炊飯器
【課題】シールを貼り付けることなく、水位調節における視認性を向上させたタンクを備えた炊飯器を得る。
【解決手段】加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンク4を備えた炊飯器であって、タンク4は、当該タンク4に冷却水が入れられる際の目標水位を含む領域であって、光が透過する材料で構成された水位確認領域10を有し、水位確認領域10は、シボ加工が施された領域とシボ加工が施されていない領域とを含み、目標水位と、目標水位に対して水位が増減する方向に隣接する領域との境において、シボ加工の有無が切り替わる切替部位を設けた。
【解決手段】加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンク4を備えた炊飯器であって、タンク4は、当該タンク4に冷却水が入れられる際の目標水位を含む領域であって、光が透過する材料で構成された水位確認領域10を有し、水位確認領域10は、シボ加工が施された領域とシボ加工が施されていない領域とを含み、目標水位と、目標水位に対して水位が増減する方向に隣接する領域との境において、シボ加工の有無が切り替わる切替部位を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱時に発生する蒸気を、冷却水を収容したタンク内に導いて冷却水中に放散させることで復水するようにした炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−106532号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような炊飯器においては、使用者が、予めタンク内に所定量の冷却水を入れておく必要がある。ここで、タンクに対して水量が少なすぎると蒸気の冷却が不十分となり、また、タンクに対して水量が多すぎると復水された蒸気分と合わせてタンクから水が溢れる可能性があるなどの事情から、使用者においては所定量の水をなるべく正確にタンクに入れることが望まれる。
【0005】
タンクへの所定量の水の注入を容易とするため、例えば、水位線をタンクに刻印することもできる。しかし、薄暗い室内で調理する使用者や視力の低下した使用者にとっては、刻印された水位線や、水面位置が見えづらい場合があった。また、水位線の刻印に代えて、あるいはこれに加えて、水位線を印刷したシールをタンクに貼ることもできるが、タンクを使用していくうちにシールが剥がれる可能性もある。そして、耐久性の高いシールを用いると材料費も高くなり、また、タンクに対して別部材であるシールを貼り付けると、製造作業の工程が増え、製造コストの上昇に繋がってしまう。
【0006】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、シールを貼り付けることなく、水位調節における視認性を向上させたタンクを備えた炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンクを備えた炊飯器であって、前記タンクは、当該タンクに冷却水が入れられる際の目標水位を含む領域であって、光が透過する材料で構成された水位確認領域を有し、前記水位確認領域は、シボ加工が施された領域とシボ加工が施されていない領域とを含み、前記目標水位と、前記目標水位に対して水位が増減する方向に隣接する領域との境において、シボ加工の有無が切り替わる切替部位を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、目標水位の領域と、その下側に隣接する領域との境で、タンクへのシボ加工の有無が異なる。このため、タンクに水を入れていくと、水面が目標水位に未達の状態から目標水位に達したときに、シボ加工の有無によって水面の見え方の変化が顕著に表れる。したがって、使用者は、タンク内の水が目標水位に達したことを容易に視認でき、水位調節を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る炊飯器の上蓋を開放しタンクを取り出した状態を示す斜視説明図である。
【図2】実施の形態1に係るタンクの斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るタンクの要部を説明する図である。
【図4】実施の形態1に係るタンクの作用を説明する図である。
【図5】実施の形態1に係るタンクの水位確認領域の変形例を説明する図である。
【図6】実施の形態2に係るタンクの正面図である。
【図7】実施の形態3に係るタンクの正面図である。
【図8】実施の形態3に係るタンクの内面にシボ加工を施した場合の作用を説明する図である。
【図9】実施の形態3に係るタンクの外面にシボ加工を施した場合の作用を説明する図である。
【図10】実施の形態4に係るタンクの正面図である。
【図11】実施の形態5に係るタンクの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る炊飯器を、家庭用IH式炊飯器に適用した場合を例に図面を参照して説明する。なお、この図面の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器の上蓋を開放しタンクを取り出した状態を示す斜視説明図である。図1に示すように、炊飯器100は、上部が開口した本体1と、本体1の内部に着脱自在に収納される内釜2と、本体1の外郭の一部に形成されたタンク収容部3に収容されるタンク4と、本体1及びタンク4の上方を開閉自在に覆う上蓋5とを備えている。本体1の底部には、内釜2を加熱するための電気ヒータや誘導加熱コイルからなる加熱手段(図示せず)が設けられている。また、上蓋5の下面(内釜2側)には、内釜2の上面開口を開閉自在に覆う内蓋(図示せず)が取り付けられている。上蓋5の内部には、蒸気パイプ6が配設されており、この蒸気パイプ6の一端は内蓋を介して内釜2の内部に、他端はタンク4に接続される。すなわち、蒸気パイプ6を介して、内釜2とタンク4とは連通する。
【0012】
タンク4は、炊飯中に内釜2内で発生した蒸気を、内部に溜められている水(冷却水)により復水して回収するための容器である。タンク4には、上面開口を開閉自在に覆うタンク蓋40が設けられている。
【0013】
上記のような構成の炊飯器100において、炊飯中に発生した蒸気は、内蓋を介して蒸気パイプ6内に進入し、蒸気パイプ6内を進み、タンク4内へと流入する。タンク4内へ流入した蒸気は、タンク4内の水により冷却されて復水され、タンク4内に貯留される。このような構成であるため、使用者は、炊飯前に、タンク4内に所定量の水を入れておく必要がある。ここで、タンク4内に予め入れておくべき水位を、目標水位Wという。目標水位Wは、本実施の形態1では、蒸気を水で凝縮させるのに必要な最低限の水位(下限水位w1)以上であって、炊飯時の発生蒸気をすべて凝縮してもタンク4の水が漏れない限界の水位(上限水位w2)以下の、ある程度の幅を持った水位である。使用者は、目標水位W(w1≦W≦w2)の水を、炊飯前にタンク4内に入れておくこととなる。
