説明

炭素−サイクルを有する白熱電球

炭素−サイクルが使用される白熱電球は、充填物と共にバルブ内で真空気密して導入されている発光体を備えており、その際、発光体はタングステンの融点より高い融点の金属炭化物を有する。発光体とバルブ壁との間隔は18mmより小さく、その際、炭素に関係する第1のサイクルを炭素および充填物添加としての水素の使用により実施し、かつその際、金属に関係する第2のサイクルをハロゲンの使用により実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、請求項1の上位概念に記載の炭素−サイクルを有する白熱電球から出発する。これは、とりわけTaCからなる発光体を有するか、または発光体がTaCを成分として含有するハロゲン電球である。
【0002】
従来技術
多くの文献からすでにハロゲンの使用下での炭素−サイクル(炭素−ハロゲン−サイクル)を有する白熱電球が公知である。この場合、ハロゲンは炭素がバルブ壁に析出することを防止するのに役立つ。ところが、炭素−水素−サイクルがより効果的であると判明し、その際、炭素のバルブ壁での析出は炭化水素の形成により回避される。炭素−水素−サイクルは、炭素−ハロゲン−サイクルに比べて、この場合、炭素−ハロゲン−サイクルにおける状況とは異なって、比較的低い温度にある電球内のサポーター部(ホルダー)は腐食しないという利点を有する。
【0003】
化学輸送反応は、固体(以下では<s>と省略)、または液体(以下では<f>と省略)が、気体状の生成物(以下では<g>と省略)のみを生成しながら、与えられた温度T1で反応するという点で際立っている。引き続き、気体状の反応生成物を別の温度T2を有する場所へ輸送し、そこで反応生成物は固相または液相の分離下で再び分解する。化学輸送反応の詳細な調査について、例えばH.Schaefer、「Chemische Transportreaktionen」、Verlag Chemie、1962を参照のこと。そこには化学輸送反応がいくつかの規則に基づいて定量化されることが詳細に第16頁〜第17頁、第32頁〜第43頁および第140頁〜第143頁に記載されている。最も重要な点は以下のことである:
[A]反応式の一方で固相が発生しない場合にのみ、反応は輸送することができる:A(s)+B(g)=C(g)。
【0004】
[B]極端な平衡位置を有する反応は、計測可能な固相輸送をもたらさない。輸送系の選択の際、平衡位置が極端であってはならないことは主要な観点である。
【0005】
[C]△H、反応エンタルピーの符号は輸送方向を決定する。発熱反応は低い温度から高い温度へ輸送し、吸熱反応は高い温度から低い温度へ輸送する。これは温度変化に際して化学平衡のシフトを記載するいわゆるファントホッフの式から導きだされる。
【0006】
他の規則は反応エントロピーの影響について言明する。気体状の物質の輸送は種々のメカニズムにより行ってよい。最も重要なのは濃度勾配における拡散、熱拡散、熱対流および強制対流(外部からの強制流)である。観察された反応系に応じて、全工程に関して化学反応の速度または気相を経由する輸送が反応速度に決定的でありうる。
【0007】
例としてタンタルとヨウ素との反応が観察される:
Ta<s>+5/2I<g>=TaI<g>。
【0008】
この場合、室温(298K)でもしくは1300Kの温度で、反応エンタルピーについて△H(298K)=−274.3kJ/モルもしくは△H(1300K)=−263.8kJ/モルが得られる。そのため、全ての温度領域にわたるマイナス符号の反応エンタルピーに基づき、低温部から高温部へのタンタルの輸送が行われる。
【0009】
上記の化学輸送反応の適用のための例は、van Arkel−de Boer法による金属の公知の精製である。その際、例えばタンタルは500℃でヨウ素との反応により変化し気体状のヨウ化タンタルとなり、該ヨウ化タンタルは電流によりより熱い場所に輸送される。約1050℃より高い温度で、再びヨウ化タンタルは純粋なタンタルの分離下で分解する。例えば酸化タンタルのような不純物は、難揮発性であり、出発箇所に残留し続ける。同じような方法で、金属であるNi、Cu、Fe、Cr、Si、Ti、Hf、Th、V、NbおよびUを精製することができる。
【0010】
このような化学輸送反応は、フィラメントから蒸発したタングステンをフィラメントへ輸送し戻すために、電球技術、例えばハロゲン電球においても利用される。このいわゆるタングステン−ハロゲンサイクルの場合、フィラメントから蒸発したタングステンは、バルブ壁付近の比較的低い温度で反応してハロゲン化タングステンもしくはハロゲン化酸化タングステン(酸素が存在する場合)となり、これらは再びフィラメントに輸送し戻される。フィラメント付近の高い温度で、再びハロゲン化タングステンおよびハロゲン化酸化タングステンは分解する。遊離したタングステンはフィラメントに堆積する。その際、重要なことは、ハロゲン化タングステンもしくはハロゲン化酸化タングステンの蒸気圧が、たいてい200℃〜600℃の範囲にあるバルブ壁付近を支配する比較的低い温度において十分に大きいので、そこで固体の化合物の析出が回避されることである。活性ハロゲン添加物としてヨウ素または臭素が使用される場合、これは、同時に少なくとも酸素の痕跡が存在している場合に限り可能である。それというのも、純粋なハロゲン化物の蒸気圧は小さすぎるか、もしくはハロゲン化物は気相中で全く生じないからである。とりわけその原因は、純粋なハロゲン化物がオキシハロゲン化物より、ハロゲン化された炭化水素化合物と共に導入された水素により容易に還元されることにある。すでに黒化したバルブ壁は、このような輸送反応により再び脱黒化することができる。ハロゲンとしてフッ素が使用される場合を除いて、ハロゲン電球内でのハロゲンサイクルは再生不可能である。つまりタングステンは、タングステンが有利に蒸発する最も熱い場所ではなく、別の温度の場所で再び分離する。
【0011】
ハロゲン電球内でのハロゲンサイクルのために多数の文献が存在する。ハロゲン電球内での異なったハロゲンサイクルの特性に関して、例えば「Optische Strahlungsquellen」、第4章「Halogengluehlampen」、Lexika Verlag、1977およびその中で引用される文献を参照のこと。
【0012】
