説明

炭素鎖を介して電気活性表面に結合するように設計されたポルフィリンの合成

表面結合基が5位で結合したポルフィリン化合物を開示する。この表面結合基は、式(I)(式中、Rは−CHCH2又は−CCHであり、そしてArは芳香族基である)を有する。そのような化合物を製造するために有用な方法および中間体も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助金番号MDA972−01−C−0072でDARPA Moletronicsプログラムから米国政府の支援を受けてなされものである。米国政府は、本発明に関して所定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、ここに引用することにより本明細書の一部をなすものとする、2003年7月28日に出願したAttachment of Organic Molecules to Group III,IV,or V Substratesと題する米国特許出願第10/628,868号(受領番号407T−302610US)と、2003年12月19日に出願した第10/742,596号(受領番号407T−302620US)と、2003年8月15日に出願したScalable Synthesis of Dipyrromethanesと題する第10/641,412号(受領番号5051−649)と、2003年9月3日に出願したFacile Synthesis of 1,9−diacyldiprromethanesと題する第10/164,181号(受領番号5051−650)と、2003年10月31日に出願したSynthesis of Phosphono−substituted Porphyrin Compounds for Attachment to Metal Oxide Surfacesと題する第10/698,255号(受領番号5051−644)と、2004年6月14日に出願したA New Route to Formyl−Porphyrinsと題する第10/867,512号(受領番号5051−676)に関連した出願である。
【0003】
本発明は、ポルフィリン、特に電気活性表面に結合するのに適したポルフィリンを合成する方法およびその中間体に関する。
【背景技術】
【0004】
半導体のバルク特性に依存するデバイスは、機構のサイズがナノスケールの領域に達した場合に、機能するのに要求される特性を維持することはできないであろうという予測によって、分子電子工学の分野は発展してきたといっていいであろう。その結果、メモリアーキテクチャと回路素子の両方に使用するための分子ベースの電子材料を開発することに極めて多くの関心が集まってきた1。この目標に向かって、本発明者らは情報を保存するために分子の特性を使用するデバイスを構築することを目的とするプログラムに携わってきた2-6。これらのアプローチでは、電気活性表面に結合した酸化還元活性のポルフィリン分子の堆積物が活性記憶媒体として機能し、そして情報はこれら分子の個々の酸化還元状態の中に保存される。この研究の焦点は、半導体プラットフォームに結合する分子材料というハイブリッドアーキテクチャを開発することであった。移行技術として分子/半導体ハイブリッドアーキテクチャを実現することは、分子ベースの活性媒体によって提供される長所を備えた半導体工業の極めて広大なインフラストラクチャを強化する。
【0005】
このようなハイブリッドアーキテクチャを成功させるためには、一般に、(1)ポルフィリンを電気活性表面、特に大きなウエハシリコンへ結合させる簡単な手段と、(2)極めて多数の酸化還元サイクルに抵抗できる頑丈な結合とを必要とする。有機分子をシリコン表面へ共有結合させるために多数の方法が開発されてきた7。例えば、Si(水素不動態化もしくは塩素修飾された)とアルコールとの反応は、RO−Si結合を含有する自己構成フィルムを提供する。しかし、この反応には純粋の液体又は結合させられる極めて高濃度の分子の使用を必要とする8-11。ポルフィリンは、一般に有機溶液中で低溶解度を有しており、典型的な下限濃度は約50mMの濃度である。本発明者らがポルフィリンをSiプラットフォーム(水素不動態化もしくは塩素修飾のいずれか)へ結合させるために以前に開発した方法は、高沸点溶媒(例、ベンゾニトリル、沸点191℃)中にポルフィリン化合物を含有する一滴の溶液をフォトリソグラフィーによってパターン化したミクロンサイズのSi電極上に蒸着させ、次に約170℃で数時間加熱し、その間に追加の溶媒がサンプルエリアへ加えられる工程を含んでいた6。本方法は、Si(100)へのOH、SAc、およびSeAc基で終了する鎖を介するポルフィリン6(およびフェロセン3,6)の結合を提供したが、これはRO−Si、RS−SiおよびRSe−Si結合(結合するとアセチル保護基は開裂される)(式中、Rは鎖および付随する酸化還元活性単位を表す)を産生する12。この方法は学問的研究のためには有用である高品質単層を産生したが、これは大きなSiウエハ上のメモリチップを再現性で製作するためには適合しなかった。さらに、過去数年間に、アルコキシシラン結合(RO−Si)ではなくむしろカルボシラン結合(RC−Si)を用いる方が一般に安定性の単層が得られることが明白になってきた。Si表面への酸化還元活性単位の安定性結合を達成することは、メモリチップでは稼働寿命にわたって1015サイクルという多数のサイクルに遭遇する可能性があるので極めて重要である13
【0006】
カルボシラン結合によってシリコン表面を誘導体化するために多数の方法が開発されてきた7。これらの方法には、過酸化ジアシルの熱分解14,15、(ハロゲン化シリコン表面との)Grignard試薬の反応16、およびアリールジアゾニウム塩17、アルキルハロゲン化物18、又はGrignard試薬19のエレクトログラフティングが含まれる。アルケンは、熱15,20,21、フリーラジカル15、光化学(UV)22-24、およびルイス酸媒介反応25,26によってSiへ結合させるために使用されてきた。アルキンは、余り試験されていないが、一般には熱27、フリーラジカル15、光化学28、ルイス酸媒介反応26,28、およびエレクトログラフティングプロセス28を含む、アルケンのための方法と同一方法によって反応すると思われる。
【発明の開示】
【0007】
アルケン又はアルキンと熱で結合させる方法(典型的には、約100℃)は、ポルフィリン化合物を大規模Siウエハに結合するには魅力的である。しかし、極めて高濃度の反応物を使用するという条件により、この方法は適用できないであろうと。本発明は、特に、このような化合物を有用な形状で容易に合成することを提供するというものである。
【0008】
本発明の最初の態様は、以下の式の表面結合基が5位に結合したポルフィリン化合物である。
【化1】

式中、
Rは−CHCH2又は−CCHであり、
Arは芳香族基であり、
mは0〜4であり、
nは0〜6であり、
pは0〜3であって、
ただし、nが少なくとも1であるか、又はmが少なくとも2である場合、pは少なくとも1である。
【0009】
本発明の次の態様は、以下の式の表面結合基が5位に結合したポルフィリン化合物を製造する方法であって、
【化2】

(式中、R、Ar、m、nおよびpは、上記の通りである)(a)ジピロメタンとジピロメタン−1,9−ジカルビノールとを反応させて反応生成物を得る工程と、(b)前記反応生成物を酸化させて、前記ジピロメタンと前記ジピロメタン−1,9−ジカルビノールの一方もしくは両方が前記5位で前記表面結合基と置換して、前記ポルフィリン化合物を得る工程とを含む方法である。
【0010】
本発明のまた別の態様は、ビニル表面結合基が5位で結合したポルフィリン化合物を製造する方法であって、(a)ポルフィリンを5位でハロゲン化して中間体を生成する工程と、(b)Stilleクロスカップリング反応におけるパラジウム(0)触媒の存在下で前記中間体とビニルスタンナンとを反応させて、ビニル表面結合基が5位で結合したポルフィリン化合物を生成するために工程とを含む方法である。
【0011】
本発明のまた別の態様は、以下の式の表面結合基が5位で結合したジピロメタン化合物である。
【化3】

式中、R、Ar、m、n、およびpは上記の通りである。このジピロメタン化合物は、好ましくは、nが少なくとも1であるか、又はmが少なくとも2である場合に、pが少なくとも1である。一部の実施形態では、このジピロメタンは、1,9−ジアシルジピロメタンである。
【0012】
本発明のまた別の態様は、以下の式の表面結合基が5位で結合したジピロメタン化合物を製造する方法であって、
【化4】

(式中、R、Ar、m、nおよびpは、上記の通りである)以下の式の前駆体化合物をピロールと反応させて、前記表面結合基が5位に置換したジピロメタン化合物を生成する工程を含む方法である。
【化5】

(式中、Xはアルデヒド又はアセタール基である)
【0013】
本発明のまた別の態様は、1,9−ジアシルジピロメタン金属錯体を製造する方法であって、(a)以下の式の表面結合基が5位に結合したジピロメタン化合物をアシル化して、1,9−ジアシルジピロメタンを含む反応生成混合物を得る工程と、
【化6】

