説明

炎症性疾患を予防、処置、および/または緩和する組成物および方法

配列5'−Xm−CG−Yn−3'(XはA、T、C、またはGであり;YはA、T、C、またはGであり;m=1〜40であり;n=1〜40であり;少なくとも一つのCGジヌクレオチドが非メチル化型である)を有する有効量のオリゴヌクレオチドを患者に投与することを含む、炎症性疾患に罹患した患者の抗炎症療法に対する臨床応答を増進する方法。本発明はまた、炎症性疾患に罹患した患者の処置におけるステロイドの効能を増進するための医薬の製造のためのこのようなオリゴヌクレオチドの使用を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患、特に哺乳動物、より具体的には抗炎症処置に対して十分な応答を示さないヒト患者における、気道の炎症性疾患の予防、処置、および/または緩和に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、白血球および抗体の局所的移動、腫脹、ならびに液体貯留により特徴付けられる、傷害または刺激に対する免疫学的反応と定義できる。これは、傷害因子が病原性生物であっても、外来物質であっても、虚血であっても、物理的な外傷であっても、電離放射線であっても、電気エネルギーであっても、または極限温度であっても同じ反応である。身体には防御・修復機構が備わっているが、炎症時に生じる反応は有害であり得、例えば慢性炎症、過敏反応、全身性または局所性の炎症性疾患を発症し得る。この文脈で、炎症性疾患は、炎症により特徴付けられる疾患と定義される。その例には、アレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患(クローン病および関連する疾患)、多発性硬化、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチ、ならびに炎症的要素を伴う心血管疾患が含まれるがこれらに限定されない。
【0003】
アレルギーは、環境抗原が臨床的に有害な反応を誘導する複合的なプロセスである。
【0004】
喘息は、基本的に肺およびその組織のアレルギー性疾患であると理解できる。アレルゲンと呼ばれる喘息誘導性の抗原は、典型的には特異的なIgE反応を惹起し、ほとんどの場合、アレルゲン自体は固有の毒性をほとんどまたは全く有さないものの、IgE反応がその後にIgE依存的またはT細胞依存的な過敏反応を惹起した際にそれらが病理を誘導することとなる。
【0005】
過敏反応は、局所性または全身性であり、典型的には過去に各々のアレルゲンに対して感作された個体において、アレルゲンの暴露後、数分以内に起こる。
【0006】
アレルギーの過敏反応は、アレルゲンがエフェクター細胞、例えばマスト細胞、好塩基球、または好酸球の表面上の特定の受容体に結合したIgE抗体により認識され、エフェクター細胞が活性化されそしてメディエーターが放出されて、この反応の急性の兆候および症状が生じた場合に発症する。アレルギー性疾患には、喘息、アレルギー性鼻炎(枯草熱)、アトピー性皮膚炎、およびアナフィラキシーが含まれる。
【0007】
喘息は、複数の遺伝的因子および環境因子の間の相互作用の結果として生じると考えられており、三つの主要な特徴により特徴付けられる:1)気管支収縮、粘液の増産、および気道の狭窄をもたらす気道の壁の肥厚により引き起こされる 間欠的かつ可逆的な気道閉塞、2)気道の反応性亢進、ならびに3)気道の炎症。喘息の炎症反応には特定の細胞が重要であり、それらにはT細胞および抗原提示細胞、IgEを産生するB細胞、ならびにマスト細胞、好塩基球、好酸球、およびその他のIgEに結合する細胞が含まれる。これらのエフェクター細胞は、気道のアレルギー反応の部位に蓄積して毒性産物を放出し、これが急性の病理および最終的には障害に関連する組織破壊の原因となる。他の常在性の細胞、例えば平滑筋細胞、肺上皮細胞、粘液産生細胞、および神経細胞もまた、喘息を有する個体においては異常であり、その病理の原因となる場合がある。臨床的には間欠的な喘鳴および息切れとして顕われる喘息の気道閉塞は、一般的にはこの疾患の症状のうちの最も差し迫ったものであり至急に処置する必要があるが、一方で、この疾患に関連する炎症および組織破壊は不可逆的な変化をもたらし、結果的には喘息を長期的な管理が必要となる慢性的かつ障害性の疾患にする可能性がある。
【0008】
慢性閉塞性肺(または気道)疾患(COPD)は、生理学的には、気腫および慢性気管支炎に起因する末梢気道閉塞の混合に概ね起因する気流の閉塞と定義される状態である。気腫は、肺の気腔の異常な拡大をもたらす肺胞壁の破壊により特徴付けられる。慢性気管支炎は、臨床的には、連続する二年間の各々の年において三ヶ月間慢性的な湿咳が存在することと定義される。COPDにおいて、気流の閉塞は通常進行性であり、部分的にのみ可逆性である。COPDの発症において圧倒的に最も重要な危険因子は喫煙であるが、この疾患は非喫煙者においても起きる。
【0009】
気道の慢性炎症は、COPDの鍵となる病理学的特徴である。炎症細胞の集団では、マクロファージ、好中球、およびCD8+リンパ球の数が増加している。
【0010】
吸入型の刺激、例えば煙草の煙は、気道に常在するマクロファージおよび上皮細胞を活性化して、ケモカイン(例えばインターロイキン−8)ならびに血液から肺組織および気道への好中球/単球の輸送を亢進するよう作用する他の走化性因子を放出させる。気道に動員された好中球および単球は、様々な潜在的に傷害性のメディエーター、例えばタンパク質分解酵素および反応性酸素種を放出し得る。マトリクスの分解および気腫、気道壁の肥厚、サーファクタントの機能障害ならびに粘液の過分泌は全て、気流およびガス交換を悪化させるこの炎症反応の潜在的な後遺症である。
【0011】
喘息およびCOPDの両方において、肺常在性の細胞は疾患の誘導に重要な役割を果たすが、呼吸組織への炎症細胞の移動は、これらの疾患の晩期および慢性的な病理に必須であるとみなされ得る。最近、セリン/スレオニンプロテインホスファターゼのPP2Cファミリーのメンバーが、アクチン細胞骨格の再組織化および細胞の移動に関連する細胞内シグナル伝達経路において重要であることが示された(Koh et al.,Current Biology 12,317−321,2002)。
【0012】
活動期の炎症性腸疾患(IBD)を有する患者において、その目的は、臨床的な寛解を達成することである。潰瘍性大腸炎(UC)に対しては、経口または直腸用のアミノサリチル酸が広く使用されており、より重度の発赤においては、コルチコイドおよびたまにシクロスポリンが使用される。活動期のクローン病においては、コルチコステロイドが主要な処置であり、ブデソニドは、プレドニゾンよりも耐容性が良いという理由で最も好ましいうちの一つである。しかし、糖質コルチコイド療法に対して急性的または慢性的な応答がみられないことは、IBD手術の一般的な指標であり、クローン病(CD)患者の50%および潰瘍性大腸炎(UC)患者のおよそ20%という多くの患者が、糖質コルチコイドに対する応答の乏しさ故に生きている間に手術を必要とする。臨床実務においては、ステロイド、免疫調節剤、例えばインフリキシマブ(レミケード(登録商標))に対して不応性または不抵抗性の患者が考慮され得る。
【0013】
喘息は通常、制御が容易であり、症候性喘息の処置については、吸入用コルチコステロイドが現在入手可能な最も有効な医薬である。しかし、喘息患者のおよそ5%は、高用量の吸入用コルチコステロイドによっても制御されない。困難な治療抵抗性の喘息は、高用量の吸入用ステロイドを使用したにも関わらず、慢性的症状、突発性の増悪、持続的かつ可変性の気道閉塞の点で十分制御されない喘息であると定義され得る。その結果、喘息、特に重度およびステロイド抵抗性の喘息、の疾患制御については、現に今もなお病院内で日々試行錯誤がなされている。
【0014】
そうは言うものの、喘息薬に関しては大きな前進がなされている。しかし、他の気管支炎症障害、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置においてはほとんど前進が見られない。COPDにおける炎症反応は本質的にステロイド抵抗性なので、疾患の進行を防止する新規の治療アプローチが至急に必要である。
【0015】
上述の炎症性疾患と同様、一定割合の関節リウマチ(RA)患者は、コルチコステロイド療法に対して十分に反応しない。他の指標によってもそうであるが、RA患者もまた、臨床的見地から、コルチコステロイド感受性(CS)およびコルチコステロイド抵抗性(CR)のサブグループに分類できる。RA患者におけるCSおよびCR現象に関与する根本的な機構は不明であるが、治療的関心を集めている。
【0016】
全体として、従来的なステロイド療法に対して非反応性と思われる、またはより一般的な広範囲の医薬に対して実際に処置抵抗性である患者の要求に答える必要があるのは明らかである。
【0017】
本発明の根幹をなすさらなる目的およびそれらに関連する解決策は、以下の説明、実施例、および特許請求の範囲を精査することで明らかとなろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、本明細書において参照により援用する添付の特許請求の範囲において規定されるように、炎症性疾患、特に哺乳動物の気道における炎症性疾患の予防、処置、および/または緩和のための組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、驚くべきことに、CG含有オリゴヌクレオチドが炎症性疾患の処置におけるステロイドの効能を増進する能力を有することを見出した。これは特に、抗炎症処置に対して十分な応答を示さないヒト患者に有用である。
【0020】
コルチコステロイド抵抗性の現象は、喘息患者において最も広く研究されており、潰瘍性大腸炎においてはそれよりも少ないが、年々証拠が蓄積され、多くのサイトカイン異常が指摘されている。
【0021】
そのようなサイトカイン、例えばインターフェロンおよびIL−10の内因的な産生を誘導できる免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、ステロイド抵抗性またはステロイド依存症の患者の炎症性疾患に有益な形で影響し得る可能性がある。
【0022】
特定のサイトカインがステロイド応答性に影響し得るという証拠は、コルチコステロイド抵抗性喘息患者および潰瘍性大腸炎患者(こちらも全てコルチコステロイド療法を受けている)において行われた臨床研究から集めらたものである。実際は、この患者のタイプのサブグループの特徴は、以下に記載する臨床研究の共通の特徴にすぎなかった。
【0023】
インターフェロン(IFN)は、幅広い自然免疫反応および適応免疫反応の調節において重要な役割を果たす。I型インターフェロン(IFN−アルファ/ベータ)は、病原体、例えばウイルスに対する宿主防御の中心的存在であり、一方II型インターフェロン(IFN−ガンマ)は、主として免疫反応のT細胞媒介性の調節に寄与する(Taniguchi and Takaoka,2001)。インターフェロンはまた、様々なヒト疾患、例えば良性新生物(Gill et al,1995)およびウイルス疾患(Niederau et al.,1999;Zeuzem et al.,2000)の効果的処置における役割が見出されている。
【0024】
ある研究(Simon et al,2003)において、10名のコルチコステロイド抵抗性喘息患者に、彼ら全員にプレドニゾン投与に加えてIFN−アルファ(3×106 IU/日)(Roferon A(登録商標)Roche)を投与した。臨床試験は、サイトカイン療法から1〜2週間後にこれらの患者において高い効能および改善の臨床的兆候を実証し、これによりコルチコステロイドの用量を減らすことができた。この著者はさらに、IFN−アルファ処置が末梢血T細胞のIFN−ガンマ産生能を増加させることに言及し、Th2型反応(喘息およびアレルギー疾患に特徴的)からTh1反応へのシフトがあったことを示唆した。
【0025】
さらに、この著者らは、サイトカイン療法を受けたこれらの患者において、IL−10を分泌する血中T細胞も増加することを示した。コルチコステロイドは、部分的に、IL−10のレベルを増加させることによってそれらの抗炎症効果を媒介するので、著者らは、外因性のIFN−アルファの投与がこれらの患者におけるコルチコステロイド抵抗性を打ち破ったと結論付けている。
【0026】
Muschら(2003)は、IFN−ベータをi.v.投与した場合の、コルチコステロイド不応性潰瘍性大腸炎患者の高い応答率を実証した。パイロット研究には、基本的な薬物適用に対して不応性が認められる25名の重度の潰瘍性大腸炎患者が参加した。全ての患者はサイトカイン処置の際にコルチコステロイド処置を受けた。処置後、25名中22名(88%)が3週間以内に寛解し、臨床的活動性指標(clinical activity index)(CAI)の大きな減少が処置開始から1週間後に見られた。応答の平均期間は13ヶ月であった。
【0027】
別の研究において、Sumerら(1995)は、コルチコステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎患者におけるs.c.IFN−アルファサイトカイン処置による82%の改善率を報告した。彼らはさらに、23名の患者がサイトカイン療法に応答して迅速な改善(15日以内)を示し、6ヶ月の治療後に完全な臨床的および内視鏡的に寛解したことを示した。3名の患者は、それよりも長い治療の後に寛解を起こしたが、26名の患者全員に追加の治療を行うことなく2年以上観察したところ、この期間の間完全な臨床的および内視鏡的な寛解を維持した。
