説明

炎症性歯槽骨吸収抑制剤

【課題】治療のみならず予防のためにも繰り返し使用できる安全性の高い炎症性歯槽骨吸収抑制剤を提供する。
【解決手段】カテキン類を0.01〜10質量%含有する歯周局所投与用の炎症性歯槽骨吸収抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性歯槽骨吸収抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
歯周炎は、歯垢の細菌の内毒素(リポ多糖:LPS)やリポタンパク質などの刺激により歯周組織に慢性的な炎症が起きて歯肉溝に歯周ポケットが形成されていき、さらには歯槽骨が吸収することで最終的には歯が抜けてしまう疾患である。適切なブラッシングなどで歯垢除去することで比較的回復しやすい歯肉炎とは異なり、歯周炎は歯垢除去だけでは回復しにくく、生体側の免疫系にも様々な作用を及ぼすことで歯槽骨吸収が進行してしまうと考えられている。歯周炎の治療方法としては外科的治療法や、ミノサイクリンやドキシサイクリンなどの抗生物質による薬物治療法が行われている。一方、骨粗鬆症などの骨吸収を伴う全身的な骨疾患の改善や治療方法としてはカルシウム補給や性ホルモン剤の投与などが行われており、発症機構が異なると考えられることから治療方法も異なっている。特に、歯周炎の特徴的な症状である歯槽骨吸収は局所における複雑な生体反応であり、その発症や進行の過程が明らかになっていないことも多いことから、in vitroにおける培養細胞などを用いた研究だけでは不十分であり、in vivoにおいて歯周炎を発症するモデル動物などを開発し、さらには薬剤などを評価すべく研究が行われてきた。歯周炎を発症させたモデル動物に対してシクロオキシゲナーゼ阻害作用を有するインドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)が有効なことはわかっていたが(例えば、非特許文献1参照)、複雑な細菌の集合体である歯垢の毒性を均一にできない等の理由から定量的な評価は困難だった。最近になり、歯垢の細菌の関与なしに動物にLPSなどの内毒素で炎症性歯槽骨吸収を安定に引き起こす歯周炎発症モデルが作製され、各種素材の歯槽骨吸収抑制などの定量的な評価が可能になってきた(例えば、非特許文献2、3、特許文献1参照)。また、歯磨剤や洗口剤を用いても歯肉溝への薬剤の送達性が低いという問題があり(例えば、非特許文献4参照)、歯肉溝へ直接注入する設計の製剤や容器が開発されている。
【0003】
一方、緑茶抽出物及びその成分である茶ポリフェノール化合物(カテキン類等)は口腔内細菌の増殖抑制に有効であることが知られている(例えば、特許文献2〜4等)。これらの文献によると、緑茶抽出物等は、むし歯の原因菌であるStereptcoccus mutansや歯周病の原因菌とされるPorphyromonas gingivalisの増殖を阻止するため、むし歯、歯周病の予防に有効な口腔用組成物を提供できることが記載されている。そして、これらの特許文献2〜4では、歯磨剤、洗口剤、トローチ、食品等の使用態様について、Stereptcoccus mutansに対する抗菌活性が示されている。
【特許文献1】特開2006−105969号公報
【特許文献2】特開平1−90124号公報
【特許文献3】特開平2−25413号公報
【特許文献4】特開平3−86814号公報
【非特許文献1】J. Periodont Res. 22:403-407, 1987
【非特許文献2】J. Periodont Res. 36:1-8, 2001
【非特許文献3】Calc. Tiss. Int. 71:53-58, 2002
【非特許文献4】Clin. Periodontol. 19:340-344, 1992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口腔バイオフィルムである歯垢の中の細菌を殺菌するのは困難であり、仮に口腔バイオフィルムの中へ浸透性のある強力な殺菌剤などで一時的に殺菌できたとしてもLPSなどの内毒素が放出されることで炎症性歯槽骨吸収が引き起こされてしまう。例えば、カテキン類などが歯垢の細菌の増殖を抑制することは知られているが、一般的な殺菌消毒剤と同様に、歯磨剤、洗口剤、トローチ剤等による使用の態様では、歯垢中の細菌を殺菌する効果は不十分であり、歯周病がすすんだ歯槽骨吸収の進行を抑制する効果を得ることは困難である。一方、炎症を抑える目的で用いられるステロイド系抗炎症剤は長期間服用し、例えば毎日の繰り返し使用により、骨粗鬆症や動脈硬化症などの副作用が起きる可能性があり、非ステロイド系抗炎症剤であるインドメタシンなどには炎症性歯槽骨吸収抑制効果が知られているが、繰り返し用いると副作用として消化性潰瘍、結腸病変穿孔、胃腸出血、腎不全、白血球減少症などが起きる可能性がある。