(式中、R、Ar、m、nおよびpは、上記のとおりである)(b)塩基の存在下で前記反応生成混合物と式R’2MX2の化合物とを組み合わせて(なお、前記式中、R’はアルキル又はアリールであり、MはSn、Si、Ge又はPbであり、Xはハロゲン、OAc、acac又はOTfである)、前記反応生成混合物中に式DMR’2の金属錯体を形成する(なお、前記式中、DH2は1,9−ジアシルジピロメタンである)工程と、(c)前記反応生成混合物から前記金属錯体を分離する工程とを含む方法である。
【0014】
本発明は、添付図面および後述する明細書によって、より詳細に説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。この説明は、本発明を実施する全ての方法や、本発明に付加することのできる全ての特徴を詳細に網羅することを意図するものではない。例えば、1つの実施形態に関して例示した特徴は他の実施形態の中に組み込むことができるし、ある実施形態に関して例示した特徴はその実施形態から削除することもできる。さらに、本明細書で提案した様々な実施形態への非常に多数の変形および追加は、本発明から逸脱せずに本発明を考慮すれば当業者に明白である。以下の記載は、本発明の一部の特定の実施形態を例示することを意図したものであり、本発明の順列、組み合わせ及び変形を排他的に限定することを意図したものではない。
【0016】
本明細書で使用する用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を指す。アルキルの代表的な例は、置換または未置換のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが含まれるがそれらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用する用語「アリール」は、1つ又は複数の芳香族環を有する単環式炭素環系又は二環式炭素縮合環系を指す。アリールの代表的例には、同様に置換又は未置換であってよいアズレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチルなどが含まれる。
【0018】
本明細書で使用する用語「ハロ」には、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードが含まれる。
【0019】
本明細書で使用する用語「ジピロメタン」には、未置換の又は置換されたジピロメタンが含まれる。置換されたジピロメタンは、1、2、3、5、7、8、又は9位で、ハロ、カルボニル、アルキル、パーフルオロアルキルを含むフルオロアルキル、アリール(例、5位でアリール、1及び/又は9位でアルキル)、パーフルオロアリールを含むフルオロアリールなどの任意の適切な置換基と、1又は複数の置換をしてもよい。ジピロメタンは、1、2、3、5、7、8、又は9位を含むジピロメタン上の任意の適切な位置で、ポルフィリン環と結合することができる。
【0020】
本明細書で使用する「アルデヒド基」は、式−C(=O)H又は−RC(=O)Hの基を指し、後者のカルボニル基は1つの水素原子とR基とに結合している。任意の適切な有機R基、又はR基としての水素は、脂肪族(例、アルキル)および芳香族もしくはアリールR基(それらの全部が置換又は未置換であってよい)を含むアルデヒドにおいて使用でき、特定の例には、ポルフィリン、ジピリン、およびジアシルジピロロメタンR基(それらの全部が置換又は未置換であってよい)が含まれる。使用できる特定のアルデヒドの例には、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−メチルバレルアルデヒド、β−メチルバレルアルデヒド、γ−メチルバレルアルデヒド、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、ペンタフルオロベンズアルデヒド、4−エチニルベンズアルデヒド、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ベンズアルデヒド、4−[3−メチル−3−ヒドロキシ−but−1−イニル)ベンズアルデヒド、4−(S−アセチルチオメチル)ベンズアルデヒド、4−(Se−アセチル−セレノメチル)ベンズアルデヒド、4−(ヒドロキシメチル)ベンズアルデヒド、4−ビニルベンズアルデヒド、4−アリルベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、4−ヨードベンズアルデヒド、4−(ブロモメチル)ベンズアルデヒド、4−(2−ブロモエチル)ベンズアルデヒド、4−(1,3−ジチオラン−2−イル)ベンズアルデヒド、4−(1,3−ジチアン−2−イル)ベンズアルデヒド、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアルデヒド、4−(アセトキシメチル)ベンズアルデヒド、4−[2−(トリメチルシリル)エトキシ−カルボニル]ベンズアルデヒド、4−メトキシカルボニルベンズアルデヒド、5−[4−(ジ−tert−ブチルオキシ−ホスホリル)ベンズアルデヒド、5−[4−(ジエトキシホスホリル)ベンズアルデヒド、5−[4−(ジ−tert−ブチルオキシホスホリルメチル)ベンズアルデヒド、5−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)ベンズアルデヒド、1,1,1−tris[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル]−1−(4−ホルミルフェニル)メタン、1,1,1−tris[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−1−(4−ホルミルフェニル)メタン、3−(S−アセチルチオメチル)ベンズアルデヒド、3,5−ジエチニルベンズアルデヒド、3,5−ビス[2−(トリイソプロピル−シリル)エチニル]ベンズアルデヒド、4−(5,10,15−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)−20−イル)ベンズアルデヒド、4−(5,10,15−トリ−p−トリポルフィン−20−イル)ベンズアルデヒド、4−(ジピリン−5−イル)ベンズアルデヒド、4−[1,9−ビス(4−メチルベンゾイル)ジピロメタン−5−イル]ベンズアルデヒド、4−フェロセニルベンズアルデヒド、プロパルジルアルデヒド、ブロモメチルプロパルジルアルデヒド、クロロメチルプロパルジルアルデヒド、S−アセチルチオメチルプロパルジルアルデヒド、4−(ヒドロキシメチル)フェニルプロパルジルアルデヒド、ヒドロキシアセトアルデヒド、およびピルビン酸アルデヒドが含まれるがそれらに限定されない。
【0021】
本明細書で使用する用語「アセタール基」は、本発明の反応において上記のアルデヒドを用いて生成できる生成物と同一の生成物を生成する「潜在的アルデヒド」として知られる化合物を指す。アセタール基は、一般に、一般式−RC(−OR’)(−OR’’)H又は−C(−OR’)(−OR’’)H(式中、Rは上記のアルデヒドと結び付けて与えられ、そしてR’およびR’’は、アルキルもしくはアリールなどの任意の適切な有機置換基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル)である)の化合物である。
【0022】
本明細書で使用する「ポルフィリン」は、典型的には4個の窒素原子およびそれに対して様々な金属原子で容易に置換できる2個の置換可能な水素と一緒に4個のピロール環から構成される環状構造を指す。ポルフィリンは、置換又は未置換であってよい。典型的なポルフィリンは、ヘミンである。
【0023】
本明細書で使用する用語「ブレーンステッド酸」は、塩基への陽子供与体である分子実体(および対応する化学種)を指す。任意の適合するブレーンステッド酸を触媒として使用できるが、その例にはトリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、タウリン、マロン酸、ギ酸、酢酸、およびNH4Clを含むがそれらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用する「ルイス酸」は、電子対受容体であり、このためルイス塩基によって与えられる電子対を共有することによってルイス付加物を形成するためにルイス塩基と反応できる分子実体(および対応する化学種)を指す。
【0025】
本出願人らは、本明細書で引用した全ての米国特許文献の開示が、本明細書の一部をなすものとすることを意図している。
【0026】
(ポルフィリン化合物およびその合成)
上述したように、本発明は、以下の式の表面結合基が5位で結合したポルフィリン化合物を提供する。
【化7】

式中、
Rは−CHCH2又は−CCHである(一部の実施形態では、好ましくは−CHCH2であり、
Arは芳香族基であり(一部の実施形態では、好ましくはフェニル基)であり、
mは0、1、2、3又は4である(一部の実施形態では、好ましくは少なくとも2であり、他の実施形態では、好ましくは0、1、又は2である)、
nは0、1又は2〜3、4、5又は6であり(一部の実施形態では、好ましくは少なくとも1、例えば1又は2である)(一部の実施形態では、mおよびnは一緒に合わせて1、2、3、4又は5である)、
pは、0、1、2又は3である(一部の実施形態では、好ましくは1又は2である)。このような化合物は、以下に詳細に記載する方法および手順によって製造することができる。
【0027】
上述したように表面結合基が5位で結合したポルフィリン化合物を製造する方法(この方法は以下のスキーム5に例示されている)は、(a)ジピロメタンをジピロメタン−1,9−ジカルビノールと反応させて(すなわち、縮合)、反応生成物を生成する工程と、(b)前記反応生成物を酸化させて、前記ジピロメタンと前記ジピロメタン−1,9−ジカルビノールの一方もしくは両方が5位で前記表面結合基と置換して、前記ポルフィリン化合物を生成する工程とを含む。一般に、縮合工程は、極性もしくは非極性溶媒中においてルイス酸の存在下で実施され、その後に知られている技術にしたがってDDQなどの酸化剤を用いた酸化が行なわれる。一部の実施形態では、本発明を実施するために使用される溶媒は、好ましくは室温(すなわち、25℃)で約20、15、もしくは10以下の誘電定数を有する。溶媒は、単一化合物又はそれらの混合物であってよい。好ましくは、溶媒は非水性である。適切な溶媒の特定の例には、塩素化脂肪族炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、trans−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレンなど);塩素化芳香族炭化水素(例、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレンなど);炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、ジュレン、ナフタレン);エーテル(例、エチルエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン、アニソール、フェニルエーテルなど);エステル(例、酢酸エチル、酢酸メチル、安息香酸エチル、フタル酸ブチルなど);グリム(例、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール)、および二硫化炭素、ホウ酸トリブチルなどの他の溶媒、ならびに上記の混合物が含まれるがそれらに限定されない。一部の溶媒は余り好ましくない可能性があることに留意されたい。例えば、ジエチルエーテル中の酸素はルイス酸と協調して結合する可能性があるので、このため余り好ましくないことがある。本発明におけるルイス酸触媒としてCsCl、SmCl3・6H2O、InCl3、CrF3、AlF3、Sc(OTf)3、TiF4、BEt3、GeI4、EuCl3・nH2O、LaCl3、Ln(OTf)3(式中、Ln=ランタニド)などを含むがそれらに限定されない任意の適切な電子対受容体を使用できる。濃度は、例えば0.001もしくは0.01mmol/Lから100もしくは500mmol/L以上の範囲に及んでよい。ルイス酸およびその適切な濃度の特定の例には、InCl3(0.32mmol/L)、Sc(OTf)3(0.32mmol/L)、Yb(OTf)3(1.0mmol/L)、およびDy(OTf)3(0.32mmol/L)が含まれる。例えば、Lindseyらの米国特許出願第2003/0096978(2003年5月22日)号を参照されたい。本発明の反応条件は、臨界的ではない。一般に、反応は室温および周囲圧力などの任意の適切な温度および圧力で実施することができる。一般に、反応は迅速であり(例えば、1〜10分間の時間で実施される)、そして好ましくは1〜2時間の時間内で実施される。ジピロメタン−1,9−ジカルビノールは、知られている技術にしたがって、ジピロメタン1,9−ジカルビノールを形成するために1,9−ジアシルジピロメタンを還元する工程によって生成できる。
【0028】
(ビニルポルフィリン化合物およびその合成)
本発明のさらに別の態様は、ビニル表面結合基が5位で結合したポルフィリン化合物を製造する方法(その例は以下のスキーム6に例示されている)であって、(a)ポルフィリンを5位でハロゲン化して中間体を生成する工程と、(b)Stilleクロスカップリング反応におけるパラジウム(0)触媒の存在下で前記中間体とビニルスタンナンとを反応させて、ビニル表面結合基が5位で結合した前記ポルフィリン化合物を生成する工程とを含む方法である。Stille反応は知られており、米国特許第6,482,851号、第6,380,394号、第6,197,922号、第6,136,157号、および第5,849,922号明細書に記載されている方法、又は本明細書で提供した開示を参照すると当業者には明白であろうそれらの変法などの知られている技術にしたがって実施することができる。一般に、Stille反応は、リガンドとしてのパラジウム(O)触媒、典型的にはトリアルキルもしくはトリアリールPもしくはAs化合物を用いて、および他の反応物質としてのビニルスタンナン、典型的には(ビニル)トリアルキルスタンナンを用いて実施することができる。反応条件は臨界的ではなく、反応は便宜的には任意の適切な温度(例、0〜150℃)で、テトラヒドロフラン、トルエン、又はそれらの混合物などの非極性有機溶媒中で実施することができる。ポルフィリン自体は、ジピロメタンとジピロメタン−1,9−ジカルビノールとを反応させて、反応生成物を生成する工程と、この反応生成物を酸化して前記ポルフィリンを生成する工程とによって、容易に生成することができる。
【0029】
(ジピロメタンおよびその合成)
上述したように、本発明のまた別の態様は、以下の式の表面結合基が5位で結合したジピロメタン化合物である
【化8】

式中、R、Ar、m、nおよびpは、上記のとおりである。このような化合物には、1,9−ジアシルジピロメタン(以下のスキーム4に例示されている)が含まれる。このような化合物は、以下の式の前駆体アルデヒドもしくはアセタール化合物をピロールと反応させて、前記表面結合基が5位で置換された所望のジピロメタン化合物を得る工程によって生成できる。
【化9】

式中、Xはアルデヒドもしくはアセタール基であり、R、Ar、m、nおよびpは上記で規定したとおりである。このような方法は、以下のスキーム3に例示されている。一般に、このような方法は、(a)上述したようなアルデヒド又はアセタール、過剰なピロールおよび触媒を含む、それらからなる、又は本質的それらからなる反応系を提供する工程を含んでいる。この反応系内のアルデヒドもしくはアセタールの量は、使用される特定のアルデヒド、又はアセタールに依存して変動するが、一般にはピロール対アルデヒド又はアセタールのモル比は50:1〜5,000:1である。これを言い換えると、一般にアルデヒド又はアセタールの量は、系の重量で0.05又は0.5〜1又は5%以上であり、系内のピロールの量は、一般に系の重量で95又は98〜99又は99.9%以上である。触媒は、ブレーンステッド酸又はルイス酸であってよく、系内の触媒の量は、一般に系の重量で0.01又は0.1〜0.5又は1%以上である。これを言い換えると、酸のモル量は、一般に系内のアルデヒド又はアセタールのモル量の約0.01〜100倍である。好ましくは、この系は上述したように重量で5又は10%未満の水を含有しており、より好ましくはこの系は非水性である。本方法の次の工程は、(b)その中でジピロメタンを形成するためにアルデヒドもしくはアセタールを反応系内でピロールと反応させる工程、を含んでいる。反応温度は臨界的ではないが、一般には、−20もしくは0〜100℃以上であり得、そして好ましくは室温である。反応中の系の圧力は臨界的ではないが、便宜的には周囲圧力である。この反応は任意の、典型的には24時間まで、および好ましくは1時間までの適切な時間にわたり実施することができる。反応工程後、本方法は、好ましくは(c)それに塩基を加えることによって反応系をクエンチする工程を含んでいる。塩基は、好ましくは同時に有機溶媒もしくは水を反応系に加えることなく加えられ、そして好ましい実施形態では、反応系はクエンチ工程中に非水性のままである。一般に、酸性触媒当たり少なくとも1当量の塩基、酸性触媒当たり10当量までの塩基が加えられる。塩基は、便宜的には純粋もしくはニートな物質(液体又は乾燥粉末であってよい)、ピロール中のスラリーなどとして加えることができる。次に本方法は、(d)触媒を(好ましくは非水性)反応系から、好ましくは濾過技術(吸引濾過もしくは圧力濾過)又は重力技術(例えば引き続いてのデカンテーションを用いての遠心もしくは沈降など)によって分離する工程と;および次に(e)残留物としてジピロメタンを生成するためにピロールを(好ましくは非水性)反応系から分離する工程(例えば、ピロールをポンプで排除する、もしくは蒸発させる工程)と、を含むことができる。上述したように、本方法は任意でさらに(f)生じたジピロメタンを結晶化させる工程を含むことができるが、この結晶化は従来の技術にしたがって実施することができる。
【0030】
(1,9−ジアシルジピロメタン金属錯体の作製)
本発明のまた別の態様は、1,9−ジアシルジピロメタン金属錯体(以下のスキーム4に例示されている)を製造する方法である。一般に、そのような方法は、(a)表面結合基が5位で結合したジピロメタン化合物をアシル化して、1,9−ジアシルジピロメタンを含む反応生成混合物を形成する工程と
【化10】