【0014】
次に、タンク4についてさらに説明する。
図2は、実施の形態1に係るタンクの斜視図である。図3は、実施の形態1に係るタンクの要部を説明する図であり、図3(a)は水位確認領域を示す図、図3(b)はタンクの断面模式図である。
タンク4は、光が透過する材料(例えば透明)で構成された水位確認領域10を有する。なお、タンク4の略全体を光が透過する材料で構成してもよいし、水位確認領域10のみを光が透過する材料で構成してもよい。
【0015】
水位確認領域10は、目標水位Wを含む所定面積を有する領域である。図2に例示する水位確認領域10の輪郭は矩形であるが、水位確認領域10の輪郭を限定するものではない。
【0016】
水位確認領域10には、目標水位Wの下端(下限水位w1)に隣接する下側隣接領域12と、目標水位Wの上端(上限水位w2)に隣接する上側隣接領域13が設けられている。本実施の形態1では、下側隣接領域12は、目標水位Wの下端(下限水位w1)を頂点とする二等辺三角形であり、上側隣接領域13は、目標水位Wの上端(上限水位w2)を頂点とする二等辺三角形である。下側隣接領域12と上側隣接領域13は、その頂点がほぼ同一垂直線上に位置するように設けられている。下側隣接領域12と上側隣接領域13の横方向の最大幅は、水位確認領域10の幅よりも狭く、したがって、下側隣接領域12と上側隣接領域13の左右端部と、水位確認領域10の側端部との間には、所定幅の領域が存在している。そして、目標水位Wの下端(下限水位w1)と、目標水位Wの上端(上限水位w2)を結んだ仮想のほぼ垂直の線を、目標水位指示部11と称する。
【0017】
タンク4の内面41において、水位確認領域10のうち下側隣接領域12及び上側隣接領域13を除く領域の表面に、シボ加工が施されていて、表面に細かな凹凸が付けられている。ここで、水位確認領域10のうちシボ加工が施された領域を、シボ加工領域16と称する。目標水位Wの下端(下限水位w1)に対応する位置において、シボ加工の有無が切り替わっており、この切り替わっている部位を下側切替部位14と称する。また、目標水位Wの上端(上限水位w2)に対応する位置において、シボ加工の有無が切り替わっており、この切り替わっている部位を上側切替部位15と称する。シボ加工領域16においては、光が乱反射するため、使用者には不透明に見えることとなる。
【0018】
例えば、タンク4を製造するキャビティ側の金型をスライド構造とし、このスライド側の面にシボ加工のための凹凸を形成しておき、タンク4を金型から外す際にキャビティ側の金型をスライドさせる、といった製造方法により、タンク4にシボ加工を施すことができる。
【0019】
次に、以上のように構成されたタンク4の作用を説明する。
図4は、実施の形態1に係るタンクの作用を説明する図である。
タンク4内に水が入れられると、その水面は、水位確認領域10におけるシボ加工の有無によって、使用者への見え方が異なる。すなわち、シボ加工が施された領域に水が付着すると、水が、シボ加工の凹凸をある程度埋める。その結果、シボ加工が施された領域であって水面以下の領域は、使用者にはほぼ透明に視認されることとなる。
【0020】
図4(a)に示す位置に水面Xがある場合、シボ加工領域16のうち水面X以下の領域は、使用者にはほぼ透明に見える。一方で、シボ加工領域16のうち水面Xより高い位置の領域は、使用者には不透明に見える。不透明に見える部分とほぼ透明に見える部分との境界が水面位置であり、不透明に見える部分とほぼ透明に見える部分とのコントラストによって使用者は水面Xを視認しやすい。そして、タンク4に水を追加していくと、水面Xの上昇に伴って、シボ加工領域16において透明に見える領域が徐々に大きくなっていくので、使用者はこれを目で追うことで水面Xの変化を容易に認識できる。
【0021】
また、下側隣接領域12は上側に頂点を有する二等辺三角形であるため、水を入れながら使用者が水面Xを目で追っていくと、下側隣接領域12内に見える水面のラインYは徐々に幅が狭くなり、一方でラインYの左右に見えるシボ加工領域16上の水面の幅は、徐々に大きくなるように見える。このため、使用者においては、現在の水面Xの位置がより強調されて見える。したがって、使用者は、水面Xの位置を視認しやすい。
【0022】
水が増えて水面Xが下側切替部位14に達すると、図4(b)に示すように、それまで下側隣接領域12内に見えていた水面のラインYが見えなくなる。したがって、使用者が水面Xを目で追っている際に、下側隣接領域12内に水面のラインYが見えなくなると、タンク4内に目標水位の水が入ったことを認識することができる。
【0023】
なお、通常は、下側隣接領域12が見えなくなった段階でタンク4への水の注入を停止するのであるが、仮に、使用者が水を入れ過ぎて水面Xが上側切替部位15を超えて上側隣接領域13に達した場合であっても、水の入れ過ぎであることを使用者は容易に認識することができる。すなわち、水面が上側隣接領域13に達した場合、図4(c)に示すように水面Xが上側隣接領域13内に確認できるようになる。このため、使用者は、タンク4内に水を入れ過ぎているということを容易に認識できる。
【0024】
このように、本実施の形態1に係るタンク4は、水面位置の視認性がよい。このため、使用者は、タンク4に規定量の水を入れる際の水位調節を容易に行うことができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。また、水位を示すシール等の別部材をタンクに設ける必要がないので、原材料を減少させることができ、製造工程の増加も抑制できるほか、廃棄時におけるシールの分離も不要となる。
【0025】
なお、本実施の形態1では、下側隣接領域12及び上側隣接領域13を三角形とした例を示したが、下側隣接領域12及び上側隣接領域13の形状は三角形に限定されない。図5は、実施の形態1に係るタンクの水位確認領域10の変形例を説明する図である。図5(a)に示すように、シボ加工を施さない領域を、魚のイラストの形にして何カ所か設けて下側隣接領域12を構成してもよいし、図5(b)に示すように、シボ加工を施さない領域を、水滴のイラストの形にして何カ所か設けて下側隣接領域12を構成してもよい。図5(a)、(b)ではいずれも、シボ加工を施さない領域の頂点(図形群全体の頂点)が、目標水位Wの下端部と一致している。そして、使用者に対しては、例えば「魚(水滴)の絵がすべて消えるまで水を入れてください」といった使い方のガイドを行うことができる。このようにしても、上述のような効果を得ることができる。もちろん、図5に示す図形の形状や数は例示であって、任意の数の他の図形を採用してもよい。また、上側隣接領域13についても同様に、シボ加工を施さない領域を図形群として設けてもよい。
【0026】
実施の形態2.
