説明

炎症性疾患を予防または治療するための方法および組成物

本発明は、1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む炎症性疾患を予防または治療するための組成物、並びにそのような組成物を炎症性疾患にかかりやすいまたはかかっている動物に投与することを含む炎症性疾患を予防または治療する方法を提供する。好ましい態様では、組成物は1種以上の食物成分と混合して、炎症性疾患の予防または治療に有用な食物組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2005年6月29日付けの米国仮出願第60/695,151号に関して優先権を主張する。その記載は参照することによってここに記載されたものとする。
発明の背景
発明の属する分野
本発明は一般に、炎症性疾患にうち勝つための組成物および方法、特に、炎症性疾患を予防または治療するための食物組成物の使用に関する。
【0002】
従来技術の説明
多不飽和脂肪酸(PUFA)は、関節炎のような炎症関連疾患の治療に有益であると報告されている化合物である。ω−3脂肪酸は、2つ以上の二重結合を含むPUFAの1つの種類である。脂肪酸のメチル末端から数えて最初の二重結合が第3炭素原子に位置しているので、それらはω−3脂肪酸と呼ばれる。
【0003】
ω−3脂肪酸は、健康に必須であるが、体で製造することができないので、必須脂肪酸と考えられている。従って、ω−3脂肪酸は食物または補助食品から得なければならない。ω−3脂肪酸は魚および特定の植物油中に存在する。食物中には主要な種類のω−3脂肪酸、すなわち、α−リノール酸(ALA;18:3n−3)、エイコサペンタエン酸(EPA;20:5n−3)、およびドコサヘキサエン酸(DHA;22:6n−3)がある。ALAは、健康に必要であるが、哺乳動物が合成することができないので、必須脂肪酸と考えられている。しかしながら、哺乳動物はEPAおよびDHAを含む他のω−3脂肪酸をALAから合成することができる。
【0004】
ω−3脂肪酸は、炎症を緩和したり、炎症関連疾患を治療するような広範囲の栄養的および健康的有益性を有することが知られている。ω−3脂肪酸は関節炎、能機能、視力、並びに正常な成長および発育に重要であると考えられている。ω−3脂肪酸はまた、抗炎症性化合物として働くと報告されている。それらはアラキドン酸の前炎症性エイコサノイドへの変換を拮抗阻害すると考えられている。ω−3脂肪酸はまた、哺乳動物における炎症を調節するプロスタグランジンの合成の先駆体でもある。
【0005】
リウマチおよび関節炎は、炎症および痛みを特徴とする急性および慢性症状に対する一般的な用語である。リウマチは、筋肉および関節における炎症および痛みを特徴とする症状の一般的な種類であり、関節炎を含む。関節炎は、腫れおよび痛みを引き起こす関節の炎症を特徴とする。関節炎の種類には、変形性関節炎、慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎(AS)、および全身性エリトマトーデス(SLE)が含まれる。リウマチの状態には、感染性関節炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱による関節炎、外傷または変形性関節症による関節炎、神経性関節症、滑液包炎、線維筋炎、および水関節症(hydroarthrosisi)が含まれる。そのような病気の原因は必ずしも完全にわかっていないが、他の変性症、外傷、またはSLEのような自己免疫疾患の結果かもしれない。炎症は、免疫反応が生じる外から侵入してきた病原物質および機械的外傷、例えばバクテリアおよびウイルスのような微生物病原物質、毒素、および新形成による宿主侵略に対する防御反応としても生じる。
【0006】
いずれも炎症性疾患の例であるこれらの病気および状態に共通することは、炎症および結果として生じる痛みである。炎症性疾患を予防および治療する従来の方法は、一般に鎮痛および抗炎症薬に集中していた。一般的な方法はステロイド系コルチゾン誘導体および多数の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のような経口薬剤に集中していた。都合の悪いことには、これらの薬剤はほとんど常に望ましくない副作用を示す。他の努力は膝または股関節インプラントのような関節インプラントに集中していた。これらの方法は、厳しくかつ費用のかかる身体的治療を必要とする高価な手術およびかなりの回復期間を患者に余儀なくさせる長くかつ複雑な外科的方法である。従って、従来の炎症性疾患の予防および治療法に特有な望ましくない副作用および費用のかかる手術を避ける新しい炎症性疾患の予防および治療法が望まれている。
発明の概要
従って、本発明の目的は、炎症性疾患を予防および治療する組成物および方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、炎症性疾患を予防および治療するための食物組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、炎症性疾患の予防および治療に有用な組成物およびデバイスの組み合わせを含むキットの形の製品を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、炎症性疾患に起因する罹患率および死亡率を減じることである。
これらのおよび他の目的は、炎症性疾患を予防および治療するための新規な組成物および方法を用いることで達成される。組成物は、1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを、炎症性疾患を予防および治療するのに十分な量、般に少なくとも30mg/kg/日のω−3脂肪酸、少なくとも1mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および少なくとも0.005mg/kg/日のマンガンで含む。1種以上の食物成分および組成物を含む食物組成物が好ましい。方法は、そのような組成物を炎症性疾患にかかりやすいまたはかかっている患者に投与することを含む。組成物成分(ω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸、およびマンガン)および1種以上の食物成分および抗炎症薬を含むキットを提供する。
