説明

炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末を調製するための方法

【課題】ホウ素含有量が高く、炭化ケイ素および炭化ホウ素相が良好に分散し、組成が制御された、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末を得ることができる方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末を調製するための方法に関し、このケイ素は炭化ケイ素の形態であり、ホウ素が、炭化ホウ素および/または遊離ホウ素の形態である。本発明の方法は、炭素系前駆体、ケイ素系前駆体およびホウ素系前駆体BX(Xがハロゲン原子である)を、これらの3つの前駆体の混合物を得るために接触させる工程と、得られた混合物をレーザー熱分解に供する工程と、を含み、ホウ素系前駆体BXは、接触工程の前におよび/または接触工程と同時に、この前駆体の縮合温度よりも高い温度に加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末を調製するための方法に関し、このケイ素は、炭化ケイ素形態であり、ホウ素は炭化ホウ素および/またはホウ素単独の形態である。
この粉末、例えば少なくとも5重量%のホウ素を含む粉末は、特にホウ素を含むので、容易に焼結され、従ってこの粉末から圧密化される部品の設計に役立つ。
故に、本発明の方法を用いて得られた粉末は、焼結によって得られた部品の設計に有用であり得る。
本発明の方法を用いて得られた粉末はまた、特にそれらが5重量%を超えるホウ素含有量を有する場合には自己修復マトリックスの設計に使用できる。このマトリックスの自己修復相は、酸素との接触面が可能な限り大きくなければならない。表面/体積比の理由から、それにより酸素に対する反応性が増大され、炭化ホウ素は低温およびより速い速度論にてB形態に酸化する。
【背景技術】
【0002】
これまで、炭素、ケイ素およびホウ素を含有する粉末は、以下の3つのタイプの技術を用いて製造されてきた:
−機械的合金化技術;
−溶液経路を用いる技術;
−熱経路を用いる技術。
機械的合金化技術は、クラッシャーまたはボールミルタイプのデバイスにおいて、炭化ケイ素相および炭化ホウ素相を有する均質混合粉末を得るために十分な時間(多くの場合数時間)、炭化ケイ素(SiC)および炭化ホウ素(BC)のサブミクロンサイズの粉末を機械的に粉砕することからなる。しかし、この技術を用いてナノメートルサイズの粉末を得ることは報告されていない。さらに、粉末の機械的ミル加工は、得られた粉末がミル加工装置を起源とする元素によって汚染される場合がある。結果として、このプロセスから誘導された粉末は、高純度の粉末を必要とする用途には使用できない。
【0003】
溶液技術によれば、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末は、ケイ素系前駆体、炭素系前駆体およびホウ素系前駆体を用いるゾル−ゲルプロセスを介して合成される。そのことは特に、それぞれ下記を含む、Zhi−min et al.(Trans.Nonferrous Met.Soc.China,16(2006),470−473)に記載されるプロセスの場合にもあてはまる:
−テトラエトキシシラン、エタノール、スクロースおよび水を混合する工程;
−得られた混合物にトリブチルボレートを添加する工程であって、そのpHは、均質化されるまで3〜4の値に維持される、工程;
−60℃のオーブン中で乾燥させ、ゲルを得る工程;
−形成されたシリカの炭熱還元工程。
【0004】
熱経路を介した技術によれば、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末は、異なる熱源、例えばレーザー(この場合、レーザー熱分解という用語が使用される)またはプラズマを用いてガス状前駆体から調製できる。
例えば、非特許文献1では、レーザー熱分解を用いて、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末が、前駆体:SiH−C−Bの混合物から、ホウ素含有量が4重量%を超えずに合成された。この合成モードは、とりわけ、ジボランBを用いるという欠点を有し、これは高コストの不安定なガスであり、この理由から、上述の含有量より高いホウ素含有量を有する粉末を製造するために使用するのは難しい。
【0005】