(式中、R、Ar、m、nおよびpは、上記のとおりである)、(b)前記反応生成混合物中で式DMR2(式中、DH2は1,9−ジアシルジピロメタンである)の金属錯体を形成するために塩基の存在下で前記反応生成混合物を式R2MX2(式中、Rはアルキルもしくはアリールである、MはSn、Si、Ge、又はPbである、およびXはハロ、OAc(式中、OAcは酢酸塩である)、acac(アセチルアセトネート)又はOTf(式中、OTfはトリフレートである))の化合物と結合する工程と、(c)前記金属錯体を前記反応生成混合物から分離する工程とを含んでいる。適した塩基には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミン、DBU、DBN、および2,6−ジ−tert−ブチルピリジンが含まれるがそれらに限定されない。結合工程の時間および温度は臨界的ではなく、例えば持続時間は1もしくは2分間から24時間であってよく、そして最も便宜的には10分間から2時間にわたって、約20℃から50もしくは100℃以上(例えば、室温)の温度範囲で実施される。塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トルエン、クロロベンゼンなどを含むがそれらに限定されない任意の適合する有機溶媒を使用できる。ジアシルジピロメタンの複合体形成が式R2MX2の化合物を用いて実施される場合は、その化合物は反応溶液中に遊離していてよいし、又はポリマー支持体などの固体支持体上に固定化されてよいが、このとき基Rはポリマーの一部分を構成するか、又はさもなければ(アシル化ジピロメタン生成物のその後の分離を促進する固体支持体上の固定化を用いて)ポリマーへ結合されている。本明細書に記載した方法は、さらに、(d)1,9−ジアシルジピロメタンを生成するために酸を用いて金属錯体を処理する工程を含むことができる。トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、酢酸、HCl、p−トルエンスルホン酸を含むがそれらに限定されない任意の適合する酸を使用できる。他の実施形態では、本明細書に記載した方法は、さらに、(d)1,9−ジアシルジピロメタンからジオールを形成するためにNaBH4などの塩基を用いて金属錯体を還元する工程と、(e)ポルフィリン環化合物を形成するためにジピロメタンを用いてジオールを縮合する工程とを含むことができる。
【0031】
(有用性)
本発明のポルフィリン化合物は、例えばLindseyらへの米国特許第6,407,330号又はLindseyへの米国特許第6,420,648号に記載されているように、特に、基質へ固定化又は結合することのできるそれらのポリマーを製造するために有用であり、集光性ロッド、集光性アレイ、および太陽電池として使用できる。本発明のポルフィリン環又はポルフィリン化合物は、電荷蓄積分子および同一物を含有する情報蓄積デバイスを作製するために基質へ有用に固定化される。そのような電荷蓄積分子および情報蓄積デバイスは知られており、例えばGrykoらへの米国特許第6,208,553号;Bocianらへの第6,381,169号;およびGrykoらへの第6,324,091号の中に記載されている。ポルフィリン環は、例えばLiらへの米国特許第6,212,093号又はLiらへの米国特許第6,451,942号に記載されたように、情報蓄積分子内に多数のサンドイッチ配位化合物を含むことができる。
【0032】
以下の非限定的な実施例において本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0033】
ポルフィリンが、他のタイプの有機分子が分解する極めて高温(不活性大気条件下で400℃)4で安定性であることが知られているという事実と結び付けて、アルコール鎖(ポルフィリンおよび他のタイプの分子の両方について)6を用いた熱結合法の成功に刺激されて、本発明者らは極めて高温でのプロセッシング戦略を探索し始めた。極めて広範囲の官能基を含有するポルフィリンのSi(100)への結合を可能にする2種の高温プロセッシング条件が開発された。これらの条件は、Si基質上へのサンプルの直接蒸着又はSi基質上への昇華を必要とする。最初に試験されたポルフィリンは、ベンジルアルコールポルフィリンZn1などのシリコンへ結合することが知られている官能基を有するポルフィリンであった6。その後に、多数の炭化水素鎖もまた結合を提供することが見いだされた。後者の所見は、極めて広範囲の炭化水素鎖を有する体系的な1セットのポルフォリンの合成を刺激した。
【化11】

【0034】
本出願では、本発明者らは、炭化水素鎖を有するポルフィリンの合成について最初に記載する。本発明者らは次に、シリコン基質へ結合させるための2つの高温プロセッシング方法について記載する。ひとまとめにすると、この研究はシリコンへ結合させることのできるポルフィリンの範囲を大きく拡大させ、そして再現性製作のために適合する条件下での結合を可能にする。
【0035】
(結果および考察)
1.分子の設計。本明細書で試験したポルフィリンは、(1)鎖(長さ、組成、末端官能基)がシリコン上で生じる単層の結合の容易さおよび品質に及ぼす作用、(2)2本の連鎖を通してシリコンへ結合する能力、および(3)シリコン上で生じる単層の電荷蓄積特性に非連結置換基のサイズおよびパターンが及ぼす作用を試験するために設計されている。これらの試験についての動機付けは、電子伝達率が鎖の性質2,5および結合した酸化還元活性分子の表面密度6に依存して変動するという事実に由来する。ポルフィリンの大多数は亜鉛キレート剤であり、1つのメソ位で鎖を有し、そして3つの非連結メソ位で不活性基を組み込んでいる。このクラスの中では、1セットの分子は3つの非連結メソ位でメシチル基を備える表面結合基(ヨード、ブロモメチル、エチン、ビニル、アリル;Zn2−Zn7;チャート1)の性質を変化させる。第2セットの分子は、非連結メソ置換基(p−トリル対メシチル)の立体体積および鎖の長さ(4−ビニルフェニル対4−アリルフェニル)を変動させる[Zn6およびZn7、チャート1;Zn10およびZn11、チャート2]。第3セットは、非連結p−トリル基を備える様々な長さのアルケンで終結する鎖(ビニル、アリル、3−ブテニル、4−ビニルフェニル、4−アリルフェニル)を組み込んでいる[Zn10〜Zn14、チャート2]。第4セットの分子は、固定鎖(4−アリルフェニル)を使用しており、2つの隣接するメソ置換基(p−トリル、メチル)および遠位のメソ置換基(p−トリル、メシチル、2,4,6−トリエチルフェニル)のサイズを変動させる[Zn14〜Zn19、チャート3]。2つの追加の亜鉛ポルフィリンは、ポルフィリンβ位で2つのハロ又は2つのビニル基を有する。最後のポルフィリンは、β−チオフェン位で2つのブロモ基を備える遊離塩基であるコア修飾モノチア−ポルフィリンである。ポルフィリンZn229、Zn330、Zn431、およびZn532は以前に調製されている。
【0036】
チャート1
【化12】

【0037】
チャート2
【化13】

【0038】
チャート3
【化14】

【0039】
2.メソ−連結鎖を有するポルフィリンの合成。A.統計的アプローチ。Si(100)へ結合させるために2つのA3B−ポルフィリンを調製した[A=メシチル;B=4−ビニルフェニル(Zn6)又は4−アリルフェニル(Zn7)]。3つのメソ−メシチル基を有するポルフィリンは合理的合成を介しては入手できないが、統計的混合アルデヒド縮合を介して調製することができる。Zn6の合成は、スキーム1に示されている。4−ヨードベンズアルデヒドは、収率96%でジメチルアセタール(20)として保護した。20およびビニルマグネシウムブロミドのKumada架橋結合33によりアセタール21が収率64%で得られた。21のアセタール保護基の除去は、酸性又は塩基性のいずれかの条件下でスチリル部分の高反応性を前提に試みられなかった。アセタール21、メシトアルデヒドおよびピロールとの混合アルデヒド凝縮34は、BF3・O(Et)2−EtOH 共触媒反応36を使用して高濃度35で実施した。DDQを用いた酸化により、ポルフィリンの混合物が得られた。ポルフィリン混合物は、対応する亜鉛ポルフィリンを生じるために酢酸亜鉛を用いて処理した。極性は類似であるが面妨害物の程度が相違する置換基を有するポルフィリンは、遊離塩基形としてより亜鉛キレート剤としての方が容易に分離される31。クロマトグラフィーによりZn6が収率14%で得られた。
【0040】
スキーム1
【化15】

【0041】
アリール−ポルフィリンZn7は、スキーム2に示したように調製した。アセタール2237を水性TFAおよびCH2Cl2の二相性溶液38で処理すると収率81%で4−アリルベンズアルデヒド(23)が得られた。23とメシトアルデヒドおよびピロールとの混合アルデヒド凝縮34は、BF3・O(Et)2−EtOH共触媒反応36およびその後にDDQ酸化を使用して実施した。亜鉛挿入およびクロマトグラフィー作業によってZn7が収率12%で得られた。
【0042】
スキーム2
【化16】

【0043】
B.合理的アプローチ。測定可能な合成を達成するために、本発明者らは、ポルフィリンの合理的合成と適合するメソ置換基について調査してきた。合理的合成は、ジピロメタンおよびジピロメタン−ジカルビノールの縮合に依存している39。ジピロメタンおよび1,9−ジアシルジピロメタンの合成について以下に記載する。
【0044】
ジピロメタンの合成。ジピロメタンの合成は、1つのアルデヒドと過剰なピロールとの1フラスコ反応によって達成できる40-42。この合成方法は、一般に酸性触媒としてのTFAならびにクロマトグラフィーおよびKugelrohr蒸留による作業を使用してきたが41、本発明者らは最近、より弱酸を直接結晶化によってより単純な精製方法と結び付けて使用できることを見いだした42。これらの方法を使用してジピロメタン24〜31(スキーム3)を調製した。方法A42では、アルデヒド(21、23、メシトアルデヒド、又は4−ペンテナール)はピロール(100当量)とともに室温のInC3(0.1当量)触媒下で1.5時間縮合し、次に粉末状NaOHを用いて反応をクエンチし、濾過して中和された触媒を除去し、ピロールを除去し、そして再結晶化(又はカラムクロマトグラフィー)した。この方法で、新規なジピロメタン25、27、28および知られているジピロメタン3042が良好な収率で調製された。3−ブテナールジエチルアセタールへの方法Aの適用は不成功に終わった。このため、後者は室温で10分間にわたりTFA(0.1当量)下で過剰なピロール(40当量)とともに縮合した(方法B)41。GCによる粗反応混合液の分析は、これらの条件下で典型的に観察されるパーセンテージ(約5%)よりはるかに高いパーセンテージ(約25%)のN−混乱ジピロメタンを示した。さらに、2つの位置異性体はカラムクロマトグラフィーによって容易に分離することができ、収率36%で粘性油として24が得られた。知られているジピロメタン2643および2941もまた方法Bにしたがって調製した。室温で1時間かけてMgBr2(0.5当量)触媒下で過剰なピロール(100当量)を用いて2,4,6−トリエチルベンズアルデヒド44を縮合すると、カラムクロマトグラフィー後に収率57%で粘性油として31が得られた(方法C)42。方法A又はBによるアクロレイン又はアクロレインジエチルアセタールから5−ビニルジピロメタン(ポルフィリンZn10に対する前駆体として機能させるため)を調製する全ての試みは不成功に終わった。
【0045】
スキーム3
【化17】

