説明

炊飯器

【課題】本発明の目的は、蒸気による操作基板等への悪影響を防止するとともに、生産コストを低減し、且つ蓋ヒータの熱による操作基板への悪影響をも低減することができる炊飯器を提供すること。
【解決手段】炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上方に位置する蓋体とを有する炊飯器であって、前記炊飯器本体は、内鍋と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する制御手段を有し、前記蓋体は、操作基板が収納される前記蓋体とは別体の操作部を有し、前記蓋体は、接続配線用の第1貫通孔を有し、前記操作部は、接続配線用の第2貫通孔を有し、前記制御手段と前記操作基板は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を通る接続配線により電気的に接続され、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔は、シール部材で密閉される構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に蓋体に、蓋体とは別体の操作部を設けた炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に炊飯器は、誘導コイル、保温ヒータ及び蓋ヒータ等の複数個の加熱手段を有し、これら加熱手段を駆使して自動的に炊飯及び保温を行いユーザーに最適なご飯等を提供する器具として広く知られている。
【0003】
そして、近時、炊飯器の蓋体に操作基板を設けたものが生産されている。このようなものは、蓋体の前方側の面に操作部を設け、操作部に操作基板を配置し、操作基板に表示器、マイコン、スイッチ及び電池等を設けてなる。
【0004】
蓋体に操作基板を設けるものは、操作基板等に蒸気が浸入しないように蓋体に密閉空間を形成し、その空間内に操作基板等を配置している。そのようなものとして図8に示すものが知られている。図に示す炊飯器は、蓋体1と炊飯器本体2を有し、蓋体1の前方側(ヒンジ機構と反対側)の上面に下方に窪んだ凹部空間3を設け、この凹部空間3内に樹脂製の操作部4を着脱自在に設けている。
【0005】
この操作部4は、その内部に密閉空間5を形成し、底部に取付けられる鉄板を、前記凹部空間3の上面に設ける磁石6に吸着することにより前記凹部空間3内に着脱自在に取付けられる。そして、前記凹部空間3内には、操作基板7、表示器8、表示灯としてのLED9、操作ボタン10及び電池11等が設けられる。
【0006】
また、肩部材12の上面には、上方に向けて光学的信号伝達手段である第1カプラ13が設けられるとともに、前記凹部空間3内には、前記第1カプラ13に対向する箇所に下方に向けて同じく光学的信号伝達手段である第2カプラ14が設けられ、前記第1カプラ13と前記第2カプラ14との間で間接的に情報を伝達する。
【0007】
前記炊飯器本体2内には、内鍋15及び制御装置16が設けられる。制御装置16は、前記第1カプラ13とリード線により電気的に接続されており、この制御装置16と前記操作基板7に設けるマイコンとの間で第1カプラ13と第2カプラ14とを介して間接的に情報の受け渡しが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
上記従来のものは、操作基板7等が一体の操作部4に形成されるため、蒸気により操作基板7等が悪影響を受けることはない。しかしながら、上記従来のものは、第1カプラ13及び第2カプラ14の光学的な情報伝達手段を用いているため、それだけコスト高になるとともに、両カプラ13、14等を取り付けるための工程も必要になり、生産コストが高騰するという問題を有している。
【0009】
また、従来のものは、蓋ヒータを設けていないが、蓋体に蓋ヒータを設けた場合、操作基板に対する熱影響を低減することができないという問題も有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2627028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、蒸気による操作基板等への悪影響を防止するとともに、生産コストを低減し、且つ蓋ヒータの熱による操作基板への悪影響をも低減することができる炊飯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用する。
【0013】