非特許文献2では、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末が、固体のケイ素、三塩化ホウ素BClおよびメタンCHを含む混合物から熱プラズマの使用を通して合成された。この合成モードを用いて得られた粉末は、4重量%未満のホウ素を含み、最終的に炭化ホウ素相(BC)は得られず、窒化ホウ素が得られる。窒化ホウ素の形成は、次の反応による、一時的に形成された炭化ホウ素上でのプラズマから誘導された窒素Nの反応によって生じる:
(1/2)BC+N→2BN+(1/2)C
さらに、この方法を用いて得られた粉末はサブミクロンサイズを有する。
【0006】
他の著者は、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末を熱プラズマを用いて、特に高周波プラズマトーチ、例えばSaiki et al(特許文献1)を用いて、SiCl、CHおよびBClの混合物のような試薬の混合物から出発して合成しようと尽力しているが、炭化ホウ素粒子のホウ素分布が劣ったサブミクロン粉末が得られ、ホウ素含有量は5重量%を超えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,847,060号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Vassen et al.(Journal of Materials Science 31(1996)3623−3637)
【非特許文献2】Guo et al.(Journal of Materials Science,32(1997),5257−5269)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術の方法の欠点に基づいて、本明細書の著者は、炭化ケイ素および炭化ホウ素および/またはホウ素単独の形態にて、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末を調製するための方法を提案することを目的として設定した。この方法は、実施が簡便で、低コストであり、工程および試薬の妥当な組み合わせにより、次の特徴を満たすことができる粉末を得ることができる:
−ナノメートルサイズの粉末の構成粒子;
−狭いサイズ分布;
−高い場合があるホウ素含有量(例えば、可能性として、粉末に存在する他の元素の総重量に対して30重量%に達する);
−炭化ケイ素および炭化ホウ素相の良好な分散;
−特に比Si/B、Si/CおよびB/Cに関する粉末の制御された組成。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、本発明は、炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末を調製するための方法に関し、このケイ素は炭化ケイ素の形態であり、ホウ素は、炭化ホウ素および/またはホウ素単独の形態であり、次の工程:
−炭素系前駆体、ケイ素系前駆体およびホウ素系前駆体BX(Xがハロゲン原子である)を、これらの3つの前駆体の混合物を得るために接触させる工程;
−得れた混合物をレーザー熱分解に供する工程、
を含み、ホウ素系前駆体BXは、接触工程の前におよび/または接触工程と同時に、その縮合温度よりも高い温度に加熱される。
【0011】
この新しく実施された方法は、次の利点をもたらす:
−合成された粉末中に、方法に使用されたホウ素系前駆体の量の程度までホウ素を組み込み、得られた粉末において高いホウ素含有量が、所望により得られる;
−ナノメートルの平均粒径を有し、狭いサイズ分布を有する粉末が得られる。
【0012】
故に、上述したように、本発明は、ホウ素系前駆体BX(Xはハロゲン原子である)を、接触工程の前および/または接触工程中に、その縮合温度より高い温度、例えば40〜60℃の範囲の温度まで加熱する工程を含む。このような様式で進められることによって、前駆体の縮合は、それが熱分解に供される前に防止され、それによってこうした縮合により粉末に組み込むことができない量の前駆体が得られるのを妨ぐことができる。この工程によって、この方法を実施するために使用される前駆体由来のホウ素全体が、粉末の構成要素部分となる。そのため、使用されるホウ素前駆体量を調節することによって、粉末に組み込まれるホウ素の量を直接予測可能であり、それによってホウ素含有量を制御できる。この加熱工程は、ホウ素系前駆体の縮合を排除するので、方法を実施するために使用される装置の損傷、例えばホウ素系前駆体の縮合から生じる生成物による注入ノズルの目詰まりによる損傷も防止される。
【0013】
加熱工程は、接触工程の前、例えばホウ素系前駆体と他の前駆体(すなわち、ケイ素系前駆体および炭素系前駆体)と接触する前に行われることができ、この加熱工程は、可能性としてホウ素系前駆体を含むエンクロージャ中で行われ(このエンクロージャは可能性として、例えば少なくとも0.4barの出口圧力を有する容器である)、および/または他の前駆体と接触するチャンバーにこの前駆体を運ぶことを目的とした前駆体の注入ダクト中で行われる。
