説明

炭酸アルキレン希釈液及びその調製用炭酸アルキレン、並びに還元性水性薬剤

【課題】還元性物質として環状メルカプト化合物を使用し、且つウェーブ効率及びウェーブ感等に優れたパーマネントウェーブ1剤水溶液を容易に用時調製することを目的とする。
【解決手段】環状メルカプト化合物7〜80重量%を含有する炭酸アルキレン希釈液、炭酸アルキレン希釈液を調製するために用いる炭酸アルキレン、並びに炭酸アルキレン希釈液と水性基剤とから調製される還元性水性薬剤であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、還元性水性薬剤(パーマネントウェーブ1剤等)の調製に有用な炭酸アルキレン希釈液、及びその炭酸アルキレン希釈液の調製に有用な炭酸アルキレン、並びに還元性水性薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
パーマネントウェーブ剤は一般に、還元性物質を含有する水性1剤と、酸化性物質を含有する2剤とから成る。
水性1剤に含有される還元性物質としては、特許文献1に、環状メルカプト化合物が記載されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1には、「環状メルカプト化合物の水溶液中での安定性は充分とはいえず、改善の余地があった。すなわち、この特定の環状メルカプト化合物は、水溶液中では経時的に分解してしまうため、パーマネントウェーブ加工用薬剤が水を含む場合には、薬剤中の環状メルカプト化合物濃度が経時的に減少する上、分解に伴い着色や沈殿などが生じて外観を損ない商品価値を低下させるという問題点がある」ことが記載されている([0009])。
【0004】
そこで、特許文献1では、「環状メルカプト化合物と界面活性剤と水とを含有してなり、乳化した毛髪処理用薬剤(パーマネントウェーブ1剤)」とすることで、「薬剤中の該環状メルカプト化合物の安定性を向上させる」ことが提案されている([0011])。
【0005】
しかしながら、特許文献1の実施例に拠れば、10日後の2−メルカプト−4−ブチロラクトンの分解率は30%前後に達する場合もあり、未だ十分な保存安定性が得られたとは言い難く、大量製造・長期保管に十分に適しているとは言い難い。
【0006】
従って、パーマネントウェーブ1剤において還元性物質として環状メルカプト化合物を使用するときは、パーマネントウェーブ1剤を用時(毛髪処理剤を使用しようとする直前)に調製する必要性が依然としてある。
【0007】
しかし、環状メルカプト化合物は水に難溶であるため、用時調製が容易でないという問題がある。具体的には、パーマネントウェーブ1剤水溶液を調製するには環状メルカプト化合物を水とホモミキサーで激しく撹拌混合する必要がある(特許文献1、[0093])ため、事実上、用時調製は困難であった。
【0008】
【特許文献1】特開2006−265187号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記事情に鑑み、本願発明は、還元性物質として環状メルカプト化合物を使用し、且つウェーブ効率及びウェーブ感等に優れたパーマネントウェーブ1剤水溶液を容易に用時調製することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明者が鋭意、検討した結果、下記本願発明を成すに到った。
即ち、本願第1発明は、環状メルカプト化合物7〜80重量%を含有する炭酸アルキレン希釈液を提供する。
本願第2発明は、環状メルカプト化合物が2−メルカプト−ラクトン(ラクタム)である本願第1発明の炭酸アルキレン希釈液を提供する。
【0011】
本願第3発明は、2−メルカプト−ラクトン(ラクタム)が2−メルカプト−4−ブチロラクトンである本願第2発明の炭酸アルキレン希釈液を提供する。
本願第4発明は、炭酸アルキレンが炭酸エチレン及び/又は炭酸プロピレンである本願第1発明〜第3発明の炭酸アルキレン希釈液を提供する。
【0012】
本願第5発明は、本願第1発明〜第4発明の何れかに記載の炭酸アルキレン希釈液を調製するために用いる炭酸アルキレンを提供する。
本願第6発明は、本願第1発明〜第4発明の何れかの炭酸アルキレン希釈液と水性基剤とから調製される還元性水性薬剤を提供する。
本願第7発明は、還元性水性薬剤がパーマネントウェーブ1剤、毛髪矯正剤、カーリング剤、又はストレートパーマ剤の何れかである本願第6発明の還元性水性薬剤を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願発明により、還元性物質として環状メルカプト化合物を使用し、且つウェーブ効率及びウェーブ感等に優れたパーマネントウェーブ1剤水溶液を容易に用時調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本願発明を詳述する。
本願に係る「炭酸アルキレン」は、環状メルカプト化合物の希釈剤となるものであり、本願に係る炭酸アルキレン希釈液を調製するために専ら用いられるものに限定される。
【0015】
希釈対象である環状メルカプト化合物としては、2−メルカプト−ラクトン及び/又は2−メルカプト−ラクタム[以下「2−メルカプト−ラクトン(ラクタム)」とも言う]が好ましい。2−メルカプト−ラクトン(ラクタム)としては、次式[化−1]にて表されるものが挙げられる。
【0016】
【化1】

