説明

炭素膜の製造方法

【課題】成膜回数を減らし、工程数を削減することができ、均一な炭素膜を成膜することができる炭素膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】多孔質支持体を、フェノール樹脂の懸濁液又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液に浸漬し、乾燥させてフェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体からなる膜を成膜した後、熱処理して炭化させることにより、炭素膜を得る炭素膜の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭素膜の製造方法に関する。更に詳しくは、混合成分から特定の成分を選択的に分離する際に使用される炭素膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護や基材の有効利用といった観点から、混合成分から特定の成分を分離するためにゼオライト膜や炭素膜が利用されている。特に、炭素膜はゼオライト膜に比べて耐酸性に優れており、有機酸を含む混合成分の分離にも使用可能である。このような炭素膜として、セラミック多孔質体の表面に、液状熱硬化性樹脂を塗布して高分子膜を形成した後、非酸化性雰囲気下で550〜1100℃で熱処理して、炭素含有率が80%以上で、細孔直径が1nm以下の細孔が多数存在する分子ふるい炭素膜が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、フラックス(透過流速)及び選択性を向上させることを目的とした分離膜多孔質体複合体が開示されている(特許文献2参照)。この分離膜多孔質体複合体は、多孔質体と炭素膜を有し、多孔質体と炭素膜の界面に、厚さが1nm以下の複合層が形成されており、少なくとも複合層の一部は分離膜と同じ材料で形成されたものである。この分離膜多孔質体複合体を製造する方法として、特許文献2には、加圧ガスを多孔質体の細孔内に供給しつつ、分離膜を形成するための溶液を多孔質体の表面に接触させる工程を含む方法が開示されている。
【0004】
更に、モノリス基材の貫通孔内の表面に成膜された分離膜の前駆体溶液からなる膜を膜全体に渡って均一に乾燥やイミド化させることが可能で、かつ、乾燥機内へのモノリス基材の設置のような煩雑な工程を要しない生産性に優れた分離膜の製造方法が開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3647985号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/056803号公報
【特許文献3】国際公開第2008/078442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多孔質支持体に分離膜の前駆体溶液を塗布する際に、ポリイミド等の粘性の高い前駆体溶液では、特許文献2,3に開示された方法で均一に塗布することができる。しかしながら、フェノール樹脂等の粘性の低い前駆体溶液を塗布する場合、均一に塗布することが困難であり、成膜回数が多くなる場合がある。
【0007】
ポリイミドを前駆体とする炭素膜は、酸性の溶液を分離する際に条件によって分離性能が低下する場合がある。そのため、炭素膜の前駆体としてフェノール樹脂を使用する必要があるが、上述の問題から、改善が望まれていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、成膜回数を減らし、工程数を削減することができ、均一な炭素膜を成膜することができる炭素膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、多孔質支持体の表面に分離膜の前駆体を塗布する際に、多孔質支持体を、分離膜の前駆体懸濁液に浸漬することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、以下に示す炭素膜の製造方法が提供される。
【0011】
[1]多孔質支持体を、フェノール樹脂の懸濁液又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液に浸漬し、乾燥させて前記フェノール樹脂又は前記フェノール樹脂の前駆体からなる膜を成膜した後、熱処理して炭化させることにより、炭素膜を得る炭素膜の製造方法。
【0012】
[2]前記フェノール樹脂又は前記フェノール樹脂の前駆体が粉末状物質である前記[1]に記載の炭素膜の製造方法。
【0013】
[3]前記懸濁液の濁度が、1〜1000度である前記[1]又は[2]に記載の炭素膜の製造方法。
【0014】
[4]前記懸濁液の濁度が、100〜1000度である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の炭素膜の製造方法。
【0015】
[5]前記懸濁液の溶媒が、N−メチル−2−ピロリジノンである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の炭素膜の製造方法。
【0016】
[6]前記多孔質支持体が、一方の端面から他方の端面まで連通する複数のセルが形成された多孔質基材を備える前記[1]〜[5]のいずれかに記載の炭素膜の製造方法。
【0017】
