説明

炭化水素の生成

本発明は、電気分解および2つの別々の反応容器を用いて、二酸化炭素および水からの炭化水素の生成方法に関する。第1の反応容器(14)は、正電極ならびに、水およびイオン化材料を含む液体電解媒体を含む。第2の反応容器(12)は、負電極ならびに、水および二酸化炭素の混合物を含む液体電解媒体を含む。反応容器は、第1および第2の反応容器の電解媒体間にイオンが通過するのを可能とする連結手段に連結される。直流電流は正電極および負電極に印加され、炭化水素(典型的にはメタン);および酸素を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
地球は、現在、地球およびその住民に対する深刻な影響を有する2つの主要問題、すなわち、
過剰な二酸化炭素生成に起因する地球温暖化;および
過度に高い原油、したがって高いガソリンおよびディーゼル価格
に悩まされている。
【0002】
本発明の目的は、これらの問題を緩和し、したがって、世界の将来を改善することである。
【背景技術】
【0003】
化石燃料を利用するエンジンの製造の増加の結果、原油の過剰需要を生じさせ、今度は過剰に高い価格を生じさせている。これらの燃料の消費は、地球温暖化に導く二酸化炭素の生成量を増加させている。木々による二酸化炭素の吸収および得られた酸素の放出は、広範囲の森林の除去によって衰弱している。この不均衡は、世界の生態系を不調にし、累積的に不調にし続けている。
【0004】
エンジンの効率を改善し、化石燃料生成物の消耗を改善する努力は、指数関数的に増大する人口およびそれらの願望のため、その状況を改善する機会をほとんど有さない。他の技術が積極的に求められている。
【0005】
前記の問題に対処する方法は:
大気中の二酸化炭素の低減;
「カーボンフットプリント」(炭素生成物の使用)の低減;および
原油および他の化石燃料の需要の低減(代替物を見出すことにより、それらの価格の減少が生じる)を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の低減に貢献し、さらに、燃料を含む炭化水素の生成のための化学原料の供給材料を提供するプロセスおよび装置を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
二酸化炭素と水からの炭化水素の生成方法は、
(a)正電極ならびに、水およびイオン化材料を含む液体電解媒体を含む第1の反応容器(14)を提供し;
(b)負電極ならびに、水および二酸化炭素の混合物を含む液体電解媒体を含む第2の反応容器(12)を提供し;
(c)第1および第2の反応容器と、電子および/またはイオンが、第1および第2の反応容器の電解媒体間を通過するのを可能とする連結手段とを連結し、
(d)直流電流を正電極および負電極に印加して:
・反応容器(12)および(14)中の電解媒体を介して、電子を陰極から陽極に流し(またはそれらの帯電を原子から隣接する原子に移し、それにより、うまくそれらをイオン化し、それらを脱イオン化し);
・第2の反応容器中の水素、酸素の脱イオンを達成して、正に帯電した水素および炭素イオンを生成し、これを組み合わせて炭化水素(典型的にはメタン)、おそらく炭素、水素および一酸化炭素を形成し、
・第1の反応容器中の酸素のイオン化を達成し、これを組み合わせて、酸素を形成する工程を含む。
【0008】
炭化水素(典型的にはメタン)を第2の反応容器(12)から回収する。
【0009】
酸素は第1の反応容器(14)から回収する。
【0010】
反応容器(12)および(14)は、同一の内部圧力にて操作され、異なる温度にて操作し得る。
【0011】
連結手段は、液体電解媒体であり得、その場合には、おそらくいくらかのイオンで、原子ではない電子が通過するのを可能とする膜を提供し得る。
【0012】
連結手段は、毛細管/毛細管群のごとき1以上の管/管群により規定し得る。
【0013】
好ましくは、連結手段は、バルブまたはバルブ群のごとき栓手段で提供される。
【0014】
管/各管の内部直径−対−長さの比は、0.00001:1〜0.1:1、好ましくは0.00001:1〜0.001:1であり得る。
【0015】
第1の反応容器(14)中の正電極は、1端にて閉じられ、Ptで調製された微孔性中空円筒の形態であり得る。
【0016】
第2の反応容器(12)中の負電極は、1端にて閉じられ、CuPtアマルガムまたはPtで調製された微孔性中空円筒の形態であり得る。
【0017】
第1および第2の反応容器(14)および(12)中の電解媒体の液体状態は、適当な高圧力下、および適当な温度での容器の操作により達成し得る。
【0018】
例えば、第1および第2の反応容器(14)および(12)は、5.1気圧を超える圧力、5.1〜1000気圧、典型的には10気圧〜400気圧、好ましくは10〜200気圧にて操作されるであろう、
【0019】
反応容器(12)および(14)は、異なる温度にて操作でき、例えば、第1の反応容器(14)は、20℃〜200℃、典型的には20℃〜30℃にて操作でき;第2の反応容器(12)は、−50℃〜200℃、典型的には−10℃〜70℃にて操作できる。
【0020】
通常、第1の反応容器(14)は周囲温度(20℃〜30℃)で操作され、第2の反応容器の温度は所望の温度に制御され、例えば、それは−50℃〜10℃に冷却し得るか、またはそれは、50℃〜200℃に加熱し得る。
【0021】
正電極および負電極を横切って印加される電圧は、−0.5v〜−20v、−0.5v〜−10v、−0.5v〜−6vまたは−0.5v〜−3vであり得る。
【0022】
正電極および負電極を横切って印加される直流は、50〜500mA、典型的には100〜200mAであり得る。
【0023】
複数電極のグリッドが平行に結ばれているならば、正電極および負電極を横切って印加される直流は、0.1〜10アンペアまたはそれ以上であり得る。
【0024】
第2の反応容器中の二酸化炭素および水は、1:1〜1:2の容量比にて、または式:
【0025】
【化1】