【0046】
1,9−ジアシルジピロメタンの合成。数種の1,9−ジアシルジピロメタンの合成は、スキーム4に示されている。トルエン中のEtMgBrを用いたジピロメタンの処理、その後の酸塩化物との反応によって、典型的には1−アシルジピロメタンおよび1,9−ジアシルジピロメタンの混合物が得られた39。アシルジピロメタンは、典型的には結晶化を試みると非晶質粉末およびカラムクロマトグラフィー上で広範囲の線条を生じさせる。1,9−ジアシルジピロメタンの単離を容易にするためには、粗アシル化混合物を二塩化ジブチルスズで処理する。選択的に形成されるジアシルジピロメタン−スズ複合体は、典型的には非極性であり、容易に結晶化する45
【0047】
スキーム4
【化18】

【0048】
この方法で、トルエン中のEtMgBrを用いて各ジピロメタン(28〜31)を個別に処理し、次に適切な酸塩化物(p−トルオイルクロリド又は臭化アセチル)と反応させた。その後のジブチルスズ二塩化物との反応により対応するスズ複合体が得られ、これをシリカパッドに通過させ、その後にMeOHから沈殿させると容易に単離できた。ジアシルジピロメタン−スズ複合体32−SnBu2−35−SnBu2が39〜57%の収率で単離された。
【0049】
ポルフィリンの合成。メソ−置換ポルフィリンZn9およびZn11−Zn19は、ジピロメタンとジピロメタン−ジカルビノールとの反応によって調製した(スキーム5)。ジピロメタン−ジカルビノールは、NaBH4を用いた対応する1,9−ジアシルジピロメタン−スズ複合体45又は未置換1,9−ジアシルジピロメタン39の還元によって調製した。スズ(IV)複合体の完全な還元は、未複合ジアシルジピロメタン(40分間)に比較してわずかに長い(約2時間)の反応時間を必要とする。ジピロメタン+ジピロメタン−ジカルビノールの縮合は、室温でCH3CN39中でのTFA(30mM)又はCH2Cl246中でのYb(OTf)3(3.2mM)による触媒作用を用いて実施した。その後にDDQを用いての酸化および亜鉛メタル化反応により標的ポルフィリンが得られた。
【0050】
スキーム5
【化19】

【0051】
CH2Cl2中の弱ルイス酸を使用すると、CH3CN中のTFAを使用した場合より一般に収率が軽度に高くなり、作業がより容易になる。しかし、InCl3又はYb(OTf)3のいずれかを使用してZn9(登録番号1)を調製する試みは、TFAを用いた場合(13%)より低い収率(3〜11%)を生じさせた。ポルフィリンZn16およびZn19の収率は、かさの高い2,4,6−トリエチルフェニル部分に起因していくらか低かった(約10%)。同様に、メソ−メチル基(登録番号8〜10)を有するポルフィリンは、メソ−p−トリル基(登録番号5〜7)を有する類似のポルフィリンより低い収率を生じさせた。各々の場合に、ポルフィリン形成反応は迅速であった(<30分間)。バルク酸化後の粗反応混合物について実施したレーザー脱離質量分析法(LDMS)47は、他のいずれのポルフィリン種の存在についても証拠を全く示さなかった。
【0052】
この経路によって入手できなかった1つのポルフィリンは、5−ビニルジピロメタンを入手できないためにビニル−ポルフィリンZn10であった(上記参照)。Zn10の合成は、スキーム6に記載した経路にしたがって達成した。NaBH4を用いてジアシルジピロメタン3248を還元し、生じた32−ジオールは、室温でYb(OTf)3を含有するCH2Cl2中のジピロメタン(36)41,49とともに縮合した。その後のDDQを用いての酸化により、収率33%で遊離塩基ポルフィリン37が得られた。ポルフィリン37は、CHCl3/ピリジン50中のI2および(CF3CO22IC65を用いてメソ−位でヨウ化すると、遊離塩基ポルフィリン8が収率82%で得られた。亜鉛を挿入するとZn8が75%の収率で得られた。ポルフィリンZn8を次に(ビニル)トリブチルスズおよびPd(PPh34とのStille架橋結合反応51を受けさせると、ビニルポルフィリンZn10が収率77%で得られた。
【0053】
スキーム6
【化20】

