説明

炭化ホウ素含有セラミックス接合体及び該接合体の製造方法

【課題】炭化ホウ素含有セラミックス部材同士を、簡便な方法で、かつ、接合強度が100MPa以上の極めて高い強度をもって接合することができる新規な技術の提供。
【解決手段】炭化ホウ素を含有してなる各セラミックス部材同士が、接合層を介して一体化されてなり、かつ、接合した部分の強度が100MPa以上である炭化ホウ素含有セラミックス接合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材を接合して大型化させてなり、かつ、高い接合強度を示す炭化ホウ素含有セラミックス接合体及び該接合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、炭化ホウ素を含有するセラミックス製の小型部材同士を強固に接合し、高い接合強度で一体化し、高速で稼働する場合や、化学的な反応が起こりうる環境下で使用する用途に適用可能な、大型化した炭化ホウ素含有セラミックス部材を提供する技術に関する。なお、本発明でいう「炭化ホウ素含有セラミックス」とは、炭化ホウ素を焼結助剤として数質量%添加してなる炭化ケイ素セラミックスから、炭化ホウ素を高い含有率で含む、所謂、高純度炭化ホウ素セラミックスの範囲までのセラミックスを意味する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスは、金属材料と比較して軽量で硬く、高い弾性率を示す材料であることから、構造用部材として工業製品に幅広く応用されている。その一つに炭化ホウ素含有セラミックスがあるが、実用セラミックスの中で最高の硬さと最高の軽量性(かさ密度:2.5g/cm3)を有し、例えば、高速で稼働する機械部材の構造材料等としての利用が期待されている。近年、常圧焼結で、理論密度の95%以上の高密度焼結体を得る方法が開発され(特許文献1参照)、緻密質炭化ホウ素セラミックスを安価に安定して提供することが可能になったことから、今後、炭化ホウ素セラミックの広範な利用が期待されている。一方、近年、稼働する機械部材の大型化は目覚しく、例えば、セラミックス材料が適用されている半導体製造装置用の露光装置では、シリコンウエハのサイズアップによって、稼働する機械部材であるステージも年々大型化しており、使用されるセラミック材料も、広い面積を有するものが要求されてきている。かかる要求に応えるためには、セラミックス製造工程における工業施設や加工機を大型化することが必要になるが、この場合は、多大な設備投資を伴い、製品の経済性が損なわれるという極めて重大な実用上の課題を生じる。
【0003】
このような状況下、小型のセラミックス部材を作製し、得られた複数の小型のセラミックス部材同士を接合して一体化し、大型化することで、低コストで優れた特性を示す大型部品を製造する技術が注目され、後述するように、様々な研究機関や企業にて研究開発がされている。しかし、セラミックス製の小型部材同士を強固に接合し、高い接合強度で一体化することは難しく、特に、炭化ホウ素含有セラミックスの適用が期待される、高速で稼働する機械部材に用いる場合には、より高い接合強度が要求されるため、より優れた接合技術の確立が待望されている。
【0004】
従来より、セラミックス部材同士を接合してセラミックス構造体とする方法としては、各種のロウ材を介して接合させることや、ガラスを介して接合させることが行われている。例えば、特許文献2では、セラミックスの種類に応じて適切な接合強度を得るために、金属とセラミックスとの接合を、銀−銅−インジュウム系活性金属ロウを用いて行うことを提案している。また、特許文献3では、同種又は異種のセラミックスを接合する際に用いる、アルミニウム及びケイ素のオキシナイトライドガラスから、実質的なセラミックス接合用接着組成物を提案している。
【0005】
また、特許文献4では、接合すべき面を660℃以上に加熱し、アルミニウム材を介してセラミックス構造体を加熱或いは加圧接合することを提案している。更に、特許文献5では、セラミックス焼結体の接合部分を、該セラミックスと同質化する接合方法を提案している。具体的には、アルミナ基板の間に金属アルミニウムを挟んで、加熱後、金属アルミニウムが基板と同様のアルミナになるように酸化処理することを提案している。また、特許文献6では、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる部材と、セラミックスとを接合層を介して接合した接合体を提案しており、該接合層の強度は、接合層中に生成された金属間化合物の量に依存すること、金属間化合物の量は、接合層中に含まれるアルミ母相の銅の含有量を規定することで制御できることが開示されている。上記セラミックスとしては、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サイアロン、ジルコニアが挙げられている。
【0006】
特許文献7では、エンジニアリングセラミックスとして高い特性を示す窒化ケイ素セラミックスを強固に接合させるために、接合面がともに嵌め合いとなる形状を有する小型部材を作製し、嵌め合い部にケイ素を含むペーストを充填し、ケイ素を窒素中で窒化ケイ素とすることで接合を行う方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−215091号公報
