説明

炭酸水製造装置

【課題】炭酸ガス溶解度の高い炭酸水を短時間で生成することのできる炭酸水製造装置を提供する。
【解決手段】圧力容器2には炭酸ガスボンベ9から減圧弁10で減圧された炭酸ガスがガス管12を介してガス導入口13から圧力容器2に供給される。水ポンプ4を駆動して水弁5を開放すると水道3からの水が加圧されて水配管7に連通した水ノズル8から炭酸ガスが高圧で充填されている圧力容器2内に霧状に噴出される。炭酸水流出管14は炭酸水の流出口として圧力容器2の底部2aに臨んで開口し、炭酸水弁15を開放すると炭酸ガスの圧力で押し出された炭酸水が炭酸水管16を介して注出ノズル17から注出される。圧力容器2の底部2aには炭酸水環流管21を設け、炭酸水環流ポンプ22および逆止弁23を介して炭酸水環流管21から水配管7に連通させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料ディスペンサや自動販売機等で炭酸飲料を調理して供給する場合に必要とする炭酸水の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シロップと炭酸水を混合して調理した炭酸飲料を供給する飲料ディスペンサや自動販売機等は炭酸水を製造する装置を備えている。
炭酸水製造装置は、導入された水と炭酸ガスとを接触させることにより炭酸水を生成する圧力容器を有し、炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスを減圧弁で減圧して(例えば、0.55MPa)ガス導入口から圧力容器に供給される。
一方、水道から供給される水は水ポンプで加圧して(例えば、1MPa)送水し、冷却水槽内の冷却水に浸漬されている冷却コイルを通流させ、炭酸ガスが充填されている圧力容器へ水ノズルから霧状に噴出させる。
圧力容器内では、高圧の炭酸ガスに霧状の水が接触することにより、炭酸ガスが水に溶け込んで炭酸水が製造される。製造された炭酸水は炭酸水弁が開放されると炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガス圧力によって圧力容器から押し出されて飲料ノズルからカップへと注がれる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−323173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように炭酸水を製造するには、高圧の炭酸ガスに霧状の水を高圧で噴出することにより、水に炭酸ガスを吸収させて炭酸水を生成しているが、水を霧状に噴出するのみでは炭酸ガス溶解度の高い炭酸水を生成するには十分ではなく、時間を掛けて貯留している水の表面から炭酸ガスを吸収させて炭酸ガス溶解度を高くする必要がある。
本発明は、上記実情に鑑みて、炭酸ガス溶解度の高い炭酸水を短時間で生成することのできる炭酸水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る炭酸水製造装置は、導入された炭酸ガスと水との接触により炭酸水を生成する圧力容器を用いた炭酸水製造装置において、
前記圧力容器に炭酸ガスを導入するガス導入口と、該ガス導入口から圧力容器に導入された炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズルと、霧状に噴出された水に炭酸ガスが溶け込んで生成された炭酸水を前記圧力容器から流出させる炭酸水流出管と、前記圧力容器の底部と前記水ノズルとを連通させ、その途中に炭酸水環流ポンプと逆止弁を介在させた炭酸水環流管と、を設け、
前記炭酸水環流ポンプを駆動して前記圧力容器の底部に貯留してある炭酸水を前記炭酸水環流管で送出し、前記水ノズルから前記炭酸ガス中に霧状に噴出させるようにしたことを特徴とする。
【0005】
また、本発明の請求項2に係る炭酸水製造装置は、導入された炭酸ガスと水との接触により炭酸水を生成する圧力容器を用いた炭酸水製造装置において、
前記圧力容器に水を導入する水導入口と、前記炭酸ガスの導入孔としての複数の孔を穿設した炭酸ガス導入管と、該炭酸ガス導入管から前記圧力容器に導入された炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズルと前記圧力容器の底部とを連通させ、その途中に炭酸水環流ポンプを介在させた炭酸水環流管と、霧状に噴出された水に炭酸ガスが溶け込んで生成された炭酸水を前記圧力容器から流出させる炭酸水流出管と、弁を開放して前記圧力容器からガスを放出するガス放出弁と、を設け、
