説明

炭酸ガスインジケーター、及び包装体

【課題】周囲雰囲気で発生する炭酸ガスによる炭酸ガスインジケーターの不所望な変色、及びこれに応答性の低下を抑制する。
【解決手段】基材と、該基材上にpH指示薬、結合剤、及び溶媒を含有する炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部と、炭酸ガス吸収剤とを含む炭酸ガスインジケーターで、前記炭酸ガス吸収剤は、前記指示部に隣接した部材の少なくとも1つに含まれる。前記指示部上に、前記指示部に隣接した部材として接着層が形成され、該接着層を介してさらにシーラント層が積層されている。また、前記指示部上に、前記指示部に隣接した部材としてオーバーコートがさらに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飲料、及び薬品等を長期間保存するための炭酸ガス置換包装中の置換されたガス雰囲気が保持されていることを検出するための炭酸ガスインジケーターに関する。特に、包材内の炭酸ガス濃度が低く、大気開放状態と炭酸ガス置換状態の識別性を高めた炭酸ガスインジケーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、炭酸ガスを含む置換ガスを封入したガス置換包装のピンホール、及びシール不良の発生によるガス雰囲気の変化を簡単に確認し得る種々の炭酸ガスインジケーターが上市されている。
【0003】
例えば外装体内に、内容物と共に、炭酸ガスインジケーター及び炭酸ガスを封入した包装体の場合、外装体にピンホール等が発生して炭酸ガスが漏れると、炭酸ガスインジケーター周囲雰囲気中の炭酸ガス濃度が低下して、pH値が上がり、これに伴ってpH指示薬の色調が変化する。このように、炭酸ガスインジケーターを用いると、このpH指示薬の色調の変化を利用して、炭酸ガスインジケーター周囲雰囲気の炭酸ガス濃度の変化を視覚的に検知することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これらの炭酸ガスインジケーターの指示部に好適に使用されるバインダ樹脂は、基材に対する密着性が十分でない場合があるため、例えば基材と指示部との間にアンカーコート層を設けたり、基材上に指示部を介してオーバーコート層を積層させることにより、より密着性の良好な炭酸ガスインジケーターが得られる。また、炭酸ガスインジケーターを外装体の一部に設けるために、基材上に、指示部、及び接着層を介してシーラント層をラミネートすることができる。このようなアンカーコート層、オーバーコート層、接着層等の指示部と隣接する層の材質として、例えば活性酸素を有する各種樹脂と、イソシアネート系硬化剤との組み合わせが最も簡便に使用可能である。しかしながら、イソシアネート基は、環境中の水と反応して炭酸ガスを発生させる。このため、内容物充填後の炭酸ガス置換工程前の段階であっても、その炭酸ガスとインジケータ中のアルカリが反応して炭酸ガスインジケーター層のpHが下降して変色が起こることがあった。また、炭酸ガス置換後には、炭酸ガスが供給されてpHがさらに下降するため、それを再び大気開放状態にした場合に、炭酸ガスインジケーターの応答性が低下して、炭酸ガス置換状態と大気開放状態が識別しにくいという問題があった。
【特許文献1】国際公開第01/044385号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、周囲雰囲気で発生する炭酸ガスによる炭酸ガスインジケーターの不所望な変色、及びこれに応答性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の炭酸ガスインジケーターは、基材と、該基材上にpH指示薬、結合剤、及び溶媒を含有する炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部と、炭酸ガス吸収剤とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の包装体は、基材と、該基材上にpH指示薬、結合剤、及び溶媒を含有する炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部と、炭酸ガス吸収剤とを含む炭酸ガスインジケーターを、炭酸ガスを含む置換ガスを封入した外装体内に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明を用いると、炭酸ガスインジケータ指示部の周囲雰囲気で発生する炭酸ガスを吸収し、炭酸ガスインジケーターの不所望な変色、及び応答性の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の炭酸ガスインジケーターは、基材と、基材上にpH指示薬、結合剤、及び溶媒を含有する炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部と、炭酸ガス吸収剤とを含む。
【0010】
この炭酸ガス吸収剤は、例えば指示部中、あるいは指示部に隣接する部材中に含有させることができる。
【0011】
指示部に隣接する部材としては、例えば基材、シーラント層、接着層、オーバーコート、及びアンカーコート等があげられる。
【0012】
これらの部材の材料として、例えばポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール等の樹脂と、イソシアネート系硬化剤との組み合わせを用いることができる。この組合せを用いると、塗膜の良好な凝集力と界面接着を得ることができる。しかしながら、その一方で、イソシアネート基は、環境中の水と反応して炭酸ガスを発生する。
【0013】
これに対し、本発明の炭酸ガスインジケーターを用いると、例えばイソシアネート硬化剤と、水分との反応などにより炭酸ガスインジケータ指示部の周囲雰囲気で発生する炭酸ガスを炭酸ガス吸収剤で吸収することができる。このため、このような周囲雰囲気で発生する炭酸ガスによる指示部のpHの低下、及び炭酸ガスインジケーターの不所望な変色、及びこれによる炭酸ガスインジケーターの応答性の低下を抑制することができる。