【0054】
3.結合方法。焼成法。初期の高温結合方法は、直接蒸着アプローチを含んでいた。この方法では、ポルフィリンを最初に有機溶媒中に溶解させ、生じた希釈溶液の少滴(1μL)を、不活性大気下に保持された密閉バイアル中に含有されたミクロンサイズのSi微小電極上に配置した(追加の詳細については実験の部を参照されたい)。このバイアルを特定の温度に予熱したホットプレート上に置き、規定時間にわたりこの系を「焼成」した。次にSiプラットフォームを冷却し、洗浄して結合していないポルフィリンを除去し、電圧電流計によってインテロゲートすることによって単層の質を調査し、(ボルタンモグラムにおけるピークの積分によって)表面被覆率を決定した。
【0055】
直接蒸着法のための「最善の」結合条件は、焼成温度、焼成時間、蒸着溶液中でのポルフィリンの濃度、ならびに蒸着溶媒の性質を変化させる作用について精査する系統的な試験によってポルフィリンZn1およびZn7を用いて決定した。これらの変量の最小の3つは独立変量ではない;しかし、試験によって以下の一般的傾向が明らかになった。(1)焼成温度が上昇するにつれて、表面被覆率は単調に増加する。例えば、焼成温度を100〜400℃へ上昇させると(焼成時間30分間;蒸着溶液中のポルフィリン濃度1mM)、表面濃度は1×10-11mol cm-2から8×10-11mol cm-2へ増加した(ポルフィリンに対する含浸被覆率は約10-10mol cm-2である)。400℃を超える温度では、それ以上の結合は達成されず、系が分解する。(2)焼成温度が上昇するにつれて、最高表面被覆率を達成するために必要とする時間は単調に減少する。例えば、200℃で最高の被覆率を達成するためには1時間の焼成時間が必要とされた。この時間は、焼成温度を400℃へ上昇させると2分間に短縮された。(3)蒸着溶液中のポルフィリン濃度が1μMから100μMへ増大するにつれて、所与の焼成時間および温度に対する表面被覆率が体系的に上昇した。ポルフィリンの濃度を100μMより上に増加させても被覆率にはほとんど影響を及ぼさなかった。(4)高沸点(ベンゾニトリル、沸点=191℃)および低沸点(THF、沸点=66℃)溶媒は、特定セットの蒸着および焼成条件に対して本質的に同一の結果を生じさせた。数種のポルフィリンに最善条件を適用した。図1(上のパネル)は、100μMの蒸着溶液を用いて、その後に400℃で2分間焼成することでポルフィリンを結合させる工程によって入手したZn1およびZn7の代表的なサイクリック・ボルタンモグラムを示している。
【0056】
昇華法。次の高温結合方法は、間接蒸着アプローチを含んでいた。この方法では、少量のポルフィリン(<1mg)を、その直径が加熱バイアル内への挿入を可能にする円筒形ガラス容器の底部に配置した。容器の上部は、ミクロンサイズの電極を下向きにしてSiプラットフォームを上部に配置できるように平坦であった(固形サンプルの約3mm上方)。このバイアルを密閉し、Arを用いてパージし、特定の温度に予熱したホットプレート上に置き、規定時間にわたりポルフィリンを昇華させた。次にSiプラットフォームを冷却し、洗浄して結合していないポルフィリンを除去し、電圧電流計によってインテロゲートすることによって単層の質を調査し、表面被覆率を決定した。Zn1およびZn7の代表的なサイクリック・ボルタンモグラムは図1に示した(下のパネル)。これらの分子はどちらも、400℃で20分間昇華させることによって結合した。間接蒸着のための「最善」の結合条件は、昇華温度および焼成時間を変動させる作用について精査した体系的試験によって決定した。300℃未満の温度では、昇華法によっては相当に少ない結合しか達成されなかった。400℃では、表面被覆率は昇華時間が増加するにつれて単調的に増加した。20分間を超える時間については、それ以上の被覆は観察されなかった。ポルフィリン化合物の昇華は精製および薄膜製造のために周知の工程であるが56、本明細書で開発した昇華プロセスは反応鎖を有するポルフィリンを使用し、ポルフィリンの表面結合単層の作製を可能にすることは注目に値する。
【0057】
用途の範囲。ポルフィリンをSiへ結合させるために使用できる焼成法および昇華法を用いて、同一蒸着条件を用いてポルフィリンZn1〜Zn19を結合について試験し(焼成温度400℃;焼成時間2分間;蒸着溶液中のポルフィリン濃度1mM)。結合を生じさせた官能基には、2−(トリメチルシリル)エチニル、ビニル、アリル、およびポルフィリンに直接的に付加された3−ブテニル、ならびにヨード、ブロモメチル、2−(トリメチルシリル)エチニル、エチニル、ビニル、およびメソ−フェニル環の4位へ付加されたアリールが含まれる。表面被覆率は、ポルフィリンおよび/又はリンカーのタイプの関数としていくらか変動した;しかし、表面被覆率は、典型的には4×10-11mole cm-2〜8×10-11mol cm-2の範囲内であった。Zn8については結合は達成されなかった。一般に、昇華法(昇華温度400℃;昇華時間20分間)により入手された表面被覆率およびボルタンモグラムの特徴は、焼成法によって入手された表面被覆率およびボルタンモグラムの特徴に極めて類似しており、これは共有結合および頑丈な電気化学的挙動を示唆している6。高電位での相当に狭いボルタンメトリー波および可視表面酸化の欠如は、ポルフィリンが相当均一に充填されていて、表面を完全に被覆していることを示唆している。対照として、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチルポルフィリン、メソ−テトラフェニルポルフィリン、メソ−テトラ−p−トリルポルフィリン、およびメソ−テトラメシチルポルフィリンを含む、官能基が欠如する様々なポルフィリンの亜鉛キレート剤を試験した。焼成された薄膜が洗浄によって完全に除去されたという観察所見から証明されたように、これらのポルフィリンのいずれについても結合は観察されなかった(さらに、ボルタンメトリーピークも観察されなかった)。これらをまとめると、これらの結果は、高温結合方法が、(1)様々な官能基を含む広範囲を有する、(2)様々なアレーン置換基を許容する、および(3)無差別の結合を生じさせないことを示している。最後に、Zn7単層を初期の試験シリーズにおいて使用して、カルボシラン含有ポルフィリンの電気化学的サイクリングに対する頑丈さを評価した。本試験は、参考文献4に記載したように実施したところ、この単層のボルタンモグラムの特徴が約1010酸化還元サイクル後に変化しないことを証明した。
【0058】
展望。本発明者らは、Si(100)へ結合させるために炭素鎖を有する1組のポルフィリンを調製した。まとめると、本明細書に報告した試験は、様々な官能基を有するポルフィリンは高温プロセッシングを介してSiへ共有結合することができる。焼成法および昇華法は補完的であり、協力してプルフィリンを結合させるためのほぼ普遍的な戦略を提供する。焼成法は、希釈溶液中のポルフィリン(1μM〜1mM)を使用するが、他方昇華法はニート固体としてポルフィリンを使用する。本発明者らは、両方のアプローチの成功が明らかにポルフィリンの融解に依存しないことを認識している。実際に、ポルフィリンの融点範囲は230℃(Zn19)〜435℃(Zn14)に及んだが、融点の数値とは無関係に極めて優れた品質の単層が得られた。焼成アプローチは、結合プロセスにおいてほんの少量の溶媒しか使用されない限り本質的に「乾式」である;昇華アプローチは、このプロセスでは溶媒が全く必要とされない点で総合的に「乾式」である。この後者のプロセスは、特に半導体プロセッシングの観点から魅力的であるが、このとき未来世代ハイブリッド分子/半導体デバイスの製造において極めて大きな(30cm)Siウエハへの分子の一様な結合を見込むことができる。
【0059】
(実験の部)
A.電気化学的試験および結合方法。ポルフィリンは、デバイス等級ウエハ(Bドープ処理Si(100);p=0.005〜0.1Ωcm)からフォトリソグラフィーによって調製したSi微小電極(100μm×100μm)へ結合させた。これらの微小電極を調製するための方法は、参考文献6に詳述されている。電気化学的方法、技術および器具器械についてもまた参考文献6に記載されている方法、技術および器具器械と同一であった。分子の表面被覆率は、ボルタンモグラムにおけるピークを積分することによって決定した。Siプラットフォームの温度は、熱電対をプラットフォームへ直接結合させることによって測定した。
【0060】
焼成法および昇華法を介して結合させるための基本的方法は、結果および考察の項に記載されている。これらの方法の追加の詳細について以下に記載する。
【0061】
焼成法について、1μM〜3mMの範囲内のポルフィリン濃度を調査した。溶媒には、ベンゾニトリル、THF、およびCH2Cl2が含まれた。溶媒の選択は、溶媒の任意の特徴ではなく、主としてポルフィリンの溶解度によって決定された。しかし、ベンゾニトリル又はTHFを用いて調製された単層は、おそらくハロゲン化溶媒は高温ではその表面と反応できるという事実のために、CH2Cl2を用いて調製された単層より優れたボルタンメトリー特徴を示した。
【0062】
ポルフィリンの導入および焼成の前に、Si微小電極をバイアル内へ配置した。バイアルはテフロン(登録商標)製キャップで密封し、Arを用いて15分間パージした。テフロン(登録商標)製キャップに通してポルフィリン溶液を含有するシリンジを挿入し、微小電極上に溶液1滴を滴下した。次に溶媒を持続的Arパージ下で乾燥させた。パージを停止し、バイアルを規定温度に設定したホットプレートへ移し、規定時間にわたり電極を焼成した。調査した温度範囲は200〜450℃に及んだ;時間範囲は2〜30分間であった。バイアルを次にホットプレートから取り出し、Arパージを再開した。バイアルが室温に達した後、シリンジを用いて溶媒をバイアルに入れて電極を洗浄し、結合していないポルフィリンを除去した。一部の場合には、微小電極をバイアルから取り出して空気で洗浄した。不活性条件対周囲条件下で洗浄した電極の単層のボルタンモグラムの特徴において差は観察されなかった。
【0063】
昇華法のためには、固体ポルフィリンを含有する容器をバイアル内に入れ、容器の上部に微小電極を配置し、このバイアルを密封した。次に15分間にわたりバイアルを(容器から微小電極が移動するのを防止するために)穏やかにパージした。パージを停止し、規定時間にわたりバイアルを規定温度に設定したホットプレートへ移した。2〜20分間の範囲内の時間について調査した。次にバイアルをホットプレートから取り出し、室温へ冷却させた。次に微小電極を取り出し、洗浄して結合していないポルフィリンを除去した。
【0064】
B.化合物の合成。
一般。他に特に記載しない限り、CDCl3における1H(300又は400MHz)および13C(75MHz)NMRスペクトルを記録した。ポルフィリンの質量スペクトルは、マトリックスの不在下でのレーザー脱離質量分析法(LDMS)および高分解能高速原子衝撃質量分析法(FABMS)によって入手した。吸光および発光スペクトルは、室温のトルエン中で収集した。元素分析は、Atlantic Microlab,Inc.によって実施された。融点は補正されていない。ポルフィリンについては、融点開始値が与えられている。カラムクロマトグラフィーのために、シリカゲル(Baker:平均粒径40μm)を使用した。クロロホルムは、安定剤として0.8%エタノールを含有していた。クロロホルム中のエタノールの存在は、メシトアルデヒドおよびピロールとの反応におけるBF3−エタノールの共触媒反応を可能にする。以下のセクションでの引用は、論文の本体に列挙された引用に関する。
【0065】
融点試験。各ポルフィリンについて融点決定法を実施した。小数の場合では、相対的に急激な融点(ΔT=5〜6℃)が観察された。大多数の場合では、融点範囲は(同時の昇華およびサンプルの極度の光学密度のために)部分的に不明瞭であった。整合性を得るために、各化合物の開始融点値が報告されている。開始融点値は次のとおりである。Zn1(275℃);Zn2(285℃);Zn3(400℃で減少);Zn4(260℃);Zn5(245℃);Zn6(270℃);Zn7(255℃);Zn8(425℃);Zn9(380℃);Zn10(370℃);Zn11(350℃);Zn12(350℃);Zn13(430℃);Zn14(435℃);Zn15(340℃);Zn16(250℃);Zn17(335℃);Zn18(290℃);Zn19(230℃);Zn40(>300℃);Zn41(310℃);45(>450℃)。
【0066】
非商業的化合物。化合物Zn16、Zn229、Zn330、Zn431、Zn532、2237、2,4,6−トリエチルベンズアルデヒド44、2643、2941、3042、3248、3641,49、3852、および4455は、文献に記載されたとおりに調製した。
【0067】
Zn(II)−5,10,15−トリメシチル−5−(4−ビニルフェニル)ポルフィリン(Zn6)。BF3・O(Et)2−エタノール共触媒反応36を用いた高濃度35での混合−アルデヒド凝縮34のための標準方法にしたがって、21(500mg、2.81mmol)、メシトアルデヒド(1.24mL、8.42mmol)、およびピロール(779μL、11.2mmol)のサンプルを、室温で1時間にわたりBF3・O(Et)2(347μL、2.74mmol)の存在下でCHCl3(153mL)中で縮合させた。次にDDQ(1.91g、8.42mmol)を加えた。10分後、粗混合物をシリカカラム(CH2Cl2)に通過させて極性副生成物を含有していないポルフィリンの混合物を回収した。CHCl3(150mL)中のポルフィリン混合物の溶液をMeOH(20mL)中のZn(OAc)2・2H2O(1.53g、7.00mmol)の溶液により処理した。15時間後、溶液を水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー[シリカ、CHCl3/ヘキサン(11:9)、次に、シリカ、CHCl3/ヘキサン(1:2)]により紫色の固体が得られた(330mg、14%):開始融点270℃;1H NMR δ 1.85(s,12H),1.87(s,6H),2.63(s,9H),5.48(d,J=10.0Hz,1H),6.08(d,J=16.8Hz,1H),7.07(dd,J1=16.8Hz,J2=10.0Hz,1H),7.31(s,6H),7.82(d,J=9.6Hz,2H),8.21(d,J=9.6Hz,2H),8.70−8.79(m,6H),8.92(d,J=5.4Hz,2H);LDMS観察値829.4;FABMS観察値828.3176、計算値828.3170(C55484Zn);λabs 423,512,550,588nm。
【0068】
Zn(II)−5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィリン(Zn7)。Zn6のための方法にしたがって、23(365mg、2.50mmol)、メシトアルデヒド(1.11g、7.50mmol)、およびピロール(672mg、10.0mmol)を室温のBF3・O(Et)2(CHCl3中の1.32mLの2.5M溶液)の存在下でCHCl3(1.0L)中で1時間にわたり反応させ、その後にDDQ(1.70g、7.50mmol)を用いて酸化し、そしてシリカパッド[CH2Cl2/ヘキサン、(1:1)]に通過させた。ポルフィリンの混合物をTHF(250mL)中に溶解させ、50℃で4時間にわたり、その後に室温で一晩Zn(OAc)2・2H2O(450mg、2.10mmol)を用いて処理した。THFの容量を50mLへ減少させ、メタノールを添加すると亜鉛ポルフィリンの混合物が沈降した。クロマトグラフィー[シリカ、トルエン/ヘキサン、(1:2.5)]とその後の結晶化(CH2Cl2/MeOH)によってピンク色の結晶が得られた(250mg、12%):開始融点255℃;1H NMR δ 1.83(s,18H),2.63(s,9H),3.75(d,J=6.4Hz 2H),5.30(m,2H),6.29−6.32(m,1H),7.26(s,6H),7.55(d,J=7.2Hz,2H),8.13(d,J=8.0Hz,2H),8.69(s,4H),8.73(d,J=4.8Hz,2H),8.87(d,J=4.8Hz,2H);LDMS観察値842.97;FABMS観察値842.3365、計算値842.3327(C56504Zn);λabs 421,551,593nm。
【0069】
5−ヨード−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン(8)。標準方法50にしたがって、CHCl3(210mL)中の37(871mg、1.50mmol)およびI2(267mg、1.05mmol)の溶液を、CHCl3(30mL)中の[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(478mg、1.20mmol)の溶液およびピリジン(1.3mL)を用いて処理した。この混合液を室温で1時間攪拌した。反応混合液をCH2Cl2で希釈し、Na223水溶液、水で洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。この溶液を約100mLの容量まで濃縮した後、30mLのヘキサンを加えた。生じた紫色の沈降物を濾過し、洗浄し(CH2Cl2、ヘキサン)、乾燥させると遊離塩基ポルフィリンが得られた(618mg)。濾液を濃縮してクロマトグラフィー(シリカゲル、高温トルエン/ヘキサン=7:3)にかけると、追加の遊離塩基ポルフィリンが得られた(253mg)。総収量は871mg(82%)であった。1H NMR δ −2.70(s,2H),2.69−2.74(brs,9H),7.53−7.59(br m,6H),8.04−8.09(br m,6H),8.78−8.83(m,4H),8.89(d,J=4.8Hz,2H),9.67(d,J=4.4Hz,2H);LDMS観察値706.9;FABMS観察値706.1613、計算値706.1593(C4131IN4);λabs 424,520,557,598,656nm。