請求項1に係る発明では、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上方に位置する蓋体とを有する炊飯器であって、前記炊飯器本体は、内鍋と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する制御手段を有し、前記蓋体は、操作基板が収納される前記蓋体とは別体の操作部を有し、前記蓋体は、接続配線用の第1貫通孔を有し、前記操作部は、接続配線用の第2貫通孔を有し、前記制御手段と前記操作基板は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を通る接続配線により電気的に接続され、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔は、シール部材で密閉される構成。
【0014】
請求項2に係る発明では、請求項1の発明の構成に加え、前記シール部材は、前記蓋体と前記操作部で挟持され、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を密閉する構成。
【0015】
請求項3に係る発明では、請求項1、2の発明の構成に加え、前記シール部材は、1個で、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を同時に密閉する構成。
【0016】
請求項4に係る発明では、請求項1ないし3の発明の構成に加え、前記蓋体は、蓋ヒータを有し、前記蓋ヒータと前記操作部の間には、複数の断熱層、例えば、蓋ヒータ断熱材、アルミシート及び空気層等を有する構成。
【0017】
そしてこれらの構成により、蒸気による操作基板等への悪影響を防止するとともに、生産コストを低減し、且つ蓋ヒータの熱による操作基板への悪影響をも低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明は、蓋体に、操作基板が収納される蓋体とは別体の操作部を設け、蓋体と操作部にはそれぞれ接続配線用の第1及び第2貫通孔を設け、制御手段と操作基板を蓋体の第1貫通孔と操作部の第2貫通孔を通る接続配線により電気的に接続し、両貫通孔をシール部材で密閉することにより、操作部内への蒸気の浸入を防止することができるとともに、蒸気による操作基板等への悪影響を防止することができる。また、制御手段と操作基板を接続配線で電気的に接続するとの簡易な接続構造ですむため、従来のものに比べて生産コストを低減することができる。
【0019】
請求項2に係る発明では、シール部材を、蓋体と操作部で挟持して蓋体の第1貫通孔と操作部の第2貫通孔を密閉することにより、請求項1の発明の効果に加え、シール構造を簡略化することができるとともに、シール機能をより高めることができる。
【0020】
請求項3に係る発明は、前記シール部材は、1個で、蓋体の第1貫通孔と操作部の第2貫通孔を同時に密閉することにより、請求項1、2の発明の効果に加え、シール部材の構造をより簡略化することができる。
【0021】
請求項4に係る発明は、蓋体に蓋ヒータを設けるとともに、蓋ヒータと操作部の間に複数の断熱層を設けることにより、請求項1ないし3の発明の効果に加え、蓋ヒータの熱による操作基板等への悪影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】炊飯器の全体断面図
【図2】図1の操作部近傍の拡大断面図
【図3】基板ボックスを蓋体に組み立てる前の斜視図
【図4】操作パネルの斜視図
【図5】シール部材の斜視図
【図6】シール部材を挟持する前の図3のA−A部断面図
【図7】シール部材を挟持した後の図3のA−A部断面図
【図8】従来の操作部近傍の拡大断面図
【実施例】
【0023】
図1は炊飯器の全体縦断面図を示し、図2は図1の操作部近傍の拡大断面図を示し、図3は基板ボックスを蓋体に組み立てる前の斜視図を示し、図4、図5は操作パネル及びシール部材の斜視図を示し、図6、図7はシール部材を挟持する前後の断面図を示す。なお、炊飯器20のヒンジ機構50側を後方とし、ヒンジ機構50の反対側を前方とする。
【0024】
炊飯器20の全体を図1に示す。炊飯器20は、炊飯器本体21及び蓋体40からなる。炊飯器本体21は、鋼板ケースまたは合成樹脂製の一体成形品からなる外ケース22を有し、この外ケース22の内部には、金属鍋或いは土鍋等の内鍋23が着脱自在にセットされるとともに、この内鍋23の外側には当該内鍋23の形状に沿った保護枠である内ケース24が設けられる。この内ケース24は、例えばポリエチレンテレフタレート等の耐熱性の合成樹脂製のもので、その底部中央にはサーミスタからなるセンターセンサ25を臨ませるためのセンサ挿入孔が設けられる。
