炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器
【課題】従来装置の欠点を解消して極めて輻射効率の良い炭素の遠赤外線を利用したドーム型遠赤外線炭素共鳴輻射器を提供する。
【解決手段】炭素から輻射される遠赤外線を利用した共鳴式ドーム型輻射器10であって、上部ドーム12は下部ドーム13を覆う形式でスライド可能であり、これらのドーム内側面には炭素の遠赤外線を照射するカーボンブラック・グラファイト・ポリマー面状輻射体が設けられ、これらのドームが載置されるマット上にはドーム内側面に設けられたカーボンブラックの遠赤外線を輻射する面状輻射体と同質同材を使った非電気式遠赤外線輻射シート20が設けられた一体構造体であって、該遠赤外線輻射シートは不織布にカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたものであり、当該輻射シートは約9.256μmの遠赤外線を放射する。
【解決手段】炭素から輻射される遠赤外線を利用した共鳴式ドーム型輻射器10であって、上部ドーム12は下部ドーム13を覆う形式でスライド可能であり、これらのドーム内側面には炭素の遠赤外線を照射するカーボンブラック・グラファイト・ポリマー面状輻射体が設けられ、これらのドームが載置されるマット上にはドーム内側面に設けられたカーボンブラックの遠赤外線を輻射する面状輻射体と同質同材を使った非電気式遠赤外線輻射シート20が設けられた一体構造体であって、該遠赤外線輻射シートは不織布にカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたものであり、当該輻射シートは約9.256μmの遠赤外線を放射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭素の遠赤外線を利用した共鳴式ドーム型輻射器に係り、特に、遠赤外線照射手段からの遠赤外線エネルギーを効率良く利用し、更に、身体から放射された熱も再度遠赤外線に変換して利用することにより、身体乾燥重量の約3分の2を占める炭素分子間共鳴作用を活発にすると共に、消費電力を低減し、極めて効率良く発汗させることのできる炭素の遠赤外線利用の共鳴式ドーム型輻射器を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から遠赤外線を利用したドーム型温熱器は知られている。
従来公知の温熱器を図10及び図11により説明すると、このようなドーム型温熱器本体01は2個の半円筒型の上部ドーム02及び下部ドーム03から構成されている。そして、各ドームのそれぞれの内周面にはコードヒーター、セラミックヒーター、エポキシラミネートヒーター、グラフトカーボンヒーター等の発熱体04,04が設けられている。
【0003】
利用者は図10に示すように、身体Bのほぼ全域を両ドーム02,03内に置き、マット05上で仰向き又は俯せて横になり、上記発熱体04(A),04(B)からの遠赤外線の照射を受けることにより発汗を促すものである。
【0004】
このような公知の装置にあっては、上記発熱体から発生する遠赤外線は一般に8μm〜14μmの波長帯の電磁波を発生する帯域が良いとされており、これにより体全身からの発汗を促し、血行を良好にし、健康増進を図るものである。
【特許文献1】特開2004−65884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のごとき従来公知の遠赤外線を利用したドーム型温熱器にあっては、例えば図10、11からも明らかなように、上部ドーム02及び下部ドーム03の内面の発熱体04(A),04(B)から発せられた遠赤外線(図の矢印参照)は、その多くの部分が利用者の身体Bに照射されるけれども、また多くの遠赤外線は身体Bに照射されることなく、例えばマット05を通過することとなる。
【0006】
そして、上記身体Bに遠赤外線が照射されて体温が上昇した結果、多量の熱が身体Bから発散するけれども、このような輻射線は身体を中心に放射状に発散するため、その多くがマット05を透して例えばベッド下方に放散されることとなり、熱エネルギー効率が低いという欠点があった。
【0007】
更に、温度が上昇した身体からの熱は上記マット05を介する熱伝導によっても、その多くの部分がドーム外に発散されることとなり、熱エネルギー効率の低下の一因となっていた。
