説明

炭素繊維の製造方法

【課題】耐炎化処理を安定して行え、高品質な炭素繊維を得ることができ、装置周囲への炉内ガスの漏れ出しを低減できる炭素繊維の製造方法を目的とする。
【解決手段】熱風加熱手段で加熱された熱風を循環させて前駆体繊維束を耐炎化処理する耐炎化工程と、該耐炎化処理により得られた耐炎化繊維を炭素化処理する炭素化工程と、該炭素化工程で送出された排出ガスと外気とを熱交換させる熱交換工程と、該熱交換工程で加熱された加熱外気を前記耐炎化工程の熱風に給気する加熱外気給気工程と、を有する炭素繊維の製造方法であって、耐炎化工程の熱風に加熱外気を給気開始してから、定常運転に至るまでの間に給気される該加熱外気の1時間当たりの熱量を、該定常運転時に給気される加熱外気の1時間当たりの熱量の20〜50%ずつ増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は、比強度、比弾性率、比抵抗、耐薬品性などに優れることから、繊維強化樹脂の補強繊維などとして用いられている。炭素繊維は、例えば、前駆体繊維としてポリアクリロニトリル系繊維(以下、PAN系繊維と記す)を用いた場合、下記の工程を行う炭素繊維製造装置により製造される。
耐炎化炉にて、空気などの酸化性気体中、200〜300℃の温度で前駆体繊維束を耐炎化処理して耐炎化繊維束を得る耐炎化工程。
炭素化炉にて、不活性雰囲気中、300〜2000℃の温度で耐炎化繊維束を炭素化処理して炭素繊維束を得る炭素化工程。
【0003】
該耐炎化工程では、通常、酸化性気体の熱風を循環させる熱風循環型の耐炎化炉が用いられている。この熱風循環型の耐炎化炉では、該耐炎化炉内に設けられた熱処理室内に前駆体繊維である多数の前駆体繊維束をシート状に引き揃えて走行させ、シート状に並列されたそれら前駆体繊維束を、熱処理室の外部で一方と他方とに夫々備えられる多数の各ロールに掛け回し、走行方向を一方と他方とに交互に変更させながら、多段に走行させる構成となっている。これら走行される連続した前駆体繊維束は、鉛直方向より200℃以上の熱風を吹き付けて加熱され、所望の耐炎化密度になるまで酸化反応されることで、耐炎化処理される。
【0004】
前記耐炎化工程においては、前駆体繊維束を構成する単繊維同士の膠着が発生しやすいため、前駆体繊維束にはあらかじめシリコン系油剤が塗布されている。
しかし、前駆体繊維束の耐炎化処理を長時間続けた場合、耐炎化炉内を循環する熱風(酸化性気体)中のシリコン系油剤に由来する揮発性珪素が高濃度となり、該揮発性珪素が珪素化合物などの粒子状物となって耐炎化炉内に蓄積する。前記珪素化合物などの粒子状物が耐炎化繊維に付着して、耐炎化繊維を汚染する恐れがある。また、耐炎化工程においては、前駆体繊維束の酸化反応によって、耐炎化炉内でシアン化合物、アンモニア、一酸化炭素、タール分などの各種化合物(以下「炉内ガス」と省略する)が発生し、耐炎化炉周辺の環境を汚染する恐れがある。
そのため、耐炎化炉内を循環する熱風を少しずつ排出しながら、新鮮な外気を耐炎化炉内に少しずつ給気して、熱風中の揮発性珪素や炉内ガス濃度を低減することが通常行われている。
ところが、温度の低い外気を耐炎化炉に給気した場合、耐炎化炉内の熱風に温度斑が生じて、前駆体繊維束の発火や糸切れが引き起こされるなど、耐炎化処理を安定して行えない場合がある。したがって、外気を加熱してから耐炎化炉に給気することが望まれる。
【0005】
ところで、一般に、炭素化工程を行う炭素化炉からも、炉内ガスの低減のために排出ガスが排気される。該排出ガスは、熱交換器を用いて所定温度まで冷却されてから、フィルターによって珪素化合物などの粒子状物が除去された後、系外に排出される。なお、該フィルターの実用耐熱限界は通常200℃程度であり、炭素化炉からの高温の排出ガスをそのままフィルターに送入させるとフィルターの機能が損なわれる恐れがある。また、前記排出ガスには、前駆体繊維の添加物に由来する硫黄酸化物が含まれるため、排出ガスを冷却しすぎると、排出路内に排出ガスが結露し、該排出路が腐食する恐れがある。したがって、熱交換器から送出される排出ガスは、熱交換によって160〜180℃の温度範囲になるように調整される。なお、前記熱交換器からは、温度調整された排出ガスとは別に、排出ガスとの熱交換によって加熱された外気(以下、加熱外気と称する。)が得られる。