白熱電球の効果の上昇のための公知の選択肢は、炭化タンタルのような高融点のセラミックからなる白熱体の使用である。これに関して、例えばBecker、Ewest:「Die physikalischen und strahlungstechnischen Eigenschaften des Tantalkarbids」、Zeitschrift fuer technische Physik、第5号、第148〜第150頁および第6号、第216頁〜第220頁(1930))を参照のこと。効果の上昇は、金属炭化物からなる白熱体が、純粋な金属と比べてより一層高い融点ゆえに比較的高い温度でも動かすことができるという事実から判明する:TaCの融点は、タングステンの3410℃に対して3880℃である。さらにタングステンと比較して、可視領域における炭化物の発光係数はIRにおけるそれよりも大きい。とりわけ炭化タンタルはタングステンより良好な「選択放射体(Selektivstrahler)」である。
【0013】
高い温度で炭化タンタルの発光体を動かす際の問題は脱炭化である;これにより、比較的高い比抵抗および比較的低い融点を有する亜炭化物が形成されるので、そのため発光体が急速に破壊される。この問題の解決のために、文献中にいくつかの手がかりがある。
【0014】
US3405328で言及されている可能性は、炭素を過剰に炭化タンタル発光体中に溶解するということにある。外側に向かって発光体から蒸発する炭素は、バルブ壁に沈着し次いで内側からの拡散により補充される。
【0015】
他の可能性は、充填ガスに炭素および水素を添加することである。例えばUS2596469を参照のこと。その際、電球内で炭素サイクルが生じる。高い温度で蒸発する炭素は、比較的低い温度で水素と反応して炭化水素となり、該炭化水素は対流および/または拡散によりフィラメントに輸送し戻され、そこで炭化水素は再び分解する。その際に生じる炭素は再びフィラメントに堆積する。機能性の炭素−サイクルのために、電球容器内での炭素(煤の形で)の析出を回避するために、たいてい過剰の水素を使用しなければならない。例えばメタンまたはエテンが使用される場合、水素の分圧は炭化水素の分圧の約2倍でなければならない。さもなければ、電球容器内の炭素が析出する。炭素および水素の必要な濃度は、たいてい数%までの範囲になければならないので、水素の高い割合は電球の効果に不利に作用する。
【0016】
効率における損失を減少させるために、水素のほかにハロゲンも炭素との反応のために使用された。例えばUS3022438を参照のこと。発光体から蒸発する炭素は、バルブ壁付近の冷たい領域内で、例えば塩素原子と反応してCClのような化合物となり、これにより壁での炭素の析出が回避される。炭素−ハロゲン−化合物は、対流および拡散のような輸送工程により白熱体の方向に輸送し戻され、その際、該化合物は比較的熱い領域内で炭素の遊離下で分解する。炭素は再びフィラメントに堆積してよい。ハロゲンおよび水素により析出における炭素を防止するために、US3022438によれば、電球内に導入されたハロゲン元素の合計量のみならずまた元素の水素の量もそのつど、気相に存在する炭素の合計量より大きくなければならない。炭素−塩素−化合物および炭素−臭素−化合物は、150℃または約150℃より低い温度でのみ生成することができるので、炭素−ハロゲン−サイクルの適用は比較的大きいバルブ体積および、それゆえ200℃または200℃より低いバルブ温度を有する電球に制限される。確かに、塩素または臭素を基礎とする炭素−ハロゲン−サイクルは、少なくとも200℃の温度および相応して小さいバルブの形状寸法の場合にもはや機能しない。
【0017】
唯一の例外は、炭素−フッ素−化合物である。しかしながら、これらの系はガラスバルブのための付加的な保護措置を必要とし、それゆえここでこれ以上検討されない。炭素−ヨウ素−サイクルは実現可能ではない。炭素−ヨウ素−化合物Clの不安定性がその原因である。それゆえUS3022438の適用分野はハロゲンのフッ素、塩素および臭素に制限される。
【0018】
炭化タンタル発光体を有利に比較的大きいバルブ内(汎用電球のバルブの典型的な直径は30mm〜140mmの範囲にある)で動かしたので、文献中に記載された電球の場合、炭素かあるいはむしろタンタル(下記参照)のような固体の適切な析出は甘受することができた。なぜなら、黒化がバルブの内壁の広大な表面にわたり分布したからである。
【0019】
発明の記載
本発明の課題は、請求項1の上位概念による長い寿命を可能にするハロゲンサイクルを有する白熱電球を提供することである。もう一つの課題は、実質的に黒化せず機能し、しかも有利に小さいバルブの体積でも機能する白熱電球を提供することにある。他の課題は、その材料が、タングステンを使用する場合より、より高い発光密度を可能にする高融点の発光体を有する白熱電球を提供することである。
【0020】
これらの課題は、請求項1の特徴部により解決される。とりわけ有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
【0021】
これに関して、本発明により二重のサイクルが使用される。その際、一方では金属炭化物、とりわけTaCからなる高融点の発光体の脱炭を回避するために炭素−水素−サイクルが適用される。しかし、HfCまたはNbCまたはZrCまたは過剰のCを有する種々の炭化物の合金も適している。加えて、初めてこれに合わせて調整された金属−ハロゲン−サイクル、とりわけタンタル−ハロゲン−サイクルが重ね合わせられる。これにより炭素によるバルブの黒化のみならずまた、金属、とりわけタンタルによるバルブの黒化も回避される。
【0022】
ここで記載される発明は、縮小されたバルブ体積を有する電球に関するものであり、その際、発光体の間隔、とりわけ該発光体の発光する部分はバルブの内壁から最大で18mmである。とりわけ、バルブ直径は最大で35mm、とりわけ5mm〜25mmの範囲に、有利に8mm〜15mmの範囲にある。非常に小さい形状寸法、とりわけ非常に小さい直径を有するバルブの場合、固体がバルブ壁で析出する危険に絶対に対処しなければならない。これらの小さいバルブ直径の場合、たいていバルブ壁温度は明らかに200℃より高いので、通常の炭素−ハロゲン−サイクルの適用はもはや考慮されない。
【0023】
高い温度で炭化タンタルを使用する気相の組成は、例えばJ.A.Coffmann、G.M.Kibler、T.R.Riethof、A.A.Watts:WADD−TR−60−646PartI(1960)により実験に基づいて調査された。その際、比較的長い加熱時間で比較的高い温度で炭素のほかに相当量のタンタルも−熱力学的な予想に反して−気相中に存在していることが意想外にも明らかになった。たいていこれは動力学的効果により説明することができる。約3000K以上の高い温度の場合、外側に向かって発光体から蒸発する炭素は、発光体の内部から後拡散する炭素により十分迅速に交換することができない。一般的に公知の適切な炭素サイクルにより炭素の蒸発を少なくとも遅らせることができても、明らかに約3000Kを上回る高い温度の場合、気相中でなお相当量のタンタルを見込まなければならない。他の措置を講じない場合、このタンタルはバルブの形状寸法が小さい場合、とりわけ最大で35mmのバルブ直径の場合にバルブ壁で析出する。