【0017】
式[化−1]中、Xは−O−、−S−、−NH−、−NR−のいずれかの構造を示す。RはC1〜6アルキル基を示す。RはH又はC1〜6アルキル基を示す。YはO又はSを示す。Rはメルカプト基を有してもよい二価の有機残基を示す。
【0018】
具体的には、2−メルカプト−ラクトン(ラクタム)としては、2−メルカプト−4−ブチロラクトン(以下「MBL」とも言う。;別名、2−メルカプト−4−ブタノリド)、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、2−メルカプト−6−ヘキサノラクタム等が挙げられ、これらの1種以上使用される。好ましくは、MBLである。
【0019】
本願発明に係る炭酸アルキレンにおいて、「アルキレン」としては、C2〜C3のものが挙げられる。好ましくは、炭酸アルキレンとしては、炭酸エチレン及び/又は炭酸プロピレンである。炭酸アルキレンが炭酸エチレンと炭酸プロピレンの混合物の場合、混合重量比(炭酸エチレン/炭酸プロピレン)は、90/10〜50/50(特に、80/20〜60/40)が好ましい。混合重量比が小さ過ぎると環状メルカプト化合物希釈液の水溶性が悪くなることがある。逆に大き過ぎると、炭酸アルキレン混合液が常温で結晶化してしまい、環状メルカプト化合物の希釈作業時に加熱溶解作業を必要とすることがある。
【0020】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液は、環状メルカプト化合物を含有する。具体的には、環状メルカプト化合物を炭酸アルキレンにて希釈したものである。
【0021】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液において、環状メルカプト化合物としては、上述したものが例示され、好ましくは2−メルカプト−ラクトン(ラクタム)、最も好ましくはMBLである。
【0022】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液において、炭酸アルキレンとしては、上述したものが例示され、好ましくは炭酸エチレン及び/又は炭酸プロピレンである。
【0023】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液において、添加剤として、多塩基酸エステル、多価アルコール、非イオン界面活性剤等を配合することができる。添加剤としては、液状物が好ましい。
【0024】
添加剤において、多塩基酸エステルとしては、具体的には、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル等が挙げられる。
【0025】
添加剤において、多価アルコールとしては、具体的には、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、エチレングリコールおよびポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0026】
添加剤において、非イオン界面活性剤としては、具体的には、POEアルキルエーテル、POPアルキルエーテル、POE・POPアルキルエーテル、POE・POPグリコール、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POEソルビトールテトラ脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。好ましくは、上記「アルキル」が、C4〜18のものである。尚、上記「脂肪酸」としては、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。
【0027】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液において、その他の添加剤としては、POPグリセリルエーテル、POPソルビット、POE・POPグリセリルエーテル、安息香酸アルキル(C12〜15)、有機溶剤(希釈剤)[低級アルコール、芳香族アルコール、N−アルキルピロリドン等]等を配合することができる。
【0028】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液の組成において、環状メルカプト化合物は7〜80(好ましくは9〜30)重量%含有される。炭酸アルキレンは、20〜93(特に70〜91)重量%含有するのが好ましい。
【0029】
環状メルカプト化合物が多過ぎると(又は、炭酸アルキレンが少な過ぎると)、例えば後述の還元性水性薬剤を調製する際、環状メルカプト化合物の溶解が遅くなり、混合作業が困難となって、短時間に均質液状物を調製することができないことがある。逆に、環状メルカプト化合物が少な過ぎると(又は、炭酸アルキレンが多過ぎると)、ウェーブ効率が低下することがある。