そこで、特許文献1には、前記熱交換器から得られる加熱外気を、耐炎化炉に給気する加熱外気として利用する方法が提案されている。この方法によると、耐炎化炉内の熱風に温度斑を生じずに、該熱風中の揮発性珪素や炉内ガス濃度を低減できるとされている。また、前記熱交換器からの加熱外気の再利用が図れ、耐炎化炉内の熱風加熱器の負担を軽減できることから、省エネや製造コストの節減にも繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−057223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、熱交換器で加熱外気の送出量や温度が変動すると、それがそのまま耐炎化炉に給気されることになり、耐炎化炉外に熱風が漏れ出すことによる装置周囲の環境の汚損や、熱風の温度斑を生じることによる前駆体繊維束の発火や糸切れが引き起こされやすい。前駆体繊維束の発火や糸切れが引き起こされると、最終製造物である炭素繊維束の品質が低下することになる。特に、装置の運転開始後しばらくの間は、繊維が徐々にその走行速度を上げて定常走行速度に至る段階であり、定常速度に達した以降に比べて耐炎化繊維の炭素化が不安定であるため、排出ガス温度が変動しやすく、前記問題が顕著となる。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、耐炎化処理を安定して行え、高品質な炭素繊維を得ることができ、さらに装置周囲への炉内ガスの漏れ出しを低減できる炭素繊維の製造方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用した。
(1)熱風加熱手段で加熱された熱風を循環させて前駆体繊維束を耐炎化処理する耐炎化工程と、
該耐炎化処理により得られた耐炎化繊維を炭素化処理する炭素化工程と、
該炭素化工程で送出された排出ガスと外気とを熱交換させる熱交換工程と、
該熱交換工程で加熱された加熱外気を前記耐炎化工程の熱風に給気する加熱外気給気工程と、
を有する炭素繊維の製造方法であって、
耐炎化工程の熱風に加熱外気を給気開始してから、定常運転に至るまでの間に給気される該加熱外気の1時間当たりの熱量を、該定常運転時に給気される加熱外気の1時間当たりの熱量の20〜50%ずつ増加させることを特徴とする炭素繊維の製造方法。
(2)前記耐炎化工程の熱風に給気する加熱外気の有する熱量が、前記熱風加熱手段によって熱風に加えられる熱量の50%以下であることを特徴とする(1)に記載の炭素繊維の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炭素繊維製造装置を用いた炭素繊維の製造方法によれば、耐炎化処理を安定して行え、高品質な炭素繊維を得ることができ、さらに装置周囲への炉内ガスの漏れ出しを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態例の炭素繊維製造装置の構成を示す概略図である。
【図2】熱交換器を複数台備えた本発明の他の実施形態例の炭素繊維製造装置の構成を示す概略図である。
【図3】耐炎化炉を複数台備えた本発明の他の実施形態例の炭素繊維製造装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施形態例の炭素繊維製造装置は、熱風を循環させて前駆体繊維束Fを耐炎化処理する耐炎化炉1と、耐炎化炉1で耐炎化処理された耐炎化繊維を炭素化処理する炭素化炉12と、炭素化炉12から送出された排出ガスと外気との間で熱交換を行う熱交換器14と、熱交換器14から送出された加熱された外気(加熱外気)を耐炎化炉1に給気する加熱外気給気路18とを有する。
さらに、この炭素繊維製造装置は、加熱外気給気路18を流れる加熱外気の風量を検出する風量検出手段27と、加熱外気給気路18を流れる加熱外気の風量を調整する風量調整手段28と、風量検出手段27からの情報に基づいて、風量調整手段28を制御する制御手段21とを備える。
【0013】
耐炎化炉1には、前駆体繊維束Fに熱風を吹き付けて耐炎化処理するための熱処理室2が設けられている。熱処理室2内は、多数本の前駆体繊維束Fが水平面(本紙面に垂直方向の面)に並んだ前駆体繊維束群(以下「パス」と略する。)を形成して走行するように構成されている。これらのパスを形成している前駆体繊維束Fは、熱処理室2の外部に配設された所定組の折返しローラー(不図示)によって折り返されて熱処理室2に繰り返し供給され、複数段のパスを形成している。
【0014】
