つの警報タグがある場合を表す。
【図2】本実施形態における車載装置の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態における警報タグの構成例を示す図である。
【図4】車載装置と警報タグとの間で送受信する情報を示す図である。
【図5】電磁波受信可能エリア内に1つの警報タグがある場合の動作例を示す図である。
【図6】電磁波受信可能エリア内に2つ以上の警報タグがある場合の動作例を示す図である。
【図7】車載装置の動作フロー例を示す図である。
【図8】車載装置の動作フロー例のつづきを示す図である。
【図9】警報タグの動作フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態(以降、「実施形態」と称す。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、移動体として、特に重機(例えば、フォークリフト等)を想定して説明を行うが、これに限られるものではない。
【0009】
(概要)
はじめに、移動体と作業者(人)とが近接した場合に、移動体の運転手を含む作業者に、警報を発することによって注意を促す、災害防止補助システムの概要について、図1を用いて説明する。
図1(a)に示すように、移動体30には、車載装置10(親局)を構成する車載制御装置11、電磁波送出装置12、アンテナ13、および警報出力装置14が備えられている。作業者50(A)は、警報タグ20(子局)を、例えば、ヘルメットや服等に装着している。
そして、電磁波送出装置12からは、移動体30を識別するトリガーIDを含むトリガー情報(図4参照)を変調した電磁波が周囲に発信されている。警報タグ20がその電磁波を検出可能なエリアは、移動体30と作業者50とが近接して危険となる危険領域を示す電磁波受信可能エリア40として、破線で示している。この電磁波受信可能エリア40の大きさは、電磁波送出装置12から発信される電磁波強度または警報タグ20が検出する電磁波強度の閾値等によって変えることができる。
【0010】
警報タグ20Aが電磁波受信可能エリア40内に入ると、警報タグ20Aは、トリガー情報を受信して(S1)、警報を発報するとともに、受信したトリガー情報に含まれるトリガーIDを抽出する。そして、警報タグ20Aは、抽出したトリガーIDおよび自身を識別する警報タグIDを含む警報タグ情報(図4参照)を生成し、発信する(S2)。その警報タグ情報は、車載装置10のアンテナ13を介して、車載制御装置11に取得され、受信した警報タグ情報に含まれるトリガーIDが自身を識別するトリガーID(以降、自身のIDとも称する。)と同じ場合に、警報出力装置14を発報させる。なお、車載装置10は、受信した警報タグ情報に含まれるトリガーIDが自身のIDと異なる場合には、警報タグ情報を無視する。すなわち、受信したトリガーIDと自身のIDとが異なる場合には、警報出力装置14は発報しない。
このようにして、移動体30ごとに、異なるトリガーIDを用いることによって、移動体30と、その移動体30の電磁波受信可能エリア40に存在する人との関係を明確にし、災害防止の補助とすることができる。
【0011】
警報タグ20Aが警報を発報すると、作業者50は、安全を確認した後、警報タグ20Aの発報を停止する機能を操作して、警報タグ20Aの発報を停止する。また、警報の発報を停止する機能の操作によって、警報タグ20Aは、受信したトリガーIDとともに車載装置10の発報を停止させる情報を含む警報停止情報(図4参照)を生成し、発信する(S3)。車載装置10は、受信した警報停止情報に含まれるトリガーIDと自身のIDとが同じ場合、警報の発報を停止する。
このようにして、移動体30と、その移動体30の電磁波受信可能エリア40に一旦存在した人との関係が維持されつつ、作業者50は安全の確認を行うことができるので、災害防止の補助とすることができる。
【0012】
また、図1(b)に示すように、電磁波受信可能エリア40内に警報タグ20(20A,20B)が2つ存在する場合には、車載装置10は、2つのトリガーIDを交互に切替えて、トリガー情報に含めて発信する。この場合、警報タグ20(20A,20B)は、トリガーIDが切替わる度に、それぞれ警報を発報し、警報タグ情報を発信する。車載装置10は、警報タグ情報に含まれるトリガーIDが自身のIDと同じ場合には、その警報タグ情報を受信し、警報出力装置14を発報する。このように、警報タグ20および車載装置10の警報出力装置14は、トリガーIDの切替えに応じて警報を発報することになるため、2人の作業者50は、自分を含めて少なくとも2人の作業者50が電磁波受信可能エリア40内に存在することを認識できるので、災害防止の補助とすることができる。なお、移動体30を運転する作業者50の警報タグ20Bも、作業者50の警報タグ20Aと同様の動作をする理由は、運転をしていた作業者50が運転以外の作業者50となる場合があり、その逆の場合もあり、運転手とそれ以外とを同様に扱う必要があるからである。
【0013】
(車載装置)
本実施形態における車載装置の構成例について、図2を用いて説明する(適宜、図1参照)。
図2に示すように、車載装置10は、車載制御装置11、電磁波送出装置12、アンテナ13、および警報出力装置14を備える。なお、前記の各装置を駆動する電源については、図示を省略している。
【0014】
まず、車載制御装置11を構成する各部について以下に説明する。
車載制御装置11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメインメモリによって構成される処理部111と、アプリケーションプログラム等を記憶する記憶部114と、無線受信部112と、電磁誘導駆動部113とで構成される。処理部111は、記憶部114に記憶されているアプリケーションプログラムをメインメモリに展開して、その動作を具現化される。
【0015】