【0009】
本発明のさらに別の目的、特徴および利点は、本技術分野における当業者にとって明らかであろう。
発明の詳細な説明
定義
「患者」とは、炎症性疾患にかかることが予想される人または他の動物、例えばトリ、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、ネズミ、ヒツジ、およびブタを意味する。患者はイヌまたはネコであるのが好ましい。
【0010】
「抗炎症薬」とは、炎症性疾患の予防および治療の有用などのような化合物、組成物、または薬剤も意味する。
「共に」とは、本発明の1種以上の組成物および化合物(例えば、抗炎症薬または組成物成分)が患者へ(1)食物組成物中で一緒にまたは(2)ほぼ同じ時間または周期で同じまたは異なる投与ルートを用いて同じまたは異なる頻度で別々に投与されることを意味する。「周期で」とは、組成物、食物組成物および化合物が特定の組成物、食物組成物および化合物に許容される投与スケジュールで投与されること、そして食物組成物が個々の患者に応じて定期的に投与または供給されることを意味する。「ほぼ同じ時間」とは、組成物、組成物成分、抗炎症薬、および食物組成物が同時にまたは互いに約72時間以内に投与されることを意味する。特に、抗炎症薬が所定期間投与され、組成物が不確定的に投与される投与スケジュールも含まれる。
【0011】
「単一パッケージ」とは、キットの構成成分が1つ以上の容器中でまたは容器と共に物理的に一緒になっており、製造、流通、販売、または使用の場合の単位と考えられることを意味する。容器には、限定されないが、バッグ、箱、ボトル、収縮包装パッケージ、ステープル留めされたまたは他の方法で固定された部品、あるいはそれらの組み合わせが含まれる。
【0012】
「実質的なパッケージ」とは、例えば1つのキットの構成成分を含むバッグ中の、他の構成成分を得る方法を使用者に指示する1つ以上の物理的または実質的なキット構成成分についての手引き、および使用者がウェブサイトにたどり着いたり、記録されたメッセージに接触したり、視覚によるメッセージを見たり、または介護者もしくは指導者に接触したりしてキットの使用法に関する指示を得る手引きによって、キットの構成成分が一緒になることを意味する。
【0013】
この発明は、ここに記載の特定の方法論、手順、および試薬に限定されず、それらは変更しうる。さらに、ここで用いられる専門用語は特定の態様を説明するのに用いるにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。特に明示されていなければ、明細書および請求の範囲で用いられる用語には複数の意味が含まれる。例えば、「方法」または「食物組成物」には、複数のそのような方法または組成物が含まれる。同様に、「含む」および「含まれる」は排他的ではなく、包括的な意味に解釈すべきである。
【0014】
特に断りがなければ、ここで用いられる全ての技術的および科学的用語および頭字語は、本技術分野における当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を有する。ここに記載のものと同じまたは同等のどのような方法および材料も本発明の実施の際に用いることができるが、好ましい方法、デバイスおよび材料をここに記載する。
【0015】
ここに記載の全ての特許、特許出願および公報は参照することによって、本発明で用いうるここに記載の化合物、プロセス、手法、手順、技術、物品、および他の組成物および方法を説明するために法で許される範囲までここに記載されたものとする。しかしながら、本発明に先の発明に先行する権利は与えられないと認めるものはなにもここに開示されてないと解釈すべきである。
本発明
1つの側面では、本発明は、炎症性疾患を予防および治療するための組成物を提供する。組成物は、炎症性疾患を予防および治療するのに十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む。本発明は、炎症反応が組成物を患者へ投与することによって変えられること、および組成物で炎症反応を変えることが炎症性疾患の予防または治療を可能にすることを新たに発見したことに基づく。理論に結び付けるものではないが、組成物は、患者における前駆炎症仲介物の量を減じるので、炎症性疾患の予防および治療に効果的であると考えられる。
【0016】
一般に、組成物は少なくとも30mg/kg/日のω−3脂肪酸、少なくとも1mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および少なくとも0.005mg/kg/日のマンガンを患者に投与するのに十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む。好ましくは、組成物は、約30〜約3000mg/kg/日のω−3脂肪酸、約1〜約200mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および約0.005〜約10mg/kg/日のマンガンを含む。最も好ましくは、組成物は、約100〜約1500mg/kg/日のω−3脂肪酸、約10〜約100mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および約0.05〜約5mg/kg/日のマンガンを含む。組成物はω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを、患者の健康に有害ではない量、例えば、望ましくない毒性作用を患者に引き起こさない量で含む。
【0017】
どのようなω−3脂肪酸も本発明で用いることができる。ω−3脂肪酸はALA、DHAおよびEPAが好ましく、EPAが最も好ましい。ω−3脂肪酸は本技術分野における当業者に公知のどのような一般的な源からも得ることができる。ω−3脂肪酸は魚(例えば、サーモンおよびマグロ)、魚油、亜麻仁油、キャノーラ油、およびクルミのような食物に見られる。ω−3脂肪酸はいくつかの製造業者から精製された形で得ることができる。
【0018】