加熱工程は、BXの縮合の回避に加えて、BXの流速を増大させ、特に多量の粉末を得るのに十分な流速(例えば100g/hの速度)に近づけることができる。
加熱工程はまた、接触工程中に行われてもよく、この場合加熱工程は、この工程中に接触するすべての前駆体が関与する。
【0014】
本発明の意味において、熱分解工程の前にホウ素系前駆体の縮合が生じないように、加熱工程を接触工程の前および接触工程中の両方において行うことができることも、排除されない。
ホウ素系前駆体は、三塩化ホウ素BClであってもよい。
ホウ素系前駆体が三塩化ホウ素BClである場合、それは接触工程の前、および/または接触工程と同時に40〜50℃の範囲の温度に加熱されてもよい。
【0015】
上述したように、本発明の方法は、レーザー熱分解の前に、ホウ素系前駆体BX(Xはハロゲン原子である)、炭素系前駆体およびケイ素系前駆体を接触させる接触工程を含む。好ましくはホウ素系前駆体は三塩化ホウ素である。
炭素系前駆体は、メタンのようなアルカン、エチレンのようなアルケン、およびアセチレンのようなアルキンから選択される化合物であってもよい。
好ましくは、炭素系前駆体は、ガス状アルキン、例えばアセチレンCであってもよく、これは、メタンCHおよびエチレンCより迅速に低温で分解するので、特に熱分解工程中に極めて高い反応性を有する。
【0016】
ケイ素系前駆体は、好ましくはシラン化合物、例えばSiHである。
好ましくは、ホウ素系前駆体はBClであり、炭素系前駆体はアセチレンCであり、ケイ素系前駆体はSiHであり、前駆体のこの混合物は、コストの観点から有利であり、さらに特にサイズおよび組成の観点にて均質粉末を得る目的で、本発明の方法に特に非常に適した熱動力学的特性を有する。
【0017】
炭素系前駆体、ケイ素系前駆体およびホウ素系前駆体は、通常通り、混合チャンバー中で接触され、ホウ素系前駆体の縮合温度を超える温度に加熱できる。炭素系前駆体、ケイ素系前駆体およびホウ素系前駆体の注入は、チャンバー中で別々に行われるのが有利であり、その結果チャンバー内部で接触する前に前駆体間の接触はない。これはまた、前駆体が混合チャンバー中に置かれる前に、前駆体間の化学反応を回避できる。この目的のために、混合チャンバーは、3つの分離注入オリフィスを備えることができる。好ましくは前駆体のチャンバー中への注入は、垂直に行われ、それは換言すれば、前駆体は垂直チャンバーにおいてその上方部分にて注入され、次いでそれらが注入された後はチャンバーの下方部分にて重力の作用の下で濃縮されることを意味する。
前駆体は、所望の粉末の特徴(特にホウ素含有量、炭素含有量およびケイ素含有量の観点において)に関連した所定速度にて注入される。
【0018】
次いで、得られた混合物は、レーザー熱分解工程に供される。
レーザー熱分解は、ガス状態の前駆体(本明細書の場合では、炭素系前駆体、ホウ素系前駆体およびケイ素系前駆体)と、レーザー、一般にCOレーザーとの相互作用に基づき、この相互作用は、レーザーの発光スペクトルと前駆体の吸収スペクトルとの間の共鳴として解釈される。吸収は、前駆体分子の振動レベルの励起に対応し、レーザー放射エネルギーを吸収する。励起された前駆体分子のエネルギーは、分子から分子に伝搬され、それらの解離を生じ、それによって過飽和蒸気を形成し、そこで粉末の構成粒子の核形成および成長が生じる。次いで「白熱」炎と呼ばれる炎が認められる場合がある。形成された粒子は、炎から離れる際に徐冷作用を受け、その作用により粒子の成長が停止する。
【0019】
実用的な観点から、上述の混合工程中に得られた混合物は、通常通り、レーザー熱分解チャンバー中に注入ノズルを介して注入され、そのチャンバー中でレーザービームが放出される。熱分解チャンバー中の圧力は、100mbar〜900mbarの範囲であってもよい。
使用されるレーザーは、ガスレーザー、特に赤外線にて放出可能な二酸化炭素レーザー(それらの主要波長帯は9.4〜10.6μmである)であってもよい。このレーザーの出力は、20000W程度に高くなってもよく、例えば200〜700Wの範囲であってもよい。
【0020】
混合物の各画分(すなわちレーザービームが通過する混合物の画分)は、短い滞留時間、例えば1〜10msにて、可能性として1000℃〜2500℃を超える範囲の温度に供される。