電磁誘導駆動部113は、電磁波送出装置12を駆動して、トリガー情報を変調した電磁波を周囲に発信する。無線受信部112は、アンテナ13によって受信された電波を、処理部111が処理に用いる形式のデータに変換する。記憶部114は、移動体30を識別するトリガーIDや、警報タグ情報に含まれる警報タグID等を記憶している。処理部111は、無線受信部112、電磁誘導駆動部113、および記憶部114との間で情報の入出力制御を行う。また、処理部111は、警報出力装置14に発報を指示する発報指示情報(第1の指示情報)を出力したり、発報停止を指示する発報停止情報を出力したりする。また、処理部111は、受信した最新の警報タグIDを記憶部114に記憶する。
【0016】
電磁波送出装置12は、電磁波を放出可能なアンテナ(例えば、コイル等)であって、トリガーIDを含むトリガー情報を変調した電磁波を周囲に発信する。
アンテナ13は、警報タグ20から送信されてくる電波を受信する。
警報出力装置14は、例えば、警告灯やブザー等であって、処理部111からの指示に基づいて、発報したり、発報を停止したりする。
【0017】
(警報タグ)
本実施形態における警報タグの構成例について、図3を用いて説明する(適宜、図1参照)。
図3に示すように、警報タグ20は、処理部21、電磁波受信部22、警報出力部23、警報停止部24、無線送信部25、アンテナ26、および記憶部27を備える。処理部21は、図示しないCPUおよびメインメモリによって構成される。処理部21は、記憶部27に記憶されているアプリケーションプログラムをメインメモリに展開して、その動作を具現化される。なお、前記の各部を駆動する電源については、図示を省略している。
【0018】
処理部21は、電磁波受信部22、警報出力部23、警報停止部24、無線送信部25、および記憶部27との間で情報の入出力制御を行う。また、処理部21は、電磁波受信部22を介してトリガー情報を取得したとき、警報出力部23に発報を指示する発報指示情報(第2の指示情報)を出力するとともに、無線送信部25およびアンテナ26を介して、警報タグ情報を発信する。また、処理部21は、警報停止部24から発報を停止する指示情報を受信すると、警報出力部23に、発報停止を指示する発報停止情報(第2の発報停止情報)を出力するとともに、無線送信部25およびアンテナ26を介して、車載装置10の警報出力装置14の発報停止を指示する警報停止情報(図4参照)を発信する。また、処理部21は、受信した最新のトリガー情報に含まれるトリガーIDを記憶部27に記憶する。
【0019】
電磁波受信部22は、車載装置10の電磁波送出装置12から発信される電磁波を受信するアンテナ(例えば、コイル等)であって、受信した電磁波からトリガー情報を取得する。
警報出力部23は、例えば、警告灯やブザー等であって、処理部21からの指示に基づいて、発報したり、発報を停止したりする。
警報停止部24は、作業者50の操作によって、警報出力部23の発報を停止する指示情報を処理部21へ出力する。
無線送信部25は、処理部21から出力されたデータ(例えば、警報タグ情報や警報停止情報等)を変調して変調信号を生成し、アンテナ26に出力する。
アンテナ26は、無線送信部25によって生成された変調信号を、発信する。
【0020】
図4(a),(b),(c)は、それぞれ(a)トリガー情報、(b)警報タグ情報、および(c)警報停止情報に格納される情報を示している。
トリガー情報は、移動体30を識別するトリガーIDを含んでいる。なお、後記するように、移動体30ごとに、2つのトリガーIDが割り当てられている。
警報タグ情報は、トリガーIDと警報タグIDとを含んでいる。
警報停止情報は、警報タグ情報と発報停止とを含んでいる。発報停止は、車載装置10の処理部111に取得されると、処理部111によって発報停止を指示する発報停止情報に変換され、その発報停止情報を受信した警報出力装置14の発報を停止する。
【0021】
(1つの警報タグが電磁波受信可能エリアに入った場合の動作例)
1つの警報タグが電磁波受信可能エリアに入った場合の動作例について、図5を用いて説明する(適宜、図2,3参照)。
図5には、横軸を時間にとり、縦軸の項目には、大きく四角のブロックで分けて、上から順に、車載装置10の状態および作業者X(50)の警報タグ20の状態を表している。車載装置10の状態のブロックは、トリガーID、車載装置10の記憶部114に記憶している警報タグID、および車載装置10の警報出力装置14の状態、を表している。また、作業者X(50)の警報タグ20の状態のブロックは、作業者X(50)の警報タグ20の状態および警報タグ20の記憶部27に記憶しているトリガーID、を表している。なお、双方のブロックの間は、車載装置10と警報タグ20との間の送受信状態を表している。
【0022】
まず、作業者X(50)が移動体30のエンジンを起動し、車載装置10の電源をONする。車載装置10の電磁波送出装置12は、記憶部114に記憶している2つのトリガーIDのうちのいずれか(例えば、A1)を含むトリガー情報を変調した電磁波を周囲に発信する(図5中の実線矢印)。
【0023】
作業者X(50)の警報タグ20は、トリガーID(=A1)を含むトリガー情報を受信すると、警報を発報し、自身の記憶部27にトリガーID(=A1)を記憶する。そして、警報タグ20は、警報タグ情報を発信する(図5中の破線矢印)。警報タグ情報には、受信したトリガーID(=A1)および警報タグ20を識別する警報タグID(例えば、X)が含まれている。
次に、作業者X(50)は、自分の安全を確認した後、警報タグ20の発報を停止する操作を行う。そして、警報タグ20は、自身の発報を停止するとともに、警報停止情報(警報タグ情報および発報停止)を送信する。そして、警報タグ20は、動作を休止する。警報タグ20は、休止状態の間は、トリガー情報を無視し続ける。
【0024】
警報タグ20は、休止状態から動作状態に戻ったときに、トリガー情報を受信する。なお、休止状態から動作状態に戻す理由は、別のトリガーIDを割り当てられている移動体30の電磁波受信可能エリア40内に入ってしまう可能性があるからである。しかし、警報タグ20は、記憶部27に記憶済のトリガーID(=A1)と同じトリガーID(=A1)を検出するので、その度に、休止状態となる。
そして、作業者X(50)が電磁波受信可能エリア40の外へ出ると、警報タグ20は、トリガー情報を受信しなくなり、予め設定されている所定時間後に、記憶部27に記憶していたトリガーIDのA1を削除する。