一方、マットやシートに発熱体を装備する他の公知の形式によれば、発熱体からの熱が直接身体に伝達されることにより低温やけどを生ずる恐れもあった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑み、上記従来装置の欠点を解消して極めて輻射効率の良い炭素の遠赤外線を利用した炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は炭素から輻射される遠赤外線を利用した共鳴式ドーム型輻射器であって、半円筒型の上部ドームと下部ドームとを有し、上部ドームは下部ドームを覆う形式でスライド可能であり、これらのドーム内側面には炭素の遠赤外線を照射するカーボンブラック・グラファイト・ポリマー面状輻射体が設けられ、これらのドームが載置されるマット上にはドーム内側面に設けられたカーボンブラックの遠赤外線を輻射する面状輻射体と同質同材を使った非電気式遠赤外線輻射シートが設けられた一体構造体であって、該遠赤外線輻射シートは不織布にカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたものであり、当該輻射シートは約9.256μmの遠赤外線を放射する構造の輻射シートと同質同材のドーム輻射体との一体構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器によれば、ドーム内側面の面状輻射体から放射された炭素の遠赤外線のうち、身体に直接照射されなかった部分のエネルギーは、カーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させた遠赤外線輻射シートに吸収され炭素分子の共鳴活動を促し、又、伝導熱により与えられたエネルギーも遠赤外線輻射シートの炭素分子の共鳴活動を促す。併せて、身体背部にある遠赤外線輻射シートは身体温度の上昇に合わせ、遠赤外線の輻射量をも増大させることができ、再度身体下部から遠赤外線として照射されるので、遠赤外線を無駄なく使用し、従来放散されてしまった遠赤外線をも利用し極めて効率良く発汗させることが出来る。
更に、ドーム内側面の面状輻射体から放射される遠赤外線の波長と異なる波長の遠赤外線がカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたシートより放射させることにより、従来共鳴が困難であった別の身体内炭素の分子活動をも活発にさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図1〜図4により説明する。
図1は本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器10の斜視図であり、図2は図1の一部断面を示す正面図である。
マット15上に載置された炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器10は、従来公知のものと同様に上部ドーム12及び下部ドーム13を有しており、上部ドーム12が前後にスライド可能とされている。
また、これら上部ドーム12及び下部ドーム13の内側面には、面状遠赤外線輻射体14,14が設けられている。なお、符号16は一般的な枕を示している。
【0012】
本発明の特徴的構成は図2から明らかなように、マット15の上面に遠赤外線輻射シート20を敷設し上部ドーム12及び下部ドーム13の輻射体と一体構造を構成したことである。
この遠赤外線輻射シート20は、上記ドーム内側に設けられた面状輻射体と基本的に同様の性質を有する素材から成形されているが、具体的には、不織布に対してカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたシートを用いている。
【0013】
そして、このようなカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させた不織布からなるシートを、例えばビニールシートで被覆して作成された遠赤外線輻射シート20は、少なくとも上記ドームの投影面積と同じ部分で、マット15上に敷設するものである。この場合に、遠赤外線輻射シート20自体には通電されることはない。通電するとこのヒータの上に接触して横臥した身体に伝導熱により低温やけどを生じる心配があるが、本発明の場合通電しないので、遠赤外線輻射シート20がヒータになることはなく、低温やけどが発生する心配は全くなくなった。
【作用】
【0014】
図3及び図4は、本発明の炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器による輻射線の伝達状態を示している。
上部及び下部ドーム12,13の内側面には、遠赤外線を放射する面状輻射体14,14が設けられているので、当該面状輻射体に通電することによって、図中の矢印F1,F1に示すように利用者の身体Bに対して炭素の遠赤外線が放射される。
【0015】
このような構造の各ドーム12,13からの遠赤外線は、この輻射体の温度が通常60℃であるので、輻射される遠赤外線電磁波の波長はヴイーンの変位法則により約8.7μmであり、身体Bは先ずこの波長の遠赤外線によって輻射され生体反応を起こし、体温を上昇させて血行を促進させて発汗を促すけれども、他の部分は直接マット方向に照射される。また、より暖まった身体Bからは多くの熱が放出され、あるいはその熱がビニールカバー(図示せず)を介して遠赤外線輻射シート20に照射伝達される。