【0028】
コルチコステロイド抵抗性の病理において注目を集めている別のサイトカインはIL−10である。このサイトカインは、炎症促進性サイトカインの産生を抑制できるという点で、強力な抗炎症効果を有すると考えられている。IL−10は、免疫反応の調節において中心的な役割を果たすだけではなく特定の炎症性疾患、最も顕著なのはアレルギーおよび喘息、の発症にも深く関与する(Hawrylowicz et al,2005)。コルチコステロイドは、部分的に、IL−10産生を亢進することによってそれらの抗炎症効果を発揮すると考えられている(Richards et al,2005)。
【0029】
多くの臨床研究は、喘息患者は十分レベルのIL−10を全体的に欠如しており、これが潜在的により強い炎症の原因となっている可能性があることを示している。中程度のアトピー性ぜん息を有する子供に対して行われた無作為二重盲検臨床研究において、Stelmachら(2002)は、コルチコステロイドであるトリアムシノロン、および抗ロイコトリエン薬であるモンテルカストによる処置が、IL−10の血清レベルを有意に増加させ、加えて臨床的症状を有意に改善することを実証した。
【0030】
別の臨床研究において、IL−10およびIL−10産生細胞のレベルが、中程度の喘息と比較して、重度持続性喘息を有する患者では有意に減少していることが示された(Tomitai et al,2002)。これらの観察は、喘息を有する患者ではIL−10産生細胞の生成に欠陥があるという以前の知見に沿うものである(Tormey et al,1998)。
【0031】
この欠陥はまた、コルチコステロイド抵抗性喘息患者においても存在することが示された。通常の条件下では、コルチコステロイドはコルチコステロイド感受性患者のIL−10産生を増加させる。しかし、Hawrylowiczら(2002)は、コルチコステロイド抵抗性喘息患者において、コルチコステロイドがIL−10合成を誘導できないことを確認した。これらの観察は、IL−10合成の誘導とコルチコステロイドの効能の間の強い関係を示唆している。
【0032】
最近発表された研究(Xystrakis et al.,2006)において、著者らはコルチコステロイド抵抗性喘息患者からPBMCを単離し、これらの培養物にデキサメタゾンと共にビタミンD3を加えると、デキサメタゾンのみで共に培養されたコルチコステロイド感受性患者由来の細胞において観察されるレベルまでIL−10合成が増進することを実証した。さらに、そしておそらく最も大事なことであるが、IL−10による事前処理は、これらの細胞において、デキサメタゾンに誘導されるIL−10の合成を完全に回復させた。
【0033】
胃腸(GI)障害を処置するためにヒト細菌叢を使用することは新しい概念ではなく、40年以上の間定期的に行われていることである(Eiseman et al.,1958)。炎症性腸疾患(IBD)を含む多くのGI障害において有意な臨床的改善が確認されている(Bennet and Brinkman 1989)。
【0034】
小規模な研究において、全員が過去に最大許容の標準的なコルチコステロイド療法に失敗した6名の慢性UC患者の全員に、現在進行中のコルチコステロイド療法と同時に便の注腸を一回行った。直腸注入後に6名の患者全員においてUCの完全な逆転が達成された。この著者はまた、全ての患者は6週間以内に抗炎症療法を停止し、一つの症例においては最大13年間寛解を維持したと述べている。抵抗性潰瘍性大腸炎患者における細菌療法の見かけ上の成功は、「健常」な細菌叢の結腸再棲息化に起因するものであり得るが、同時に著者が示唆するように、この疾患の完全な逆転をもたらす有益な免疫調節効果を誘導する、豊富なCpGモチーフを含有する、多量の細菌DNAの導入に起因するものでもあり得る(Borody et al.,2003)。
【0035】
喘息患者における研究では、ステロイド抵抗性患者およびステロイド感受性患者の両方におけるステロイド(プレドニゾン)に対する応答を比較した。患者には、最初に、ステロイド投与前の1週間の「洗い流し(wash−out)」期間が与えられた。投与前および1週間後のサイトカインプロフィールは、ステロイドに応答したこれらの患者が、Th2型からよりTh1型様の状態に移ったことを示す。対照的に、投与されたステロイドに応答しなかった患者はTh2型に留まった(Naseer et al.,1997)。
【0036】
喘息患者におけるステロイド抵抗性の理由は完全に解明されたわけではないが、多くのヒト研究は、ステロイドに対して抵抗性の患者が、ステロイドの作用によって抑制されないIL−2/4を持続的に高いレベルで有することを示している。さらに、インビトロ研究は、ステロイド非感受性喘息が、気道T細胞における糖質コルチコイド受容体ベータアイソフォームの発現増加に関連することを示している。このアイソフォームは、糖質コルチコステロイドに結合せず、古典的な糖質コルチコイド受容体のトランス活性化活性に拮抗する。従って、糖質コルチコイド受容体ベータアイソフォームの発現増加は、糖質コルチコイド非感受性を説明するものであり得る(Sousa AR et al.,2000;Hamid QA et al.,1999)。
【0037】
関節リウマチにおいても、ステロイド抵抗性患者が高レベルのIL−4を示し、これはステロイドチャレンジによって減少させることができないという点で、同じシナリオが示唆されている(Chikanza et al.,2004)。
【0038】
本明細書中で使用する場合、用語「ステロイド抵抗性」および「ステロイド不応性」は、本来はそのような疾患を有する患者に有効なはずのステロイド処置を実施しても効果が得られない炎症性疾患を有する患者を意味する。この文脈で、「ステロイド抵抗性」および「ステロイド不応性」患者には、共通の適当な生理学的パラメータにより判断した場合に全身投与または局所投与されたステロイドに対して応答しないまたは応答が乏しいもしくは不十分な患者が含まれるがこれらに限定されない。二つのタイプのステロイド抵抗性患者、すなわち獲得性ステロイド抵抗性(I型)および原発性ステロイド抵抗性(II型)が記載されており、これらは両方とも本発明に包含される(Leung and Szefler et al.,1998)。
【0039】
本明細書中で使用する場合、用語「ステロイド依存性」は、ステロイドの全身投与または局所投与による処置から離脱できない患者を意味する。
【0040】
ポリヌクレオチドの免疫賦活活性を描いた全体図は、以下の文献:Krieg et al.,1995;Krieg et al.,2006:(2001);Bauer et al.,2002(2001);Klinman et al.(1999);Jahn−Schmid et al.(1999)、およびTighe et al.(2000)において概説されているが、これらに限定されない。
【0041】
免疫賦活性配列について記載したさらなる参考文献は、Tokunaga et al.(1992);Yamamoto et al.(1992)に提供されるがこれらに限定されない。
【0042】
本発明の目的上、用語「オリゴヌクレオチド」は、二つ以上の別個のヌクレオチド単位を連結することによって構築されたポリヌクレオチドを表す。一般的に、このようなオリゴヌクレオチドは、様々な動物源由来のゲノムDNAを含む既存の核酸供給源から獲得できるが、より好ましくは合成法によって製造される。ヌクレオシド残基は、多くの公知のヌクレオシド間結合のいずれかによって相互に連結され得る。このようなヌクレオシド間結合には、天然のDNAに見られる天然のヌクレオシド間ホスホジエステル結合、または修飾型のヌクレオシド間結合、例えばそれには限定されないが、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋型ホスホルアミデート、架橋型メチレンホスホネート、架橋型ホスホロチオエート、およびスルホンヌクレオシド間結合、が含まれるがこれらに限定されない。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、一つまたはそれ以上の立体特異的なヌクレオシド間結合、例えばホスホロチオエート、アルキルホスホネート、またはホスホトリエステル結合、を有するポリヌクレオシドを包含する。本明細書中で使用する場合、用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は、その結合がリン酸基を含むかどうかに関わらず、任意のこのようなヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことが明示的に意図される。特定の好ましい実施態様において、これらのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、もしくはホスホロジチオエート結合、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0043】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、タンパク質基、親油性基、インターカレート剤、ジアミン、葉酸、コレステロール、およびアダマンタンを含むがこれらに限定されない、さらなる置換基を有するポリヌクレオシドを含む。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、ペプチド核酸(PNA)、リン酸基含有ペプチド核酸(PHONA)、ロック型核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチド、およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを含む骨格部を有するオリゴヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、任意のその他の核酸塩基含有ポリマーを含む。
【0044】
本発明のオリゴヌクレオチドには、天然型ヌクレオシド、修飾型ヌクレオシド、またはそれらの混合物が含まれ得る。本明細書中で使用する場合、用語「修飾型ヌクレオシド」は、修飾された複素環式塩基、修飾された糖部分、またはそれらの組み合わせを含むヌクレオシドである。いくつかの実施態様において、修飾型ヌクレオシドは、本明細書中に記載されるような、非天然型のピリミジンヌクレオシドまたはプリンヌクレオシドである。いくつかの実施態様において、修飾型ヌクレオシドは、2’置換型リボヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、または2’−デオキシ−2’置換型アラビノシドである。
【0045】
用語「オリゴヌクレオチド」には、ハイブリッドオリゴヌクレオチドおよびキメラオリゴヌクレオチドが含まれる。「キメラオリゴヌクレオチド」は、その配列構造内に二つ以上のタイプのヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドである。このようなキメラオリゴヌクレオチドの一つの好例は、ホスホロチオエート、ホスホジエステル、またはホスホロジチオエート領域および非イオン結合、例えばアルキルホスホネート結合またはアルキルホスホノチオエート結合を含むキメラオリゴヌクレオチドである。「ハイブリッドオリゴヌクレオチド」は、二つ以上のタイプのヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドである。このようなハイブリッドオリゴヌクレオチドの一つの好例は、リボヌクレオチドまたは2’置換型リボヌクレオチド領域およびデオキシリボヌクレオチド領域を含む。
【0046】
本発明の目的上、用語「免疫調節性オリゴヌクレオチド」は、脊椎動物、例えば哺乳動物に投与された場合に、生物中で免疫系を刺激するか免疫系を抑制するかまたはその両方の免疫応答を誘導する、上記のようなオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書中で使用する場合、用語「哺乳動物」には、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ(cattle)、ウシ(cows)、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒトが含まれるがこれらに限定されない。
【0047】
用語「免疫調節応答」は、免疫調節性オリゴヌクレオチドでチャレンジした際の免疫応答の変化を表す。この変化は、多くの場合、特定のサイトカイン、例えばインターフェロンの放出、およびその他の生理学的パラメータ、例えば増殖を通じて測定可能である。この応答は、対象の免疫調節性オリゴヌクレオチドにより誘導されるサイトカインに依存して、免疫系を刺激するよう作用する応答でも免疫系を抑制するよう作用する応答でもあり得る。同様に、用語「免疫調節反応」は、抗炎症処置、例えばステロイドに対する患者の応答の調節を表し得る。
【0048】
成句「治療有効量」は、本明細書中で、有益な程度にステロイドの効能を増進するかまたはステロイド抵抗性/依存性の患者のステロイドもしくはその他の炎症薬に対する反応を増進するのに、好ましくは少なくとも約30パーセント、より好ましくは少なくとも50パーセント、さらにより好ましくは少なくとも90パーセント増進するのに十分な量という意味で使用される。最も好ましくは、ステロイド抵抗性は、正常な応答状態まで戻される。
【0049】