したがって、記憶部27にはトリガーIDのA1が削除されているため、作業者X(50)の警報タグ20が、再び、電磁波受信可能エリア40に入った場合には、警報を発報することになり、移動体30への接近を検出することができる。
【0025】
車載装置10は、警報タグ20から警報タグ情報を受信し、その警報タグ情報に含まれているトリガーIDがA1であること(自身のものであること)を検出すると、警報出力装置12より警報を発報し、車載装置10の記憶部114に警報タグID(=X)を記憶する。なお、記憶部114に記憶された警報タグIDは、車載装置10の電源がOFFされるまで記憶されている。
そして、車載装置10は、警報停止情報を受信して、発報を停止する。
【0026】
なお、前記説明では、作業者X(50)が運転手の場合で説明したが、運転手が居ない状況で車載装置10の電源がONの状態において、運転手ではない作業者X(50)の警報タグ20が電磁波受信可能エリア40に入った場合でも、同様の動作となる。
【0027】
(2つ以上の警報タグが電磁波受信可能エリアに入った場合の動作)
2つ以上の警報タグが電磁波受信可能エリアに入った場合の動作例について、図6を用いて説明する(適宜、図2,3参照)。なお、図6では、警報タグ20が2つの場合で示しているが、2つ以上であっても、同様の動作となる。
図6には、横軸を時間にとり、縦軸の項目には、大きく四角のブロックで分けて、上から順に、車載装置10の状態、作業者Xの警報タグ20の状態、および作業者Yの警報タグ20の状態、を表している。
車載装置10の状態のブロックは、トリガーID、車載装置10の記憶部114に記憶されている警報タグID、および車載装置10の警報出力装置14の状態、を表している。
作業者Xの警報タグ20の状態および作業者Yの警報タグ20の状態の各ブロックは、それぞれ、車載装置10と警報タグ20との間の送受信状態、作業者50の警報タグ20の状態、および警報タグ20の記憶部27に記憶されているトリガーID、を表している。
【0028】
まず、動作の説明に入る前の状態について、説明する。
車載装置10は、トリガーID=A1を含むトリガー情報を発信し、記憶部114には警報タグID=X(作業者X(50)の警報タグ20を識別する情報)が記憶されており、警報出力装置14が発報を停止している状態になっているものとする。
また、作業者X(50)が移動体30の運転席に居て、作業者X(50)の警報タグ20は、トリガーID=A1を含むトリガー情報を受信し、休止を繰り返している状態とする。作業者X(50)の警報タグ20の記憶部27には、トリガーID=A1が記憶されている。
【0029】
ここで、別の作業者Y(50)の警報タグ20が、電磁波受信可能エリア40に入ってくる。作業者Y(50)の警報タグ20は、トリガーID=A1を含むトリガー情報を受信し、発報する(発報1)。また、作業者Y(50)の警報タグ20は、警報タグ情報(トリガーID=A1、警報タグID=Y)を発信する。
そして、車載装置10は、作業者Y(50)の警報タグ20から警報タグ情報(トリガーID=A1、警報タグID=Y)を受信し、トリガーIDが自身のIDであることを確認し、以下の動作に入る。
【0030】
車載装置10は、既に記憶部114に記憶されている警報タグID(=X)と、受信した警報タグID(=Y)とを比較し、双方が異なる場合、2つ以上の警報タグ20が電磁波受信可能エリア40内に存在していると判定する。そして、2つ以上の警報タグ20が電磁波受信可能エリア40内に存在していると判定している間、車載装置10は、トリガーIDをA1とは別のA2に切替え、その後、所定時間ごとに、A1とA2とを切替えて、トリガー情報を発信する。その状態を、上段の車載装置10の状態のブロックのトリガーIDに表している。
【0031】
なお、車載装置10の記憶部114に記憶している警報タグIDは、トリガーIDが切替わると、作業者Y(50)および動作状態となった作業者X(50)の警報タグ20の双方から警報タグ情報を受信するので、YおよびXのいずれか最新に受信した方となる。なお、図6に示すように、車載装置10の記憶部114の横棒表示中において、斜め線は、警報タグIDのXおよびYが頻繁に変わることを表している。
【0032】
そして、時間が経過して、運転手である作業者X(50)が電磁波受信可能エリア40の外へ出ることによって、電磁波受信可能エリア40内に作業者Y(50)1人となった場合には、受信される警報タグID(図6では、Y)が所定時間変わらなくなる。そこで、車載装置10は、受信される警報タグIDが所定時間変わらない場合、トリガーIDを固定(図6では、A2)し、前記した、1つの警報タグが電磁波受信可能エリアに入った場合の動作状態に戻して動作する。なお、図6では、運転手が交代するケースで説明したが、運転手でない作業者50が交代するケースでも、同様の動作となる。
【0033】
また、車載装置10の警報出力装置14における警報の発報停止は、発報してから最初に受信した警報停止情報によって行われるものとする。図6に示す例では、車載装置10の警報出力装置14における、発報1、発報2、および発報3のいずれの状態においても、作業者Y(50)の警報タグ20から送信される警報停止情報は、作業者X(50)の警報タグ20から送信される警報停止情報より、先に車載装置10に受信されている。そのため、図6では、車載装置10における警報の発報停止は、作業者Y(50)の警報タグ20から送信される警報停止情報に基づいて行われる。
【0034】
次に、運転手である作業者X(50)の警報タグ20の状態について、作業者X(50)の警報タグ20が休止状態から動作状態になった時点から説明する。
作業者X(50)の警報タグ20は、動作状態になると、トリガーID=A2を含むトリガー情報を受信する。したがって、作業者X(50)の警報タグ20は、既に記憶部27に記憶されているトリガーID=A1と異なると判定し、警報を発報し(発報1)、警報タグ情報を発信し、記憶部27にトリガーIDとしてA2を記憶する。その後、作業者X(50)の警報タグ20は、警報停止部24の操作によって発報を停止するとともに、警報停止情報を発信し、動作を休止する。