【0025】
内ケース24の上端は、外ケース22の上端と肩部材26を介して一体的に結合される。内ケース24の底部外面及び底部から側部にかけての湾曲部外面には、内鍋23を誘導加熱する加熱手段である底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28が設けられる。これら底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28は、内ケース24の底部及び湾曲部の各位置に、内ケース24の底部中央を中心として同心円状にそれぞれ設けられる。
【0026】
これら底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28の外側には合成樹脂製のコイル支持台29が設けられており、このコイル支持台29がネジ等で内ケース24に取り付けられることにより、底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28は図示する所定位置に位置決め固定される。また、内ケース24の上部の外周側部には、保温ヒータ30が設けられる。
【0027】
前記外ケース22の下端部には、皿状の底部材31がビス等で取り付けられ、外ケース22と底部材31とで上方に開口を有する容器を形成する。外ケース22の後方の内部には、肩部材26から垂下する形態で、制御基板32が設けられる。
【0028】
この制御基板32には、底部ワークコイル27、側部ワークコイル28、保温ヒータ30及び後記する蓋ヒータ45からなる加熱手段を制御するための制御手段であるマイコン及び電源回路等の電気部品が搭載される。それら電気部品のなかには発熱するものがあるため、制御基板32の近傍には発熱素子等を冷却するための冷却フィン33と、冷却フィン33の熱を放熱するための冷却ファン34が設けられる。なお、制御基板32の後方側にはコード巻取器35が設けられる。
【0029】
また、前記外ケース22の前方側には、押圧部36a及び係止部36bを有するロック機構36が設けられ、押圧部36aを水平に押すことにより、係止部36bが蓋体40との係合を解除する。
【0030】
前記蓋体40は、外枠41及び内枠42を有する。外枠41は外周面を形成する樹脂製の部材であり、その中央には調圧ユニット43が設けられる。内枠42は、外枠41と同様に樹脂製の略リング状の部材であり、その中央部には金属製の放熱板44が取り付けられる。そして、放熱板44の上面には蓋ヒータ45が設けられ、内鍋23を上方から加熱する。
【0031】
前記調圧ユニット43は、内部に蒸気通路46及び蒸気弁47を有し、内部の蒸気圧を調圧するとともに、余分の蒸気を蒸気口48より外部に放出する。また、放熱板44の下方には着脱自在に内蓋49が取り付けられる。
【0032】
前記蓋体40の後方部には、該後方部と肩部材26にかけてヒンジ機構50が設けられる。このヒンジ機構50は、、蓋体40に常時開方向の力を付与するバネ51等を有し、前記押圧部36aが押され、係止部36bが蓋体40との係合を解除するとバネ51の力により蓋体40は開蓋される。
【0033】
蓋体40の外枠41の前方上面には、図3に示すように平面視略矩形状の凹溝部54が形成される。この凹溝部54内には、その外端近傍に3個のビス穴55(図では2個示す。)と、2個の接続配線用の第1貫通孔56が設けられる。この第1貫通孔56は、リード線或いは可撓性フラットケーブル(FFC)等の接続配線57の断面形状より若干大きい形状で形成され、図に示すように接続配線57が上下方向に通される。なお、図の白抜きの矢印は、凹溝部54の上にシール部材74が配置され、シール部材74の上に基板ボックス61が配置されることを示す。
【0034】
凹溝部54の底面54a(外枠41でもある)には、図3、図6に示すように、下方に窪んだ第1凹嵌部58が形成され、この第1凹嵌部58の略中央に第1貫通孔56が形成される。第1貫通孔56は、矩形状の大開口56aと矩形状の小開口56bからなるさじ形状に形成され、接続配線57の先端に予め取り付けたコネクタをこの大開口56aより通すが、コネクタがなければ同じ大きさの開口にしてもよい。また、第1貫通孔56は1個でも複数個でもよい。
【0035】
前記第1凹嵌部58内には、窪み空間58aを有し、この窪み空間58aの下面には、前記第1貫通孔56に連通する第1傾斜部58bが形成される。即ち、前記第1貫通孔56は、その上部が傾斜し下部が垂直であり、全体では断面さかずき状の形状を有する。
【0036】