[7]前記多孔質支持体が、前記多孔質基材を構成する粒子より平均粒子径の小さい粒子から構成される層を更に備え、前記多孔質支持体の最表層の平均細孔径が0.01〜1μmである前記[6]に記載の炭素膜の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明の炭素膜の製造方法によれば、成膜回数を減らし、工程数を削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る多孔質支持体の一実施形態を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明に係る多孔質支持体のセルの内壁面の断面の一部を拡大して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0021】
本発明の炭素膜の製造方法は、多孔質支持体を、フェノール樹脂の懸濁液又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液に浸漬し、乾燥させてフェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体からなる膜を成膜した後、熱処理して炭化させることにより、炭素膜を得る方法である。この製造方法は、いわゆるディップコートと呼ばれる手法を用いているが、多孔質支持体を浸漬する際に、フェノール樹脂の懸濁液又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液を用いている点が異なる。
【0022】
ディップコートでは、通常、多孔質支持体の表面に均一に塗布する必要があるので、浸漬する際に原料を均一に溶解した溶液を使用している。しかしながら、原料にフェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体を用いた溶液を用いる場合、溶液の粘度が低くなるので均一に塗布することが困難であり、成膜回数が多くなる(即ち、工程数が増加する)という問題がある。しかしながら、本発明の炭素膜の製造方法では、原料を完全に溶解させることなく懸濁させた懸濁液を用いているので、懸濁液の粘度が低くてもフェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体を多孔質支持体の表面に堆積させて染み込みを防止することができ、均一に成膜することができる。そのため、成膜回数を減らすことができ、工程数を削減することが可能である。
【0023】
(多孔質支持体)
多孔質支持体の形状は特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、図1に示すような、一方の端面5から他方の端面6まで連通する複数のセル3が形成された多孔質基材2を備えるレンコン状の柱状体(以下、「モノリス形状」という)がある。また、ハニカム形状、円板状、多角形板状、円筒、角筒等の筒状、円柱、角柱等の柱状等もある。容積、重量に対する膜面積比率が大きいことから、モノリス形状やハニカム形状であることが好ましく、モノリス形状であることが更に好ましい。
【0024】
多孔質支持体の大きさは特に限定されず、支持体として必要な強度を満たすとともに、分離対象成分の透過性を損なわない範囲で、目的に合わせて適宜選択することができる。また、多孔質支持体の平均細孔径は0.01〜50μmであることが好ましい。更に、多孔質支持体の気孔率は、多孔質支持体自体の強度と透過性の観点から、25〜55%とすることが好ましい。
【0025】
また、図2に示すように、多孔質支持体1は、多孔質基材2と、多孔質基材2を構成する粒子12より平均粒子径の小さい粒子17,18から構成される複数の層7,8を有することが好ましい。図2においては、多孔質支持体1は、中間層7、最表層8を有するが、必要に応じて更に層を有してもよい。このような層7,8を有することで、多孔質支持体1の分離膜10を配設する表面が滑らかになり、均一な膜を成膜することができる。
【0026】
多孔質支持体を構成する粒子としては、強度や化学的安定性の観点から、アルミナ、シリカ、コージェライト、ムライト、チタニア、ジルコニア、炭化珪素等のセラミック材料等が好ましい。なお、多孔質支持体を構成する粒子の平均粒径は0.03〜200μmであることが好ましい。
【0027】
この多孔質支持体は、従来公知の方法で調製することができる。例えば、多孔質支持体を構成する粒子を使用して押出成形法によって多孔質基材を成形し、焼成する方法がある。なお、多孔質支持体が複数の層を有する場合には、多孔質支持体を構成する粒子より平均粒子径の小さい粒子を多孔質基材の表面に濾過成膜法により堆積し、焼成することで複数の層を形成することができる。粒子の種類としては、多孔質支持体を構成する粒子と同じ種類の粒子を用いることができる。
【0028】
(フェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体)
フェノール樹脂としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。例えば、商品名「ベルパールS899」、同S890、同S870(以上、エア・ウォーター社製)、商品名「スミライトレジンPR53056」(住友ベークライト社製)、商品名「レヂトップPSK2320」、商品名「マリリンHF」(以上、群栄化学社製)等がある。これらの中でも、粉末状物質であるベルパールS899、同S890、同S870を用いることが好ましい。
【0029】