どのような硫黄含有アミノ酸も本発明で用いることができる。好ましくは、硫黄含有アミノ酸は、メチオニン、シスチンおよびタウリンである。最も好ましくは、硫黄含有アミノ酸はメチオニンである。メチオニン(2−アミノ−4−メチルチオ酪酸)は抗酸化薬として作用し、脂肪を分解し、体から重金属を除去する役割を果たす。メチオニンは肉、魚、豆、卵、ニンニク、ヒラマメ、タマネギ、ヨーグルトおよび種子にかなりな量で含まれる。硫黄含有アミノ酸は本技術分野における当業者にとって入手可能な一般的なアミノ酸である。
【0019】
マンガンは本技術分野における当業者にとって入手可能な必須微量ミネラルである。マンガンは、脂肪酸およびコレステロールの合成、ムコ多糖類合成(骨、コラーゲン、および結合組織)、および糖たんぱく質の合成を含む多くの酵素プロセスにおける触媒およびコファクターとして働く。マンガンは茶、無精白穀物、ナッツおよびアボガドに含まれ、そして果物および野菜にいくらか含まれる。
【0020】
本発明の組成物、方法およびキットは、リウマチおよび関節炎を含む炎症性疾患の予防または治療に有用である。本発明は関節炎の予防または治療に特に有用である。
別の側面では、本発明は、炎症性疾患を予防および治療するための食物組成物を提供する。食物組成物は、炎症性疾患の予防または治療するのに十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む。一般に、食物組成物は、1種以上の食物成分、並びに患者へ少なくとも30mg/kg/日のω−3脂肪酸、少なくとも1mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および少なくとも0.005mg/kg/日のマンガンを投与するのに十分な量のω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸およびマンガンを含む。好ましくは、組成物は、1種以上の食物成分、並びに約30〜約3000mg/kg/日のω−3脂肪酸、約1〜約200mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および約0.005〜約10mg/kg/日のマンガンを含む。最も好ましくは、組成物は、1種以上の食物成分、並びに約100〜約1500mg/kg/日のω−3脂肪酸、約10〜約100mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および約0.05〜約5mg/kg/日のマンガンを含む。
【0021】
本発明に有用な食物成分には、患者が摂取するのに適したどのような食物成分も含まれる。一般的な食物成分は、限定されないが、例えば、脂肪、炭水化物、たんぱく質、繊維、並びにビタミン、ミネラルおよび微量元素のような栄養素である。熟練した技術者は、患者の食物必要量に基づき、例えば患者の種類、年令、大きさ、体重、健康および働きに基づき、一般的な食物について食物成分の量および種類を選択することができる。
【0022】
食物組成物の食物成分は特定食物成分を100%含んでいてもよく、あるいは様々な割合の食物成分の混合物でもよい。好ましい態様では、食物成分は、脂肪約0〜約50%、炭水化物約0〜約75%、たんぱく質約0〜約95%、食物繊維約0〜約40%、および1種以上の栄養素約0〜約15%の量で組み合わせた食物成分を含む。
【0023】
脂肪および炭水化物食物成分は、動物脂肪、魚油、植物油、肉、肉の副産物、他の動物または植物源のような様々な源から得られる。穀物には、小麦、トウモロコシ、大麦、モロコシ、および米が含まれる。
【0024】
たんぱく質食物成分は、植物、動物または両者のような様々な源から得られる。動物たんぱく質には、肉、肉の副産物、乳製品、および卵が含まれる。肉には、家禽の肉、魚、および動物、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等が含まれる。肉の副産物には、肺、腎臓、脳、肝臓、胃、および腸が含まれる。たんぱく質食物成分は遊離アミノ酸および/またはペプチドでもよい。たんぱく質食物成分は肉、肉の副産物、乳製品、または卵であるのが好ましい。
【0025】
繊維食物成分は、植物繊維源、例えばセルロース、ビートパルプ、ビーナッツの外皮、および大豆繊維のような様々な源から得られる。
栄養素は、熟練した技術者に公知の様々な源、例えばビタミンおよびミネラルサプリメント並びに食物成分から得られる。ビタミンおよびミネラルは不足するのを避けかつ健康を維持するのに必要な量で含めることができる。これらの量については本技術分野で容易に入手しうる。ナショナル・リサーチ・カウンシル(NRC)は飼育動物に対するそのような栄養素の推奨量を提示している。例えば、Nutrient Requirements of Swine(第10改訂版、ナショナル・アカデミー・プレス、ワシントンD.C.,1998)、Nutrient Requirements of Poultry(第9改訂版、ナショナル・アカデミー・プレス、ワシントンD.C.,1994)、Nutrient Requirements of Horses(第5改訂版、ナショナル・アカデミー・プレス、ワシントンD.C.,1989)を参照。米国供給管理局(AAFCO)はイヌおよびネコに対するそのような栄養素の推奨量を提示している。米国供給管理局、公報、pp.129−137(2004)参照。食品添加物として一般に有用なビタミンには、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビオチン、ビタミンK、葉酸、イノシトール、ナイアシン、およびパントテン酸が含まれる。食品添加物として一般に有用なミネラルおよび微量元素には、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マンガン、銅、亜鉛、塩化物、鉄、セレン、ヨウ素、および鉄が含まれる。
【0026】
