説明

炎症応答に対する抑制活性を有する、ホスファチジルーミオーイノシトールマンノシドの合成類似体

【課題】 本発明は、炎症応答に対する抑制活性を有する、ホスファチジルーミオーイノシトールマンノシドの合成類似体に関する。
【解決手段】 本発明のホスファチジルーミオーイノシトールマンノシドの合成類似体は、次の一般式(I)で表される。
【化27】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスファチジルーミオーイノシトールマンノシド(以下、PIMとする)の合成類似体、その製造方法及びその使用であって、特にTNF及び/又はIL-12でのサイトカイン又はケモカインの過剰発現に伴う疾患の予防又は治療への使用に関する。本発明はまた、少なくとも1つのPIMの合成誘導体を含む、医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの炎症応答に伴う、TNFやインターロイキン12(以下IL-12とする)p40のような好炎症サイトカインの発現を抑制することは、実際の医学的要求である。サイトカインの発現に関する兆候には、炎症、アレルギー性及び自己免疫性疾患が含まれ、それらには、リュウマチ性関節炎、クローン病、多発性硬化症、乾癬症、真性糖尿病、エリテマトートス、敗血症性ショック、及び慢性及び急性肺炎が含まれる。
【0003】
従来、これらの兆候に対し用いられてきた分子は、ステロイドがある。いくつかのTNF−ブロック試薬(抗体又は溶解性レセプター)が2000年以来市販されている。抗体を含む、IL-12分泌抑制のための分子の4つのクラスは、特許/特許出願[1]の課題である。
【0004】
しかしながら、ステロイドは、副作用があり、その使用を制限する。モノクローナル抗体又は溶解性レセプターは高価なタンパク質であり、皮下投与を必要とする。さらに、これらの抗体は、抗TNF抗体で示された、潜在性の肺結核の再発を起こすというような、感染への抵抗に対して望ましくない効果を与える。HyaluronanによりIL-12生産のインヒビターとして記載されたものは非常に高分子量であり、分子という観点からほとんど規定できず、合成することが困難である[2]。
【0005】
それゆえ、TNFやIL-12のような好炎症性サイトカインの新規なインヒビターであり、これらの問題を克服するものが、実際の医学的要求としていまだに残されている。
【0006】
ホスファチジルーミオーイノシトールマンノシド(以下PIMとする)は、以下のような複雑なリポグリカンの前駆体である。例えば、リポアラビノマンナン(LAM)及びリポマンナン(LM)であって、ミコバクテリアの細胞壁から抽出されたものである。それらの構造により、PIMは異なった免疫調節性を持つことができる。
【0007】
M.スメグマチスのような速成長性の非病原性種由来であるPILAMは、好炎症分子であり、TNFとIL-12の生産を刺激するものである。一方、マンノシル残基をキャップしたLAM(ManLAM)、は、最初M.tuberculesとM.ボビス BCGのような遅成長性ミオバクテリア由来であり、抗炎症分子であって、IL-12とTNFの産生を抑制し、IL-10の産生を樹枝状細胞又はモノサイト株により増加させる[8]。
【0008】
PILAMは、Toll状レセプター(TLR)-2によりマクロファージを刺激し、NF-kBシグナル経路を刺激することで先天的免疫に関与する[9]。ManLAMの抗炎症効果は、マンノースレセプター[10]又はDC-SIGN[11]への結合によるとされている。
【0009】
LMは、LAMの生合成の中間体であり、炭水化物骨格からなり、D-マンナンからなるコアと、マンノシルホスファチジルイノシトール(以下、PIMとする)が前記コアのマンナン還元末端で結合するものである。LMは、D−アラビナンドメインと、LAMに見出されるキャップが欠失している[12]。LMは、好炎症性であるが、本発明者は、最近、次の事実を記載している。つまり、例えばM.ボビス BCG、M.Tubercular、M.ケロネー、及びM.カンサシのような種々のバクテリア由来のLMは、又抗炎症性を持つということである[13]。特に、ミコバクテリウム ボビス BCGのトリアセチル化及びテトラアセチル化LMは、マクロファージ刺激と好炎症性サイトカインの発現を、TLR2、TLR4、及びMyD88アダプターたんぱく質の方法により引き起こすこと[14]、またこれに反して、ジアセチル化LMと、ある程度のトリアセチル化LMが、TLR2は独立して、TLR4経路を通じてマクロファージ刺激によって好炎症性サイトカインの発現を抑制することである[15]。したがって、アシル化の程度がM.ボビスのLMの制御効果に影響を与える。著者は、ミコバクテリア細胞壁のLMの異なるアシル化が、ホストへの炎症応答を制御するための新たな手段となることができることを提案した。
【0010】
PIMは、低分子量(約1000−2500)分子であり、一般的に、1から4個のアシル化鎖と、ホスファチジルーミオーイノシトール残基と、1から6個のマンノース残基を含む。そして天然PIMは、マンノースとアシル残基のさまざまな数からなる種々の形で存在し得る。
天然由来のPIMのうち、ホスファチジルーミオーイノシトールジマンノシド(以下PIM2とする)及びホスファチジルーミオーイノシトールヘキサマンノシド(一般的OIM6とする)は、ミコバクテリウム ボビス BCG及び ミコバクテリウムツベルクローシス H37Rvに最も普通に見出されるものである。天然状態でのPIM6の構造は、マンノシル基が2、6位でD-ミオ−イノシトールにより置換されている。
【0011】
いくつかの機能が、最近PIMによるものとされてきた。
【0012】
PIMはTLR2アゴノストであり、CD1bを発現するアンチゲン提示細胞と関連して、ヒトCD4-CD8- α/β T 細胞に認識される、ということが示された[14]。CD1bタンパク質とPIM2のアシル化側鎖との高親和相互作用が確立された[5]。ホスファチジル−イノシトール断片は、PIMのCD1bタンパク質結合において中心的役割を演じている。さらに、PIM2はNKT細胞(天然キラーT細胞)の補充を増加させ、そのことは肉芽種応答の本質的な役割を行う[6]、[7]。
【0013】
ミコバクテリウム ボビス BCG、ミコバクテリウム ツベルクローシス H37Rv及びミコバクテリウム スメグマチス 607 株は本質的に2つのPIMファミリーを含む、ジマンノシル化 PIMs (PIM2)及びヘキサマンノシル化 PIMs (PIM6)であることが示された[7]。PIM1、PIM3、PIM4及びPIM5は少量で見出され、そのことは、それらが生合成中間体であることを示唆する。PIMは、特定の位置でマンノースの順序付加によりホスファチジルイノシトールから合成される。マンノーストランスフェラーゼをコードする3つの遺伝子が、最初の3つのα−ManP単位の付加に関与することが知られている。最初のステップは、PIMA酵素により触媒され[16]、α−ManP基をホスファチジルイノシトールのミオ−イノシトールにトランスファーし、PIM1を形成することを含む。第2のステップ、すなわち、α−ManP基をホスファチジルイノシトールのミオ−イノシトールにトランスファーし、PIM2を生成すること、PIMB酵素により触媒される[17]。PIMC[18]により拡張がなされ、第3のα−ManP基を付加してPIM3を形成する。
【0014】
PIM、特にPIM2及びPIM6からの種々のアシル化されたPIMが精製され、特徴付けられている「7」。4つの主な、アシル化(モノアシル化、又はテトラアシル化)型が、PIM2及びPIM6(Ac1-からAc4−PIM2、及びPIM6、表1参照)において記載されている。マクロファージ刺激し、サイトカインを産生することを含むこれらの生物学的活性についても示されている。
【0015】
【表1】

それぞれのアシル化型の種々の種の相対的量は、対応する単一同位体シグナルの積分に基づいて決められた。
【0016】
本発明者は、すでに次のことを示した。すなわち、PIM2及びPIM6は、マクロファージの弱い活性化を引き起こし、それらのアシル化された構造とは無関係に、TLR2及びアダプターMyD88を介してTNFを分泌するということである「17」、[19]。
【0017】
しかしながら、PIMはLMの前駆体であることと、及び本発明者の最近の発見であって、ジアセチルLM及びトリアセチルLMは強い抗炎症効果を持つということに基づき、本発明者は、ある天然PIM、ジアセチル化PIM6及びトリアセチル化PIM6は、マクロファージによる好炎症サイトカイン放出のインヒビターであることを確定した。この研究は、11月20日、2006年にフランス特許出願No 06/10136として、FR2908658として出版された。
【0018】
PIM2とPIM6の全合成は記載されている[20]。本発明者は、すでにジアセチル化PIM1の合成を実施し、これが好炎症性サイトカイン放出のインヒビターであることを示した。
【0019】
上で示したように、従来のステロイド又はモノクローン抗体のような技術の欠点や不利益、障害を克服する。TNF及びIL-2のような好炎症性サイトカインの新規なインヒビターを見出す必要が実際の医学的要求として存在する。
【0020】
PIM誘導体の合成は、この要求に合う有利な他の方法である。
【0021】
このように、合成PIM誘導体であって、また同時に、単純に合成され、簡単に使用され、かつ高価ではなく、さらに従来のものよりもさらに好炎症性サイトカインの発現を抑制する性質を有する、合成PIM誘導体の現実の要求が存在する。

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、上記要求を満たす、新規な、炎症応答に対する抑制活性を有する、ホスファチジルーミオーイノシトールマンノシドの合成類似体提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的は、一般式(I)の新規化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩により解決される。
【0024】
【化1】

ここで、R1とR2はそれぞれお互いに独立して、水素原子、C1-C20アルキルラジカル、又はC1-C20アシルラジカルを表すが、ただし置換基R1又はR2の一方が水素の場合、他の置換基は、水素以外である。
Z1及びZ2は、それぞれお互いに独立して、水素原子、又はマンノース、グルコース及びガラクトースからなる群から選ばれる、少なくとも1つの糖を表すが、ただし、置換基Z1又はZ2の一方が水素の場合、他の置換基は、水素以外である。Qは、-OP(O)2O-、-OCO2-、-NHCO2-又は-NHCONH-を表す。Yは、水素原子、ヒドロキシラジカル、C1-C6アルコキシラジカル又は-(CH2)n-OH(ここで、nは、1、2又は3の整数を表す)を表す。ただし、Yがヒドロキシラジカルの場合、Z1及びZ2は共に水素原子ではない。Aは、-CH2-を表す。Xは、水素原子を表す。
【0025】
又、AとXは共に結合して6員環を形成するが、この場合、Aは-CH-を表し、Xは、-CH2-、-CH(OH)-、酸素原子、-NR3-(ここで、R3は水素、C1-C6アルキルラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表す)を表す。
ただし、AとXが結合を形成して6員環を形成し、
Xが、-CH(OH)-であり、Yは-OH、及びZ1及びZ2は、それぞれお互いに独立に、水素原子、又は、マンノース、グルコース及びガラクトースからなる群から選ばれる少なくとも1つの糖を表す場合、前記6員環は、ミオーイノシトール構造であって、Z1又はZ2が1位にあり、少なくとも1つの糖を表す。
【0026】
本発明の内容で、用語「ミオ−イノシトール」は、次の構造を意味し、数字は、International Union of Biochemistry (1988)の薦めに基づく。
【0027】
【化2】

本発明のひとつの実施態様においては、本発明の化合物は、AとXが共に結合しての6員環となり、その結果式(Ia)で表される化合物、又はそれらと医薬的に許容される塩である。
【0028】
【化3】

ここで、R1、R2、Z1、Z2、Q及びYは上で定義されたものである。Aは、-CH-を表し、Xは、-CH2-、-CH(OH)-、酸素原子、-NR3-(ここで、R3は水素原子、C1-C6アルカリラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表す)を表す。
ただし、
Xは、-CH(OH)-、Yは-OH、さらにZ1及びZ2は、それぞれお互いに独立に、マンノース、グルコース及びガラクトースからなる群から選ばれる少なくとも1つの糖を表す場合は、前記6員環はミオーイノシトール構造であり、Z1又はZ2が1位にあり、かつ少なくとも1つの糖である。
【0029】
AとXとが結合して6員環を形成するこの実施態様の例として次の化合物が挙げられる。
R1及びR2は、それぞれ独立して、C1-C20アシルラジカルであり、
Z1は水素原子であり、Z2はマンノースであり、Qは-OP(O)2O-であり、Aは-CH-であり、Xは-CH(OH)-であり、Yはヒドロキシラジカルであり、前記6員環はミオーイノシトール構造であり、Z1が1位にある化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩である。
【0030】
AとXとが結合して6員環を形成するこの実施態様の他の例として次の化合物が挙げられる。
R1及びR2は、それぞれ独立して、C1-C20アシルラジカルであり、
Z1はマンノースであり、Z2は水素原子であり、Qは-OP(O)2O-であり、Aは-CH-であり、Xは-CH(OH)-であり、Yはヒドロキシラジカルであり、前記6員環がミオーイノシトール構造であり、Z1が1位にある化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩である。
【0031】
AとXとが結合して6員環を形成するこの実施態様の他の例として次の化合物が挙げられる。
【0032】
R1とR2は、上と同じように定義されたものであり、
Qは-OP(O)2O-であり、Aは-CH-であり、Xは-CH(OH)-であり、Yはヒドロキシラジカルであり、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、マンノース、グルコース及びガラクトースからなる群から選ばれる、少なくとも1つの糖であり、前記6員環が、ミオーイノシトール構造であり、Z1又はZ2が1位にあり、少なくとも糖である、化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩である。
【0033】
さらに、AとXとが結合して6員環を形成するこの実施態様の他の例として次の化合物が挙げられる。
【0034】
R1及びR2、Z1及びZ2、及びYは上で定義されたものであり、
Qは-OP(O)2O-であり、Aは-CH-であり、Xは-NR3-(ここでR3は、水素原子、C1-C6アルキルラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表す)である、化合物又はそれらの医薬的に許容される塩である。
【0035】
本発明の他の実施態様である、本発明の化合物は、次の式(Ib)で表される化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩である。
【0036】
【化4】

ここで、
R1及びR2、Z1及びZ2、Q及びYは上で定義されているものであり、
Aは-CH2-であり、Xは水素原子である。
【0037】
完全に予想外に次のことが見出された。すなわち、本発明による合成PIM誘導体は、免疫応答において伴うTLRレセプターのアゴニストとしての作用につきこれらの誘導体の性質を分けることができるということである。従って、これらの新規なPIMを、好炎症性と抗炎症性とに分けることができるということである。
【0038】
さらに、本発明によるPIM誘導体は低分子量(約1000)である。これらの誘導体は、分子的観点からみて、十分に定義され、天然PIMよりもより簡単に合成することができる。加えてこれらは非細胞毒性である。
【0039】
さらに、これらの誘導体は、天然PIMと比べて同程度又はより強い免疫調節活性を有する。
【0040】
本発明の目的のために、用語「アルキル」とは次のことを意味する。直線状、分枝状又は環状の、飽和又は不飽和の、場合により置換されていてよい、1−20の炭素数、例えば1−15の炭素数、例えば1−6の炭素数の炭素ラジカルを意味する。例示としては、次が挙げられる。メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデカニル、トリデカニル、テトラデカニル、ペンタデカニル、ヘキサデカニル、ヘプタデカニル、オクタデカニル、ノナデカニル及びエイコサノイルラジカル及びそれらの分枝異性体である。
【0041】
本発明の目的のために、用語「アシル」とは、-COR'ラジカルを意味する。ここでR'は、上で定義したアルキルラジカルである。アシル基は又、ツベルクロステアリル基をまた表す。
【0042】
本発明の目的のために、用語「アルコキシ」とは、-OR'ラジカルを意味し、R'は、上で定義されたアルキルラジカルである。
【0043】
本発明の内容において、「医薬的に許容される塩」とは、本化合物に存在する置換基により、非毒性の酸又は塩基とともに調製された塩を含む。
【0044】
本発明の化合物が、酸性機能を有する場合は、対応する塩は、場合により溶媒、好ましくは不活性溶媒中で、有機又は無機塩基を化合物に添加して中和された形で得ることができる。塩基を添加する塩の例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム(有機)又はマグネシウムの塩が上げられる。本発明の化合物が、塩基性機能を有する場合は、対応する塩は、場合により溶媒、好ましくは不活性溶媒中で、有機又は無機酸を化合物に添加して中和された形で得ることができる。酸を添加する塩の例として、塩酸、臭酸、硝酸、炭酸、1水素炭酸、リン酸、1水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、1水素硫酸、又はヨウ酸である。有機酸添加の塩の例は、酢酸、プロピオン酸、イソブチル酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、スクシン酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデリン酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸又はメタンスルホン酸が挙げられる。又本発明には、アルギニン酸塩のようなアミノ酸の塩、グルクロン酸又はガラクツロン酸のような有機酸の塩も含まれる。
【0045】
一般式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物はまた、ラセミ形又は一方の光学異性体がエンリッチされた形、又はエンリッチされた立体異性体の形でもあり得る。
【0046】
本発明の好ましい化合物は式(Ia)の次の構造を有する化合物(イソPIM1-C16C18)である。
【0047】
【化5】