【0024】
ところで、ハロゲンサイクルは−タングステン白熱体を有する電球の場合と同様に−その白熱体が、元素のTa、Hf、Zr、Os、Ti、Nb、Th、Moからなるか、もしくは特にこれらの元素を含有する電球の場合も原則的に実現可能である。なぜなら、冒頭に記載したように適切な化学反応系が存続するからである。しかしながら、従来この現象にはいかなる注意も向けられなかった。それというのも、第1に金属炭化物からなる発光体では、もっぱら炭素の蒸発のみが寿命を限定するものだと考えられ、かつ第2に理論計算は、通常、小さい体積の電球の場合、熱力学的条件に関する不正確な前提から出発するからである。しかしながら、これらの前提は、小さい体積のかつ/または僅かな直径のバルブを有する電球には該当しない。これは、利用可能な寿命を有する炭化物を含有する電球を作り出すことが約100年前から無駄に試みられているという事実に対する決定的な根拠である。
【0025】
ところで、本発明によれば、炭化タンタル−発光体あるいはまた別の炭化物を含有する発光体を比較的小さいバルブ直径またはバルブ体積を有する電球内で適用する場合に初めて2のサイクルの使用が提案される。すでに公知の炭素−水素−サイクルのほかに、さらにタンタルのバルブ壁での析出を防止するためにタンタル−ハロゲン−サイクルが使用される。
【0026】
水素を用いるすでに公知の炭素サイクルにより、炭素のバルブ壁での析出が防止され、かつ蒸発した炭素は発光体に供給し戻される。炭素−サイクルは、充填ガスへの元素の炭素および水素の添加によりもたらされる。これは文献中に記載されているように、分解の際に炭素および水素を供給する種々の化合物の形で行ってよい。例えばメタン、エタン、エテン等のような炭化水素を使用してよく、その際、場合によりさらに水素を添加しなければならない。炭化水素の混合物中に存在する充填物の全ての炭素割合は、1barの低温充填圧力で、有利にC0.1モル%〜C5モル%の範囲にある。有利には最小割合は0.25モル%である。導入された全ての水素割合は、少なくとも炭素割合と同じ程度であるべきで、有利にそれは炭素割合の2倍〜8倍であるべきである。
【0027】
同時に進行する金属−サイクルは、タンタルの例で詳細に説明されている。タンタルサイクルはハロゲンの添加によりもたらされる。高い温度で白熱体から蒸発するタンタルは、バルブ壁付近の低い温度で反応し、タンタルより容易に揮発性であるハロゲン化タンタルになる。これにより、タンタルのバルブ内壁での析出が回避される。ハロゲン化タンタルが対流もしくは拡散により発光体の方向へ輸送し戻され、かつ比較的高い温度で分解した後、タンタルは再び発光体に堆積する。両方のサイクルがどの程度まで干渉し合い、かつバルブ壁温度がどの範囲になければならないかは、一般的に使用されるハロゲンに依存している。いずれの場合も特徴的なのは、本発明に従って、まず第1にタンタル−サイクルのために必要であるが、炭素−サイクルのためには必要でない、ここで必要とされるハロゲン含有率が炭素−サイクルのために必要とされる炭素の含有率より小さく、とりわけ少なくとも2分の1、有利に5〜10分の1であることである。
【0028】
酸素もしくは分解の際に酸素を供給する化合物の意図的な添加は、タンタルサイクルにとって必要ではないか、もしくは炭化タンタル−発光体にとって有害である。酸素は高い温度で、炭化タンタルを一酸化炭素もしくは脆性の亜炭化物TaCの生成下で分解する。それゆえ−例えばUS3022438にも既に記載されているように−酸素の除去に注意すべきである。
【0029】
活性ハロゲンとして、とりわけ臭素および塩素が150℃の最低温度、有利に少なくとも200℃において適している。ヨウ素の使用も可能であるが、しかしこの場合、可能なバルブ温度の範囲は制限されている。
【0030】
活性ハロゲンとして臭素が使用される場合、主としてTaBrのような比較的高級な臭化物は、サイクルを支持する化合物である。これらの化合物は非常に安定なので、ほぼ全ての該当する範囲のバルブ温度で水素によっても還元されることはほとんどない。約700℃を上回る高いバルブ温度に相当する極めて小さいバルブ形状寸法において初めて状況の変化がありうる。そのため、通常、ここでは炭素−水素−サイクルはタンタル−ハロゲン−サイクルに対して影響を及ぼさない。なぜなら、炭素−水素−サイクルを支持する元素の炭素および水素が気相中でタンタルと化合物を形成しないからである。1barの典型的な低温充填圧力において、気相中に導入された全ての元素の臭素の濃度は有利に500ppm〜5000ppmである。ハロゲンはCHBr、CHBr、CHBr等のように添加物の形で充填ガスに混合してよい。バルブ壁温度は約150℃を下回るべきでない。水素過剰は、バルブ壁温度が高すぎてはならないことを前提とする;有利にバルブ壁温度は約700℃より低い。これらの添加物によって電球雰囲気へ導入された炭素および水素の量は、観察された元素の全収支に組み入れられる。しかしながら、たいていこれらの量は炭化水素/水素混合物によって導入された量よりも明らかに小さい。
【0031】
活性ハロゲンとして塩素、およびヨウ素も使用される場合、性質的には同様の観察が有効である。気相中に導入された全てのハロゲンの有利な濃度は同じ範囲にある。有利なバルブ壁温度の範囲は、活性ハロゲンとしてヨウ素が使用される場合、150℃〜600℃の範囲に、塩素が使用される場合、150℃〜900℃にある。つまり活性ハロゲンとしての塩素の使用は、高負荷の電球内で使用される場合に優先されうる。塩素は、例えばCHCl、CHCl、CHClの形で、有利にヨウ素はCHIまたはCIの形で添加してよい。
【0032】