組成物および食物組成物は、本技術分野における当業者に公知のビタミン、ミネラル、充填剤、口に合うようにする薬剤、結合剤、風味剤、安定剤、乳化剤、甘味料、着色剤、緩衝剤、塩、コーティング等の追加成分を含有してもよい。安定剤には、防腐剤、協力剤および金属イオン封鎖剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、および保湿剤のような組成物の貯蔵寿命を延す傾向のある物質が含まれる。乳化剤および/または増粘剤の例は、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、および化工デンプンである。各組成物成分、食物成分、および他の成分の具体的な量は、様々なファクター、例えば、組成物に含まれる個々の成分;患者の種類;患者の年令、体重、全般的な健康、性別、および食事;患者の摂取量;治療すべき炎症性疾患の種類等による。従って、成分量は広範囲に変化し、ここに記載の好ましい割合からはずれるかもしらない。
【0027】
食物組成物は本技術分野における当業者に公知の一般的な食品製造法を用いて缶詰にしても、あるいは湿った状態にしてもよい。一般に、粉砕された動物たんぱく性組織は他の成分、例えば魚油、穀粒、釣合いをとる成分、特定の目的の添加剤(例えば、ビタミンおよびミネラル混合物、無機塩、セルロースおよびビートパルプ、増量剤等)、および加工に十分な量の水と混合する。これらの成分は、成分をブレンドしながら加熱するのに適した容器中で混合する。混合物の加熱は、直接蒸気噴射のような適した方法を用いて、あるいは熱交換器を備えた容器を使用して行う。最後の成分を添加した後、混合物を約50〜約212°Fの温度に加熱する。この範囲外の温度は許容されるが、他の処理の助けなしでは商業的に実用的ではない。適切な温度に加熱したとき、材料は一般に濃厚な液の状態である。この濃厚液を缶に詰める。蓋をし、容器を密閉する。密封した缶は次に、容器を滅菌するように設計された一般的な装置に置く。滅菌は、使用温度、組成物、および類似のファクターに基づく適切な時間、約230°Fより上の温度に加熱することによって通常行われる。本発明の組成物は製造前、製造中、または製造後に食物組成物へ加えることができる。
【0028】
食物組成物は、本技術分野における当業者に公知の一般的な方法を用いて、乾燥状態で製造してもよい。一般に、動物たんぱく質、植物たんぱく質、穀粒等のような乾燥成分は粉砕し、共に混合する。脂肪、油、動物たんぱく質、水等を含む湿ったまたは液体成分を乾燥混合物へ加え、混合する。次に、混合物を乾燥食物片に処理する。
【0029】
食物組成物は、組成物を患者へ与えるのに有用などのような形でもよく、例えば、動物フード用のキブル(kibble)、トリート(ご馳走)およびおもちゃの形でもよい。キブルは、乾燥したおよび湿った成分の混合物を高圧、高温で機械的処理をし、小さい開口部に強制的に通し、回転ナイフでキブルにカットする押出し法を用いて一般に形成される。次に、湿ったキブルを乾燥し、そして任意に風味剤、脂肪、油、粉末等のような1種以上の局所コーティングで被覆する。キブルはまた、押出し法ではなくベーキング法を用いてドウから製造することもできる。ここで、ドウは乾燥−加熱処理の前に型へ入れる。トリートには、食事時間以外に動物をさそい寄せるために動物に与える組成物、例えばドックボーンまたはイヌ用ビスケットが含まれる。トリートは、組成物が1種以上の栄養素を含む栄養補給的なものでも、あるいはフード様組成物を含むものでもよい。非栄養補給的トリートは毒性でない他のどのようなトリートも包含する。組成物または成分はトリートに被覆したり、トリートに混入させたり、あるいはこれらの両方である。本発明のトリートは、ドライフードに用いられるような押出しまたはベーキング法によって製造することができる。他の方法を用いて、組成物を現在のトリート形の外側に被覆したり、あるいは組成物を現在のトリート形の中に注入してもよい。おもちゃには、人工の骨のような噛み砕くことができるおもちゃおよび動物を引きつける自然の食物に似た形の食品組成物が含まれる。本発明の食物組成物はおもちゃを構成していてもよく、あるいはおもちゃ表面またはおもちゃ構成成分の表面の被覆物を形成していてもよい。組成物はおもちゃに部分的に混入させても、または全体に十分に混入させてもよい。1つの態様では、組成物は使用者が口で利用しやすいものである。適したおもちゃには、米国特許第5,339,771号および第5,419,283号に記載のような本技術分野における当業者が公知の広い範囲のおもちゃがある。本発明は、部分的に摂取しうるおもちゃ、例えばプラスチック構成成分を含むおもちゃ、および完全に摂取しうるおもちゃ、例えば様々な人工骨および類似フードを包含する。さらに、本発明は、人および人以外、特にペット、農場および動物園の動物、さらに具体的にはネコおよびイヌが用いるおもちゃを包含する。
【0030】
別の側面では、本発明は、1種以上の抗炎症薬をさらに含む本発明の組成物および食品組成物を提供する。本発明に有用な抗炎症薬は、炎症性疾患と戦うのに有用な本技術分野における当業者に公知の抗炎症薬である。有用な薬には、ケトプロフェンDC、メロキシカンDC、カルプロフェンDC、エトドラックD、デラコキシブD、テポキサリンD、トルフェナミック酸DC、ケトロラックDC、ピロキシカムD、アセトアミノフェンD、アスピリンDが含まれる。全体論的抗炎症薬および組成物も本発明に含まれる。好ましい全体論的抗炎症薬には、グルコサミン、コンドロイチン、スルフェート、グリーンリップデューセル(lippedussel)、メチルスルホニルメタン、および微量ミネラル、例えば亜鉛、マンガンおよび銅が含まれる。抗炎症薬には、一般的な小さい分子の薬剤、小さいたんぱく質、高分子たんぱく質および分子、並びに抗体が含まれ、そしてさらに炎症性疾患を予防するためのワクチンが含まれる。抗体には、多クローン性および単クローン性抗体並びに免疫グロブリンフラグメント、例えばFv、Fab、Fab´、F(ab´)2、あるいは抗原と相互作用し、本来の抗体と同じ生物学的作用をする他の抗原結合抗体配列が含まれる。抗炎症薬は、抗炎症薬に適切な方法を用いて、熟練した技術者に炎症性疾患の治療または予防に十分であると知られた量で患者へ投与される。
【0031】