本発明は、また、上で定義した本発明による化合物の製造方法に関する。すなわち、本発明の化合物の製造方法であって:
ステップa)式(III)のグリセロールのジ-O-アシル化又はジ-O-アルキル化誘導体
【0048】
【化6】

(式中、Gは、OH又はNH2であり、R1及びR2は、上で定義されたものと同じである)を、ホスフィチル化、ホスホリル化又はカルボニル化試薬と縮合して、式(IV)
【0049】
【化7】

(式中、Jは、O又はNHであり、Kは、P-OBn、P(O)-OBn又はC=Oであり、Lは、脱離基であり、R1及びR2は上で定義した同じものである)
の中間体とし、
ステップb)前記中間体(IV)は、一般式(V)
【0050】
【化8】

(式中、Gは、OH又はNH2、Z3及びZ4は、それぞれ独立して、マンノ、グルコ又はガラクト構造のヘキサピラノースの少なくとも1つであり、それらはアセチル又はメトキシアセチル保護基、又はベンジル基を有することから、Z3及びZ4基の少なくとも1つが保護された糖を表すものと理解されるべきであり、R4は、ベンジル基又はC1-C6アルコキシアセチルラジカルの群から選ばれる保護基を表す)のポリオール又はアミノポリオールと縮合し、
又は、前記中間体(IV)は、一般式(VI)
【0051】
【化9】

(式中、GはOH又はNH2、Z3及びZ4は、上で定義されたものと同じであって、Y2は、H又は-OR4基又は-(CH2)nOR4基(ここでR4は上で定義されたものと同じ)であり、X2は-CH2、-CHOR4、-NR3(ここでR3は、水素原子、C1-C6アルキルラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表し、及びR4は、ベンジル基又はC1-C6アルキルアセチルラジカルのような保護基を表す)又はOを表す)の環状化合物と、又は場合によりカップリング剤の存在下で、縮合し、
ステップc)ステップb)で得られた化合物を、場合により酸化反応に供して、一般式(VII)
【0052】
【化10】

(式中、JとJ'はO又はNHであり、MはP(O)OBn又はC=Oであり、Z3、Z4、R1、R2及びR4は、上で定義された同じものを表わす)
の化合物、
又は、一般式(VIII)
【0053】
【化11】

(式中、J及びJ'はO又はNHであり、Mは、P(O)OBn 又はC=Oであり、X2、Y2、Z3、Z4、R1、R2及びR4は、上で定義された同じものを表す)
化合物を得て、
ステップd)一般式(VII)又は一般式(VIII)化合物が、2段階の脱保護反応(すなわち、t−ブチルアミンを含む群から選ばれるアルキルアミンによる第1の処理でアセチル基又はメトキシアセチル基を選択的に切断し、その後、脱アシル化した生成物を触媒水素添加してベンジル基を除去する)に供される、方法である。
【0054】
ホスフィチル化試薬の例としては、クロロビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィン、ベンジル−オキシジクロロホスフィン、ビス(ベンジルオキシ)−N、N―ジエチルアミノホスフィン及びその関連化合物が挙げられる。
【0055】
ホスホリル化試薬の例としては、ジフェニルクロロホスフェート、ジベンジルホスホロクロリデート、キシレンクロロホスフェート及びその関連化合物が挙げられる。
【0056】
カルボニル化試薬の例としては、カルボニルジイミダゾール、トリホスゲン及びその関連する化合物が挙げられる。
【0057】
「保護基」とは、次の基を意味する。すなわち、ある官能基を、選ばれた反応条件下では不活性であり、合成の際に生じる副反応を抑制できるように変換することを可能とする基である。この意味で、例えば、ベンジル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基又はメトキシアセチル基が挙げられる。
【0058】
「脱離基」とは、次の基を意味する。すなわち、親核反応により置換される基であり、例えばハロゲン又はトシレートである。
【0059】
本発明の内容において、「カップリング剤」又は「結合剤」とは次の意味である。リン酸又はカルボン酸と、アルコール又はアミンとを縮合させ、対応するエステル又はアミド結合を形成させる試薬である。この意味で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、又はN−エチル−N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDCI)があげられる。
【0060】
本発明の1つの実施の態様において、式(I)の化合物であって、Qが-OP(O)2O-を表すものは、又次の方法で調製することができる。
【0061】
ステップa)式(IX)のグリセロールのジ-O-アセチル化又はジ-O-アルキル化体を、上で定義したホスフィチル化試薬と縮合し、中間体(X)を得る、
【0062】
【化12】

(式中、R1及びR2は上で定義したものと同じである)
【0063】
【化13】

(式中、Lは脱離基である)
ステップb)中間体(X)はその後、一般式(XI)のポリオール、
【0064】
【化14】

(式中、Z3及びZ4は、それぞれ独立して、マンノ、グルコ又はガラクト構造のヘキサピラノースであり、アセチル基又はメトキシアセチル基、又はベンジル基を有することから、ただし少なくともZ3及びZ4の少なくとも1つは保護糖を表す。R4は、ベンジル基又はC1-C6アルコキシアセチルラジカル基のような保護基を表す)
又は、式(XII)の環状化合物
【0065】
【化15】

(式中、Z3及びZ4は、上で定義された同じものを表し、Y2は、H又は-OR4基又は-(CH2)nOR4基(ここでR4は上で定義されたものと同じものを表し、nは、1から3を表す)を表し、X2は、-CH2、-CHOR4、-NR3(ここでR3及びR4は、上で定義されたものである)又はOを表す)と、1H−テトラゾールを含む基から選ばれたカップリング剤の存在下で縮合させ、
ステップc)中間体のホスファイトを、次に、酸化反応に供して一般式(XIII)の化合物、
【0066】
【化16】

(式中、Z3、Z4、R1、R2及びR4は上で定義したものと同じものを表す)又は、一般式(XIV)の化合物を得て、
【0067】
【化17】

(式中、Z3、Z4、R1、R2及びR4は上で定義したものと同じものを表す)
ステップd)ステップc)で得られた化合物(XIII)及び(XIV)を、後に2ステップの脱保護反応(すなわち、t−ブチルアミンを含む群から選ばれるアルキルアミンによる第1の処理でアセチル基又はメトキシアセチル基を選択的に切断し、その後、脱アシル化した生成物を触媒水素添加してベンジル基を除去する)に供する、方法である。
【0068】
本発明の他の課題は、上で定義されたような本発明の少なくとも1つの化合物と及びいかなる薬学的に許容されるレシピエントを含む、医薬組成物である。
【0069】
本発明による組成物はまた、薬学分野の熟練者によく知られた成分を含んでいてよい。例えば、特に、安定化剤、乳化剤、浸透化剤、保存剤、色素、助剤、結合剤、又は滑剤である。
【0070】
本発明による医薬組成物は、炎症又は自己免疫異常疾患の、予防、治療に使用することができる。
【0071】
他の課題は、上で説明された組成物を、個々における特にTNF及び/又はIL-12のサイトカイン又はケモカインの過剰発現に伴う疾患の予防、治療のための医薬の製造のための使用からなる。
【0072】
「個々」とは、哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
【0073】
特にTNF及び/又はIL-12のサイトカイン又はケモカインの過剰発現に伴う疾患とは、
A) リューマチ性関節炎、糖尿病、全身性エリテマトーデス又はバセドー病から選択される免疫又は自己免疫病免疫又は自己免疫病、
B) 移植拒絶、
C) ウイルス性及び/又は寄生虫感染、
D) バクテリア、ウイルス及び/又は寄生虫由来感染による、急性又は慢性感染によるショック、
E) 炎症性疾患、慢性炎症疾患(サルコイドーシス、炎症性腸炎、リューマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病)及び血管炎症疾患(脱繊維素症候群、あてローム性動脈硬化、川崎病)からなる群から選ばれる炎症疾患、
F) 脱髄性疾患(多発性硬化症及び急性横断性脊髄炎)、錐体外路及び小脳性疾患(皮質脊髄系障害又は脳幹神経質疾患)からなる群から選ばれる神経変性疾患、
G) 白血病(急性、慢性、骨髄異形成、リンパ球性、又は骨髄性)、リンパ腫(Hodgkin's又は悪性(Burkitt's))を含む群から選ばれた、TNF分泌腫瘍又はTNFを伴う悪性病理学状態及び
H) アルコール性肝炎、を含む。
【0074】
本発明はまた、上で定義された化合物を、サイトカイン又はケモカイン、特にTNF及び/又はIL-12の過剰発現に伴う疾患の予防、治療のための薬剤の製造のための使用に関し、その疾患とは、
A) リューマチ性関節炎、真性糖尿病、全身性エリテマトーデス、又はバセドー病から選択される免疫又は自己免疫病、
B) 移植拒絶、
C) ウイルス性及び/又は寄生虫感染、
D) バクテリア、ウイルス及び/又は寄生虫由来感染による、急性又は慢性感染によるショック、
E) 炎症性疾患、慢性炎症疾患及び血管炎症疾患から選ばれる炎症疾患、
F) 脱髄性疾患、錐体外路及び小脳性疾患から選ばれる神経変性疾患、
G) 白血病、及びリンパ腫から選ばれた、TNF分泌腫瘍、又はTNFを伴う悪性病理学状態及び
H) アルコール性肝炎、を含む。
【0075】
好ましくは、前記医薬は、個々の炎症疾患の予防又は治療のためである。
【0076】
前記医薬は、注射(静脈内、筋肉内、皮下、皮内等)、鼻腔、経口又は経皮投与又は吸入により投与可能である。投与の態様により、医薬は溶液の形、乳化物、タブレット、粉末、軟膏、ローション、ジェル、坐薬又はスプレーに調製される。
【0077】
前記医薬において、式(I)の化合物又は薬物的に許容される塩の濃度は限定されない。好ましくは0.1%と100%(重量/重量)の間であり、特に好ましくは0.5%と20%の間である。
【0078】
他の利点は、当該分野の熟練者にとって、以下の例を、説明するために添付された図面による説明とともに読むことでさらに明らかとなる。

【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、天然PIM6の構造を示す。3つのアシル基を持ち、そのアルキル鎖は、直鎖でC16であり、及び1つのアシル基を持ち、そのアルキル鎖が分岐していてC19である。
【図2】図2a、b、cは、例1の化合物イソPIM1PIM1-2C16(SFPIM91、図2a)、例2の化合物イソPIM1-C16C18 (SFPIM219、図2b)、及び例3及び4の化合物PIM-2-mimNCOCF3 (SFPIM324-t4)及びPIM-2-mimNH (SFPIM324-t8)(図2c)の合成スキームを示す。
【図3】図3は、PIM1の「異性体」形、イソPIM1-2C16(SFPIM91)の存在下で、LPSの初期マクロファージ刺激によるTNF発現の抑制を示し、天然PIMs、Ac2PIM6及びAc3PIM6、及び合成PIM1(SFPIM135)の1、3及び10μg/mlでのタイター結果の比較を示す。
【図4】図4は、イソPIM1-2C16(SFPIM91)、天然PIMs、Ac2PIM6 及びAc3PIM6及び合成PIM1(SFPIM135)が、1、3及び10μg/mlでのタイターで、細胞毒性を有しないことを示す。
【図5】図5は、INFγの有無の条件で、LPSによる初期マクロファージ刺激のよるIL−6の発現を表し、天然PIMs Ac2PIM6及びAc3PIM6、及び合成PIM1(SFPIM135)とを、10μg/mlで比較する。
【図6】図6は、イソPIM1-2C16(SFPIM91)の存在下で、LPSで初期マクロファージ刺激によるIL-12 p40の発現抑制を示し、天然PIMs Ac2PIM6及びAc3PIM6、及び合成PIM1(SFPIM135)とを、1μg/mlで比較する。
【図7】図7は、10μg/mlでの、合成PIM1(SFPIM135)及びイソPIM1-2C16(SFPIM91)の存在下で、LPSによる初期マクロファージ刺激によるKC発現抑制を示す。
【図8】図8は、合成PIM1(SFPIM135)及びイソPIM1-2C16(SFPIM91)による、エンドトキシンに局所投与への呼吸通路への応答抑制を表す。「AUC」略語は、カーブ下の領域を意味する。
【図9】図9は、合成PIM1(SFPIM135)及びイソPIM1-2C16(SFPIM91)による、エンドトキシンへの応答において、主に好虫球である炎症細胞の気管支肺胞空間への惹起の抑制を示す。
【図10】図10は、合成PIM1(SFPIM135)及びイソPIM1-2C16(SFPIM91)による、エンドトキシンへの応答において、好虫球の惹起に関与する気管支肺胞洗浄液中のケモカインKCの分泌の抑制を示す。
【図11】図11は、合成PIM1(SFPIM135)及びイソisoPIM1-2C16(SFPIM91)による、エンドトキシンへの応答において気管支肺胞洗浄液中のTNFの分泌の抑制を示す。
【図12】図12は、PIM1の「異性体」イソPIM1-C16C18 (SFPIM219)の存在下で、LPSで初期マクロファージ刺激によるTNF発現抑制を、1、3及び10μg/mlでのタイターで示す。
【図13】図13は、イソPIM1-C16C18(SFPIM219)が、非細胞毒性であることを、1、3及び10μg/mlでのタイターで示す。
【図14】図14は、PIM1の「異性体」イソPIM1-C16C18 (SFPIM219)の存在下で、LPSで初期マクロファージ刺激によるIL-12p40の発現抑制を、1、3及び10μg/mlでのタイターで示す。
【図15】図15は、合成PIM1(SFPIM145)、イソPIM1-C16C18(SFPIM219)、及び化合物PIM-2-mimNCOCF3(SFPIM324 t2)及びPIM-2-mimNH(SFPIM324 t8)の存在下で、LPSで初期マクロファージ刺激によるTNF発現抑制を、1、3、10及び30μg/mlでのタイターで示す。
【図16】図16は、合成PIM1(SFPIM145)、イソPIM1-C16C18(SFPIM219)、及び化合物PIM-2-mimNCOCF3(SFPIM324 t2)及びPIM-2-mimNH(SFPIM324 t8)の存在下で、LPSで初期マクロファージ刺激の実行可能性を、1、3、10及び13μg/mlでのタイターで示す。
【図17】図17は、合成PIM1(SFPIM145)、イソPIM1-C16C18(SFPIM219)、及び化合物PIM-2-mimNCOCF3(SFPIM324 t2)及びPIM-2-mimNH(SFPIM324 t8)の存在下で、LPSで初期マクロファージ刺激によるIL-12p40の発現抑制を、1、3、10及び30μg/mlでのタイターで示す。
【実施例】
【0080】
溶媒及び反応試薬
ジクロロメタン(CH2Cl2)及びトルエンを、アルゴン雰囲気下で、CaH2上で蒸留した。テトラヒドロフラン(THF)は、アルゴン雰囲気下、ナトリウム及びベンゾフェノンの存在下で蒸留した。ジエチルエーテルは、アルゴン雰囲気下で、CaH2上で蒸留し、0−4℃でアルゴン雰囲気下で、4Åモレキュラーシーブ上で貯蔵した。用いた他の溶媒は、Carlo-Erbaから供給された。
【0081】
核磁気共鳴(NMR)
1H及び13Cスペクトルは、Brucker DPX250装置と、Brucker AV400装置で実施した。HNMRの化学シフト(δ)はテトラメチルシラン(TMS)によるδ値を0.00ppmとして較正した。13CNMRのδ値は、Gottlieb et al. J. Org. Chem., 1997, 62, 7512に記載の溶媒の対照値に基づき較正した。31PNMRスペクトルは、bruckerAV400装置で行い、80%リン酸(H3PO4)(δ=0.00ppm)を含む外部標準により較正した。19FNMRは、自動多核プローブ装着のBruckerAV400装置で記録し、BF3エーテル錯体(δ=0.00ppm)を含む外部標準により、較正した。測定は、25℃で、直径5mmの測定チューブで行った。スペクトルは、Aldrich又はSDSから供給された重水溶媒中で行った。
【0082】
クロマトグラフ
薄層クロマトグラフ(TLC)は、Merckの「TLCシリカゲル60F254」アルミニウムプレートで行った。化合物は、UVランプ及び/又は、硫酸及びエタノール中のリンモリブデン酸に漬けた後加熱装置で加熱して、可視化される。
【0083】
クロマトグラフカラムは、Merckのシリカゲル(シリカゲル60(40−63μm))で調製した。
【0084】
質量スペクトロメトリ
ESI質量スペクトロメトリ: サンプルは、「分析」品質の溶媒中で、Perkin Elmer Sciex API 300スペクトロメータで分析される。
高分解質量スペクトロメータ: サンプルは、オ−ビエールのBlaise Pascal university Aubiereの物理測定センターで分析する。
【0085】
例1:
1) イソPIM1-2C16 (SFPIM91)の合成:
L-カンファージメチルアセタール(化合物1、図2a)
SFPIM-97
Lindberg et al. Tetrahedron, 2002, 58, 1387-1398 [24]による調製。硫酸(H2SO4)(194μl)を、市販L−カンファー(>95%、Fluka)(20g、0.131mol)と、オルト蟻酸トリメチル(95ml、0.908mol、6.9当量)と、メタノール(20ml)との混合物溶液に加える。48時間攪拌した後、混合物をナトリウムメトキシド(NaOMe)(400mg)で中和した後、溶媒を蒸留して除く。残渣を真空下(25mbar)で蒸留して集め、化合物2(21g、81%)を、無色液体の形で得る。H-NMRにより確認する。