【特許文献2】特開2003−225585号公報
【特許文献3】特開昭62−128975号公報
【特許文献4】特開平9−142948号公報
【特許文献5】特開平6−115009号公報
【特許文献6】特開平8−206875号公報
【特許文献7】特開2008−184352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した種々の従来技術では、それぞれ、下記に述べるような課題があった。また、本発明が目的とする炭化ホウ素含有セラミックス部材同士の接合についての検討は、殆どなされていない。このため、半導体製造装置用の露光装置におけるシリコンウエハを載せて使用するステージのような、高速で稼働する機械部材にも利用が可能な、高い接合強度で一体化してなる大型の炭化ホウ素含有セラミックス製部材を提供できる接合技術の開発が待望されている。この場合に求められる高い接合強度とは、接合した部分の強度が100MPa以上、さらに好ましくは200MPa以上である。
【0009】
前述した特許文献2に記載の技術で用いられるロウ材は、銀−銅−インジュウム系であり、接合強度を検討する以前の問題として、ロウ材の主成分の銀は貴金属であるため、大型のセラミックス構造部材の接合用としては、コスト面から、実用化が難しい。これに対し、前述の特許文献3に記載の技術では、コスト面で有利なオキシナイトライドガラスを接合材として用いており、炭化ホウ素にも適用が可能であるとされている。しかしながら、炭化ホウ素の主成分であるホウ素は、ガラス成分に容易に混入するため、接合部分等の特性が著しく変質し、一体化してなる大型部材の材質が均質なものにならないと考えられる。
【0010】
さらに、特許文献4及び5に記載の技術は、いずれも、アルミナ系セラミックスの接合にアルミニウムを使用することを特徴とするものであり、これらの文献では、それ以外のセラミックスの接合、特に炭化ホウ素含有セラミックス部材同士を接合することに関しての検討は、なされていない。特許文献6も、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる部材と、セラミックスとを接合することに関する技術であり、炭化ホウ素含有セラミックス部材同士の接合について、検討されていない。また、高いせん断強度が示されているものの、本発明が目的とする接合強度には及ばない。さらに、この技術では、セラミックスの接合面にはメタライズ処理が必要であり、小型部材を複数組み合わせて一体化して大型化することを考えると、その実施化には極めて高いプロセスコストが必要になると考えられる。また、特許文献7の技術では、セラミックス同士の強固な結合を実現するために、セラミックスの向かい合う接合面を、互いに嵌め合いとなる形状とすることが必要となるため煩雑であり、セラミックス部材のフラットな面同士で強く接合できる技術が望まれる。さらに、この技術では、窒化ケイ素を主成分とするセラミックスの接合に、ケイ素を主成分としたペーストを用い、そのペーストを、乾燥・窒素雰囲気で窒化する工程を必要としており、この点からも高コスト化は避けられず改善の余地があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、炭化ホウ素含有セラミックス部材同士を、簡便な方法で、かつ、接合強度が100MPa以上の極めて高い強度をもって接合することができる新規な技術を提供することにある。本発明の目的は、高速で稼働する機械部材にも利用することが可能な、極めて高い接合強度で接合され一体化されてなる、大型或いは複雑な形状の炭化ホウ素含有セラミックス部材を、特殊な材料を用いることなく、簡便な方法で経済的に提供することで、機能性に優れた素材である炭化ホウ素含有セラミックスの広範な利用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、炭化ホウ素を含有してなる各セラミックス部材同士が、接合層を介して一体化されてなり、かつ、接合した部分の強度が100MPa以上であることを特徴とする炭化ホウ素含有セラミックス接合体を提供する。
【0013】
上記炭化ホウ素含有セラミックス接合体の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。前記接合層を構成する主成分が金属であって、該接合層において、各セラミックス部材の表面に亀裂或いは気孔が存在し、これらの内部まで上記金属が浸透しており、そのアンカー効果によってセラミックス部材同士が強固に結合されていること。前記金属がアルミニウムであること。前記亀裂或いは気孔の幅が1μm以下であること。前記亀裂或いは気孔のアスペクト比が5以上であること。前記接合層の厚みが1〜1,000μmであり、かつ、該接合層が、アルミニウムと炭化ホウ素とが混在している状態を有すること。前記接合層中に、金属アルミニウム、Al3BC、Al3482、AlB122、Al847、Al2518、AlB404又はAlB244で示されるいずれかの炭化ホウ化アルミニウム、AlB2、AlB10又はAlB12で示されるいずれかのホウ化アルミニウムの、いずれかが存在する状態であること。前記接合層の厚みが、1〜100μmであること。