本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図6は、実施の形態2に係るタンクの正面図である。
前述の実施の形態1では、水位確認領域10において、タンク4の内面41にシボ加工を施していたが、本実施の形態2では、タンク4の外面42にシボ加工を施している。これ以外の構成については、実施の形態1と同様である。
また、本実施の形態2では、同様の構成の水位確認領域10を、タンク4の壁に左右同じ高さに2つ並べて設けている。
【0027】
次に、実施の形態2に係るタンク4の作用を説明する。
実施の形態2においては、シボ加工はタンク4の外面42に施されているため、タンク4内に水を入れてもシボ加工の凹凸が埋められることもなく、実施の形態1のようにシボ加工領域16の見え方が不透明からほぼ透明に変化することはないが、以下のような作用を生じる。
【0028】
本実施の形態2の水位確認領域10において、シボ加工が施されていない下側隣接領域12及び上側隣接領域13は、透明であるため、使用者には水面が見えやすい。一方、シボ加工領域16の凹凸によって光が乱反射するため、シボ加工領域16上に位置している水面は使用者には見えにくい。したがって、水面が見えにくいシボ加工領域16とのコントラストにより、水面が見えやすい下側隣接領域12及び上側隣接領域13における水面の視認性を向上させることができる。
【0029】
例えば、下側隣接領域12に水面が位置している状態においてタンク4に水を追加していくと、下側隣接領域12内にて比較的はっきりと見える水面のラインの長さは、徐々に短くなっていく。そして、水面が下側切替部位14に達した時点で、使用者には、水面全体が見えにくい状態となる。したがって、タンク4に水を追加しながら使用者が水面を目で追っている際に、下側隣接領域12内にて比較的はっきりと見えていた水面が見えにくくなると、タンク4内に目標水位の水が入ったことを認識することができる。
【0030】
このように、本実施の形態2に係るタンク4は、水面位置の視認性がよい。このため、使用者は、タンク4に規定量の水を入れる際の水位調節を容易に行うことができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0031】
また、本実施の形態2では、タンク4の外面42にシボ加工を施すので、内面にシボ加工を施すのと比べて、金型構造上、加工が容易である。
【0032】
また、本実施の形態2では、同様の構成の水位確認領域10を2つ並べて設けたので、例えばタンク4が傾いている場合でも、使用者は両方の水位確認領域10を確認しながら容易に水位調節を行うことができる。なお、水位確認領域10の数は2つに限定されない。また、前述の実施の形態1においても、本実施の形態2と同様に同様の構成の水位確認領域10を2つ並べて設けてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0033】
実施の形態3.
本実施の形態3では、シボ加工領域及び目標水位指示部の他の形状を説明する。本実施の形態3では、実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。
【0034】
図7は、実施の形態3に係るタンクの正面図である。
図7に示すように、水位確認領域10aには、目標水位Wの下端(下限水位w1)と上端(上限水位w2)を上下方向の端部とする矩形の目標水位指示部11aが設けられている。目標水位指示部11aには、シボ加工が施されておらず、水位確認領域10aのうち目標水位指示部11aを除く領域に、シボ加工が施されている。本実施の形態3において、下側隣接領域12aは、目標水位指示部11aの下側に隣接する矩形領域、上限水位領域13aは、目標水位指示部11aの上側に隣接する矩形領域である。また、水位確認領域10aにおいて目標水位指示部11aの左右両側を周辺領域17aと称する。すなわち、本実施の形態3では、下側隣接領域12a、上限水位領域13a、及び周辺領域17aを合わせた領域が、シボ加工領域16aに等しい。そして、目標水位指示部11aの下端部が、下側切替部位14aであり、目標水位指示部11aの上端部が、上側切替部位15aである。
【0035】
本実施の形態3においては、シボ加工を、タンク4の内面41及び外面42のいずれに施してもよい。以下、シボ加工をタンク4の内面41に施した場合と外面42に施した場合について、それぞれ作用を説明する。
【0036】
まず、シボ加工をタンク4の内面41に施した場合について説明する。
図8は、実施の形態3に係るタンクの内面にシボ加工を施した場合の作用を説明する図である。
図8(a)に示すように、タンク4内に水を入れながら使用者が水位確認領域10aを斜め上から見ると、シボ加工が施された下側隣接領域12aのうち水面X以下の領域は、使用者にはほぼ透明に見える。一方で、下側隣接領域12aのうち水面Xより高い位置の領域は、使用者には不透明に見える。不透明に見える部分とほぼ透明に見える部分との境界が水面位置であり、不透明に見える部分とほぼ透明に見える部分とのコントラストによって使用者は水面Xを視認しやすい。
【0037】
図8(b)に示すように、水が増えて水面Xが目標水位指示部11aに達すると、シボ加工が施されていない目標水位指示部11a内に、水面Xを確認することができる。したがって、使用者がタンク4に水を入れながら水面Xを目で追っている際に、目標水位指示部11a内に水面Xが見えるようになると、タンク4内に目標水位の水が入ったことを認識することができる。
【0038】
次に、シボ加工をタンク4の外面42に施した場合について説明する。
図9は、実施の形態3に係るタンクの外面にシボ加工を施した場合の作用を説明する図である。