【0014】
炭酸ガス検知用インキ組成物は、さらに炭酸ガス吸収剤を含有することができる。これにより、指示部に隣接した部材のみならず、指示部自体にも周囲雰囲気で発生する炭酸ガスを吸収させることができる。
【0015】
炭酸ガス吸収剤としては、例えば有機アルカリ、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライト、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
【0016】
本発明に使用される炭酸ガス吸収剤の使用量は、包装体作成時にエージングを行った後のイソシアネート残存量から設定が可能である。例えばイソシアネート残存量がA mol/mの場合、炭酸ガス吸収能の上限を1.2Amol/mに設定することができる。
【0017】
本発明の炭酸ガスインジケーターの使用形態としては、食品、飲料、薬品等の内容物を収納するガスバリア性材料からなる容器内を炭酸ガス置換状態とし、容器内に炭酸ガスインジケーターを配置する方法を例示することができる。
【0018】
より具体的には、炭酸ガスインジケーターを配置する方法としては、図3に示すように、基材に印刷した炭酸ガスインジケーターを単に容器内に入れる方法、図5、図6に示すように容器内面に該インジケータを接着する方法、または図7に示すように、容器内面に該インジケータを直接印刷する方法等がある。
【0019】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の炭酸ガスインジケーターの一例の構成を表す断面図を示す。
【0021】
図示するように、この炭酸ガスインジケーター50は、例えばアルミナ蒸着層(図示せず)を有するナイロンフィルム55と、これに接着剤層56を介して積層された、アルミナ蒸着層(図示せず)を有するポリエステルフィルム57とからなる支持体1と、支持体1上に形成されたアンカーコート層51と、アンカーコート層51上に例えばメタクレゾールパープル、炭酸ナトリウム、ポリビニルアセタール樹脂、微結晶セルロース、及び水からなる炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて所定のパターンでグラビア印刷された指示部2と、指示部2が印刷されたアンカーコート層51上に、この指示部2を封止するように形成されたオーバーコート層52とから構成される。このインジケーターの指示部2は、通常の空気中では、紫色を呈している。
【0022】
指示部2中のpH指示薬は、溶媒例えば水やアルコール化合物などの親水性溶媒を介して反応する。このため指示部2は、このような溶媒を含み得る。このため、指示部2は、水がたまりやすく、外観不良を起こしやすい。また、指示部2は、外的衝撃に弱く、この指示部2及びその周辺で剥離、破断し易い。この炭酸ガスインジケーター50のように、指示部2をアンカーコート層51とオーバーコート層52で挟み込むことにより、指示部2を構成する炭酸ガス検知用インキ組成物を保護し、外観不良、剥離、及び破断を防止することができる。さらに、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーターの長期安定性が良好となる。
【0023】
このアンカーコート層51としては、非水溶性であり、支持体1とその上に形成される指示部2との密着性が良好な材料を、また、オーバーコート層52としては、炭酸ガス透過性、指示部2との密着性、及び任意に指示部2上にさらに設けられ得る例えば接着剤層または他の樹脂層との密着性が良好な材料を好ましく使用することができる。
【0024】
このような材料として、例えばウレタン系樹脂及びポリビニルアセタール樹脂等を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0025】
例えばウレタン樹脂は、支持体1と指示部2との密着性を強固にし、支持体1と指示部2との剥離、破断等を効果的に防止し得る。また、ポリビニルアセタール樹脂は、支持体1との密着性が良好であり、かつ親水基を有する。親水基の存在により、ポリビニルアセタール樹脂は、指示部2中の水分の飛散を防止し、外部例えば空気中からの水分を取り込みやすくすることができる。これにより、ポリビニルアセタール樹脂は、少なくとも指示部2中のpH指示薬が機能するために十分な量の水分の維持を助ける作用を有する。
【0026】
なお、ここでは、支持体1の片面のみに指示部を設けたが、支持体1の両面に指示部2を設けた構成も適用し得る。また、支持体1の片面のみに指示部を設ける場合には、必要に応じて、支持体として前述の炭酸ガス不透過性を有する層を、また、オーバーコート層上に炭酸ガス透過性を有する層を各々適用することができる。
【0027】
本発明では、炭酸ガス不透過性を有する層として、24時間の測定で、0ないし50(ml/m)の炭酸ガス透過量を有する層を使用することができる。この炭酸ガス透過量が50(ml/m)より高いと、例えば炭酸ガス不透過性を有する層で包装体を形成した場合に、炭酸ガス雰囲気を十分に保持することが困難となる可能性がある。
【0028】
本発明では、炭酸ガス透過性を有する層として、24時間の測定で、500(ml/m)以上の炭酸ガス透過量を有する層を使用することができる。この炭酸ガス透過量が500(ml/m)以上であれば、炭酸ガス雰囲気変化に対し、指示部が十分な早さで応答し、適切な判定が可能である。
【0029】
本発明に使用可能な、24時間の測定で、0ないし50(ml/m)の炭酸ガス透過量を有する樹脂フィルムとしては、ポリエステル(PET)フィルムやナイロン(Ny)フィルム等の合成樹脂からなる基材フィルム上にシリカやアルミナ等を蒸着した透明蒸着フィルム、及びポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVOH)フィルム等があげられる。
【0030】