そして、作業者X(50)の警報タグ20は、休止状態が終わると、トリガーID=A1のトリガー情報を受信する。したがって、作業者X(50)の警報タグ20は、既に記憶部27に記憶されているトリガーID=A2と異なると判定し、警報を発報し(発報2)、警報タグ情報を発信し、記憶部27にトリガーIDとしてA1を記憶する。その後、作業者X(50)の警報タグ20は、警報停止部24の操作によって発報を停止するとともに、警報停止情報を発信し、動作を休止する。
【0035】
このようにして、作業者X(50)は、自分以外に作業者50が、電磁波受信可能エリア40内に居ることを認識することができる。
その後、例えば、作業者Y(50)と運転を交代するため、作業者X(50)が電磁波受信可能エリア40の外へ出ると、作業者X(50)の警報タグ20は、トリガー情報を受信しなくなり、トリガー情報を受信しなくなってから所定時間後に、記憶部27に記憶してあったトリガーIDのA1を削除する。
【0036】
次に、作業者Y(50)の警報タグ20の状態について説明する。
作業者Y(50)の警報タグ20は、例えば、運転の交代のため、電磁波受信可能エリア40に入ると、トリガーID=A1を含むトリガー情報を受信し、警報を発報し(発報1)、警報タグ情報を発信し、記憶部27にトリガーIDとしてA1を記憶する。作業者Y(50)の警報タグ20は、発報(発報1)中に、トリガーID=A2を含むトリガー情報を受信し、記憶部27にトリガーIDとしてA2を記憶する。その後、作業者Y(50)の警報タグ20は、警報停止部24の操作によって発報を停止するとともに、警報停止情報を発信し、動作を休止する。
【0037】
そして、作業者Y(50)の警報タグ20は、休止状態から動作状態に変わると、トリガーID=A1のトリガー情報を受信する。したがって、作業者Y(50)の警報タグ20は、既に記憶部27に記憶されているトリガーID=A2と異なると判定し、警報を発報し(発報2)、警報タグ情報を発信し、記憶部27にトリガーIDとしてA1を記憶する。その後、作業者Y(50)の警報タグ20は、警報停止部24の操作によって発報を停止するとともに、警報停止情報を発信し、動作を休止する。
【0038】
そして、作業者Y(50)の警報タグ20は、休止状態から動作状態に変わると、トリガーID=A2のトリガー情報を受信する。したがって、作業者Y(50)の警報タグ20は、既に記憶部27に記憶されているトリガーID=A1と異なると判定し、警報を発報し(発報3)、警報タグ情報を発信し、記憶部27にトリガーIDとしてA2を記憶する。その後、作業者Y(50)の警報タグ20は、警報停止部24の操作によって発報を停止するとともに、警報停止情報を発信し、動作を休止する。
このようにして、2つ以上の警報タグ20が電磁波受信可能エリア40内に存在する場合であっても、2つのトリガーIDを交互に切替えることによって、警報を発報することができる。すなわち、運転手としての作業者50および運転手以外の作業者50を、同様に扱うことができる。
【0039】
なお、図6に示す例では、運転手が作業者X(50)から作業者Y(50)に交代し、作業者X(50)が電磁波受信可能エリア40の外へ出ることによって、発報3の後の休止状態が終わっても、トリガー情報に含まれるトリガーIDは、A2のままであるので、作業者Y(50)の警報タグ20は、既に記憶部27に記憶されているトリガーID=A2と同じと判定し、休止を繰り返す。このようにして、作業者Y(50)は、警報が発報しないことによって、自分以外に作業者50が、電磁波受信可能エリア40内に居ないことを認識することができる。
【0040】
(車載装置の動作フロー)
次に、車載装置10の動作フローについて、図7,8を用いて説明する(適宜、図2,5,6参照)。図7に示す処理は、1つの警報タグが電磁波受信可能エリアに入った場合の動作フロー例であり、図8に示す処理は、2つ以上の警報タグが電磁波受信可能エリアに入った場合の動作フロー例である。
【0041】
ステップS701では、車載装置10の図示しない電源がONされ、処理部111は、記憶部114に記憶されている警報タグIDを初期値に初期設定する。なお、初期値は、警報タグIDとして用いられていない値に設定される。
ステップS702では、電磁誘導駆動部113が、トリガーIDを含むトリガー情報を、第1の所定周期で発信する。
ステップS703では、処理部111は、無線受信部112を介して警報タグ20から送信されてきた警報タグ情報を受信したか否かを判定する。
警報タグ情報を受信していないと判定した場合(ステップS703でNo)、処理は、ステップS703へ戻る。
警報タグ情報を受信していると判定した場合(ステップS703でYes)、ステップS704では、処理部111は、警報タグ情報からトリガーIDを抽出する。
【0042】
ステップS705では、処理部111は、抽出したトリガーIDが自身のIDと同じか否かを判定する。
抽出したトリガーIDが自身のIDと同じでないと判定した場合(ステップS705でNo)、処理部111は、自身向けの警報タグ情報でないと判断し、処理をステップS703へ戻す。
抽出したトリガーIDが自身のIDと同じと判定した場合(ステップS705でYes)、ステップS706では、処理部111は、警報タグ情報から警報タグIDを抽出する。
ステップS707では、処理部111は、記憶部114の警報タグIDが初期値であるか否かを判定する。
記憶部114の警報タグIDが初期値と同じであると判定した場合(ステップS707でYes)、ステップS708では、処理部111は、警報出力装置14に発報指示情報を送信し、警報出力装置14を発報させるとともに、抽出した警報タグIDで記憶部114の警報タグIDを更新する。
【0043】
記憶部114の警報タグIDが初期値と同じでないと判定した場合(ステップS707でNo)、ステップS709では、処理部111は、警報停止情報を受信したか否かを判定する。すなわち、処理部111は、発報停止の情報が含まれているか否かを判定する。
警報停止情報を受信していないと判定した場合(ステップS709でNo)、ステップS710では、処理部111は、警報出力装置14に発報指示情報を送信し、警報出力装置14を発報させる。なお、警報出力装置14の発報は、発報停止の指示を受けるまで、継続するものとする。