【0030】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液の調製は、例えば必要に応じ加熱下(好ましくは50℃以下)、環状メルカプト化合物と炭酸アルキレンを、単に手で振盪することで又は通常の撹拌装置にて、均一混合することにより行うことができる。均一混合は、容易且つ迅速に行うことができる。
【0031】
上述のようにして調製される本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液の形態は、均一液状であり、通常は溶液であるが、これに限定されず、粘性液、ジェル状等であってもよい。
【0032】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液は、一般に、環状メルカプト化合物の分解率(常温、3ヶ月保存)は3%以下である。従って、大量製造・保存が可能である。更に、炭酸アルキレン希釈液は液状物なので、所望量の環状メルカプト化合物を容易に分取できる。
【0033】
本願発明に係る還元性水性薬剤は、炭酸アルキレン希釈液と水性基剤とを混合することにより調製することができる。
【0034】
水性基剤としては、水そのものでもよく、また水と他成分[界面活性剤(カチオン、アニオン、ノニオン、及び両性界面活性剤等)、水溶性高分子、加水分解タンパク液、有機溶剤、酸、アルカリ、塩類、多価アルコール、高級アルコール、エステル、シリコーン、油剤、色素、香料等]を含有するものでもよい。
【0035】
更に、水性基剤には、還元性物質(チオグリコール酸および塩類、システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオ乳酸、チオグリセリン等)を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。例えば、水性基剤としては、公知のパーマネントウェーブ1剤から還元性物質を除いたものでもよいし、公知のパーマネントウェーブ1剤そのものでもよい。
【0036】
還元性水性薬剤としては、パーマネントウェーブ1剤、毛髪矯正剤、カーリング剤、ストレートパーマ剤等が挙げられる。
【0037】
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液の配合量は、例えば水性基剤100重量部に対し、3〜35重量部であってよい。炭酸アルキレン希釈液の配合量が、少な過ぎるとMBLの配合量が少なくなり、ウェーブ効率が低下することがあり、逆に多過ぎると炭酸アルキレンが過剰になり、ウェーブ効率が低下することがある。
【0038】
本願発明に係る還元性水性薬剤の調製は、単に炭酸アルキレン希釈液と水性基剤とを均一混合することによって行うことができる。均一混合は、単に手で振盪することによっても迅速に行うことができ、従って施術者が容易且つ迅速短時間にて用時調製することができる。更に、環状メルカプト化合物を高濃度に配合した場合であっても、極めて容易且つ短時間にて還元性水性薬剤水溶液を調製することができる。
【0039】
本願発明に係る還元性水性薬剤の形態は、均一液状であり、通常は水溶液であるが、これに限定されず、乳化液、粘性液、クリーム状、ジェル状等であってもよい。
【0040】
本願発明に係る還元性水性薬剤はウェーブ効率に優れ、チオグリコール酸換算で2重量%のパーマネントウェーブ1剤として使用した場合、MBL単純水溶液のウェーブ効率が34%であるのに対し、通常34〜45%を有する。更に、本願発明に係る還元性水性薬剤にてパーマネント処理した毛髪は、ウェーブ形成にムラが無く、ウェーブ感(リッジ感等)にも極めて優れる。
【実施例】
【0041】
以下、本願発明を実施例にて具体的に説明する。
<希釈液の調製>
・実施例1〜6及び比較例1〜4
表1に示す配合組成に従って、必要に応じ50℃以下の加熱下、通常の撹拌装置にて撹拌しつつ、MBLを希釈剤に徐々に加え、希釈液(各実施例1〜6及び比較例1〜4)を調製した。
【0042】
尚、MBLは、特開2006−199692号公報の記載に従い、下記方法により製造した。即ち、70%水硫化ナトリウム(49g、0.6mmol、純正化学株式会社製)をメチルアルコール(500g、純正化学社製、特級)と精製水(蒸留後にイオン交換フィルターを通した水、500g)に溶解した。溶解した液を撹拌しながら氷冷下にて10℃以下まで冷却した。冷却した溶液に、2−ブロモ−4−ブチロラクトン(100g、0.6mol、東京化成株式会社製)を約30分かけて滴下した。滴下完了後の液を10分間撹拌した後に、反応液を減圧下で約半量となるまで濃縮した。濃縮した液に、酢酸エチル(500mL、純正化学社製、特級)を加えて抽出した。得られた水相を酢酸エチル(500mL)で再抽出した。これらの抽出した有機相を合わせて、減圧下に濃縮、蒸留精製することで2−メルカプト−4−ブチロラクトン(23g、bp.94℃/0.3kPa、収率32%)を得た。
【0043】
【表1】