【0026】
による化学量論的な(より大きな)比で混合し得る。
【0027】
第2の反応容器の電解媒体から分離された二酸化炭素、水および一酸化炭素は、第2の反応容器に再利用し得る。
【0028】
第1の反応容器の電解媒体から分離された水は、第2の反応容器に再利用し得る。
【0029】
方法は、反応チャンバー(12)中の水および二酸化炭素の混合物が超臨界流体である条件下で実行し得る。
【0030】
また、本発明は、二酸化炭素および水からの炭化水素生成用装置に関し、該装置は:
液相中の水を含有させるための第1の反応容器(14);
液相中の二酸化炭素および水の混合物を含有させるための第2の反応容器(12);
第1の反応容器(14)内に位置する正電極;
第2の反応容器(12)内に位置する負電極;および
第1および第2の反応容器(14)および(12)中の電解媒体を連結する連結手段
を含む。
【0031】
連結手段は、液体電解媒体であり得、その場合には、おそらくいくらかのイオンで、原子ではない電子が通過するのを可能とする膜が提供され得る。
【0032】
連結手段は、毛細管/毛細管群のごとき1以上の管/管群であり得る。
【0033】
好ましくは、連結手段は、バルブまたはバルブ群のごとき栓手段で提供される。
【0034】
好ましくは、装置は、双方の反応容器内の圧力を等しくするための高圧増圧器を含む。
【0035】
高圧増圧器は、好ましくはCOで加圧され、COで直接的に第2の反応容器(12)を加圧し、高圧アキュムレータはHOで第1の反応容器(14)を加圧するために提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の具体例による反応器の図面である。
【図2】図2は、二酸化炭素用の相図である。
【図3】図3は、二酸化炭素用の密度圧力プロフィールである。
【図4】図4は、ガスクロマトグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
国際特許出願第PCT/IB2009/053136号(その内容をここに出典明示して本明細書の一部とみなす)は、二酸化炭素および水からの水素、酸素および炭化水素の生成のプロセスを記載し、これは、
(a)正電極および負電極を含む高い圧力および温度に耐えることができる容器において、液相中の二酸化炭素と液相中の水を混合して、液体電解媒体を提供し;
(b)正電極および負電極に直流電流を印加して、水素、炭素および酸素のイオン化を達成し、正に帯電した水素および炭素イオンならびに負に帯電した酸素イオンを生成し;
(c)正電極への酸素イオンの移動、および負電極への水素および炭素イオンの移動によって好都合に達成し得る酸素イオンからの水素および炭素のイオンの分離;
(d)炭素および水素イオンからの水素、おそらく炭素および炭化水素(典型的にメタン)の形成、および酸素イオンからの酸素の形成;および
(e)別々の容器(炭素も集め得る)中の水素、炭化水素および酸素生成物を集める(炭素も集め得る)
工程を含む。
【0038】
正反応:
C+O → CO
は、熱力学的考察のために逆に優先的に生じる。
【0039】
同様に、反応:
2HO+CO → CH+2O
は、逆反応より厄介な全体的な熱力学的要件を有する。
【0040】
後者のプロセスの間にメタン(また他の炭化水素)を得ることの1つの難しさは、一旦形成されるとそれらが再度結合して反応を反転できないような生成物の分離である。
【0041】
異なる反応容器において生成されるためにそれらが再結合することができないように、プロセスの間に生成物成分を分離することにより、第2の(後者)反応生成物を達成する改善された手段を提供することが、本発明の目的である。
【0042】