そこで、本発明の課題は、治療のみならず予防のためにも繰り返し使用できる安全性の高い炎症性歯槽骨吸収抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カテキン類を歯肉溝などの歯周局所へ投与することで優れた炎症性歯槽骨吸収抑制作用を示すことを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、カテキン類を0.01〜10質量%含有する歯周局所投与用の炎症性歯槽骨吸収抑制剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤は、安全性の高いカテキン類を含有することで、繰り返し、例えば毎日歯周局所へ作用させることが可能で、かつ、効果的に歯槽骨吸収を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いられるカテキン類としては、非重合性カテキン類であって、例えばカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン等の非ガレート体カテキン類、及びカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のガレート体カテキン類が挙げられる。カテキン類の炎症性歯槽骨吸収作用は、ガレート体の比率が大きい方がより効果は高くなるが、多すぎると歯周局所への投与であっても舌上へ漏れた場合には苦味や渋味を有するため不快感を生じる問題があるため、ガレート体/非ガレート体(質量比)は1〜9が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜3がさらに好ましい。
また、カテキン類はインドメタシンに比べると、苦味や渋味が少なく、かつ、炎症性歯槽骨吸収抑制作用がインドメタシンよりも高い効果が得られる。
【0009】
カテキン類は、茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された緑茶抽出物を濃縮、精製等を行うことによって得ることができる。また、市販の三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などの緑茶抽出物の濃縮物を用い、成分調整を行うことにより、本発明の目的に適うカテキン類を得ることができる。本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤中、カテキン類の含有量は、十分な作用効果を得る観点から、本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤中、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜6質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
【0010】
本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤には、さらにグリチルレチン酸を含有させることが好ましい。本発明に用いられるグリチルレチン酸としては、α−グリチルレチン酸、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなどがあげられ、β−グリチルレチン酸が好ましい。グリチルレチン酸は、体内のコルチゾールの働きを長びかせることで副腎皮質ホルモンの抗炎症作用を高める作用を有するが、外からコルチゾールなどのステロイド類を投与したときのような副作用が認められない緩和な作用であることが知られている。本発明においてカテキン類とグリチルレチン酸は単体で含有しても炎症性歯槽骨吸収作用を発揮するが、これらを併用すると、これらの各単体よりも高い炎症性歯槽骨吸収抑制作用を奏することから、カテキン類とグリチルレチン酸の併用が好ましい。本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤中、グリチルレチン酸の含有量は、十分な作用効果を得る観点から、本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤中、0.001〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.01〜1質量%がさらに好ましい。
【0011】
本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤には、医薬品や医薬部外品や化粧品に使用可能なその他の配合成分、例えば抗酸化剤、湿潤剤、薬効成分、発泡剤、保存剤、香味料、甘味剤、pH調整剤などを、本発明の目的が阻害されない範囲で適宜配合してもよい。
【0012】
抗酸化剤としては、抗酸化力又は還元力を有し、口腔内組成物に使用可能な成分、例えばL−アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、α−トコフェロール酢酸塩、dl−α−トコフェロール、ローズマリー抽出物、ステビア抽出物、ヒマワリ種子抽出物、没食子酸プロピル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、L−システイン塩酸塩、フィチン酸、ハイドロキノン及びその配糖体、ノルジヒドログアヤレチン酸、アスコルビン酸高級脂肪酸エステル(ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル、イソステアリン酸エステル、パルミチン酸エステルなど)、グアヤク脂等が挙げられる。L−アスコルビン酸、エリソルビン酸又はα−トコフェロール酢酸の塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩、第一鉄の塩、パルミチン酸エステルの塩等が挙げられる。これら抗酸化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を選択して用いてもよい。抗酸化剤の含有量は、外観色の変化抑制効果の点から、本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤中、0.0005〜50質量%、さらに0.001〜20質量%、特に0.01〜5質量%が好ましい。