この耐炎化炉1において、熱処理室2の一方側には側壁19aが設けられ、熱処理室2の他方側には側壁19bが設けられている。また、熱処理室2の上方には熱風吹出し口3が設けられ、熱風吹出し口3の上方には上方流路7が設けられている。上方流路7の一方端には、ファン6が設けられている。熱処理室2の下方には熱風吸気口4が設けられ、熱風吸気口4の下方には下方流路8が設けられている。下方流路8には、熱風排出口11が設けられている。また、熱処理室2内には温度検出手段20が設けられている。
熱処理室2と側壁19aを隔てた一方側には、上方流路7と下方流路8とを連通する熱風循環路9が設けられている。熱風循環路9には熱風加熱手段5および加熱外気給気口10が設けられている。
耐炎化炉1内の熱風流路は、上方流路7、下方流路8、熱風循環路9により形成され、熱風は図1中の矢印Hに示すように循環する。
【0015】
熱風吹出し口3および熱風吸気口4は、熱風を均一に前駆体繊維束Fへ分散したり、熱処理室2内の温度斑を解消するために設けられている。熱風吹出し口3および熱風吸気口4としては、例えばメッシュ板やパンチング板などの熱風透過性の板状部材が使用される。
熱風加熱手段5は、熱風を前駆体繊維束Fの耐炎化に必要な温度まで加熱するために設けられている。熱風加熱手段5としては、耐炎化炉1内の熱風を200〜300℃程度に加熱できるものであればよく、例えばガスヒーター、電気ヒーター、熱媒ヒーター等が挙げられる。
ファン6は、熱風を循環させるために設けられている。ファン6としては、熱風を所望の風速にすることのできるものであればよい。
【0016】
加熱外気給気口10は、耐炎化炉1内に加熱外気を給気するために設けられている。該加熱外気給気口10を設ける位置は熱処理室2の入口部にあたる熱風吹出し口3付近で温度がより均一になるようにファン6の上流部、すなわちこの実施形態例のように熱風循環路9に設けることが好ましいが、これに限定されることはなく、熱風流路内のいずれの位置に設けられていても構わない。また、加熱外気給気口10から給気される加熱外気の温度は、熱処理室2の設定温度(200℃以上)から400℃までの間が好ましい。
【0017】
熱風排出口11は、耐炎化炉1内の熱風の一部を系外に排出するために設けられている。熱風排出口11から揮発性珪素を含む熱風が排出されることで、熱風流路内の揮発性珪素の濃度が低減され、前駆体繊維束Fのケバ発生や異物の付着を低減できる。熱風排出口11は、熱処理室2で発生した揮発性珪素を速やかに耐炎化炉1外に排出するため、この実施形態例のように下方流路8に設けるのが好ましいが、これに限定されることはなく、前記熱風流路の何れの位置に設けても構わない。なお、熱風排出口11には、前記排出ガスを系外に排出するための排出路(不図示)が取り付けられている。該排出路には、必要に応じて、炉内ガスを燃焼して分解する排出ガス処理装置や、珪素化合物などの粒子状物を除去するためのフィルターなどが設けられる。
【0018】
温度検出手段20は、耐炎化炉1外に設けられている制御手段21に電気的に接続され、制御手段21は熱風加熱手段5と電気的に接続されている。制御手段21は、温度検出手段20からの温度検出信号に基づいて、熱風加熱手段5に温度制御信号を送ることで、熱風加熱手段5の出力を制御可能に構成されている。これにより前記加熱外気の風量や温度が変動した場合にも、熱処理室2内の温度が一定に保たれやすくなる。温度検出手段20としては、熱電対、測温抵抗体などの温度計が挙げられる。
【0019】
制御手段21は、市販品にて構成してもよく、また専用のハードウエア、ソフトウエアにて構成してもよい。
また、制御手段21には、必要に応じて、入力装置、表示装置などの周辺装置が接続される。該入力装置としては、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボードなどの入力デバイスが挙げられ、該表示装置としては、CRT、液晶表示装置などが挙げられる。
【0020】
次に、耐炎化炉1の後段に設けられる炭素化炉12および炭素化炉12からの排出ガスが通過する各種手段について説明する。
炭素化炉12は、耐炎化工程の後工程である炭素化工程を行うための装置である。炭素化炉12としては特に限定されず、公知の炭素化炉を用いることができる。
炭素化炉12からは、炭素化炉12からの排出ガスを流す炭素化炉排気路17が延びている。炭素化炉排気路17は、炭素化炉12から近い順に、燃焼用外気導入口16、炭素化炉排出ガス処理装置13、熱交換器14、温度検出手段26、フィルター24、送風機25を連通して、最終的に排出ガスが系外に排出されるように設けられている。
本発明の炭素繊維製造装置において、炭素化炉12は炭素化処理を行う炭素化炉であってもよく、該炭素化処理の前段階として、炭素化処理より低い温度で前炭素化処理を行う前炭素化炉であってもよい。また、炭素化炉12は単数とは限らず、複数設けられていてもよい。