タンタル−ハロゲン−サイクルが、問題となるバルブ温度の最も広い範囲において炭素−水素−サイクルから影響を受けないか、もしくは僅かに影響を受けるに過ぎない一方で、炭素−水素−サイクルはタンタル−ハロゲン−サイクルから強く影響を受ける。ハロゲンは低い温度で結合して、極めて安定なハロゲン−水素−化合物となり、これにより、それより結合した水素は、次いで炭素との反応のために自由に使用することができない。これは、とりわけ塩素および臭素において有効であるが、しかしながらヨウ素においてはそれほど有効でない(下記参照)。それゆえ、電球内に導入された全てのハロゲン元素の量は、少なくとも塩素および臭素が使用される場合、電球内に存在する全ての水素の量の少なくとも約2分の1である。これは一般的に問題ない。なぜなら、僅かな量のハロゲンのみが機能性のタンタル−サイクルにおいて必要とされるからである。そのため、タンタル−ハロゲン−サイクルが使用される場合、気相中に存在する全てのハロゲンの量は、気相中に存在する全ての炭素の量より明らかに小さく、とりわけ少なくとも2分の1である。この教示は、大きい体積を有する電球についてUS3022438で記載されているように、炭素−ハロゲン−サイクルが使用される場合の濃度比とは対照的である。そこではハロゲンの量は、気相に存在する全ての炭素の量より大きい。
【0033】
1barとは別の充填圧力について、導入された全ての粒子の数が一定であるべきこと、つまり上記の濃度がおよそ圧力と反比例に変化するという法則を顧慮すると、有利な濃度範囲が単純換算により明らかになる。圧力が高いほど、輸送処理の進行は遅くなり、かつサイクルのために必要な水素は熱除去の点で重要ではなくなり、そうして電球の効率は圧力の上昇と共に明らかに増大する。それゆえ、少なくとも3bar、とりわけ5barの比較的高い充填圧力は良好な効果をもたらし、これが効率に該当する。
【0034】
ヨウ化水素HIは比較的不安定で、かつすでに比較的低い温度において容易に分解するので、「水素担体」としてのHIの使用が考えられる。ヨウ化水素は容易に分解し−バルブ壁付近の比較的低い温度においても−かつ炭化水素の形成のためにその中で結合した水素を炭素に自由に提供する。典型的なのはCHの形成である。他方で、遊離している−炭化水素の形成のために必要とされなかった−水素の結合により、HIの形で充填ガスにより熱除去が強く低下する。これにより、電球の効率の明らかな上昇が生じる。とりわけ、比較的低い全圧力ゆえに水素の熱除去が著しく重要となり、かつヨウ化水素のほかにかなりの濃度で生じるIの放射線吸収が適用にとって妨げとならない場合に、遊離水素の結合のためのヨウ素の使用が考えられる。場合により2のハロゲンの使用も有効であり、例えば高負荷の電球において、つまりとりわけ小さい体積および/または高いワット数の場合に、塩素または臭素をタンタル−ハロゲン−サイクルのために使用しなければならないこともあり、かつヨウ素を遊離水素の結合のために使用してよい。
【0035】
重なり合うサイクル、すなわち炭素−水素−サイクルおよび−例えば金属タンタル、レニウム、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウムを用いた−金属−ハロゲン−サイクルの原則は、別の発光体材料にも適用可能である;とりわけ炭化ハフニウム、炭化ジルコニウム、また炭化タンタルと別の炭化物とからなる合金、例えば炭化タンタル90%と炭化タングステン10%とからなる合金、並びに例えばUS3405328に記載されているような別の合金。同様に、炭化タンタルまたは別の高融点の炭化物または上記の合金により被覆された担体に適用してよく、該担体は、例えばレニウムまたはレニウム合金(US1854970)または炭素繊維から成り立ってよい。
【0036】
炭素、水素およびハロゲンの量は、サイクルが炭素のためのみならずまた金属、たいていはタンタルのために行われるように量定されている。不活性ガスとして、希ガスのヘリウム、アルゴン、クリプトンおよび/またはキセノン並びに窒素が適している。
【0037】
特別な実施態様において、タンタル−ハロゲン−サイクルを除いて、C−H−サイクルは、C−N−サイクルまたはC−S−サイクルと付加的に重ね合わせられている。TaC電球内での唯一のサイクルとしてのC−N−サイクルの適用はすでに公知であり(US2928977を参照のこと)、その際、パラシアンの生成を回避するために一部ではさらにハロゲンが使用される。単独にみると、C−N−サイクルは炭素を有利に比較的高い温度の場所に返送し、ひいては寿命の延長につながる。ところが、この処理単独ではバルブの黒化を明らかに回避できないことが明らかになった。この点では、両処理の組み合わせはある程度分業として理解される。それというのも、C−H−サイクルのみが炭素のバルブ壁での析出を確実に防止するからである。それに対して、C−N−サイクルは発光体への返送を促進する。
【0038】
ハロゲンの添加により、タンタルが発光体に返送されるかもしくはパラシアン−生成が回避される。
【0039】
毒性の高いジシアンC2N2の添加を回避するために、有利に熱分解の際にCN−基のほかに、同時に炭化水素も供給するアセトニトリルCH3CNのようなさらに毒性の少ない化合物を使用してよい。
【0040】
代替的に、CNをとりわけ窒素(Nとして)および炭化水素を含有する充填ガス混合物のプラズマ励起により、はじめて既製電球内でも発生させることができる。
【0041】
C−S−サイクルの場合に注目されることは、通常、硫黄の添加の際に炭化タンタルの発光体が−COの発生による酸素との反応の場合と同じように−一硫化炭素CSの形成により損傷させられることである。しかしながら、充填ガス中で硫黄と炭素の等モル量を添加する場合、そこから2000Kより低い温度で二硫化炭素CSおよび炭素が、それより高い温度でCSが生じる。化合物のCSが3000Kでほぼ解離しないで存在するのに対して、これは4000Kを上回る温度までにほぼ完全に分解する。この挙動を、炭素を適切に発光体の熱い領域に返送し戻すのに使用することができる。炭素の生成のために水素がもっぱら使用される場合、たいていすでに700Kを上回ると元素の炭素が大量に遊離するのに対して、硫黄を付加的に使用すると炭素は3500Kの温度まで大部分、分子状態で結合したままでいられる。550Kを下回るとCSは元素へと分解する傾向があり、そうして炭素および硫黄のバルブ壁での析出を回避するために炭素および硫黄に加えて、例えば水素を充填ガスに添加してよい。
【0042】