用語「ステロイド」は、コルチコステロイドおよび糖質コルチコステロイドの両方を包含するよう使用される。用語「CG含有オリゴヌクレオチド」は、その全長配列内に少なくとも一つの非メチル化型CGジヌクレオチドを有し、好ましくは8〜100核酸塩基長のオリゴヌクレオチドを包含するよう使用される。
【0050】
表現「ステロイドの効能を増進」は、本明細書中で、CG含有免疫調節性オリゴヌクレオチドによる同時または逐次的な処置、好ましくは事前処置、が炎症を制御するのに必要なステロイドの用量を減少させることを示すという臨床像として明らかな、ステロイド節約効果を包含するよう使用される。表現「ステロイドの効能を増進」はまた、炎症を制御するのに必要なステロイドの用量を減少させることが示された、同時もしくは実質的に同時、または逐次的もしくは実質的に逐次的な、CG含有オリゴヌクレオチドおよびステロイドの相乗的使用を包含することが意図される。この用語はまた、すでにステロイド非応答性/依存性であることが既知の患者におけるステロイドの阻害効果に対する「再増強」を包含し得る。表現「ステロイド抵抗性」または「ステロイド不応性」は、通常は対象の疾患を処置するのに有効かつ十分であるとみなされている現行の治療レジメンに対して十分に応答しない患者を包含するよう使用される。表現「ステロイド依存性」は、患者の状態を悪化させるかまたは対象の疾患の症状の重症度を上昇させることなく現行の治療から離脱できないことが観察された患者を包含するよう使用される。
【0051】
好ましくは、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つの天然型のホスホジエステルまたは一つの修飾型ホスホロチオエートもしくはホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含み、好ましい結合または実際の骨格の修飾には、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホチオトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、トリエステルプロドラッグ、スルホン、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホルアミデート、特に第一級アミノホスホルアミデート、N3ホスホルアミデートおよびN5ホスホルアミデート、ならびに立体特異的結合(例えば(Rp)−もしくは(Sp)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、またはホスホトリエステル結合)、ならびにアミノアルキルホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネートおよびチオノアルキルホスホトリエステルが含まれるがこれらに限定されない。
【0052】
一つの実施態様によれば、上記の置換は、上記オリゴヌクレオチドの3’末端および/または5’末端の最後の三つのヌクレオチドから独立して選択される一つまたはそれ以上のヌクレオチドにおいて行われ得る。置換は、上記オリゴヌクレオチドの全長における任意の位置において行われ得るか、または全てのインターヌクレオシド結合が修飾に供されることもまた考慮される。
【0053】
いくつかの実施態様において、ヌクレオシドの糖部分は、非天然型の糖部分であり得る。本発明の目的上、「天然型の糖部分」は、核酸の一部として天然に存在する糖部分、例えばリボースおよび2’−デオキシリボースであり、「非天然型の糖部分」は、核酸の一部として天然には存在しないが、オリゴヌクレオチドの骨格において使用できる任意の糖、例えばヘキソースであるがこれに限定されない。アラビノースおよびアラビノース誘導体は、好ましい糖部分の例である。
【0054】
本発明に従う好ましい免疫賦活部分はさらに、2’−O−メチルリボース、2'−O−メトキシエチル−リボース、2'−O−プロパルギルリボース、および2'−デオキシ−2’−フルオロリボースを含むがこれらに限定されない2’置換型ペントース糖;3’−O−メチルリボースを含むがこれに限定されない3’置換型ペントース糖;1’,2'−ジデオキシリボース;アラビノース;1’−メチルアラビノース、3’−ヒドロキシメチルアラビノース、4’−ヒドロキシメチルアラビノース、3’−ヒドロキシアラビノース、および2’置換型アラビノース糖を含むがこれらに限定されない置換型アラビノース糖;1,5−アンヒドロヘキシトールを含むがこれに限定されないヘキソース糖;ならびにアルファ−アノマーを含むがこれに限定されない、糖修飾を有するヌクレオシドを含む。
【0055】
別の実施態様において、本発明に従う好ましい免疫賦活部分はさらに、ペプチド核酸(PNA)、リン酸基含有ペプチド核酸(PHONA)、ロック型核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチド、およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを含むがこれらに限定されない約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する骨格リンカー部を有するオリゴヌクレオチドを含む、その他の糖質骨格の修飾および置換を有するオリゴヌクレオチドを含む。アルキルリンカーは、分枝型または非分枝型、置換型または非置換型、およびキラル純粋またはラセミ混合物であり得る。最も好ましくは、このようなアルキルリンカーは、約2〜約18の炭素原子を有する。いくつかの好ましい実施態様において、このようなアルキルリンカーは、約3〜約9の炭素原子を有する。いくつかのアルキルリンカーは、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、ウレア、およびチオエーテルからなる群より選択される一つまたはそれ以上の官能基を含む。いくつかのこのような官能性アルキルリンカーは、式(CH2−CH2−O−)、(n=1〜9)のポリ(エチレングリコール)リンカーである。いくつかの他の官能性アルキルリンカーはペプチドまたはアミノ酸である。
【0056】
さらなる実施態様において、本発明に従う好ましい免疫賦活部分は、−L−デオキシリボヌクレオシドおよびa−デオキシリボヌクレオシドを含むがこれらに限定されないDNAアイソフォームをさらに含む。本発明に従う好ましい免疫賦活部分は、3’修飾を含み、2’−5’、2’−2’、3’−3’、および5’−5’結合を含むがこれらに限定されない非天然型インターヌクレオシド結合部位を有するヌクレオシドをさらに含む。
【0057】
本発明に従う免疫調節性オリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合を介して連結された少なくとも5つのオリゴヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーを介する官能性核酸塩基もしくは糖を含む。本発明の目的上、「非ヌクレオチドリンカー」は、共有結合または非共有結合によってオリゴヌクレオチドに結合できる任意の部分である。
【0058】
非共有結合には、静電相互作用、疎水性相互作用、スタッキング相互作用、および水素結合が含まれるがこれらに限定されない。用語「非ヌクレオチドリンカー」は、上記のようなヌクレオシド間結合、例えば二つのヌクレオシドの3’ヒドロキシル基を直接的に接続するホスホジエステル、ホスホロチオエート、またはホスホロジチオエート官能基をさすことを意図しない。本発明の目的上、このような直接的な3’−3’結合(リンカーの関与なし)は、「ヌクレオチド結合」とみなされる。
【0059】
いくつかの実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、金粒子を含むがこれに限定されない金属である。いくつかの他の実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、可溶型または不溶型の生物分解性ポリマービーズである。
【0060】
さらに他の実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、オリゴヌクレオチドへの付加を可能にする官能基を有する有機部分である。このような付加は、好ましくは任意の安定な共有結合によるものである。
【0061】
いくつかの実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、ポリペプチド、抗体、脂質、抗原、アレルゲン、およびオリゴ糖を含むがこれらに限定されない生物分子である。いくつかの他の実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは低分子である。本発明の目的上、低分子は、1,000Da未満の分子量を有する有機部分である。
【0062】
いくつかの実施態様において、低分子は脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素であり、これらは場合により、オリゴヌクレオチドをつなぐ直鎖にまたはそれに付属するように、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、ウレア、およびチオウレアからなる群より選択される一つまたはそれ以上の官能基を含み得る。低分子は環式または非環式であり得る。低分子リンカーの例には、アミノ酸、糖質、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテン、および抗生物質が含まれるがこれらに限定されない。しかし、非ヌクレオチドリンカーを表現する目的上、用語「低分子」は、ヌクレオシドを含むことを意図しない。いくつかの実施態様において、低分子リンカーは、一般式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHのグリセロールまたはグリセロールホモログである。
【0063】
さらなる実施態様において、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチドは、三つのコア核酸部分が共有結合された分岐点ヌクレオシドを含む、分枝様構造を採用するよう修飾され得る。三つのコア核酸部分は各々、分岐点ヌクレオシドの異なる位置に連結される。この分枝様修飾型免疫調節性オリゴヌクレオチドは、場合により、一つまたはそれ以上のさらなる核酸部分;および配列5’−CG−3’を含む少なくとも一つの核酸部分を含み得る。一つの実施態様において、分枝様修飾型免疫調節性オリゴヌクレオチド内のコア核酸部分の一つまたはそれ以上は、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、ホスホロチオエートエステル、ホスホロジチオエートエステル、ホスホルアミダイト、またはアルキルホスホネート結合により分岐点ヌクレオシドに共有結合される。一つの実施態様において、分枝様修飾型免疫調節性オリゴヌクレオチド内の三つのコア核酸部分の一つまたはそれ以上は、スペーサー部分を通じて分岐点ヌクレオシドに共有結合される。このような修飾は、所望の改善、例えば細胞取込みおよび安定性を付与し得るか、または同様に、免疫調節性オリゴヌクレオチド化合物の効能を改善するよう作用し得る。
【0064】
さらなる実施態様において、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチドは、付加された免疫調節性オリゴヌクレオチドに特異的な細胞取込みまたは標的化特性を付与するいわゆる「送達分子」に結合され得る。その一般的に使用される例には、コレステロール官能基等の疎水性分子、細胞膜を通過する能力が高い特定のペプチド、例えば陽イオン性抗菌ペプチド、または一般的に認識されているタンパク質形質導入ドメイン(PTD)が含まれるがこれらに限定されない。
【0065】
実施する上では、多くの場合、所望の特性、例えば細胞取込みの大きさおよびヌクレアーゼの存在下での安定性の高さから、天然形態よりも修飾型または置換型オリゴヌクレオチドが好ましい。オリゴヌクレオチドは、通常は2個以上、典型的には10個以上、かつ100個までまたはそれ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドから構成されるが、好ましくは約8個〜約40個、より好ましくは約8個〜約20個である。
【0066】
本発明の方法において、CG含有免疫調節性オリゴヌクレオチドは、任意の適当な投与経路、例えば吸入、眼、鼻腔内、非経口、経口、皮内、および直腸投与により投与できるがこれらに限定されない。患者がステロイド処置またはその他の抗炎症処置、例えば他の免疫調節剤の使用を行っている場合、ステロイドおよび免疫調節剤は、このオリゴヌクレオチドと一緒にでも別々にでも投与できる。オリゴヌクレオチドの投与経路は、ステロイドの投与経路から独立したものである。
【0067】
一つの局面において、本発明は、本発明に従う免疫調節性オリゴヌクレオチドおよび生理学的に許容される担体を含む医薬製剤を提供する。本明細書中で使用する場合、用語「生理学的に許容される」は、免疫調節性オリゴヌクレオチドの効果を妨げず、かつ生物学的な系、例えば細胞、細胞培養物、組織、または生物と適合する物質を意味する。好ましくは、生物学的な系は生きた生物、例えば脊椎動物である。
【0068】