【0021】
炭素化炉排出ガス処理装置13は、炭素化炉12からの排出ガスを燃焼させ、排出ガスに含まれるシアン、アンモニア、一酸化炭素、タール分などを分解処理する装置である。具体的には、炭素化炉排出ガス処理装置13に燃料および空気を給気し、燃料を燃焼させることで発生した高温部(図示略)に、排出ガスを接触させることによって、排出ガスを燃焼処理する装置である。なお、前記燃料には、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)などの気体燃料、または灯油、軽油などの液体燃料を用いることができる。
【0022】
熱交換器14は、外装を形成する筐体23と、熱交換器14内を貫通する熱交換路22とにより構成され、熱交換路22を流れる外気と、炭素化炉排気路17から熱交換器14内に送入された排出ガスとの間で熱交換を行うために設けられている。また、本発明において、熱交換器14は耐炎化炉1に給気する外気を加熱する手段としても機能する。熱交換器14としては、チューブ式熱交換器、多管式熱交換器、プレート式熱交換器などが挙げられ、Si化合物等の粒子状物に起因する閉塞防止のため、閉塞防止機構を備えたものであれば特に限定されないが、チューブ式熱交換器が最も好ましく用いられる。また、熱交換路22の一端には、外気を熱交換路22に送入するための送風機15が連結されている。
熱交換路22の他端には、加熱された外気を耐炎化炉1に給気するための加熱外気給気路18が連結されている。加熱外気給気路18の熱交換路22が連結されていない他端は、耐炎化炉1の加熱外気給気口10に連結されている。
熱交換器14は図1のように単数であってもよく、図2に示すように、複数設けられていてもよい。一般に、炭素化炉排出ガス処理装置13から送出される排出ガス温度は800℃以上であり、熱交換器14を複数設けることで、高温での耐熱が必要な部分を小さくすることができ、トータルでの設備費を安くすることが可能であり、また、余剰熱を廃熱ボイラ等の他の熱源に活用し易い、などの利点がある。
送風機15は、熱交換器14内外に設けられた熱交換路22に外気を送り込むために設けられている。送風機15としては特に限定されず、設置場所、外気の送入風量などを考慮し、適宜選定される。
【0023】
熱交換路22は、図1において、熱交換器14内に3回貫通(3パス)されて構成されているが、本発明はこれに限らず、1パスでもよく、2パス以上でもよい。
フィルター24は、珪素化合物などの粒子状物を除去するために設置される。フィルター24としては、捕捉粒子径、圧損、耐熱温度、耐久性等を考慮し適宜選定されるが、フッ素樹脂、ガラス繊維、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等を含有する耐熱バグフィルターが好ましく用いられる。
送風機25は、炭素化炉排気路17を流れる排出ガスを系外に排出するために設けられている。送風機25としては特に限定されず、熱交換器14内の圧損、設置場所、排出ガスの風量などを考慮し、適宜選定される。
温度検出手段26は、フィルター24に送入される排出ガスの温度を検出するために設けられている。温度検出手段26としては、熱電対、測温抵抗体などの温度計が挙げられる。
温度検出手段26と送風機15とは、インバーターなどの制御手段(不図示)を介して接続され、温度検出手段26で検出された温度検出信号により、送風機15が制御されるように構成される。
【0024】
次に、加熱外気の風量調整に用いられる各種手段について説明する。
加熱外気が流れる加熱外気給気路18からは、加熱外気を系外に排出する加熱外気排出路29が分岐されている。加熱外気排出路29には、加熱外気の風量を調整する風量調整手段28が設けられている。また、加熱外気給気路18には、加熱外気排出路29の分岐位置より後流側に、加熱外気の風量を検出する風量検出手段27が設けられている。風量検出手段27は制御手段21に電気的に接続され、制御手段21は風量調整手段28と電気的に接続されている。制御手段21は、風量検出手段27からの風量検出信号を受け、風量調整手段28を制御可能に構成されている。加熱外気の風量が調整されることにより、耐炎化処理を安定して行え、高品質な炭素繊維を得ることができ、さらには装置周囲への炉内ガスの漏れ出しを低減できる。
風量検出手段27としては、各種風速計、ピトー管、差圧流量計、超音波流量計、渦流量計などが挙げられる。