この方法は、炭素、ケイ素およびホウ素を含むナノメートル粉末を導き、このケイ素は炭化ケイ素の形態であり、ホウ素は炭化ホウ素および/または遊離ホウ素の形態であり、炭化物の形態で存在するものに加えて炭素は、可能性としてまた遊離炭素の形態である。得られた粉末は、狭いサイズ分布を有し、粉末中に存在する他の元素の総重量に対して1〜30重量%の範囲のホウ素含有量を有していてもよい。
【0021】
得られた粉末は、有利なことには、ナノメートル粒子からなり、それら自体は、炭化ホウ素BCおよび炭化ケイ素SiC相からなるのが有利である。
この方法を用いて得られた粉末は、次いでコレクターデバイス中で回収できる。
これらの粉末は、粉末のナノメートル性質に起因する有利な機械的特性を有する焼結部分を形成するために、または自己修復マトリックスを製造するために使用できる。
【0022】
本発明の方法は、それぞれ次を含むデバイス中にて実施できる:
−注入チャンバーであって、その中に前駆体が注入され、このチャンバーは、加熱された混合チャンバー、チャンバーの上方部分に連結された注入ロッド、チャンバーの側部に連結された、異なる前駆体の別個の注入を可能にする2つの注入ロッド、熱分解チャンバーへの注入を可能にする注入ノズルで構成できる、チャンバー;
−熱分解チャンバーであって、このチャンバー中で前駆体混合物と相互作用し上述の粉末を形成するレーザービームが放出される、チャンバー。
ここで本発明は、例示のために与えられ、非限定である次の実施例を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の方法を実施可能にできる反応器の概略図である。
【図2】以下に記載される実施例に従って得られた粉末のX線回折図(X軸は、角度2θを表し、Y軸は強度I(任意単位a.u.)を表す)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施例)
本実施例は、次の要素を含む図1に例示される反応器1にて行われるレーザー熱分解による、炭化ケイ素相および炭化ホウ素相両方を含む粉末の調製を例示する:
−前駆体が注入され、次いでレーザー熱分解に供される前に混合される注入チャンバーであって、このチャンバーは、加熱された混合チャンバー5、チャンバーの上方部分に連結された注入ロッド7、チャンバーの側部に連結された2つの注入ロッド9、熱分解チャンバーへの混合物の注入を可能にする注入ノズル13;注入ノズルの周りに配置された閉じ込め送管15で構成される、チャンバー;
−レーザービーム19がレーザー放出デバイス21から放出される熱分解チャンバー17であって、ここで前駆体の混合物と相互作用し、上述の粉末を形成する、チャンバー。
【0025】
閉じ込め送管は、まず、製造された粉末を層流内に含有させることができ、第2に、反応チャンバーの金属壁との接触を防止し、それによって可能性としての汚染を回避する。
操作プロトコルは次の通りである。
混合チャンバーへの注入は以下の前駆体:
−ケイ素系前駆体:SiH
−炭素系前駆体:アセチレンC
−ホウ素系前駆体:BCl
について、次のそれぞれの流速:3.6、1.8および0.14L/分で行われ、この流速は質量流量調節器によって制御される、
これらの前駆体は、45℃の温度に加熱されたチャンバーにて混合される。
【0026】
この実施例において、三塩化ホウ素BClは、注入ロッド7を介してチャンバーに注入される一方で、アセチレンおよびSiHは、注入ロッド9および11を介してチャンバーに注入される。
ホウ素系前駆体BClは、注入ロッドを通過する前および通過中の両方において、反応器に注入される前に45℃に予め加熱される。
ホウ素系前駆体BClは、それが含有される容器から誘導され、この容器は少なくとも0.4barの出口圧力を有し、この容器は45℃に加熱され、撹拌されてその中の熱の拡散を加速させ、こうしてホウ素系前駆体BClを移動させる。
【0027】
混合チャンバー中に得られた前駆体混合物は、次いで注入ノゾルを介して熱分解チャンバーに、7.2L/分の流速で注入され、そこで5000Wの操作出力にて滞留時間2.8msで使用される赤外(IR)レーザービーム、より精密にはCOレーザーに供される。
熱分解チャンバーを離れる際の粉末の製造速度は、391g/Lのオーダーである。
得られた粉末は以下の技術を用いて分析された:
−X線回折。その回折図を図2に示す;
−透過顕微鏡の下での粉末サンプルの観察。
【0028】
上記で定義されたプロトコルに従って得られたサンプルのX線回折図において、以下の相の存在が認められた:
−その存在が図2において矢印によって示される炭化ケイ素相β−SiC;
−その存在が2つの別個の矢印によって示され、非晶性炭化ホウ素相が少数である結晶性炭化ホウ素相および非晶性炭化ホウ素相。
回折図における回折ピークの幅は、これらの粉末を形成する結晶子のナノメートル性質を示す。