【0016】
この時、カーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸された遠赤外線輻射シート20は、ドーム内の炭素の遠赤外線輻射体14,14より放射された遠赤外線と身体Bからの輻射熱及び伝導熱を全て吸収し、例えば40℃まで上昇したらこのシートもヴイーンの変位法則により約9.256μmの遠赤外線を矢印F2,F2方向から同時に放射する。
【0017】
このため、利用者の身体Bには上記面状輻射体14,14からの遠赤外線F1,F1と輻射シート20からの遠赤外線F2,F2が、身体Bの上下両面から加算されて同時に照射されることとなり、面状輻射体14,14に加えられた電気エネルギーの損失を防ぎ、且つ共鳴吸収が増力することとなり、極めて有効に増加されて、利用者の身体Bに伝達することができる。
【0018】
本発明の炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器においては、装置に加えられた電気エネルギーを全て遠赤外線に変換し、しかも身体からの放射熱エネルギーをも再度遠赤外線に変換し、また、波長の異なる遠赤外線をも発生させ、身体Bに照射することにより、従来生体反応が困難とされていた不活性生体細胞群にも働きかけ、これらの共鳴活性化を促す極めてエネルギー、輻射効率の良い炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器を得ることができた。
【0019】
即ち本発明によると、身体へ輻射される炭素の遠赤外線は各ドームから放射された遠赤外線量とシートからの炭素の遠赤外線輻射量の和となり、各ドームからの約8.7μmの炭素遠赤外線の輻射を受けて、身体が生体反応した細胞群により体温上昇や発汗が行われたのに加えて、シート20から放射される約9.256μmの波長の炭素の遠赤外線により生体反応を起こす別のもう一つの細胞群が活性化されて加算されることにより、輻射されたドーム内側面からの炭素の遠赤外線量は増加しないで一定でも、対癒(対面)する身体側では約8.7μmの炭素の遠赤外線に対応する細胞群の外に約9.256μmの炭素の遠赤外線に対応する別の細胞群が対応する状態が起こって、これらの2種類のエネルギーが合計された炭素の遠赤外線効果が達成される。
従って、同じ電気出力なら50%〜100%余分に多く発汗をもたらし、同じ発汗量ならば電気出力を20%〜30%少なく供給することができるようにしたことを特徴とする、炭素遠赤外線共鳴式の炭素遠赤外線ドーム型輻射器を得ることが出来た。
【0020】
本発明によると、同じ量の発汗は従来のものよりドーム内側面の遠赤外線輻射体に供給する電気出力を20%〜30%少なく供給しても得られる結果となり、この特性は、本発明により従来のドーム型温熱器と比較して省資源化がはかられることを意味する。
それと同時に、利用者自身に対しては同じ効果をあげながら、利用者の身体への侵襲性が少ないことになることを意味する。また、特に横臥状態で使用できる従来のドーム型温熱器は、長い病床にあって体力の衰えた病人の褥瘡予防に使用されている唯一の介護装置であるが、本発明の遠赤外線型炭素共鳴輻射器によれば体力の衰えた病人に侵襲性がより少なく、快適な状態で使用出来る環境が提供され、その有用性が本発明により格段に高まったと云える。
【0021】
図5〜図10は、本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器と、従来公知のドーム型温熱器との比較実験による発汗量の対比結果を示すデータ表の一部である。
すなわち、図5(レポートNo.19)及び図7(レポートNo.21)は、後述するごとき多数の実験による測定結果のうちの2日分の、従来式ドーム型温熱器による発汗量の測定値及び測定条件を示している。
【0022】
具体的には、図5に示す測定記録は平成18年12月2日の測定結果を示すものであって、従来公知のドーム型温熱器を用いてドームのコントローラによる使用出力を、Lドーム=赤4、Mドーム=赤5(以下、色と数字で使用出力を表示している。)として、約20分間の総発汗量を測定し、200gの測定値を得ている。(レポートNo.19)
なお、以下に赤4、赤5等で示す値は、コントローラによる面発熱体の発熱(使用電力)を表わす表である。
【0023】
更に、図7に示すレポートNo.21(平成18年12月4日)は、レポート19と同様の装置でドームのコントローラによる使用出力をLドーム=赤3、Mドーム=赤4とした時のもので、総発汗量200gを得ている。(レポートNo.21)
【0024】