図1に関して、反応器システム(数字10により一般的に示される)は、細い毛細管16(内部直径1.2〜1.5mm、長さ約2m、かくして、管の内部直径−対−長さの比は、0.00001:1〜0.1:1であり得る)により連結される、2つの別々の反応容器12および14で提供され、それは、電子が通過するのを可能とするが、COおよび酸素移動に不浸透性である結合点18および/または20にて選択的な膜を含有し得る。毛細管16は、異なる温度条件が別々の反応容器12および14内に維持し得るように、その中の材料を介して温度伝導を制限する細い寸法を有する。毛細管16はバルブ22で提供される。電子流または移動、電流は、イオンの物理的な移動で毛細管16内に生じ得る。平行に配列された複数の毛細管が存在し得る。
【0043】
反応容器12には、液体CO 24、液体HO 26、おそらく少量の二酸化硫黄または塩化ナトリウムが供給されて、さらなるイオン化材料として水の凍結温度を低下させ、COおよびHOの混合物を含有する液体電解媒体28を提供する。
【0044】
反応容器14には、液体HO 26、酸のごとき少量のイオン化材料、および少量の二酸化硫黄が供給され、塩化ナトリウムまたはNaKHCOもしくはKHCO(0.1〜0.5M)のごとき電解質を触媒として添加して、HOを含む液体電解媒体30を提供し得る
【0045】
毛細管16は、液体電解媒体28または30のいずれか、または双方の混合物、または導電性ゲルを含有し得る。
【0046】
反応容器12を適合させて、5.1気圧を超える高圧力、典型的には、5.1〜1000気圧および−50℃の低温〜200℃までの高温にて操作する。低温は、反応容器12を冷蔵庫に入れることにより達成するが、高温は、反応容器12内に位置する加熱要素を用いて達成する。負電極32は、反応容器12内に位置する。負電極32は、1端にて閉じられ、66%/34%CuPtアマルガムまたはPtで調製し得る微孔性中空円筒の形態である。
【0047】
反応容器14を適合させて、5.1気圧を超える〜1000気圧の高圧力および、雰囲気温度(20℃〜30℃、典型的には25℃)にて操作する。Ptで調製された正電極34は、反応容器14内に位置する。正電極34は、1端にて閉じられた微孔性中空円筒の形態である。
【0048】
反応容器14内の圧力を制御し、および/またはその内部圧力を反応容器12内の圧力と等しくするような手段が提供される:圧力増圧器36は、CO 38が供給され、反応容器12に直接的に連結し、CO 24で反応容器12を加圧する。高圧力の増圧器36は、COが反応容器14の内容物と反応するのを防止する高圧アキュムレータ42を介して反応容器14に連結されている。高圧アキュムレータ42は、圧力増圧器36からの二酸化炭素44で加圧され、水46で反応容器14を加圧する。このシステムは、等しく反応容器12および14を加圧して、毛細管コネクターを介する反応容器12および14の間の電解質の逸脱を防止する。2つの反応容器12および14の間のバルブ22を閉じることにより、電気分解反応が開始される前に、加圧を最初に安定し得る。高圧アキュムレータ42は媒体分離器として働き、二酸化炭素が第2の反応器12のチャンバーに入らないことを確実にし、および双方の反応器12および14内の圧力が等しくなることを同時に確実にする。
【0049】
使用において、バルブ22は閉まり、(高圧力CO増圧器36からの)液相中のCO 24および液相中のHO 26は、反応容器12へ移され;次いで、HO 26は、反応容器14に移されて、各々、反応容器12および14中の電解流体28および30を供給する。高圧増圧器36を用いて、反応器12および14内で高くかつ等しい圧力、および反応容器内の液相条件を適用および維持する。一旦、容器12および14内の圧力が同一になれば、バルブ22を開くこともでき、反応器12および14の間の最小の流体の流れが存在するであろう。電解流体28および30の液体状態は、反応容器12および14内の圧力および温度の適当な条件を維持することにより維持される。好ましくは、反応容器12および14内の圧力は、5.1気圧〜1000気圧、10気圧〜400気圧、好ましくは10気圧〜200気圧に維持される。
【0050】
反応容器14は、周囲温度(20℃〜30℃、典型的には25℃)に維持される。
【0051】