本明細書中で使用する場合、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、増量剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、脂質、または医薬製剤において使用することが当該分野で周知のその他の物質を包含する。担体、賦形剤、または希釈剤の特徴は、個々の適用における投与経路に依存することが理解されるであろう。これらの物質を含有する薬学的に許容される製剤の調製は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,18th Edition,ed.A.Gennaro,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1990に記載される。
【0069】
本発明はまた、上記のような化合物またはアンチセンス剤ならびに薬学的に許容される製剤および組成物、担体、または希釈剤を含む、薬学的組成物を提供する。上記の薬学的組成物は、好ましくは、コロイド分散系をさらに含む。本発明の薬学的組成物は、局所(local)、局所(topical)、または全身のどの投与様式が処置する状態に最も適するかに大いに依存して、多くの様式で投与され得る。これらの異なる投与様式は、例えば局所(topical)(例えば皮膚への投与)、局所(local)(眼および様々な粘膜、例えば膣、鼻、および直腸送達を含む)、経口または非経口、および肺である。
【0070】
このような組成物および製剤の調製は、一般的には製薬製剤の分野の当業者に公知であり、本発明の組成物の製剤化に適用され得る。
【0071】
本発明の範囲内で好ましい薬学的に許容される塩の例には、(a)陽イオン、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、ポリアミン、例えばスペルミンおよびスペルミジン等により形成される塩、(b)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸等により形成される酸付加塩;(c)有機酸、例えば酢酸、アルギン酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パルミチン酸、ポリグルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、ポリガラクツロン酸、コハク酸、酒石酸、タンニン酸等により形成される塩;ならびに(d)元素の陰イオン、例えば塩素、臭素、およびヨウ素から形成される塩が含まれるがこれらに限定されない。
【0072】
さらに別の実施態様において、局所投与用の薬学的組成物および製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレー、液体、および粉末が含まれ得る。従来的な薬学的担体、水溶液、粉末または油状基剤、増粘剤等が必要または望まれる場合もある。
【0073】
経口投与用の組成物および製剤には、粉末もしくは顆粒、懸濁物または水性媒体溶液もしくは非水性媒体溶液、カプセル、サシェ(sachet)、または錠剤が含まれる。増粘剤、矯味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤、または結合剤が望ましい場合もある。
【0074】
非経口、髄腔内、または脳室内投与用の組成物および製剤には無菌水溶液が含まれ得、これはさらに、緩衝剤、希釈剤、およびその他の適当な添加物質、例えば浸透促進剤、担体化合物、およびその他の薬学的に許容される担体または賦形剤も含有し得るがこれらに限定されない。
【0075】
本発明の薬学的組成物には、溶液、エマルジョン、およびリポソーム含有処方物が含まれるがこれらに限定されない。これらの組成物は、調製済液、自己乳化性の固体、および自己乳化性の半固体を含むがこれらに限定されない様々な成分から作製され得る。一般的に、このような担体は、使用される用量および濃度で受容者に対して非毒性であるべきである。通常、このような組成物の調製は、治療剤と以下:緩衝剤、抗酸化物質、低分子量ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロース、またはデキストリンを含む糖質、キレート剤、例えばEDTA、グルタチオン、ならびにその他の安定剤および賦形剤の一つまたはそれ以上を組み合わせることを必要とする。中性の緩衝性生理食塩水または非特異的血清アルブミンと混合された生理食塩水が、適当な希釈剤の例である。
【0076】
本発明の薬学的製剤は、単位投与形態で提供されるのが都合良く、製薬業界で周知の従来的技術に従って調製され得る。
【0077】
さらに別の実施態様において、本発明の組成物は、典型的にはある液体が別の液体中に小滴の形態で分散された不均質系であるエマルジョンとして調製および製剤化され得る。エマルジョン処方物において使用される天然の乳化剤の例には、アカシア、蜜ろう、ラノリン、レシチン、およびリン脂質が含まれる。皮膚科学的、経口、および非経口経路を通じたエマルジョン処方物の適用およびそれらの製造方法は、文献(Gibson,2001;Carstensen,1998)に概説されている。
【0078】
本発明の一つの実施態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドの組成物は、マイクロエマルジョンとして処方され得る。マイクロエマルジョンは、単一の光学的に等方なかつ熱力学的に安定な液体溶液である、水、油、および両親媒性物質の系と定義される。
【0079】
本発明の別の実施態様は、リポソームを使用して活性成分を作用部位に転移および送達させることである。リポソーム膜は構造的に生体膜と類似するので、リポソームが組織に適用された場合、リポソームは細胞膜との融合を開始する。この事実は、潜在的な薬物送達様式としてのリポソームの使用に関する幅広い研究を促進した。
【0080】
別の実施態様において、浸透促進剤の使用が、薬物送達の様式として使用され得る。このような薬剤は、五つの大きなカテゴリー、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤、のうちの一つに属するよう分類される(Lee et al.,1991)。
【0081】
本発明はまた、本発明による免疫調節性オリゴヌクレオチドを含む組換えヌクレオチド配列に関する。組換え免疫調節性オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、発現ベクター、例えばプラスミドもしくはウイルスまたは当業者に公知の任意のその他のベクターに挿入され得る。従って、本発明は、その免疫調節性オリゴヌクレオチドのインビボまたはインビトロでの発現が達成され得るよう、一つまたはそれ以上の発現制御エレメントに機能的に連結された免疫調節性オリゴヌクレオチド配列を包含する。上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを保持できるベクターは、真核生物由来または原核生物由来のベクターであり得る。
【0082】
薬学的に許容される混合物における免疫調節性オリゴヌクレオチドの濃度は、投与される化合物の用量、使用される化合物の薬物動態学的特徴、患者の年齢、性別、および状態、ならびに投与経路を含む様々な要因に依存して変化し得る。ステロイド抵抗性またはステロイド依存性患者におけるステロイドの効能を増進するのに有効な量の免疫調節性オリゴヌクレオチドは、大まかには、体重1kgあたり約0.01μg〜約100mg、好ましくは約0.1μg〜約10mg、最も好ましくは受容哺乳動物の体重1kgあたり約1μg〜約5mgの範囲であろう。
【0083】
特定の好ましい実施態様において、本発明による免疫調節性オリゴヌクレオチドは、抗炎症剤、例えばTNF抗体、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、およびその他のサリチレート、ならびにcox−2阻害剤、例えばセレコキシブ(セレブレックス)、コルチコステロイド(吸入型、経口用、直腸用)、マスト細胞安定剤、ならびにロイコトリエン修飾薬と組み合わせて投与されるががこれらに限定されない。
【0084】
別の実施態様によれば、上記ステロイド抵抗性/依存性患者は、抗炎症処置、例えばタンパク質ベースの免疫調節剤を同時に受けている患者である。免疫調節剤は、抗炎症剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、IL−4ムテイン、可溶型IL−4受容体、免疫抑制剤、抗IL−4抗体、IL−4アンタゴニスト、抗IL−5抗体、可溶型IL−13受容体−Fc融合タンパク質、抗IL−9抗体、CCR3アンタゴニスト、CCR5アンタゴニスト、VLA−4阻害剤、IgEダウンレギュレーター、および抗TNF−アルファ抗体、ならびにそれらの他のバージョンからなる群より選択され得る。
【0085】
別の実施態様によれば、上記患者は、非ステロイド性抗炎症剤を同時に投与されている患者である。現在入手できる非ステロイド性抗炎症剤には、ピロキシカム、メフェナム酸、ナブメトン、スリンダク、トルメチン、ケトロラク、ロフェコキシブ、ジクロフェナク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、セレコキシブ、オキサプロジン、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、エトドラク、およびメロキシカムが含まれるがこれらに限定されない。
【0086】
本発明のさらなる実施態様によれば、この処置は、抗ヒスタミン薬、または抗ヒスタミン薬およびプロスタグランジン誘発剤の投与を包含する。一つの実施態様によれば、抗ヒスタミン薬は、ロラチジン、セチリジン、ブクリジン、セテリジンアナログ、フェキソフェナジン、テルフェナジン、デスロラタジン、ノルアステミゾール、エピナスチン、エバスチン、アステミゾール、レボカバスチン、アゼラスチン、トラニラスト、テルフェナジン、ミゾラスチン、およびベータタスチンからなる群より選択される。
【0087】
本発明のこの局面の目的上、用語「〜と組み合わせて」は、同一患者における同一疾患を処置する過程に含まれることを意味し、免疫調節性オリゴヌクレオチドの投与が、同時投与および最大数ヶ月間の間隔というオーダーで時間的に間を置く投与を含む、任意のオーダーで行われ得ることを包含する。このような併用処置はまた、免疫調節性オリゴヌクレオチドの一回以上の投与を含み得る。本発明のより好ましい免疫調節性オリゴヌクレオチドは、ステロイド抵抗性またはステロイド依存性患者に対して、その患者がステロイド療法を開始した後および安定な投与レジメンに移行した後に投与される。
【0088】
実験データは、CG含有免疫調節性オリゴヌクレオチドが免疫系を調節し、炎症の改善もしくは逆転、またはステロイドに対する反応亢進、またはステロイドの抗炎症効果に対して患者の再増強をもたらし得ることを示す。
【0089】
本発明によれば、本発明は、配列
5’−Xm−CG−Yn−3’
[XはA、T、C、またはGであり、YはA、T、C、またはGであり、m=1〜40であり、n=1〜40であり、少なくとも一つのCGジヌクレオチドが非メチル化型である]
を有する有効量のオリゴヌクレオチドを患者に投与することからなる、炎症性疾患に罹患した患者の処置におけるステロイドの効能を増進する方法を提供する。
【0090】
上記一般式において、mは、1〜40、好ましくは1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、より好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の区間の整数である。
【0091】
同様に、nは、1〜40、好ましくは1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、より好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の区間の整数である。
【0092】
特定の好ましい実施態様によれば、このオリゴヌクレオチドは、中心のCGモチーフに関して対称である、すなわちnはmと等しく、かつ両者は、1〜40、より好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の区間の整数である。
【0093】
本発明に従うオリゴヌクレオチドは、二つまたはそれ以上のCGモチーフを、直列で、またはオリゴヌクレオチド全長の任意の位置に含むこともまた想起される。
【0094】
上記のように、本発明の方法は、患者の応答性を改善するためまたはステロイド節約薬剤としてのCGオリゴヌクレオチドの使用に関する。その一つの実施態様は、炎症性疾患に罹患しており、ステロイド依存性であり、同時にステロイド処置を受けている患者の処置である。その他の実施態様は、炎症性疾患に罹患しており、ステロイド抵抗性またはステロイド不応性と定義され、同時にステロイド処置を受けている患者の処置である。
【0095】
別の実施態様によれば、上記患者は、抗炎症処置、好ましくはステロイド処置を同時に受けている患者である。
【0096】
好ましい実施態様によれば、炎症性疾患は、気道の炎症性疾患、より好ましくはアジソン病、成人呼吸促進症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー、および喘息から選択される炎症性疾患である。最も好ましくは、炎症性疾患は喘息である。
【0097】
本発明による方法において、オリゴヌクレオチドは、ステロイドと組み合わせて、すなわち同時に、実質的に同時に、逐次的に、または実質的に逐次的に投与される。
【0098】
本発明はまた、炎症性疾患に罹患した患者の処置におけるステロイドの効能を増進するための医薬の製造のための、配列
5’−Xm−CG−Yn−3’