一方、図6(レポートNo.20)及び図8(レポートNo.22)は本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器による発汗量の測定結果の一部であって、図6に示す測定記録は平成18年12月3日の測定結果を示している。本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器を用いて、Lドーム=赤4、Mドーム=赤5の使用出力と、上記レポートNo.19と同一条件により発汗量を測定している。
その結果総発汗量350gの測定値を得ている。(レポートNo.20)
【0025】
同様に図8に示すレポートNo.22(平成18年12月5日)は、レポートNo.20と同様の装置でドームの出力をLドーム=赤3、Mドーム=赤4(レポートNo.21と同一条件)として、その時の総発汗量350gを得ている。(レポートNo.22)
すなわち、図5に示すレポートNo.19の場合の総発汗量に対して、同じ出力その他の条件において高い発汗量を得ていることが判る。
【0026】
図9は、上記従来公知の装置及びこのような装置の床部に対して炭素を含浸しない不織布を設けた装置を用いた測定結果と、本発明の装置を用いた測定結果とをそれぞれ比較したグラフを示しており、それぞれの装置に対してコントローラによる使用出力を同一とした場合を対比させている。そして、これら装置の同一条件における発汗量を比較できるように表示している。
また、多数の比較測定結果のうちの従来公知の装置(S型)及び本発明に係る装置(CCR型)については、平成18年12月2日から平成18年12月18日までに測定された結果のみが記載されている。
更に、床部に炭素を含浸させない不織布を用いた装置(図9における「白地不織布セットマット付」におけるデータ、図示せず)は、平成19年2月8日から平成19年2月18日までの測定結果を△印で記載している。
【0027】
同図から明らかなように、×印で示す従来型装置(S型)の発汗量及び△印で示す炭素非含浸不織布使用装置の発汗量と●印で示す本発明装置(CCR型)による発汗量では、同一の使用出力条件でのそれぞれの対比において、いずれも略150〜200gの発汗量の差が認められる。
すなわち、本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器によれば、カーボン面状発熱体14,14から放射された遠赤外線エネルギーを無駄なく身体に照射することができ、同一使用出力によって非常に多くの発汗量を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器の斜視図である。
【図2】図1の一部断面を示す正面図である。
【図3】本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器の遠赤外線照射説明図である。
【図4】本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器の遠赤外線照射説明図である。
【図5】従来装置による実験データ記載表である。
【図6】本発明装置による実験データ記載表である。
【図7】従来装置による実験データ記載表である。
【図8】本発明装置による実験データ記載表である。
【図9】各装置による実験データの対比説明図である。
【図10】従来公知の遠赤外線ドーム型温熱器の縦断面図である。
【図11】従来公知の遠赤外線ドーム型温熱器の横断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器
12 上部ドーム
13 下部ドーム
14 カーボン面状輻射体
15 マット
20 遠赤外線輻射シート
F1 照射遠赤外線
F2 輻射遠赤外線
【技術分野】
【0001】
本発明は炭素の遠赤外線を利用した共鳴式ドーム型輻射器に係り、特に、遠赤外線照射手段からの遠赤外線エネルギーを効率良く利用し、更に、身体から放射された熱も再度遠赤外線に変換して利用することにより、身体乾燥重量の約3分の2を占める炭素分子間共鳴作用を活発にすると共に、消費電力を低減し、極めて効率良く発汗させることのできる炭素の遠赤外線利用の共鳴式ドーム型輻射器を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から遠赤外線を利用したドーム型温熱器は知られている。
従来公知の温熱器を図10及び図11により説明すると、このようなドーム型温熱器本体01は2個の半円筒型の上部ドーム02及び下部ドーム03から構成されている。そして、各ドームのそれぞれの内周面にはコードヒーター、セラミックヒーター、エポキシラミネートヒーター、グラフトカーボンヒーター等の発熱体04,04が設けられている。
【0003】