図2に示すように、前記凹溝部54の底面54aと前記放熱板44の間には、蓋ヒータ断熱材52及びアルミシート53が積層配置されるとともに、アルミシート53の上方には隙間である空気層53aが形成され、蓋ヒータ35の熱が操作部60内の操作基板64に伝わる弊害を低減或いは防止する。また、蓋ヒータ断熱材52、アルミシート53及び空気層53aの上方に操作部60が設けられる積層構造のため、ご飯の熱が上部へ逃げる弊害をより低減することができる。
【0037】
前記凹溝部54内には、操作部60が配設される。操作部60は、基板ボックス61及び操作パネル70を有する。操作部60は、図3に示すように平面視略矩形状で上方が開口した樹脂製の皿状部材であり、内部に3個のビスボス62、2個の接続配線用の第2貫通孔63及び操作基板64を支持する複数個の支持片65が設けられるとともに、その外周側面には9個の係合片66(図では4個示す。)が設けられる。
【0038】
前記3個のビスボス62は、凹溝部54の底面54aに設けられる3個のビス穴55に対向し、底面54aの裏側からビスが螺合され、基板ボックス61を凹溝部54内にシール部材74を挟持した形態で固定する。
【0039】
前記支持片65には、操作基板64が若干前方へ傾斜する形態で取付けられる。そして、操作基板64には、液晶パネル67、各種スイッチボタン68、図示しないマイコン及び電池等が搭載される。なお、操作基板64は、少なくとも液晶パネル67及びスイッチボタン68を搭載するものであればよい。
【0040】
図3、図6に示すように、基板ボックス61の底部には、下方に窪んだ第2凹嵌部61aが形成され、この第2凹嵌部61aの略中央に第2貫通孔63が形成される。第2貫通孔63は、前記第1貫通孔56と同形のさじ形状、即ち、矩形状の大開口63aと矩形状の小開口63bからなるさじ形状に形成され、凹溝部54の底面54aに設けられる2個の第1貫通孔56のそれぞれに対向し、図3に示すように底面54a側から挿入される接続配線57を基板ボックス61内に引き込む。そして、引き込まれた接続配線57の一端は、制御手段である制御基板32の図示しないコネクタに接続され、他端は操作基板64の図示しないコネクタに接続され、制御手段である制御基板32と操作基板64とは電気的に接続され、情報のやりとりが行われる。
【0041】
また、図6に示すように、前記第2凹嵌部61aの下端面61bには、前記第2貫通孔63に連通する第2傾斜部61cが形成される。即ち、前記第2貫通孔63は、その下部が傾斜し、上部が垂直であり、全体で断面が逆さかずき状の形状を有する。
【0042】
基板ボックス61の上端には全周に亘って上端溝部69が形成され、この上端溝部69にはほぼ同形の図示しないパッキンが挿入され、その上方から操作パネル70が嵌合される。この操作パネル70の上面には、1個の透明窓70a及び複数のボタン窓70b等が設けられ、その側面には9個の係合溝70c(図では4個示す。)が設けられる。
【0043】
そして、前記透明窓70aは、前記液晶パネル67に対向して液晶パネル67による表示の視認を可能にし、前記ボタン窓70bは、前記各種スイッチボタン68に対向し、各種スイッチボタン68の押圧を可能にする。各種スイッチボタン68は、例えば炊飯スイッチ、保温スイッチ、白米、早炊き、無洗米等の各種メニューを設定するメニュースイッチ、時間を設定するタイマースイッチ及び設定を取り消す取消しスイッチ等からなり、炊飯スイッチが入れられると底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28により誘起される渦電流に起因したジュール熱により内鍋23が加熱される。
【0044】
前記9個の係合溝70cは、基板ボックス61の9個の係合片66に対向しており、基板ボックス61の上端溝部69に図示しないパッキンを載せ、その上方に操作パネル70を置いて操作パネル70を下方に押し込む。すると、操作パネル70の9個の係合溝70c内に基板ボックス61の9個の係合片66が嵌合し、基板ボックス61内を第2貫通孔63を除いて密閉する。
【0045】
図5にシール部材74の斜視図を示す。シール部材74はシリコン製で上下対称に一体に形成される。シール部材74は、その中央に平面視矩形状の中央平板部75が形成され、中央平板部75の上面には、一段高く盛り上がり、幅狭部分76aと幅広部分76bとを有し、全体として平面視さじ形状の第1段丘部分76が形成され、更に、第1段丘部分76の上面には、第1段丘部分76より小さいが同形、即ち、第1段丘部分76より一段高く盛り上がり、幅狭部分77aと幅広部分77bとを有し、全体として平面視さじ形状の第2段丘部分77が形成される。そして、中央平板部75の下面にも、上面のものと同じ形状の第1段丘部分76及び第2段丘部分77が形成され、更に、上方の第2段丘部分77の上端から下方の第2段丘部分77の下端にかけて平面視細長で矩形状の開口78が形成される。この開口78には接続配線57が通される。