電気分解反応は、電気回路35上の正電極34および負電極32を横切る−0.5v〜−10vの直流電圧および50〜500mAの電流を印加することにより開始される。印加帯電は、電解媒体28および30中の原子をイオン化する。電子(e)は、電極34および32の間で、かくして、毛細管16を介してイオンから隣接するイオンに流れる。理論によって拘束されずに、H、(OH)、Oイオンは、反応容器14に形成され、H、C4+、(CO)2−イオンは反応容器12に形成されると考えれれる。反応容器12において、炭素および水素イオンを組み合わせて、炭化水素、特に、メタンおよび他の炭化水素を形成する。電気分解プロセスの開始は、電解質30に存在するHOから形成される発生期(イオン化)水素イオンを生じさせ、炭素イオンは電解質28中のCOから離れて分離される。かくして、COは、反応容器12において低下する。反応容器14において、電子流は、その中の正に帯電した電極34に引き付けられる負に帯電した酸素イオンを生じ、かくして、電極にて酸素分子を遊離する。また、Hは反応容器14に形成し得る。
【0052】
一方向の流れの酸素特性を有し得る毛細管16は、電子の移動を可能とし、反応容器14に遊離酸素を反応容器12から離れて保ち、そこでの炭素および/または水素との再結合を回避するのに必要である。また、毛細管16の細い寸法は、熱伝導移動を低下するように機能し、異なる温度条件を反応容器12および14に維持して、そこに生じる異なる反応を増強および促進し、エネルギーコストを節約し得る。2つの反応容器を分離する毛細管により分離されるならば、それらが生成(イオン化)される場合、正に帯電したイオン(炭素および水素)は、それら自体/相互に相互作用でき、かくして、反応容器12に所望の生成物(炭化水素)を生成できる。
【0053】
さらに、高圧力(>5、1気圧)は、液相中に反応物を維持し、かくして、より小さな装置を用いて、生成されたイオンの濃度を増加させ、気相中で可能であるより多くの生成物を生成し得る。
【0054】
毛細管16は、成分原子が新しい所望の生成物を形成するために相互作用できるように、成分原子をイオン化する電子の移動を可能にするのに必要である。それらが生成(イオン化)される場合に分離されれば、正に帯電したイオン(炭素および水素)はそれら自体と単に相互作用することができ、かくして、所望の生成物(炭化水素)を生成できるが、陰イオン(酸素)はこれらから分離され、それら自体と単に組み合わせて酸素分子を形成できる。これらは、電子の最終移動が終了する電極にて単に遊離できる。圧力差のために、反応容器12からの電解液体は、拡張容器48に入る。拡張容器48を適合して、炭化水素50(典型的には反応容器12に形成されたメタン)、炭素52、およびCO、HOおよびCOを含有する流れ54を分離する。分離のいくつかの手段が存在し得るが、最も望ましく有望なものは、各生成物の異なる温度および圧力での液化または気体化であろう。CO、HOおよびCOを含有する流れ54は、−ve電極32を含有する反応容器12に再利用して、プロセスの収率を増加し得る。
【0055】
圧力差のために、反応容器14からの電解液体は容器56に入る。容器56を適合して、酸素58ならびに、HOおよびおそらくHを含有する流れ60を分離する。その分離は、遠心分離機または差動位相(differential phase)変化パラメーターを用いて達成し得る。HOおよびおそらくHを含有する流れ60は、−ve電極32を含有する反応容器12に再利用して、プロセスの収率を増加し得る。
【0056】
1気圧=1.01325バール
1気圧=101.325kPa
【0057】
本発明は、図面に例示された具体例/具体例群に限定されていない。結果的に、添付された特許請求の範囲に言及された特徴は、引用符号に続き、かかる符号は、特許請求の範囲の理解度を増強する目的で単独で含まれ、何ら特許請求の範囲を限定するものではないと理解されるであろう。
【0058】
本発明は、今や、以下の非限定の実施例を参照してより詳細に記載される:
【0059】
実施例1
1. 計算
1.1 電気化学
【0060】
【化2】