利用者は図10に示すように、身体Bのほぼ全域を両ドーム02,03内に置き、マット05上で仰向き又は俯せて横になり、上記発熱体04(A),04(B)からの遠赤外線の照射を受けることにより発汗を促すものである。
【0004】
このような公知の装置にあっては、上記発熱体から発生する遠赤外線は一般に8μm〜14μmの波長帯の電磁波を発生する帯域が良いとされており、これにより体全身からの発汗を促し、血行を良好にし、健康増進を図るものである。
【特許文献1】特開2004−65884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のごとき従来公知の遠赤外線を利用したドーム型温熱器にあっては、例えば図10、11からも明らかなように、上部ドーム02及び下部ドーム03の内面の発熱体04(A),04(B)から発せられた遠赤外線(図の矢印参照)は、その多くの部分が利用者の身体Bに照射されるけれども、また多くの遠赤外線は身体Bに照射されることなく、例えばマット05を通過することとなる。
【0006】
そして、上記身体Bに遠赤外線が照射されて体温が上昇した結果、多量の熱が身体Bから発散するけれども、このような輻射線は身体を中心に放射状に発散するため、その多くがマット05を透して例えばベッド下方に放散されることとなり、熱エネルギー効率が低いという欠点があった。
【0007】
更に、温度が上昇した身体からの熱は上記マット05を介する熱伝導によっても、その多くの部分がドーム外に発散されることとなり、熱エネルギー効率の低下の一因となっていた。
一方、マットやシートに発熱体を装備する他の公知の形式によれば、発熱体からの熱が直接身体に伝達されることにより低温やけどを生ずる恐れもあった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑み、上記従来装置の欠点を解消して極めて輻射効率の良い炭素の遠赤外線を利用した炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は炭素から輻射される遠赤外線を利用した共鳴式ドーム型輻射器であって、半円筒型の上部ドームと下部ドームとを有し、上部ドームは下部ドームを覆う形式でスライド可能であり、これらのドーム内側面には炭素の遠赤外線を照射するカーボンブラック・グラファイト・ポリマー面状輻射体が設けられ、これらのドームが載置されるマット上にはドーム内側面に設けられたカーボンブラックの遠赤外線を輻射する面状輻射体と同質同材を使った非電気式遠赤外線輻射シートが設けられた一体構造体であって、該遠赤外線輻射シートは不織布にカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたものであり、当該輻射シートは約9.256μmの遠赤外線を放射する構造の輻射シートと同質同材のドーム輻射体との一体構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器によれば、ドーム内側面の面状輻射体から放射された炭素の遠赤外線のうち、身体に直接照射されなかった部分のエネルギーは、カーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させた遠赤外線輻射シートに吸収され炭素分子の共鳴活動を促し、又、伝導熱により与えられたエネルギーも遠赤外線輻射シートの炭素分子の共鳴活動を促す。併せて、身体背部にある遠赤外線輻射シートは身体温度の上昇に合わせ、遠赤外線の輻射量をも増大させることができ、再度身体下部から遠赤外線として照射されるので、遠赤外線を無駄なく使用し、従来放散されてしまった遠赤外線をも利用し極めて効率良く発汗させることが出来る。
更に、ドーム内側面の面状輻射体から放射される遠赤外線の波長と異なる波長の遠赤外線がカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたシートより放射させることにより、従来共鳴が困難であった別の身体内炭素の分子活動をも活発にさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図1〜図4により説明する。
図1は本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器10の斜視図であり、図2は図1の一部断面を示す正面図である。
マット15上に載置された炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器10は、従来公知のものと同様に上部ドーム12及び下部ドーム13を有しており、上部ドーム12が前後にスライド可能とされている。
また、これら上部ドーム12及び下部ドーム13の内側面には、面状遠赤外線輻射体14,14が設けられている。なお、符号16は一般的な枕を示している。
【0012】