[XはA、T、C、またはGであり、YはA、T、C、またはGであり、m=1〜40であり、n=1〜40であり、少なくとも一つのCGジヌクレオチドが非メチル化型である]
を有するオリゴヌクレオチドの使用を包含する。
【0099】
上記一般式において、mは、1〜40、好ましくは1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、より好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の整数である。
【0100】
同様に、nは、1〜40、好ましくは1〜30、好ましくは1〜20、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、より好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の整数である。
【0101】
特定の好ましい実施態様によれば、このオリゴヌクレオチドは、中心のCGモチーフに関して対称である、すなわちnはmと等しく、かつ両者は、1〜40、より好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の区間の整数である。
【0102】
本発明に従うオリゴヌクレオチドは、二つまたはそれ以上のCGモチーフを、直列で、またはオリゴヌクレオチド全長の任意の位置に含むこともまた想起される。
【0103】
上記のように、本発明の方法は、ステロイドの効果を増進するためにまたはステロイド節約薬剤として、その全長配列内に少なくとも一つの非メチル化型CGジヌクレオチドを有するCG含有オリゴヌクレオチドの使用に関する。その一つの実施態様は、炎症性疾患に罹患しており、ステロイド依存性であり、同時にステロイド処置を受けている患者の処置であり、少なくとも一つの非メチル化型CGジヌクレオチドを有するCG含有オリゴヌクレオチドはステロイドと同時に投与される。
【0104】
その別の実施態様は、炎症性疾患に罹患しており、ステロイド抵抗性またはステロイド不応性と定義され、同時にステロイド処置を受けている患者の処置であり、少なくとも一つの非メチル化型CGジヌクレオチドを有するCG含有オリゴヌクレオチドはステロイドと同時に投与される。現在入手可能なステロイドの非限定的なリストには、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、およびデキサメタゾンが含まれる。
【0105】
別の実施態様によれば、上記ステロイド抵抗性/依存性患者は、抗炎症処置、好ましくはステロイド処置を同時に受けている患者である。
【0106】
さらなる実施態様によれば、上記患者は、好ましくは、炎症性疾患の活動が寛解状態にあり、再発した際の炎症性疾患の重症度が軽減されるよう、予防的レジメンにおいて、その全長配列内に少なくとも一つの非メチル化型CGジヌクレオチドを有する治療用量のCG含有オリゴヌクレオチドが投与される。
【0107】
さらなる実施態様によれば、上記ステロイド抵抗性/依存性患者は、好ましくは、炎症性疾患の活動が活動期にあり、抗炎症処置の効能を増大させて疾患の状態を改善するよう、他の広く使用されている抗炎症系療法と同時に、その全長配列内に少なくとも一つの非メチル化型CGジヌクレオチドを有する治療用量のCG含有オリゴヌクレオチドが投与される。
【0108】
好ましい実施態様によれば、炎症性疾患は、気道の炎症性疾患、より好ましくはアジソン病、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー、および喘息から選択される炎症性疾患である。
【0109】
他の実施態様において、本発明の治療用タンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニスト、相補配列、またはベクターのいずれかが、他の適当な治療剤と組み合わせて投与され得る。併用療法において使用するのに適した薬剤の選択は、従来的な薬学原理に従い当業者によりなされ得る。治療剤の組み合わせは相乗的に作用し、上記の様々な障害の処置または予防をもたらし得る。このアプローチを用いれば、各々の薬剤を低用量で用いて治療効果が達成できる、従って有害な副作用の可能性を低下できる。
【0110】
大きな治療指標を示す薬学的組成物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用のための用量の範囲を策定するのに使用される。このような組成物に含まれる用量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性を示さないED50を含む循環濃度範囲内である。用量は、この範囲内で、使用される剤形、患者の感受性、および投与経路に依存して変化する。
【0111】
正確な用量は、処置を必要とする患者に関連する要因に照らし、担当医により決定されるであろう。このような考慮され得る要因には、疾患状態の重症度、患者の全般的な健康、患者の年齢、体重、および性別、食事、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応の感度、ならびに治療に対する耐容性/応答性が含まれる。用量および投与は、十分なレベルの活性成分を提供するようまたは所望の効果を維持するよう調整される。持続作用性の薬学的組成物は、個々の処方物の半減期およびクリアランス速度に依存して3〜4日ごと、毎週、または二週間ごとに投与され得る。
【0112】
併用療法において使用するのに適した薬剤の選択は、従来的な薬学原理に従い当業者によりなされ得る。治療剤の組み合わせは相乗的に作用して、上記の様々な障害の処置または予防をもたらし得る。このアプローチを用いれば、各々の薬剤を低用量で用いて治療効果が達成できる、従って有害な副作用の可能性を低下できる。
【0113】
現在の治療は、深刻な副作用を誘発し得る強力な免疫調節剤の使用に頼っているため、ステロイド抵抗性またはステロイド依存性は今もなお、炎症性疾患に罹患した多くの患者にとって大きな臨床上の関心事である。望ましくない副作用の危険がほとんどない、ステロイド非応答性の個人においてステロイドの効能を増進するシンプルで直接的な方法は、抗炎症処置を根本的に改善し、従って対象の疾患を寛解させ、多くの患者の生活水準および寿命を向上させるであろう。
【実施例】
【0114】
実施例1.様々なオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の比較
以下の研究において、ヒト末梢血単核球(PBMC)、マウス脾細胞を用いたインビトロ刺激実験、およびLPS喘息誘導マウスモデルにおけるインビボ研究において、五つの異なるオリゴヌクレオチドを使用した。全てのオリゴヌクレオチドは、Biomers,Ulm/Donau,Germanyから購入した。
【0115】
表1.CpG含有ODN
配列番号1 5’−G***ACAGTTCGTCCAT***C−3’
(Hu p65)AS
配列番号2 5’−G***ACAGTTGCTCCAT***C−3’
(Hu p65 rev)AS
配列番号3 5’−G***ACAGATCGTCCAT***T−3’
(Mu p65)AS
配列番号4 5’−G***ACAGATGCTCCAT***T−3
(Mup65rev)AS
配列番号5 5’−A***TGAGTAGCCTATA***C−3’
(ネガティブコントロール)
配列番号6 5’−G**TGCATCGATGCAG*****G−3’(ヒトポジティブコントロール)
配列番号7 5’−T*******************T−3’ (マウスCpGポジティブコントロール)
配列番号8 5’−T***********************T−3’ (ヒトポジティブコントロール)
全ての事例において、「*」マークのある塩基はホスホロチオエート結合を示し、マークのない塩基はホスホジエステル結合を示す。
【0116】
配列番号6、配列番号7、および配列番号8は公に利用可能な配列であり、強いインターフェロン誘導能を有するオリゴヌクレオチドであることが記載されていることに留意されたい。従ってこれらは、配列番号1および配列番号3のCGジヌクレオチド含有オリゴヌクレオチドの免疫調節能のポジティブコントロールとして利用できる。
【0117】
配列番号2および配列番号4は、それぞれ配列番号1および配列番号3と同一であるが、一つの意図的な違いを含む。できる限り本来の化合物に近い状態を維持しつつその免疫賦活能を排除する目的で、配列番号1および配列番号3の両方においてはCGである内部のジヌクレオチドをGCへと反転させた。従って配列番号2および配列番号4は、それぞれ配列番号1および配列番号3の適当なネガティブコントロールとして機能する。
【0118】
凍結乾燥したオリゴヌクレオチドは凍結乾燥粉末として受領し、最初に少量の蒸留水に希釈してストック溶液を作製した。完全に混合した後、各オリゴヌクレオチドを、様々な希釈率の系列にさらに希釈した。各希釈物についてのOD A260/A280を、SmartSpec 3000、BioRadを用いて測定した。ストックの濃度を測定するため、全ての希釈物についての全ての読み取りの平均濃度を算出した。ストック溶液は−20Cで保存し、解凍/凍結を繰り返さないようにした。
【0119】
全てのオリゴヌクレオチドについて、高濃度ストック溶液を一つおよび低濃度ストック溶液(1μg/μl)を一つ得るために、濃縮ストック溶液の一部をさらに希釈した。その濃度は、上記のように分光光度計を用いてODを測定することによって決定した。
【0120】
実験に使用した作業時の濃度;0.1μM、1μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μM、および200μMは、高濃度ストック溶液(通常20μg/μl)および低濃度ストック溶液(1μg/μl)を用いて様々なオリゴヌクレオチドを培地にさらに希釈することによって調製した。必要な各々の終濃度を得るために作製した希釈物は、処理するウェルの数(すなわち最終量)に依存し、これは実験ごとに異なった。
【0121】
実施例2.第一の動物研究
本研究の全般的な目的は、潜在的な免疫調節化合物としての実験的オリゴヌクレオチド配列番号3の薬理学的効果を試験することであった。本研究の目的は、疾患のエンドポイントとして気道炎症を用いて配列番号3の薬学的効果を試験すること、およびその効能をコルチコステロイドのそれと比較することであった。
【0122】
材料および方法
動物
C57BL/6マウスはBomholtgaard,Ry,Denmarkから購入した。動物は、標準的な食物および水分を自由に与えることで飼育し、使用前に、公認の動物施設で少なくとも7日間かけて順応させた。全ての実験において、9〜11週齢の雌マウスを使用した。全ての実験は、Umea,Swedenの動物実験に関する内部倫理委員会により承認された。
【0123】
急性肺炎症の誘導
総量50μl、5μgの濃度の細菌内毒素LPS(大腸菌O128:B12,Sigma,St.Louis,MO)を、麻酔したマウス(エンフルラン)に気管内滴下により投与した。コントロールマウスには溶媒のみを与えた(内毒素を含まない蒸留水)。以前の実験により、LPSの至適濃度を5μgと決定した。
【0124】
気管支肺胞液中の白血球の分析
LPS滴下から20時間後にマウスを頸椎脱臼により屠殺し、それらの気管にポリエチレンチューブを挿管した。1mlアリコートの氷冷ハンクス平衡塩溶液を用いて気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、回収量は4mlであった。気管支肺胞洗浄液(BALF)中の総白血球数を、Buerkerチャンバーおよびトリパンブルー溶液を用いて計数した。メイ・グリューネバルト・ギムザ染色した二連の細胞遠心分離調製物において、細胞分画数を算定した。各スライドから300個の細胞を計数し、好中球の割合を算出した。
【0125】
LPS誘導性肺炎症の配列番号3またはデキサメタゾンによる処置
マウスを、25μg、100μg、または150μgの濃度の実験的オリゴヌクレオチド配列番号3で処置した。オリゴヌクレオチドは、5μgのLPSを滴下する18時間前に、計50μlの量を麻酔したマウスに気管内滴下により投与した。コントロールマウスには、50μlの内毒素を含まない蒸留水を与えた。
このオリゴヌクレオチドの効果を、従来型の抗炎症性コルチコステロイド処置と比較するため、マウスの一つのグループにデキサメタゾン(Sigma St Louis,MO)を与えた。PBSに溶解させたデキサメタゾン(10mg/kg体重)は、LPS暴露の1時間前に、マウスに6(12)回腹腔内(i.p.)注射した。気管支肺胞洗浄液(BALF)の回収および分析は、チャレンジの20時間後に行った。
【0126】
統計分析
結果は、平均+標準誤差(SEM)で表す。統計分析は、スチューデントt検定(両側)を用いて行った。p値が0.05未満であった場合、データを統計的有意差があるものとみなした。統計分析は、各グループの動物数が4以上であった場合のみ行った。
【0127】
実施例2の結果
LPS誘導性気道炎症に対するオリゴヌクレオチド配列番号3の効果
オリゴヌクレオチドをLPSを滴下する18時間前に気管内投与し、LPSチャレンジの20時間後にBALFを回収および分析することによって好中球反応に対する効果を研究した。配列番号3の効果を従来型の抗炎症処置のそれと比較するための実験においては、コルチコステロイドであるデキサメタゾンを加えた。