【0061】
【化3】


これらの反応により、通常の条件(室温、雰囲気圧)にて二酸化炭素からメタンを生成できるのに必要な電位差は、1.77Vである。電気化学的挙動は、部分的に、これらの条件での限定された研究のために、検討された条件下で十分に理解されていない。さらに、検討は、実験計画の改善のために必要であろう。
【0062】
1.2 化学量論的な量
【0063】
各試薬の化学量論的な量を特定の条件にて各試薬の密度を検討することにより計算した。蒸留水をすべての実験に用いた。
水の密度は、温度および圧力における変化を考慮して密度を計算する式(1)および(2)を用いることにより計算した。
【0064】
【数1】

【0065】
式中、βは、容量的な温度拡張係数(m/m.℃)であり、Tは℃での温度、ρはkg/mでの密度である。
【0066】
【数2】


式中、PはN/m(Pa)の圧力、Eはバルクモジュラス流体弾性(N/m)、ρはkg/mでの密度である。
【0067】
モル密度は、以下の式(3)により計算される。
【0068】
【数3】

【0069】
式中、vはcm/モルでのモル密度、ρはkg/mでの密度であって、Mは、g/モルでのモル質量である。
各試薬の量は、適当なセクションにおいて操作条件と一緒に報告される。
【0070】
1.3 超臨界点
【0071】
水および二酸化炭素の化学量論的混合物では、その混合物の臨界点は、式(4)および(5)により見積もることができる。これらの見積りは、テーブル1に要約する。
【0072】
【数4】

【0073】
【表1】

【0074】
1.4 二酸化炭素
図2および3は、実験が行なわれた平衡条件を示す。
【0075】
図2において、「A」は超臨界条件を示し、「B」は実施例1Aの条件を示し、「C」は、以下の条件を示す。
【0076】
実施例1A−毛細管を含む2つのチャンバーテスト
図面に例示された毛細管と連結した2つのチャンバー反応器システムを組み立て、−6vの電圧、約120mAの電流で440分間操作した。実施例1Aについてのテスト条件を以下のテーブル1に示す。反応器12および14の双方を周囲温度(25℃)にて操作した。
【0077】
【表2】

【0078】
検出可能な量のメタンが反応器12に生成した。ガスクロマトグラフにより生成された結果を図4に示す。
【0079】
クロマトグラフ、以下の成分が示される:
空気:保持時間2.27、幅7.20、面積8354522.0、結果20.9
メタン:保持時間4.76、幅9.60、面積116449.8、結果0.3
CO:保持時間7.43、幅24.00、面積31502188.0、結果78.8
【0080】
これらの結果は、小容量の分析試料のために、定量的に解釈されるべきではない。反応のいくつかの効果は、陰極で観察された炭素沈殿および陰極電解質の着色であった。陽極は影響されないままであったが、電解質のわずかな着色が現れた。
【0081】
実施例1B−1Iについてのテスト条件を以下のテーブル2に提供する。各ケースにおいて、反応器14は周囲温度(22℃)で試行した。テーブル2に示した温度は、反応器12の温度である。
【0082】
以下の実験条件を気体試料におけるメタンの検出に用いた:
【表3】