【0013】
湿潤剤としては、例えばグリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどが挙げられ、その1種又は2種以上を組み合わせて配合することができる。これら湿潤剤の含有量は、本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤中、0.1〜80質量%、さらに1〜40質量%が好ましい。
【0014】
本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤は、歯周局所への投与の態様に応じて、常法に従って、液体、液状、ゲル状などにすることができる。歯周局所へ投与する態様としては、歯肉注射剤、歯肉溝注入剤、歯肉溝洗浄剤として、歯肉注射部、歯肉溝注入部、又は歯肉溝洗浄部を備えた局所投与具を用いた態様が好ましい。これらの投与態様を採用することで、歯磨剤や洗口剤と比べて歯周局所へ効率的に投与することができる。尚、歯肉注射具、歯肉溝注入具、又は歯肉溝洗浄具は、歯周局所へ投与しやすい注射具、注入具、又は洗浄具等であって、本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤を収容する収容部を備えるものであれば種々の局所投与具を採用することが可能である。すなわち、本発明の炎症性歯槽骨吸収抑制剤は局所投与具とのキット、又は容器詰め炎症性歯槽骨吸収抑制剤とすることも可能である。
【実施例】
【0015】
例中の%は、特記しない限り質量%である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0016】
実施例1、2
[マウスの歯槽骨吸収評価:下顎歯肉へのLPSと茶カテキンやインドメタシン投与による歯槽骨吸収の抑制]
7週齢雄性BALB/cマウスにEscherichia coli LPS(5μg/3μl水溶液)を1日ごとに10回マイクロシリンジで注射して歯槽骨吸収を誘導した。そして、このマウスの下顎歯肉に実施例1としてLPSに加えて0.01%(0.3μg/3μl水溶液)の茶カテキン(サンフェノンBG/太陽化学製)、実施例2としてLPSに加えて1%(30μg/3μl水溶液)の茶カテキン、比較例2としてLPSに加えて1%(30μg/3μl水溶液)のインドメタシンを、それぞれ注射した群をそれぞれLPS群(比較例1)、低カテキン群(実施例1)、高カテキン群(実施例2)、インドメタシン群(比較例2)とした。LPSを含まない生理食塩水のみを注射したグループをコントロール群とした。
【0017】
各群を最終投与24時間後に屠殺し、下顎骨を摘出、固定,脱灰後、4μmの組織切片を作成し、HE染色、TRAP染色、IL−1β(インターロイキン−1β)の免疫染色を施して、単位面積当たりのTRAP陽性多核細胞数及びIL−1β陽性細胞数を計測して炎症を評価した。ここで、IL−1β陽性細胞数は炎症を引き起こす細胞の指標であり、TRAP陽性多核細胞を破骨細胞とし、破骨細胞を伴う骨面を活性吸収面とした。顕微鏡下での観察対象骨面における骨表面のうちの破骨細胞を伴う骨面(活性吸収面)の割合を歯槽骨吸収率として求めて炎症を評価した。図1にLPSを投与した各群の歯槽骨吸収率を示す。
【0018】
この方法で炎症を評価したところ、コントロール群は軽度の炎症がみられたが、歯槽骨面上にTRAP陽性細胞は認められず、歯肉結合組織中にIL−1β陽性細胞は観察されなかった。LPS群では、歯槽骨前面の歯肉結合組織中に炎症性細胞の浸潤が認められ、歯槽骨表面にTRAP陽性細胞が多数観察された。また歯肉結合組織中にはIL−1β陽性細胞が多数存在した。インドメタシン群及び高カテキン群はLPS群と比較して、TRAP陽性細胞数は減少し、歯肉結合組織中のIL−1β陽性細胞数もほとんど観察されなかった。低カテキン群はLPS群と比較して、TRAP陽性細胞数は減少したが、歯肉結合組織中のIL−1β陽性細胞数はやや観察された。
【0019】
そして、図1の歯槽骨吸収率に示されるように、LPS投与により歯槽骨吸収が認められたが、茶カテキンやインドメタシンを加えて投与することにより歯槽骨吸収が抑制された。また、茶カテキンはインドメタシンと比べて同等以上の歯槽骨吸収抑制効果を示すと考えられる。なお、ここで用いた茶カテキン(サンフェノンBG)のカテキン類含量は65%であり、ガレート体/非ガレート体(質量比)は、1.7であった。
【0020】
実施例3、4
[マウスの歯槽骨吸収評価:下顎歯肉へのLPSと茶カテキンやグリチルレチン酸投与による歯槽骨吸収の抑制]
実施例1、2と同様の方法で、7週齢雄性BALB/cマウスにEscherichia coli LPS(5μg/3μl水溶液)を1日ごとに10回マイクロシリンジで注射して歯槽骨吸収を誘導した(比較例3)。実施例3としてLPSに加えて0.01%(0.3μg/3μl水溶液)の茶カテキン(サンフェノンBG/太陽化学製)、比較例4としてLPSに加えて1%(30μg/3μl水溶液)のグリチルレチン酸、実施例4としてLPSに加えて茶カテキン0.01%とグリチルレチン酸1%の混合液((茶カテキン0.3μg+グリチルレチン酸30μg)/3μl水溶液)を同様に注射した群を、それぞれ低カテキン群(実施例3)、グリチルレチン酸群(比較例4)、併用群(実施例4)とした。LPSを含まない生理食塩水のみを注射したグループをコントロール群とした。図2に、LPSを投与した各群の歯槽骨吸収率を示す。