図9(a)に示すように、タンク4内に水を入れながら使用者が水位確認領域10aを見ると、下側隣接領域12aに施されたシボ加工の凹凸によって光が乱反射するため、使用者には水面Xが見えにくい。
【0039】
図9(b)に示すように、水が増えて水面Xが目標水位指示部11aに達すると、シボ加工が施されていない目標水位指示部11a内に、水面Xを確認することができる。したがって、使用者がタンク4に水を入れながら水面Xを目で追っている際に、目標水位指示部11a内に水面Xが見えるようになってそれまでと水面Xの見え方が変わると、タンク4内に目標水位の水が入ったことを認識することができる。下側隣接領域12a上においては見えにくかった水面Xが、下側切替部位14aを超えて目標水位指示部11aに達すると、はっきり見えるようになるため、そのコントラストによって使用者は目標水位の水がタンク4に入ったことを容易に認識することができる。
【0040】
このように、本実施の形態3に係るタンク4は、水が目標水位に達したことを容易に確認することができる。このため、使用者は、タンク4に規定量の水を入れる際の水位調節を容易に行うことができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
なお、実施の形態1、2と同じく、同様の構成の水位確認領域を同じ高さ位置に左右2つ並べて設けてもよく、同様の効果を得ることができる。このことは、以降の実施の形態においても同様である。
【0041】
実施の形態4.
本実施の形態4は、シボ加工を施す領域の形状が、実施の形態3とは異なる。本実施の形態4では、実施の形態3との相違点を中心に説明する。
【0042】
図10は、実施の形態4に係るタンクの正面図である。
図10に示すように、水位確認領域10bにおいて、目標水位指示部11bにはシボ加工が施されておらず、その下側にはシボ加工が施された矩形の下側隣接領域12bが設けられ、上側にはシボ加工が施された上側隣接領域13bが設けられている。本実施の形態4では、下側隣接領域12b及び上側隣接領域13bが、シボ加工領域16bに等しい。そして、下側隣接領域12bの上端部が、下側切替部位14bであり、上側隣接領域13bの下端部が、上側切替部位15bである。
【0043】
本実施の形態4においては、実施の形態3と同様に、タンク4の内面41及び外面42のいずれにシボ加工を施してもよい。
このように、本実施の形態4のように水位確認領域10bにシボ加工を施しても、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態4では、目標水位指示部11bの幅を水位確認領域10bと同幅にして広く設けたので、目標水位指示部11bにおいて水面Xを確認しやすい。
【0044】
実施の形態5.
本実施の形態5は、実施の形態4の変形例である。本実施の形態5では、実施の形態4との相違点を中心に説明する。
図11は、実施の形態5に係るタンクの正面図である。
図11に示すように、下側隣接領域12cは、タンク4の底部近傍まで延びており、実施の形態4で示したものと比べて上下方向に長く構成されている。これ以外の構成については、実施の形態4と同様である。このように下側隣接領域12cを上下に長く構成することで、使用者がタンク4に水を入れながら水面を目で追っていったときに、水面が下側隣接領域12cから目標水位指示部11cに達したときの見え方の変化が、使用者に対して強調される。このため、使用者は、目標水位に達したことをより容易に認識することができる。
【0045】
なお、上記説明で示したタンク及び水位確認領域は、炊飯器のタンクのほか、例えば計量カップや加湿器用の水タンクなど、使用者が水位調節を行う他の容器に適用することも可能である。例えば計量カップのように複数種類の水位を示したい場合には、所定単位(例えば200ccの計量カップであれば50cc単位)で、シボ加工とシボ加工を設けない領域とを交互に設けることができる。また、一種類の水位を示せばよいタンクに用いる場合には、その水位の位置にてシボ加工の有無が切り替わるようにするとよい。
また、上記説明で示した水位確認領域に加えて、水位を示す刻印をタンクに設けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 本体、2 内釜、3 タンク収容部、4 タンク、5 上蓋、6 蒸気パイプ、10 水位確認領域、11 目標水位指示部、12 下側隣接領域、13 上側隣接領域、14 下側切替部位、15 上側切替部位、16 シボ加工領域、17a 周辺領域、40 タンク蓋、41 内面、42 外面、100 炊飯器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱時に発生する蒸気を、冷却水を収容したタンク内に導いて冷却水中に放散させることで復水するようにした炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−106532号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような炊飯器においては、使用者が、予めタンク内に所定量の冷却水を入れておく必要がある。ここで、タンクに対して水量が少なすぎると蒸気の冷却が不十分となり、また、タンクに対して水量が多すぎると復水された蒸気分と合わせてタンクから水が溢れる可能性があるなどの事情から、使用者においては所定量の水をなるべく正確にタンクに入れることが望まれる。
【0005】