【0046】
シール部材74及び操作部60の取り付けについて図6及び図7により説明する。まず、凹溝部54の第1凹嵌部58の窪み空間58a内にシール部材74を挿入する。シール部材74の中央平板部75の平面視の大きさは、窪み空間58aの平面視の大きさより小さく、下側の第1段丘部分76の平面視の大きさは、第1傾斜部58bの略中間部で形成される平面視の大きさと同じで、下側の第2段丘部分77の平面視の大きさは、第1貫通孔56の平面視の大きさより若干小さいか、或いは同じである。
【0047】
そのため、シール部材74の中央平板部75は、窪み空間58a内に嵌入し、下側の第1段丘部分76の角部は、第1傾斜部58bの略中間部に当接し、下側の第2段丘部分77は、第1貫通孔56内に略半分ほど嵌入する。その場合、図6に示すように、第1貫通孔56及びシール部材74の開口78に接続配線57を通しておく。
【0048】
次いで、シール部材74の上方から基板ボックス61を載せる。シール部材74の中央平板部75の平面視の大きさは、第2凹嵌部61aの下端面61bの平面視の大きさとほぼ同じで、上側の第1段丘部分76の平面視の大きさは、第2傾斜部61cの略中間部で形成される平面視の大きさと同じで、上側の第2段丘部分77の平面視の大きさは、第2貫通孔63の平面視の大きさより若干小さいか、或いは同じである。
【0049】
そのため、シール部材74の中央平板部75は、下端面61bの下方に位置し、上側の第1段丘部分76の角部は、第1傾斜部58bの略中間部に当接し、上側の第2段丘部分77は、第2貫通孔63内に略半分ほど嵌入する。その場合、接続配線57を第2貫通孔63に通し、上方に引き出しておく。
【0050】
その後、基板ボックス61の上から力を加え、基板ボックス61を凹溝部54内に押し込む。すると、シール部材74の中央平板部75は、基板ボックス61の下端面61bと第1凹嵌部58の窪み空間58aの底面とで図6の矢印(1)で示す方向に押圧されて挟持され、シール部材74の上下の第1段丘部分76の角部は、第1傾斜部58bと第2傾斜部61cとで、矢印(2)で示す斜め方向に押圧されて挟持される。
【0051】
第1傾斜部58bと第2傾斜部61cが、シール部材74の上下の第1段丘部分76の角部を矢印(2)で示す斜め方向に押圧すると、シール部材74は、矢印(3)方向である開口78を閉鎖する方向に押され、その結果、開口78と接続配線57との間を密封する。そして、上下の第1段丘部分76の角部は、第1傾斜部58b及び第2傾斜部61cに押され、第1傾斜部58b及び第2傾斜部61cに沿う形状になり、シール部材74の下側の第2段丘部分77は、第1貫通孔56内に嵌入し、上側の第2段丘部分77は、第2貫通孔63内に嵌入し、第1貫通孔56、第2貫通孔63及び開口78がシール部材74により同時に密封され、図7の状態になる。
【0052】
その後、外枠41の裏側(図3の外枠41とは反対側)から3個のビス穴55内にビスを挿入し、それぞれを基板ボックス61の3個のビスボス62に螺合することにより、凹溝部54に基板ボックス61を図7の状態で固定する。
【0053】
その後、基板ボックス61内に操作基板64等の必要部品を取り付け、操作基板64と接続配線57とをコネクタを介して電気的に接続し、基板ボックス61の上端溝部69にパッキンを取り付け、その上方から前記操作パネル70を取り付ける。操作パネル70の取り付けは、基板ボックス61の上方から操作パネル70を押圧し、操作パネル70の係合溝70c内に基板ボックス61の係合片66を係合することにより行われ、係合溝70c内に係合片66を係合することにより基板ボックス61内は密封される。
【0054】
取り付け後において、図7の矢印(4)及び矢印(5)で示すように、水或いは蒸気が操作部60内に浸入しようとしても、シール部材74により、第1貫通孔56、第2貫通孔63及びシール部材74の開口78は密閉されているため、水或いは蒸気が操作部60内に浸入することはない。
【0055】
また、操作部60内は、ゴキブリ等の害虫の好む温度となるため、害虫が操作部60内に侵入すると誤動作の原因となるので害虫忌避材で対策を施す必要が生じるが、操作部60を密封することでこのような問題をなくすことができる。
【0056】