1、2-O-(L-1、7、7-トリメチルビシクロ[2、2、1]ヘプチ-6-イリデン)-D-ミオ-イノシトール(化合物3、図2a)
SFPIM-10
Lindberg et al. Tetrahedron, 2002, 58, 1387-1398 [24]に基づく調製。ジメチルスルホキシド(DMSO)(34ml)中の化合物2(8.06g、0.041mol、2.4当量)と、市販ミオ-イノシトール(>99%,Aldrich)(3.1g、0.017mol)との溶液に、硫酸H2SO4(173μl)を加える。混合物を3時間75℃で攪拌し、後Et3N(1ml)を加えて中和し、80℃で真空蒸留する。残渣に、DMSO(3ml)と、クロロホルム(52ml)と、メタノール(3.2ml)と、水(1ml)及びp-トルエンスルホン酸(PTSA)(11.6mg)とが加えられる。反応混合物を18時間攪拌し、後Et3N(0.4ml)を加えて中和する。こうして得られた沈殿を焼成ガラスフィルタでろ過し、クロロホルムで洗浄する(2×40ml)。粗生成物を、メタノール(MeOH)(0.1%Et3N含有)から再結晶して、化合物3(1.738g、32%)を白色固体の形で得る。1H-NMR スペクトルで確認する。
【0086】
3、4、5、6-テトラ-O-ベンジル-1、2-O-(L-1、7、7-テトラメチル-ビシクロ[2、2、1]ヘプチ-6-イリデン)-D-ミオ-イノシトール(化合物4、図2a)
SFPIM-72
ナトリウム水素(NaH)(1.16g、0.048mol、12当量60%ミネラルオイル中分散物)を、アルゴン雰囲気下で、前もって0℃に冷却された化合物3の無水DMF(30ml)溶液に加えられる。0℃で15分攪拌後、臭化ベンジル(2.9ml、0.024mmol、6当量)を滴下して加え、後反応混合物を24時間、室温(約20℃)で攪拌する。後、0℃に冷却し、過剰のNaHをメタノール(3ml)を加えて分解し、中身をトルエン(250ml)で希釈する。有機層を水(100ml)で、その後、飽和NaCl水溶液で洗浄し(3×100ml)、その後MgSO4上で乾燥する。溶媒を蒸留して除き、シリカゲルカラムクロマトグラフ(8/1ヘキサン/ジエチルエーテル)で精製し、化合物4(2.15g、80%)を、無色のシラップとして得る。
【0087】
C44H50O6(M=674.89g/mol)
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ 0.86 (s, 3H, CH3), 0.87 (s, 3H, CH3), 1.09 (s, 3H, CH3), 1.22-1.33 (m, 3H), 1.34-1.45 (b, 1H), 1.47 (s, 0.5H), 1.50 (s, 0.5H), 1.68-1.76 (m, 2H), 1.9-2.02 (m, 2H), 3.44 (dd, 1H, H5, J5-6 = 8.2 Hz, J4-5 = 9.6 Hz), 3.74 (dd, 1H, H4, J4-3 = 7.2 Hz), 3.77 (t, 1H, H1, J1-2 = 4.2 Hz), 3.84 (dd, 1H, H6, J1-6 = 8.4 Hz), 3.96 (dd, 1H, H3, J2-3 = 6.2 Hz), 3.44 (dd, 1H, H5, J5-6 = 8.2 Hz, J4-5 = 9.6 Hz), 4.30 (dd, 1H, H2), 7.20-7.45 (m, 20H, 4Ph).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 10.27 (CH3), 20.52 (CH3), 20.75 (CH3), 27.76 (CH2), 29.89 (CH2), 45.08 (CH2), 45.31 (CH), 48.08 (Cq), 51.67 (Cq), 72.55 (CH2, CH2Ph), 73.19 (CH, C2), 74.00 (CH2, CH2Ph), 75.08 (CH2, CH2Ph), 75.25 (CH2, CH2Ph), 76.32 (CH, C3), 77.50 (CH, C1), 80.86 (CH, C6), 82.22 (CH, C5), 83.31 (CH, C4), 117.77 (Cq), 127.55-128.44 (CH, Ph), 138.55-138.89 (Cq, Ph, 4 lines).
SI-MS: M 計算値 674.36; 実測値: 675.5 [M+H]+, 692.5 [M+NH4]+, 697.5 [M+Na]+, 713.5 [M+K]+.
3、4、5、6-テトラ-O-ベンジル-D-ミオ-イノシトール(化合物5、図2a)
SFPIM-17
化合物4(1.53g、2.26mmol)を、水性80%酢酸溶液(75ml)に分散させ、100℃で4時間攪拌する。溶媒を真空下蒸留で除き、トルエンで共蒸留する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(トルエン/アセトン35/1、10/1までグラジエント)で精製して、化合物5(1.029g、84%)を白色固体として得る。
【0088】
C34H36O6 (M=540.66g/mol)
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.53 (d, 1H, OH-1, J1-OH = 4.8 Hz), 2.64 (s, 1H, OH-2), 3.42-3.51 (m, 3H, H3, H1, H5), 3.83 (dd, 1H, H6, J6-5 = 9.6 Hz, J1-6 = 9.6 Hz), 3.97 (dd, 1H, H4, J3-4 = 9.6 Hz, J4-5 = 9.6 Hz), 4.17 (dd, 1H, H2, J2-3 = 2.8 Hz, J2-1 = 2.8 Hz), 4.65-4.96 (m, 8H, 4 CH2Ph), 7.25-7.4 (m, 20 H, 4x5 CHAr).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 69.33 (CH, C2), 71.87 (CH, C1), 72.84 (CH2, CH2Ph), 75.71 (CH2, CH2Ph), 75.82 (CH2, CH2Ph), 76.07 (CH2, CH2Ph), 80.11 (CH, C3), 81.45 (CH, C6), 81.74 (CH, C4), 83.33 (CH, C5), 127.73-128.67 (CH, Ph, 9 lines), 137.89 (Cq, Ph), 138.62 (2Cq, Ph), 138.73 (Cq, Ph).
SI-MS: M 計算値 540.25; 実測値: 541.5 [M+H]+, 558.5 [M+NH4]+, 563.5 [M+Na]+, 579.5 [M+K]+.
3、4、5、6-テトラ-O-ベンジル-1-O-p-メトキシベンジル-D-ミオ-イノシトール(化合物6、図2a)
SFPIM104
化合物5(301mg、0.557mmol)及びジブチルスズ酸化物 (139mg、0.557mmol、1当量)のトルエン(5ml)懸濁液を、18時間、140℃で、アルゴン下、ディーンスタルクトラップを用いて加熱し、生じる水を捕集する。真空下で濃縮して、残渣を、フッ化セシウム(CsF)(172mg、1.11mmol)と4-メトキシベンジルクロリド(76μl、0.557mmol、1当量)を含む無水DMFに溶解する。反応混合物を7時間30分攪拌した後、溶媒を蒸留して除き、白色固体残渣を得る。それを酢酸エチル(20ml)に部分的に溶解する。残渣固体をガラスフィルタで除き、ろ液を蒸留して乾燥する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(7/3石油エーテル/酢酸エチル)して精製し、化合物6(262mg、71%)を白色固体として得る。
【0089】
C42H44O7 (M=660.81g/mol).
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.43 (s, 1H, OH), 3.27 and 3.28 (2 dd, 2H, H1 and H3, J1-6 = J3-4 = 9.6 Hz, J1-2 = J2-3 = 2.8 Hz), 3.36 (dd, 1H, H5, J5-6 = J5-4 = 9.2 Hz), 3.69 (s, 3H, CH3), 3.89 and 3.91 (2 dd, 2H, H4 and H6), 4.09 (dd, 1H, H2, J2-3 = J2-1 = 2.8 Hz), 4.53 (s, 2H, CH2Ph), 4.61 (s, 2H, CH2Ph), 4.72-4.83 (m, 63H, 3 x CH2Ph), 6.74 and 6.76 (2s, 2H, CHAr PMB), 7.1-7.3 (m, 23H, CHAr).
13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 55.33 (CH3), 67.59 (CH, C2), 72.44 (CH2), 72.76 (CH2), 75.95 (CH2), 75.98 (2xCH2), 79.55 and 79.86 (2 CH, C1 and C3), 81.27 and 81.29 (2 CH, C4 and C6), 83.26 (CH, C5), 127.61-129.59 (CHAr, 8 lines), 130.10 (Cq), 138.05 (Cq), 138.77 (Cq), 138.83 (Cq), 138.88 (Cq), 159.42 (Cq).
3、4、5、6-テトラ-Oベンジル-1-O-(2、3、4、6-テトラアセチル-α-D-マンノピラノシル)-D-ミオ-イノシトール(化合物7、 図2a)
SFPIM63
化合物6(457mg、0.69mmol、1当量)のCH2Cl2(10ml)溶液を、カニューラ型チューブを介してアルゴン下、化合物1(845mg、 .08mmol、3当量)のCH2Cl2(10ml)溶液に導入する。反応混合物を、4オングストローム モレキュラーシーブの存在下で20分間攪拌し、その後-20℃に冷却する。銀トリフレート(1.066g、4.15mmol、6当量)を添加し、反応混合物を攪拌しつつ、温度を20℃に戻し1時間維持する。反応混合物にトリエチルアミン(1ml)を加えて中和し、CH2Cl2で希釈する。有機層を飽和NaHCO3(30ml)で洗浄し、その後飽和NaCl(30ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(3/1石油エーテル/酢酸エチル)で精製し、化合物7 (309mg、21%)を得る。
【0090】
C48H54O15 (M=870.96g/mol).
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.38-7.20 (m, 20H, CHAr), 5.43 (dd, 1H, H3', J3'-2' = 2.6 Hz, J3'-4' = 10 Hz), 5.34 (dd, 1H, H2', J2'-1' = 1 Hz), 5.27 (dd, 1H, H4', J4'-5' = 10 Hz), 5.07 (d, 1H, H1', J1-2' = 1 Hz), 4.86 (s, 4H, 2 CH2Ph), 4.85 (d, 1H, CH2Ph, J = 10.8 Hz), 4.80 (d, 1H, CH2Ph, J = 10.8 Hz), 4.75 (d, 1H, CH2Ph, J = 11.2 Hz), 4.68 (d, 1H, CH2Ph, J = 11.2 Hz), 4.29 (m, 3H, H2, H5', H6A'), 4.03 (m, 2H, H6B', H4 or H6), 3.95 (dd, 1H, J5-4 = J5-6 = 9.6 Hz), 3.54 (dd, 1H, H1 or H3, J = 2.8 and 10 Hz), 3.45 (dd, 1H, H4 or H6), 3.43 (dd, 1H, H3 or H1), 2.08 (s, 3H, CH3 Ac), 2.06 (s, 3H, CH3 Ac), 2.03 (s, 3H, CH3 Ac), 2.00 (s, 3H, CH3 Ac).
13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 170.74, 169.94, 169.91, 169.72, 138.68, 138.64, 138.33, 137.87, 128.65-127.75, 99.85 (C1'), 83.12, 81.27, 81.07, 80.42, 80.13, 76.28, 76.07, 76.01, 73.15, 69.64 (C2'), 69.54 (C5'), 69.20 (C3'), 68.92 (C2), 66.65 (C4'), 63.16 (C6'), 20.86, 20.78.
SI-MS: M 計算値 870.35; 実測値: 888.5 [M+NH4]+, 893.5 [M+Na]+, 909.0 [M+K]+.
3-O-ベンジル-1、2-O-ジパルミトイル-sn-グリセロール(化合物8、図2a)
SFPIM77
3-O-ベンジル-sn-グリセロール(268mg、1.47mmol、1当量)と、パルミチン酸(943mg、3.68mmol、2.5当量)の無水CH2Cl2(20ml)溶液に、[(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDCI)塩化水素(847mg、4.42mmol、3当量)と、DMAP(54mg、0.44mmol、0.3当量)を、アルゴン雰囲気下で加える。反応混合物を18時間、常温で攪拌し、その後CH2Cl2(100ml)で希釈する。有機層を1N HCl溶液(50ml)と、水(50ml)とで洗浄し、後飽和NaCl溶液(50ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒を真空下で除き、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(6/1石油エーテル/酢酸エチル)で精製し、化合物8(909mg、93%)を白色固体として得る。
【0091】
C42H74O5 (M=659.06g/mol).
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 3H, CH3), 1.25 (b, 48H, 24 CH2), 1.59 (b, 4H, 2x2H3"), 2.28 (t, 2H, J=7.5 Hz), 2.32 (t, 2H, J=7.5 Hz), 3.59 (d, 2H, 2H3a), 4.19 (dd, 1H, H1aA, J1aA-1aB = 12 Hz, J1A-2a = 6.4 Hz), 4.35 (dd, 1H, H1aB, J1aB-2a = 3.6 Hz), 4.53 (AB, 2H, CH2Ph, J = 12.2 Hz), 5.24 (m, 1H, H2a), 7.32 (m, 5H, CHAr).
SI-MS: M 計算値 658.55; 実測値: 660.0 [M+H]+, 677.0 [M+NH4]+, 682.0 [M+Na]+.
1、2-O-ジパルミトイル-sn-グリセロール(化合物9、図2a)
SFPIM82
化合物8(890mg、1.35mmol)をCH2Cl2/EtOH混合物(1/1.5、25ml)に溶解する。大過剰のパラジウム炭素(Pd/C 10%)を加え、反応混合物を4時間常温(約20℃)で、常圧水素下(風船)で攪拌する。反応混合物を、40℃へ加熱して生成物をより溶解し、その後触媒をミリポア膜でろ過して除く。固体を、40℃にしておいた20mlのCH2Cl2/EtOH混合物(1/1)で3回すすぐ。残溶媒を真空下留去して、予想化合物9(757mg、99%)を、白色固体として得る。
【0092】
C35H68O5 (M=568.93g/mol).
1H NMR (250MHz、 CDCl3) δ 0.88 (t, 6H, 2 CH3, J = 6.8 Hz), 1.26 (m, 48H, 24 CH2), 1.62 (m, 4H, 2H3"), 1.99 (t, 1H, OH, J = 6.5 Hz), 2.32 (t, 2H, J = 7.7 Hz), 2.35 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 3.73 (dd, 2H, 2H3a, J = 5 and 6.2 Hz), 4.23 (dd, 1H, H1aA, J1aA-1aB = 12 Hz, J1A-2a = 5.5 Hz), 4.35 (dd, 1H, H1aB, J1aB-2a = 4.5 Hz), 5.08 (m, 1H, H2a).
SI-MS: M 計算値 568.51; 実測値: 570.0 [M+H]+, 587.0 [M+NH4]+, 592.0 [M+Na]+.
(S)-2、3-ジパルミトイルネンジル(N、N-ジイソプロピル-アミノ)ホスホルアミダイト(化合物11、 図2a)
SFPIM83
化合物9(200mg、0.35mmol)をあらかじめP2O5で18時間、真空下で乾燥し、それを無水CH2Cl2(15ml)に溶解する。そこに、ビス(N、N-ジイソプロピルアミノ)ベンジルオキシホスフィン(0.84M、938μl、0.788mmol、2.24当量)(化合物10)溶液を加える。反応混合物を冷却して0℃とし、固体の1H-テトラゾール(32mg、0.458mmol、1.3当量)を加える。1時間30分攪拌後、溶媒を真空下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(石油エーテル/酢酸エチル9/1、3%Et3Nを含む)にて精製し、化合物11(259mg、92%)を無色のシロップとして得る。
【0093】
C48H88NO6P (M=806.21g/mol).
1H NMR (250MHz, CDCl3) δ 0.88 (app t, 6H, 2CH3), 1.16-1.30 (m, 60H, 24 CH2, 4xCH3 isopropyl), 1.60 (m, 4H, 2CH2), 2.29 (t, 4H, 2CH2, J = 7.5 Hz), 3.55-3.85 (m, 4H, 2CH isopropyl, 2H3a), 4.17 (ddd, 1H, H1aB, J1aB-1aA = 12 Hz, J1B-2a = 6.3 Hz, J1aB-P = 3 Hz), 4.34 (ddd, 1H, H1aA, J1aA-2a = J1aA-P = 4.5 Hz), 4.71 (m, 2H, CH2Ph), 5.19 (m, 1H, H2a), 7.2-7.4 (m, 5H, 5CHAr).
3、4、5、6-テトラ-O-ベンジル-1-O-(2、3、4、6-テトラ-O-アセチル-α-D-マンノピラノシル)-2-O-[((S)-2、3-ジパルミトイルオキシプロピル)(ベンジル)ホスホリル]-D-ミオ-イノシトール(化合物12、 図2a)
SFPIM87
化合物11(259mg、0.321mmol、2.8当量)と、化合物7(100mg、0.115mmol)とを、無水トルエンで共蒸留(2×10ml)し、その後強い真空下で30分乾燥する。その後、アルゴン雰囲気下で無水CH2Cl2(12ml)に溶解する。そこに、固体1H-テトラゾール(26mg、0.368mmol、3.2当量)を0℃で加え、その後室温で1時間30分攪拌する。反応混合物を冷却して-40℃とし、そこにm-クロロペル安息香酸」(m-CPBA)(50%、79mg、0.230mmol、2当量)のCH2Cl2(5ml)溶液を滴下して加える。反応物を常温(約20℃)に戻るまで2時間攪拌した後、反応を10%のNa2S2O3水溶液(65ml)を加えて停止させる。その後反応混合物をジエチルエーテル(Et2O)(130ml)で抽出する。有機層を5%のNaHCO3水溶液で洗浄し(3×65ml)、MgSO4で乾燥する。溶媒を真空下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(石油エーテル/酢酸エチル4/1)で精製し、化合物12の第1のP-立体異性体(42mg)を含むフラクションと、異性体の混合物(23mg)を含むフラクションと、化合物12の第2の異性体(38mg)を含むフラクションを得る(全収量56%)。
【0094】
C90H127O22P (M=1591.88g/mol).
13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 173.36, 172.97, 170.72, 170.15, 169.89, 169.53, 138.36, 138.33, 137.90, 137.30, 136.00 (d), 135.67 (d), 128.82-172.08, 83.22, 81.12, 80.89, 78.75 (d), 76.11, 76.07, 76.01, 75.91, 72.99, 69.90, 69.82, 69.39, 69.33, 69.16, 67.45, 67.39, 65.91, 65.43, 62.89, 62.28, 34.33, 34.16, 32.06, 29.84, 29.79, 29.65, 29.50, 29.46, 29.28, 29.27, 24.98, 22.82, 20.96, 20.83, 20.74, 14.25.
3、4、5、6-テトラ-O-ベンジル-1-O-α-D-マンノピラノシル-2--[((S)-2、3-ジパルミトイルオキシプロピル)(ベンジル)ホスホリル]-D-ミオ-イノシトール(化合物13、図2a)
SFPIM90
合物12(40mg、0.025mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(3ml)溶液に、新しく調製された0.1Mの水酸化ナトリウム溶液(1ml、0.1mmol、4当量)を加える。反応混合物を4時間、常温で攪拌し、その後CH2Cl2(10ml)で希釈する。有機層をH2Oで洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒を留去して、予想化合物13(36mg、100%)を得る。粗生成物のNMRスペクトルは、約30%の生成物がなおアセチル化されていることを示す。
【0095】
1-O-α-D-マンノピラノシル-2-O-[((S)-2、3-ジパルミトイルオキシ)ホスホリル]-D-ミオ-イノソトール(化合物14、図2a)
SFPIM91
上で得た化合物13(36mg、0.025mmol)を、CH2Cl2/EtOH/酢酸(4/5/0.5ml)混合液に溶解する。過剰量のパラジウム炭素(Pd/C10%)を加える。反応混合物を6時間、常温(約20℃)で、常圧水素下(風船)で攪拌する。その後触媒をミリポア膜でろ過して除き、3回20mlのCH2Cl2/EtOH混合液(1/1)ですすぐ。ろ液を真空下で留去し、トルエンで共蒸留して化合物14(25mg、100%)を白色固体として得る。
【0096】
2)マクロファージのプライマリー培地調製:
マウス骨髄細胞は、天然型マウス株から得た。得られた細胞は、7日間DMEM培地(Dulbecco's modified Eagle's medium)中で、20%の馬血清と、30%のL929細胞-調整培地とで補助して培養した(106/ml)[22]。培地更新の後3日で、細胞調製は、均一分布のマクロファージを含む。
【0097】
3) PIM 異性体 イソPIM1-2C16 (SFPIM91)の有無による、野生型マウスのマクロファージのLPS刺激
野生型マウスの骨髄から得られたマクロファージは、96穴培養プレートで、穴あたり105 細胞比率で培養された。その後、LPS(100ng/ml、 Escherichia. Coli, serotype O111:B4, Sigma)で、PIM類似体(1-10μg/ml)の有無の条件で、マクロファージを刺激した。使用された全ての凍結乾燥PIM類似体は、DMSOに溶解され、非細胞毒性最終濃度の1%で、培地に添加された。24時間の刺激の後、培地上澄みが回収され、TNF-α、OL-6、IL-12p40及びKC cytokinesの濃度は、ELISA (Duoset, R&D)により測定され、亜硝酸塩含有量はGriess反応により測定された。
【0098】
結果は以下のことを示す。すなわち天然PIMs Ac2PIM6及びAc3PIM6、と、合成PIM1 (SFPIM135)とを比較すると(図3)、PIM1、イソPIM1-2C16(SFPIM91)の「異性体」型は、LPS刺激マクロファージで誘導される、TNF-α合成を強く抑制することである。同様の結果、すなわち、種々のPIMフラクションの存在下で、同じマクロファージにより行われた、NO. An MTT 細胞毒性アッセイについても、種々の細胞調製についても毒性がないことを示すことができるということが得られた(図4)。インターフェロンγの存在の有無においてLPSのマクロファージ刺激によるIL-6発現もまた、抑制される(図5)。LPS応答におけるIL-12p40の分泌は、1μg/mlのPIM又はイソPIMですでに強く抑制される(図6)。同様に、好虫球のような炎症性細胞の増加に関与する、ケモカインKCの生成はまた、PIM1 (SFPIM135)の存在で強く抑制され、イソPIM1-2C16(SFPIM91)の存在ではより強く抑制される(図7)。
【0099】
PIM2及びPIM6調製は、最初、マクロファージプライマリー培地によるTNF分泌及びIL-12p40分泌の刺激体として同定されていたので、PIM異性体調製はそれらの20μg/mlまでの濃度で好炎症応答を誘起する能力についてテストされた。得られた結果は、PIM異性体調製による、マクロファージプライマリー培地の炎症応答(TNF-α及びIL-2p40)はまったく見られないことであった。
【0100】
4)合成PIM 誘導体のインビボ 抗-炎症活性
呼吸障害のインビボモデル
溶媒(生理的食塩水、1.25%DMSO含有)のみ、又はEscherichia coli由来のLPS (マウスあたり1μg) (serotype O111:B4; Sigma, St Louis, MO, USA)が、PIM1 (SFPIM135)又はイソPIM1-2C16 (SFPIM91) (50μg/mouse)の存在の有無の条件で、C57BL/6マウスに、鼻点滴により、40μl容量を、軽いケタミンキシラジン麻酔して、投与した。
【0101】
呼吸系の抵抗は、LPS適用の後3時間の期間に亘り、非浸襲性プレチスモグラフィにより評価した。目覚めたマウスをプレチスモグラフィチャンバ(EMKA Technologies, Paris, France)に置いた。呼吸停止(Penh)の増加を、呼吸不順の目安として、記録し、その結果を、グループごとのn=2-3の個々のマウスのPenhにつき、平均±SEMとして表現した[23]。
【0102】
気管支肺胞洗浄検査(BAL)
BAL液は気管をカニューレして集め、肺を4回0.5mlの冷PBSで洗浄した。遠心(400×g、10分間、4℃)後、最初の洗浄液からの上澄みは-70℃で、サイトカイン分析のために保存された。細胞ペレット貯蔵はTrypan blue (Sigma)で、血球計測セルでカウントされた。白血球百分率計測のために、細胞はDiff-Quik Staining (Merz & Dade AG., Dudingen, Switzerland)により染色された。200細胞が2回計数された。
【0103】
サイトカイン決定
TNF及びKC濃度は、製造者(R&D Duoset, Minneapolis, MO) の指示書に従い、酵素リンク免疫吸着アッセイ(ELISA)で評価した。
【0104】
結果
TNFは、LPS誘導急性呼吸障害にとって本質的であり、これはTNF-欠失マウスで示されている[23]。PIM1 (SFPIM135)及びイソPIM1-2C16(SFPIM91)のインビボでの活性を決定するために、LPS鼻腔内供与(1μg/マウス)により誘導される急性肺炎及び呼吸障害につきモデルマウスを用いて、抑制活性を調べた。
【0105】
C57BL/6マウスは、鼻腔内に1μgのLPSが与えられ、200分間、非浸襲性プレチスモグラフィにより、Penhが記録された。図11のグラフは、カーブ(70から175分)下の面積を示す。値は、グループごとのn=2-3マウスの平均±SEMである。
【0106】
一般的に、鼻腔内にLPSが与えられたマウスは、供与90分後、急性に、呼吸障害の目安であるPenh増加を起こす(強化された呼吸停止)(図8)。PIM1 (SFPIM135)の添加は、LPSで誘起されたPenhの強化を部分的に減少させる。この抑制は、イソPIM1-2C16 (SFPIM91)を添加の後ずっと大きい(図8)。
【0107】
LPSは、呼吸管に炎症性細胞を惹起し、これは、LPSで処理されたマウスの気管支肺胞洗浄液(BAL)中の全細胞数で計測される。この場合、LPS投与の後18時間、BAL中に検出される炎症細胞の数はイソPIM1-2C16 (SFPIM91)の存在下で部分的に減少し、PIM1 (SFPIM135)の存在ではさらに減少する(図9)。好虫球は、LPSへの暴露の後惹起される大多数の炎症性細胞を構成する。この最初の実験では、PIM1 (SFPIM135) 又はイソPIM1-2C16(SFPIM91)を投与された3匹のマウスのうちの2匹のマウスにつき、それぞれ好虫球の50%又は70%までの数の減少が観察される。
【0108】
好虫球惹起は、種々の要素に依存し、決定的にTNFに依存するものではないが、ケモカインKCの増加を含む[23]。図10には、1μgのLPSを鼻腔内投与された24時間後に、マウスは処理され、気管支肺胞洗浄液が分析され、ケモカイン含有量が決定された。気管支肺胞空間中のKC分泌は、PIM1(SFPIM135)又はイソPIM1-2C16(SFPIM91)を共供与することで非常に減少している。同じく気管支肺胞空間中のTNF放出は、PIM1(SFPIM135)を共供与することで減少し、イソPIM1-2C16(SFPIM91)を共供与することでより強く減少している(図11)。値は、3回の独立実験を代表して、グループごとのn=3マウスにつき平均±SEMで示されている。
【0109】
追加実験は、イソPIM1-2C16(SFPIM91)が内毒素に暴露された肺においていくつかの他の炎症性サイトカイン及びケモカインの減少の原因となることを示す。
【0110】
これらの実験においては、イソPIM1-2C16(SFPIM91)が、肺炎又は局所内毒素への応答での呼吸系の抵抗へ強く抑制する原因である。
【0111】
例2:
1) 化合物25(イソPIM1-C16C18)の合成(図2b)
ペル-O-メトキシアセチル-D-マンノピラノース(化合物15、図2b)
SFPIM-93
D-マンノース(200mg、1.11mmol)のピリジン(6ml)溶液に、メトキシアセチルクロリド(600μl、7.22mmol、6.5当量)を滴下して加え、常温(約20℃)で、18時間攪拌する。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル(3ml)で希釈する。溶液を1N HCl 水溶液(10ml)で洗浄し、後飽和NaCl水溶液(10ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥する。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフ(2/1、後1/1石油エーテル/酢酸エチル)で精製し、純粋な化合物15 (518mg、86%)を黄色シロップとして得る。
【0112】
C21H32O16 (M=540.47g/mol).
1H NMR (250MHz, CDCl3) δ 3.41 (s, 6H), 3.45 (s, 3H), 3.49 (s, 6H), 3.85-4.26 (m, 14H), 5.25-5.53 (m, 3H), 6.21 (s, 1H);
13C NMR (62.9MHz, CDCl3) δ 59.34, 59.42, 59.50, 61.83, 65.50, 68.35, 68.82, 69.14, 69.26, 69.37, 70.44, 90.49, 167.61, 169.08, 169.22, 169.33, 169.90.
SI-MS: M 計算値 540.17; 実測値: 558.5 [M+NH4]+, 563.5 [M+Na]+, 579.5 [M+K]+.
2、3、4、6-テトラ-O-メトキシアセチル-D-マンノピラノース(化合物16、図2b)
SFPIM-114
前もって-20℃に冷却された化合物15(1.850g、3.4mmol)のジメチルホルムアミド(DMF)(15ml)溶液に、ヒドラジンアセテート(500mg、5.48mmol、1.6当量)を加える。-20℃で1時間攪拌した後、混合物を酢酸エチル(150ml)で希釈する。その後飽和NaCl溶液で洗浄し(5×50ml)、MgSO4で乾燥する。真空下で濃縮して、化合物16(1.331g、83%)を黄色シロップとして得る。
【0113】
C18H28O14 (M=468.42g/mol).
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.34 (s, 3H), 3.35 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.41 (s, 3H) (4 OMe), 3.87 (AB, 2H, CH2OMe), 3.95 (s, 2H, CH2OMe), 4.02 (s, 2H, CH2OMe), 4.08 (AB, 2H, CH2OMe), 4.2-4.35 (m, 3H, H5', H6'A, H6'B), 5.19 (d, 1H, H1', J1-2 = 1.8 Hz), 5.27 (t, 1H, H4', J4-3 = 10 Hz), 5.3 (dd, 1H, H2', J2-3 = 3.2 Hz), 5.49 (dd, 1H, H3').
13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 59.45 (CH3), 59.48 (CH3), 59.50 (CH3), 62.62 (C6'), 66.53 (CH2, C4'), 68.00 (CH, C5'), 69.29 (CH, C3'), 69.34 (CH2), 69.41 (CH2), 69.49 (CH2), 69.52 (CH2), 70.50 (CH, C2'), 91.98 (CH, C1').
2、3、4、6-テトラ-O-メトキシアセチル-1-O-トリクロロアセトイミドイル-α-D-マンノピラノース(化合物17、図2b)
SFPIM-125
トリクロロアセトニトリル(1.28ml、12.80mmol、12当量)を、化合物16(500mg、1.067mmol)と、1、8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エン(DBU)(45μl、0.299mmol、0.28当量)との無水ジクロロメタン(CH2Cl2)(10ml)混合物に、室温(20℃)で、アルゴン雰囲気下で添加する。10分間攪拌した後、反応混合物はシリカゲルカラムクロマトグラフ(石油エーテル/酢酸エチル1/2 0.2%トリエチルアミン含有)で精製して、化合物17(479mg、73%)を、黄色シロップとして得る。