これらのフィルムは単独であるいは積層して使用することができる。また、使用目的に応じた強度や耐熱性等を得るために他の樹脂フィルムを積層することができる。例えば、突き刺し強度を得るために、ナイロンフィルム等を積層することができる。
【0031】
本発明に用いる、24時間の測定で、500(ml/m)以上の炭酸ガス透過量を有するフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン類があげられる。なお、低密度ポリエチレンや未延伸ポリプロピレンはヒートシール性を有しており、包装袋内層として最適である。
【0032】
指示部が印刷された支持体と、炭酸ガス透過量が24時間で50(ml/m)以下のフィルムと、炭酸ガス透過量が24時間で500(ml/m)以上のフィルム、及びその他のフィルムを貼り合わせる方法としては、公知の方式が利用可能であり、例えば接着剤を用いたドライラミネーションが利用可能である。
【0033】
さらに、ここでは、炭酸ガス吸収剤として例えばゼオライト等が、炭酸ガスインジケーターを構成する部材の少なくとも1つ例えば支持体1、アンカーコート層51、オーバーコート層52、任意に設けられ得る接着層、及び指示部2等に混入されている。あるいは、オーバーコート層52上に炭酸ガス吸収剤を含む層をさらに設けることができる。これにより、これらの部材の少なくとも1つに含まれるイソシアネート基と、周囲雰囲気中の水との反応により、不所望な炭酸ガスが発生しても、炭酸ガス吸収剤がこの炭酸ガスを吸収するので、pH指示部2に炭酸ガスが供給されることがなく、炭酸ガスインジケーターの色変化、応答性の低下を防止できる。
【0034】
炭酸ガス吸収剤を上記部材に混入する方法としては、例えば支持体、アンカーコート層、オーバーコート層、任意に設けられ得る接着層材料中に練り込むこと、及び指示部を印刷するための炭酸ガス検知用インキ組成物中に添加することなどがあげられる。
【0035】
また、図2は、炭酸ガスインジケーターの他の一例の構成を表す断面図である。
【0036】
図示するように、この炭酸ガスインジケーター60は、上述の炭酸ガスインジケーター50の改良例であって、アンカーコート層51の代わりに、支持体1上に第1のアンカーコート層53と第2のアンカーコート層54の積層構造が使用されていること以外は、図1に示す炭酸ガスインジケーターと同様の構造を有する。好ましくは第1のアンカーコート層53の周縁部とオーバーコート層52とが密着されることにより指示部2及び第2のアンカーコート層54が2つの層52,53内に封入されている。
【0037】
第1のアンカーコート層としては、支持体1と密着性の良い非水溶性材料例えばウレタン系樹脂等が好ましく使用される。
【0038】
また、第2のアンカーコート層としては、第1のアンカーコート層及び指示部2との密着性が良好であり、さらに好ましくは親水基を有し、水を含む指示部2に対し保水効果を有する材料例えばポリビニルアセタール樹脂等が好ましく使用される。
【0039】
アンカーコート層及びオーバーコート層の塗布方法としては、印刷法例えばスクリーン印刷法、凹版印刷法、及びグラビア印刷法等や、コーティング法例えばロールコーティング、スプレーコーティング、及びディップコーティング等が好適に使用される。
【0040】
この炭酸ガスインジケーター60では、アンカーコート層を2層に分けて形成しているので、第1のアンカーコート層53により、支持体1と指示部2との密着性を強固にする作用、第2のアンカーコート層54により、少なくとも指示部2中のpH指示薬が機能するために十分な量の水分を確保する作用が得られる。従って、炭酸ガスインジケーター、図1に示す炭酸ガスインジケーター50のように、アンカーコート層を1層だけ形成するよりも、より強固な密着性と、指示部に対するより効果的な保水性とが実現できる。さらに、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーターの長期安定性がさらに良好となる。
【0041】
なお、ここでは、支持体1の片面のみに指示部を設けたが、支持体1の両面に指示部2を設けた構成も適用し得る。また、支持体1の片面のみに指示部を設ける場合には、必要に応じて、支持体として前述の炭酸ガス不透過性を有する層を、また、オーバーコート層上に炭酸ガス透過性を有する層を各々適用することができる。
【0042】
また、炭酸ガス吸収剤を適用可能な部材は、アンカーコート層51のかわりに、さらに第1のアンカーコート層53及び第2のアンカーコート層54があげられること以外は、図1に示す炭酸ガスインジケーターと同様である。あるいは、オーバーコート層52上に炭酸ガス吸収剤を含む層をさらに設けることができる。また炭酸ガス吸収剤を設けることにより、炭酸ガスインジケーター周囲雰囲気に炭酸ガスが発生しても、炭酸ガス吸収剤が余分な炭酸ガスを吸収するので、pH指示部に炭酸ガスが供給されることがなく、炭酸ガスインジケーターの色変化、及び応答性の低下を防止できる。
【0043】
図3に、本発明にかかるガス置換包装体の一例を表す図を示す。図示するように、このガス置換包装体20は、例えば薬液、飲料等の内容物を収納したポリエチレン製の容器11と、その周囲を炭酸ガス透過性を有する例えば多孔性のフィルム3で包囲された、炭酸ガス吸収剤を含む炭酸ガスインジケーター50とを、置換ガスとして窒素50容量%、二酸化炭素50容量%混合ガス13を用いて、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体12に封入した構成を有する。
【0044】
この包装体中のインジケーター50の指示部は、封入時には黄色を呈している。しかしながら、包装体にピンホールあるいはシール不良等が発生し、置換ガスが漏れ出して代わりに周囲の大気が混入すると、包装体内の炭酸ガス濃度が低下する。このため、インジケーター50周囲のガス雰囲気が変化して、指示部の色調が黄色からうす茶色、さらには紫色へとpHに応じて変化する。この色調の変化を視認することにより、包装体内の炭酸ガスを含む雰囲気が保持されているかどうかを容易に確認することができる。また、炭酸ガス吸収剤が設けられているので、炭酸ガスインジケーター周囲に炭酸ガスが発生しても、炭酸ガス吸収剤が余分な炭酸ガスを吸収するので、pH指示部に余分な炭酸ガスが供給されることがなく、炭酸ガスインジケーターの色変化、及び応答性の低下を防止できる。