さらなる側面では、本発明は炎症性疾患の治療または予防法を提供する。それらの方法は、炎症性疾患を予防または治療する量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む組成物を患者へ投与することを含む。それらの方法はまた、炎症性疾患を予防または治療する量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む組成物を、抗炎症薬と共に患者へ投与することを含む。これらの方法は組成物を、1種以上の食物成分を含む食物組成物と共に投与することをさらに含む。好ましい態様では、組成物および食物成分は、組成物および食物成分の混合物を含む食物組成物の形で投与される。好ましい態様では、患者はネコまたはイヌである。好ましいω−3脂肪酸は、ALA、DHAおよびEPAであり、EPAが最も好ましい。
【0032】
本方法は、組成物を患者へ様々な形で投与することによって達成される。例えば、1種以上の組成物成分および食物成分は別の容器中にあり、投与直前に混合される。1つの態様では、1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを1つの容器中で混合し、そして、例えば組成物を食物成分に入れて混ぜるか、あるいは組成物を食物成分上にまき散らすことによって、得られた組成物を投与直前に食物成分と混合する。あるいは、1種以上の組成物成分を食物成分と製造時に混合し、残りの組成物成分を投与直前にそのような食物成分と混合する。あるいは、組成物は、投与前に食物成分へ施す、好ましくはビタミンおよびミネラルを含有する、注ぎかけ配合物の成分である。あるいは、組成物を1種以上の食物成分と混合し、そのような混合物を投与前に他の食物成分と混合する。あるいは、組成物を製造プロセス中にまたは食物組成物の製造後に、食物成分へ被覆する。あるいは、組成物を経口投与し、そして食物組成物を患者へ与える。
【0033】
組成物は、適した方法を用いて、好ましくは組成物を患者へ与えることによって、患者へ投与される。組成物は、経口投与に適した形、例えば、錠剤、ピル、懸濁液、溶液(場合によっては飲料水と混合する)、エマルジョン、カプセル、粉末、シロップ、および美味な食料組成物(人用の砂糖菓子または動物用のトリートまたは風味をつけたトリート)を用いて経口投与される。好ましい態様では、組成物成分および食物成分は、患者が摂取する食物の形で投与するのに適した食物組成物の製造に用いられる製造プロセス中に混合する。
【0034】
別の方法は、本発明の組成物または食物組成物を1種以上の抗炎症薬と共に投与することを含む。一般に、健康に関わる専門家、例えば医者および獣医は患者の炎症性疾患を診断し、抗炎症薬(患者の炎症性疾患の予防または治療に有用な薬剤)を処方して病気を治療する。患者は、症状がなくなり、病気が治ったとみなされるまで抗炎症薬を投与される。一般に、抗炎症薬は病気が治ったとみなされた後は投与されない。抗炎症薬の投与は、炎症性疾患の再発した場合にのみ再開される。本発明では、組成物および抗炎症薬は治療の間に共に患者へ投与される。抗炎症薬投与の中止後、組成物は病気の再発予防のために患者へ投与される。別の態様では、組成物は、抗炎症薬の使用が停止された後にのみ投与されて、病気の再発を予防する。
【0035】
別の側面では、本発明は、炎症性疾患の予防および治療に適した食物組成物を製造する方法を提供する。これらの方法は、患者が摂取するのに適した1種以上の食物成分を、炎症性疾患の予防および治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合することを含む。1つの態様では、食物組成物は、1種以上の食物成分、並びに患者へ少なくとも30mg/kg/日のω−3脂肪酸、少なくとも1mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および少なくとも0.005mg/kg/日のマンガンを投与するのに十分な量の1種以上の食物成分、ω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む。
【0036】
別の側面では、本発明は、炎症性疾患を予防または治療する組成物を患者へ投与するのに適したキットであって、別個の容器に単一パッケージでまたは実質的なパッケージで、キット構成成分に応じて、(1)1種以上のω−3脂肪酸、(2)1種以上の硫黄含有アミノ酸、(3)マンガン、(4)1種以上の食物成分、(5)1種以上の抗炎症薬、(6)患者が摂取するのに適した1種以上の食物成分を、炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合して、炎症性疾患の予防または治療に適した食物組成物を製造することについての情報またはそのための指示を伝達する手段、(7)炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物の使用についての情報またはそのための指示を伝達する手段、および(8)炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物と、炎症性疾患の予防または治療のための抗炎症薬とを共に投与することについての情報またはそのための指示を伝達する手段の2つ以上を含むキットを提供する。
【0037】
本発明のキットはキット構成成分を様々な組み合わせおよび/または混合物の形で含む。例えば、1つのキットは、1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを別個の容器に含む。キット構成成分を1種以上の食物成分と混合して、成分を含有する食物組成物を製造する。別のキットは、1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、マンガン、および1種以上の食物成分を別個の容器に含む。一般に食物組成物を患者へ投与する直前に、キット構成成分を混合して、成分を含有する食物組成物を製造する。類似のキットは、2つの成分の混合物を単一容器に含み、他の成分を別の容器に含む。例えば、硫黄含有アミノ酸およびマンガンを単一容器に、脂肪酸を別の容器に、そして食物成分を別の容器に含む(あるいは脂肪酸および食物成分を一緒に別の容器に)。別のキットは、炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物を1つの容器に、そして抗炎症薬を別の容器に含む。別のキットは、炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物を1つの容器に、そして炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物の使用についての情報またはそのための指示を伝達する手段を別のまたは実質的な容器に含む。多数のそのような組み合わせは熟練した技術者によって組み立てることができる。