【0114】
C20H28O14NCl3 (M=614.81g/mol).
1H NMR (250MHz, CDCl3) δ 3.41 (s, 3H, CH3), 3.42 (s, 3H, CH3), 3.45 (s, 3H, CH3), 3.50 (s, 3H, CH3), 3.95 (dd, 2H, CH2OMe), 4.03 (s, 2H, CH2OMe), 4.08 (s, 2H, CH2OMe), 4.19 (dd, 2H, CH2OMe), 4.22-4.33 (m, 2H, H5', H6'A), 4.40 (dd, 1H, J = 5.3 and 13.3 Hz, H6'B), 5.45 (t, 1H, J = 9.8 Hz, H4'), 5.55 (dd, 1H, J = 5.2 and 10.0 Hz, H3'), 5.59 (dd, 1H, H2'), 6.32 (d, 1H, J = 1.5 Hz, H1'), 8.84 (s, 1H, NH).
3、4、5、6-テトラ-O-ベンジル-1-O-(2、3、4、6-テトラメトキシアセチル-α-D-マンノピラノシル)-D-ミオ-イノシトール(化合物18、 図2b)
SFPIM-207
アクセプタ化合物6(940mg、1.42mmol、1当量)及びドナー化合物17(1.16g、1.89mmol、1.3当量)を、同じ丸底フラスコに入れ、真空下、P2O5上に、18時間置く。後混合物をアルゴン下に置き、4オングストロームモレキュラーシーブを加える。丸底フラスコはアルゴン流下に10分間置き、後そこに無水CH2Cl2(7ml)を加える。さらに30分間アルゴン下で攪拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、TMSOTf(68μl、0.38mmol)を滴下して加える。アルゴン雰囲気下で、0℃で5分攪拌し、室温で1時間攪拌した後、反応を、Et3N(1ml)を添加することで停止する。シーブをグラスフィルタでろ過して除き、溶媒を真空下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(1/1石油エーテル/酢酸エチル)で精製して、化合物18(296mg、21%)を得る。(化合物18の350mgのフラクションであって、はじめ異性体混合物であると予想された、PMBがなく、イノシトールの2位でグリコシル化された異性体の混合物のフラクションもまた単離される)。
【0115】
C52H62O19 (M=991.06g/mol).
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.89 (m, 1H, OH), 3.34 (s, 3H, CH3), 3.41 (s, 3H, CH3), 3.42 (s, 3H, CH3), 3.44 (s, 3H, CH3), 3.41-3.48 (m, 2H, 2CHins), 3.45 (dd, 1H, CHins, J = 2.4, 6.0 Hz), 3.86-4.16 (m, 8H, 4CH2OMe), 4.15 (dd, 1H, H6'A, J6'A-5' = 2.4 J6'A-6'B = 12 Hz), 4.29 (br s, 1H, H2), 4.34 (dd, 1H, H6'B, J6'B-5' = 4.8 Hz), 4.43 (ddd, 1H, H5'), 4.65-4.91 (m, 8H, 4CH2Ph), 5.07 (d, 1H, H1', J1'-2' = 2 Hz), 5.31 (t, 1H, H4', J4'-3' = J4'-5' = 10.0 Hz), 5.41 (dd, 1H, H2', J2'-3' = 3.2 Hz), 5.56 (dd, 1H, H3'), 7.15-7.4 (m, 20H, 4x5CHAr).
13C NMR (62.9MHz, CDCl3) δ 59.42, 59.48, 59.52, 63.12 (C6'), 66.65 (4'), 68.83 (C5'), 69.26 (C2), 69.38 (C3'), 69.46 (2CH2OMe), 69.49 (CH2OMe), 69.74 (CH2OMe), 69.87 (C2'), 73.17 (CH2Ph), 76.0 (CH2Ph), 76.03 (CH2Ph), 76.28 (CH2Ph), 80.27, 80.31, 81.15, 81.53 and 83.12 (CHins), 99.47 (C1'), 127.69-128.62 (11 peaks, CHAr), 137.88, 138.26, 138.57, 138.63, 169.25 (CO), 169.31 (CO), 169.49 (CO), 169.86 (CO).
3-O-ベンジル-1-O-オクタデカノイル-sn-グリセロール(化合物19、 図2b)
SFPIM1
前もって0℃に冷却されたステアリン酸(130mg、0.46mmol)と、3-O-ベンジル-sn-グリセロール(100mg、0.55mmol、1.2当量)の無水ジクロロメタン(CH2Cl2)(5ml)の溶液に、(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(5.6mg、0.05mmol、0.1当量)と、その後ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(190mg、0.92mmol、2当量)を加える。反応混合物を1時間0℃で攪拌し、後室温(約20℃)で18時間攪拌する。後綿でろ過して、形成したジシクロヘキシル尿素の部分を除く。溶媒を真空下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(6/1石油エーテル/酢酸エチル)で精製し、化合物19 (129mg、63%)を白色固体として得る。
【0116】
C28H48O4 (M=448.69g/mol.
1H NMR (250MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 3H, CH3, J = 6.5 Hz), 1.25 (b, 28H, 14CH2), 1.60 (m, 2H, 2H3"), 2.31 (t, 2H, 2H2", J = 7.5 Hz), 2.64 (d, 1H, OH, J = 3.5 Hz), 3.48 (dd, 1H, H3aA, J3aA-3aB = 9.75 Hz, J3aA-2a = 6 Hz), 3.55 (dd, 1H, H3aB, J3aB-2a = 4.5 Hz), 4.02 (m, 1H, H2a), 4.12 (dd, 1H, H1aA, J1aA-2a ~ 4.8 Hz), 4.19 (dd, 1H, H1aB, J1aB-1aA = 11.5 Hz, J1aB-2a 5 Hz), 4.55 (s, 2H, CH2Ph), 7.33 (m, 5H, CHAr).
13C NMR (62.9MHz, CDCl3) δ 14.22 (CH3), 22.19 (CH2), 25.00 (CH2, C3"), 29.23, 29.36, 29.46, 29.66, 29.71, 29.76, 29.80 (7 CH2), 32.02 (CH2), 34.24 (CH2, C2"), 65.43 (CH2, C1a), 68.80 (CH, C2a), 71.00 (CH2, C3a), 73.58 (CH2Ph), 127.82 (CHAr), 127.94 (CHAr), 128.54 (CHAr), 137.77 (CqAr), 174.01 (Cq, C1").
SI-MS: 計算値 448.36; 実測値: 449.5 [M+H]+, 466.5 [M+NH4]+, 471.5 [M+Na]+.
3-O-ベンジル-2-O-ヘキサデカノイル-1-O-オクタデカノイル-sn-グリセロール(化合物20、図2b)
SFPIM34
化合物19(620mg、1.38mmol)と、パルミチン酸(708mg、2.76mmol、2当量)の無水CH2Cl2(25ml)溶液に、1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド(EDCI)塩化水素(662mg、3.45mmol、2.5当量)と、DMAP(34mg、0.28mmol、0.2当量)とを加える。反応混合物を18時間室温(約20℃)で攪拌し、CH2Cl2(100ml)で希釈する。有機層を1NHCl溶液(40ml)、水(40ml)、さらに飽和NaCl溶液(40ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒を真空下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(25/1から20/1 石油エーテル/酢酸エチル)で精製し、化合物20 (899mg、 95%)を、白色固体で得る。
【0117】
C44H78O5 (M=687.11g/mol).
1H NMR (250MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 3H, CH3, J = 6.5 Hz), 1.26 (m, 52H, 26CH2), 1.60 (m, 4H, 2H3', 2H3"), 2.27 (t, 2H, J = 7.5 Hz) and 2.31 (t, 2H, J = 7.5 Hz) (2H2' and 2H2"), 3.59 (d, 2H, 2H3a, J = 5 Hz), 4.19 (dd, 1H, H1aA, J1aA-1aB = 11.75 Hz, J1A-2a = 6.3 Hz), 4.35 (dd, 1H, H1aB, J1aB-2a = 3.8 Hz), 4.53 (AB, 2H, CH2Ph, J = 12.2 Hz), 5.24 (quint., 1H, H2a), 7.32 (m, 5H, CHAr).
13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 14.23 (CH3), 22.82 (CH2), 25.01 and 25.08 (2CH2, C3', C3"), 29.22-29.83 (CH2, 8 lines), 32.06 (CH2), 34.23 and 34.44 (2CH2), 62.16 (CH2, C1a), 68.38 (CH2, C3a), 70.12 (CH, C2a), 73.42 (CH2Ph), 127.72 (CHAr), 127.87 (CHAr), 128.51 (CHAr), 137.83 (CqAr), 173.16 (Cq, CO), 173.45 (Cq, CO).
SI-MS: M 計算値 686.58; 実測値: 687.5 [M+H]+, 704.5 [M+NH4]+, 709.5 [M+Na]+.
2-O-ヘキサデカノイル-1-O-オクタデカノイル-sn-グリセロール(化合物21、 図2b)
SFPIM29
化合物20(250mg、0.36mmol)をCH2Cl2/EtOH混合物(1/2.5、14ml)に溶解する。過剰量のパラジウム炭素 (Pd/C10%)を加え、反応混合物を常温(約20℃)で、常圧の水素下(風船)で、4時間攪拌する。後、生成物をよりよく溶解するために加熱して30℃とする。触媒をミリポア膜でろ過する。これをあらかじめ30℃に暖めた20mlのCH2Cl2/EtOH混合物(1/1)で、3回すすぐ。ろ液を真空下留去して、予想化合物21(215mg、99%)を白色固体として得る。
【0118】
C37H72O5 (M=596.98g/mol).
1H NMR (250MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 6H, 2CH3), 1.26 (m, 52H, 26CH2), 1.62 (m, 4H), 1.99 (very broad s, 1H, OH), 2.32 (t, 2H, J = 7.7 Hz), 2.34 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 3.73 (d, 2H, 2H3a, J = 5 Hz), 4.23 (dd, 1H, H1aA, J1aA-1aB = 11.75 Hz, J1A-2a = 5.75 Hz), 4.35 (dd, 1H, H1aB, J1aB-2a = 4.5 Hz), 5.08 (quint., 1H, H2a, J = 4.5 Hz).
13C NMR (62.9MHz, CDCl3) δ 14.27 (CH3), 22.84 (CH2), 25.04 and 25.09 (2CH2), 29.25-29.85 (CH2, 8 lines), 32.08 (CH2), 34.26 and 34.44 (2CH2), 61.68, 62.16, 72.25, 173.57 (Cq, CO), 173.93 (Cq, CO).
(S)-2-O-ヘキサデカノイルオキシ-1-O-オクタデカノイルオキシプロピルベンジル(N、N-ジイソプロピルアミノ)ホスホルアミダイト(化合物22、図2b)
SFPIM47
固体1H-テトラゾール(11mg、0.151mmol、0.6当量)と、化合物21(150mg、0.251mmol)とを、混合する前に、別々に、真空下でP2O5で1時間乾燥し、後無水CH2Cl2(2ml)に溶解する。化合物10の貯蔵溶液(0.84M、358μl、0.301mmol、1.2当量)を加え、30分間室温(約20℃)で攪拌後、反応混合物をCH2Cl2(50ml)で希釈し、0℃に冷却する。有機層を飽和NaHCO3溶液(10ml)で0℃で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフ(石油エーテル/酢酸エチル6/1 1% Et3N含有)で迅速精製して、予想化合物22(100mg、48%)を、無色オイルとして得る。
【0119】
C50H92NO6P (M=834.27g/mol).
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 6H, 2CH3), 1.18 (d, 6H, CH3 isopropyl), 1.19 (d, 6H, CH3 isopropyl), 1.25 (m, 52H, 26 CH2), 1.60 (m, 4H, 2CH2), 2.29 (2t, 4H, 2CH2), 3.56-3.9 (2 m, 4H, 2CHMe2, 2H3a), 4.17 (ddd, 1H, H1aB, J = 4.8, 6.4 and 12 Hz), 4.34 (ddd, 1H, H1aA, J = 4, 8 and 12 Hz), 4.65 and 4.66 (2 dd, 1H, POCHAPh, JA,B = 12.4 Hz, JA,P = 8.4 Hz), 4.732 and 4.735 (2 dd, 1H, POCHBPh, JA,B = 12.4 Hz, JA,P = 8.4 Hz), 5.19 (m, 1H, H2a), 7.3-7.4 (m, 5H, 5CHAr).
31P NMR (162MHz, CDCl3) δ 148.70, 148.80.
3、4、5、6-テトラ-O-ベンジル-1-O-(2、3、4、6-テトラ-O-メトキシアセチル-α-D-マンノピラノシル)-2-O-[((S)-2-O-ヘキサデカノイル-3-O-オクタデカノイルプロピル)(ベンジル)ホスホリル)-D-ミオ-イノシトール(化合物23、図2b)
SFPIM214
化合物22(290mg、0.348mmol、3当量)と、化合物18(115mg、0.116mmol)とを、共に無水トルエンで共蒸留(2×10ml)し、30分間強い真空下で乾燥する。後アルゴン雰囲気下で無水CH2Cl2(8ml)に溶解する。固体1H-テトラゾール(41mg、0.58mmol、5当量)を0℃で加え、1時間30分、室温で攪拌した後、反応混合物を-40℃に冷却する。m-クロロペル安息香酸(m-CPBA) (50%、120mg、0.348mmol、3当量)のCH2Cl2(8ml)溶液を滴下して加える。2時間攪拌し、反応物を室温(約20℃)に戻し、反応を10% Na2S2O3水溶液(50ml)を加えて停止する。化合物をジエチルエーテル(Et2O)(100ml)で抽出する。有機層を5%NaHCO3水溶液で洗浄し(3×50ml)、MgSO4で乾燥する。溶媒を真空下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(石油エーテル/酢酸エチル2/1から1/1までのグラジエント)で精製し、化合物23の第1のP-異性体(55mg)を含むフラクションと、異性体混合物を含むフラクション(76mg 約30%の第1の異性体を含む)とを得る(全収率65%)。
【0120】
C96H139O26P (M=1740.14g/mol).
SI-MS m/z M 計算値: 1738.92; 実測値: 1740.5 [M+H]+, 1763.5 [M+Na]+.
HRMS 計算値 [M+H]+: C96H140O26P: 1739.9370; 実測値: 1739.9386.
3、4、5、6-テトラ-O-ベンジル-1-O-α-D-マンノピラノシル-2-O-[((S)-2-O-ヘキサデカノイル-3-O-オクタデカノイルプロピル)
(ベンジル)ホスホリル)-D-ミオ-イノシトール(化合物24、 図2b)
SFPIM218
化合物23(129mg、 0.074mmol)を、CHCl3/MeOH(4/1、1ml)混合物に溶解する。反応混合物を0℃に冷却し、そこにt-ブチルアミン(160μl)を加える。10分間0℃で攪拌し、その後1時間、反応物が室温に戻るまで攪拌する。溶媒を室温(約20℃)で強い真空下で留去する。残渣を、2つの連続するシリカゲルカラムクロマトグラフ(20/1CH2Cl2/MeOH)で大量のシリカを用いて、予想された化合物24(67mg、63%)を、均一な白色固体として得る。(NMRでは、2つのP*-立体異性体の存在を示す)。
【0121】
C84H123O18P (M=1415.85g/mol).
HRMS 計算値 [M+H]+: C84H124O18P: 1451.8525; 実測値: 1451.8521.
1-O-α-D-マンノピラノシル-2-O-[((S)-2-O-ヘキサデカノイル-3-O-オクタデカノイルプロピル)ホスホリル]-D-ミオ-イノシトール (化合物25、 図2b)
SFPIM219
化合物24(63mg、0.043mmol)を、CH2Cl2/EtOH混合物(0.6/1、 16ml)に溶解する。大過剰のパラジウム炭素 (Pd/C10%)を加え、反応混合物を18時間、室温(約20℃)で、常圧水素(風船)の雰囲気下で攪拌する。触媒を、ミリポア膜で除き、3回、CH2Cl2/EtOH混合物 (1/1)(20ml)ですすぐ。残溶媒を真空下留去して、化合物25(43mg、100%)を、非常に均一な白色固体として得る(NMR)。
【0122】
C49H93O18P (M=1001.25g/mol).
1H NMR (400MHz, CD3OD/CDCl3 0.7/0.3 ml) δ 0.88 (t, 6H, 2CH3), 1.26 (m, 52H, 26 CH2), 1.60 (m, 4H), 2.32 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 2.35 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 3.22 (t, 1H, H5, J4-5 = J5-6 = 8.8 Hz), 3.52 (br d, 1H, H3), 3.55 (t, 1H, H4', J4'-5' = 10.0 Hz), 3.56 (t, 1H, H4, J4-3 = 8.8 Hz), 3.66 (m, 1H, H1), 3.67-3.72 (m, 2H, H6, H6'A), 3.81 (dd, 1H, H3', J3'-4' = 9.4, J3'-2' = 3.2 Hz), 3.83 (m, 1H, H5'), 3.89 (dd, 1H, H6'B, J6'B-5' = 2, J6'B-6'A = 11.6 Hz), 3.97 (dd, 1H, H2', J2'-1' = 1.6 Hz), 4.16-4.23 (m, 3H, H3aA and 2H1a), 4.42 (dd, 1H, H3aB, J3aB-2a = 3.2, J3aB-3aA = 12 Hz), 4.75 (ddd, 1H, H2, J2-3 ~ 10, J2-1 = 2.2 Hz), 5.16 (d, 1H, H1', J = 1.2 Hz), 5.26 (m, 1H, H2a).
13C NMR (100MHz, CD3OD/CDCl3 0.7/0.3 ml) δ 14.40 (CH3), 23.43, 25.67, 25.70, 29.90, 29.93, 30.15, 30.16, 30.33, 30.36, 30.44, 30.46, 30.48, 32.74, 34.75, 34.88, 62.83 (C6'), 63.23 (C3a), 65.87 (d, C1a), 68.77 (C4'), 70.89 (d, C2a), 71.48 (C3 and C2'), 73.58 (C4), 73.96 (C6), 74.70 (C5'), 75.79 (C5), 76.37 (d, C1), 81.37 (d, C1), 102.95 (C1'), 174.43 (CO), 174.81 (CO).
31P NMR (162MHz, CD3OD/CDCl3 0.7/0.3 ml) δ -1.71 ppm.
HRMS 計算値 [M+H]+: C49H94O18P: 1001.6178; 実測値: 1001.6172.
2) PIM1異性体イソPIM1-C16C18(SFPIM219)PIM1-2C16(SFPIM91)の有無による、野生型マウスのマクロファージのLPS刺激
新規PIM異性体、イソPIM1C16C18(SFPIM219)の、マクロファージLPS刺激活性の抑制につき試験した(図12)。
【0123】
野生型マウスの骨髄から得られたマクロファージは、96穴培養プレートで、穴あたり105細胞比率で培養された。その後、LPS(100ng/ml、 Escherichia. Coli, serotype O111:B4, Sigma)で、イソPIM1C16C18(SFPIM219)PIM(1-10μg/ml)の存在下、又はDMSOコントロールで、マクロファージを刺激した。凍結乾燥したSFPIM219は、DMSOに溶解して使用され、非細胞毒性最終濃度の1%で、培地に添加した。刺激後24時間、培地の上澄みを集め、サイトカイン、TNF-α又はIL-12p40の濃度を、ELISA (R&D Duoset, Minneapolis, MO)により測定した。結果は、グループごとn=2マウスの平均±SDである。
【0124】
イソPIM1C16C18(SFPIM219)は、強くTNF分泌を抑制した(図12)。イソPIM1C16C18(SFPIM219)の存在下で培養された同じマクロファージについてのMTT 細胞毒性アッセイは、マクロファージの細胞毒性が欠如することを示すことができた(図13)。
【0125】
LPSに応答するIL-12p40 分泌は、1μg/mlの濃度のイソPIM1C16C18 (SFPIM219)により、すでに大きく抑制された(図14)。
【0126】
例3及び4:
1) 例3:図2cの化合物36又はPIM-2-mimNCOCF3の合成
SFPIM324-t2
例4:図2cの化合物37又はPIM-2mimNHの合成
SFPIM324-t8
3-O-ベンジル-1、2:5、6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノース(化合物26、図2c)
SFPIM311
水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%分散)(2.5g、62mmol、1.2当量)が、0℃で、窒素雰囲気下で、市販の1、2:5、6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノース (13.5g、52mmol)の無水THF(100ml)溶液に加えられる。混合物を、20分間、0℃で攪拌する。添加後、室温(約20℃)で、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(149mg、0.4mmol、0.008当量)と、ベンジルブロマイド (9ml、76mmol、1.3当量)と滴下して加える。混合物を2時間還流し、メタノール (10ml)をゆっくりと加える。混合物をジクロロメタン(100ml)と、水 (40ml)で希釈する。水層を3回ジクロロメタン(50ml)で抽出する。有機層を合わせて、乾燥し、真空で濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフ(シクロヘキサン/Et2O 4/1 + 0.4%Et3N)で精製し、化合物26を黄色いオイルとして得る。
【0127】
C19H26O6 (M=350.42g/mol).
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 1.31 (s, 3H, CH3), 1.37 (s, 3H, CH3), 1.43 (s, 3H, CH3), 1.49 (s, 3H, CH3), 4.00 (d, 1H, H6A, J6A-5 = 5.6, J6A-6B = 8.4 Hz), 4.02 (d, 1H, H3, J4-3 = 3.0 Hz), 4.11 (d, 1H, H6B, J6B-5 = 6.0 Hz), 4.15 (d, 1H, H4, J4-5 = 7.6 Hz), 4.37 (m, 1H, H5), 4.58 (d, 1H, H2, J2-1 = 3.6 Hz), 4.66 (AB, 2H, CH2Ph), 5.90 (d, 1H, H1), 7.27.35 (m, 5H, CHar).
13C NMR (101MHz, CDCl3): δ 25.57 (CH3), 26.37 (CH3), 26.92 (CH3), 26.97 (CH3), 67.53 (C6'), 72.50 (CH2Ph), 72.65 (C5'), 81.45 (C4'), 81.83 (C3'), 82.79 (C2'), 105.42 (C1'), 109.10 (Cq), 111.90 (Cq), 127.77, 127.96, 128.52, 137.77.
SI-MS m/z M 計算値: 350.17; 実測値: 351.0 [M+H]+, 373.0 [M+Na]+.
3-O-ベンジル-1、2-O-イソプロピリデン-α-D-キシロペントジアルド-1、4-フラノース(化合物27、 図2c)
SFPIM268A
化合物27は、文献[25]に従って合成される。化合物26(1.03g、2.9mmol)の酢酸/水混合物(21/9ml)溶液を、45℃で、2時間攪拌する。反応物を0℃に冷却し、そこに、過ヨウ素酸ナトリウム (692mg、3.23mmol、1.1当量)の水溶液を(7ml)を加える。反応物を室温(約20℃)で約18時間攪拌する。ジクロロメタン(15ml)を加え、水層を3回ジクロロメタン(15ml)で抽出する。有機層を合わせ、2回水(20ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、真空下濃縮する。残渣を2回トルエンで共蒸留する。アルデヒド27は精製せずに次のステップで使用する。
1H NMR (250MHz, CDCl3): δ 1.33 (s, 3H, CH3), 1.47 (s, 3H, CH3), 4.33 (d, 1H, H3, J3-1 = 3.7 Hz), 4.54 (AB, 2H, CH2Ph), 4.61 (dd, 1H, H4, J4-5 = 1.5, J4-3 = 3.7 Hz), 4.64 (d, 1H, H2, J2-1 = 3.7 Hz), 6.12 (d, 1H, H1), 7.1-7.4 (m, 5H, CHar), 9.67 (d, 1H, H5, J5-4 = 1.8 Hz).
3-O-ベンジルキシロペントジアルド-1、4-フラノース(化合物28、 図 2c)
SFPIM268
Dowex50WX8樹脂(3.4g)を、化合物27(2.9mmol)のジオキサン/水混合物(10/4ml)に溶解する。反応物をゆっくりと、18時間、75℃で攪拌する。樹脂をガラスフィルタで除き、ジオキサン/水混合物ですすぐ。溶媒を減圧下で留去する。残渣を数回トルエンで共蒸留して、生成物28が橙-赤のフォーム状で得られる。さらに精製することなく次のステップで用いる。
【0128】
N-ベンジル-3-O-ベンジル-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノキシリトール(化合物29、 図2c)
SFPIM272
ナトリウムシアノボロハイドライド(554mg、2.67mmol、3当量)を、窒素雰囲気下で、前もってP2O5で一夜乾燥した化合物28(700mg、2.9mmol)の無水メタノール(50ml)溶液に加える。混合物を、3オングストロームモレキュラーシーブと10分間攪拌する。反応物を-78℃に冷却し、氷酢酸(332μl、5.8mmol、2当量)と、ベンジルアミン(292μl、2.67mmol、0.9当量)を加える。室温(約20℃)に戻した後、反応物を18時間攪拌し、後セライトでろ過する。セライトを酢酸エチルですすぐ(3×10ml)。溶媒を減圧下留去する。残渣を酢酸エチル(60ml)で取り出し、飽和NaHCO3水溶液(20ml)で洗浄し、後2回水(20ml)で洗浄する。有機層を乾燥し、減圧下濃縮して、化合物29を、均一な白色固体として得る。化合物は場合により、酢酸エチルから再結晶される。
【0129】
C19H23O3N (M=313.40g/mol).
1H NMR (250MHz, CDCl3): δ 2.24 (dd, 2H, H1aA, H5a'A, J1aA-2a = J5aA-4a = 8, J1aA-1aB = J5aA-5aB = 11 Hz), 2.45 (m, 2H, OH), 2.85 (dd, 2H, H1aB, H5aB, J1aB-2a = J5aB-4a = 3.5 Hz), 2.25 (app t, 1H, H3a, J2a-3a = J3a-4a = 7 Hz), 3.55 (s, 2H, CH2Ph), 3.77 (ddd, 2H, H4a, H2a), 4.76 (s, 2H, CH2Ph), 7.20-7.40 (m, 10H, 2x5 CHar).
13C NMR (101MHz, CDCl3): δ 57.12 (C1a, C5a), 62.20 (CH2Ph NBn), 69.91 (C2a, C4a), 73.98 (CH2Ph OBn), 84.30 (C3a, signal of weak intensity), 127.39-129.14 (9 peaks, CHar), 137.86 (Cqar), 138.68 (Cqar).
SI-MS m/z M 計算値: 313.17; 実測値: 314.0 [M+H]+, 336.0 [M+Na]+.
3-O-ベンジル-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノキシリトール(化合物30、図2c)
SFPIM314
化合物29(300mg、0.957mmol)を、EtOH(10ml)に溶解させる。過剰量の水酸化パラジウム炭素(20%)を添加する。反応物を室温(約20℃)で、常圧の水素雰囲気下で20時間攪拌する。水酸化パラジウム炭素(20%)をさらに加え、さらに反応を18時間続ける。この反応物をミリポア膜でろ過し、触媒をEtOH(2×10ml)ですすぐ。ろ液を減圧下留去して、化合物30(172mg、約35%のO-脱ベンジル化生成物が観測される)を得る。
【0130】
C12H17NO3 (M=223.27g/mol).
1H NMR (400MHz, CD3OD): (contains 35% of O-debenzylated compound mentioned above*) δ *2.38 (dd, ~0.4H, *H1aA, *H5aA, J1aA-2a = J5aA-4a = 10.1, J1aA-1aB = J5aA-5aB = 12.6 Hz), 2.45 (dd, ~1.7H, H1aA, H5aA, J1aA-2a = J5aA-4a = 9.7, J1aA-1aB = J5aA-5aB = 12.8 Hz), 2.85 (dd, 2H, H1aB, H5aB, J1aB-2a = J5aB-4a = 4.3 Hz, + compound *), 3.21 (app t, 1H, *H3a, H3a, J2a-3a = J4a-3a = 8.3 Hz), *3.39 - 3.41 (2 dd, ~0.4H, *H4a, *H2a), 3.55 - 3.57 (2 dd, ~1.7H, H4a, H2a), 4.85 (s, CH2Ph), 7.20-7.40 (m, 5H, CHar).
13C NMR (101MHz, CD3OD): δ *51.39 (*C1a, *C5a), 51.47 (C1a, C5a), 71.92 (C2a, C4a), *72.45 (*C2a, *C4a), 75.55 (CH2Ph OBn), *79.94 (*C3a), 87.12 (C3a), 127.93-128.98, 129.17 (CHar), 140.36 (Cqar).
SI-MS m/z M 計算値: 223.12; 実測値: 224.5 [M+H]+, 246.5 [M+Na]+.
N-トリフルオロアセタミド-3-O-ベンジル-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノキシリトール(化合物31、図2c)
SFPIM315
ピリジン(100μl、1.31mmol、1.7当量)と、無水トリフルオロ酢酸(160μl、1.16mmol、1.5当量)とを、化合物30(172mg、0.77mmol)の無水ジクロロメタン(5ml)溶液に加える。反応混合物を18時間、室温(約20℃)で攪拌し、後ジクロロメタンで希釈する。有機層を、2回1NHCl水溶液で洗浄し、1回水で洗浄する。MgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧下留去する。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフ(石油エーテル/酢酸エチル3/1.5)で精製して、化合物31(110mg、 45%)を得る。
【0131】
C14H15NO4F3 (M=318.28g/mol).
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 3.50 (d, 1H, H1A or H5A, J = 13.4 Hz), 3.61 (m, 1H, H3), 3.66-3.78 (m, 3H, H1 or H5, OH), 3.82 (m, 2H, H2 or H4, OH), 3.96 (m, 1H, H4 or H2), 4.10 (dd, H1B or H5B, J = 4.0, J = 13.6 Hz), 4.66 (s, 2H, CH2Ph), 7.25-7.38 (m, 5H, CHar).