風量調整手段28としては、制御信号を受けて風量調整を行う自動弁、インバーター制御ファンなどが挙げられる。
【0025】
本発明の炭素繊維製造装置において、耐炎化炉1は図1に示すように単数でもよく、図3に示すように複数設けられていてもよい。この実施形態例では、第1耐炎化炉1a,第2耐炎化炉1b,第3耐炎化炉1cを用いて、前駆体繊維束Fを段階的に耐炎化処理できるように、温度条件を違えるなどの設定が行われる。前駆体繊維束Fは、例えば第1耐炎化炉1a,第2耐炎化炉1b,第3耐炎化炉1cの順に通過した後、炭素化炉12に送られる。この実施形態例の炭素繊維製造装置では、第1耐炎化炉1a,第2耐炎化炉1bに加熱外気を給気できるように加熱外気給気路18が設けられており、風量調整手段30を用いて、各耐炎化炉に加熱外気を給気する風量を調整および/または切り替えできる。
【0026】
次に、本発明の炭素繊維製造装置を用いた炭素繊維の製造方法について説明する。
(耐炎化工程)
耐炎化工程においては、熱風加熱手段5で加熱された熱風が、ファン6によって上方流路7から熱風吹出し口3を通過し、熱処理室2内へと送られる。そして、前記熱風が、熱処理室2を連続して走行する前駆体繊維束Fに鉛直方向から吹き付けられることで、前駆体繊維束Fが耐炎化処理される。
次いで、熱風は熱処理室2から熱風吸気口4を通過して下方流路8へ送られ、下方流路から熱風循環路9に配設される熱風加熱手段5へと戻される。熱風加熱手段5で加熱された熱風は、連続して走行する前駆体繊維束Fに耐炎化処理を施すため、再び熱処理室2へと送られる。このようにして、熱風の循環による前駆体繊維束Fへの連続した耐炎化処理が行われる。
【0027】
加熱外気給気口10より加熱外気が給気されると、耐炎化炉1の内部は加圧される。そのため、炉内ガスを含む熱風が、前駆体繊維束Fの走行方向の一方と他方とに配設される前駆体繊維束Fの出入り口(不図示)から、耐炎化炉1外へ漏れ出しやすくなる。熱風の漏れ出しを抑制するには、熱風排出口11から排気される排ガスの風量を、加熱外気給気口10より給気される加熱外気の風量と同量以上とすることが好ましい。
【0028】
耐炎化工程に用いられる前駆体繊維束Fは、単繊維が数千〜数十万本束ねられたトウである。単繊維としては、PAN系、ピッチ系繊維などが挙げられる。
耐炎化工程で前駆体繊維束Fに吹き付けられる熱風(酸化性気体)としては、空気などの含酸素気体などが挙げられる。工業的には空気が好ましい。
熱風の加熱温度は、通常、200〜300℃である。また、前駆体繊維束Fに吹き付けられる熱風の風速は、0.2〜1.5m/秒の範囲であることが多いが、この範囲に限定されることなく、前駆体繊維束Fの張力および投入ピッチなどを考慮して適宜決定される。
なお、前記耐炎化処理は、単数の耐炎化炉で行ってもよく、複数台の耐炎化炉を用い、同時および/または段階的に行ってもよい。
【0029】
(炭素化工程)
前駆体繊維束Fを耐炎化処理して得られた耐炎化繊維束は、次いで、炭素化炉12に導入され、窒素などの不活性雰囲気中で、300〜2000℃の温度で炭素化処理されることで、炭素繊維束となる。
炭素化炉としては公知のものが用いられる。炭素化処理は、単数の炭素化炉で行ってもよく、複数台の耐炎化炉を用い、耐炎化処理を同時および/または段階的に行ってもよい。
【0030】
炭素化工程により得られた炭素繊維束には、さらに必要に応じて、樹脂との接着性を付与するために表面処理が施される。表面処理の方法としては、樹脂との接着性を付与できる方法であれば特に限定されないが、例えば、オゾン酸化などの乾式法や、電解液中で電解表面処理する湿式法が挙げられる。
表面処理された炭素繊維束には、さらに、必要に応じてサイジング剤が付与される。サイジング剤には、炭素繊維束の取り扱い性や、樹脂との親和性を向上させる働きがある。サイジング剤の種類としては、所望の特性を得ることができれば特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂を主成分としたサイジング剤が挙げられる。
【0031】
(熱交換工程)
炭素化炉12からは、前記不活性雰囲気中の炉内ガス濃度を低減させるため、炉内ガスを含んだ排出ガスが排出される。炭素化炉12から排出された排出ガスは、炭素化炉排気路17を通り、以下に述べる種々の処理が施された後、系外へ排出される。
まず、排出ガスは炭素化炉排気路17に設けられた燃焼用外気導入口16から給気される燃焼用外気と混合された後、さらに炭素化炉排気路17を流れ、炭素化炉排出ガス処理装置13に送入される。該排出ガスは、燃焼路排出ガス処理装置13内で燃焼処理される。燃焼処理された排出ガスは、次いで、熱交換器14へと送入される。