【0038】
キット構成成分は、キット構成成分の種類に応じて、一般に別のパッケージ、他のキット構成成分の1つを有するパッケージの中もしくは上、または実質的なパッケージの中にある。キットが実質的なパッケージからなるとき、キットは、他の物理的キット構成成分の1つ以上と組み合わせた実質的な環境における指示に限られる。
【0039】
キットは、少なくとも30mg/kg/日のω−3脂肪酸、少なくとも1mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および少なくとも0.005mg/kg/日のマンガンを患者へ供給するのに十分な量のω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む。
【0040】
別の側面では、本発明は、(1)炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物を用いること、(2)炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物および炎症性疾患を予防または治療するための抗炎症薬を共に投与すること、(3)患者が摂取するのに適した1種以上の食物成分を、炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合して、炎症性疾患の予防または治療に適した食物組成物を製造すること、および(4)炎症性疾患を予防または治療するための本発明のキットを使用することについての情報または指示を伝達する手段を提供する。伝達手段は、情報もしくは指示を含む文書、デジタル貯蔵媒体、光学貯蔵媒体、音声表示または視覚的表示を含む。伝達はそのような情報または指示を含む、表示ウェブサイトもしくはパンフレット、製品ラベル、パッケージ挿入物、広告、または視覚的表示であるのが好ましい。有用な情報には、限定されないが、(1)抗炎症薬を含むまたは含まない本発明の食物組成物を製造するおよび/または投与する方法および技術、(2)もしあるならば、本発明を他の薬剤と組み合わせて用いることにより生じる副作用についての詳細、および(3)本発明およびその使用についての質問があれば、使用患者への接触情報のうちの1つ以上が含まれる。有用な指示には、限定されないが、服用量、投与量、投与回数、および投与ルートが含まれる。情報手段は患者に本発明を用いる上での利益を知らせるのに、および本発明を患者に投与する推奨される方法を伝達するのに有用である。
【0041】
別の側面では、本発明は、前駆炎症仲介物質の放出を阻害または予防する方法を提供する。それらの方法は、患者に、前駆炎症仲介物質の放出を阻害または予防する量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む組成物を投与することを含む。前駆炎症仲介物質には、限定されないが、前駆炎症性サイトカイン、ケモキン、およびプロテアーゼが含まれる。
【0042】
ここで示されるパーセンテージはいずれも断りがなければ乾燥物質の重量に基づく。本発明の組成物に関する全ての重量および濃度は、全ての成分を混合した後の組成物の乾燥重量に基づく。ここに示される服用量は断りがなければ、1日当たり体重kg当たりのmg(mg/kg/日)である。
【0043】
本発明の組成物、方法、およびキットは炎症性疾患にかかりやすいまたはかかっている患者の罹患率および死亡率を減じるのに有用である。
実施例
本発明を好ましい態様の次の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例は特に断りがなければ本発明を説明するものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
イヌに関する調査
調査設計:この調査では、グループ当たり10匹(合計40匹)の健康な年老いたビーグル犬(10才以上)を用いた。身体試験および血液化学スクリーンによってイヌが健康であることを判定した。腎臓障害、癌、関節炎、甲状腺機能不全または他の病気であることが確認されたイヌは除外した。イヌはインスティチューショナル・アニマル・ケア・アンド・ユース・コミッティープロトコルに従って世話をした。調査設計は30日の前供給期間、その後6ヶ月の試験供給期間、合計7ヶ月適用した。
【0044】
30日の予供給期間の間、全てのイヌに対照配合フードを与えた。予備供給期間の最後の週に、血液および尿を各動物から採取した。二重エネルギーX線吸収測定(DXA)スキャンおよびテクスキャン(Tekscan)圧力マップ分析も行った。次に、イヌを年令、性別および体脂肪率によって分け、4つの異なる治療グループに割り当てた。各グループのイヌに新しい老犬用フードまたは3種の競合生成物の1つをランダムに与えるように割り当てた。
【0045】
7ヶ月の試験期間の間、バイオマーカー分析のために血液試料を1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月目に採取した。イヌは3ヶ月および6ヶ月目にDXAでスキャンして身体組織および骨密度の変化を得た。さらに、イヌを1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月目にテクスキャン圧力マップを横切らせてフードの関節健康への影響を測定した。調査期間中、体重は毎週記録し、フード摂取量は毎日記録した。さらに、イヌにはおもちゃ、定期的な毛の手入れ、および他のイヌおよび人々との社会化のための機会を毎日提供した。
【0046】
データは以下に示す調査スケジュールに従って得た。調査に用いたフードは以下の調査治療および表1に示す。データはここに示した分析法を用いて集めた。調査は以下の供給および/または治療投与方式を用いて行った。
【0047】
調査スケジュール
【0048】
【表1】