13C NMR (101MHz, CDCl3): δ 45.77 (C5 or C1), 48.25 and 48.28 (C1 or C5 rotamers), 67.80 (C2 or C4), 67.97 (C4 or C2), 73.04 (CH2Ph), 76.52 (C3), 116.51 (q, CF3, JC-F = 289 Hz), 127.78, 128.23 (3 peaks CHar), 137.71 (Car), 157.72 (q, COCF3, JC-F = 36 Hz).
19F NMR (376MHz, CDCl3): δ -67.72.
N-トリフルオロアセタミド-3-O-ベンジル-2、4-ビス-O-(2、3、4、5-テトラ-O-メトキシアセチル-α-D-マンノピラノシル)-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノキシリトール(化合物32、図2c)
SFPIM318
化合物17(500mg、0.813mmol、2.5当量)のジクロロメタン(2ml)溶液を、カニュラチューブで、アルゴン下、4オングストロームモレキュラーシーブを含む、化合物31(105mg、0.33mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液に送り込む。反応混合物を30分間、室温(約20℃)で攪拌し、そこにトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(30μl、0.163mmol、イミデートに対して20%)を加える。反応混合物を2時間、室温(約20℃)で攪拌し、後、反応を、トリメチルアミン(0.8ml)を加えて停止させ、それをセライトでろ過する。セライトをジクロロメタンですすぎ、溶媒を留去して乾燥させる。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ジクロロメタン/アセトン6/1)で精製して化合物32 (188mg、47%)を、無色シロップ状で得る。
【0132】
C50H68NO30F3 (M=1220.08g/mol).
コメント: NMRで、 NCOCF3によるロータマーが観測される。
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 2.92 (dd, 0.5 H, H1aA or H5aA, J = 9.9, 12.9 Hz), 3.06 (dd, 0.5 H, H1aA or H5aA, J = 10.1, 12.9 Hz), 3.18 (dd, 0.5 H, H1aA or H5aA, J = 9.8, 13.9 Hz), 3.26 (dd, 0.5 H, H1aA or H5aA, J = 10.3, 13.9 Hz), 3.36, 3.38, 3.38, 3.40, 3.41, 3.44, 3.45, 3.48 (8 CH3), 3.64-4.22 (m, 25H, 8CH2 MAc, 2H5, 1H1aB or 1H5aB, 3H6, H3a, H2a, H1a), 4.40 (m, 1H, H6B), 4.53 (m, 1H, H1aB or H5aB), 4.80-4.90 (m, 2H, CH2Ph), 4.94 (s, 0.5H, H1), 5.05 (s, 0.5H, H1), 5.14 (s, 0.5H, H1), 5.17 (s, 0.5H, H1), 5.24-5.45 (m, 6H, 2H2, 2H3, 2H4), 7.15-7.40 (m, 5H, CHar).
13C NMR (101MHz, CDCl3): δ 43.44, 45.52, 45.56, 45.85, 47.89, 47.92 (6 peaks for C1a and C5a), 59.32, 59.37, 59.39, 59.41, 59.44, 59.45, 59.53 (7 CH3), 61.75, 62.23, 62.58 (3 peaks for H6), 65.43, 65.56, 65.97, 66.07, 68.49, 68.62, 68.68, 68.94, 69.26, 69.49 (10 peaks for C2, C3, C4, C5), 69.14, 69.22, 69.26, 69.29, 69.39, 69.43, 69.46 (7 peaks for CH2 MAc), 71.17, 72.20, 76.56, 77.08, 81.88, 82.00 (6 peaks for C1a, C2a, C3a), 75.48, 75.57 (2 peaks for CH2Ph), 94.41, 94.75 (2 peaks for C1), 98.82, 99.07 (2 peaks for C1), 116.14 (q, CF3, JC-F = 289 Hz), 116.21 (q, CF3, JC-F = 289 Hz), 125.32-129.06 (9 peaks for CHar), 137.09, 169.12-170.18 (14 peaks for CO MAc).
19F NMR (376MHz, CDCl3): δ -68.79, -68.55.
N-トリフルオロアセタミド-2、4-ビス-O-(2、3、4、5-テトラ-O-メトキシアセチル-α-D-マンノピラノシル)-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノキシリトール(化合物33、図2c)
SFPIM319
化合物32(188mg、0.154mmol)をEtOH/CH2Cl2(6/6ml)混合物に溶解する。過剰量パラジウム炭素(10%)を添加し、反応物を、室温(約20℃)で、常圧水素下で、3時間攪拌する。反応物をミリポア膜でろ過し、触媒をEtOH/CH2Cl2(1/1)混合物ですすぐ。ろ液を減圧下留去して、化合物33 (168mg、97%)を得る。
【0133】
C43H62NO30F3 (M=1129.96g/mol).
コメント: NMRで、 NCOCF3の存在によるロータマーの存在が観測される。
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 2.74 (app t, 0.5 H, H1aA or H5aA, J = 12.1 Hz), 2.84 (app t, 0.5 H, H1aA or H5aA, J = 11.6 Hz), 3.12 (m, 1H, H1aA or H5aA), 3.41, 3.42, 3.44, 3.45, 3.46, 3.47, 3.48, 3.49 (8 CH3), 3.59 (m, 3H, H4a, H2a, OH), 3.74 (m, 1H, H3a), 3.88-4.49 (m, 23H, 8CH2 MAc, 2H5, 1H1aB or 1H5aB, 4H6), 4.64 (m, 1H, H1aB or H5aB), 4.94 (s, 0.5H, H1), 5.01 (s, 0.5H, H1), 5.21 (s, 0.5H, H1), 5.25 (s, 0.5H, H1), 5.26-5.48 (m, 6H, 2H2, 2H3, 2H4).
13C NMR (101MHz, CDCl3): δ 44.26, 45.61, 46.01, 47.69 (4 peaks for C1a and C5a), 59.22-59.43 (7 CH3), 62.21, 62.24, 62.58 (3 peaks for H6), 65.85, 65.90, 65.98, 66.04, 68.57, 68.62, 69.07, 69.13, 69.53 (9 peaks for C2, C3, C4, C5), 69.19, 69.22, 69.33, 69.42, 69.46 (4 CH2 MAc), 74.05, 74.78, 75.64, 75.84, 76.54, 77.25 (6 peaks for C1a, C2a, C3a), 95.75, 98.99 (2 C), 116.10 (q, CF3, JC-F = 289 Hz), 116.18 (q, CF3, JC-F = 289 Hz), 155.58 (q, COCF3, JC-F = 36 Hz), 155.62 (q, COCF3, JC-F = 36 Hz), 169.16-170.18 (13 peaks COMAc).
19F NMR (376MHz, CDCl3): δ -68.91, -68.72.
N-トリフルオロアセタミド-2、4-ビス-O-(2、3、4、5-テトラ-O-メトキシシアセチル-α-D-マンノピラノシル)-(3-O-(((S)-2-O-ヘキサデカノイルオキシ-3-O-オクタデカノイルオキシプロピル)(ベンジル)ホスホリル)-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノ-D-キシリトール(化合物34、 図2c)
SFPIM322
化合物33(168mg、0.149mmol)の無水CH2Cl2(8ml)溶液に、化合物22(861μl、0.223mmol、1.5当量)の、0.26M無水CH2Cl2(8ml)溶液を加える。3オングストロームシーブを加え、反応物を30分間、室温(約20℃)でアルゴン下、攪拌する。前もって3オングストロームシーブで乾燥させた、市販のテトラゾール溶液(〜0.45Mアセトニトリル)を、0℃で加える(1.65ml、0.743mmol、5当量)。その後、室温で2時間攪拌して反応させる。後反応物を-40℃に冷却し、m-クロロペル安息香酸(m-CPBA)(50%、154mg、0.447mmol、3当量)のCH2Cl2(2ml)溶液を滴下して加える。反応物が室温(約20℃)に戻るまで2時間攪拌した後、反応を水溶性50%のNa2S2O3溶液(20ml)を加えて停止させ、反応混合物をジエチルエーテル(Et2O)(80ml)で抽出する。有機層を4回、50%Na2S2O3水溶液で洗浄(3×20ml)し、1回飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、さらに1回水で洗浄し、有機層をMgSO4で乾燥する。溶媒を減圧下留去し、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフ(4/1トルエン/アセトン)で精製し、化合物34(104mg、37%)を、無色シロップ状で得る。
【0134】
C87H139NO37F3 (M=1879.03g/mol).
コメント: スペクトル解析は困難である。この理由は次の点である。NCOCF3、の存在によるロータマーと、ベンジル化ホスファートによるジアステレオ異性体と、非当量の糖とによる、ピークの増加があるからである。4つのピークは、1つのアノメリック炭素に帰属され得る。4つのピークは又はフッ素NMRでも観測される。
13C NMR (101MHz, CDCl3): δ 94.47, 94.50, 94.91, 95.00 (1C1), 98.69, 98.76, 99.18 (2C) (1C1).
31P NMR (162MHz, CDCl3): δ -0.92.
19F NMR (376MHz, CDCl3): δ -68.68, -68.67, -68.47, -68.44.
SI-MS m/z M 計算値: 1877.87; 実測値 1901.0 [M+Na]+.
N-トリフルオロアセタミド-2、4-ビス-O-(2、3、4、5-テトラ-O-メトキシアセチル-α-D-マンノピラノシル)-(3-O-(((S)-2-O-ヘキサデカノイルオキシ-3-O-オクタデカノイルオキシプロピル)ホスホリル)-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノ-D-キシリトール(化合物35、図2c)
SFPIM323
化合物34(90mg、0.048mmol)をEtOH/CH2Cl2(6/4ml)混合物に溶解する。過剰量のパラジウム炭素(10%)を加え、室温(約20℃)で、常圧水素下、3時間攪拌する。反応物をミリポア膜でろ過し、触媒をEtOH/CH2Cl2(1/1)混合物ですすぐ。ろ液を減圧下留去して化合物35を得る(82mg、95%)。
C80H133NO37F3P (M=1788.91g/mol).
コメント: スペクトル解析は困難である。この理由は次の点である。NCOCF3、の存在によるロータマーと、非当量の糖とによる、ピークの増加があるからである。すなわち、ジアステレオ異性体は消失し、ホスファートは脱保護された。単一のアノメリック炭素による2つのピークについても注目できる。この2つのピークはフッ素NMRでも観測される。
13C NMR (101MHz, CDCl3): δ 94.54, 94.98 (1C1), 98.65, 99.17 (1C1).
31P NMR (162MHz, CDCl3): δ -1.36, -1.30.
19F NMR (376MHz, CDCl3): δ -68.66, -68.45.
例3: N-トリフルオロアセタミド-2、4-ビス-O-(α-D-マンノピラノシル)-(3-O-(((S)-2-O-ヘキサデカノイルオキシ-3-O-オクタデカノイルオキシプロピル)ホスホリル)-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノ-D-キシリトール (化合物36、 図2c)
SFPIM324-t2及び
例4: 2、4-ビス-O-(α-D-マンノピラノシル)-(3-O-(((S)-2-O-ヘキサデカノイルオキシ-3-O-オクタデカノイルオキシプロピル)ホスホリル)-1、5-ジデオキシ-1、5-イミノ-D-キシリトール(化合物37、図2c)
SFPIM324-t8
化合物35(80mg、0.045mmol)を、CHCl3/MeOH 混合物(0.2/0.8ml)に溶解する。反応混合物を0℃に冷却し、t-ブチルアミン(164μl)を加える。10分間、0℃で攪拌後、反応物が室温(約20℃)に戻るまで1時間30分攪拌する。溶媒を強減圧下で留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(CHCl3/MeOH/H2O70/40/1)で精製し、化合物36(16mg、32%)を最初の管に、化合物37 (21mg、48%)を続く管に得る。これらは白色固体である。
【0135】
化合物36
C56H101NO21PF3(M=1212.39g/mol).
コメント: NCOCF3の存在によるロータマーが常に観測される。特に芳香族性Hのレベルでそうである。
1H NMR (400MHz, CDCl3/CD3OD 0.4/0.2 ml): δ 0.89 (t, 6H, 2CH3, J = 6.7 Hz), 1.27 (m, 52H), 1.61 (m, 4H), 2.32 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 2.34 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 3.20-4.22 (several unresolved peaks), 4.91 (s, 0.5H, H1), 5.03 (s, 0.5H, H1), 5.12 (s, 0.5H, H1), 5.17 (s, 0.5H, H1), 5.25 (m, 1H, H2a').
31P NMR (162MHz, CDCl3/CD3OD 0.4/0.2 ml): δ 0.161.
19F NMR (376 MHz, CDCl3/CD3OD 0.4/0.2 ml): δ -68.34, -67.83.
SI-MS (-) m/z M 計算値: 1211.66; 実測値 1210.5 [M-H]-.
化合物37
C54H102NO20P(M=1116.38g/mol)
コメント: ロータマーは、芳香族性Hレベルでは観測されない。
1H NMR (250MHz, CDCl3/CD3OD/D2O not readily soluble): δ 0.89 (t, 6H, 2CH3, J = 6.8 Hz), 1.27 (m, 52H), 1.60 (m, 4H), 2.31 (t, 2H, J = 7.3 Hz), 2.34 (t, 2H, J = 7.3 Hz), 3.00-4.5 (several unresolved peaks), 4.93 (s, 1H, H1), 5.08 (s, 1H, H1), 5.23 (m, 1H, H2a').
31P NMR (162MHz, CDCl3/CD3OD/D2O not readily soluble): δ 0.670.
SI-MS (-) m/z M 計算値: 1115.67; 実測値 1116.0 [M+Na]+.
2) 化合物36、37の存在による、LPSによる野生型マウスのマクロファージ刺激
図2cの化合物36、PIM-2-mimNCOCF3(SFPIM324 t2)、及び図2cの化合物37 PIM-2-mimNH(SFPIM324 t8)につき、LPS-マクロファージ刺激活性を調べた(図15から17)。
【0136】
野生型マウスの骨髄から得られたマクロファージは、96穴培養プレートで、穴あたり105細胞比率で培養された。その後、LPS(100ng/ml, Escherichia. coli, serotype O111:B4, Sigma)で、PIM1 (SFPIM145)、イソPIM1C16C18 (SFPIM219)、又は化合物PIM-2-mimNCOCF3 (SFPIM324 t2)及びPIM-2-mimNH (SFPIM324 t8)0μg/ml)の存在下(1、3、10、30μg/mlのタイターで)、又はDMSOコントロールで、マクロファージを刺激した。使用された、凍結乾燥SFPIM145、 SFPIM219、 SFPIM324 t2及び SFPIM324 t8 調製物は、DMSOに溶解し、非細胞毒性最大最終濃度の1%で、培地に添加された。24時間の刺激後、培地上澄みが回収され、サイトカイン、TNF-α マクロファージ又はIL-12p40の含有量がELISA (R&D Duoset, Minneapolis,MO)で測定された。結果は、グループごとのn=2マウスにつき、平均±SDである。
【0137】
PIM-2-mimNCOCF3(SFPIM324 t2)及びisoPIM1C16C18(SFPIM219)は、強くTNF分泌を抑制し、一方 PIM1(SFPIM145)及びPIM-2-mimNH(SFPIM324 t8)はそれよりはより少し抑制する(図15)。同じマクロファージにつき実施されたMTT細胞生存アッセイは、最高濃度でのある程度の細胞毒性を示す、特にPIM-2-mimNH (SFPIM324 t8)の存在ではそうである(図16)。濃度10μg/mlでのPIM-2-mimMNCOCF3(SFPIM324 t2)及びイソPIM1C16C18(SFPIM219)によるLPS応答でのIL-12p40分泌は、事実上消失する。一方 PIM1(SFPIM145)及びPIM-2-mimNH(SFPIM324 t8)は特にこの濃度で抑制する(図17)。
【0138】
参考文献リスト
[1] Anti-IL-12 antibodies: US2003228311 (WO9816248); Hyaluronan: US2004097465; IL-12 inhibitors: US2005049262 (WO 030475); antisense RNA: US2004241843.
[2] Keane J. (2005). TNF-blocking agents and tuberculosis: new drugs illuminate an old topic. Rheumatology (Oxford); Keane J., Gershon S., Wise R. P., Mirabile-Levens E., Kasznica J., Schwieterman W. D., Siegel J. N., and Braun, M. M. (2001), Tuberculosis associated with infliximab, a tumor necrosis factor alpha-neutralizing agent. N. Engl. J. Med. 345, 1098-1104; Mohan A. K., Cote T. R., Block J. A., Manadan A. M., Siegel J. N., and Braun M. M. (2004), Tuberculosis following the use of etanercept, a tumor necrosis factor inhibitor, Clin. Infect. Dis. 39, 295-299.
[3] Jones B. W., Means T. K., Heldwein K. A., Keen M. A., Hill P. J., Belisle J. T., and Fenton M. J. (2001), J. Leukoc. Biol. 69, 1036-1044.
[4] Sieling P. A., Chatterjee D., Porcelli S. A., Prigozy T. I., Mazzaccaro R. J., Soriano T., Bloom B. R., Brenner M. B., Kronenberg M., Brennan P. J. (1995) Science 269, 227-230.
[5] Ernst W. A., Maher J., Cho S., Niazi K. R., Chatterjee D., Moody D. B., Besra G. S., Watanabe Y., Jensen P. E., Porcelli S. A., Kronenberg M., and Modlin R. L. (1998) Immunity 8, 331-340.
[6] Apostolou I., Takahama Y., Belmant C., Kawano T., Huerre M., Marchal G., Cui J., Taniguchi M., Nakauchi H., Fournie J. J., Kourilsky P., Gachelin G. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 5141-5146.
[7] Gilleron, M., Ronet, C., Mempel, M., Monsarrat, B., Gachelin, G., and Puzo, G. (2001) J Biol Chem 276, 34896-34904.
[8] Knutson, K. L., Z. Hmama, P. Herrera-Velit, R. Rochford, and N. E. Reiner. 1998. Lipoarabinomannan of Mycobacterium tuberculosis promotes protein tyrosine dephosphorylation and inhibition of mitogen-activated protein kinase in human mononuclear phagocytes. Role of the Src homology 2 containing tyrosine phosphatase 1. J Biol Chem 273:645; Nigou, J., Zelle-Rieser, C., Gilleron, M., Thurnher, M., and Puzo, G. (2001) J Immunol 166, 7477-7485; Geijtenbeek, T. B., S. J. Van Vliet, E. A. Koppel, M. Sanchez-Hernandez, C. M. Vandenbroucke-Grauls, B. Appelmelk, and Y. Van Kooyk. 2003, Mycobacteria target DC-SIGN to suppress dendritic cell function. J Exp Med 197:7.
[9] Means TK, Wang S, Yoshimura A, Golenbock DT and Fenton MJ. Human Toll-like receptors mediate cellular activation by Mycobacterium tuberculosis. J Immunol 163: 3920 - 3927 (1999).
[10] Nigou, J., Zelle-Rieser, C., Gilleron, M., Thurnher, M., and Puzo, G. (2001) J Immunol 166, 7477-7485.
[11] Maeda, N., J. Nigou, J. L. Herrmann, M. Jackson, A. Amara, P. H. Lagrange, G. Puzo, B. Gicquel, and O. Neyrolles, 2003, The cell surface receptor DC-SIGN discriminates between Mycobacterium species through selective recognition of the mannose caps on lipoarabinomannan, J Biol Chem 278:5513; Geijtenbeek, T. B., S. J. Van Vliet, E. A. Koppel, M. Sanchez-Hernandez, C. M. Vandenbroucke-Grauls, B. Appelmelk, and Y. Van Kooyk. 2003.
[12] Besra, G. S., C. B. Morehouse, C. M. Rittner, C. J. Waechter, and P. J. Brennan. 1997. Biosynthesis of mycobacterial lipoarabinomannan. J Biol Chem 272:18460; Nigou, J., M. Gilleron, and G. Puzo. 2003. Lipoarabinomannans: from structure to biosynthesis, Biochimie 85:153.
[13] Quesniaux, V.J., Nicolle, D.M., Torres, D., Kremer, L., Guerardel, Y., Nigou, J., Puzo, G., Erard, F., and Ryffel, B. (2004). Toll-like receptor 2 (TLR2)-dependent-positive and TLR2-independent-negative regulation of proinflammatory cytokines by mycobacterial lipomannans. J Immunol 172, 4425-4434.
[14] Gilleron M, Nigou J, Nicolle D, Quesniaux V and Puzo G. The acylation state of mycobacterial lipomannans modulates innate immunity response through Toll-like receptor 2. Chem Biol 13:39-47 (2006); Doz E., Rose S., Nigou J., Gilleron M., Puzo G., Erard F., Ryffel B. and Quesniaux V.F.J. (2007) Acylation determines the TLR-dependent positive versus mannose receptor- and SIGNR1-independent negative regulation of proinflammatory cytokines by mycobacterial lipomannan. J. Biol. Chem. 282:26014-25.
[15] Doz E., Rose S., Nigou J., Gilleron M., Puzo G., Erard F., Ryffel B. and Quesniaux V.F.J. (2007) Acylation determines the TLR-dependent positive versus mannose receptor- and SIGNR1-independent negative regulation of proinflammatory cytokines by mycobacterial lipomannan. J. Biol. Chem. 282:26014-25.
[16] Kordulakova, J., Gilleron, M., Mikusova, K., Puzo, G., Brennan, P. J., Gicquel, B., and Jackson, M. (2002) J Biol Chem.
[17] Schaeffer, M. L., Khoo, K. H., Besra, G. S., Chatterjee, D., Brennan, P. J., Belisle, J. T., and Inamine, J. M. (1999) J Biol Chem 274, 31625-31631.
[18] Kremer, L., Gurcha, S. S., Bifani, P., Hitchen, P. G., Baulard, A., Morris, H. R., Dell, A., Brennan, P. J., and Besra, G. S. (2002) Biochem J 363, 437-447.
[19] Gilleron, M., Quesniaux, V.F., and Puzo, G. (2003). Acylation state of the phosphatidyl inositol hexamannosides from mycobacterium bovis BCG and mycobacterium tuberculosis H37Rv and its implication in TLR response. J Biol Chem 278, 29880-29889.
[20] Stadelmaier A, Schmidt RR. (2003) Synthesis of phosphatidylinositol mannosides (PIMs). Carbohydr Res. 338:2557-69; Liu X, Stocker BL, Seeberger PH. (2006) Total synthesis of phosphatidylinositol mannosides of Mycobacterium tuberculosis. J Am Chem Soc. 128:3638-48.
[21] Figueroa-Perez, I., Stadelmaier, A., Morath, S., Hartung, T., Schmidt, Richard R. (2005) Synthesis of structural variants of Staphylococcus aureus lipoteichoic acid (LTA) Tetrahedron Asymmetry 16, 493-506; Dyer, B. S., Jones, J. D., Ainge, G. D., Denis, M., Larsen, D. S. and Painter, G. F. (2007). Synthesis and structure of phosphatidylinositol Dimmanoside. J. Org. Chem. 72, 3282-3288.
[22] Muller, M., Eugster, H.P., Le Hir, M., Shakhov, A., Di Padova, F., Maurer, C., Quesniaux, V.F., and Ryffel, B. (1996) Mol Med 2, 247-255.
[23] Togbe D., Noulin N., Grivennikov SI., Couillin I, Maillet I, Jacobs M, Maret M, Fick L, Nedospasov SA, Quesniaux VFJ, Schnyder B and Schnyder-Candrian S. (2007) T cell derived TNF downregulates acute airway response to endotoxin Eur.J.Immunol. 37:768-79.
[24] Lindberg et al. Tetrahedron, 2002, 58, 1387-1398.
[25] Miculka C. (1999), Synlett, 948-950.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I) の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化18】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、C1-C20アルキルラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表し(ただし置換基R1又はR2のいずれかが、水素原子の場合、他の置換基は水素原子以外であり)、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、水素原子又は、マンノース、グルコース及びガラクトースからなる群から選ばれる、少なくとも1つの糖を表し(ただし置換基Z1又はZ2が水素原子である場合、他の置換基は水素原子以外である)、Qは、-OP(O)2O-、-OCO2-、-NHCO2-又は-NHCONH-を表し、Yは、水素原子、ヒドロキシラジカル、C1-C6アルコキシラジカル、又は-(CH2)n-OH(ここで、nは、1、2又は3の整数を表す)を表し(ただしYがヒドロキシラジカルの場合、Z1及びZ2は共に水素原子を表さない)、Aは、-CH2-を表し、Xは、水素原子を表し、
又は、A及びXが共に結合して6員環を形成し、Aが-CH-を表し、Xが、-CH2-、-CH(OH)-、酸素原子、-NR3-(ここでR3は水素原子、C1-C6アルキルラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表す)を表すが、
Xが-CH(OH)-であり、Yが-OHであり、Z1及びZ2がそれぞれ独立して、マンノース、グルコース及びガラクトースからなる群から選ばれる少なくとも1つの糖を表す場合は、前記6員環は、ミオ-イノシトール構造であり、Z1又はZ2が1位にあり、かつ少なくとも1つは糖である)
【請求項2】
請求項1に記載の、AとXが共に結合を形成した6員環の式(Ia) の化合物化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化19】