配列番号3の投与は、BALF中の好中球を用量依存的に減少させた(図1)。150μgの配列番号3で処置した動物においては、BALで回収された好中球の数に関して50%超の減少が観察された(図2)。この抗炎症効果は、少なくとも高用量のデキサメタゾン処置と同じ程度に強力であった。
【0128】
結論
本研究において、本発明者らは、気管内滴下した内毒素により誘導される好中球性肺炎症のマウスモデルを使用した。このモデルにおいて、気道に投与した配列番号3による炎症反応の阻害を研究した。驚くべきことに、本実験は、配列番号3による事前処置が、気道における好中球反応を有意に減少させることを示した。
【0129】
実施例3.第二のLPS誘導性喘息研究
本研究の目的は、実施例2と同様に、疾患のエンドポイントとして気道炎症を用いて配列番号3の薬学的効果を試験すること、およびその効能をコルチコステロイドのそれと比較することであった。この研究では、統計的な有意性を高めるために、グループあたりの動物数を増やした。LPSの誘導は喘息を誘導し、分析のプロトコルは実施例2に記載の通りに行った。
簡単に説明すると、5μgのLPSによるチャレンジの18時間前に、気管内滴下により配列番号3(150μg/動物)を投与することによってマウスを処置した。マウスの一つのグループを健常な未処置個体群とした。コントロールマウスには溶媒のみ(H2O)およびLPSを与えた。一つのグループには、LPS滴下の1時間前にデキサメタゾン(5mg/kg)を与え、一つのグループには併用処置を行った。BALFの分析は、最後の処置から20時間後に行った。BALF中の総細胞数および好中球数を示す。データは平均±SDで表す。処置グループ対コントロールグループにおいて、***=p<0.001および**=p<0.01であった(一元配置分散分析およびボンフェローニのポストホック検定)。計算はSPSSソフトウェア(12.0)により行った。全てのグループにおいてn=6であった。
【0130】
実施例3の結果
LPS誘導性気道炎症に対するオリゴヌクレオチド配列番号3の効果
BAL液に浸潤した細胞の総数に対する配列番号3およびデキサメタゾン処置の効果を図3に示す。一回量の配列番号3、150μgは、BAL液の細胞数をコントロールと比較しておよそ50%減少させ(p=0.005)、これは、デキサメタゾンの方がやや顕著であった(p=0.0001)。驚くべきことに、配列番号3およびデキサメタゾンの組み合わせは、いずれかの単独療法のみにより達成されるのよりも大きなレベルの阻害を生じた。
BAL液中の細胞の測定では、大部分は好中球および白血球であった。図4は、全てのデータ点について、LPSの滴下から20時間後のBAL液中の総白血球数を示す。各々の点は一匹の動物を表し、図3に見られるように、配列番号3およびデキサメタゾンの組み合わせが最も高い白血球阻害を達成した。一元配置分散分析およびコントロールグループに対するダネットのポストホック補正を用いれば(GraphPad)、***p<0.001、*p<0.05であった。
図5は、好中球流入に対する配列番号3処置の効果を示すグラフである。各データ点は、一回の観察、すなわち一匹のマウスを表す。上記と同様、配列番号3およびデキサメタゾンの組み合わせが最も高い阻害を達成した。一元配置分散分析およびコントロールグループに対するダネットのポストホック補正を用いれば(GraphPad)、***p<0.001であった。
【0131】
実施例4.第三のLPS誘導性喘息研究
実施例1および2と同様、本研究の目的は、疾患のエンドポイントとして気道炎症を用いて配列番号3の薬学的効果を試験すること、およびその効能をコルチコステロイドのそれと比較することであった。さらに、配列番号4および配列番号7といういくつかのコントロールオリゴヌクレオチドを加えた。LPS誘導性喘息の誘導および分析プロトコルは、実施例2に記載の通りに行った。
簡単に説明すると、5μgのLPSによるチャレンジの18時間前に、気管内滴下により配列番号3、4、および7(150μg/動物)を投与することによってマウスのLPS誘導性気道炎症を処置した。未処置グループを健常な個体群とし、コントロールグループのマウスには溶媒のみ(H2O+LPS)を与えた。デキサメタゾンのコントロール処置(5mg/kg、i.p.)は、LPS滴下の1時間前に行った。BAL液の分析は、LPSの滴下から20時間後に行った。BAL液中の白血球および好中球の総数を示す。データは平均±SD(n=6)で表す。一元配置分散分析およびコントロールグループに対するダネットのポストホック補正を用いれば、***p<0.001、*p<0.05であった。
【0132】
実施例4の結果
LPS誘導性気道炎症に対するオリゴヌクレオチド配列番号3、4、および7の効果
図6は、コントロールグループにおいて見られた、LPSチャレンジ後のBLA液中の細胞数の明確な誘導を示す。上記の二つの実施例において示されたように、配列番号3を与えたマウスは、BAL液へ浸潤した炎症細胞数の減少を示した。配列番号7を与えたマウスはより劇的な阻害レベルを示し、これはデキサメタゾンと同程度の効果であった。配列番号4を与えたマウスは、配列番号4の配列内にいかなるCGジヌクレオチドも存在しないことから予想された通り、ほとんど効果を示さないことが明らかになった。デキサメタゾンと配列番号3の組み合わせは、実施例2で見られたような効果の向上の可能性を示さなかった。
図7は、図6に示されるのと同一の結果を表し、各データ点は一匹の動物を表す。ここでは、ネガティブコントロールオリゴヌクレオチド配列番号7が、コントロールグループと比較した場合、効果を示さないことがより明確に示されている。データは平均±SD(n=6)で表す。一元配置分散分析およびコントロールグループに対するダネットのポストホック補正を用いて、***p<0.001、*=p<0.05であった。注釈:コントロールグループ内の非応答性の個体を除外すれば、全ての他のグループ(配列番号4を与えたグループを除く)は、有意に減少した炎症反応を示す(配列番号3については*p<0.05、および他のグループについては***p<0.001)。
図8も同様に、グラフ6に示されるのと同一の結果を示し、各データ点は一匹の動物を表す。ここでも、ネガティブコントロールオリゴヌクレオチド配列番号7が、コントロールグループと比較した場合を効果を示さないことがより明確に示されている。データは平均±SD(n=6)で表す。一元配置分散分析およびコントロールグループに対するダネットのポストホック補正を用いれば、***=p<0.001、*=p<0.05であった。注釈:コントロールグループ内の非応答性の個体を除外すれば、全ての他のグループ(配列番号4を与えたグループを除く)は、有意に減少した炎症反応を示す(配列番号3については*p<0.05、および他のグループについては***p<0.001)。
【0133】
実施例5.マウス脾臓由来の単一細胞懸濁物の調製
脾臓を試験動物から切除した。ナイロン製細胞ストレーナー(100μm)を用いて単一細胞懸濁物を調製した。細胞を一度、完全RPMI培地中、1200rpmで7〜10分間洗浄し、その上清を廃棄して細胞を再懸濁した。1mlの「赤血球溶解緩衝液」を加え、その混合物をRTで1〜2分間インキュベートした。5mlの完全RPMIを加え、その混合物を上記の通り遠心分離した(C2)。
上清を廃棄し、ペレットを再懸濁し、さらに5mlの完全RPMLを加えた。細胞をトリパンブルーにおける希釈によって計数し、単位面積あたり50〜100細胞となるよう計数した。
1ウェルあたりおよそ500,000個のマウス脾細胞を、示された濃度の様々なオリゴヌクレオチドの存在下で48時間インキュベートした。具体的には配列番号3、配列番号4、および配列番号7であった。インキュベーション後、キットの販売元の推奨に従いウェルを現像し、ウェルあたりのポジティブスポットの平均数を、AID ELISpotリーダーシステム(Strassberg Germany)を用いて測定した。
【0134】
実施例5の結果
マウス脾細胞におけるオリゴヌクレオチド配列番号3、4、および7の効果:IL−10の誘導
図9は得られた結果を示し、このグラフから、配列番号3および配列番号7(ポジティブコントロール)の両方が有意なレベルのIL−10を誘導するが、ネガティブコントロールである配列番号4はこのサイトカインの誘導を示さないことがはっきり見てとれる。配列番号7は、0.1μMの濃度でIL−10を誘導するが、配列番号3は、最初に5μMで有意な数のIL−10産生ポジティブ細胞を誘導した。実際、配列番号3はこの効果については同じ濃度の配列番号7よりも強力なようである。期待通り、配列番号3に存在するCGジヌクレオチド対を除去することによって(すなわち、コントロールの配列番号4)、IL−10を誘導する効果は消滅した。従って、配列番号3は、マウス脾細胞においてIL−10の産生を誘導できることがはっきりした。培地は、オリゴヌクレオチドを加えなかったウェルを示し、従って自然発生的なバックグラウンドのIL−10レベルを表す。
【0135】
実施例5の結果
マウス脾細胞におけるオリゴヌクレオチド配列番号3、4、および7の効果:IFN−ガンマの誘導
IFN−ガンマ産生に関して、ELISpotアッセイによりIFN−ガンマのレベルを観察することを意図して、マウス脾細胞を上記の通り処置した。同一の条件およびオリゴヌクレオチド濃度を使用した。
図10から、それらの全長配列内に少なくとも一つのCGジヌクレオチドモチーフを含むオリゴヌクレオチド配列(例えば配列番号3および配列番号7)のみが、培地単独の場合と比較して、有意なレベルのIFN−ガンマを誘導できることが明らかである。ネガティブコントロールオリゴヌクレオチド配列番号4は、予想通り、そのような誘導能を示さなかった。培地と記したカラムは、自然発生的なIFN−ガンマ産生ポジティブ細胞のレベルを示す。
【0136】
実施例6.末梢血単核球(PBMC)の調製
材料
健常な血液ドナーから全血を得た。PBMCは、以下のプロトコルに従い30mlの全血から調製した:
30mlの血液をヘパリン処理したチューブに直接移した。全ての血液を一つの50ml Falconチューブに移し、PBSを加えて50mlにした。次いで15mlのFicoll(17−1440−03、Amersham Bioscience AB,Uppsalaから購入)を二つのFalconチューブ(50ml)に加えた。次いでPBS処理した血液を、各チューブのFicollの上面に注意深く25ml加えた。次いでこのチューブを、RT(20℃)、1700RPMで25分間遠心分離した。
RPMIc培地を、無菌条件下、0.22μMフィルターを用いて調製した。(RPMIcは、5%熱不活性化(56℃、1時間)FCS、1.5mM L−グルタミン(G7513,Sigma)、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシン、PEST(P0781,Sigma)、hepes(H0887,Sigma)、ならびにゲンタマイシン(G1272,Sigma)を補充したRPMI 1640倍用培地(R0883,Sigma)である。)
中間層を、二つのチューブから二つの50ml Falconチューブに注意深くピペッティングした。各チューブにPBSを加えて50mlにし、このチューブを1700RPMで10分間(4℃)遠心分離した。
その上清を廃棄し、PBSを加えて30mlにし、このチューブを1500RPMで10分間(4℃)遠心分離した。再度、上清を廃棄し、10ml PBSを加え、二つのFalconチューブのペレットをプールした。
この細胞を計数してPBS中で維持し、1200RPMで10分間遠心分離した。次いで培地を加えて目的の濃度とし、細胞を三回計数した(16マス)。その平均値を算出し、希釈係数×104=細胞/mlのかけ算をした。細胞を10,000,000/mlに希釈することで500,000細胞/50ul培地となり、6,000,000/mlは300,000/50ul培地であろう。
【0137】
実施例7.Elispotアッセイ
Elispotアッセイは、製造元の推奨するガイドライン(MabTech)に従って行い、プレートはAID ELISpotリーダーシステム(Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassberg,Germany)を用いて分析した。
【0138】
実施例8.ELISAアッセイ
ELISAアッセイは、製造元の推奨するガイドライン(R&D Systems)に従って行った。プレートはAID ELISpotリーダーシステム(Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassberg,Germany)を用いて分析した。
【0139】
実施例9.ODN処置による健常なヒトPBMCからのサイトカインIL−10の誘導
健常なヒトドナー由来の血液から得た、1ウェルあたりおよそ500,000個のPBMC細胞を、様々なオリゴヌクレオチドの存在下で48時間インキュベートした。具体的には配列番号1、配列番号2、配列番号6、および配列番号8であった。インキュベーション後、キットの販売元の推奨に従いウェルを発色させて、ウェルあたりのIL−10産生性ポジティブ細胞の平均数を、AID ELISpotリーダーシステム(Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassberg,Germany)を用いて計数した。
【0140】
実施例9の結果
ヒトPBMCに対するオリゴヌクレオチド配列番号1、2、6、および8の効果 IL−10の誘導