【0083】
メタンは以下の条件で生成した。
【0084】
【表4】

【0085】
実施例1J−低温条件でのテスト作業
また、実施例1Aに用いた同一システム設定は、反応器12を約7℃まで冷却することにより、比較的低い温度にて用いた。反応器14は周囲温度(22℃)であった。試験条件を以下のテーブル3に要約する:
【0086】
【表5】

【0087】
検出可能なメタンは140バールおよび7℃で生成されなかったが、いくらかのメタンが、この温度でのより低い圧力(65バール)にて検出できた。検討に際して、双方の電極がきれいと分かり、双方の反応器からの電解質はきれいであった。
【0088】
結論
観察されたものから、以下の結論をなすことができる:
・毛細管により連結した2つのチャンバー配置を用いて、検出可能な量のメタンを生成できた。
・同一の内部圧力および異なる温度の反応器12および14を試行して、検出可能な量のメタンを生成できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素および水からの炭化水素の生成方法であって、
(e)正電極ならびに、水およびイオン化材料を含む液体電解媒体を含む第1の反応容器(14)を提供し;
(f)負電極ならびに、水および二酸化炭素の混合物を含む液体電解媒体を含む第2の反応容器(12)を提供し;
(g)第1および第2の反応容器と、電子および/またはイオンが、第1および第2の反応容器の電解媒体間で通過するのを可能とする連結手段とを連結し;
(h)直流電流を正電極および負電極に印加して:
・反応容器(12)および(14)中の電解媒体を介して、電子を陰極から陽極に流し;
・反応容器(12)中に炭化水素を形成する
工程を含むことを特徴とする該方法。
【請求項2】
炭化水素がメタンを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
酸素が反応容器(14)中で形成されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
炭化水素が第2の反応容器(12)から回収されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の方法。
【請求項5】
酸素が第1の反応容器(14)から回収されることを特徴とする請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
反応容器(12)および(14)が同一の内部圧力で操作されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1記載の方法。
【請求項7】
反応容器(12)および(14)が異なる温度にて操作されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1記載の方法。
【請求項8】
連結手段が、液体電解媒体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1記載の方法。
【請求項9】
連結手段が、おそらくいくらかのイオンで、原子ではない電子が通過するのを可能とする膜を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1記載の方法。
【請求項10】
連結手段が、1以上の管/管群により規定されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1記載の方法。
【請求項11】
管/管群が毛細管/毛細管群であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
連結手段が、栓手段で提供されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1記載の方法。
【請求項13】
栓手段が、バルブまたはバルブ群であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
内部直径−対−その/各管の長さの比が、0.00001:1〜0.1:1であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1記載の方法。
【請求項15】
内部直径−対−その/各管の長さの比が、0.00001:1〜0.001:1であることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
第1の反応容器(14)中の正電極が、1端にて閉じられ、Ptで調製されている、微孔性中空円筒の形態であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1記載の方法。
【請求項17】
第2の反応容器(12)中の負電極が、1端にて閉じられ、CuPtアマルガムまたはPtで調製されている、微孔性中空円筒の形態であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1記載の方法。
【請求項18】
第1の反応容器(14)および第2の反応容器(12)中の電解媒体が、適当な圧力および温度条件下で、容器(12)および(14)を操作することにより液体状態に維持されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1記載の方法。
【請求項19】
第1の反応容器(14)および第2の反応容器(12)が、5.1気圧を超える圧力にて操作されることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1記載の方法。
【請求項20】
第1の反応容器(14)および第2の反応容器(12)が、5.1〜1000気圧の圧力にて操作されることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
第1の反応容器(14)および第2の反応容器(12)が、10気圧〜400気圧の圧力にて操作されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
第1の反応容器(14)および第2の反応容器(12)が、10〜200気圧の圧力にて操作されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
反応容器(12)および(14)が、異なる温度にて操作されることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1記載の方法。
【請求項24】
第1の反応容器(14)が、20℃〜200℃の温度にて操作されることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1記載の方法。
【請求項25】
第1の反応容器(14)が、20℃〜200℃の温度にて操作されることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
第1の反応容器(14)が、20℃〜30℃の温度にて操作されることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
第2の反応容器(12)が、−50℃〜200℃の温度にて操作されることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1記載の方法。
【請求項28】
第2の反応容器(12)が、−10℃〜70℃の温度にて操作されることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
第1の反応容器(14)が、周囲温度(10℃〜30℃)にて操作されることを特徴とする請求項1〜28のいずれか1記載の方法。
【請求項30】
第2の反応容器の温度が所望の温度に制御されることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
その所望の温度が、−50℃〜10℃であることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
その所望の温度が、10℃〜200℃であることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項33】
正電極および負電極を横切って印加される電圧が、−0.5v〜−20vであることを特徴とする請求項1〜32のいずれか1記載の方法。
【請求項34】
正電極および負電極を横切って印加される電圧が、−0.5v〜−10vであることを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
正電極および負電極を横切って印加される電圧が、−0.5v〜−6vであることを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項36】
正電極および負電極を横切って印加される電圧が、−0.5v〜−3vであることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
正電極および負電極を横切って印加される直流が、50〜500mAであることを特徴とする請求項1〜36のいずれか1記載の方法。
【請求項38】
正電極および負電極を横切って印加される直流が、100〜200mAであることを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項39】
正電極および負電極が、平行に結ばれている複数電極のグリッドであって、電極を横切って印加される直流が0.1〜10アンペアであることを特徴とする請求項1〜38のいずれか1記載の方法。
【請求項40】
第2の反応容器(12)中の二酸化炭素および水が、1:1〜1:2の容量比にて、または式:
【化1】