そのため、全体で、比較的高い温度でのC−S−サイクルと、比較的低い温度でのS−H−サイクルもしくはC−H−サイクルとを重ね合わせた使用が考えられる。バルブ壁付近の比較的低い温度で、硫黄はとりわけHSの形で、かつ炭素はとりわけCHの形で気相中に保持される。比較的高い温度へ移行する場合、HSおよびCHは、二硫化炭素CS、水素Hおよび−しかし硫黄を用いない系の場合よりも明らかに低い濃度で−元素の炭素の形成下で分解する。さらに上昇する温度により再び炭素は完全にCSの形で結合してよく、該CSは記載したように3000Kより高いと分解する。その点でCSは、ほぼ4000Kの温度まで実際に全く分解しないCOとは本質的に異なる。そのため、CSの方がC−H−化合物より−該化合物は明らかに3000Kを下回る温度で分解する−かつCOより−該COは4000Kを上回って初めて分解する−炭素を有利に3200K〜3800Kの温度で動かされる炭化タンタル−発光体に輸送し戻すことに適している。サイクルの設計の際に有利なのは、CHの形成のために4の水原子が全ての炭素原子に、HSを形成するために2の水素原子が全ての硫黄原子に提供されることである;有利に、若干大きい量の水素により作業する。いずれにしても、炭化タンタル発光体を損傷させる過剰の硫黄を回避するために、さらに炭素の物質量は使用される硫黄の物質量と少なくともちょうど同じであるべきか、より好ましくはさらに大きくあるべきである。
【0043】
硫黄は、例えば硫化水素HS、硫化炭素CS、メチルメルカプタンCHSH、エチルメルカプタンCSH、または場合により硫化ジメチルCHCSCHの形で添加してよい。炭素および水素は、上記のようにCH、C、C等のような炭化水素、および場合により水素Hの形で、個々の元素の所望された比率が調整されるように添加してよい。
【0044】
個々の元素の比率は、ここで標準として選択される1barの充填圧力のために以下のように選択されるべきである。
−存在する全ての元素の炭素の量は0.1モル%〜5モル%、とりわけ少なくとも0.25モル%であり、
−元素の硫黄のモル濃度は、元素の炭素のモル濃度から0.2〜1を掛けると明らかになり;
−元素の水素のモル濃度は、元素の炭素のモル濃度の4倍と元素の硫黄のモル濃度の2倍の和と少なくとも同じ程度であり;実施に従って、導入された全ての元素の水素のモル濃度は、上記の最小量〜最小量に8を掛けたものの間にある。
【0045】
有利に1barより高い低温充填圧力が使用される。20barまでの圧力が可能である。濃度記載の換算は、前記のように行う、つまり絶対物質量がほぼ維持される。
【0046】
この場合、ハロゲンの添加は必ずしも必要であるとは限らない。なぜなら、タンタルは二硫化タンタルの形で結合する、つまり硫黄がタンタルを輸送する元素の機能を継承するからである。この場合に発光体への炭素の適切な返送ゆえに、比較的少ないタンタルが蒸発するのみであり、場合により低いバルブ温度において少量の二硫化タンタルの析出も受け入れることができる。
【0047】
比較的大きい水素過剰の使用が必要である場合、充填ガスによる非常に強い熱除去を回避するために、過剰の水素を再び−上記のように−比較的冷たい領域内でHIの形で結合することができる。
【0048】
特殊な場合(約600Kを下回る低いバルブ温度)では、水素が同時に存在することなく炭素、硫黄および塩素の添加物の使用が可能である。この場合、炭素のバルブ壁での析出はCClの生成により防止され、かつ硫黄はとりわけSClまたはSClの形で気相中に保持される。比較的高い温度に向かって、いわゆる化合物の解離により元素の炭素および硫黄は遊離し、その際、さらに上昇する温度により元素の炭素および硫黄は結合してCSになるかもしくはさらにより高い温度で結合してCSになる。CSは、上記のように発光体付近の高い温度で分解し、かつ炭素は発光体に供給し戻される。タンタルをハロゲン化タンタルの形で気相中で保持しなければならない場合、このために計量指示においてほとんど気がつかないぐらいの非常に少ないハロゲンのみが必要である。必要な元素の計量は、化合物CCl、CS、SCl、SCl、Cl、NClの形で行うことができる。
【0049】
元素の炭素、水素および硫黄が、ここで記載された濃度を含有する充填物中で使用される場合、硫黄を一部で酸素と置換できることが判明した。使用される硫黄の最高75%を酸素と置換することができる。酸素は、例えばNO、CO、CO、CHOのようなアルデヒド、アセトンCHCOCHのようなケトンの形で添加してよい。
【0050】
本発明は、とりわけ最大で50Vの電圧を有する低ボルト電球のために適している。なぜなら、該電球のために必要な発光体は比較的頑丈に設計されているので、そのため導線は少なくとも50μm、とりわけ80μm〜300μmの直径を有し、これがこの種の炭化物を基礎とする発光体の脆性の問題を著しく軽減するからである。とりわけ有利に、本発明は片側が圧搾された電球のために使用される。というのも、この場合、発光体は比較的短く保持することができ、これが破壊に対する脆弱性を同様に軽減するからである。この場合、今では少なくとも500時間の寿命が達成される。
【0051】
さらに、一般的にTa−ハロゲンサイクル過程がW−ハロゲンサイクル過程より明らかに感度が乏しいことが判明したことにより、この種の電球の実現に良い影響が及ぼされる。
【0052】
図面の概略
以下で、本発明を複数の実施例に基づいて詳細に説明する。図面は次のものを示す:
図1 炭化物−発光体を有する典型的な白熱電球を示す図;
図2 炭化物−発光体を有する他の典型的な白熱電球を示す図;
図3 炭化物−発光体を有する他の典型的な白熱電球を示す図。
【0053】
本発明の有利な実施態様
図1は石英ガラス1、ピンチ2、および箔4をピンチ2内で発光体6と接続している導入線3からなるバルブを有する片面が圧搾された白熱電球を示す。発光体はTaCからなるコイル線である。給電線5は箔の外側に取り付けられている。バルブの内径は5mmである。
【0054】
図2は硬質ガラス1、ピンチ2、およびピンチ2内で発光体6’と接続している導入線3’からなるバルブを有する片面が圧搾された白熱電球を示す。発光体6’はレニウムからなる心部および表面にTaC層を有するコイル線である。この発光体は、純粋に炭化物からなる発光体よりも容易に変形可能である。この場合、たいていまずレニウム導線を巻き、引き続きTaC−層を施与する。給電線5は直接、導入線3’の外側に、つまりピンチの領域に設置する。バルブの内径は30mmである。選択的に、発光体はタンタルにより被覆されている炭素繊維からなるより線である。TaC−層は、例えばタンタル−層の施与により、CVD法によるかまたはスパッタリングおよび引き続く浸炭により製造することができる。Ta−層の浸炭は、炭化水素を含有する雰囲気内で電球を作動させる場合に初めて実施してよい。
【0055】
図3は石英ガラスからなるバルブ21、2のピンチ24および25、発光体26と接続している導入線27を有する両面が圧搾された、管状電球としても公知の白熱電球20を示す。発光体26はTaCからなる帯材である。給電線25は、自体公知のようにピンチ上におさまる口金部28内で終わる。バルブの内径は15mmである。