タンクへの所定量の水の注入を容易とするため、例えば、水位線をタンクに刻印することもできる。しかし、薄暗い室内で調理する使用者や視力の低下した使用者にとっては、刻印された水位線や、水面位置が見えづらい場合があった。また、水位線の刻印に代えて、あるいはこれに加えて、水位線を印刷したシールをタンクに貼ることもできるが、タンクを使用していくうちにシールが剥がれる可能性もある。そして、耐久性の高いシールを用いると材料費も高くなり、また、タンクに対して別部材であるシールを貼り付けると、製造作業の工程が増え、製造コストの上昇に繋がってしまう。
【0006】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、シールを貼り付けることなく、水位調節における視認性を向上させたタンクを備えた炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンクを備えた炊飯器であって、前記タンクは、当該タンクに冷却水が入れられる際の目標水位を含む領域であって、光が透過する材料で構成された水位確認領域を有し、前記水位確認領域は、シボ加工が施された領域とシボ加工が施されていない領域とを含み、前記目標水位と、前記目標水位に対して水位が増減する方向に隣接する領域との境において、シボ加工の有無が切り替わる切替部位を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、目標水位の領域と、その下側に隣接する領域との境で、タンクへのシボ加工の有無が異なる。このため、タンクに水を入れていくと、水面が目標水位に未達の状態から目標水位に達したときに、シボ加工の有無によって水面の見え方の変化が顕著に表れる。したがって、使用者は、タンク内の水が目標水位に達したことを容易に視認でき、水位調節を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る炊飯器の上蓋を開放しタンクを取り出した状態を示す斜視説明図である。
【図2】実施の形態1に係るタンクの斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るタンクの要部を説明する図である。
【図4】実施の形態1に係るタンクの作用を説明する図である。
【図5】実施の形態1に係るタンクの水位確認領域の変形例を説明する図である。
【図6】実施の形態2に係るタンクの正面図である。
【図7】実施の形態3に係るタンクの正面図である。
【図8】実施の形態3に係るタンクの内面にシボ加工を施した場合の作用を説明する図である。
【図9】実施の形態3に係るタンクの外面にシボ加工を施した場合の作用を説明する図である。
【図10】実施の形態4に係るタンクの正面図である。
【図11】実施の形態5に係るタンクの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る炊飯器を、家庭用IH式炊飯器に適用した場合を例に図面を参照して説明する。なお、この図面の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器の上蓋を開放しタンクを取り出した状態を示す斜視説明図である。図1に示すように、炊飯器100は、上部が開口した本体1と、本体1の内部に着脱自在に収納される内釜2と、本体1の外郭の一部に形成されたタンク収容部3に収容されるタンク4と、本体1及びタンク4の上方を開閉自在に覆う上蓋5とを備えている。本体1の底部には、内釜2を加熱するための電気ヒータや誘導加熱コイルからなる加熱手段(図示せず)が設けられている。また、上蓋5の下面(内釜2側)には、内釜2の上面開口を開閉自在に覆う内蓋(図示せず)が取り付けられている。上蓋5の内部には、蒸気パイプ6が配設されており、この蒸気パイプ6の一端は内蓋を介して内釜2の内部に、他端はタンク4に接続される。すなわち、蒸気パイプ6を介して、内釜2とタンク4とは連通する。
【0012】
タンク4は、炊飯中に内釜2内で発生した蒸気を、内部に溜められている水(冷却水)により復水して回収するための容器である。タンク4には、上面開口を開閉自在に覆うタンク蓋40が設けられている。
【0013】
上記のような構成の炊飯器100において、炊飯中に発生した蒸気は、内蓋を介して蒸気パイプ6内に進入し、蒸気パイプ6内を進み、タンク4内へと流入する。タンク4内へ流入した蒸気は、タンク4内の水により冷却されて復水され、タンク4内に貯留される。このような構成であるため、使用者は、炊飯前に、タンク4内に所定量の水を入れておく必要がある。ここで、タンク4内に予め入れておくべき水位を、目標水位Wという。目標水位Wは、本実施の形態1では、蒸気を水で凝縮させるのに必要な最低限の水位(下限水位w1)以上であって、炊飯時の発生蒸気をすべて凝縮してもタンク4の水が漏れない限界の水位(上限水位w2)以下の、ある程度の幅を持った水位である。使用者は、目標水位W(w1≦W≦w2)の水を、炊飯前にタンク4内に入れておくこととなる。
【0014】
次に、タンク4についてさらに説明する。
図2は、実施の形態1に係るタンクの斜視図である。図3は、実施の形態1に係るタンクの要部を説明する図であり、図3(a)は水位確認領域を示す図、図3(b)はタンクの断面模式図である。
タンク4は、光が透過する材料(例えば透明)で構成された水位確認領域10を有する。なお、タンク4の略全体を光が透過する材料で構成してもよいし、水位確認領域10のみを光が透過する材料で構成してもよい。
【0015】
水位確認領域10は、目標水位Wを含む所定面積を有する領域である。図2に例示する水位確認領域10の輪郭は矩形であるが、水位確認領域10の輪郭を限定するものではない。
【0016】