(式中、R1及びR2、Z1及びZ2、Q及びYは、請求項1で定義されたものであり、Aは-CH-を表し、Xは、-CH2-、-CH(OH)-、酸素原子、-NR3-(ここでR3は、水素原子、C1-C6アルキルラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表す)を表すが、
Xが、-CH(OH)-であり、Yが-OHであり及びZ1及びZ2が、それぞれ独立して、マンノース、グルコース及びガラクトースからなる群から選択された少なくとも1つの糖を表す場合、前記6員環は、ミオ-イノシトール構造であり、Z1又はZ2が1位であり及び少なくとも1つの糖を表す)
【請求項3】
請求項1又は2のいずれ1項に記載の、AとXが共に結合を形成した6員環の式(Ia)
(式中、R1及びR2は、請求項1で定義されたものであり、Qは-OP(O)2O-を表し、Aは-CH-を表し、Xは-CH(OH)-を表し、Yはヒドロキシルラジカルを表し、Z1及びZ2が、それぞれ独立して、マンノース、グルコース及びガラクトースからなる群から選択された少なくとも1つの糖を表す場合は、前記6員環は、ミオ-イノシトール構造であり、Z1又はZ2が1位であり、及び少なくとも1つの糖を表す)
の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれ1項に記載の、AとXが共に結合を形成した6員環の化合物(ここで、R1及びR2、Z1及びZ2及びYは請求項1で定義されたものであり、Qは-OP(O)2O-を表し、Aは-CH-を表し、Xは-NR3-(ここでR3は水素原子、C1-C6アルキルラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表す)を表す)、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
請求項1に記載の、式(Ib) の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化20】