【0070】
Zn(II)−5−ヨード−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン(Zn8)。THF(60mL)中の8(353mg、0.500mmol)の溶液を室温で8時間かけてZn(OAc)2・2H2O(1.10g、5.00mmol)で処理した。溶媒を除去した後、残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/CH2Cl2、(1:1)]にかけると、結晶化した粉末が得られた[(ヘキサン/CH2Cl2)、349mg、91%]:開始融点425℃;1H NMR δ 2.67−2.70(br s,9H),7.53−7.59(br m,6H),8.01−8.06(br m,6H),8.79(m,4H),8.87(d,J=5.6Hz,2H),9.72(d,J=4.4Hz,2H);LDMS観察値770.5;FABMS観察値768.0760、計算値768.0728(C4129IN4Zn);λabs 429,519,556,596nm。
【0071】
Zn(II)−5−[2−(トリメチルシリル)エチニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン(Zn9)。一般的方法39にしたがって32のサンプル(473mg、1.00mmol)を還元させ、生じた32−ジオールは室温で4分間かけてTFA(930μL、12.1mmol)触媒作用下でCH3CN(400mL)中の26(243mg、1.00mmol)を用いて縮合した。次にDDQ(681mg、3.00mmol)を加えた。1時間後、TEA(2mL)を加えた。混合液を濃縮し、残留物をクロマトグラフィー[シリカゲル、ヘキサン/CH2Cl2、(3:7)]にかけると、遊離塩基ポルフィリンが得られた(116mg、17%):開始融点380℃;1H NMR δ −2.41(s,2H),0.62(s,9H),2.71(s,3H),2.72(s,6H),7.54(d,J=8.0Hz,2H),7.57(d,J=8.0Hz,4H),8.05(d,J=8.0Hz,2H),8.08(d,J=8.0Hz,4H),8.79(s,4H),8.92(d,J=4.4Hz,2H),9.65(d,J=4.8Hz,2H);LDMS観察値676.2;FABMS観察値676.3047、計算値676.3022(C46404Si);λabs 431,497,529,567,606,664nm。THF(25mL)中の遊離塩基ポルフィリン(169mg,0.250mmol)のサンプルを室温で12時間かけてMeOH(2mL)中のZn(OAc)2・2H2O溶液(275mg、1.25mmol)で処理した。カラムクロマトグラフィー[ヘキサン/CH2Cl2、(3:7)]により紫色の固体が得られた(136mg、74%;総収率13%):1H NMR δ 0.62(s,9H),2.70−2.73(br s,9H),7.53−7.59(m,6H),8.04−8.10(m,6H),8.79(s,4H),8.92(m,2H),9.65(m,2H);LDMS観察値739.8;FABMS観察値738.2167、計算値738.2157(C46384SiZn);λabs 434,523,563,605nm。
【0072】
Zn(II)−5,10,15−トリ−p−トリル−20−ビニルポルフィリン(Zn10)。THF(24mL)中のZn8(50mg、60μmol)の溶液を60℃のアルゴン大気下でPd(PPh34(7mg)およびトリブチル(ビニル)スズ(190μL、600μmol)を用いて一晩処理した。反応混合液を濃縮した。カラムクロマトグラフィー[シリカ、CH2Cl2/ヘキサン(1:1)]、次にヘキサンを用いて生成物を粉砕すると紫色の固体が得られた(34mg、77%):開始融点370℃;1H NMR δ 2.72(s,3H),2.74(s,6H),6.05(d,J=17.6Hz,1H),6.49(d,J=11.6Hz,1H),7.55−7.58(m,6H),8.08−8.10(m,6H),8.95(s,4H),8.99(d,J=4.4Hz,2H),9.16−9.23(m,1H),9.51(d,J=4.4Hz,2H);LDMS観察値668.8;FABMS観察値668.1928、計算値668.1918(C43324Zn);λabs 426,554,595nm。
【0073】
Zn(II)−5−アリル−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン(Zn11)。一般的方法39にしたがって32−SnBu2のサンプル(500mg、0.711mmol)を還元させ、生じた32−ジオールは室温で7分間かけてYb(OTf)3(564mg、0.910mmol)を含有するCH2Cl2(264mL)中の24(132mg、0.711mmol)を用いて縮合した。次にDDQ(ジピロロメタン当たり3当量;484mg、2.13mmol)を加えた。この反応混合液をシリカカラム(CH2Cl2)の上方に通過させた。生じた遊離塩基ポルフィリンをCHCl3(50mL)中に溶解させ、室温で2時間かけてMeOH(7mL)中のZn(OAc)2・2H2O溶液(780mg、3.6mmol)で処理した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、CHCl3)によって紫色の固体が得られた(207mg、42%):開始融点350℃;1H NMR δ 2.71(s,3H),2.73(s,6H),5.18−5.22(m,2H),5.77(d,2H),6.88(m,1H),7.53−7.57(m,6H),8.07−8.10(m,6H),8.92(s,4H),9.00(d,J=4.4Hz,2H),9.53(d,J=4.4Hz,2H);LDMS観察値681.3;FABMS観察値682.2084、計算値682.2075(C44344Zn);λabs 424,552,592nm。
【0074】
Zn(II)−5−(3−ブテニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン(Zn12)。Zn11のための方法にしたがって、7分間にわたる32−ジオール(32−SnBu2から引き出された;500mg、0.711mmol)および25(142mg、0.711mmol)の縮合、DDQを用いた酸化、シリカパッド(CH2Cl2)の通過、およびZn(OAc)2・2H2Oを用いたメタル化反応、その後のクロマトグラフィー(シリカ、CHCl3)によって紫色の固体が得られた(213mg、44%):開始融点300℃;1H NMR δ 2.71(s,3H),2.73(s,6H),3.32(m,2H),5.07−5.17(m,3H),5.77(d,1H),6.29(m,1H),7.54−7.58(m,6H),8.07−8.10(m,6H),8.92(s,4H),9.01(d,J=4.4Hz,2H),9.52(d,J=4.4Hz,2H);LDMS観察値697.1,656.0[(M−アリル)+];FABMS観察値696.2203、計算値696.2231(C45364Zn);λabs 424,513,552,591nm。
【0075】
Zn(II)−5,10,15−トリ−p−トリル−20−(4−ビニルフェニル)ポルフィリン(Zn13)。Zn9のための方法にしたがって、TFA(1.17mL、15.2mmol)を含有するMeCN(508mL)中の32−ジオール(32から引き出された;600mg、1.27mmol)および27(315mg、1.27mmol)を3分間反応させ、その後にDDQ(865mg、3.81mmol)を用いた酸化、TEA(1mL)を用いた中和、およびシリカパッド(CH2Cl2)を通しての通過により、部分精製された遊離塩基ポルフィリンが得られた。MeOH(15mL)中のZn(OAc)2・2H2O(640mg、2.92mmol)を用いたCHCl3(150mL)中でのメタル化反応を1時間実施し、MeOHを用いた洗浄を含む標準作業により紫色の固体が得られた(242mg、26%):開始融点430℃;1H NMR δ 2.67(s,9H),5.48(d,J=10.0Hz,1H),6.11(d,J=16.8Hz,1H),7.10(dd,J1=16.8Hz,J2=10.0Hz,1H),7.60(d,J=8.4Hz,6H),7.82(d,J=8.4Hz,2H),8.11(d,J=8.4Hz,6H),8.21(d,J=8.4Hz,2H),8.99−9.01(m,8H);LDMS観察値745.2;FABMS観察値744.2233、計算値744.2231(C49364Zn);λabs 425,551,592nm。
【0076】
Zn(II)−5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン(Zn14)。Zn11のための方法にしたがって、15分間にわたる32−ジオール(32−SnBu2から引き出された;2.00g、2.84mmol)および28(745mg、2.84mmol)の縮合、DDQ(1.93g、8.52mmol)を用いた酸化、およびシリカパッド(CH2Cl2)に通しての通過により遊離塩基ポルフィリンが得られたので、これをエタノール/ヘキサン(1:1)中に懸濁させ、5分間超音波処理し、次に遠心した。エタノール/ヘキサン混合液をデカンテーションし、固体を乾燥させると遊離塩基ポルフィリン(14)が得られた(455mg、23%):開始融点435℃;1H NMR δ −2.77(brs,2H),2.71(s,9H),3.75(d,J=7.8Hz,2H),5.27−5.37(m,2H),6.26−6.33(m,1H),7.55−7.58(m,8H),8.10−8.16(m,8H),8.86(s,8H);LDMS観察値697.4;FABMS観察値696.3265、計算値696.3253(C50404)。18時間にわたるMeOH(2mL)中のZn(OAc)2・2H2O(157mg、0.717mmol)を用いたCHCl3(15mL)中の遊離塩基ポルフィリン(100mg、0.143mmol)のメタル化反応、その後の標準作業およびクロマトグラフィー(シリカ、CHCl3)によって紫色の固体が得られた(106mg、97%):1H NMR δ 2.72(s,9H),3.76(d,J=7.8Hz,2H),5.27−5.38(m,2H),6.25−6.35(m,1H),7.55−7.58(m,8H),8.10(d,J=7.6Hz,6H),8.14(d,J=8.0Hz,2H),8.97(s,8H);LDMS観察値759.4;FABMS観察値758.2429、計算値758.2388(C50384Zn);λabs 424,511,550,591nm。
【0077】
Zn(II)−5−(4−アリルフェニル)−15−メシチル−10,20−ジ−p−トリルポルフィリン(Zn15)。Zn11のための方法にしたがって、15分間にわたる33−ジオール(33−SnBu2から引き出された;699mg、0.953mmol)および28(250mg、0.953mmol)の縮合、DDQ(649mg、2.86mmol)を用いた酸化、シリカパッド(CH2Cl2)の通過、およびZn(OAc)2・2H2Oを用いたメタル化反応、その後のクロマトグラフィー(シリカ、CHCl3)によって紫色の固体が得られた(161mg、21%):開始融点340℃;1H NMR δ 1.85(s,6H),2.64(s,3H),2.71(s,6H),3.76(d,J=6.8Hz,2H),5.27−5.37(m,2H),6.29(m,1H),7.29(s,2H),7.55−7.58(m,6H),8.11−8.16(m,6H),8.79(d,J=4.8Hz,2H),8.92(d,J=4.8Hz,2H),8.96(s,4H);LDMS観察値828.5,845.5;FABMS観察値828.3151、計算値828.3170(C55484Zn).λabs 425,485,513,551,592nm。
【0078】
Zn(II)−5−(4−アリルフェニル)−10,20−ジ−p−トリル−15−(2,4,6−トリエチルフェニル)ポルフィリン(Zn16)。Zn11のための方法にしたがって、30分間にわたる34−ジオール(34−SnBu2から引き出された;483mg、0.625mmol)および28(163mg、0.625mmol)の縮合、DDQを用いた酸化、シリカパッド(CH2Cl2)の通過、およびZn(OAc)2・2H2Oを用いたメタル化反応、その後のクロマトグラフィー(シリカ、CHCl3)によって紫色の固体が得られた(51mg、10%):開始融点250℃;1H NMR δ 0.74(t,J=7.2Hz,6H),1.54(t,J=7.4Hz,3H),2.09(q,4H),2.72(s,6H),3.00(q,2H),3.76(d,J=6.6Hz,2H),5.27−5.38(m,2H),6.26−6.35(m,1H),7.35(s,2H),7.54−7.59(m,6H),8.12−8.17(m,6H),8.80(d,J=4.5Hz,2H),8.92(d,J=4.5Hz,2H),8.97(s,4H);LDMS観察値828.5;FABMS観察値828.3151、計算値828.3170(C55484Zn);λabs 425,513,551,592nm。
【0079】
Zn(II)−5−(4−アリルフェニル)−10,20−ジメチル−15−p−トリルポルフィリン(Zn17)。Zn11のための方法にしたがって、30分間にわたる35−ジオール(35−SnBu2から引き出された;427mg、0.740mmol)および29(175mg、0.741mmol)の縮合、DDQを用いた酸化、シリカパッド(CH2Cl2)の通過、およびZn(OAc)2・2H2Oを用いたメタル化反応、その後のクロマトグラフィー(シリカ、CHCl3)によって紫色の固体が得られた(69mg、15%):開始融点335℃;1H NMR δ 2.73(s,3H),3.77(d,J=6.6Hz,2H),4.67(s,6H),5.29−5.40(m,2H),6.25−6.39(m,1H),7.56−7.60(m,4H),8.07−8.14(m,4H),8.98−9.00(m,4H),9.56(d,J=4.5Hz,4H);LDMS観察値605.3;FABMS観察値606.1798、計算値606.1762(C38304Zn);λabs 425,515,554,597nm。
【0080】
Zn(II)−5−(4−アリルフェニル)−15−メシチル−10,20−ジメチルポルフィリン(Zn18)。Zn11のための方法にしたがって、30分間にわたる35−ジオール(35−SnBu2から引き出された;427mg、0.740mmol)および30(196mg、0.740mmol)の縮合、DDQを用いた酸化、シリカパッド(CH2Cl2)の通過、およびZn(OAc)2・2H2Oを用いたメタル化反応、その後のクロマトグラフィー(シリカ、CHCl3)によって紫色の固体が得られた(90mg、19%):開始融点290℃;1H NMR δ 1.83(s,6H),2.66(s,3H),3.77(d,J=6.6Hz,2H),4.66(s,6H),5.29−5.40(m,2H),6.25−6.39(m,1H),7.30(s,2H),7.58(d,J=7.8Hz,2H),8.11(d,J=7.8Hz,2H),8.82(d,J=4.5Hz,2H),8.95(d,J=4.5Hz,2H),9.53(d,J=4.5Hz,4H);LDMS観察値634.4;FABMS観察値634.2120、計算値634.2075(C40344Zn);λabs 424,515,553,597nm。
【0081】
Zn(II)−5−(4−アリルフェニル)−10,20−ジメチル−15−(2,4,6−トリエチルフェニル)ポルフィリン(Zn19)。Zn11のための方法にしたがって、25分間にわたる35−ジオール(35−SnBu2から引き出された;427mg、0.740mmol)および31(227mg、0.740mmol)の縮合、DDQを用いた酸化、シリカパッド(CH2Cl2)の通過、およびZn(OAc)2・2H2Oを用いたメタル化反応、その後のクロマトグラフィー[シリカ、CHCl3/ヘキサン(1:1)]によって紫色の固体が得られた(45mg、9%):開始融点230℃;1 NMR δ 0.71(t,J=7.5Hz,6H),1.56(t,J=7.5Hz,3H)2.10(q.4H),2.99(q,2H),3.77(d,J=6.6Hz,2H),4.66(s,6H),5.29−5.40(m,2H),6.25−6.39(m,1H),7.34(s,2H),7.58(d,J=7.8Hz,2H),8.11(d,J=7.8Hz,2H),8.82(d,J=4.5Hz,2H),8.95(d,J=4.5Hz,2H),9.50(d,J=4.5Hz,2H),9.54(d,J=4.5Hz,2H);LDMS観察値676.4;FABMS観察値676.2580、計算値676.2544(C43404Zn);λabs 425,515,554,597nm。