【0045】
なお、炭酸ガスインジケーター50の代わりに、上述の炭酸ガスインジケーター60を適用することができる。
【0046】
図4には、本発明にかかるガス置換包装体の他の例を示す。
【0047】
図示するように、包装体30は、例えばブロック生肉等の内容物を真空包装したポリエチレンフィルム製の容器14の表面に、容器14の外装部を支持体としてスクリーン印刷により形成された指示部2と、この指示部2上に被覆された通気性材料からなる被覆層5と、例えば外装部、指示部、あるいは被覆層等に設けられた炭酸ガス吸収剤とを有する炭酸ガスインジケーター18を設け、置換ガスとして窒素50容量%、二酸化炭素50容量%混合ガス13を用いて、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体12で封入した構成を有する。
【0048】
また、被覆層5を設けない以外は、図4の包装体30と同様の構成を有する包装体とすることもできる。
【0049】
この包装体30でも、図3に示す包装体と同様に、この色調の変化を視認することにより、包装体内の炭酸ガスを含むガス雰囲気が保持されているかどうかを容易に確認することができる。また、炭酸ガス吸収剤が設けられているので、炭酸ガスインジケーター周囲に炭酸ガスが発生しても、炭酸ガス吸収剤が余分な炭酸ガスを吸収するので、pH指示部に余分な炭酸ガスが供給されることがなく、炭酸ガスインジケーターの色変化、及び応答性の低下を防止できる。
【0050】
なお、炭酸ガスインジケーター18の代わりに、容器14の外装部を支持体とした上述の炭酸ガスインジケーター50、60を適用することができる。
【0051】
図5には、本発明にかかるガス置換包装体の他の例を示す。
【0052】
図3、図4に示した包装体以外に、図5に示すような炭酸ガスインジケータを外装体に設けた包装体40があげられる。
【0053】
この包装体40は、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体12と、外装体12内面に、外装体12を支持体として例えばスクリーン印刷により設けられた炭酸ガスインジケーター50とから構成される。又は、炭酸ガスインジケーター50を外装体12に接着する等の方法で、包装体と一体化して使用しても良い。炭酸ガス吸収剤は、支持体1、外装体12、及び指示部2等に設けることができる。この包装体40は、例えば2枚の積層フィルムを指示部2を内側にして配し、その間に内容物16を配置した後、窒素50容量%、二酸化炭素50容量%混合ガス13で置換しながら、外装体12周辺をヒートシールにより気密に封止することにより形成され得る。
【0054】
この包装体40でも、炭酸ガス吸収剤が設けられているので、炭酸ガスインジケーター周囲雰囲気に炭酸ガスが発生しても、炭酸ガス吸収剤が余分な炭酸ガスを吸収するので、pH指示部に炭酸ガスが供給されることがなく、炭酸ガスインジケーターの色変化、及び応答性の低下を防止できる。
【0055】
図6には、本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの他の例を包装体の外装体に適用した例を表す断面図を示す。
【0056】
図示するように、支持体となる外装体として、例えばアルミナ蒸着層(図示せず)を有するナイロンフィルム81とアルミナ蒸着層(図示せず)を有するポリエステルフィルム83とを接着剤層82を介して積層して得られた積層フィルムを使用する。この積層フィルムと、その上に図2に示す炭酸ガスインジケーターの一例と同様に、第1のアンカーコート層53と第2のアンカーコート層54の積層構造、指示部2、及びオーバーコート層52を順に設けることにより、炭酸ガスインジケーターが構成されている。また、この外装体上のその他の領域には、任意に、例えば商品名等の文字、あるいは画像等のパターンを有するインキ層17をオーバーコート層52の作成と平行して設けることができる。さらに、この及びインキ層17上には、例えば接着層74を介して低密度ポリエチレンからなるシーラント層75が設けられている。
【0057】
このような炭酸ガスインジケーターが設けられた外装体を使用して例えば窒素50容量%、二酸化炭素50容量%混合ガス13を置換ガスとして内容物を封止することにより、炭酸ガスインジケーター付き包装体が得られる。
【0058】
得られた包装体では、指示部の強固な密着性と、指示部に対する効果的な保水性とが実現できる。さらに、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーター付き包装体の長期安定性が良好となる。
【0059】
炭酸ガス吸収剤は、例えば支持体のポリエステルフィルム83、オーバーコート層52、インキ層17、接着層74、シーラント層75、第1のアンカーコート層53、第2のアンカーコート層54、及び指示部2等に設けることが出来る。
【0060】
炭酸ガス吸収剤を設けることにより、炭酸ガスインジケーター周囲雰囲気に炭酸ガスが発生しても、炭酸ガス吸収剤が余分な炭酸ガスを吸収するので、pH指示部に炭酸ガスが供給されることがなく、炭酸ガスインジケーターの色変化、及び応答性の低下を防止できる。
【0061】
尚、上述の炭酸ガスインジケーター及び包装体の例では、pH指示薬として、メタクレゾールパープルを使用しているが、pH指示薬はこれに限定するものではなく、1種またはそれ以上のpH指示薬成分の組合せを使用することができる。
【0062】
さらに、図7には、本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの他の例の構造を表す断面図を示す。
【0063】