【0032】
熱交換器14に送入された排出ガスは、熱交換路22を流れる外気と熱交換された後、熱交換器14から送出される。ここで、熱交換器14から送り出される前記排出ガスは、160〜180℃の温度範囲とされる。これは、フィルター24に好適に用いられる耐熱バグフィルターの実用耐熱限界は約200℃であり、前記排出ガスの温度が180℃以上では、フィルター24の機能が損なわれる恐れがあるためである。また、前記排出ガスが160℃未満では、排ガスが炭素化炉排気路17の内壁に結露し、前記排出ガスに含まれる硫黄酸化物によって炭素化炉排気路17が腐食する恐れがあるためである。
そこで、熱交換器14の後段に設けられた温度検出手段26で排出ガスの温度を検出し、この温度検出信号に基づいて、インバーター制御などによって送風機15を制御することで、熱交換路22に送り込まれる外気の風量が調整され、前記熱交換器14から送出される排出ガスの温度が160〜180℃の範囲に調整される。排出ガスの温度を前記範囲に調整することで、炭素化炉排気路17の腐食やフィルター24の機能損失を防止できる。
このようにして温度調整された排出ガスは、次いで、フィルター24に送入され、珪素化合物などの粒子状物を除去された後、送風機25により系外へ排出される。
【0033】
(加熱外気給気工程)
送風機15により熱交換器14に送入された外気は、熱交換路22を流れるうちに、炭素化炉排気路17から送入された排出ガスの熱交換に使用され、加熱された外気(加熱外気)となって熱交換器14から送出され、加熱外気給気路18を流れる。
【0034】
加熱外気給気路18を流れる加熱外気の風量は、以下のように調整された後、耐炎化炉1に給気される。
加熱外気給気路18を流れる加熱外気の風量を風量検出手段27が検出し、風量検出手段27は風量検出信号を制御手段21に送る。次いで、制御手段21は、該風量検出信号に基づいた風量制御信号を風量調整手段28に送る。次いで、風量調整手段28は、前記風量制御信号に基づいて加熱外気排出路29を流れる加熱外気の風量を制御し、余剰な加熱外気を系外に排出する。このようにして加熱外気給気路18を流れる加熱外気は、風量調整された後、加熱外気給気口10から耐炎化炉1内に給気される。
【0035】
次に、耐炎化工程の熱風に加熱外気を導入開始してから、定常運転に至る運転初期における加熱外気の風量調整方法について述べる。
本発明の炭素繊維の製造方法においては、耐炎化工程の熱風に加熱外気を導入開始してから、定常運転に至るまでの間に給気される1時間当たりの該加熱外気の熱量を、該定常運転時に給気される加熱外気の熱量の20〜50%ずつ増加させるように、耐炎化炉1に給気する加熱外気の風量調整を行う。その理由は次のようなものである。炭素繊維製造装置の運転初期は、繊維が徐々にその走行速度を上げて定常走行速度に至る段階であり、炭素化炉12からの排出ガス量が不安定で、かつ熱交換器14に送入される排出ガス温度が変動しやすい。そこで、耐炎化炉1に給気する加熱外気の風量を前述のように徐々に増加させることで、加熱外気の混合によって耐炎化炉1内を循環する熱風に温度斑が生じることを防止できる。これにより、前駆体繊維束Fの耐炎化を安定して行うことができ、均一に耐炎化された耐炎化繊維束を得ることができる。この耐炎化繊維束を後段の炭素化炉で炭素化処理することで、高品質な炭素繊維を得ることができる。
また、本発明の炭素繊維の製造方法によれば、加熱外気給気路18に過剰な風量の加熱外気が流れてきても、加熱外気を風量調整した上で耐炎化炉1内に給気できるので、耐炎化炉1外への熱風の漏れ出しによる装置周囲の環境汚損を防止できる。
ここで、本発明における加熱外気の熱量とは、加熱外気の給気によって、熱風加熱手段5によって熱風に加えられる熱量(加熱負荷量)が軽減される量のことをいい、本発明では電力(単位:kW)で表される。熱風加熱手段5によって熱風に加えられる熱量とは、熱風加熱手段5による熱風の加熱に要する加熱負荷の量のことをいい、本発明では熱風加熱手段5が消費する電力(単位:kW)で表される。
【0036】