【0049】
表1
調査に用いた4種のフードの栄養分布分析
【0050】
【表2】

【0051】
分析法
テクスキャン圧力マッピング法:この方法は、イヌを自由にまたはひもでつなぎながら床に置いた薄いマットを横切って歩かせることを含む。薄いマットは薄膜の触知圧/力センサーを含み、このセンサーは動物の各ステップ毎の正確かつ確実な圧力および力を読み取る。マットはデータを捕らえるコンピューターに接続されており、ソフトウエアはマット上を歩くにつれて各足から出る力のリアル−タイム3Dおよび2Dカラーディスプレーを示す。情報を用いて各歩きによって出される力の変化を比較し、そして関節の健康および関節炎に関連させた。
【0052】
尿試料:微量たんぱく試験を調査中に集めた全ての尿試料について行った。
血液試料:調査中、全ての動物の健康を確保するために、0、30および90日目に集めた血液試料を、関節炎マーカー、抗酸化性状態マーカー、脂肪酸、アミノ酸および化学スクリーンについて分析した。
【0053】
供給および/または治療投与
フード61526
【0054】
【表3】

【0055】
フード62794
【0056】
【表4】

【0057】
標準8オンスカップ(351kcal/cup、1510kcal/lb、3.3kcal/g、106g/cup)に基づく
量は、活動状態が正常な平均的成犬に推奨される量である。必要フード摂取量は年令、活動状態および環境により変化し、それらに応じて調整すべきである。
【0058】
フード62814
【0059】
【表5】

【0060】
これらのガイドライン量は出発点であり、年令、活動状態および体温によりイヌはより多くのフードを必要とするかもしれない。最適な体の状態にするために、フード摂取量を調整する必要があるかもしれない。7才以上で100lb以下のイヌにはこの配合物を与える。
【0061】
フード62292
【0062】
【表6】

【0063】
最適な供給量は年令、体温および環境で変化しうる。
実施例2
ネコに関する調査
調査設計:この調査では、グループ当たり10匹(合計40匹)の健康な年老いたネコ(12才以上)を用いた。身体試験および血液化学スクリーンによってネコが健康であることを判定した。腎臓障害、癌、関節炎、甲状腺機能不全または他の病気であることが確認されたネコは除外した。ネコはHill‘s Pet Nutrition Center(カンザス州トピーカ)でインスティチューショナル・アニマル・ケア・アンド・ユース・コミッティープロトコルに従って世話をした。調査設計は30日の予備供給期間、その後6ヶ月の試験供給期間、合計7ヶ月適用した。
【0064】
30日の予備供給期間の間、全てのネコに対照配合フード(抗酸化薬パッケージなしのScience Diet Senior)を与えた。予備供給期間の最後の週に、血液を採取し、DXAスキャンを行った。次に、ネコを年令、性別および体脂肪率によって分け、3つの異なる治療グループに割り当てた。各グループのネコに新しい老猫用フードまたは3種の競合生成物の1つをランダムに与えるように割り当てた。全てのフードはAAFCO栄養素推奨を満たすまたは超えるよう配合した。
【0065】
7ヶ月の試験期間の間、バイオマーカー分析のために血液試料を1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月目に採取した。ネコは3ヶ月および6ヶ月目にDXAでスキャンして身体組織および骨密度の変化を得た。さらに、ネコを1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月目にテクスキャン圧力マップを横切らせてフードの関節健康への影響を測定した。腎臓の健康の変化を調べるために、尿の微量たんぱく試験を1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月目に行った。調査期間中、体重は毎週記録し、フード摂取量は毎日記録した。さらに、ネコにはおもちゃ、定期的な毛の手入れ、および他のネコおよび人々との社会化のための機会を毎日提供した。
【0066】
データは以下に示す調査スケジュールに従って得た。調査に用いたフードは以下の調査治療および表2に示す。データはここに示した分析法を用いて集めた。調査は以下の供給および/または治療投与方式を用いて行った。
【0067】
調査結果を分析して、様々なフード、フード成分および栄養素の炎症性疾患への影響、および炎症性疾患の予防および/または治療に対するそれらの有用性を測定した。結果は、1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む組成物が炎症性疾患の予防または治療に有益であることを示している。
【0068】
調査スケジュール
【0069】
【表7】

【0070】
表2
調査に用いた4種のフードの栄養分布分析
【0071】
【表8】

【0072】
分析法
テクスキャン圧力マッピング法:この方法は、ネコを床に置いた薄いマットを横切って自由に歩かせることを含む。薄いマットは薄膜の触知圧/力センサーを含み、このセンサーは動物の各ステップ毎の正確かつ確実な圧力および力を読み取る。マットはデータを捕らえるコンピューターに接続されており、ソフトウエアはマット上を歩くにつれて各足から出る力のリアル−タイム3Dおよび2Dカラーディスプレーを示す。情報を用いて各歩きによって出される力の変化を比較し、そして関節の健康および関節炎に関連させた。
【0073】
尿試料:微量たんぱく試験を調査中に集めた全ての尿試料について行った。
血液試料:調査中、全ての動物の健康を確保するために、30、59および210日目に集めた血液試料を、関節炎マーカー、抗酸化性状態マーカー、脂肪酸、アミノ酸および化学スクリーンについて分析した。
【0074】
供給および/または治療投与
フード61526
【0075】
【表9】

【0076】
フード62779
【0077】
【表10】

【0078】
食事時間に1回与えるのではなく、1日中「自由選択」で与える。理想的な体の状態を維持するための必要フード摂取量は、年令、活動状態および環境により変化する。
フード62264
【0079】
【表11】

【0080】
表は、ネコが健康な体重を維持するのに毎日必要なおおよそのフード量を載せている(割り当て量は標準8オンスメジャーカップ使用に基づく)。理想的な体重を維持するように調整する。
【0081】
フード62695
【0082】
【表12】