図示するように、この炭酸ガスインジケーターは、基材1,及び基材1上に設けられた指示部2、指示部2上に、接着層74を介して設けられた低密度ポリエチレンからなるシーラント層75を含む。
【0064】
ここで、炭酸ガス吸収剤は、少なくとも基材1、接着層74、指示部2またはシーラント層75に適用することができる。あるいは、基材1、接着層74、指示部2及びシーラント層75の層間、及び基材1の接着層74とは反対の面上に炭酸ガス吸収剤を含む層をさらに設けることができる。
【0065】
また、図8には、本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの他の例の構造を表す断面図を示す。
【0066】
図示するように、この炭酸ガスインジケーターは、基材1,及び基材1上に設けられた指示部2、基材1の指示部2が設けられた面とは反対の面上に、接着層74を介して設けられた低密度ポリエチレンからなるシーラント層75を含む。
【0067】
炭酸ガス吸収剤は、少なくとも基材1、接着層74、指示部2またはシーラント層75に適用することができる。あるいは、基材1、接着層74、指示部2またはシーラント層75間、及び基材1の接着層74とは反対の面上に、炭酸ガス吸収剤を含む層をさらに設けることができる。
【0068】
炭酸ガス吸収剤は、基材、シーラント層に用いられる場合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜400重量部添加される。好適には、5〜50重量部添加される。これにより、成形性を阻害することなく十分な炭酸ガス吸収能を有する層を形成することができる。また、アンカーコート層、オーバーコート層、接着剤層に用いられる場合には、バインダー樹脂100重量部に対して5〜50重量部添加される。これにより、炭酸ガス吸収能を保ちながら、充分な塗膜強度を保つことが可能となる。
【0069】
炭酸ガス吸収剤は、炭酸ガスインジケーターを構成する部材のうち少なくとも一層に添加すれば良く、内容物や包材内の空間容積に応じて適宜複数の層に添加すればよい。
【0070】
例えば指示層に直接接触する部材例えば基材、アンダーコート、シーラント、接着剤、及びオーバーコート等、指示層に直接接触しない部材例えば基材の反対側の層、及び印刷層等があげられる。
【0071】
本発明に使用され得る炭酸ガス検知用インキ組成物は、pH指示薬、結合剤、及び溶媒を含む、またはさらにアルカリ性物質を含むことができる。
【0072】
炭酸ガスは、水に溶けて弱い酸性を呈する。本発明に使用されるインキ組成物では、周囲雰囲気中の炭酸ガスが十分に存在すると、pH値が低くなるが、炭酸ガス濃度が低下するに従ってpH値が上がり、これに伴って、pH指示薬の色調が変化する。この色調の変化を観察することにより、周囲雰囲気の炭酸ガス濃度の変化を検知することができる。アルカリ性物質を含む構成とすると、前記色調の変化をより明確に検知することができる。
【0073】
本発明によれば、このインキ組成物を用いて、炭酸ガス雰囲気の包装体内に指示部を設けることにより、置換したガス雰囲気中の炭酸ガス濃度の変化を指示部の色調により判断して、包装体のピンホール、及びシール不良の発生を簡単に確認することができる。
【0074】
また、本発明の炭酸ガスインジケーターは、支持体と、この支持体上に形成された指示部とを含み、この指示部は、炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて形成される。
【0075】
本発明の包装体は、食品、飲料、薬品等の内容物を収容する容器、またはこの容器を収納した外装体内が炭酸ガス雰囲気を有する包装体であって、この容器内、あるいは外装体内に炭酸ガスインジケーターが配置されている。
【0076】
このようなインジケーターを、炭酸ガス雰囲気の包装体内に設けると、包装体内が大気と通じて炭酸ガスが抜けた場合に、置換したガス雰囲気中の炭酸ガス濃度の変化を指示部の色調により判断できる。このため、包装体のピンホール、及びシール不良の発生、あるいはいたずら、運搬、あるいは保管時における、包装体の開封及び損傷等の有無を、インジケーターの表示色が炭酸ガス濃度が低いときの色に変化することにより簡単に確認することができる。
【0077】
pH指示薬としては、炭酸ガス濃度0ないし100%の範囲内で、その濃度の影響により色調変化を伴うもの、またはアルカリ性物質の濃度変化に応じたpHの変動に対して色調変化を伴うものであればどのようなものでも使用できる。
【0078】
下記表1に好ましいpH指示薬及びその呈色範囲を示す。
【表1】

【0079】
特に好ましいpH指示薬としては、安全性及び呈色反応の変化がわかりやすいことなどからメタクレゾールパープル、パラキシレノールブルーがあげられる。
【0080】
本発明に用いられるアルカリ性物質は、例えばトリエタノールアミン、ポリエチレンイミンなどの有機アルカリ、及び水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ及びアンモニア等から選択することができる。インキ組成物に対する配合比としては、好ましくは0ないし5重量%添加することができる。5重量%を超えるアルカリ性物質を添加しても、その効果は同等である。これらは、炭酸ガス吸着剤としても作用するが、これ以外の炭酸ガス吸着剤を添加することもできる。
【0081】
溶媒としては、インキ組成物の各成分を均一にかつ安定に溶解または分散することのできるものが選択され、エーテル類、芳香族炭化水素、エステル類、アルコール類、ケトン類等が挙げられる。特に、アルコール類が好ましい。また、色素、アルカリ性物質等を溶解させてインキ組成物とし、且つインジケーターとしての良好な発色を得るためには、水が含まれることが好ましい。アルコール類等の溶剤と水の割合としては、水1重量部に対して、溶剤が0.1〜50重量部であることが好ましい。溶剤の添加量が1重量部未満であると、印刷適性に劣り、一様なインジケーター層形成が困難となる。また、溶剤が50重量部を超えると、バインダー樹脂以外の成分が不溶となる傾向がある。
【0082】