本発明の特徴的構成は図2から明らかなように、マット15の上面に遠赤外線輻射シート20を敷設し上部ドーム12及び下部ドーム13の輻射体と一体構造を構成したことである。
この遠赤外線輻射シート20は、上記ドーム内側に設けられた面状輻射体と基本的に同様の性質を有する素材から成形されているが、具体的には、不織布に対してカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたシートを用いている。
【0013】
そして、このようなカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させた不織布からなるシートを、例えばビニールシートで被覆して作成された遠赤外線輻射シート20は、少なくとも上記ドームの投影面積と同じ部分で、マット15上に敷設するものである。この場合に、遠赤外線輻射シート20自体には通電されることはない。通電するとこのヒータの上に接触して横臥した身体に伝導熱により低温やけどを生じる心配があるが、本発明の場合通電しないので、遠赤外線輻射シート20がヒータになることはなく、低温やけどが発生する心配は全くなくなった。
【作用】
【0014】
図3及び図4は、本発明の炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器による輻射線の伝達状態を示している。
上部及び下部ドーム12,13の内側面には、遠赤外線を放射する面状輻射体14,14が設けられているので、当該面状輻射体に通電することによって、図中の矢印F1,F1に示すように利用者の身体Bに対して炭素の遠赤外線が放射される。
【0015】
このような構造の各ドーム12,13からの遠赤外線は、この輻射体の温度が通常60℃であるので、輻射される遠赤外線電磁波の波長はヴイーンの変位法則により約8.7μmであり、身体Bは先ずこの波長の遠赤外線によって輻射され生体反応を起こし、体温を上昇させて血行を促進させて発汗を促すけれども、他の部分は直接マット方向に照射される。また、より暖まった身体Bからは多くの熱が放出され、あるいはその熱がビニールカバー(図示せず)を介して遠赤外線輻射シート20に照射伝達される。
【0016】
この時、カーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸された遠赤外線輻射シート20は、ドーム内の炭素の遠赤外線輻射体14,14より放射された遠赤外線と身体Bからの輻射熱及び伝導熱を全て吸収し、例えば40℃まで上昇したらこのシートもヴイーンの変位法則により約9.256μmの遠赤外線を矢印F2,F2方向から同時に放射する。
【0017】
このため、利用者の身体Bには上記面状輻射体14,14からの遠赤外線F1,F1と輻射シート20からの遠赤外線F2,F2が、身体Bの上下両面から加算されて同時に照射されることとなり、面状輻射体14,14に加えられた電気エネルギーの損失を防ぎ、且つ共鳴吸収が増力することとなり、極めて有効に増加されて、利用者の身体Bに伝達することができる。
【0018】
本発明の炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器においては、装置に加えられた電気エネルギーを全て遠赤外線に変換し、しかも身体からの放射熱エネルギーをも再度遠赤外線に変換し、また、波長の異なる遠赤外線をも発生させ、身体Bに照射することにより、従来生体反応が困難とされていた不活性生体細胞群にも働きかけ、これらの共鳴活性化を促す極めてエネルギー、輻射効率の良い炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器を得ることができた。
【0019】
即ち本発明によると、身体へ輻射される炭素の遠赤外線は各ドームから放射された遠赤外線量とシートからの炭素の遠赤外線輻射量の和となり、各ドームからの約8.7μmの炭素遠赤外線の輻射を受けて、身体が生体反応した細胞群により体温上昇や発汗が行われたのに加えて、シート20から放射される約9.256μmの波長の炭素の遠赤外線により生体反応を起こす別のもう一つの細胞群が活性化されて加算されることにより、輻射されたドーム内側面からの炭素の遠赤外線量は増加しないで一定でも、対癒(対面)する身体側では約8.7μmの炭素の遠赤外線に対応する細胞群の外に約9.256μmの炭素の遠赤外線に対応する別の細胞群が対応する状態が起こって、これらの2種類のエネルギーが合計された炭素の遠赤外線効果が達成される。
従って、同じ電気出力なら50%〜100%余分に多く発汗をもたらし、同じ発汗量ならば電気出力を20%〜30%少なく供給することができるようにしたことを特徴とする、炭素遠赤外線共鳴式の炭素遠赤外線ドーム型輻射器を得ることが出来た。
【0020】