警報停止情報を受信したと判定した場合(ステップS709でYes)、ステップS711では、処理部111は、警報出力装置14に発報停止を指示する発報停止情報を送信し、警報出力装置14の発報を停止させる。
【0044】
ステップS712では、処理部111は、抽出した警報タグIDが記憶部114の警報タグID(記憶部114に記憶されている警報タグID)と同じか否かを判定する。
抽出した警報タグIDが記憶部114の警報タグIDと同じと判定した場合(ステップS712でYes)、処理はステップS703へ戻る。
なお、抽出した警報タグIDが記憶部114の警報タグIDと同じでないと判定した場合(ステップS712でNo)、処理は、図8に示すステップS801へ進む。
【0045】
図8に移って、ステップS801では、処理部111は、経過時間を計測するタイマー(不図示)を用いて、経過時間の計測を開始する。また、処理部111は、2つのトリガーIDを第2の所定周期で交互に切替えつつ、トリガー情報に含め、第1の所定周期で発信する。ただし、第2の所定周期>第1の所定周期である。
ステップS802では、処理部111は、記憶部114の警報タグID(記憶部114に記憶されている警報タグID)を、抽出した警報タグIDで更新する。
ステップS803では、処理部111は、無線受信部112を介して警報タグ20から送信されてきた警報タグ情報を受信したか否かを判定する。
警報タグ情報を受信していないと判定した場合(ステップS803でNo)、処理は、ステップS803へ戻る。
警報タグ情報を受信したと判定した場合(ステップS803でYes)、ステップS804では、処理部111は、警報タグ情報からトリガーIDを抽出する。
【0046】
ステップS805では、処理部111は、抽出したトリガーIDが自身のIDと同じか否かを判定する。
抽出したトリガーIDが自身のIDと同じでないと判定した場合(ステップS805でNo)、処理部111は、自身向けの警報タグ情報でないと判断し、処理をステップS803へ戻す。
抽出したトリガーIDが自身のIDと同じと判定した場合(ステップS805でYes)、ステップS806では、処理部111は、警報タグ情報から警報タグIDを抽出する。
【0047】
ステップS807では、処理部111は、警報停止情報を受信したか否かを判定する。すなわち、処理部111は、発報停止の情報が含まれているか否かを判定する。
警報停止情報を受信していないと判定した場合(ステップS807でNo)、ステップS808では、処理部111は、警報出力装置14に発報指示情報を送信し、警報出力装置14を発報させる。なお、警報出力装置14の発報は、発報停止の指示を受けるまで、継続するものとする。
警報停止情報を受信したと判定した場合(ステップS807でYes)、ステップS809では、処理部111は、警報出力装置14に発報停止情報を送信し、警報出力装置14の発報を停止させる。
ステップS810では、処理部111は、抽出した警報タグIDが記憶部114の警報タグID(記憶部114に記憶されている警報タグID)と同じか否かを判定する。
【0048】
抽出した警報タグIDが記憶部114の警報タグIDと同じであると判定した場合(ステップS810でYes)、ステップS811では、処理部111は、経過時間が予め設定されている閾値より大きいか否かを判定する。
ステップS811において、経過時間が閾値より大きいと判定した場合(ステップS811でYes)、処理は、ステップS702へ戻る。
ステップS811において、経過時間が閾値以下と判定した場合(ステップS811でNo)、処理は、ステップS802へ戻る。
また、ステップS810において、抽出した警報タグIDが記憶部114の警報タグIDと同じでないと判定した場合(ステップS810でNo)、ステップS812では、処理部111は、経過時間をリセット(0に)し、処理をステップS802へ戻す。
【0049】
(警報タグの処理フロー)
警報タグ20の処理フローについて、図9を用いて説明する(適宜、図3参照)。
ステップS901では、警報タグ20の図示しない電源がONされ、処理部21は、記憶部27に記憶されているトリガーIDを初期値に初期設定する。なお、初期値は、トリガーIDに用いられていない値とする。
ステップS902では、処理部21は、車載装置10からトリガー情報を受信したか否かを判定する。
トリガー情報を受信していないと判定した場合(ステップS902でNo)、ステップS903では、処理部21は、所定時間トリガー情報を受信しないとき、記憶部27のトリガーIDを初期値に更新する、なお、所定時間内にトリガー情報を受信している場合は、ステップS903の処理は行わずに、スルーする。そして、処理をステップS902へ戻す。
トリガー情報を受信したと判定した場合(ステップS902でYes)、ステップS904では、処理部21は、受信したトリガー情報からトリガーIDを抽出する。
【0050】
ステップS905では、処理部21は、記憶部27のトリガーIDが初期値であるか否かを判定する。
記憶部27のトリガーIDが初期値あると判定した場合(ステップS905でYes)、ステップS906では、処理部21は、警報出力部23に発報指示情報を送信し、警報出力部23に発報させ、警報タグ情報を発信し、抽出したトリガーIDで記憶部27のトリガーIDを更新する。
記憶部27のトリガーIDが初期値ないと判定した場合(ステップS905でNo)、ステップS907では、処理部21は、抽出したトリガーIDが記憶部27に記憶されているトリガーIDと同じか否かを判定する。
【0051】
抽出したトリガーIDが記憶部27のトリガーIDと同じでないと判定した場合(ステップS907でNo)、ステップS908では、処理部21は、警報出力部23に発報指示情報を送信し、警報出力部23に発報させる。
ステップS909では、処理部21は、記憶部27のトリガーIDを、抽出したトリガーIDで更新する。
ステップS907において、抽出したトリガーIDが記憶部27のトリガーIDと同じと判定した場合(ステップS907でYes)、処理部21は、処理をステップS910に進める。
【0052】
ステップS910では、処理部21は、警報停止部24から、作業者50の操作によって、警報出力部23の発報を停止する指示を受信したか否か、すなわち警報停止を受信したか否か、を判定する。