バインダー樹脂は、pH指示薬、アルカリ性物質、吸水性粉末を支持体上に固着するために使用されるもので、このような結合剤としては、例えばポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケタール、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、酢酸ビニル部分ケン化物、ポリビニルアルコール部分ケン化物、エチレンビニルアルコール等があげられる。
【0083】
本発明に用いられる炭酸ガスインジケーターはさらに吸水剤を含有し得る。これにより、指示部となるインキ層中に水などの溶媒を保持して炭酸ガスの吸収を容易にせしめ、pH指示薬の呈色反応を促進させることができる。吸水剤としては、水等の溶媒を含んだときに極端な酸性或いはアルカリ性を示さないものが選択され、例えばでんぷん、カオリン、合成シリカ、ガラス、微結晶セルロース、イオン交換セルロース、及びケイ酸アルミニウム等を用いることができる。
【0084】
また、本発明に用いられる炭酸ガスインジケーターは、さらに多価アルコールを含むことが好ましい。多価アルコールは保湿剤として作用し、指示部となるインキ層中に水等の溶媒を保持して炭酸ガスの吸収を容易にせしめ、pH指示薬の呈色反応を促進させることができる。
【0085】
多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。より好ましくはグリセリンを使用することができる。
【0086】
pH指示薬は、指示薬そのものの色調の変化で判断するだけでなく、他の色の色素との混色による色調の変化で判断することができる。
【0087】
また、この他インキの塗工性向上のため、炭酸ガス検知用インキの発色に影響を与えない範囲で各種薬剤例えば界面活性剤、ニス、コンパウンド、乾燥抑制剤、及びドライヤー等を添加することも可能である。
【0088】
この炭酸ガス検知用インキ組成物は、好ましくは液状であり、基材へのインキの塗布方法としては、印刷法例えばスクリーン印刷法、凹版印刷法、及びグラビア印刷法等や、コーティング法例えばロールコーティング、スプレーコーティング、及びディップコーティング等が好適に使用される。
【0089】
基材としては、炭酸ガスインジケーターと反応せず、しかも試薬の呈色を阻害しないものがよい。このような基材として、例えば紙、合成紙、不繊布、合成樹脂フィルム等を用いることができる。合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セロハン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及びこれらのシリカ、アルミナなどの透明蒸着フィルム等を目的、使用形態に合わせて用いることができる。
【0090】
炭酸ガスインジケーター層を保護し、外観不良、剥離、及び破断を防止する目的で、アンカーコート層、オーバーコート層を設けることが出来る。このアンカーコート層としては、非水溶性であり、基材とその上に形成される炭酸ガスインジケーター層との密着性が良好な材料を、オーバーコート層としては、酸素透過性、炭酸ガスインジケーター層との密着性、及び任意に炭酸ガスインジケーター層上に更に設けられ得る接着剤層または他の樹脂層との良好な密着性を有する材料を好ましく使用することが出来る。アンカーコート層、及び/またはオーバーコート層は必要に応じて2層以上設けることも出来る。
【0091】
シーラント層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等、酸素透過性、水蒸気透過性のあるものを適宜選択可能である。
【実施例】
【0092】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0093】
実施例1
炭酸ガス検知用インキ組成物組成:
メタクレゾールパープル 1重量部
ポリビニルアセタール樹脂 7重量部
グリセリン 4重量部
水酸化リチウム 3重量部
アンカーコート層、オーバーコート層、接着層組成:
ポリオール樹脂 10重量部
イソシアネート系硬化剤 2重量部
12ミクロン厚のポリエステルフィルム基材を用意し、その一方の面にアンカーコート層0.5ミクロン、指示層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させた。、基材のもう一方の面に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを接着層を介して積層させた。、更にアンカーコート層、指示層、及びオーバーコート層からなる印刷面を覆うように、炭酸ガス吸着剤としてゼオライトを含む低密度ポリエチレンフィルム(ポリエチレン/ゼオライト=100/7)を積層させ、炭酸ガスインジケーター積層フィルムを得た。
【0094】
実験1
得られた炭酸ガスインジケーター積層フィルムを用いて、バリア包装体を作製し、内部を炭酸ガス5%窒素95%に置換した後24時間放置し、色調を確認した。その後、開封して24時間放置し、大気下における色調を確認することでガス置換時の色調と比較した。得られた結果を下記表1に示す。
【0095】
実験2
大気開放状態で60℃湿度75%の条件下に2週間放置後、外観、発色を観察した。
【0096】
実施例2
炭酸ガス検知用インキ組成物組成:
実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層:
実施例1と同様
接着層1組成:
ポリオール樹脂 10重量部
イソシアネート系硬化剤 2重量部
接着層2組成:
ポリオール樹脂 10重量部
イソシアネート系硬化剤 2重量部
シリカ 5重量部
12ミクロン厚のポリエステルフィルム基材を用意し、その一方の面にアンカーコート層0.5ミクロン、インジケータ層1ミクロン、及びオーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させた。また、その他方の面に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを接着層を介して積層させた。更に炭酸ガス吸着剤としてシリカを含む接着層を介して印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルムを積層させ、炭酸ガスインジケーター積層フィルムを得た。