本発明によると、同じ量の発汗は従来のものよりドーム内側面の遠赤外線輻射体に供給する電気出力を20%〜30%少なく供給しても得られる結果となり、この特性は、本発明により従来のドーム型温熱器と比較して省資源化がはかられることを意味する。
それと同時に、利用者自身に対しては同じ効果をあげながら、利用者の身体への侵襲性が少ないことになることを意味する。また、特に横臥状態で使用できる従来のドーム型温熱器は、長い病床にあって体力の衰えた病人の褥瘡予防に使用されている唯一の介護装置であるが、本発明の遠赤外線型炭素共鳴輻射器によれば体力の衰えた病人に侵襲性がより少なく、快適な状態で使用出来る環境が提供され、その有用性が本発明により格段に高まったと云える。
【0021】
図5〜図10は、本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器と、従来公知のドーム型温熱器との比較実験による発汗量の対比結果を示すデータ表の一部である。
すなわち、図5(レポートNo.19)及び図7(レポートNo.21)は、後述するごとき多数の実験による測定結果のうちの2日分の、従来式ドーム型温熱器による発汗量の測定値及び測定条件を示している。
【0022】
具体的には、図5に示す測定記録は平成18年12月2日の測定結果を示すものであって、従来公知のドーム型温熱器を用いてドームのコントローラによる使用出力を、Lドーム=赤4、Mドーム=赤5(以下、色と数字で使用出力を表示している。)として、約20分間の総発汗量を測定し、200gの測定値を得ている。(レポートNo.19)
なお、以下に赤4、赤5等で示す値は、コントローラによる面発熱体の発熱(使用電力)を表わす表である。
【0023】
更に、図7に示すレポートNo.21(平成18年12月4日)は、レポート19と同様の装置でドームのコントローラによる使用出力をLドーム=赤3、Mドーム=赤4とした時のもので、総発汗量200gを得ている。(レポートNo.21)
【0024】
一方、図6(レポートNo.20)及び図8(レポートNo.22)は本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器による発汗量の測定結果の一部であって、図6に示す測定記録は平成18年12月3日の測定結果を示している。本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器を用いて、Lドーム=赤4、Mドーム=赤5の使用出力と、上記レポートNo.19と同一条件により発汗量を測定している。
その結果総発汗量350gの測定値を得ている。(レポートNo.20)
【0025】
同様に図8に示すレポートNo.22(平成18年12月5日)は、レポートNo.20と同様の装置でドームの出力をLドーム=赤3、Mドーム=赤4(レポートNo.21と同一条件)として、その時の総発汗量350gを得ている。(レポートNo.22)
すなわち、図5に示すレポートNo.19の場合の総発汗量に対して、同じ出力その他の条件において高い発汗量を得ていることが判る。
【0026】
図9は、上記従来公知の装置及びこのような装置の床部に対して炭素を含浸しない不織布を設けた装置を用いた測定結果と、本発明の装置を用いた測定結果とをそれぞれ比較したグラフを示しており、それぞれの装置に対してコントローラによる使用出力を同一とした場合を対比させている。そして、これら装置の同一条件における発汗量を比較できるように表示している。
また、多数の比較測定結果のうちの従来公知の装置(S型)及び本発明に係る装置(CCR型)については、平成18年12月2日から平成18年12月18日までに測定された結果のみが記載されている。
更に、床部に炭素を含浸させない不織布を用いた装置(図9における「白地不織布セットマット付」におけるデータ、図示せず)は、平成19年2月8日から平成19年2月18日までの測定結果を△印で記載している。
【0027】
同図から明らかなように、×印で示す従来型装置(S型)の発汗量及び△印で示す炭素非含浸不織布使用装置の発汗量と●印で示す本発明装置(CCR型)による発汗量では、同一の使用出力条件でのそれぞれの対比において、いずれも略150〜200gの発汗量の差が認められる。
すなわち、本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器によれば、カーボン面状発熱体14,14から放射された遠赤外線エネルギーを無駄なく身体に照射することができ、同一使用出力によって非常に多くの発汗量を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器の斜視図である。
【図2】図1の一部断面を示す正面図である。
【図3】本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器の遠赤外線照射説明図である。