図11は、示される濃度のオリゴヌクレオチド配列番号1、配列番号2、配列番号6、および配列番号8と共に48時間インキュベートした場合の、5名の健常な個体由来のIL−10産生ポジティブヒトPBMCの平均数を示すヒストグラムである。予想通り、ネガティブコントロールオリゴヌクレオチド配列番号2は、100μM付近という非常に高い濃度に達するまでIL−10を誘導しなかった。配列番号6および配列番号8は、ポジティブコントロールとして使用し、強力なIL−10誘導能を示した。配列番号1とPBMCのインキュベーションは、5μM付近から始まり使用した最高濃度である200μMに至る濃度において、IL−10産生細胞を誘導する能力をはっきりと示した。培地と記したカラムは、自然発生的なIL−10産生ポジティブ細胞のレベルを示す。結果は、5名の異なる個人から得た平均である(バーはSEMを示す)。
【0141】
実施例10.ODN処置による健常なヒトPBMCからのIFN−ガンマの誘導
健常なヒト血液から得た、1ウェルあたりおよそ500,000個のPBMC細胞を、様々なオリゴヌクレオチドの存在下で48時間インキュベートした。具体的には配列番号1、配列番号2、および配列番号8であった。インキュベーション後、キットの販売元の推奨に従いウェルを発色させて、ウェルあたりのIFN−ガンマ産生ポジティブ細胞の平均数を、AID ELISpotリーダーシステムを用いて計数した。
【0142】
実施例10の結果
ヒトPBMCに対するオリゴヌクレオチド配列番号1、2、および8の効果 IFN−ガンマの誘導
図12に示されるヒストグラムは、示される濃度のオリゴヌクレオチド配列番号1、配列番号2、および配列番号8と共に48時間インキュベートした場合の、7名の健常な個体由来のIFN−ガンマ産生ポジティブヒトPBMCの数を示す。ここでは、IFN−ガンマの誘導は、25μM付近の濃度で顕在化し、最高濃度の200μMに至るまで高レベルで維持された。ネガティブコントロールはバックグラウンドレベルを超えなかった。
「培地」と記したカラムは、自然発生的なIFN−ガンマ産生ポジティブ細胞のレベルを示す。結果は、7名の異なる個人から得た平均である(バーはSEMを示す)。
【0143】
実施例11.ODN処置による健常なヒトPBMCからのIFN−アルファの誘導
本アッセイのために、ここでも、健常なヒト血液から得た、1ウェルあたりおよそ500,000個のPBMC細胞を、様々なオリゴヌクレオチドの存在下で48時間インキュベートした。具体的には配列番号1、配列番号2、および配列番号8であった。インキュベーション後、キットの販売元の推奨に従いウェルを発色させて、ウェルあたりのIFN−ガンマ産生ポジティブ細胞の平均数を、AID ELISpotリーダーシステムを用いて測定した。
【0144】
実施例11の結果
ヒトPBMCに対するオリゴヌクレオチド配列番号1、2、および8の効果 IFN−アルファの誘導
図13は、10名の健常な個体から得られた結果を示す。配列番号1は、IFN−アルファ産生細胞数の大きな増加が1μMの濃度から始まり、これが200μMまでわずかながらさらに増加しつつ続くことから分かるように、はっきりとした誘導能を実証した。ポジティブコントロールオリゴヌクレオチド配列番号8も同様に、強力なIFN−アルファ誘導能を示し、これは0.1μMの濃度で既に顕在化していた。さらに、ネガティブコントロールオリゴヌクレオチド配列番号2は、ここでも、測定可能なレベルのIFN−アルファを誘導しなかった。
まとめると、この結果は、配列番号1および配列番号3の両方が、ヒト細胞およびマウス細胞のそれぞれにおいて免疫調節性オリゴヌクレオチドとして作用することを示す。このことは、文献によればこの配列内のCGジヌクレオチドに起因する免疫賦活効果の指標となる代表的サイトカインである、インターフェロン(具体的にはIFN−アルファおよびIFN−ガンマ)の産生により確認された。
【0145】
実施例12.ステロイドと配列番号1の処置による、健常なヒトPBMCからのIL−10誘導の潜在的相乗作用
本アッセイのために、ここでも、健常なヒトドナー由来の血液から得た、1ウェルあたり500,000個のPBMC細胞を、様々な濃度のデキサメタゾンの存在下で12時間インキュベートし、その後に細胞を洗浄し新鮮な培地を加えた。次いで細胞を、25μMまたは100μMのいずれかの配列番号1の存在下でさらに24時間インキュベートし、その後に市販のIL−10 ELISAキットを用いてIL−10のレベルを測定した。
図14に示されるように、この結果は、12時間のデキサメタゾン刺激を与え、さらに24時間培地のみの下でインキュベートした細胞からはIL−10産生がほとんど見られなかったことを示す(バー2〜5参照)。デキサメタゾンとの事前インキュベーション後に25μMの配列番号1を与えた細胞もまた、IL−10の産生をほとんど示さなかった(バー6〜9参照)。しかし、100μMまで配列番号1の濃度を増やすと、産生されるIL−10の量に劇的な増加が見られ(バー10および11参照)、これは、デキサメタゾンとの事前インキュベーションが10-10M(100pM)の濃度であった条件において最も明確であった。バー14および15は、事前のステロイドとのインキュベーションの不在の下で配列番号1により生じたIL−10のレベルを表す。
驚くべきことに、デキサメタゾンによる事前処置およびその後の配列番号1とのインキュベーションという組み合わせは、いずれか一方の処置単独よりも高いレベルを生じ、ステロイドと活性なCGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドとの間に潜在的な相乗作用が存在することが示唆された。ステロイドの抗炎症効果は、部分的に、それらのIL−10を誘導する能力に起因する。
この観察は、ヒトの障害を処置する際に必要とされるステロイドの有効用量を減らし、望ましくない効果の危険をさらに減らせる可能性に関する示唆を含む。さらに、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、ステロイド療法に対して患者の応答を再増強するのに使用され得る。
【0146】
実施例13.ステロイド抵抗性喘息患者または健常なドナー由来のヒトPBMCにおける配列番号1の免疫賦活効果
細胞調製物
健常なボランティアまたはステロイド抵抗性喘息患者から血液サンプルを得た。Ficoll Paque Plus(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)を用いた密度勾配遠心分離によってPBMCを単離し、緩衝生理食塩水溶液(PBS)中で三回洗浄し、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FCS)(Life Technologies)、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン(Life Technologies)、2mM L−グルタミン(Sigma)、ゲンタマイシン(Sigma)、および5mM Hepes(Gibco,Life Technologies)を含有するRPMI 1640(Sigma)に再懸濁した。0.4%トリパンブルー溶液(Sigma Aldrich)を用いて細胞を計数した。
【0147】
インビトロ刺激
上記の通り調製したPBMCを、96ウェル平底細胞培養プレートのRPMIcに500,000細胞/ウェルとなるよう接種した後直ちに、Dex(10-6、10-8、および10-10M)の存在下または非存在下、配列番号1(25μMおよび100μM)で刺激した。コントロールODNとして、1μMのIDX0910を使用した。処置後、細胞を、5%二酸化炭素および37℃の加湿インキュベーター内で48時間インキュベートした。上清を回収し、サイトカインレベルの測定まで−20℃で保存した。
【0148】
サイトメトリービーズアレイ−CBA
上清を分析まで−20℃で維持した。IFN−、IL−6、IL−10、IL−2、IL−4、およびTNF−アルファを、Becton Dickenson(BD)製のサイトメトリービーズアレイ(CBA)を製造元のプロトコルに従い用いて測定した。検出下限は、各サイトカインにつき20pg/mlであった。本研究の全てのCBA分析にFACSCaliburを使用した。
【0149】
実施例13の結果
PBMCを、培地(基線)または25μM(斜線のバー)もしくは100μM(ドット柄のバー)のCpG含有配列番号1と共に48時間インキュベートした後、上清中のIL−6を検出した。ヒストグラムの各バーは、9名の健常なドナーおよび9名のステロイド抵抗性喘息患者からのIL−6産生の平均量を表す。実験は、各血液ドナーにつき三連で行った。IL−6のバックグラウンドレベル(培地)を、各サンプルグループから差し引いた。
図15(a〜c)から、健常な個体およびステロイド抵抗性喘息患者由来のPBMCからのIL−6、IL−10、およびインターフェロン−ガンマの産生に関する反応における違いが明確である。誘導されたIL−6、IL−10、およびインターフェロン−ガンマのレベル(pg/ml)は、健常なPBMCにおいて見られるレベルと比較した場合に、ステロイド抵抗性PBMCにおいて有意に低かった。これらの結果は、配列番号1により示されるような免疫調節性オリゴヌクレオチドの効果に対するステロイド抵抗性PBMCの反応の低下をはっきりと示す。
【0150】
実施例14.ステロイド抵抗性/依存性患者におけるヒトパイロット概念実証研究
以下の目的で、ステロイド不応性/依存性IBD患者において小規模なパイロット研究を行った。
主目的:潰瘍性大腸炎およびクローン病患者における、配列番号1に示されるDNAベースのオリゴヌクレオチドの使用に関する安全性の問題を評価すること。
二次的な目的:内視鏡的および臨床的寛解/改善率、組織学的改善、ならびに臨床研究パラメータの変化により決定される臨床的効果を調査すること。
本研究は、プラセボ対照;二重盲検一回量研究であり、ステロイド療法を同時に受けているコルチコステロイドに非応答性またはコルチコステロイド依存性の患者を対象とした。
使用した用量レベルは3mgおよび30mgであり、これを一回の直腸投与として与えた。
1週間目の臨床応答
i)配列番号1 5/7(71%)応答者
ii)プラセボ 1/4(25%)応答者
全体的に、本パイロット研究は、一回の直腸投与後に両方の投与グループにおいて良好な効果を示した。驚くべきは、研究用薬物を与えてから一週間以内という全ての応答患者における反応の迅速さであった。興味深いのは、配列番号1を与えた7名の患者のうちの2名は現在も寛解しステロイドを使用していないということが分かったことであった。さらに、重度の有害現象は記録されなかった。
【0151】
実施例15.フェーズII臨床研究
150名の患者の大規模研究を、ステロイド療法を同時に受けておらずステロイド不応性/依存性が認められていない潰瘍性大腸炎患者において行った。
主目的:4つの用量レベル(0.3mg、3mg、30mg、および100mg)のオリゴヌクレオチド配列番号1の各々の、軽度〜中程度の活動的な潰瘍性大腸炎(UC)を有する患者における臨床的寛解を誘導する抗炎症療法としての能力を、プラセボと比較して評価すること。
二次的な目的:プラセボと比較して、配列番号1のオリゴヌクレオチドの単回直腸投与の耐容性を評価すること、ならびに4つの用量レベルにおける配列番号1のオリゴヌクレオチドの効能および安全性をさらに評価すること、ならびに直腸投与後の配列番号1のオリゴヌクレオチドの薬物動態を評価すること。
【0152】
研究結果
【表1】

この評価から分かるように、活性な薬物を与えた患者の応答率は22%(26/119)であり、プラセボでは38%(11/29)であった。本研究では、限定された数の患者における、0.3〜100mgの用量の配列番号1のオリゴヌクレオチドの単回投与が、12週にわたり、臨床的、内視鏡的、または組織病理学的な寛解または応答を誘導できることを確認できなかったが、本研究はこの薬物の良好な安全性プロフィールを実証した。
【0153】
比較すると、1週間目の臨床応答率は以下の通りであることが見出された:
【表2】

【0154】
総括
配列番号1とのインキュベーション後に、ステロイド抵抗性喘息患者由来のPBMCにおける反応が、健常なコントロールと比較して異なることがインビトロ研究から明らかである。健常被検体由来のPBMCは、配列番号1と共にインキュベートした場合、ステロイド抵抗性PBMCにおいて見られるよりも有意に多いIL−16、IL−10、およびインターフェロン−ガンマを産生する。
【0155】
同時に治療を受けておりコルチコステロイドに対して抵抗性または依存性のパイロット研究の患者が、フェーズIIにおいて見られる患者よりもずっと良好な応答率を有していたことも明確である。フェーズIIにおいて、患者は、研究期間中、ステロイド治療を受けておらず、ステロイド療法に対して抵抗性も依存性もなかった。
【0156】
パイロット研究と大規模フェーズII研究の間の異なる臨床結果は、コルチコステロイドに抵抗性または依存性であり同時にコルチコステロイド療法を受けている患者が、そうでない患者よりも配列番号1の単回直腸投与に対してずっと好ましい応答をすることを示唆しているのであろう。しかし、配列番号1により例証され上記実施例において概説されたCpG含有オリゴヌクレオチドの免疫調節作用は、免疫系において有益な変化を誘導し、ステロイドの抗炎症効果に対する再増強または増強作用をもたらす可能性がある。さらに、配列番号1およびその他の免疫調節性オリゴヌクレオチドの例は、多くのヒトステロイド抵抗性/依存性疾患における効能が実証されている特定のサイトカインの同時産生を誘導することが実証された。従って、ステロイド抵抗性/依存性患者に配列番号1を投与することによって、その患者においてインターフェロンおよびIL−10の内因的な産生が誘導され、それによってステロイド処置の効能が向上し、炎症性疾患の劇的な改善をもたらす可能性がある。