【0021】
図2の歯槽骨吸収率に示されるように、LPS投与により歯槽骨吸収が認められたが、グリチルレチン酸は歯槽骨吸収を抑制し、茶カテキンとグリチルレチン酸の併用により各単体の投与よりも顕著に歯槽骨吸収が抑制された。茶カテキンとグリチルレチン酸の併用は、歯槽骨吸収抑制効果に優れていると考えられる。
【0022】
参考例1
[マウスの歯槽骨吸収評価:下顎歯肉へのLPS投与への茶カテキン水飲用による歯槽骨吸収の抑制]
実施例1と同様の方法で行った。1%茶カテキン水を飲用水として飼育期間中に与えたマウスに同様にLPSを投与した群をカテキン水群とした。カテキン水群はLPS群と比較して歯肉結合組織中への炎症性細胞浸潤に大きな相違はみられなかった。しかしTRAP染色像はLPS群と比較すると歯槽骨表面の吸収窩は浅く、TRAP陽性細胞数は減少していた。また歯槽骨表面近くの組織におけるIL−1β陽性細胞数はLPS群より減少していた。これは、飲用という全身的な投与法でも局所の炎症性歯槽骨吸収を抑制できることを示すものであり、血中のカテキン類の濃度が高まったことで歯周局所へも作用したものと考えられる。しかし、この1%茶カテキン水飲用群は実施例1で示した0.01%(0.3μg/3μl水溶液)の茶カテキン投与群よりも歯槽骨が吸収されており、歯周局所へ直接投与することがより効果的と考えられる。通常の茶飲料に含まれるカテキン類の濃度は0.1%程度と低いことから飲用で効果を発揮するためには大量に摂取する必要があると考えられる。
【0023】
実施例5
[歯肉注射剤]
以下の成分を混合した液体製剤を注射針が付属した容器に充填して歯肉注射剤を得た。
茶カテキン(サンフェノン100S/太陽化学製) 1%
L−アスコルビン酸 0.5%
アスコルビン酸ナトリウム 1%
グリセリン 5%
精製水 適量
【0024】
実施例6
[歯肉溝注入剤]
以下の成分を脱気混合したゲル状の製剤を歯肉溝注入口が付属した容器に充填して歯肉溝注入剤を得た。
茶カテキン(サンフェノン100S/太陽化学製) 2%
β−グリチルレチン酸 0.5%
L−アスコルビン酸 1%
アスコルビン酸ナトリウム 1.5%
グリセリン 10%
ポリビニルアルコール 1%
サッカリンナトリウム 0.1%
ヒドロキシエチルセルロース 0.5%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.3%
香料 0.05%
精製水 適量
【0025】
実施例7
[歯肉溝洗浄剤]
以下の成分を混合した液状の製剤を歯肉溝注入口が付属した容器に充填して歯肉溝洗浄剤を得た。
茶カテキン(サンフェノン100S/太陽化学製) 1%
β−グリチルレチン酸 0.1%
L−アスコルビン酸 0.5%
アスコルビン酸ナトリウム 1%
グリセリン 5%
キシリトール 5%
サッカリンナトリウム 0.1%
エタノール 2%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2%
香料 0.1%
精製水 適量
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】LPS投与後の歯槽骨吸収率を示す図である。
【図2】LPS投与後の歯槽骨吸収率を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテキン類を0.01〜10質量%含有する歯周局所投与用の炎症性歯槽骨吸収抑制剤。
【請求項2】
さらにグリチルレチン酸類を含有する請求項1記載の炎症性歯槽骨吸収抑制剤。
【請求項3】
カテキン類がガレート体としてエピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、及びカテキンガレートの一種以上を含み、カテキン類が非ガレート体としてエピガロカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、及びカテキンの一種以上を含み、ガレート体/非ガレート体(質量比)が1〜9である請求項1又は2記載の炎症性歯槽骨吸収抑制剤。
【請求項4】
歯肉注射部、歯肉溝注入部、又は歯肉溝洗浄部を備えた局所投与具と請求項1〜3のいずれか一項に記載の炎症性歯槽骨吸収抑制剤とを備える歯周局所投与用キット。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の炎症性歯槽骨吸収抑制剤を注射具、注入具、又は洗浄具により歯周局所に投与する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−209115(P2009−209115A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56205(P2008−56205)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年10月5日発行の日本歯科保存学会誌「October Vol.50 Autumn Issue,2007」、及び平成19年11月8日 日本歯科保存学会「2007年秋期学術大会(第127回)講演概要集」において発表
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】