【図4】本発明に係る炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器の遠赤外線照射説明図である。
【図5】従来装置による実験データ記載表である。
【図6】本発明装置による実験データ記載表である。
【図7】従来装置による実験データ記載表である。
【図8】本発明装置による実験データ記載表である。
【図9】各装置による実験データの対比説明図である。
【図10】従来公知の遠赤外線ドーム型温熱器の縦断面図である。
【図11】従来公知の遠赤外線ドーム型温熱器の横断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器
12 上部ドーム
13 下部ドーム
14 カーボン面状輻射体
15 マット
20 遠赤外線輻射シート
F1 照射遠赤外線
F2 輻射遠赤外線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠赤外線を利用したドーム型炭素共鳴輻射器であって、当該ドームが載置されるマット上には、ドーム内側面に設けられたカーボンブラック面状輻射体と同質同材を使った炭素の非電気式遠赤外線輻射シートが設けられ、ドーム内側面に設けられたカーボンブラック面状輻射体から放射される炭素の遠赤外線を吸収して、自己共鳴を可能とする構造を持ち、同時に身体に対して炭素の遠赤外線の照射を可能とする構造の非電気式遠赤外線輻射シートを有する炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器。
【請求項2】
炭素から輻射される遠赤外線を利用したドーム型炭素共鳴輻射器であって、半円筒型の上部ドームと下部ドームとを有し、上部ドームは下部ドームを覆う形式でスライド可能であり、これらのドーム内側面には炭素の遠赤外線を照射するカーボンブラック・グラファイト・ポリマー面状輻射体が設けられ、これらのドームが載置されるマット上にはドーム内側面に設けられたカーボンブラックの遠赤外線を輻射する面状輻射体と同質同材を使った非電気式遠赤外線輻射シートが設けられた一体構造体であって、該遠赤外線輻射シートは不織布にカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたものであり、当該輻射シートは約9.256μmの遠赤外線を放射する構造の輻射シートと同質同材のドーム輻射体との一体構造を特徴とする炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器。
【請求項1】
遠赤外線を利用したドーム型炭素共鳴輻射器であって、当該ドームが載置されるマット上には、ドーム内側面に設けられたカーボンブラック面状輻射体と同質同材を使った炭素の非電気式遠赤外線輻射シートが設けられ、ドーム内側面に設けられたカーボンブラック面状輻射体から放射される炭素の遠赤外線を吸収して、自己共鳴を可能とする構造を持ち、同時に身体に対して炭素の遠赤外線の照射を可能とする構造の非電気式遠赤外線輻射シートを有する炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器。
【請求項2】
炭素から輻射される遠赤外線を利用したドーム型炭素共鳴輻射器であって、半円筒型の上部ドームと下部ドームとを有し、上部ドームは下部ドームを覆う形式でスライド可能であり、これらのドーム内側面には炭素の遠赤外線を照射するカーボンブラック・グラファイト・ポリマー面状輻射体が設けられ、これらのドームが載置されるマット上にはドーム内側面に設けられたカーボンブラックの遠赤外線を輻射する面状輻射体と同質同材を使った非電気式遠赤外線輻射シートが設けられた一体構造体であって、該遠赤外線輻射シートは不織布にカーボンブラック・グラファイト・ポリマーを含浸させたものであり、当該輻射シートは約9.256μmの遠赤外線を放射する構造の輻射シートと同質同材のドーム輻射体との一体構造を特徴とする炭素遠赤外線共鳴式ドーム型輻射器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−237301(P2008−237301A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78783(P2007−78783)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(591070163)特許開発有限会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(591070163)特許開発有限会社 (6)
【Fターム(参考)】
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