水位確認領域10には、目標水位Wの下端(下限水位w1)に隣接する下側隣接領域12と、目標水位Wの上端(上限水位w2)に隣接する上側隣接領域13が設けられている。本実施の形態1では、下側隣接領域12は、目標水位Wの下端(下限水位w1)を頂点とする二等辺三角形であり、上側隣接領域13は、目標水位Wの上端(上限水位w2)を頂点とする二等辺三角形である。下側隣接領域12と上側隣接領域13は、その頂点がほぼ同一垂直線上に位置するように設けられている。下側隣接領域12と上側隣接領域13の横方向の最大幅は、水位確認領域10の幅よりも狭く、したがって、下側隣接領域12と上側隣接領域13の左右端部と、水位確認領域10の側端部との間には、所定幅の領域が存在している。そして、目標水位Wの下端(下限水位w1)と、目標水位Wの上端(上限水位w2)を結んだ仮想のほぼ垂直の線を、目標水位指示部11と称する。
【0017】
タンク4の内面41において、水位確認領域10のうち下側隣接領域12及び上側隣接領域13を除く領域の表面に、シボ加工が施されていて、表面に細かな凹凸が付けられている。ここで、水位確認領域10のうちシボ加工が施された領域を、シボ加工領域16と称する。目標水位Wの下端(下限水位w1)に対応する位置において、シボ加工の有無が切り替わっており、この切り替わっている部位を下側切替部位14と称する。また、目標水位Wの上端(上限水位w2)に対応する位置において、シボ加工の有無が切り替わっており、この切り替わっている部位を上側切替部位15と称する。シボ加工領域16においては、光が乱反射するため、使用者には不透明に見えることとなる。
【0018】
例えば、タンク4を製造するキャビティ側の金型をスライド構造とし、このスライド側の面にシボ加工のための凹凸を形成しておき、タンク4を金型から外す際にキャビティ側の金型をスライドさせる、といった製造方法により、タンク4にシボ加工を施すことができる。
【0019】
次に、以上のように構成されたタンク4の作用を説明する。
図4は、実施の形態1に係るタンクの作用を説明する図である。
タンク4内に水が入れられると、その水面は、水位確認領域10におけるシボ加工の有無によって、使用者への見え方が異なる。すなわち、シボ加工が施された領域に水が付着すると、水が、シボ加工の凹凸をある程度埋める。その結果、シボ加工が施された領域であって水面以下の領域は、使用者にはほぼ透明に視認されることとなる。
【0020】
図4(a)に示す位置に水面Xがある場合、シボ加工領域16のうち水面X以下の領域は、使用者にはほぼ透明に見える。一方で、シボ加工領域16のうち水面Xより高い位置の領域は、使用者には不透明に見える。不透明に見える部分とほぼ透明に見える部分との境界が水面位置であり、不透明に見える部分とほぼ透明に見える部分とのコントラストによって使用者は水面Xを視認しやすい。そして、タンク4に水を追加していくと、水面Xの上昇に伴って、シボ加工領域16において透明に見える領域が徐々に大きくなっていくので、使用者はこれを目で追うことで水面Xの変化を容易に認識できる。
【0021】
また、下側隣接領域12は上側に頂点を有する二等辺三角形であるため、水を入れながら使用者が水面Xを目で追っていくと、下側隣接領域12内に見える水面のラインYは徐々に幅が狭くなり、一方でラインYの左右に見えるシボ加工領域16上の水面の幅は、徐々に大きくなるように見える。このため、使用者においては、現在の水面Xの位置がより強調されて見える。したがって、使用者は、水面Xの位置を視認しやすい。
【0022】
水が増えて水面Xが下側切替部位14に達すると、図4(b)に示すように、それまで下側隣接領域12内に見えていた水面のラインYが見えなくなる。したがって、使用者が水面Xを目で追っている際に、下側隣接領域12内に水面のラインYが見えなくなると、タンク4内に目標水位の水が入ったことを認識することができる。
【0023】
なお、通常は、下側隣接領域12が見えなくなった段階でタンク4への水の注入を停止するのであるが、仮に、使用者が水を入れ過ぎて水面Xが上側切替部位15を超えて上側隣接領域13に達した場合であっても、水の入れ過ぎであることを使用者は容易に認識することができる。すなわち、水面が上側隣接領域13に達した場合、図4(c)に示すように水面Xが上側隣接領域13内に確認できるようになる。このため、使用者は、タンク4内に水を入れ過ぎているということを容易に認識できる。
【0024】
このように、本実施の形態1に係るタンク4は、水面位置の視認性がよい。このため、使用者は、タンク4に規定量の水を入れる際の水位調節を容易に行うことができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。また、水位を示すシール等の別部材をタンクに設ける必要がないので、原材料を減少させることができ、製造工程の増加も抑制できるほか、廃棄時におけるシールの分離も不要となる。
【0025】
なお、本実施の形態1では、下側隣接領域12及び上側隣接領域13を三角形とした例を示したが、下側隣接領域12及び上側隣接領域13の形状は三角形に限定されない。図5は、実施の形態1に係るタンクの水位確認領域10の変形例を説明する図である。図5(a)に示すように、シボ加工を施さない領域を、魚のイラストの形にして何カ所か設けて下側隣接領域12を構成してもよいし、図5(b)に示すように、シボ加工を施さない領域を、水滴のイラストの形にして何カ所か設けて下側隣接領域12を構成してもよい。図5(a)、(b)ではいずれも、シボ加工を施さない領域の頂点(図形群全体の頂点)が、目標水位Wの下端部と一致している。そして、使用者に対しては、例えば「魚(水滴)の絵がすべて消えるまで水を入れてください」といった使い方のガイドを行うことができる。このようにしても、上述のような効果を得ることができる。もちろん、図5に示す図形の形状や数は例示であって、任意の数の他の図形を採用してもよい。また、上側隣接領域13についても同様に、シボ加工を施さない領域を図形群として設けてもよい。
【0026】
実施の形態2.