【0029】
得られた粉末はまた、その中に存在する各化学元素の重量%を決定するために元素化学分析の対象とした。
元素化学分析で得られた値は次の通りである:
ホウ素:27重量%
ケイ素:36重量%;
炭素:28重量%;
酸素:8重量%
測定エラーは、可能性として元素に応じて2〜3重量%のオーダーである。
2つの方法を用いて、粉末の構成粒子の平均サイズ(すなわちその平均直径)の測定を行った:
−粉末の透過電子顕微鏡によるものであって、これにより25nmの平均粒径を、この値付近を中心とする狭いサイズ分布と共に決定できた;
−BET方法を用いる比表面積の測定、およびヘリウム比重を用いる密度測定によるものであって、これにより22nmの平均粒径を決定できた。
BET方法を用いて、BET比表面積も102m/gと決定された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素、ケイ素およびホウ素を含む粉末を調製するための方法であって、このケイ素は炭化ケイ素の形態であり、ホウ素が、炭化ホウ素の形態および/または遊離ホウ素であり、次の工程:
−炭素系前駆体、ケイ素系前駆体およびホウ素系前駆体BX(Xがハロゲン原子である)を、これらの3つの前駆体の混合物を得るために接触させる工程;
−得れた混合物をレーザー熱分解に供する工程、
を含み、ホウ素系前駆体BXは、接触工程の前におよび/または接触工程と同時に、この前駆体の縮合温度よりも高い温度に加熱される、方法。
【請求項2】
前記ホウ素系前駆体が三塩化ホウ素BClである、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記炭素系前駆体が、アルカン、アルケンおよびアルキンから選択される、請求項1または2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記炭素系前駆体がアセチレンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ケイ素系前駆体がシラン化合物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ケイ素系前駆体がSiHである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ホウ素系前駆体が三塩化ホウ素であり、前記炭素系前駆体がアセチレンであり、前記ケイ素系前駆体がSiHである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ホウ素系前駆体が三塩化ホウ素BClである場合、この前駆体が、接触工程の前および/または接触工程と同時に、40〜50℃の範囲の温度に加熱される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接触工程が、前記炭素系前駆体、前記ケイ素系前駆体および前記ホウ素系前駆体が別々に注入されるチャンバー中にて行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザー熱分解工程に使用されるレーザーがガスレーザーである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ガスレーザーが二酸化炭素レーザーである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記粉末が、該粉末に存在する元素の総重量に対して1〜30重量%の範囲のホウ素含有量を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記粉末がナノメートル粒子の形態である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記粉末が、BCおよびSiC相で形成されたナノメートル粒子で構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−525313(P2012−525313A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507768(P2012−507768)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055829
【国際公開番号】WO2010/125149
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(510097644)コミッサリア ア ロンネルジー アトミック エ オ ゾンネルジー ザルテルナティーフ (33)
【Fターム(参考)】