(式中、R1及びR2、Z1及びZ2、Q及びYは、請求項1に定義されたものであり、Aは-CH2-を表し、Xは水素原子を表す)
【請求項6】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の、AとXが共に結合を形成した6員環の化合物であって、R1及びR2は、それぞれ独立に、C1-C20アシルラジカルを表し、Z1はマンノースを表し、Z2は水素原子を表し、Qは-OP(O)2O-を表し、Aは-CH-を表し、Xは-CH(OH)-を表し、Yはヒドロキシルラジカルを表し、前記6員環がミオ-イノシトール構造にあり、Z1が1位にある、
化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の製造方法であって、
a) 式(III)のグルセロールの、ジ-O-アシル化、又はジ-O-アルキル化誘導体
【化21】

(式中、Gは、OH又はNH2であり、R1及びR2は、請求項1で定義されたものである)を、
ホスフィチル化、ホスホリル化又は、カルボニル化試薬と縮合させて、式(IV)の中間体
【化22】

(式中、JはO又はNHを表し、KはP-OBn、P(O)-OBn又はC=Oを表し、Lは、脱離基を表し、R1及びR2は請求項1で定義されたものである)とするステップと、
b) 前記中間体(IV)を、一般式(V)のポリオール又はアミノポリオールの誘導体
【化23】