前記ガス放出弁を開放して前記圧力容器からガスを放出後、前記水導入口から導入した水中に前記炭酸ガス導入管から炭酸ガスを気泡の様態で放出した後、前記炭酸水環流ポンプを駆動して前記圧力容器の底部に貯留してある炭酸水を前記炭酸水環流管で送出し、前記気泡が浮上した炭酸ガス中に前記水ノズルから霧状に噴出させるようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の請求項3に係る炭酸水製造装置は、上述した請求項2において、前記炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズルと前記炭酸水環流ポンプとを連通させた炭酸水環流管を前記圧力容器内に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、炭酸水環流ポンプを駆動して圧力容器の底部に貯留してある炭酸水を炭酸水環流管で送出し、水ノズルから炭酸ガス中に霧状に噴出させるようにしたので、炭酸ガス溶解度の高い炭酸水を短時間で生成することのできる炭酸水製造装置を実現することができる。
また、請求項2の発明によれば、ガス放出弁を開放して圧力容器からガスを放出後、水導入口から導入した水中に炭酸ガス導入管から炭酸ガスを気泡の様態で放出した後、炭酸水環流ポンプを駆動して圧力容器の底部に貯留してある炭酸水を炭酸水環流管で送出し、気泡が浮上した炭酸ガス中に水ノズルから霧状に噴出させるようにしたので、炭酸ガス導入管から放出された無数の微小な炭酸ガス気泡が水中で浮遊しているときにも炭酸ガスが水に吸収されるので炭酸ガス溶解度の高い炭酸水を短時間で生成することのできる炭酸水製造装置を実現することができる。
【0008】
また、請求項3の発明によれば、炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズルと前記炭酸水環流ポンプとを連通させた炭酸水環流管を前記圧力容器内に設けたので、炭酸水環流管等からの水漏れの虞をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る炭酸水製造装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1である炭酸水製造装置の回路構成図である。炭酸水製造装置1において、圧力容器2は冷却水槽30に貯留され、図示しない冷凍サイクルで略0℃に保持されている冷却水に浸漬され保冷されている。この圧力容器2には、炭酸ガスボンベ9から減圧弁10で所定の圧力(例えば、0.55MPa)に減圧された炭酸ガスが、炭酸ガス弁11が開放されるとガス管12を介してガス導入口13から圧力容器2に供給される。また、水ポンプ4を駆動して水弁5を開放すると水道3からの水が加圧されて水冷却コイル6を通流して冷やされ水配管7に連通した水ノズル8から炭酸ガスが高圧で充填されている圧力容器2内に霧状に噴出される。
【0010】
炭酸水流出管14は炭酸水の流出口として圧力容器2の底部2aに臨んで開口し、炭酸水弁15を開放すると炭酸ガスの圧力で押し出された炭酸水が炭酸水管16を介して注出ノズル17から注出される。また、ガス放出管18には、圧力容器2内の圧力が一定以上になると弁を開放して圧力を下げる安全弁19を連通している。
圧力容器2の底部2aには炭酸水環流管21を設け、炭酸水環流ポンプ22および逆止弁23を介して炭酸水環流管21から水配管7に連通させている。
以上のような構成の炭酸水製造装置1においては、次のようにして炭酸水を製造して供給することができる。
炭酸飲料の調理指示が出されると、制御部(図示せず)は炭酸水弁15を開放して炭酸水流出管14から炭酸水を流出させ、炭酸水が減少して水位計(図示せず)が下限水位信号を出力すると、水ポンプ4を駆動し水弁5を開放して水道3からの水を水冷却コイル6、水配管7を通流させて水ノズル8から圧力容器2に霧状に噴出し、水位計が上限水位信号を出力すると水ポンプ4を停止すると共に水弁5を閉鎖する。霧状に噴出された水は周囲の炭酸ガスを吸収して炭酸水となるが、炭酸ガスの溶け込み量は限られる。次に、炭酸水環流ポンプ22を駆動させて圧力容器2の底部2aに連通させた炭酸水環流管21から炭酸水を吸い込み、逆止弁23、水配管7を通過させて水ノズル8から霧状に噴出する。
【0011】
このようにして、圧力容器2に貯留している炭酸水を炭酸水環流ポンプ22を駆動させて炭酸水環流管21から吸い込み、水ノズル8から霧状に噴出することを所定時間行うことにより炭酸ガス溶解度の高い(炭酸ガス溶け込み量の多い)炭酸水を短時間で生成(製造)することができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について、図2の炭酸水製造装置40の回路構成図を参照して説明する。なお、図1に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。炭酸水製造装置40は、水配管7に連通して圧力容器2に水を導入する水導入口24と、ガス管12に連通して、炭酸ガスの導入孔としての複数の孔(突き抜けた小さい穴、例えば、穴径0.3mm〜1mm)を圧力容器2の底部2aに臨んだ先端部に穿設した炭酸ガス導入管25と、該炭酸ガス導入管25から圧力容器2に導入された炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズル8と圧力容器2の底部2aとを連通させ、その途中に炭酸水環流ポンプ22を介在させた炭酸水環流管21と、霧状に噴出された水に炭酸ガスが溶け込んで生成された炭酸水を圧力容器2から流出させる炭酸水流出管14と、弁を開放して逆止弁26を介してガスを放出するガス放出弁27と、を圧力容器2に設け、ガス放出弁27を開放して圧力容器2からガスを放出後、水導入口24から導入した水中に炭酸ガス導入管25の先端部に穿設した複数の孔から炭酸ガスを気泡の様態で放出した後、炭酸水環流ポンプ22を駆動して圧力容器2の底部2aに貯留してある炭酸水を炭酸水環流管21で送出し、気泡が浮上した炭酸ガス中に水ノズル8から霧状に噴出させるようにしている。