【0014】
上記の別の実施形態は、上記の炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法を提供するが、その加熱雰囲気によって、強度に優れる炭化ホウ素含有セラミックス接合体が得られる加熱温度の範囲が異なる。これらの条件として、下記(1)〜(3)の3つの形態が挙げられる。
前記炭化ホウ素を主成分とするセラミックス部材同士を接合させる部分に、アルミニウムを主成分とする、箔、ペースト及び蒸着層のいずれかを接合材として、その厚みが1,000μm以下となる範囲で介在させ、この状態で保持して上記セラミックス部材同士を、
(1)真空条件下で、少なくとも接合させる部分を600℃以上1,200℃よりも低い温度で加熱するか、
(2)不活性雰囲気中、少なくとも接合させる部分を600℃〜1,500℃の温度で加熱するか、
(3)大気中で、少なくとも接合させる部分を600℃以上800℃よりも低い温度で加熱すること
を特徴とする炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法。
【0015】
なお、上記において、「アルミニウムを主成分とする」とは、例えば、90質量%以上のアルミニウムを含んでなるものを意味する。したがって、上記接合材としては、純アルミニウム、或いは、純アルミニウムに、銅、マンガン、マグネシウム、ケイ素および亜鉛のいずれかを含むアルミニウム合金が挙げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、炭化ホウ素含有セラミックス部材同士を、簡便な方法で、かつ、接合強度が100MPa以上の高い強度をもって接合することが可能となり、高速で稼働する機械部材にも利用が可能な、極めて高い接合強度で接合して一体化されてなる、大型或いは複雑な形状の炭化ホウ素含有セラミックス部材が提供される。本発明によれば、これらの炭化ホウ素含有セラミックス部材を、特殊な材料を用いることなく、簡便な方法で経済的に提供することで、機能性に優れた素材である炭化ホウ素含有セラミックスの広範な利用を可能にすることができる。ここで接合強度とは、接合体が示す強度を総称している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の接合体を製造する際の、セラミックス部材同士の間に接合材を配置した状態の断面を示す模式図。
【図2】本発明の接合体を構成する接合層のSEM写真の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、炭化ホウ素含有セラミックス部材同士の間に、アルミニウム或いはアルミニウム化合物を主成分とする、箔、ペースト及び蒸着層を介在させて、微少量のアルミニウムを介在させた状態で部材同士を保持して、加熱雰囲気にもよるが、600℃以上の温度で加熱することで、接合強度が100MPa以上である強固な接合状態を実現できることを見出して、本発明に至った。
【0019】
ここで、部材同士の接合強度が100MPa以上であることは、その接合部分が、炭化ホウ素含有セラミックス自体の強度と、使用上ほぼ同じレベルであることを意味する。従って、このような接合状態で一体化されて、大型化或いは多様な形状とされた炭化ホウ素含有セラミックス接合体は、その強度において、接合処理をすることなく、炭化ホウ素含有セラミックス自体で作製された大型化あるいは多様な形状とされた部材と遜色がない。
【0020】
上記した方法によって、接合強度が100MPa以上の強固な接合状態を有する炭化ホウ素含有セラミックス接合体となる理由は定かではないが、本発明者らは、以下のように考えている。炭化ホウ素含有セラミックス部材同士の間に介在させたアルミニウムは、炭化ホウ素との濡れ性が良好なものであることから、容易に接合面に均一にいきわたらせることができると考えられる。また、アルミニウムは、炭化ホウ素と様々な化合物を形成し、アルミニウムホウ化物、アルミニウムと炭素とホウ素の化合物を形成する。このため、炭化ホウ素含有セラミックス部材の間に、例えば、アルミニウムを90質量%以上含んでなる、箔、ペースト及び蒸着層のいずれかを接合材とし、これを微少量で介在させ、この状態を保持しながら、アルミニウムの融点以上の温度で加熱すると、微少量のアルミニウムが、その接合面に均一な状態にいきわたり、炭化ホウ素とアルミニウムが反応して、これらが混在する接合層が形成されるものと考えられる。すなわち、該接合層では、アルミニウムの状態で存在するのではなく、ホウ化アルミニウムや炭ホウ化アルミニウム等が生成されて、アルミニウムが炭化ホウ素と融合し、これらが混在した状態になる結果、この接合層を介して炭化ホウ素同士が強固に接合することとなり、母材である炭化ホウ素のみからなるセラミックスの強度にほぼ近い100MPa以上という接合強度を示す、従来の技術では到底得られなかった炭化ホウ素含有セラミックス接合体とできたものと推論している。
【0021】