【0082】
1−ヨード−4−(1,1−ジメトキシメチル)ベンゼン(20)。MeOH(150mL)中の4−ヨードベンズアルデヒド(10.0g、43.1mmol)の溶液をアルゴン大気下で15分かけてTiCl4(80μL、430μmol)により処理した。TEA(0.2mL)を加えた。15分後、水およびEt2Oを加えた。有機相を収集し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、そして濃縮すると浅黄色の油が得られた(11.5g、96%):1H NMR δ 3.30(s,6H),5.34(s,1H),7.19(d,J=8.4Hz,2H),7.70(d,J=8.4Hz,2H);13C NMR δ 52.4,94.3,102.1,128.6,137.1,137.6。
【0083】
1−(1,1−ジメトキシメチル)−4−ビニルベンゼン(21)。20のサンプル(8.50g、30.6mmol)を臭化ビニルマグネシウム(33.6mL、33.6mmol、THF中の1.0M溶液)、および次にPd(PPh32Cl2(220mg、1mol%)によって処理した。この混合液をアルゴン大気下の室温で2時間攪拌した。水およびEt2Oを加えた。水相をEt2Oで洗浄した。有機相を収集し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、そして濃縮した。クロマトグラフィー[シリカ、Et2O/ヘキサン/TEA(25:75:1)]により無色油が得られた(3.51g、64%):1H NMR δ 3.33(s,6H),5.25(d,J=10.0Hz,1H),5.39(s,1H),5.75(d,J=16.8Hz,1H),6.72(dd,J1=16.8Hz,J2=10.0Hz,1H),7.41(s,4H);13C NMR δ 52.3,102.6,113.9,125.9,126.5,126.8,128.0,136.3,137.4,137.5;FABMS観察値178.0944、計算値178.0994(C11142)。
【0084】
4−アリルベンズアルデヒド(23)。標準方法38にしたがって、CH2Cl2(60mL)中の22(2.36g、10.2mmol)の溶液をTFA(12mL)および水(0.3mL)で処理した。溶液を18時間にわたり攪拌した。NaHCO3水溶液(5%、150mL)を加えた。有機相をNaHCO3水溶液および食塩液で洗浄し、次に乾燥させ(Na2SO4)、そして濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/ヘキサン、1:2)により無色の油が得られ、これを数週間にわたり0℃で放置した後に部分的に固化した(1.20g、81%):1H NMR δ 3.47(d,J=6.4Hz 2H),5.09−5.15(m,2H),5.92−5.99(m,1H),7.36(d,J=8.4Hz,2H),7.82(d,J=8.0Hz,2H),9.81(s,1H);13C NMR 40.1,116.7,129.1,129.8,134.5,135.9,147.2,191.7;FABMS観察値146.0739、計算値146.0732(C1010O)。
【0085】
5−アリルジピロメタン(24)。標準方法40,41にしたがって、室温のアルゴン大気下でピロール(194mL、2.77mol)中の3−ブテナールジエチルアセタール(4.00g、27.7mmol)の溶液をTFA(467μL、2.77mmol)で10分間処理した。TEA(221μL、2.77mmol)を加えた。この混合液を高真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー[シリカ、ヘキサン/酢酸エチル(4:1)]にかけると浅黄色の油が得られた(1.85g、36%):1H NMR δ 2.86(t,J=8.0Hz,2H),4.11(t,J=8.0Hz,1H),5.02−5.12(m,2H),5.83(m,1H),6.08(s,2H),6.15(m,2H),6.65(m,2H),7.83(br s,2H);13C NMR δ 37.3,38.7,105.6,107.6,116.3,117.1,132.8,136.2;FABMS観察値187.1230、計算値187.1235[(M+H)+],(M=C12142)。
【0086】
5−(3−ブテニル)ジピロメタン(25)。標準方法42にしたがって、室温のアルゴン大気下でピロール(332mL、4.76mol)中の4−ペンテナール(4.00g、47.6mmol)の溶液をInCl3(1.05g、4.76mmol)で1.5時間処理した。粉末状NaOH(5.71g、143mmol)を加えた。30分間攪拌した後、混合液を吸引濾過した。この濾液を高真空下で濃縮した。生じた残留物をクロマトグラフィー[シリカ、ヘキサン/酢酸エチル(4:1)]にかけると浅黄色の油が得られた(7.48g、78%):1H NMR δ 2.05(m,4H),4.00(m,1H),4.96−5.05(m,2H),5.80(m,1H),6.08(s,2H),6.15(m,2H),6.62(m,2H),7.71(br s,2H);13C NMR δ 31.3,33.1,36.5,105.5,107.6,114.9,117.1,133.1,138.0;FABMS観察値200.1321、計算値200.1313(C13162)。
【0087】
5−(4−ビニルフェニル)ジピロメタン(27)。25のための方法にしたがって、ピロール(108mL、1.56mol)中の21(2.78g、15.6mmol)の反応およびクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2、その後にシリカ、トルエン)を含む標準作業により黄色固体が得られた(2.52g、65%):融点75〜78℃;1H NMR δ(CD2Cl2)5.24(d,J=10.0Hz,1H),5.44(s,1H),5.75(d,J=16.8Hz,1H),5.87−5.88(m,2H),6.11−6.13(m,2H),6.68−6.76(m,3H),7.17(d,J=8.0Hz,2H),7.38(d,J=8.0Hz,2H),8.01(brs,2H);13C NMR δ(CD2Cl2)44.2,107.5,108.8,114.1,117.8,126.9,129.0,133.0,136.8,136.9,142.6;FABMS観察値248.1311、計算値248.1313;C17162に対する分析計算値C,82.22;H,6.49;N,11.28;実測値:C,82.44;H,6.45;N,11.24。
【0088】
5−(4−アリルフェニル)ジピロメタン(28)。25のための方法にしたがって、ピロール(83mL、1.2mol)中の23(1.75g、12.0mmol)の反応およびクロマトグラフィー(シリカ、トルエン)を含む標準作業、その後のEtOH/H2O(6:1)からの再結晶化によりオフホワイトの固体が得られた(1.92g、61%):融点60〜62℃;1H NMR δ 3.37(d,J=8.0Hz,2H),5.06−5.11(m,2H),5.46(s,1H),5.93−5.99(m,3H),6.15−6.17(m,2H),6.69−6.70(m,2H),7.15(s,4H),7.91(brs,2H);13C NMR δ 39.8,43.6,107.1,108.4,115.9,117.1,128.4,128.8,132.6,137.3,138.8,139.8;FABMS観察値262.1476、計算値262.1470;C18182に対する分析計算値 C,82.41;H,6.92;N,10.68;実測値:C,82.44;H,6.85;N,10.44。
【0089】
5−(2,4,6−トリエチルフェニル)ジピロメタン(31)。メシトアルデヒドのための標準方法42にしたがって、室温でピロール(210mL、3.00mol)中の2,4,6−トリエチルベンズアルデヒド(5.70g、30.0mmol)の溶液をMgBr2(2.76g、15.0mmol)で1時間処理した。粉末状NaOH(6.0g、15mmol)を加えた。30分間攪拌した後、混合液を吸引濾過した。この濾液を高真空下で濃縮した。残留物のクロマトグラフィー(シリカ、CHCl3、その後にシリカ、トルエン)により褐色油が得られた(5.22g、57%):1H NMR δ 0.93(brs,6H),1.28(t,J=8.0Hz,3H),2.53(brs,4H),2.64(q,J=7.6Hz,2H),5.96(s,1H),6.07(s,2H),6.19(m,2H),6.66(s,2H),6.97(s,2H),7.95(brs,2H);13C NMR δ 15.2,27.0,28.3,37.3,106.4,108.3,115.9,127.3,131.8,133.1,143.1;FABMS観察値306.2103、計算値306.2096(C21262)。
【0090】
ジブチル[5,10−ジヒドロ−1,9−ジ−p−トルオイル−5−p−トリルジピリナト]スズ(IV)(32−SnBu2)。一般的ジアシル化方法39にしたがって、トルエン(125mL)中の29(5.00g、21.2mmol)の溶液をEtMgBr(100mL、100mmol、THF中で1.0M)、その後にp−トルオイルクロリド(7.0mL、53mmol)で処理した。クエンチングおよび抽出作業後に、粗物質をCH2Cl2(200mL)中に溶解させた。TEA(8.9mL、64mmol)およびBu2SnCl2(6.44g、21.2mmol)のサンプルを加えた。30分後、この溶液を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2)、その後の結晶化(MeOH)により淡緑色の固体が得られた(8.54g、57%):融点124〜126℃;1H NMR δ 0.69(t,J=7.2Hz,3H),0.74(t,J=7.2Hz,3H),1.09−1.14(m,2H),1.19−1.25(m,2H),1.30−1.34(m,2H),1.41−1.45(m,2H),1.47−1.52(m,2H),1.66−1.70(m,2H),2.31(s,3H),2.44(s,6H),5.56(s,1H),6.19(d,J=4.0Hz,2H),7.08−7.11(m,6H),7.29(d,J=8.0Hz,4H),7.82(d,J=8.0Hz,4H);13C NMR δ 13.55,13.57,21.0,21.5,23.9,24.7,25.9,26.3,27.16,27.22,45.2,115.0,123.7,127.9,129.0,129.1,129.3,135.0,135.7,136.2,141.3,142.0,151.7,184.3;FABMS観察値705.2503、計算値705.2525[(M+H)+];C404422Snに対する分析計算値;C,68.29;H,6.30;N,3.98;実測値:C,68.33;H,6.35;N,3.92。
【0091】
ジブチル[5,10−ジヒドロ−5−メシチル−1,9−ジ−p−トルオイルジピリナト]スズ(IV)(33−SnBu2)。32−SnBu2のための方法にしたがって、30(2.00g、7.57mmol)およびp−トルオイルクロリド(2.00mL、15.1mmol)の反応および次にスズ複合体形成(TEA、3.2mL、23mmol;Bu2SnCl2、2.30g、7.57mmol)、クロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2)、および沈降(ジエチルエーテル/MeOH)によって浅黄色の固体が得られた(2.87g、52%):融点151〜153℃;1H NMR δ 0.71(t,J=7.2Hz,3H),0.78(t,J=7.2Hz,3H),1.11−1.21(m,2H),1.21−1.36(m,4H),1.43−1.55(m,4H),1.70−1.78(m,5H),2.32(s,3H),2.43(s,6H),2.51(s,3H),5.81(d,J=4.0Hz,2H),5.93(s,1H),6.81(s,1H),6.98(s,1H),7.04(d,J=4.0Hz,2H),7.29(d,J=8.0Hz,4H),7.81(d,J=8.0Hz,4H);13C NMR δ 13.6,20.3,20.7,20.9,21.6,23.5,24.9,26.2,26.4,27.5,40.0,113.9,123.8,128.7,129.0,130.7,135.1,135.3,136.0,136.3,136.4,138.1,141.9,151.9,183.9;FABMS観察値733.2826、計算値733.2816[(M+H)+];C424822Snに対する分析計算値;C,68.96;H,6.61;N,3.83;実測値:C,68.84;H,6.61;N,3.76。
【0092】
ジブチル[5,10−ジヒドロ−5−(2,4,6−トリエチルフェニル)−1,9−ジ−p−トルオイルジピリナト]スズ(IV)(34−SnBu2)。32−SnBu2のための方法にしたがって、31(2.00g、6.52mmol)およびp−トルオイルクロリド(2.16mL、16.3mmol)の反応および次にスズ複合体形成(TEA、2.7mL、20mmol;Bu2SnCl2、1.98g、6.52mmol)、クロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2)、および沈降(ジエチルエーテル/MeOH)によってピンク色の固体が得られた(1.96g、39%):融点136〜138℃;1H NMR δ 0.71−0.79(m,9H),1.18−1.30(m,12H),1.47−1.56(m,4H),1.74(m,2H),2.08(q,J=8.0Hz,2H),2.43(s,6H),2.66(q,J=8.0Hz,2H),2.81(q,J=2H),5.81(d,J=4.0Hz,2H),5.88(s,1H),6.93(s,1H),6.98(s,1H),7.01(d,J=4.0Hz,2H),7.29(d,J=8.0Hz,4H),7.81(d,J=8.0Hz,4H);13C NMR δ 13.7,13.8,15.3,16.7,21.6,23.5,24.8,25.3,26.2,26.5,27.4,27.5,28.1,28.5,39.4,114.7,123.6,125.9,127.1,129.01,129.04,135.2,135.3,135.4,141.9,142.1,142.9,143.9,152.8,183.9;FABMS観察値775.3292、計算値;775.3286[(M+H)+];C455422Snに対する分析計算値;C,69.86;H,7.04;N,3.62;実測値:C,69.96;H,7.00;N,3.58。
【0093】
ジブチル[1,9−ジアセチル−5−(4−アリルフェニル)−5,10−ジヒドロジピリナト]スズ(IV)(35−SnBu2)。32−SnBu2のための方法にしたがって、28(1.40g、5.34mmol)およびアセチルブロミド(0.992mL、13.4mmol)の反応および次にスズ複合体形成(TEA、2.2mL、16mmol;Bu2SnCl2、1.62g、5.34mmol)、クロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2)、および沈降法(ジエチルエーテル/MeOH)によって浅黄色の固体が得られた(1.50g、57%):融点54〜56℃;1H NMR δ 0.70(t,J=7.6Hz,3H),0.75(t,J=7.6Hz,3H),1.05−1.57(m,12H),2.41(s,6H),3.31(d,J=6.8Hz,2H),5.02−5.07(m,2H),5.48(s,1H),5.88−5.95(m,1H),6.10(d,J=4.0Hz,2H),7.02−7.07(m,6H);13C NMR δ 13.49,13.52,23.2,23.4,24.2,25.9,26.3,27.1,39.7,44.8,114.2,115.7,120.8,127.8,128.0,128.7,136.6,137.3,138.2,142.2,150.7,188.3;FABMS観察値579.2036、計算値579.2034[(M+H)+];C303822Snに対する分析計算値;C,62.41;H,6.63;N,4.85;実測値:C,62.46;H,6.67;N,4.86。
【0094】
5,10,15−トリ−p−トリルポルフィリン(37)。Zn11のための方法にしたがって、20分間にわたる32−ジオール(32、1.42g、3.00mmolから引き出された)および36(440mg、3.01mmol)の縮合、DDQを用いた酸化、TEA(3mL)の添加、およびクロマトグラフィー[シリカ、ヘキサン/CH2Cl2,(1:2)]によって紫色の固体が得られた(477mg、27%):1H NMR δ −2.97(s,2H),2.70−2.75(br s,9H),7.56(d,J=8.0Hz,2H),7.60(d,J=8.0Hz,4H),8.11(d,J=8.0Hz,2H),8.14(d,J=8.0Hz,4H),8.89−8.95(m,4H),9.05(d,J=4.4Hz,2H),9.33(d,J=4.4Hz,2H),10.20(s,1H);LDMS観察値580.4;FABMS観察値580.2635、計算値580.2627(C41324);λabs 414,509,544,585,641nm。
【0095】
[参考文献]
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【表1E】