本発明では、熱風に混合される前記加熱外気の有する熱量を、前記熱風加熱手段5によって熱風に加えられる熱量(加熱負荷量)の50%以下とすることが好ましい。すなわち、熱交換器に珪素化合物などの粒子状物が堆積すると、熱交換器の熱交換効率が徐々に低下していく。この熱交換効率の低下を補うためには、熱交換器に送られる外気の風量を徐々に増加させることになるが、それに伴い、熱交換器から送出される加熱外気の温度は徐々に低下することになる。そこで、前記熱風加熱手段5による熱風の加熱を主とし、加熱外気による熱風の加熱を従とすることで、運転後半においても支障なく熱風の加熱が行うことができる。一方、熱風の加熱に要する熱風加熱手段5の加熱の割合が小さく、加熱外気による熱風の加熱への依存が大きい場合、運転後半における熱風の温度制御が困難となる可能性がある。
【0037】
本発明の炭素繊維製造装置を用いた炭素繊維の製造方法によれば、耐炎化処理を安定して行え、高品質な炭素繊維を得ることができ、さらに装置周囲への炉内ガスの漏れ出しを低減できる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
この実施例では、図3に示すように、第1耐炎化炉1a,第2耐炎化炉1b,第3耐炎化炉1cを備え、加熱外気を第1耐炎化炉1a、第2耐炎化炉1bに給気できるように構成された炭素繊維製造装置を使用した。なお、第1耐炎化炉1a,第2耐炎化炉1b,第3耐炎化炉1cは以下の3つの炉内温度に設定された。また、この炭素繊維製造装置では、第3耐炎化炉の後段に前炭素化炉12を設け、設定温度は以下の通りとした。また、排出ガスに含まれる炉内ガスを無害化する炭素化炉排出ガス処理装置13、排出ガスの熱交換を行う熱交換器14、排出ガスから珪素化合物などの異物を除去するフィルター24、排出ガスを系外に排出する送風機25、排出ガスの温度を検出する温度検出手段26には、それぞれ下記に示すものを用いた。また、熱交換路22に、破線で表されるバイパス31を設け、さらに不図示の切り替え手段を用いて、熱交換器14への熱交換路22のパスを3パスまたは2パスに切り替えられるようにした。また、前駆体繊維束Fとしては、単繊維数12000本のPAN系繊維を用いた。
第1耐炎化炉:炉内の熱風温度240℃。
第2耐炎化炉:炉内の熱風温度246℃。
第3耐炎化炉:炉内の熱風温度258℃。
前炭素化炉12:炉内の最高温度700℃。
炭素化炉排出ガス処理装置13:燃料LNGによる燃焼式。
熱交換器14:チューブ式。
フィルター24:ガラス繊維とフッ素樹脂との組合せ。
送風機25:インバーター制御ファン。
温度検出手段26:熱電対温度計。
【0039】
(実施例1)
バイパス31を選択して、熱交換器14に貫通する熱交換路22を2パス設定とした。また、風量調整手段30により加熱外気を第1耐炎化炉1aに給気するように設定した。前駆体繊維束Fの導入は、まず、第1耐炎化炉1a,第2耐炎化炉1b,第3耐炎化炉1cの順に前駆体繊維束Fを導入して走行させつつ、第1耐炎化炉1a,第2耐炎化炉1b,第3耐炎化炉1cの酸化性気体をファン6により循環させ、かつそれぞれの耐炎化炉内に設けられた熱風加熱手段5(ヒーター)により酸化性気体を前記の熱風温度まで上昇させた。また、炭素化炉12の炉内温度を、設定温度に昇温、安定させた。
各耐炎化炉内の熱風温度を前記の熱風温度で安定させた後、第3耐炎化炉1cから導出される耐炎化繊維を前記前炭素化炉12に導入開始して炭素繊維の製造を開始し、かつ炭素化炉12からの排出ガスを炭素化炉排気路17に送出開始した。
前記排出ガスを、炭素化炉排出ガス処理装置13に送入し、前記排出ガス中に含まれる炉内ガスを燃焼処理した後、前記排出ガスの温度を熱交換器14で160〜180℃に調整し、さらにフィルター24に通過させて珪素化合物などの粒子状物を除去し、送風機25を介して系外に排出した。
前炭素化炉12への耐炎化繊維の導入開始の1時間後に、第1耐炎化炉1aへの加熱外気の給気を開始し、約3時間かけて給気の風量を徐々に定常状態に上げた。これは、耐炎化工程の熱風に加熱外気を給気開始してから、定常運転に至るまでの間に給気される該加熱外気の1時間当たりの熱量を、該定常運転時に給気される加熱外気と、給気開始時における加熱外気との熱量差の33%ずつ増加させることに相当する。なお、給気開始時における加熱外気の給気の風量は33Nm/hr、定常状態における加熱外気の給気の風量は90Nm/hrに設定した。なお、実施例1における耐炎化炉1aに給気される加熱外気の風量・温度・熱量(いずれも定常状態における値)、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
【0040】
(実施例2)
バイパス31を選択せずに、熱交換器14に貫通する熱交換路22を3パス設定とした以外は、実施例1と同様にした。(1時間当たりの熱量の増加は、実施例1と同様に33%。)なお、実施例2における耐炎化炉1aに給気される加熱外気の風量・温度・熱量(いずれも定常状態における値)、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