上記のことを検証するため、本発明者らは、接合材として好適なアルミニウムを用いてなる本発明の炭化ホウ素含有セラミックス接合体の接合部分について検討を行った。この点についての詳細は後述するが、上記接合体の接合層の微細構造を、SEM(走査型電子顕微鏡)を使って観察した。その結果、得られたSEM写真の図を、図2−1〜図2−3に示したが、被接合体である炭化ホウ素焼結体の接合面に、例えば、1,000nm(1μm)以下の無数の亀裂或いは気孔や、アスペクト比が5以上と大きい亀裂或いは気孔が存在し、さらに、これらの亀裂或いは気孔の極めて細い内部先端にまで、アルミニウムが浸透して接合層が形成されていることを確認した。このことから、本発明の炭化ホウ素含有セラミックス接合体は、アルミニウムと炭化ホウ素とが融合して強固に接合するとともに、その接合時に、炭化ホウ素焼結体の接合面に生じる無数のナノレベルの亀裂或いは気孔内に、浸透性のよいアルミニウムが極めて細い部分にまで入り込み、この結果、アルミニウムがヘアークラックを埋めつつ強固な結合を生じさせ(所謂、アンカー効果)、炭化ホウ素含有セラミックス接合体の接合部分に、従来、達成できなかった極めて高い接合強度を発現できたものと考えられる。
【0022】
さらに、上記のようにして形成されている接合層の形成成分について詳細な検討を行った。その結果、接合層中に、金属アルミニウム、Al3BC、Al3482、AlB122、Al847、Al2518、AlB404又はAlB244で示されるいずれかの炭化ホウ化アルミニウム、AlB2、AlB10又はAlB12で示されるいずれかのホウ化アルミニウムのいずれかが存在していることを確認した。
【0023】
以下、本発明の炭化ホウ素含有セラミックス接合体の構成について説明する。まず、接合する際に用いる炭化ホウ素を含有する各セラミックス部材は、用途によって異なり、炭化ホウ素の含有量の異なるものを適宜に選択して使用すればよい。例えば、比較的高い靱性値を要求される用途では、炭化ホウ素を1〜3質量%含有する炭化物、代表的には炭化ケイ素を主成分とするセラミックス部材を用いることが好ましい。また、高速で稼働し、高い位置精度が求められる用途では、炭化ホウ素含有量が高い組成領域のもの、例えば、炭化ホウ素含有量として80質量%の値を示すセラミックス部材を用いることが好ましい。例えば、各炭化ホウ素含有セラミックス部材に、理論密度の95質量%以上の高密度セラミックスを使用すれば、得られる炭化ホウ素含有セラミックス接合体は、様々な用途にも利用できる、軽量で硬く、高い弾性率を示し、しかも大型のものとなる。炭化ホウ素含有セラミックス部材の形状も、その一部に、できるだけ平坦な接合面をそれぞれ設けることが好ましいが、それ以外は制約を受けることなく、目的とする大型或いは複雑な形状の接合体の形状に合わせて自由に設計することができる。
【0024】
上記した本発明の炭化ホウ素含有セラミックス接合体は、下記の本発明の製造方法によって、特殊な材料や装置を用いることなく、簡易にかつ安定して得ることができる。以下、本発明の製造方法について、詳細に説明する。本発明の製造方法では、まず、上記した接合させるための複数の炭化ホウ素含有セラミックス部材を用意し、これら部材の接合面にアルミニウムを含む接合材を介在させて、この状態で互いの部材が保持されるようにし、さらに、少なくとも接合させる部分を加熱することで接合体を得る。本発明では、前記したように、この結果起こる、炭化ホウ素含有セラミックス部材を構成している炭化ホウ素と、接合材を構成しているアルミニウムとの界面反応を利用し、炭化ホウ素含有セラミックス部材同士を強固に接合させることで、本発明の接合体を得る。
【0025】
上記で使用する接合面に介在させる接合材としては、アルミニウムを主成分として含んでなる(例えば、90質量%以上、さらには99%以上含有)、箔、ペースト及び蒸着層のいずれかを、その厚みが1,000μm以下となる範囲で、より好ましくは100μm以下、さらには、50μm以下の範囲で用いるとよい。その下限値は、5μm以上、少なくとも数μmの厚みで設けることが好ましい。本発明者らの検討によれば、接合面に介在させるアルミニウムの量は、あまり多過ぎると本発明で目的とするまでの高い接合強度を得ることができない。具体的なものとしては、例えば、50μm或いは100μm程度の厚みを有する、市場から得られる、所謂アルミ箔を、接合する部分に介在させることが好ましい。接合部分に介在させるその他の方法としては、下記の方法が挙げられる。炭化ホウ素含有セラミックス部材の接合面に、アルミニウム粉末を有機溶剤等の液媒体に分散させてなるペースト状のものを上記範囲の厚みに塗布する方法や、上記接合面に上記範囲の厚みで、アルミニウムを蒸着させて蒸着層を形成する方法や、溶射させてアルミニウムを介在させる方法が挙げられる。本発明で用いる接合材は、様々なアルミニウムの純度を有する材料であっても用いることができるが、アルミニウムの純度は高い方が好ましい。例えば、アルミニウムを90質量%以上の範囲で含むことが望ましい。しかし、本発明はこれに限定されず、アルミニウム以外のその他の成分として、例えば、マンガン、マグネシウム、ケイ素、亜鉛などを含むものも用いることができる。
【0026】