【0012】
このようにして、ガス放出弁27を開放して圧力容器2からガスを放出後、水導入口24から導入した水中に炭酸ガス導入管25から炭酸ガスを気泡の様態で放出した後、炭酸水環流ポンプ22を駆動して圧力容器2の底部2aに貯留してある炭酸水を炭酸水環流管21で送出し、気泡が浮上した炭酸ガス中に水ノズル8から霧状に噴出させるようにしたので、炭酸ガス導入管25から放出された無数の微小な炭酸ガス気泡が水中で浮遊しているときにも炭酸ガスが水に吸収されるので、炭酸ガス溶解度の高い(炭酸ガス溶け込み量の多い)炭酸水を短時間で生成(製造)することができる。
尚、上述した実施の形態では、炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズル8と炭酸水環流ポンプ22とを連通させた炭酸水環流管21を圧力容器2の外部に設けているが、これらを圧力容器2内に設けるようにしてもよい。このように圧力容器2内に設けることにより、炭酸水環流管等からの水漏れの虞をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1である炭酸水製造装置の回路構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2である炭酸水製造装置の回路構成図である。
【符号の説明】
【0014】
1 炭酸水製造装置
2 圧力容器
4 水ポンプ
5 水弁
7 水配管
8 水ノズル
9 炭酸ガスボンベ
11 炭酸ガス弁
13 ガス導入口
14 炭酸水流出管
18 ガス放出管
19 安全弁
21 炭酸水環流管
22 炭酸水環流ポンプ
23 逆止弁
24 水導入口
25 炭酸ガス導入管
26 逆止弁
27 ガス放出弁
30 冷却水槽
40 炭酸水製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入された炭酸ガスと水との接触により炭酸水を生成する圧力容器を用いた炭酸水製造装置において、
前記圧力容器に炭酸ガスを導入するガス導入口と、該ガス導入口から圧力容器に導入された炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズルと、霧状に噴出された水に炭酸ガスが溶け込んで生成された炭酸水を前記圧力容器から流出させる炭酸水流出管と、前記圧力容器の底部と前記水ノズルとを連通させ、その途中に炭酸水環流ポンプと逆止弁を介在させた炭酸水環流管と、を設け、
前記炭酸水環流ポンプを駆動して前記圧力容器の底部に貯留してある炭酸水を前記炭酸水環流管で送出し、前記水ノズルから前記炭酸ガス中に霧状に噴出させるようにしたことを特徴とする炭酸水製造装置。
【請求項2】
導入された炭酸ガスと水との接触により炭酸水を生成する圧力容器を用いた炭酸水製造装置において、
前記圧力容器に水を導入する水導入口と、前記炭酸ガスの導入孔としての複数の孔を穿設した炭酸ガス導入管と、該炭酸ガス導入管から前記圧力容器に導入された炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズルと前記圧力容器の底部とを連通させ、その途中に炭酸水環流ポンプを介在させた炭酸水環流管と、霧状に噴出された水に炭酸ガスが溶け込んで生成された炭酸水を前記圧力容器から流出させる炭酸水流出管と、弁を開放して前記圧力容器からガスを放出するガス放出弁と、を設け、
前記ガス放出弁を開放して前記圧力容器からガスを放出後、前記水導入口から導入した水中に前記炭酸ガス導入管から炭酸ガスを気泡の様態で放出した後、前記炭酸水環流ポンプを駆動して前記圧力容器の底部に貯留してある炭酸水を前記炭酸水環流管で送出し、前記気泡が浮上した炭酸ガス中に前記水ノズルから霧状に噴出させるようにしたことを特徴とする炭酸水製造装置。
【請求項3】
前記炭酸ガス中に水を霧状に噴出する水ノズルと前記炭酸水環流ポンプとを連通させた炭酸水環流管を前記圧力容器内に設けたことを特徴とする請求項2に記載の炭酸水製造装置。

【図1】
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【図2】
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