による化学量論(またはより大きな)比で混合されることを特徴とする、請求項1〜39のいずれか1記載の方法。
【請求項41】
二酸化炭素、水および一酸化炭素が、第2の反応容器(20)の電解媒体から分離され、第2の反応容器(12)に再利用されることを特徴とする、請求項1〜40のいずれか1記載の方法。
【請求項42】
水が、第1の反応容器(14)の電解媒体から分離され、第2の反応容器(12)に再利用されることを特徴とする、請求項1〜41のいずれか1記載の方法。
【請求項43】
二酸化炭素および水からの炭化水素生成用装置であって、該装置は:
液相に水を含有させるための第1の反応容器(14);
液相に二酸化炭素および水の混合物を含有させるための第2の反応容器(12);
第1の反応容器(14)内に位置する正電極;
第2の反応容器(12)内に位置する負電極;および
第1の反応容器(14)および第2の反応容器(12)中の電解媒体を連結する連結手段を含む該装置。
【請求項44】
連結手段が、液体電解媒体である請求項43記載の装置。
【請求項45】
連結手段が、おそらくいくらかのイオンで、原子ではない電子が通過するのを可能とする膜を含む請求項44記載の装置。
【請求項46】
連結手段が、1以上の管/管群により規定される請求項43〜45のいずれか1記載の装置。
【請求項47】
管/管群が毛細管/毛細管群である請求項46記載の装置。
【請求項48】
連結手段が、栓手段で提供される請求項43〜47のいずれか1記載の装置。
【請求項49】
栓手段が、バルブまたはバルブ群である請求項48記載の装置。
【請求項50】
内部直径−対−その/各管の長さの比が、0.00001:1〜0.1:1である請求項46〜49のいずれか1記載の装置。
【請求項51】
内部直径−対−その/各管の長さの比が、0.00001:1〜0.001:1である請求項50記載の装置。
【請求項52】
反応容器(12)および(14)の双方における圧力を等しくするための高圧増圧器を含む、請求項43〜51のいずれか1記載の装置。
【請求項53】
高圧増圧器がCOで加圧され、COで第2の反応容器(12)を直接的に加圧し、高圧アキュムレータがHOで第1の反応容器(14)を加圧するために提供される請求項52記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−510238(P2013−510238A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537475(P2012−537475)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055001
【国際公開番号】WO2011/055322
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(512117443)エフエフジーエフ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】FFGF LIMITED
【Fターム(参考)】