上記したような方法によって、炭化ホウ素含有セラミックス部材同士の接合面にアルミニウムを含む接合材を介在させた後、カーボンや耐熱性の金属等の冶具で、この状態が保持されるようにして固定する。固定する際に、部材同士を圧着してもよいし、接合時に製品がズレたり、動かない範囲で無負荷の状態で保持してもよい。本発明では、次に、この状態で少なくとも接合させる部分を加熱して、炭化ホウ素含有セラミックス部材同士を接合させる。以下、加熱する条件について説明する。
【0027】
本発明者らは、加熱条件について詳細な検討を行う過程で、本発明において特に重要なことは、加熱の際に、炭化ホウ素含有セラミックス部材同士を接合させる部分に、多くなり過ぎない僅少量のアルミニウムを介在させることであることを見い出した。したがって、その加熱条件については、その温度が、アルミニウムの融点以上であればよく、特に詳細に規定する必要はない。しかし、より強固な接合を実現するためには、温度以外の加熱条件に応じて、好適な温度範囲で加熱すればよいことがわかった。すなわち、まず、加熱雰囲気は、真空条件下、不活性雰囲気中(Ar又はN2)、或いは、大気中のいずれであってもよい。ただし、接合した部分の強度が100MPa以上を示す強固な接合体とするためには、加熱雰囲気に応じて、下記の温度範囲となるようにして加熱する必要があり、この結果、本発明が目的とする強固な炭化ホウ素含有セラミックス接合体を安定して得ることができることを確認した。
【0028】
具体的には、(1)真空条件下で加熱する場合には、少なくとも接合させる部分を600℃〜1,200℃の温度で加熱する。また、(2)不活性雰囲気下で加熱する場合には、少なくとも接合させる部分を600℃〜1,500℃の温度で加熱する。さらに、(3)大気中で加熱する場合には、少なくとも接合させる部分を600℃以上800℃よりも低い温度で加熱する。
【0029】
上記した加熱温度は、加熱する雰囲気や、使用する接合材やセラミックス部材によっても異なるが、強度のより高い接合体が得られる最適範囲としては、下記のようである。真空条件下で加熱する場合は、800〜1,100℃、さらには900〜1,100℃の温度範囲で加熱することが好ましい。また、不活性雰囲気下で加熱する場合は、1,200℃以上1,500℃以下の温度範囲で加熱することが好ましい。本発明は、大気中での加熱によっても強固な接合体を得ることができるが、この場合には、炭化ホウ素が、顕著に酸化する現象が認められた800℃よりも低ければよく、特に、600℃以上700℃以下の温度範囲で加熱することが好ましい。
【0030】
また、加熱時間は、使用する接合材や、セラミックス部材の種類や、接合部分の大きさにもよるが、数時間、具体的には、1〜3時間程度とすればよい。その後、徐冷することで、接合層を介してセラミックス部材が一体化されてなり、その接合強度が100MPa以上である本発明の炭化ホウ素含有セラミックス接合体を、容易に得ることができる。さらに、本発明の製造方法において、使用する材料や、加熱処理条件を選べば、200MPa以上、或いは300MPa以上、さらには400MPa程度の、より接合強度の高い接合体を得ることができる。
【0031】
上記した本発明の製造方法による接合処理の結果、形成される前記した接合層に存在するアルミニウムやアルミニウム化合物は、電子線マイクロアナライザー(EPMA:波長分散型分光器WDS、エネルギー分散型分光器EDS)による表面分析法や、透過型電子顕微鏡(TEM)によるEDSや電子線回折によって測定することができる。また、X線回折法(XRD)により結晶構造を同定することにより、測定できる。本発明者らの検討によれば、アルミニウムと炭化ホウ素化合物が存在している接合層となる範囲は、介在させた接合材の厚みと、圧着等の保持方法にもよるが、その範囲は、条件に依存し、1〜300μm程度となる。得られる接合体の接合強度と、この接合層となる範囲との関係については、より詳細な検討が待たれるが、より高い強度を達成するためには、接合層の厚みが、10〜100μm程度となるようにするとよい。
【実施例】
【0032】
本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1−1(接合材の厚みと強度の関係)]
接合後の接合体の少なくとも一辺の全長が40mmとなるようにするため、20mm×20mm×4.5mmの板状の、99%の高純度炭化ホウ素セラミックス部材を2枚1組として用意した。また、接合材として、アルミニウム含有量99.8質量%の、5〜1,000μmまでの厚みの異なるアルミニウム箔を準備した。そして、上記2枚の炭化ホウ素含有セラミックス部材の接合部分に、それぞれ厚みの異なるアルミニウム箔を用い、アルミニウム箔が重なって厚みが不均一にならないように注意して配置させて挟み、カーボン冶具にて固定した。加熱条件を、真空条件下で、少なくとも接合させる部分を1,000℃の温度にして、接合処理をそれぞれに行って接合体を得た。
【0033】