本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図6は、実施の形態2に係るタンクの正面図である。
前述の実施の形態1では、水位確認領域10において、タンク4の内面41にシボ加工を施していたが、本実施の形態2では、タンク4の外面42にシボ加工を施している。これ以外の構成については、実施の形態1と同様である。
また、本実施の形態2では、同様の構成の水位確認領域10を、タンク4の壁に左右同じ高さに2つ並べて設けている。
【0027】
次に、実施の形態2に係るタンク4の作用を説明する。
実施の形態2においては、シボ加工はタンク4の外面42に施されているため、タンク4内に水を入れてもシボ加工の凹凸が埋められることもなく、実施の形態1のようにシボ加工領域16の見え方が不透明からほぼ透明に変化することはないが、以下のような作用を生じる。
【0028】
本実施の形態2の水位確認領域10において、シボ加工が施されていない下側隣接領域12及び上側隣接領域13は、透明であるため、使用者には水面が見えやすい。一方、シボ加工領域16の凹凸によって光が乱反射するため、シボ加工領域16上に位置している水面は使用者には見えにくい。したがって、水面が見えにくいシボ加工領域16とのコントラストにより、水面が見えやすい下側隣接領域12及び上側隣接領域13における水面の視認性を向上させることができる。
【0029】
例えば、下側隣接領域12に水面が位置している状態においてタンク4に水を追加していくと、下側隣接領域12内にて比較的はっきりと見える水面のラインの長さは、徐々に短くなっていく。そして、水面が下側切替部位14に達した時点で、使用者には、水面全体が見えにくい状態となる。したがって、タンク4に水を追加しながら使用者が水面を目で追っている際に、下側隣接領域12内にて比較的はっきりと見えていた水面が見えにくくなると、タンク4内に目標水位の水が入ったことを認識することができる。
【0030】
このように、本実施の形態2に係るタンク4は、水面位置の視認性がよい。このため、使用者は、タンク4に規定量の水を入れる際の水位調節を容易に行うことができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0031】
また、本実施の形態2では、タンク4の外面42にシボ加工を施すので、内面にシボ加工を施すのと比べて、金型構造上、加工が容易である。
【0032】
また、本実施の形態2では、同様の構成の水位確認領域10を2つ並べて設けたので、例えばタンク4が傾いている場合でも、使用者は両方の水位確認領域10を確認しながら容易に水位調節を行うことができる。なお、水位確認領域10の数は2つに限定されない。また、前述の実施の形態1においても、本実施の形態2と同様に同様の構成の水位確認領域10を2つ並べて設けてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0033】
実施の形態3.
本実施の形態3では、シボ加工領域及び目標水位指示部の他の形状を説明する。本実施の形態3では、実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。
【0034】
図7は、実施の形態3に係るタンクの正面図である。
図7に示すように、水位確認領域10aには、目標水位Wの下端(下限水位w1)と上端(上限水位w2)を上下方向の端部とする矩形の目標水位指示部11aが設けられている。目標水位指示部11aには、シボ加工が施されておらず、水位確認領域10aのうち目標水位指示部11aを除く領域に、シボ加工が施されている。本実施の形態3において、下側隣接領域12aは、目標水位指示部11aの下側に隣接する矩形領域、上限水位領域13aは、目標水位指示部11aの上側に隣接する矩形領域である。また、水位確認領域10aにおいて目標水位指示部11aの左右両側を周辺領域17aと称する。すなわち、本実施の形態3では、下側隣接領域12a、上限水位領域13a、及び周辺領域17aを合わせた領域が、シボ加工領域16aに等しい。そして、目標水位指示部11aの下端部が、下側切替部位14aであり、目標水位指示部11aの上端部が、上側切替部位15aである。
【0035】
本実施の形態3においては、シボ加工を、タンク4の内面41及び外面42のいずれに施してもよい。以下、シボ加工をタンク4の内面41に施した場合と外面42に施した場合について、それぞれ作用を説明する。
【0036】
まず、シボ加工をタンク4の内面41に施した場合について説明する。
図8は、実施の形態3に係るタンクの内面にシボ加工を施した場合の作用を説明する図である。
図8(a)に示すように、タンク4内に水を入れながら使用者が水位確認領域10aを斜め上から見ると、シボ加工が施された下側隣接領域12aのうち水面X以下の領域は、使用者にはほぼ透明に見える。一方で、下側隣接領域12aのうち水面Xより高い位置の領域は、使用者には不透明に見える。不透明に見える部分とほぼ透明に見える部分との境界が水面位置であり、不透明に見える部分とほぼ透明に見える部分とのコントラストによって使用者は水面Xを視認しやすい。
【0037】
図8(b)に示すように、水が増えて水面Xが目標水位指示部11aに達すると、シボ加工が施されていない目標水位指示部11a内に、水面Xを確認することができる。したがって、使用者がタンク4に水を入れながら水面Xを目で追っている際に、目標水位指示部11a内に水面Xが見えるようになると、タンク4内に目標水位の水が入ったことを認識することができる。
【0038】
次に、シボ加工をタンク4の外面42に施した場合について説明する。
図9は、実施の形態3に係るタンクの外面にシボ加工を施した場合の作用を説明する図である。
図9(a)に示すように、タンク4内に水を入れながら使用者が水位確認領域10aを見ると、下側隣接領域12aに施されたシボ加工の凹凸によって光が乱反射するため、使用者には水面Xが見えにくい。
【0039】
図9(b)に示すように、水が増えて水面Xが目標水位指示部11aに達すると、シボ加工が施されていない目標水位指示部11a内に、水面Xを確認することができる。したがって、使用者がタンク4に水を入れながら水面Xを目で追っている際に、目標水位指示部11a内に水面Xが見えるようになってそれまでと水面Xの見え方が変わると、タンク4内に目標水位の水が入ったことを認識することができる。下側隣接領域12a上においては見えにくかった水面Xが、下側切替部位14aを超えて目標水位指示部11aに達すると、はっきり見えるようになるため、そのコントラストによって使用者は目標水位の水がタンク4に入ったことを容易に認識することができる。
【0040】
このように、本実施の形態3に係るタンク4は、水が目標水位に達したことを容易に確認することができる。このため、使用者は、タンク4に規定量の水を入れる際の水位調節を容易に行うことができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
なお、実施の形態1、2と同じく、同様の構成の水位確認領域を同じ高さ位置に左右2つ並べて設けてもよく、同様の効果を得ることができる。このことは、以降の実施の形態においても同様である。
【0041】
実施の形態4.