【0083】
標準8オンスメジャーカップ=102g、最適な供給量はネコの体温、活動状態および環境により変化しうる。
最適な餌の量は年令、体温および環境で変化しうる。
【0084】
予測および統計
両実施例からのデータをSASのGeneral Linear Models法を用いて分析して、治療手段を判定した。実験集団はイヌまたはネコであり、0日は共分散として用いた。年老いたペット用フードを3種の競合フードと比較した。P<0.05のとき差は有意と考えられ、傾向はP<0.10のとき判定した。
【0085】
結果
2つの調査結果を分析して、様々なフード、フード成分および栄養素の炎症性疾患への影響、および炎症性疾患の予防および/または治療に対するそれらの有用性を測定した。結果は、1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む組成物、並びに1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む食物組成物が、炎症性疾患の予防または治療に有益であることを示している。
【0086】
明細書において、本発明の一般的な好ましい態様を開示してきた。特殊な用語を用いたが、それらは包括的かつ説明的な意味で用いたにすぎず、請求の範囲で示される発明の範囲を限定するものではない。上記の教示に照らして本発明を変更しうることは明らかである。従って、具体的な記載とは違って請求の範囲内で本発明を実施しうることは無論のことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを患者の炎症性疾患の予防または治療に十分な量で含む組成物。
【請求項2】
ω−3脂肪酸が、ALA、DHAおよびEPAよりなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ω−3脂肪酸がEPAである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
硫黄含有アミノ酸が、メチオニン、シスチンおよびタウリンよりなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
硫黄含有アミノ酸がメチオニンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを、患者へ少なくとも30mg/kg/日のω−3脂肪酸、少なくとも1mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および少なくとも0.005mg/kg/日のマンガンを投与するのに十分な量で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
約30〜約3000mg/kg/日のω−3脂肪酸、約1〜約200mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および約0.005〜約10mg/kg/日のマンガンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
約100〜約1500mg/kg/日のω−3脂肪酸、約10〜約100mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および約0.05〜約5mg/kg/日のマンガンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
1種以上の抗炎症薬をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
1種以上の食物成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
食物成分が、脂肪、炭水化物、たんぱく質、繊維、および栄養素よりなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
食物成分を脂肪約2〜約50%、炭水化物約0〜約75%、たんぱく質約0〜約95%、食物繊維約0〜約40%、および1種以上の栄養素約0〜約15%の量で含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
1種以上の抗炎症薬をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む、炎症性疾患を予防または治療する量の組成物を患者へ投与することを含む、炎症性疾患を予防または治療する方法。
【請求項15】
ω−3脂肪酸が、ALA、DHAおよびEPAよりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ω−3脂肪酸がEPAである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
硫黄含有アミノ酸が、メチオニン、シスチンおよびタウリンよりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
硫黄含有アミノ酸がメチオニンである、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
組成物を患者へ1種以上の抗炎症薬と共に投与することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
炎症性疾患が関節炎である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
組成物を患者へ1種以上の食物成分と共に投与することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
食物成分、ω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸、およびマンガンが、食物成分、ω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸、およびマンガンの混合物を含む食物組成物の形で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
組成物を患者へ1種以上の抗炎症薬と共に投与することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
混合物を患者へ与える直前に、組成物が食物成分と混合される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
食物成分が、脂肪、炭水化物、たんぱく質、繊維、および栄養素よりなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
ω−3脂肪酸が患者へ約30〜約300mg/kg/日の用量で投与され、硫黄含有アミノ酸が患者へ約1〜約200mg/kg/日の用量で投与され、そしてマンガンが約0.005〜約10mg/kg/日の用量で投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
患者が摂取するのに適した1種以上の食物成分を、炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合することを含む、炎症性疾患の予防または治療に適した食物組成物の製造方法。
【請求項28】
食物組成物が、1種以上の食物成分、ω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを、患者へ少なくとも30mg/kg/日のω−3脂肪酸、少なくとも1mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および少なくとも0.005mg/kg/日のマンガンを投与するのに十分な量で含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
炎症性疾患を予防または治療する組成物を患者へ投与するのに適したキットであって、
キット構成成分に応じて、別個の容器で単一パッケージでまたは実質的なパッケージで、(1)1種以上のω−3脂肪酸、(2)1種以上の硫黄含有アミノ酸、(3)マンガン、(4)1種以上の食物成分、(5)1種以上の抗炎症薬、(6)患者が摂取するのに適した1種以上の食物成分を、炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合して、炎症性疾患の予防または治療に適した食物組成物を製造することについての情報またはそのための指示を伝達する手段、(7)炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物の使用についての情報またはそのための指示を伝達する手段、および(8)炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物と、炎症性疾患を予防または治療するための抗炎症薬とを共に投与することについての情報またはそのための指示を伝達する手段の2つ以上を含むキット。
【請求項30】
患者へ少なくとも30mg/kg/日のω−3脂肪酸、少なくとも1mg/kg/日の硫黄含有アミノ酸、および少なくとも0.005mg/kg/日のマンガンを供給するのに十分な量のω−3脂肪酸、硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
情報もしくは指示を含む文書、デジタル貯蔵媒体、光学貯蔵媒体、音声表示または視覚的表示を含む(1)炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物を用いること、(2)炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合した1種以上の食物成分を含む食物組成物および炎症性疾患を予防または治療するための抗炎症薬を共に投与すること、(3)患者が摂取するのに適した1種以上の食物成分を、炎症性疾患の予防または治療に十分な量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンと混合して、炎症性疾患の予防または治療に適した食物組成物を製造すること、および(4)炎症性疾患を予防または治療するための本発明のキットを使用すること、についての情報またはそのための指示を伝達する手段。
【請求項32】
表示されたウェブサイト、パンフレット、製品ラベル、パッケージ挿入物、広告、または視覚的表示よりなる群から選択される、請求項31に記載の伝達手段。
【請求項33】
患者に、前駆炎症仲介物質の放出を阻害または予防する量の1種以上のω−3脂肪酸、1種以上の硫黄含有アミノ酸、およびマンガンを含む組成物を投与することを含む、前駆仲介物質の放出を阻害または予防する方法。

【公表番号】特表2009−500337(P2009−500337A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519567(P2008−519567)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025395
【国際公開番号】WO2007/002837
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】