【0157】
本発明は、本発明者らが現時点で認識している最良の形態を構成するその好ましい実施態様に関して記載されているが、添付の特許請求の範囲に示される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に自明な様々な変更および修正がなされ得ることが理解されるはずである。
【0158】
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【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞数×10E5で測定した、マウスにおいてLPSで誘導した気道の炎症に対する配列番号3の用量反応を示す棒グラフである。
【図2】反応を%好中球で測定した、上記の棒グラフである。
【図3】BALF細胞数で測定した、LPSで誘導したマウス喘息モデルにおける配列番号3およびデキサメタゾンで処置した後の炎症反応の阻害を表す棒グラフである。
【図4】配列番号3およびデキサメタゾンで処置した後の、BALFにおける白血球の流入阻害を示すチャートである。
【図5】配列番号3およびデキサメタゾンで処置した後の、BALFにおける好中球の流入阻害を示す。
【図6】BALF細胞数により測定した、LPSで誘導したマウス喘息モデルにおける配列番号3、配列番号4、配列番号7、およびデキサメタゾンで処置した後の炎症反応の阻害を表す棒グラフである。
【図7】BALF細胞数により測定した、配列番号3、配列番号4、配列番号7、およびデキサメタゾンで処置した後のBALFにおける白血球の流入阻害を示すチャートである。
【図8】BALF細胞数により測定した、配列番号3、配列番号4、および配列番号7、ならびにデキサメタゾンで処置した後のBALFにおける好中球の流入阻害を示す。
【図9】漸増量の配列番号3、配列番号4、および配列番号7で処置した後の、マウス脾細胞からのIL−10の誘導を示す棒グラフである。
【図10】漸増量の配列番号3、配列番号4、および配列番号7で処置した後の、マウス脾細胞からのIFN−ガンマの誘導を示す。
【図11】漸増量の配列番号1、配列番号2、配列番号6、および配列番号8と共に48時間インキュベートした後の、ヒト末梢血単核球(PBMC)からのIL−10の誘導の平均レベルを示す。
【図12】漸増量の配列番号1、配列番号2、および配列番号8と共に48時間インキュベートした後の、ヒトPBMCからのIFN−ガンマの誘導の平均レベルを示す。
【図13】漸増量の配列番号1、配列番号2、および配列番号8と共に48時間インキュベートした後の、ヒトPBMCからのIFN−アルファの誘導の平均レベルを示す。
【図14】デキサメタゾンとの事前インキュベートを行った場合または行っていない場合の、配列番号1との24時間のインキュベートによるヒトPBMCからのIL−10の濃度を示す。
【図15】健常人およびステロイド抵抗性喘息患者由来のPBMCにおける、配列番号1による刺激によるa)IL−6、b)IL−10、およびc)インターフェロン−ガンマの産生(pg/ml)の平均量を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列5'−Xm−CG−Yn−3'
(XはA、T、C、またはGであり、YはA、T、C、またはGであり、m=1〜40であり、n=1〜40であり、少なくとも一つのCGジヌクレオチドが非メチル化型である)
を有する有効量のオリゴヌクレオチドを患者に投与することからなる、炎症性疾患に罹患した患者の抗炎症療法に対する臨床応答を増進する方法。
【請求項2】
mが1〜30であり、nが1〜30である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
mが1〜20であり、nが1〜20である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
mが1〜12であり、nが1〜12である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
mが1〜10であり、nが1〜10である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
mが1〜8であり、nが1〜8である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
mが1〜6であり、nが1〜6である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
mが1〜4であり、nが1〜4である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
mが1〜2であり、nが1〜2である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
患者がステロイド抵抗性であり、同時にステロイド処置を受けている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
患者がステロイド依存性であり、同時にステロイド処置を受けている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
患者が同時に抗炎症処置を受けている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
炎症性疾患が気道の炎症性疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
炎症性疾患が、アジソン病、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー、および喘息から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
炎症性疾患が喘息である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも一つのヌクレオチドが、リン酸骨格の修飾を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
リン酸骨格の修飾がホスホロチオエート修飾またはホスホロジチオエート修飾である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
核酸骨格が、5’ヌクレオチド間結合上のリン酸骨格の修飾を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
核酸骨格が、3’ヌクレオチド間結合上のリン酸骨格の修飾を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
修飾が、全長オリゴヌクレオチドの任意の位置にある一つまたはそれ以上のヌクレオチドに存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
オリゴヌクレオチドが、DNA、または、以下:メチルホスホネート、N3'→P5'−ホスホルアミデート、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、ロック型核酸(LNA)、アラビノシル核酸(ANA)、フルオロ−アラビノシル核酸(FANA)、メトキシ−エチル核酸(MOE)を含むがこれらに限定されないDNAのアナログもしくは模倣物から構成されるオリゴヌクレオチドである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
オリゴヌクレオチドが、少なくとも一つの修飾型糖部分を有する核酸塩基を含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
修飾型糖部分が2’−O−メトキシエチル糖部分である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
オリゴヌクレオチドが少なくとも一つのさらなる核酸部分を含む分枝型オリゴヌクレオチドであり、少なくとも一つの核酸部分が配列5’−CG−3'を含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
オリゴヌクレオチドがステロイドと組み合わせて投与される、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
炎症性疾患に罹患した患者の処置におけるステロイドの効能を増進するための医薬の製造のための、
配列5'−Xm−CG−Yn−3'
(XはA、T、C、またはGであり、YはA、T、C、またはGであり、m=1〜100であり、n=1〜100であり、少なくとも一つのCGジヌクレオチドが非メチル化型である)
を有するオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項29】
mが1〜40であり、nが1〜40である、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
mが1〜30であり、nが1〜30である、請求項28に記載の使用。
【請求項31】
mが1〜20であり、nが1〜20である、請求項28に記載の使用。
【請求項32】
mが1〜12であり、nが1〜12である、請求項28に記載の使用。
【請求項33】
mが1〜10であり、nが1〜10である、請求項28に記載の使用。
【請求項34】
mが1〜8であり、nが1〜8である、請求項28に記載の使用。
【請求項35】
mが1〜6であり、nが1〜6である、請求項28に記載の使用。
【請求項36】
mが1〜4であり、nが1〜4である、請求項28に記載の使用。
【請求項37】
mが1〜2であり、nが1〜2である、請求項28に記載の使用。
【請求項38】
患者がステロイド抵抗性であり、同時にステロイド処置を受けている、請求項28に記載の使用。
【請求項39】
患者がステロイド依存性であり、同時にステロイド処置を受けている、請求項28に記載の使用。
【請求項40】
患者が同時に抗炎症処置を受けている、請求項28〜39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
炎症性疾患が気道の炎症性疾患である、請求項28に記載の使用。
【請求項42】
炎症性疾患が、アジソン病、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー、および喘息から選択される、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
炎症性疾患が喘息である、請求項41に記載の使用。
【請求項44】
少なくとも一つのヌクレオチドがリン酸骨格の修飾を含む、請求項28に記載の使用。
【請求項45】
リン酸骨格の修飾がホスホロチオエート修飾またはホスホロジチオエート修飾である、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
核酸骨格が、5’ヌクレオチド間結合上のリン酸骨格の修飾を含む、請求項44に記載の使用。
【請求項47】
核酸骨格が、3’ヌクレオチド間結合上のリン酸骨格の修飾を含む、請求項44に記載の使用。
【請求項48】
修飾が、全長オリゴヌクレオチドの任意の位置にある一つまたはそれ以上のヌクレオチドに存在する、請求項44に記載の使用。
【請求項49】
オリゴヌクレオチドが、DNA、または、以下:メチルホスホネート、N3'→P5'−ホスホルアミデート、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、ロック型核酸(LNA)、アラビノシル核酸(ANA)、フルオロ−アラビノシル核酸(FANA)、メトキシ−エチル核酸(MOE)を含むがこれらに限定されないDNAのアナログもしくは模倣物から構成されるオリゴヌクレオチドである、請求項28〜48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
オリゴヌクレオチドが、少なくとも一つの修飾型糖部分を有する核酸塩基を含む、請求項28〜49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
修飾型糖部分が2’−O−メトキシエチル糖部分である、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
オリゴヌクレオチドが少なくとも一つのさらなる核酸部分を含む分枝型オリゴヌクレオチドであり、少なくとも一つの核酸部分が5’−CG−3'の配列を含む、請求項28〜49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
オリゴヌクレオチドがステロイドと組み合わせて投与される、請求項27〜52のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−513629(P2009−513629A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537648(P2008−537648)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050433
【国際公開番号】WO2007/050034
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(508003011)インデックス・ファーマシューティカルズ・アクチエボラーグ (12)
【Fターム(参考)】