【0056】
一般的に電球は、有利にコイル線または帯材からなる、炭化タンタルからなる発光体を有利に使用する。
【0057】
バルブは5mm〜35mm、有利に8mm〜15mmのバルブ直径を有する石英ガラスまたは硬質ガラスから製造されている。
【0058】
充填物は、場合により少量(15モル%まで)の窒素の混合下での、主として不活性ガス、とりわけアルゴン、クリプトンまたはキセノンのような希ガスである。さらに炭化水素、水素およびハロゲンが添加される。
【0059】
有利にコイル線である発光体物質として、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、またはUS3405328に記載されているような種々の炭化物の合金が適している。
【0060】
1つの代替案は、例えば心部としてのレニウム導線かあるいはむしろ炭素繊維のような担体材料からなる発光体であり、その際、この心部は炭化タンタルまたは他の金属炭化物により被覆されている。
【0061】
1barの低温充填圧力における充填物の基本的な規則として、0.1〜5モル%の炭素の割合が有効である。水素の割合は少なくとも炭素の割合、有利に炭素の割合の2〜8倍である。ハロゲンの割合は最大で炭素の割合の半分、とりわけ炭素の割合の5分の1〜20分の1である。有利なのは10分の1の最小値であり、その際、ヨウ素が水素の形成のために使用される。有利に、ハロゲンの割合は最大で水素割合、有利に最大で水素割合の半分に相当するべきである。ハロゲン割合に関する基準は500〜5000ppmであり、常に1barの低温充填圧力に対する。
【0062】
バルブ形状寸法を、バルブ壁温度が100℃〜700℃であるように選択する場合、不活性ガス、たいてい場合によりさらに窒素の混合物を含有する希ガスに、以下の添加物:
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−および臭化水素または臭素化した炭化水素(有利にCHBr、CHBrまたはCHBr)、
を混合することができ、そうして以下の全含有率:
炭素0.1%〜5%(有利に少なくとも0.25モル%)、水素0.2%〜20%(有利に少なくとも0.5モル%)、臭素0.05%〜0.5%
が気相中で1barの低温充填圧力で有利に存在する。
【0063】
バルブ形状寸法を、バルブ壁温度が150℃〜900℃であるように選択する場合、不活性ガス、たいてい場合により窒素の混合物を含有する希ガスに、以下の添加物:
−炭化水素(有利にCH、C、C、C);
−水素(H);
−塩化水素または塩素化された炭化水素(有利にCHCl、CHClまたはCHCl)
を混合することができ、従って以下の全含有率:
炭素0.1%〜5%(有利に少なくとも0.25モル%)、水素0.2%〜20%(有利に少なくとも0.5モル%)、塩素0.05%〜0.5%
が気相中で1barの低温充填圧力で有利に存在する。
【0064】
バルブ形状寸法を、バルブ壁温度が150℃〜600℃であるように選択する場合、不活性ガス、たいてい場合により窒素の混合物を含有する希ガスに、以下の添加物:
−炭化水素(有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−およびヨウ素、ヨウ化水素またはヨウ素化された炭化水素(有利にCHI);
を混合することができ、そうして以下の全含有率:
炭素0.1%〜5%(有利に少なくとも0.25モル%)、水素0.2%〜20%(有利に少なくとも0.5モル%)、ヨウ素0.05%〜0.5%
が気相中で1barの低温充填圧力で有利に存在する。
【0065】
一般的に、電球内に導入された全てのハロゲンの量が水素の全ての量より小さい場合、有利であることが判明した。有利なのは、電球内に導入された全てのハロゲンの量が、導入された全ての水素の量の5分の1〜25分の1であることである。
【0066】
バルブ形状寸法を、バルブ壁温度が150℃〜600℃であるように選択する場合、代替的に不活性ガス(場合によりさらに窒素の混合物を含有する希ガス)に以下の添加物:
−炭化水素(有利にCH、C、C、C);
−水素(H);
−およびヨウ素、ヨウ化水素またはヨウ素化された炭化水素(有利にCHI、CI);
を混合することができ、そうして以下の全含有率:
炭素0.1%〜5%(有利に少なくとも0.25モル%)、水素0.2%〜20%(有利に少なくとも0.5モル%)、ヨウ素0.1%〜20%(有利に少なくとも0.2%)
が気相中で1barの低温充填圧力で有利に存在し、その際、ヨウ素含有率および水素含有率はほぼ同じである;この場合、ヨウ素は遊離水素の濃度が大きくなりすぎることを回避するために、つまり電球の効率の上昇のために役立つ。
【0067】
バルブ形状寸法を、バルブ壁温度が150℃〜900℃であるように選択する場合、代替的に不活性ガス(場合によりさらに窒素の混合物を含有する希ガス)に以下の添加物:
−炭化水素(有利にCH、C、C、C);
−水素(H);
−塩化水素または塩素化された炭化水素(有利にCHCl、CHClまたはCHCl)、
−およびヨウ素、ヨウ化水素またはハロゲン化された炭化水素(有利にCHI;CI);
を混合することができ、そうして以下の全含有率:
炭素0.1%〜5%(有利に少なくとも0.25モル%)、水素0.2%〜20%(有利に少なくとも0.5モル%)、塩素0.05%〜0.5%、ヨウ素0.1%〜20%
が気相中で1barの低温充填圧力で有利に存在し、その際、ヨウ素含有率および水素含有率はほぼ同じである。
【0068】
バルブ形状寸法を、バルブ壁温度が150℃〜700℃であるように選択する場合、代替的に不活性ガス(場合によりさらに窒素の混合物を含有する希ガス)に以下の添加物:
−炭化水素(有利にCH、C、C、C);
−水素(H);
−臭化水素または臭素化した炭化水素(有利にCHBr、CHBrまたはCHBr)、
−およびヨウ素、ヨウ化水素またはヨウ素化された炭化水素(有利にCHI;CI);
を混合することができ、そうして以下の全含有率:
炭素0.1%〜5%(有利に少なくとも0.25モル%)、水素0.2%〜20%(有利に少なくとも0.5モル%)、臭素0.05%〜0.5%、ヨウ素0.1%〜20%
が気相中で1barの低温充填圧力で有利に存在し、その際、ヨウ素含有率および水素含有率はほぼ等しく、とりわけその比は2までである。
【0069】
炭素−水素−サイクルおよびハロゲン−サイクルと、シアン−サイクルとを重ね合わせる場合、充填物は加えてさらにシアン0.3モル%〜3モル%(該シアンは任意の方法で充填物に導入されていてよい)を含有する。