本実施の形態4は、シボ加工を施す領域の形状が、実施の形態3とは異なる。本実施の形態4では、実施の形態3との相違点を中心に説明する。
【0042】
図10は、実施の形態4に係るタンクの正面図である。
図10に示すように、水位確認領域10bにおいて、目標水位指示部11bにはシボ加工が施されておらず、その下側にはシボ加工が施された矩形の下側隣接領域12bが設けられ、上側にはシボ加工が施された上側隣接領域13bが設けられている。本実施の形態4では、下側隣接領域12b及び上側隣接領域13bが、シボ加工領域16bに等しい。そして、下側隣接領域12bの上端部が、下側切替部位14bであり、上側隣接領域13bの下端部が、上側切替部位15bである。
【0043】
本実施の形態4においては、実施の形態3と同様に、タンク4の内面41及び外面42のいずれにシボ加工を施してもよい。
このように、本実施の形態4のように水位確認領域10bにシボ加工を施しても、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態4では、目標水位指示部11bの幅を水位確認領域10bと同幅にして広く設けたので、目標水位指示部11bにおいて水面Xを確認しやすい。
【0044】
実施の形態5.
本実施の形態5は、実施の形態4の変形例である。本実施の形態5では、実施の形態4との相違点を中心に説明する。
図11は、実施の形態5に係るタンクの正面図である。
図11に示すように、下側隣接領域12cは、タンク4の底部近傍まで延びており、実施の形態4で示したものと比べて上下方向に長く構成されている。これ以外の構成については、実施の形態4と同様である。このように下側隣接領域12cを上下に長く構成することで、使用者がタンク4に水を入れながら水面を目で追っていったときに、水面が下側隣接領域12cから目標水位指示部11cに達したときの見え方の変化が、使用者に対して強調される。このため、使用者は、目標水位に達したことをより容易に認識することができる。
【0045】
なお、上記説明で示したタンク及び水位確認領域は、炊飯器のタンクのほか、例えば計量カップや加湿器用の水タンクなど、使用者が水位調節を行う他の容器に適用することも可能である。例えば計量カップのように複数種類の水位を示したい場合には、所定単位(例えば200ccの計量カップであれば50cc単位)で、シボ加工とシボ加工を設けない領域とを交互に設けることができる。また、一種類の水位を示せばよいタンクに用いる場合には、その水位の位置にてシボ加工の有無が切り替わるようにするとよい。
また、上記説明で示した水位確認領域に加えて、水位を示す刻印をタンクに設けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 本体、2 内釜、3 タンク収容部、4 タンク、5 上蓋、6 蒸気パイプ、10 水位確認領域、11 目標水位指示部、12 下側隣接領域、13 上側隣接領域、14 下側切替部位、15 上側切替部位、16 シボ加工領域、17a 周辺領域、40 タンク蓋、41 内面、42 外面、100 炊飯器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンクを備えた炊飯器であって、
前記タンクは、
当該タンクに冷却水が入れられる際の目標水位を含む領域であって、光が透過する材料で構成された水位確認領域を有し、
前記水位確認領域は、シボ加工が施された領域とシボ加工が施されていない領域とを含み、
前記目標水位と、前記目標水位に対して水位が増減する方向に隣接する領域との境において、シボ加工の有無が切り替わる切替部位を設けた
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記シボ加工は、前記タンクの内面に施されている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記シボ加工は、前記タンクの外面に施されている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
前記目標水位は、
蒸気を復水する際に最低限必要となる下限水位を下限値とし、蒸気が復水された後においても前記タンクから水が溢れないための冷却水の水位を示す上限水位を上限値とする所定範囲の水位である
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記シボ加工が施されていない領域は、前記目標水位を頂点とする図形または図形群であり、
前記水位確認領域のうち、前記シボ加工が施されていない領域の周囲に、シボ加工が施されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記目標水位は、シボ加工が施されていない矩形領域で表現されており、
前記水位確認領域のうち、前記目標水位の領域の周囲に、シボ加工が施されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記目標水位の領域は、シボ加工が施されていない矩形領域で表現されており、
前記水位確認領域のうち、前記目標水位の領域に対して上側に隣接する矩形領域、及び下側に隣接する矩形領域に、シボ加工が施されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記目標水位の領域に対して下側に隣接する矩形領域は、前記タンクの底部近傍まで延びている
ことを特徴とする請求項7記載の炊飯器。
【請求項9】
同様に構成された2つの前記水位確認領域が、同じ高さ位置に左右に並べて設けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項1】
加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンクを備えた炊飯器であって、
前記タンクは、
当該タンクに冷却水が入れられる際の目標水位を含む領域であって、光が透過する材料で構成された水位確認領域を有し、
前記水位確認領域は、シボ加工が施された領域とシボ加工が施されていない領域とを含み、
前記目標水位と、前記目標水位に対して水位が増減する方向に隣接する領域との境において、シボ加工の有無が切り替わる切替部位を設けた
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記シボ加工は、前記タンクの内面に施されている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記シボ加工は、前記タンクの外面に施されている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
前記目標水位は、
蒸気を復水する際に最低限必要となる下限水位を下限値とし、蒸気が復水された後においても前記タンクから水が溢れないための冷却水の水位を示す上限水位を上限値とする所定範囲の水位である
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記シボ加工が施されていない領域は、前記目標水位を頂点とする図形または図形群であり、
前記水位確認領域のうち、前記シボ加工が施されていない領域の周囲に、シボ加工が施されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記目標水位は、シボ加工が施されていない矩形領域で表現されており、
前記水位確認領域のうち、前記目標水位の領域の周囲に、シボ加工が施されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記目標水位の領域は、シボ加工が施されていない矩形領域で表現されており、
前記水位確認領域のうち、前記目標水位の領域に対して上側に隣接する矩形領域、及び下側に隣接する矩形領域に、シボ加工が施されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記目標水位の領域に対して下側に隣接する矩形領域は、前記タンクの底部近傍まで延びている
ことを特徴とする請求項7記載の炊飯器。
【請求項9】
同様に構成された2つの前記水位確認領域が、同じ高さ位置に左右に並べて設けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−102909(P2013−102909A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248201(P2011−248201)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
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