警報停止を受信していない場合(ステップS910でNo)、ステップS911では、処理部21は、警報タグ情報を発信し、処理をステップS902へ戻す。
また、警報停止を受信した場合(ステップS910でYes)、ステップS912では、処理部21は、警報出力部23に発報停止情報を送信して、警報出力部23の発報を停止させるとともに、警報停止情報を発信する。
ステップS913では、処理部21は、所定時間、動作を休止する。そして、所定時間経過後、処理部21は、動作状態に復帰し、処理をステップS902へ戻す。
【0053】
以上、本実施形態における災害防止補助システム1では、移動体30に備えられる車載装置10と、作業者50によって携帯される警報タグ20とで構成される。車載装置10は、自身を識別するトリガーIDを含むトリガー情報を変調した電磁波を発信し、移動体30と作業者50とが近接して危険となる危険領域を示す電磁波受信可能エリア40を形成する。警報タグ20は、トリガー情報を受信し、警報を発報するとともに、受信したトリガーIDと自身を識別する警報タグIDとを含む警報タグ情報を発信する。そして、車載装置10は、警報タグ情報を受信し、その警報タグ情報に含まれるトリガーIDが自身のIDと同じである場合、警報を発報する。したがって、災害防止補助システム1は、移動体30と、その移動体30に近接して危険となる危険領域に存在する人との対応関係を明確にするので、災害防止の補助とすることができる。
【0054】
また、警報タグ20は、トリガー情報を受信したときに、そのトリガー情報に含まれるトリガーIDを記憶部27に記憶する。そして、警報タグ20は、その発報を作業者50の操作によって停止されるとともに、車載装置10の発報を停止する警報停止情報を発信し、動作を所定時間休止する。なお、車載装置10は、警報タグ20から警報停止情報を受信し、その警報停止情報に含まれるトリガーIDが自身のIDと同じ場合に、発報を停止する。そして、警報タグ20は、休止状態から動作状態に復帰したとき、受信したトリガー情報に含まれるトリガーIDが、記憶部27のトリガーIDと同じである場合、再び動作を所定時間休止する。また、警報タグ20は、所定時間トリガー情報を受信しなかった場合、記憶部27のトリガーIDを削除する。
【0055】
したがって、1人の作業者50が電磁波受信可能エリア40(危険領域)に存在する場合には、その作業者50は、自身の携帯する警報タグ20が発報することによって、移動体30の接近を認識することができる。また、その作業者50が電磁波受信可能エリア40(危険領域)外に出て所定時間経過した後に、再び電磁波受信可能エリア40(危険領域)に入った場合であっても、記憶部27のトリガーIDは削除されているので、警報タグ20が発報する。このことによって、移動体30と、その移動体30に近接して危険となる危険領域に存在する人との対応関係を明確にするので、災害防止の補助とすることができる。
【0056】
また、車載装置10は、警報タグ情報を受信したときに、最新に受信した警報タグ情報に含まれる警報タグIDを記憶部114に記憶している。そこで、2人以上の作業者50が電磁波受信可能エリア40(危険領域)に存在する場合には、車載装置10は、受信した警報タグIDと記憶部114の警報タグIDとを比較し、双方が異なる場合に、2つのトリガーIDを第2の所定時間で交互に切替えて、トリガー情報に含めて、発信する。したがって、2人以上の作業者50が電磁波受信可能エリア40(危険領域)に存在する場合には、警報の発報が断続的に発生することになり、接近する移動体30を特定しつつ、2人以上の作業者50が危険領域内に存在することを、作業者50(特に、運転手となる作業者50)は認識することができるので、災害防止の補助とすることができる。
【0057】
また、警報タグ20を携帯する作業者50が移動体30の運転者である場合、他の移動体30が接近してきた場合には、警報タグ20が発報することによって、移動体30同士の接近を認識することができる。
また、実施形態では作業者50が警報タグ20を携帯するものとして説明したが、警報タグ20の装着先は、人に限られることはなく、例えば、移動体30(例えば、相対的に強固な移動体)とは別の移動体(例えば、移動体30より相対的に脆弱な移動体)またはロボットであっても、災害防止の補助とすることができる。この場合には、例えば、別の移動体またはロボットが、電磁波受信可能エリア40の外に出て、トリガー情報を変調した電磁波を受信しなくなったことを検出して、自動的に警報タグ20の警報停止部24(図3参照)の操作を行う機能を備えて、自身の警報出力部23の発報を停止するとともに、発報停止情報を送信するようにすると良い。
【0058】
なお、運転手以外の作業者50は、警報の発報があった場合、一旦、電磁波受信可能エリア40(危険領域)の外に出て、発報を停止することが、災害防止のために好ましい。そのため、警報タグ20から発信される警報タグ情報および警報停止情報は、電磁波受信可能エリア40(危険領域)の外からでも、車載装置10によって受信可能にされると良い。
【符号の説明】
【0059】
1 災害防止補助システム
10 車載装置(親局)
11 車載制御装置
12 電磁波送出装置(第1の送出部)
13 アンテナ
14 警報出力装置(第1の警報出力部)
20 警報タグ(子局)
21 処理部(第2の処理部)
22 電磁波受信部(第2の受信部)
23 警報出力部(第2の警報出力部)
24 警報停止部
25 無線送信部(第2の送信部)
26 アンテナ
27 記憶部(第2の記憶部)
111 処理部(第1の処理部)
112 無線受信部(第1の受信部)
113 電磁誘導駆動部(第1の送出部)
114 記憶部(第1の記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される親局と人に携帯される子局とが接近したときに警報を発報する災害防止補助システムであって、
前記親局は、
自身を識別するトリガーIDを記憶している第1の記憶部と、
前記トリガーIDを含むトリガー情報を発信する第1の送出部と、