フェノール樹脂の重量平均分子量は3000〜10000であることが好ましく、4000〜10000であることが更に好ましい。重量平均分子量がこのような範囲にあることで、選択性の高い膜が得られる。重量平均分子量が10000超であると、熱処理時や炭化時の膜の収縮によって欠陥が生じ易く、選択性が低下する場合がある。
【0030】
また、フェノール樹脂の前駆体も特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。例えば、レゾール樹脂がある。これらの中でも粉末状物質であるベルパールSシリーズを用いることが好ましい。
【0031】
(懸濁液)
浸漬する際に用いるフェノール樹脂の懸濁液又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液としては特に限定されるものではない。懸濁液の濁度は1〜1000度であることが好ましく、100〜1000度であることが更に好ましく、300〜1000度であることが特に好ましい。なお、懸濁液の濁度は、透過散乱光測定方式の笠原理化工業社製の商品名「TR−55」を用いて測定することができる。
【0032】
フェノール樹脂の懸濁液又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液を調製する際の溶媒としては、特に限定されるものではない。具体的には、N−メチル−2−ピロリジノン、エタノール等を挙げることができる。
【0033】
フェノール樹脂の懸濁液又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液の調製方法としては特に限定されるものではなく、原料と溶媒を混合攪拌し、所定の濾紙を用いて濾過する又は所定の目開きの篩を通して過大な平均粒子径の原料粒子を除去して調製することができる。
【0034】
本発明の炭素膜の製造方法は、前記の多孔質支持体を、前記の懸濁液に浸漬し、乾燥させてフェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体からなる膜を成膜した後、熱処理して炭化させることにより、炭素膜を得る方法である。浸漬する方法としては、従来公知のディップ法により行うことができる。なお、多孔質支持体の細孔内に圧力を掛けながら浸漬するいわゆる加圧ディップ法で行うことが好ましい。この場合、圧力は1〜1000kPaであることが好ましく、10〜500kPaであることが更に好ましく、50〜100kPaであることが特に好ましい。
【0035】
乾燥処理は特に限定されなく、従来公知の方法で行うことができる。より具体的には、90〜300℃、0.5〜60時間の条件で熱処理して乾燥させることができる。
【0036】
また、熱処理して炭化させる条件としても特に限定されるものではないが、非酸化性雰囲気下で熱処理を行うことが好ましい。非酸化性雰囲気とは、フェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体からなる膜が熱処理時の温度範囲で加熱されても酸化されない雰囲気をいい、具体的には、窒素、アルゴン等の不活性ガス中や真空中等の雰囲気をいう。
【0037】
熱処理条件として、具体的には、400〜1200℃であることが好ましく、600〜900℃であることが更に好ましい。400℃より低いと、炭化が不十分で細孔が形成されず、分離性能が発現しない場合がある。一方、1200℃より高いと、強度が低下したり、膜が緻密化し過ぎて分離性能が低下したりする場合がある。
【0038】
なお、炭素膜の平均細孔径は、0.2〜1.0nmであることが好ましい。平均細孔径が0.2nm未満であると、担持成分が細孔を閉塞して分離対象成分の透過量が低下する場合がある。一方、1.0nm超であると、選択性向上の効果が低下する場合がある。
【0039】
また、炭素膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜0.5μmであることが更に好ましい。厚さが0.01μmより薄いと、選択性が低下したり、強度が低下したりする場合がある。一方、10μmより厚いと、分離対象成分の透過性が低下する場合がある。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
【0041】
[濁度(度)]:透過散乱光測定方式の笠原理化工業社製の商品名「TR−55」を用いて測定した。
【0042】
[分離係数α]:分離係数は、下記式に各濃度を代入することで算出した。
分離係数α=((透過液のエタノール濃度)/(透過液の水濃度))/((供給液のエタノール濃度)/(供給液の水濃度))
【0043】
[透過流速(Flux)(kg/mh)]:水−酢酸浸透気化分離試験において多孔質支持体側面からの透過液を液体窒素トラップで捕集し、捕集した透過液量の質量をサンプリング時間と膜面積で割ることで透過係数を算出した。
【0044】
(実施例1)
原料のフェノール樹脂の粉末(商品名「ベルパールS899」、エア・ウォーター社製)を、N−メチル−2−ピロリドンと質量比で10:90となるように混合し、25℃で24時間攪拌した。なお、27kgのN−メチル−2−ピロリドンをプロペラ攪拌機で攪拌しながら、3kgのフェノール樹脂の粉末を10g/minの投入速度でゆっくりと加えた。得られた懸濁液の一部をアドバンテック製の濾紙No.5A(孔径7μm)に通して溶け残りを除去した。
【0045】