操作部60内の電池または操作基板64等の部品交換は、外枠41の裏側から3本のビスを外し、操作部60を凹溝部54から取外し、操作パネル70の係合溝70cと基板ボックス61の係合片66との係合を解除することにより行われる。そのため、従来のように一体型のもので操作部全体を交換する必要があるものに比べ、低価格での交換が可能になる。
【0057】
上記したように、炊飯器本体21内の制御基板32と蓋体40の操作基板64とは、接続配線57で接続する構造であり、生産コストを低減することができる。また、凹溝部54内に基板ボックス61を取り付ける際、凹溝部54と基板ボックス61とで1個のシール部材74を挟持することにより、接続配線57を通す第1貫通孔56と第2貫通孔63とシール部材74の開口78とを同時に密封することができるため、部品点数並びに生産工程が低減し、更に生産コストを低減することができる。
【0058】
また、蓋体40内で、操作部60と蒸気通路46とは、間に空気層41aを有して区画することにより、蒸気やおねばが直接操作部60にかかり難くすることができ、更に蒸気の熱も伝わり難くすることができる。
【0059】
本発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であり、例えば、加熱手段はヒータでもよく、内鍋も金属製等、どのような材質のものでもよい。
【符号の説明】
【0060】
20…炊飯器 21…炊飯器本体
22…外ケース 23…内鍋
24…内ケース 25…センターセンサ
26…肩部材 27…底部ワークコイル
28…側部ワークコイル 29…コイル支持台
30…保温ヒータ 31…底部材
32…制御基板 33…冷却フィン
34…冷却ファン 35…コード巻取器
36…ロック機構 36a…押圧部
36b…係止部 40…蓋体
41…外枠 41a…空気層
42…内枠 43…調圧ユニット
44…放熱板 45…蓋ヒータ
46…蒸気通路 47…蒸気弁
48…蒸気口 49…内蓋
50…ヒンジ機構 51…バネ
52…蓋ヒータ断熱材 53…アルミシート
53a…空気層 54…凹溝部
54a…底面 55…ビス穴
56…第1貫通孔 56a…大開口
56b…小開口 57…接続配線
58…第1凹嵌部 58a…窪み空間
58b…第1傾斜部 60…操作部
61…基板ボックス 61a…第2凹嵌部
61b…下端面 61c…第2傾斜部
62…ビスボス 63…第2貫通孔
63a…大開口 63b…小開口
64…操作基板 65…支持片
66…係合片 67…液晶パネル
68…スイッチボタン 68…種スイッチボタン
69…上端溝部 70…操作パネル
70a…透明窓 70b…ボタン窓
70c…係合溝 74…シール部材
75…中央平板部 76…第1段丘部分
76a…幅狭部分 76b…幅広部分
77…第2段丘部分 77a…幅狭部分
77b…幅広部分 78…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上方に位置する蓋体とを有する炊飯器であって、
前記炊飯器本体は、内鍋と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する制御手段を有し、
前記蓋体は、操作基板が収納される前記蓋体とは別体の操作部を有し、
前記蓋体は、接続配線用の第1貫通孔を有し、
前記操作部は、接続配線用の第2貫通孔を有し、
前記制御手段と前記操作基板は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を通る接続配線により電気的に接続され、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔は、シール部材で密閉されることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記シール部材は、前記蓋体と前記操作部で挟持され、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を密閉することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記シール部材は、1個で、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を同時に密閉することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記蓋体は、蓋ヒータを有し、前記蓋ヒータと前記操作部の間には、複数の断熱層を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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