また、上記と同様の炭化ホウ素セラミックス部材を用い、2枚のセラミックス部材の接合部分の接合面に、アルミニウムをブチルアルコール系の溶剤に分散させたペーストを、スクリーン印刷により、10μmの厚さとなるように塗布した。さらに、上記と同様の炭化ホウ素セラミックス部材を用い、2枚のセラミックス部材の接合部分の接合面に、真空中でアルミニウムを、6μmの厚さとなるように蒸着した。これらをそれぞれ、上記と同様にしてカーボン冶具にて固定し、上記と同様の加熱条件で、接合処理を行って、2枚の炭化ホウ素含有セラミックス部材が接合した接合体を得た。
【0034】
上記で得られた各接合体を加工して、JIS R1601(ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法)に準じて、接合箇所が中央となるようにしてなる、厚み3mm、幅4mm、長さ40mmの試験片を、それぞれ作製した。そして、得られた試験片を用いて、JISに準拠して抗折強度を測定し、結果を表1に示した。また、接合処理によって形成された接合部分について、上記の各試験片を側面から顕微鏡観察して、アルミニウム又はアルミニウム化合物が存在している範囲を接合層の厚みとして測定し、結果を表1にまとめて示した。
【0035】

【0036】
[実施例1−2(接合層の状態)]
下記のようにして得た接合体の接合層を詳細に調べた。まず、代表として、炭化ホウ素焼結体を#200の砥石で研削し、50×50×10mmのプレートを2枚1組として用意した。また、アルミニウム含有量99.8質量%の、100μmの厚みアルミニウム箔を準備した。そして、上記2枚の炭化ホウ素含有セラミックス部材の接合部分に、上記アルミニウム箔を重ならないように注意して配置させて挟み、カーボン冶具にて固定した。接合する際の条件を、真空条件下、接合させる部分を1000℃の温度にして接合体を得た。そして、得られた試料を切断し、研磨を行い、SEMを使って、接合体の接合層の微細構造を観察した。そして、図2−1〜図2−3に、得られたSEM写真を示す図を示した。
【0037】
この結果、図2−1〜図2−3に示したように、被接合体である炭化ホウ素焼結体の接合面には1μm(1,000nm)以下の幅の無数の亀裂や気孔、アスペクト比が5以上と大きい亀裂が存在していた。さらに、これらの亀裂の内部先端の極めて細い部分にまでアルミニウムが浸透して接合層が形成されていることを確認した。図2−1〜図2−3の各図について、亀裂の長さと幅を実測し表2に示した。また、そのアスペクト比を算出し、合わせて表2に示した。
【0038】

【0039】
これらの事実から、炭化ホウ素焼結体において、上記した方法で従来にない強固な接合が達成された理由は、下記のようであると考えられる。まず、アルミニウムと炭化ホウ素が融合し、強固に接合する。さらに、炭化ホウ素焼結体自体、破壊靭性値が2〜3MPa・m1/2と小さく、加工時には表面に無数のヘアークラックが生じることは不可避である。一方、上記の接合方法では、このような接合部分に浸透性の高いアルミニウムを介在させている。これらのことは、接合時に、炭化ホウ素焼結体の接合面に生じる無数のナノレベルの亀裂内にアルミニウムが入り込み、このことによって、図2−1〜図2−3に示したように、アルミニウムが、極めて細いヘアークラックを埋めつつ強固な結合が生じさせ(アンカー効果)、この結果、接合部分に、従来なかった高い強度が発現したものと推定される。すなわち、本発明では、本来、強度低下を招く欠陥となると考えられる加工時に炭化ホウ素焼結体表面に生じる亀裂を、接合部分に浸透性の高いアルミニウムを介在させることで接合に利用し、上記したアンカー効果によって極めて強固な接合を達成している。
【0040】
また、EPMA及びXRDを使って接合層の分析を行った。この結果、接合層には、主に金属アルミニウムが存在しているが、その他に、炭化ホウ化アルミニウム(Al3BC、Al3482、AlB122、Al847、Al2518、AlB404、AlB244)、ホウ化アルミニウム(AlB2、AlB10、AlB12)が存在した状態となっていることを確認した。
【0041】
(比較例1)
実施例1で使用したと同様のセラミックス部材を複数用意し、また、接合材として、200μmの厚みのシリコンと、100μmの厚みのオキシナイトライドガラス(酸窒化ガラス)を用意した。そして、2枚のセラミックス部材と、それぞれの接合材を用いて、窒素雰囲気下、表3に示した各温度条件で2時間加熱して各接合体を作製した。しかし、窒素雰囲気下、1,500℃以上の高温で処理したにもかかわらず、いずれの場合も接合しなかった。比較例の接合体の作成条件を表3にまとめて示した。
【0042】

【0043】
(評価結果)
表3に示したように、炭化ホウ素セラミックス部材を、シリコンやオキシナイトライドガラスを接合材として接合させた比較例1のものでは、部材同士を接合することができなかった。これに対し、1,000μmの厚みまでのアルミニウム箔を接合材として接合させた実施例1では、アルミニウムの融点以上の温度である1,000℃の加熱で、いずれの厚みの接合材を用いた場合においても、ほぼ母材である炭化ホウ素セラミックスと同等な高い抗折強度を示す接合体を得ることができた。さらに、アルミニウムを、ペースト塗膜や、蒸着によって接合面に介在させた場合においても、高い接合強度を示す接合体が得られることを確認した。
【0044】
(実施例2、比較例2)