【0097】
実施例1と同様にして、実験1及び実験2を行った。
【0098】
得られた結果を下記表2に示す。
【0099】
実施例3
炭酸ガス検知用インキ組成物組成:
実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層:
実施例1と同様
接着層1、接着層2組成:
実施例2と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層0.5ミクロン、インジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを炭酸ガス吸着剤としてシリカを含む接着層を介して積層させ、更に接着層を介して印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルムを積層させ、炭酸ガスインジケーター積層フィルムを得た。
【0100】
実施例1と同様にして、実験1及び実験2を行った。
【0101】
得られた結果を下記表2に示す。
【0102】
実施例4
炭酸ガス検知用インキ組成物組成:
実施例1と同様
アンカーコート層:
ポリオール樹脂 10重量部
イソシアネート系硬化剤 2重量部
炭酸カルシウム 10重量部
オーバーコート層:
ポリオール樹脂 10重量部
イソシアネート系硬化剤 2重量部
接着層組成:
実施例1と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルム基材を用意し、その一方の面に、炭酸ガス吸着剤として炭酸カルシウムを含むアンカーコート層0.5ミクロン、インジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを接着層を介して積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルムを積層させ、炭酸ガスインジケーター積層フィルムを得た。
【0103】
実施例1と同様にして、実験1及び実験2を行った。
【0104】
得られた結果を下記表2に示す。
【0105】
実施例5
炭酸ガスインジケーター組成:
実施例1と同様
アンカーコート層:
ポリオール樹脂 10重量部
イソシアネート系硬化剤 2重量部
オーバーコート層:
ポリオール樹脂 10重量部
イソシアネート系硬化剤 2重量部
炭酸カルシウム 10重量部
接着層組成:
実施例1と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルム基材を用意し、その一方の面にアンカーコート層0.5ミクロン、インジケータ層1ミクロン、及び炭酸ガス吸着剤として炭酸カルシウムを含むオーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その他方の面に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを接着層を介して積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルムを積層させ、炭酸ガスインジケーター積層フィルムを得た。
【0106】
実施例1と同様にして、実験1及び実験2を行った。
【0107】
得られた結果を下記表2に示す。
【0108】
実施例6
インジケータ層組成:
パラキシレノールブルー 1重量部
ポリビニルアセタール樹脂 7重量部
グリセリン 4重量部
水酸化リチウム 3重量部
トリエタノールアミン 2重量部
アンカーコート層、オーバーコート層、接着層組成:
実施例1と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルムの基材を用意し、その一方の面にアンカーコート層0.5ミクロン、炭酸ガス吸着剤としてトリエタノールアミンを含むインジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その他方の面に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを接着層を介して積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルムを積層させ、炭酸ガスインジケーター積層フィルムを得た。
【0109】
実施例1と同様にして、実験1及び実験2を行った。
【0110】
得られた結果を下記表2に示す。
【0111】
実施例7
炭酸ガスインジケーター組成:
実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層、接着層:
実施例1と同様
炭酸ガス吸着剤としてアルミナを3重量部含有する12ミクロン厚のポリエステルフィルム基材を用意し、その一方の面にアンカーコート層0.5ミクロン、インジケータ層1ミクロン、及びオーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、もう一方の面に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを接着層を介して積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルムを積層させ、炭酸ガスインジケーター積層フィルムを得た。
【0112】
実施例1と同様にして、実験1及び実験2を行った。
【0113】
得られた結果を下記表2に示す。
【0114】
比較例1
炭酸ガスインジケーター組成:
実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層、接着層:
実施例1と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層0.5ミクロン、インジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、もう一方の面に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを接着層を介して積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルムを積層させ、炭酸ガスインジケーター積層フィルムを得た。
【0115】
実施例1と同様にして、実験1及び実験2を行った。
【0116】
得られた結果を下記表2に示す。
【表2】

【0117】
実験1より、比較例のように炭酸ガス吸着剤を使用しない材質構成、印刷構成では、開封後の色調が深緑色を呈するため、炭酸ガス置換状態での黄色との視認性が十分であるとは言えないのに対し、実施例の炭酸ガスインジケーターでは、炭酸ガス5%置換状態において黄色を呈し、その後開封して24時間後には、鮮やかな青色を呈した。発色がよく、色の違いが容易に判断できた。
【0118】
実験2より、比較例のように炭酸ガス吸着剤を使用しない材質構成、印刷構成では、大気開放状態でも保存テスト後の色調が緑色になってしまうのに対し、実施例では、青色を維持した。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの一例の構成を表す断面図
【図2】本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの一例の構成を表す断面図
【図3】本発明にかかるガス置換包装体の一例を表す図
【図4】本発明にかかるガス置換包装体の一例を表す図
【図5】本発明にかかるガス置換包装体の一例を表す図
【図6】本発明にかかる炭酸ガスインジケーターを包装体の外装体に適用した例を表す断面図
【図7】本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの一例の構造を表す断面図
【図8】本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの一例の構造を表す断面図
【符号の説明】
【0120】
1…支持体、2,90…指示部、5,73…炭酸ガス透過性フィルム、8…被覆層、18,50,60…炭酸ガスインジケーター、11,14,16…容器、12…外装体、13…炭酸ガス含有ガス、17…インキ層、20、30、40…包装体、51…アンカーコート層、52…オーバーコート層、53…第1のアンカーコート層、54…第2のアンカーコート層、55、81…ナイロンフィルム、56、74、82…接着剤層、57、83…アルミナ蒸着ポリエステルフィルム、75…シーラント層、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材上にpH指示薬、結合剤、及び溶媒を含有する炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部と、炭酸ガス吸収剤とを含むことを特徴とする炭酸ガスインジケーター。
【請求項2】
前記炭酸ガス吸収剤は、前記指示部に隣接した部材の少なくとも1つに含まれることを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項3】
前記指示部上に、前記指示部に隣接した部材として接着層が形成され、該接着層を介してさらにシーラント層が積層されていることを特徴とする請求項2に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項4】
前記指示部上に、前記指示部に隣接した部材としてオーバーコートがさらに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項5】
前記指示部上に、前記指示部に隣接した部材として、該オーバーコート上に、表面層がさらに形成されていることを特徴とする請求項4に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項6】
前記基材は、支持体と、該支持体及び指示部間に、該指示部に隣接した部材として形成されたアンカーコートとの積層体であり、前記炭酸ガス吸収剤は前記アンカーコートに含まれていることを特徴とする請求項2に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項7】
前記炭酸ガス検知用インキ組成物は、さらに炭酸ガス吸収剤を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項8】
前記炭酸ガス吸収剤が、有機アルカリ、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライト、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項9】
前記指示部に隣接した部材は、イソシアネート系硬化剤を含有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の炭酸ガスインジケーターを、炭酸ガスを含む置換ガスを封入した外装体内に配置したことを特徴とする包装体。
【請求項11】
前記基材は、その少なくとも一部が前記外装体に含まれていることを特徴とする請求項10に記載の包装体。
【請求項12】
前記外装体内に炭酸ガスを発生する薬剤を収容するための炭酸ガス透過性一次容器がさらに封入されていることを特徴とする請求項10または11に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−122048(P2009−122048A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298362(P2007−298362)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】