【0070】
10mmのバルブの直径およびTaCからなる発光体を有する電球に関して、以下の成分:クリプトン1bar(低温充填圧力)+C1%+H1%+CHBr0.05%〜0.3%(濃度記載はモル%である)からなる十分に具体的な充填物が存在する。とりわけCHBr0.2%の添加により最良の挙動が示される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】炭化物−発光体を有する典型的な白熱電球を示す図
【図2】炭化物−発光体を有する他の典型的な白熱電球を示す図
【図3】炭化物−発光体を有する他の典型的な白熱電球を示す図
【符号の説明】
【0072】
1 バルブ、 2 ピンチ、 3 導入線、 4 箔、 5 給電線、 6 発光体、 20 白熱電球、 21 バルブ、 24 ピンチ、 25 給電線、 26 発光体、 27 導入線、 28 口金部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体が充填物と共にバルブ内で真空気密して導入されており、その際、発光体が金属炭化物を含有し、該金属炭化物の融点がタングステンの融点より高い、炭素−サイクルを有する白熱電球において、発光体とバルブの壁との間隔が18mmより小さく、その際、炭素に関係する第1のサイクルを炭素、および充填物添加としての少なくとも1の他の元素、とりわけ水素の使用により実施し、かつその際、金属に関係する第2のサイクルを他の元素、有利にハロゲンの使用により実施することを特徴とする、炭素−サイクルを有する白熱電球。
【請求項2】
発光体が少なくともその表面が炭化タンタルからなるコイル線または帯材であることを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項3】
バルブが5mm〜35mm、有利に8mm〜15mmのバルブ直径を有する石英ガラスまたは硬質ガラスからなることを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項4】
充填物が不活性ガス、とりわけ希ガスを場合により少量の窒素混合下で含有し、ならびに少なくとも1の炭化水素、水素および少なくとも1のハロゲン添加物を含有することを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項5】
発光体がTaC、ZrC、HfCまたは種々の炭化物の合金、有利にTaCを含有する合金からなり、かつとりわけコイル線であることを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項6】
発光体が心部および該心部の表面の被覆からなり、その際、心部はとりわけレニウム導線または炭素繊維または炭素繊維の束であり、これ(ら)は炭化物により被覆されていることを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項7】
バルブの形状寸法を、バルブ壁温度が100℃〜700℃であるように選択することを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項8】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.1%〜5%、水素0.2%〜20%、臭素0.05%〜0.5%:
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−臭化水素HBrまたはハロゲン化された炭化水素、有利にCHBr、CHBrまたはCHBr
ことを特徴とする、請求項7記載の白熱電球。
【請求項9】
バルブの形状寸法を、バルブ壁温度が150℃〜900℃であるように選択することを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項10】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.1%〜5%、水素0.2%〜20%、塩素0.05%〜0.5%:
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−塩化水素HClまたはハロゲン化された炭化水素、有利にCHCl、CHClまたはCHCl
ことを特徴とする、請求項9記載の白熱電球。
【請求項11】
バルブの形状寸法を、バルブ壁温度が150℃〜600℃であるように選択することを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項12】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.1%〜5%、水素0.2%〜20%、ヨウ素0.05%〜0.5%:
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−ヨウ化水素HIまたはヨウ素Iまたはヨウ素化された炭化水素、有利にCHIまたはC
ことを特徴とする、請求項11記載の白熱電球。
【請求項13】
電球内に導入されたハロゲンの合計量が水素の合計量より少なく、その際、とりわけ電球内に導入されたハロゲンの合計量が、導入された水素の合計量の5分の1〜25分の1であることを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項14】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.1%〜5%、水素0.2%〜20%、ヨウ素0.1%〜20%:
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−ヨウ化水素HIまたはヨウ素Iまたはヨウ素化された炭化水素、有利にCHIまたはC
ことを特徴とする、請求項11記載の白熱電球。
【請求項15】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.1%〜5%、水素0.2%〜20%、塩素0.05%〜0.5%、ヨウ素0.1%〜20%:
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−塩化水素HClまたはハロゲン化された炭化水素、有利にCHCl、CHClまたはCHCl;
−ヨウ化水素HIまたはヨウ素Iまたはヨウ素化された炭化水素、有利にCHIまたはC
ことを特徴とする、請求項9記載の白熱電球。
【請求項16】
ヨウ素含有率および水素含有率の比は2までであることを特徴とする、請求項15記載の白熱電球。