実施例1と同一形状及び同一の種類の炭化ホウ素セラミックス部材と、アルミニウム含有量99.8質量%の10μmの厚みのアルミニウム箔とを用い、加熱温度を、500〜1,200℃の温度範囲で段階的に変えて接合処理を行った。この際の他の条件は、真空条件下、カーボン冶具にて、5kg/cm2程度の値で圧着させて、2時間加熱することで一定とした。得られた接合体について、実施例1と同様にして接合層の厚みと強度を測定した。得られた結果と、加熱条件とを表4に示した。
【0045】

【0046】
(評価結果)
表4に示したように、真空中、500℃の条件で処理した比較例2−2では接合しなかったのに対して、実施例2−1〜2−6に示したように、600〜1,100℃までの温度範囲ではいずれも高い接合強度を示す接合体が得られた。しかし、1,200℃の条件で処理した比較例2−1では、アルミニウムが蒸発し、接合していなかった。
【0047】
(実施例3、比較例3)
実施例1と同一形状及び同一の種類の炭化ホウ素セラミックス部材と、アルミニウム含有量99.8質量%の10μmの厚みのアルミニウム箔とを用い、不活性ガス雰囲気下、加熱温度を1,200〜1,600℃の温度範囲で段階的に変えて接合処理を行った。この際の他の条件は、カーボン冶具にて、5kgf/cm2程度の値で圧着させて、2時間加熱することで一定とした。得られた接合体について、実施例1と同様にして接合層の厚みと強度を測定した。得られた結果と、加熱条件とを表5に示した。
【0048】

【0049】
(実施例4、比較例4)
実施例1と同一形状及び同一の種類の炭化ホウ素セラミックス部材と、アルミニウム含有量99.8質量%の10μmの厚みのアルミニウム箔とを用い、大気中で接合処理を行い、接合可能であるか否かを調べた。得られた接合体について、実施例1と同様にして接合層の厚みと強度を測定した。得られた結果と、加熱条件とを表6に示した。
【0050】

【0051】
(評価結果)
表6に示したように、大気中では、700℃で処理した場合には、高い抗折強度を示す接合体が得られたのに対して、800℃で処理した場合は、炭化ホウ素が酸化し、表面に発泡が見られ、接合していなかった。さらに、表5に示したように、不活性ガス雰囲気下では、1,200℃以上の高温での接合で、アルゴン、窒素いずれの雰囲気下においても、1,500℃まで接合し、高い抗折強度を示す接合体が得られることを確認した。これに対し、より高温の1,600℃では、炭化ホウ素の溶融が見られ、接合していなかった。
【0052】
(実施例5)
実施例1〜4で用いた炭化ホウ素セラミックス部材を用い、実施例1で用いた99.8質量%のアルミニウム箔に変えて、アルミニウム以外の成分を10%以下で含む10μmの厚みのアルミニウムを主成分とする箔をそれぞれに用いて、1,000℃、真空中で2時間接合を行い、各接合体を得た。そして、得られた各接合体について、実施例1と同様にして、接合層の厚みと、抗折強度を測定し、結果を表7に示した。この結果、接合材のアルミニウム材料中に共存する成分によって抗折強度に若干の差異が認められたものの、いずれも100MPa以上の値を示し、接合強度の高い接合体が得られることを確認した。
【0053】

【0054】
(実施例6)
実施例1〜4で用いた炭化ホウ素セラミックス部材に代えて、炭化ホウ素の含有量の異なる炭化ホウ素セラミックス部材をそれぞれ用意した。アルミニウム含有量99.8質量%の10μmの厚みのアルミニウム箔を用いて、1,000℃、真空中で2時間接合を行い、各接合体を得た。そして、得られた各接合体について、実施例1と同様にして、接合層の厚みと、抗折強度を測定し、結果を表8に示した。この結果、実施例6−1の炭化ホウ素が2質量%で炭化ケイ素を主成分とする部材同士を接合してなる接合体は、母材の強度が炭化ホウ素セラミックスより相対的に高いことから、410MPaと高い抗折強度を示した。さらに、炭化ホウ素の含有量にかかわらず、いずれも接合可能であり、高い抗折強度を示す接合体が得られることを確認した。実施例6−6の接合体において、接合層とその近傍の母材の局所的な分析を行ったところ、接合層は、微量のアルミニウムとともにホウ化アルミニウムが認められた。また、近傍付近では母材成分である炭化ホウ素とともに、アルミニウムと炭化ホウ素の化合物(Al3BC)が認められた。
【0055】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の活用例としては、硬度や軽量性において極めて優れた特性を示す炭化ホウ素含有セラミックスにおいて、小型部材を接合して大型の接合体が安価に提供できる。このため、有用な工業部材である炭化ホウ素セラミックスの利用拡大が図れ、これまで、大型部材への応用が期待されていたが、歩留まり等が低いが故に使用されなかった種々の用途への適用が可能になる。また、本発明によれば複数の小型部材を組合せることによって、無垢材と同等の性質を示す大型部材を提供することが可能であることから、製造プロセスにおいてトータルでの省エネ効果を生みだし、コストと大幅なグリーンガス削減との相乗効果等も期待できる。
【符号の説明】
【0057】
1 炭化ホウ素含有セラミックス部材