前記子局によって受信された前記トリガー情報から抽出された前記トリガーIDと、当該子局を識別する警報タグIDとを含む警報タグ情報を前記子局から受信する第1の受信部と、
受信した前記警報タグ情報から抽出した前記トリガーIDと前記第1の記憶部の前記トリガーIDとを比較し、前記抽出した前記トリガーIDが前記第1の記憶部の前記トリガーIDと同じである場合、第1の警報出力部に警報を発報させる第1の指示情報を送信する第1の処理部と、
前記第1の処理部から前記第1の指示情報を受信して、警報を発報する前記第1の警報出力部と、
を備え、
前記子局は、
自身を識別する前記警報タグIDを記憶している第2の記憶部と、
前記トリガー情報を受信する第2の受信部と、
前記受信した前記トリガー情報に含まれる前記トリガーIDを抽出して、当該トリガーIDを含む前記警報タグ情報を第2の送信部を介して発信し、第2の警報出力部に警報を発報させる第2の指示情報を送信する第2の処理部と、
前記警報タグ情報を発信する前記第2の送信部と、
前記第2の処理部から前記第2の指示情報を受信して、警報を発報する前記第2の警報出力部と、
を備えることを特徴とする災害防止補助システム。
【請求項2】
2台以上の移動体にそれぞれ搭載される親局と前記移動体の運転者に携帯される子局とが接近したときに警報を発報する災害防止補助システムであって、
前記親局は、
自身を識別するトリガーIDを記憶している第1の記憶部と、
前記トリガーIDを含むトリガー情報を発信する第1の送出部と、
前記子局によって受信された前記トリガー情報から抽出された前記トリガーIDと、当該子局を識別する警報タグIDとを含む警報タグ情報を前記子局から受信する第1の受信部と、
受信した前記警報タグ情報から抽出した前記トリガーIDと前記第1の記憶部の前記トリガーIDとを比較し、前記抽出した前記トリガーIDが前記第1の記憶部の前記トリガーIDと同じである場合、第1の警報出力部に警報を発報させる第1の指示情報を送信する第1の処理部と、
前記第1の処理部から前記第1の指示情報を受信して、警報を発報する前記第1の警報出力部と、
を備え、
前記子局は、
自身を識別する前記警報タグIDを記憶している第2の記憶部と、
前記トリガー情報を受信する第2の受信部と、
前記受信した前記トリガー情報に含まれる前記トリガーIDを抽出して、当該トリガーIDを含む前記警報タグ情報を第2の送信部を介して発信し、第2の警報出力部に警報を発報させる第2の指示情報を送信する第2の処理部と、
前記警報タグ情報を発信する前記第2の送信部と、
前記第2の処理部から前記第2の指示情報を受信して、警報を発報する前記第2の警報出力部と、
を備えることを特徴とする災害防止補助システム。
【請求項3】
移動体に搭載される親局と前記移動体とは別の移動体に装着される子局とが接近したときに警報を発報する災害防止補助システムであって、
前記親局は、
自身を識別するトリガーIDを記憶している第1の記憶部と、
前記トリガーIDを含むトリガー情報を発信する第1の送出部と、
前記子局によって受信された前記トリガー情報から抽出された前記トリガーIDと、当該子局を識別する警報タグIDとを含む警報タグ情報を前記子局から受信する第1の受信部と、
受信した前記警報タグ情報から抽出した前記トリガーIDと前記第1の記憶部の前記トリガーIDとを比較し、前記抽出した前記トリガーIDが前記第1の記憶部の前記トリガーIDと同じである場合、第1の警報出力部に警報を発報させる第1の指示情報を送信する第1の処理部と、
前記第1の処理部から前記第1の指示情報を受信して、警報を発報する前記第1の警報出力部と、
を備え、
前記子局は、
自身を識別する前記警報タグIDを記憶している第2の記憶部と、
前記トリガー情報を受信する第2の受信部と、
前記受信した前記トリガー情報に含まれる前記トリガーIDを抽出して、当該トリガーIDを含む前記警報タグ情報を第2の送信部を介して発信し、第2の警報出力部に警報を発報させる第2の指示情報を送信する第2の処理部と、
前記警報タグ情報を発信する前記第2の送信部と、
前記第2の処理部から前記第2の指示情報を受信して、警報を発報する前記第2の警報出力部と、
を備えることを特徴とする災害防止補助システム。
【請求項4】
前記子局の前記第2の警報出力部の発報を停止する指示情報を前記第2の処理部に送信する警報停止部を備え、
前記第2の処理部は、前記警報停止部から前記第2の警報出力部の発報を停止する指示情報を受信した場合、前記第2の警報出力部に発報停止を指示する第2の発報停止情報を送信して前記第2の警報出力部の発報を停止させるとともに、前記警報タグ情報および前記第1の警報出力部の発報を停止させる発報停止情報を含む警報停止情報を前記第2の送信部を介して発信する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の災害防止補助システム。
【請求項5】
前記親局の前記第1の処理部は、前記第1の受信部によって受信された前記警報停止情報から抽出した前記トリガーIDと前記第1の記憶部の前記トリガーIDとを比較し、前記抽出した前記トリガーIDが前記第1の記憶部の前記トリガーIDと同じである場合、前記第1の警報出力部に前記発報停止情報を送信して前記第1の警報出力部の発報を停止させる
ことを特徴とする請求項4に記載の災害防止補助システム。
【請求項6】
前記子局の前記第2の記憶部が、受信した前記トリガー情報に含まれる前記トリガーIDを記憶しており、
前記第2の処理部は、前記警報停止情報を発信するとともに、所定時間、動作を休止し、当該休止状態から動作状態に復帰して前記トリガー情報を受信したとき、当該トリガー情報から抽出した前記トリガーIDと、その直前に受信して前記第2の記憶部に記憶されている前記トリガーIDとを比較して、双方が同じ場合、所定時間、動作を休止し、双方が異なる場合、前記抽出した前記トリガーIDを含む前記警報タグ情報を前記第2の送信部を介して発信し、前記第2の警報出力部に警報を発報させる前記第2の指示情報を送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の災害防止補助システム。
【請求項7】
前記子局の前記第2の処理部は、前記トリガー情報を、所定時間内に受信したか否かを判定し、所定時間内に受信していないと判定した場合、前記第2の記憶部の前記トリガーIDを削除する