【請求項17】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.1%〜5%、水素0.2%〜20%、臭素0.05%〜0.5%、ヨウ素0.1%〜20%:
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−臭化水素HBrまたは臭素化された炭化水素、有利にCHBr、CHBrまたはCHBr;
−ヨウ化水素HIまたはヨウ素Iまたはヨウ素化された炭化水素、有利にCHIまたはCI。
ことを特徴とする、請求項7記載の白熱電球
【請求項18】
ヨウ素含有率および水素含有率の比は2までであることを特徴とする、請求項17記載の白熱電球。
【請求項19】
付加的な炭素−窒素−サイクルが炭素−水素−サイクルを促進し、かつ同時にハロゲンが存在していることを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項20】
付加的にさらにCNまたはCS0.3モル%〜3モル%が気相中に存在することを特徴とする、請求項8または10または12または14または15または17記載の白熱電球。
【請求項21】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):
−炭素0.25%〜5%、硫黄0.05%〜5%、水素0.5%〜40%、
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−硫化水素HSまたは二硫化炭素CSまたはメチルメルカプタンCHSHまたはエチルメルカプタンCSHまたは硫化ジメチルCHCSCH
ことを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項22】
−電球内に導入された全ての元素の硫黄のモル濃度が、電球内に導入された元素の炭素のモル濃度の0.1〜1倍未満であり、かつ
−電球内に導入された全ての元素の水素のモル濃度が、有利に少なくとも炭素のモル濃度の4倍および硫黄のモル濃度の2倍の和であり;その際、とりわけ水素のモル濃度がこれらの最小量の8倍まででありうることを特徴とする、請求項21記載の白熱電球。
【請求項23】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.1%〜5%、硫黄0.05%〜5%、水素0.5%〜40%、ヨウ素0.2%〜40%
−炭化水素、有利にCH、C、C、C
−水素(H);
−硫化水素HSまたは二硫化炭素CSまたはメチルメルカプタンCHSHまたはエチルメルカプタンCSHまたは硫化ジメチルCHCSCH
−ヨウ化水素HIまたはヨウ化メチルCHIまたはヨウ化エチルC
ことを特徴とする、請求項1記載の白熱電球。
【請求項24】
−電球内に導入された全ての元素の硫黄のモル濃度が、電球内に導入された全ての元素の炭素のモル濃度の0.1〜1倍未満であり、かつ
−電球内に導入された全ての元素の水素のモル濃度が、有利に少なくとも炭素のモル濃度の4倍および硫黄のモル濃度の2倍の和であり;個別的には、水素のモル濃度が最小量の8倍まででありうる、かつ
−電球内に導入された元素のヨウ素のモル濃度が0.1%〜15%であり、かつ存在する全ての水素のモル濃度より小さいことを特徴とする、請求項23記載の白熱電球。
【請求項25】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.25%〜5%、硫黄0.05%〜5%、水素0.5%〜40%、塩素および臭素0.02%〜0.5%またはヨウ素0.02%〜40%(水素がヨウ素と結合すべき場合)
−炭化水素、有利にCH、C、C、C);
−水素(H);
−硫化水素HSまたは二硫化炭素CSまたはメチルメルカプタンCHSHまたはエチルメルカプタンCSHまたは硫化ジメチルCHCSCH
−ハロゲン化された炭化水素、例えば以下の化合物の1または2:CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CHI、CI、HCl、HBr、HI、Cl、Br、I
ことを特徴とする、請求項9記載の白熱電球。
【請求項26】
−電球内に導入された全ての元素の硫黄のモル濃度が、電球内に導入された全ての元素の炭素のモル濃度の0.1〜1倍未満であり、かつ
−電球内に導入された全ての元素の水素のモル濃度が、有利に少なくとも炭素のモル濃度の4倍および硫黄のモル濃度の2倍および塩素または臭素の1倍の濃度の和であり;個別的には、水素のモル濃度が最小量の8倍まででありうることを特徴とする、請求項25記載の白熱電球。
【請求項27】
不活性ガスのほかに、以下の添加物が充填物のためにバルブ内に含有されており、そうして気相中の全含有率が、1barの低温充填圧力に対して、有利に以下のように表される(mol%記載):炭素0.1%〜5%、硫黄0.02%〜5%、塩素0.42%〜30%、
−四塩化炭素CCl、二塩化二硫黄SClまたは二塩化硫黄SCl、場合によりさらに塩素Clまたは三塩化窒素NClまたは
−四塩化炭素CCl、二硫化炭素CSまたは塩素Clまたは三塩化窒素NCl
ことを特徴とする、請求項11記載の白熱電球。
【請求項28】
−電球内に存在する全ての元素の硫黄のモル濃度が、電球内に存在する全ての元素の炭素の量の0.1〜1倍未満であり;
−塩素のモル濃度が、有利に炭素のモル濃度の4倍および硫黄のモル濃度の2倍の和より大きいことを特徴とする、請求項27記載の白熱電球。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−512663(P2007−512663A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540156(P2006−540156)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002562
【国際公開番号】WO2005/055274
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390009472)パテント−トロイハント−ゲゼルシヤフト フユール エレクトリツシエ グリユーラムペン ミツト ベシユレンクテル ハフツング (152)
【氏名又は名称原語表記】Patent−Treuhand−Gesellschaft fuer elektrische Gluehlampen mbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, Muenchen, Germany