(式中、Gは、OH又はNH2を表し、Z3及びZ4は、それぞれ独立に、マンノ、グルコ、又はガラクト構造の、ヘキサピラノースであって、アセチル又はメトキシアセチル保護基、又はベンジル基を有するヘキサピラノースを表し、ただし、Z3及びZ4基の少なくとも1つは保護糖を表し、R4は、ベンジル基又はC1-C6アルコキシアセチルラジカルからなる群から選択される保護基を表す)
と縮合させるか、
又は前記中間体(IV)を、一般式(VI)の環状化合物
【化24】

(式中、GはOH又はNH2を表し、Z3及びZ4は上で定義されたものを表し、Y2は、H又は-OR4基又は-(CH2)nOR4基(ここでR4は、上と同じものを意味する)を表し、X2は-CH2、-CHOR4、-NR3(ここでR3は水素原子を表す)又はO、C1-C6アルキルラジカル又はC1-C20アシルラジカルを表し、R4は、ベンジル基又はC1-C6アルキルアセチルラジカルからなる群から選択される保護基を表す)
と、場合によりカップリング剤の存在下で、縮合させるステップと、
c) 前記ステップb)で得られた化合物を、場合により酸化反応に供して、式(VII)の化合物
【化25】

(式中、J及びJ'は、O又はNHを表し、Mは、P(O)OBn又はC=Oを表し、Z3、Z4、R1、R2及びR4は上で定義したものと同じである)、
又は、一般式(VIII)の化合物
【化26】

(式中、J及びJ'はO又はNHを表し、MはP(O)OBn又はC=Oを表し、X2、Y2、Z3、Z4、R1及びR2は上で定義したものと同じである)を得るステップと、
d) 前記一般式(VII)又は式(VIII)の化合物を、まずt−ブチルアミンを含む群から選択されるアルキルアミンによる最初の処理と、その後の触媒的水素化による脱アシル化処理である、2段階の脱保護反応に供するステップである、製造方法。
【請求項8】
医薬としての、請求項1〜6のいずれか1項に記載された化合物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載された化合物の少なくとも1つと、及び医薬的に許容される補助剤とを含む、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載された化合物を、特にTNF及び/又はIL-12のサイトカイン又はケモカインの過剰発現に伴う疾患の予防、治療のための医薬の製造のための使用であって、前記疾患が、
A)リューマチ性関節炎、糖尿病、全身性エリテマトーデス又はバセドー病から選択される免疫又は自己免疫病免疫又は自己免疫病、
B)移植拒絶、
C)ウイルス性及び/又は寄生虫感染、
D)バクテリア、ウイルス及び/又は寄生虫由来感染による、急性又は慢性感染によるショック、
E)炎症性疾患、慢性炎症疾患(サルコイドーシス、炎症性腸炎、リューマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病)及び血管炎症疾患(脱繊維素症候群、あてローム性動脈硬化、川崎病)からなる群から選ばれる炎症疾患、
F)脱髄性疾患(多発性硬化症及び急性横断性脊髄炎)、錐体外路及び小脳性疾患(皮質脊髄系障害又は脳幹神経質疾患)からなる群から選ばれる神経変性疾患、
G)白血病(急性、慢性、骨髄異形成、リンパ球性、又は骨髄性)、リンパ腫(Hodgkin's又は悪性(Burkitt's))を含む群から選ばれた、TNF分泌腫瘍、又はTNFを伴う悪性病理学状態及び
H)アルコール性肝炎、を含む。
【請求項11】
請求項10に記載の使用であって、前記医薬が、炎症性疾患を予防又は治療する、使用。
図面の翻訳
図2a:左下:(いまだアセチル化されている生成物約30%含む)
右下:(いまだアセチル化されている生成物約30%含む)


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2011−520946(P2011−520946A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510020(P2011−510020)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000595
【国際公開番号】WO2009/153434
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510309020)セントレ ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィック(セ・エン・エル・エス) (9)
【出願人】(510308975)ユニヴァーシテ ドルレアン (1)
【Fターム(参考)】