2 アルミニウム又はアルミニウム化合物
3 アルミニウム化合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ホウ素を含有してなる各セラミックス部材同士が、接合層を介して一体化されてなり、かつ、接合した部分の強度が100MPa以上であることを特徴とする炭化ホウ素含有セラミックス接合体。
【請求項2】
前記接合層を構成する主成分が金属であって、該接合層において、各セラミックス部材の表面に亀裂或いは気孔が存在し、これらの内部まで上記金属が浸透しており、そのアンカー効果によってセラミックス部材同士が強固に一体化されている請求項1に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体。
【請求項3】
前記金属がアルミニウムである請求項2に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体。
【請求項4】
前記亀裂或いは気孔の幅が1μm以下である請求項2又は3に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体。
【請求項5】
前記亀裂或いは気孔のアスペクト比が5以上である請求項2〜4のいずれか1項に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体。
【請求項6】
前記接合層の厚みが1〜1,000μmであり、かつ、該接合層は、アルミニウムと炭化ホウ素とが混在している状態を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体。
【請求項7】
前記接合層中に、金属アルミニウム、Al3BC、Al3482、AlB122、Al847、Al2518、AlB404又はAlB244で示されるいずれかの炭化ホウ化アルミニウム、AlB2、AlB10又はAlB12で示されるいずれかのホウ化アルミニウム、のいずれかが存在する請求項6に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体。
【請求項8】
前記接合層の厚みが、1〜100μmである請求項6に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法であって、前記炭化ホウ素を主成分とするセラミックス部材同士を接合させる部分に、アルミニウム或いはアルミニウム化合物を主成分とする、箔、ペースト及び蒸着層のいずれかを接合材として、その厚みが1,000μm以下となる範囲で介在させ、この状態で保持して上記セラミックス部材同士を、真空条件下で、少なくとも接合させる部分を600℃以上1,200℃よりも低い温度で加熱することを特徴とする炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法であって、前記炭化ホウ素を主成分とするセラミックス部材同士を接合させる部分に、アルミニウム或いはアルミニウム化合物を主成分とする、箔、ペースト及び蒸着層のいずれかを接合材として、その厚みが1,000μm以下となる範囲で介在させ、この状態で保持して上記セラミックス部材同士を、不活性雰囲気中、少なくとも接合させる部分を600℃〜1,500℃の温度で加熱することを特徴とする炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法であって、前記炭化ホウ素を主成分とするセラミックス部材同士を接合させる部分に、アルミニウム或いはアルミニウム化合物を主成分とする、箔、ペースト及び蒸着層のいずれかを接合材として、その厚みが1,000μm以下となる範囲で介在させ、この状態で保持して上記セラミックス部材同士を、大気中で、少なくとも接合させる部分を600℃以上800℃よりも低い温度で加熱することを特徴とする炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法。
【請求項12】
前記接合材が、純アルミニウムに、銅、マンガン、マグネシウム、ケイ素および亜鉛のいずれかを含んでなるアルミニウム合金である請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化ホウ素含有セラミックス接合体の製造方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【公開番号】特開2012−72044(P2012−72044A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253236(P2010−253236)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「省エネルギー技術開発プログラム/革新的部材産業創出プログラム/革新的省エネセラミックス製造技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(391009419)美濃窯業株式会社 (33)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】