(実施例3)
加熱外気を第2耐炎化炉1bに給気するように設定した以外は、実施例1と同様にした。(1時間当たりの熱量の増加は、実施例1と同様に33%。)なお、実施例3における耐炎化炉1bに給気される加熱外気の風量・温度・熱量(いずれも定常状態における値)、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
(実施例4)
バイパス31を選択せずに、熱交換器14に貫通する熱交換路22を3パス設定とし、かつ風量調整手段30により加熱外気を第2耐炎化炉1bに給気するように設定した以外は、実施例1と同様にした。(1時間当たりの熱量の増加は、実施例1と同様に33%。)なお、実施例4における耐炎化炉1bに給気される加熱外気の風量・温度・熱量(いずれも定常状態における値)、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
(実施例5)
給気開始時の加熱外気の風量を50Nm/hrとし、加熱外気の給気を2時間かけて風量を徐々に定常状態に上げたこと以外は、実施例4と同様にした。これは、耐炎化工程の熱風に加熱外気を給気開始してから、定常運転に至るまでの間に給気される該加熱外気の1時間当たりの熱量を、該定常運転時に給気される加熱外気と、給気開始時における加熱外気との熱量差の50%ずつ増加させることに相当する。なお、実施例5における耐炎化炉1bに給気される加熱外気の風量・温度・熱量(いずれも定常状態における値)、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
(比較例1)
風量調整手段28を自動から手動に切替え、加熱外気の給気の風量を、給気開始時から90Nm/hrで給気するように設定変更した以外は、実施例4と同様にした。なお、比較例1における耐炎化炉1bに給気される加熱外気の風量・温度(いずれも定常状態における値)は表1に示すとおりであった。
【0041】
【表1】

【0042】
(評価)
実施例1〜5は、いずれも前駆体繊維束Fの糸切れがなく、安定的に定常運転の状態にすることができた。
一方、比較例1は、加熱外気の風量の振れが大きく、この風量変動により、耐炎化炉1の前駆体繊維束Fの出入り口から炉内ガスが漏れ出たため、直ちに運転を停止させた。
【符号の説明】
【0043】
1 耐炎化炉
2 熱処理室
5 熱風加熱手段
7 上方流路
8 下方流路
9 熱風循環路
10 加熱外気給気口
11 熱風排出口
12 炭素化炉
13 炭素化炉排出ガス処理装置
14 熱交換器
15、25 送風機
18 加熱外気給気路
20、26 温度検出手段
22 熱交換路
24 フィルター
27 風量検出手段
28 風量調整手段
29 加熱外気排出路
F 前駆体繊維束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風加熱手段で加熱された熱風を循環させて前駆体繊維束を耐炎化処理する耐炎化工程と、
該耐炎化処理により得られた耐炎化繊維を炭素化処理する炭素化工程と、
該炭素化工程で送出された排出ガスと外気とを熱交換させる熱交換工程と、
該熱交換工程で加熱された加熱外気を前記耐炎化工程の熱風に給気する加熱外気給気工程と、
を有する炭素繊維の製造方法であって、
耐炎化工程の熱風に加熱外気を給気開始してから、定常運転に至るまでの間に給気される該加熱外気の1時間当たりの熱量を、該定常運転時に給気される加熱外気の1時間当たりの熱量の20〜50%ずつ増加させることを特徴とする炭素繊維の製造方法。
【請求項2】
前記耐炎化工程の熱風に給気する加熱外気の有する熱量が、前記熱風加熱手段によって熱風に加えられる熱量の50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−246598(P2012−246598A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181039(P2012−181039)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【分割の表示】特願2008−13000(P2008−13000)の分割
【原出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】