【表1F】

【0096】
以上の記載は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものと解釈してはならない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものであり、特許請求の範囲と均等なものも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】p型Si(100)微小電極上のZn1およびZn7の単層の高速スキャンサイクリック・ボルタンモグラム(100Vs-1)。溶媒/電解質オーバーレイは、1.0M Bu4NPF6を含有するプロピレンカーボネートから構成されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の表面結合基が5位に結合したポルフィリン化合物。
【化1】

式中、
Rは−CHCH2又は−CCHであり、
Arは芳香族基であり、
mは0〜4であり、
nは0〜6であり、
pは0〜3であって、
ただし、nが少なくとも1であるか、又はmが少なくとも2である場合、pは少なくとも1である。
【請求項2】
Rが−CCHである請求項1に記載のポルフィリン化合物。
【請求項3】
Rが−CHCH2である請求項1に記載のポルフィリン化合物。
【請求項4】
nが少なくとも1である請求項1に記載のポルフィリン化合物。
【請求項5】
mが少なくとも2である請求項1に記載のポルフィリン化合物。
【請求項6】
Arがフェニル基である請求項1に記載のポルフィリン化合物。
【請求項7】
pが1であり、
mとnが合計1〜5である請求項1に記載のポルフィリン化合物。
【請求項8】
Rが−CHCH2であり、
mが0、1又は2であり、
nが1又は2であり、
pが1又は2である請求項1に記載のポルフィリン化合物。
【請求項9】
pが1である請求項8に記載のポルフィリン化合物。
【請求項10】
Arがフェニル基である請求項9に記載のポルフィリン化合物。
【請求項11】
以下の式の表面結合基が5位に結合したポルフィリン化合物を製造する方法であって、
【化2】

(式中、
Rは−CHCH2又は−CCHであり、
Arは芳香族基であり、
mは0〜4であり、
nは0〜6であり、
pは0〜3である)
ジピロメタンとジピロメタン−1,9−ジカルビノールとを反応させて反応生成物を得る工程と、
前記反応生成物を酸化させて、前記ジピロメタンと前記ジピロメタン−1,9−ジカルビノールの一方もしくは両方が前記5位で前記表面結合基と置換して、前記ポルフィリン化合物を得る工程と
を含む方法。
【請求項12】
前記ジピロメタン−1,9−ジカルビノールが、1,9−ジアシルジピロメタンを還元することによって生成する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
以下の式の表面結合基が5位に結合したジピロメタン化合物。
【化3】

式中、
Rは−CHCH2又は−CCHであり、
Arは芳香族基であり、
mは0〜4であり、
nは0〜6であり、
pは0〜3であって、
ただし、nが少なくとも1であるか又はmが少なくとも2である場合、pは少なくとも1である。
【請求項14】
Rが−CCHである請求項13に記載のジピロメタン化合物。
【請求項15】
Rが−CHCH2である請求項13に記載のジピロメタン化合物。
【請求項16】
nが少なくとも1である請求項13に記載のジピロメタン化合物。
【請求項17】
mが少なくとも2である請求項13に記載のジピロメタン化合物。
【請求項18】
Arがフェニル基である請求項13に記載のジピロメタン化合物。
【請求項19】
pが1であり、
mとnが合計1〜5である請求項13に記載のジピロメタン化合物。
【請求項20】
Rが−CHCH2であり、
mが0、1又は2であり、
nが1又は2であり、
pが1又は2である請求項13に記載のジピロメタン化合物。
【請求項20】
pが1である請求項19に記載のジピロメタン化合物。
【請求項21】
Arがフェニル基である請求項20に記載のジピロメタン化合物。
【請求項22】
前記ジピロメタンが1,9−ジアシルジピロメタンである請求項13に記載のジピロメタン化合物。
【請求項23】
以下の式の表面結合基が5位に結合したジピロメタン化合物を製造する方法であって、
【化4】

(式中、
RはCHCH2又はCCHであり、
Arは芳香族基であり、
mは0〜4であり、
nは0〜6であり、
pは0〜3である)
以下の式の前駆体化合物をピロールと反応させて、前記表面結合基が5位に置換した前記ジピロメタン化合物を生成する工程
【化5】

(式中、Xはアルデヒド又はアセタール基である)
を含む方法。
【請求項24】
1,9−ジアシルジピロメタン金属錯体を製造する方法であって、
(a)以下の式の表面結合基が5位に結合したジピロメタン化合物をアシル化して、1,9−ジアシルジピロメタンを含む反応生成混合物を得る工程と、
【化6】

(式中、
RはCHCH2又はCCHであり、
Arは芳香族基であり、
mは0〜4であり、
nは0〜6であり、
pは0〜3である)
(b)塩基の存在下で前記反応生成混合物と式R’2MX2の化合物とを組み合わせて(なお、前記式中、R’はアルキル又はアリールであり、MはSn、Si、Ge又はPbであり、Xはハロ、OAc、acac又はOTfである)、前記反応生成混合物中に式DMR’2の金属錯体を形成する(なお、前記式中、DH2は1,9−ジアシルジピロメタンである)工程と、
(c)前記反応生成混合物から前記金属錯体を分離する工程と
を含む方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−505894(P2008−505894A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520304(P2007−520304)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018858
【国際公開番号】WO2006/016943
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(598139601)ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ (11)
【Fターム(参考)】