ことを特徴とする請求項6に記載の災害防止補助システム。
【請求項8】
前記親局の前記第1の記憶部が、自身を識別する2つの前記トリガーIDと、受信した前記警報タグ情報に含まれる前記警報タグIDとを記憶しており、
前記第1の処理部が、前記警報タグ情報を受信したとき、当該警報タグ情報から抽出した前記警報タグIDと、その直前に受信して前記第1の記憶部に記憶されている前記警報タグIDとを比較し、所定時間内に双方が異なる場合、前記第1の送出部が、前記2つの前記トリガーIDを交互に切替えて含ませた前記トリガー情報を発信し、当該所定時間を経過しても双方が同じ場合、1つの前記トリガーIDを含ませた前記トリガー情報を発信する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の災害防止補助システム。
【請求項9】
移動体に搭載される親局と人に携帯される子局とが接近したときに警報を発報する災害防止補助システムにおいて用いられる災害防止補助方法であって、
前記親局は、
自身を識別するトリガーIDを記憶している第1の記憶部と、前記トリガーIDを含むトリガー情報を発信する第1の送出部と、を備え、
前記子局によって受信された前記トリガー情報から抽出された前記トリガーIDと、当該子局を識別する警報タグIDとを含む警報タグ情報を前記子局から受信する第1の受信ステップと、
受信した前記警報タグ情報から抽出した前記トリガーIDと前記第1の記憶部の前記トリガーIDとを比較し、前記抽出した前記トリガーIDが前記第1の記憶部の前記トリガーIDと同じである場合、第1の警報出力ステップに警報を発報させる第1の指示情報を送信する第1の処理ステップと、
前記第1の処理ステップから前記第1の指示情報を受信して、警報を発報する前記第1の警報出力ステップと、
を実行し、
前記子局は、
自身を識別する前記警報タグIDを記憶している第2の記憶部と、前記トリガー情報を受信する第2の受信部と、を備え、
前記受信した前記トリガー情報に含まれる前記トリガーIDを抽出して、当該トリガーIDを含む前記警報タグ情報を第2の送信ステップを介して発信し、第2の警報出力ステップに警報を発報させる第2の指示情報を送信する第2の処理ステップと、
前記警報タグ情報を発信する前記第2の送信ステップと、
前記第2の処理ステップから前記第2の指示情報を受信して、警報を発報する前記第2の警報出力ステップと、
を実行することを特徴とする災害防止補助方法。
【請求項10】
2台以上の移動体にそれぞれ搭載される親局と前記移動体の運転者に携帯される子局とが接近したときに警報を発報する災害防止補助システムにおいて用いられる災害防止補助方法であって、
前記親局は、
自身を識別するトリガーIDを記憶している第1の記憶部と、前記トリガーIDを含むトリガー情報を発信する第1の送出部と、を備え、
前記子局によって受信された前記トリガー情報から抽出された前記トリガーIDと、当該子局を識別する警報タグIDとを含む警報タグ情報を前記子局から受信する第1の受信ステップと、
受信した前記警報タグ情報から抽出した前記トリガーIDと前記第1の記憶部の前記トリガーIDとを比較し、前記抽出した前記トリガーIDが前記第1の記憶部の前記トリガーIDと同じである場合、第1の警報出力ステップに警報を発報させる第1の指示情報を送信する第1の処理ステップと、
前記第1の処理ステップから前記第1の指示情報を受信して、警報を発報する前記第1の警報出力ステップと、
を実行し、
前記子局は、
自身を識別する前記警報タグIDを記憶している第2の記憶部と、前記トリガー情報を受信する第2の受信部と、を備え、
前記受信した前記トリガー情報に含まれる前記トリガーIDを抽出して、当該トリガーIDを含む前記警報タグ情報を第2の送信ステップを介して発信し、第2の警報出力ステップに警報を発報させる第2の指示情報を送信する第2の処理ステップと、
前記警報タグ情報を発信する前記第2の送信ステップと、
前記第2の処理ステップから前記第2の指示情報を受信して、警報を発報する前記第2の警報出力ステップと、
を実行することを特徴とする災害防止補助方法。
【請求項11】
移動体に搭載される親局と前記移動体とは別の移動体に装着される子局とが接近したときに警報を発報する災害防止補助システムにおいて用いられる災害防止補助方法であって、
前記親局は、
自身を識別するトリガーIDを記憶している第1の記憶部と、前記トリガーIDを含むトリガー情報を発信する第1の送出部と、を備え、
前記子局によって受信された前記トリガー情報から抽出された前記トリガーIDと、当該子局を識別する警報タグIDとを含む警報タグ情報を前記子局から受信する第1の受信ステップと、
受信した前記警報タグ情報から抽出した前記トリガーIDと前記第1の記憶部の前記トリガーIDとを比較し、前記抽出した前記トリガーIDが前記第1の記憶部の前記トリガーIDと同じである場合、第1の警報出力ステップに警報を発報させる第1の指示情報を送信する第1の処理ステップと、
前記第1の処理ステップから前記第1の指示情報を受信して、警報を発報する前記第1の警報出力ステップと、
を実行し、
前記子局は、
自身を識別する前記警報タグIDを記憶している第2の記憶部と、前記トリガー情報を受信する第2の受信部と、を備え、
前記受信した前記トリガー情報に含まれる前記トリガーIDを抽出して、当該トリガーIDを含む前記警報タグ情報を第2の送信ステップを介して発信し、第2の警報出力ステップに警報を発報させる第2の指示情報を送信する第2の処理ステップと、
前記警報タグ情報を発信する前記第2の送信ステップと、
前記第2の処理ステップから前記第2の指示情報を受信して、警報を発報する前記第2の警報出力ステップと、
を実行することを特徴とする災害防止補助方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−53515(P2012−53515A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193307(P2010−193307)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】