【0044】
<希釈液の保存安定性試験>
希釈液(実施例3)をガラス製容器に入れキャップにて封じた後、0℃、5℃、室温、40℃、及び50℃にて、それぞれ3ヶ月間、保存した。その後、希釈液中のMBL残存量をHPLCにて測定した。表2に、MBL残存率を示す。
【0045】
【表2】

【0046】
<2.5wt%MBL含有還元性水性薬剤の調製>
・調製例1〜6、並びに比較調製例1,3及び4
表3に示す配合組成に従って、撹拌装置(東京理化機械製撹拌機、「B−100型撹拌機」、タービン羽根、120rpm)にて撹拌しつつ、希釈液(各実施例1〜6、並びに比較例1,3及び4)を精製水に加え、MBL2.5wt%含有する還元性水性薬剤水溶液(各調製例1〜6、並びに比較調製例1,3及び4)を調製した。
【0047】
・比較調製例2
調製例1と同様にして、均一混合を試みたが、水相と油相(ベンジルアルコール相)とに二相分離し、均一の還元性水性薬剤を調製することはできなかった。
【0048】
・比較調製例5
希釈液の替わりにMBLそのものを加え、且つ精製水の替わりにPOE(20EO)セチルエーテルを配合した精製水を使用した以外は、調製例1と同様にして、MBL2.5wt%含有還元性水性薬剤水溶液(比較調製例5)を調製した。
【0049】
・対照
希釈液の替わりにMBLそのものを加えた以外は、調製例1と同様にして、MBL2.5wt%含有還元性水性薬剤水溶液(対照)を調製した。
【0050】
<還元性水性薬剤の調製作業性試験>
還元性水性薬剤(各調製例1〜6、比較調製例1〜5、及び対照)の調製において、希釈液若しくはMBLを水性媒体に加え、撹拌混合して、水溶液となるまでに要した時間(溶解時間)を測定して、調製作業の容易性を調べた。表3に、溶解時間(秒)を示す。
【0051】
<ウェーブ効率試験>
還元性水性薬剤(各調製例1〜6、比較調製例1,3〜5、並びに対照)をパーマネントウェーブ1剤とし、4wt%臭素酸Na水溶液をパーマネントウェーブ2剤として使用した。
【0052】
ウェーブ効率は、キルビー法により評価した。即ち、試験毛束(長さ約10cm)をキルビーの器具に固定し、先ず上記1剤にて塗布処理(30℃,10分間)し、流水にて1分間洗浄した。次いで、上記2剤にて塗布処理(30℃,10分間)し、流水にて1分間洗浄した。その後、キルビーの器具から処理毛を外し、乾燥した。このようにして得られた乾燥毛の採寸を行い、下記ウェーブ効率計算式によりウェーブ効率を算出した。表3に、ウェーブ効率(%)を示す。
【0053】
ウェーブ効率(%)=100−[100×(B−A)]÷(C−A)
A:キルビー器具の1番目と6番目の棒の間隔(棒の中心点を実測)(mm)。
B:カールした毛髪の6山の長さ(mm)。
C:カールした毛髪を直線に伸ばした時の6山分の長さ(mm)。
【0054】
<ウェーブ感評価試験>
上記にて得られたパーマネントウェーブ処理毛のウェーブ感を目視にて評価を行った。表3に、官能評価結果を示す。
×:ウェーブ感が、対照による処理毛より劣る。
△:ウェーブ感が、対照による処理毛とほぼ同等である。
○:ウェーブ感が、対照による処理毛より優れる。
◎:ウェーブ感が、対照による処理毛より極めて優れる。
【0055】
【表3】

【0056】
表2及び3より、以下のことが明らかである。
本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液(実施例3)は、3ヶ月後のMBL分解率が僅か4%以下であり、保存安定性に極めて優れる。
更に、本願発明に係る炭酸アルキレン希釈液より調製した還元性水性薬剤(調製例1〜6)は、調製に際し迅速に均一溶解でき、ウェーブ効率、更にウェーブ感に優れる。
【0057】
一方、エタノール希釈液より調製した還元性水性薬剤(比較調製例1)は、ウェーブ感が劣る。
ベンジルアルコール希釈液より調製した還元性水性薬剤(比較調製例2)は、均一溶液とすることができない。
【0058】
N−メチルピロリドン希釈液より調製した還元性水性薬剤(比較調製例3)、並びにMBL7重量%未満の希釈液より調製した還元性水性薬剤(比較調製例4)は、ウェーブ感が極めて劣る。
【0059】
MBLを界面活性剤含有水溶液に直接加えて調製した還元性水性薬剤(比較調製例5)は、調製に際し均一溶解するのに、本願に係る還元性水性薬剤に比し、2倍以上も時間がかかり、更にウェーブ感が極めて劣る。
【0060】
MBLを水に直接加えて調製した還元性水性薬剤(対照)は、調製に際し均一溶解するのに、本願に係る還元性水性薬剤に比し、3倍以上も時間がかかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状メルカプト化合物7〜80重量%を含有する炭酸アルキレン希釈液。
【請求項2】
環状メルカプト化合物が2−メルカプト−ラクトン(ラクタム)である請求項1に記載の炭酸アルキレン希釈液。
【請求項3】
2−メルカプト−ラクトン(ラクタム)が2−メルカプト−4−ブチロラクトンである請求項2に記載の炭酸アルキレン希釈液。
【請求項4】
炭酸アルキレンが炭酸エチレン及び/又は炭酸プロピレンである請求項1〜3の何れかに記載の炭酸アルキレン希釈液。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の炭酸アルキレン希釈液を調製するために用いる炭酸アルキレン。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載の炭酸アルキレン希釈液と水性基剤とから調製される還元性水性薬剤。
【請求項7】
還元性水性薬剤がパーマネントウェーブ1剤、毛髪矯正剤、カーリング剤、又はストレートパーマ剤の何れかである請求項6に記載の還元性水性薬剤。

【公開番号】特開2008−150354(P2008−150354A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102196(P2007−102196)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(591028980)山栄化学株式会社 (45)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】