直径3cm、長さ16cmで、平均粒径50μm、平均細孔径12μmのモノリス形状のアルミナ製の多孔質支持体上に、平均粒径3μmのアルミナ粒子をろ過製膜法により堆積した後、焼成して、厚み200μm、平均細孔径0.6μmの中間層を形成した。この中間層の上に、更に平均粒径0.3μmのチタニア粒子をろ過製膜法により堆積した後、焼成して、厚み30μm、平均細孔径0.1μmの最表層を形成した。この多孔質支持体上に、上述したフェノール樹脂の前駆体の懸濁液を加圧ディップ法により成膜し、乾燥した。乾燥した膜を更に大気雰囲気下にて200〜350℃で熱処理し、熱硬化により多孔質支持体上に膜を成膜した。熱硬化後の膜の気密性をガス透過量で評価し、所定の気密性を超えるまで成膜を繰り返した。その後、真空中にて、700℃で炭化し、多孔質支持体の表面に炭素膜を形成した。得られた炭素膜を水とエタノールの50/50%溶液を用いて50℃で浸透気化を行った後、80℃で100時間加熱処理した。
【0046】
得られた炭素膜の分離性能を水−酢酸浸透気化分離試験(試験条件:水/酢酸=30/70%、供給液温度70℃、透過側圧力6.7kPa)により評価した。結果を表1に示す。
【0047】
(実施例2〜10及び比較例)
原料として表1に記載の原料、溶媒、濾過方法を行って懸濁液又は溶液を調製した。調製した懸濁液又は溶液を使用して、表1に記載の成膜回数、乾燥条件、担持条件で多孔質支持体上に炭素膜を形成した。懸濁液又は溶液の濁度、及び得られた炭素膜の分離性能の評価結果を表1に併せて記す。
【0048】
【表1】

【0049】
なお、表1に記載した、原料の種類、濾過方法の詳細を以下に記す。
【0050】
(原料)
ベルパールS890(商品名「ベルパールS890」、エア・ウォーター社製)
PR53056(商品名「スミライトレジンPR53056」、住友ベークライト社製、液状)
U−ワニスA(商品名「U−ワニスA」、宇部興産社製、ポリアミック酸溶液)
【0051】
(濾過方法)
25μm篩:目開き25μmの篩を通した。
100μm篩:目開き100μmの篩を通した。
【0052】
なお、原料として、PR53056を用いた場合には、濃度が10%となるように懸濁液を調整した。
【0053】
表1からわかるように、濾過方法で濾紙を使用し、濁度が1.5度だった懸濁液を用いて形成した炭素膜(実施例1、5)は、篩を使用して濾過した懸濁液を用いて形成した炭素膜(実施例2,3,6,7)に比べて、分離係数αが低く、成膜回数も多かった。一方、濁度が1000度を超え測定不能だった懸濁液を用いて形成した炭素膜(実施例8)では、分離係数αが低かった。また、溶媒にエタノールを使用した懸濁液を用いて形成した炭素膜(実施例9)では、成膜回数が多くなり、透過流速(Flux)が少し低かった。更に、原料に液状のフェノール樹脂を用いた懸濁液を用いて形成した炭素膜(実施例10)は、成膜回数が多くなり、透過流速(Flux)が低かった。また、原料としてU−ワニスAを用いた溶液を用いて形成したポリイミド樹脂を前駆体とした炭素膜(比較例)は、フェノール樹脂を前駆体とした炭素膜(実施例1〜10)に比べて、分離係数αが7と大幅に低く、透過流速(Flux)も低かった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の炭素膜の製造方法で製造された炭素膜は、酸を含む混合成分から特定の成分を選択的に分離するフィルタに利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1:多孔質支持体、2::多孔質基材、3:セル、5:一方の端面、6:他方の端面、7:中間層、8:最表層、10:炭素膜、11:多孔質基材、12,17,18:粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質支持体を、フェノール樹脂の懸濁液又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液に浸漬し、乾燥させて前記フェノール樹脂又は前記フェノール樹脂の前駆体からなる膜を成膜した後、熱処理して炭化させることにより、炭素膜を得る炭素膜の製造方法。
【請求項2】
前記フェノール樹脂又は前記フェノール樹脂の前駆体が粉末状物質である請求項1に記載の炭素膜の製造方法。
【請求項3】
前記懸濁液の濁度が、1〜1000度である請求項1又は2に記載の炭素膜の製造方法。
【請求項4】
前記懸濁液の濁度が、100〜1000度である請求項1〜3いずれか一項に記載の炭素膜の製造方法。
【請求項5】
前記懸濁液の溶媒が、N−メチル−2−ピロリジノンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素膜の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質支持体が、一方の端面から他方の端面まで連通する複数のセルが形成された多孔質基材を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素膜の製造方法。
【請求項7】
前記多孔質支持体が、前記多孔質基材を構成する粒子より平均粒子径の小さい粒子から構成される層を更に備え、
前記多孔質支持体の最表層の平均細孔径が0.01〜1μmである請求項6に記載の炭素膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−201753(P2011−201753A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73058(P2010−73058)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】