説明

点検ポートプラグ装置

【課題】マルチチャンバ型ガスタービンエンジン内の3つ以上の対向配置した点検ポートを密閉するための点検ポートプラグ(100)装置を提供する。
【解決手段】本点検ポートプラグ(100)装置の実施形態は、キャップ(126)と2以上の端部間結合したシャフトとを含む。第1のシャフト(102)は、キャップ(126)に結合された第1の端部(102a)と、凹部を備えた第1の密閉プラグ部(106)を有する第2の端部(102b)とを含む。第2のシャフト(104)は、凹部内で第1の密閉プラグ部(106)に結合された第3の端部(104a)と、第2の密閉プラグ部(108)を有する第4の端部(104b)とを含む。第1のシャフト(102)及び第2のシャフト(104)はまた、点検ポートプラグ(100)装置を取付けた時に、それぞれ第1の密閉プラグ部(106)及び第2の密閉プラグ部(108)において密閉を維持するための第1の付勢機構(114)及び第2の付勢機構(116)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、総括的には間隔を置いて配置された壁内の対向するポートの多空洞密閉に関し、より具体的には、ガスタービンエンジン内の点検アクセスポートの密閉に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、非常に高い温度及び圧力環境内で作動する。これらのエンジンは一般的に、間隔を置いて配置された壁を備えた多数のケーシングを有しており、これらの壁は、ガス流路構成要素の点検又はそれらガス流路構成要素への間欠的アクセスのために、またエンジンをモニタするためにボアスコープ、近接プローブ又はレーザプローブのようないずれかのタイプの点検装置を挿入するための対向配置したポートを有する。これらの点検ポートは、点検が終了した後にはプラグ閉塞しつまり密閉して、エンジンが作動状態にある時におけるこれら点検ポートを通しての漏洩を防止する必要がある。これ迄は、密閉表面は、例えば外部作動圧力、中間作動圧力及びガス流路作動圧力などの3つの作動圧力の最大値を有する1つ又は2つの密閉表面に限定されていた。しかしながら、より最新のエンジンでは、同時密閉表面の数は、3つ以上の密閉表面を含む可能性がある。
【0003】
さらに、ガスタービンエンジンは、異なるケーシング内で該ケーシングの異なる熱膨張を引き起こす異なる温度を有しており、このことにより、ケーシングの間隔を置いて配置された壁内の対向配置したポートの不整列が生じる。ポートを不整列にするもう1つの要因は、異なるチャンバ内の圧力、機械的負荷及び温度変動による様々な表面相互間の半径方向、軸方向及び円周方向移動である。間隔を置いて配置された壁内の多数のポートの不整列は、それらのポートが適切に密閉されていない場合には漏洩を引き起こす可能性があり、その結果エンジンの全体効率を低下させ、エンジン構成要素を劣化又は損傷させ、また高温ガスがエンジン外部に漏出した場合には人に危害を与えるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4406580号明細書
【特許文献2】米国特許第4815276号明細書
【特許文献3】米国特許第5115636号明細書
【特許文献4】米国特許第6468033号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題を踏まえて、ガスタービンエンジンにおける複数の対向壁間のポートを密閉するための点検ポートプラグ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態では、着脱可能なプラグ装置である点検ポートプラグ装置は、第1の凹部を形成したキャップを含むことができる。対向する第1の端部及び第2の端部を有する第1のシャフトは、その第1の端部においてキャップの第1の凹部内に受けられる。第1のシャフトの第2の端部は、第2の凹部を備えた第1の密閉プラグ部を含む。第1の付勢機構は、第1のシャフトの第1の端部に結合されかつ該第1のシャフトを第1の凹部から離れる半径方向外向きに拡張するように付勢する。対向する第3の端部及び第4の端部を有する第2のシャフトは、その第3の端部において第1の密閉プラグ部の第2の凹部内に受けられる。第2のシャフトの第4の端部は、第2の密閉プラグ部含む。第2の付勢機構は、第2のシャフトの第3の端部に結合されかつ該第2のシャフトを第2の凹部から離れる半径方向外向きに拡張するように付勢する。
【0007】
本発明の別の実施形態では、タービンエンジンは、少なくとも該エンジンの外壁内の第1の点検ポート、第1の点検ポートと実質的に対向しかつ円錐形の密閉表面を備えた該エンジンの中間壁内の第2の点検ポート、及び第2の点検ポートと実質的に対向しかつ円錐形の密閉表面を備えた該エンジンの最内壁内の第3の点検ポートを密閉する着脱可能なプラグ装置を含むことができる。プラグ装置は、第1の点検ポートを密閉するキャップを含むことができ、キャップは、少なくとも第1のシャフト及び第2のシャフトにおいて第1の凹部を形成した環状カラーを含む。対向する第1の端部及び第2の端部を有する第1のシャフトは、その第1の端部においてキャップの第1の凹部内に受けられる。第2の端部は、第2の凹部を形成した第1の密閉プラグ部を含む。第1の付勢機構は、第1のシャフトの第1の端部に結合されかつ該第1のシャフトを第1の凹部から外向きに拡張するように付勢して第2の点検ポートと密閉状態に第1の密閉プラグ部が付勢されるようにする。対向する第3の端部及び第4の端部を有する第2のシャフトは、その第3の端部において第1の密閉プラグ部の第2の凹部内に受けられる。第2のシャフトの第4の端部は、第2の密閉プラグ部を含む。第2の付勢機構は、第2のシャフトの第3の端部に結合されかつ該第2のシャフトを第2の凹部から外向きに拡張するように付勢して第3の点検ポートと密閉状態に第2の密閉プラグ部が付勢されるようにする。
【0008】
本発明の上記の及びその他の利点は、その全体を通して同じ参照符号が同様な部分を表している添付図面に関連させてなした以下の詳細な説明を検討することにより、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態による、拡張した形態での点検ポートプラグ装置の断面図。
【図2A】本発明の実施形態による、ガスタービンエンジン内に取付けられて該ガスタービンエンジンの中心線の周りで半径方向、軸方向及び円周方向変位のような発生可能性のある異なるタイプの変位を受けている点検ポートプラグの断面図。
【図2B】本発明の実施形態による、ガスタービンエンジン内に取付けられて該ガスタービンエンジンの中心線の周りで半径方向、軸方向及び円周方向変位のような発生可能性のある異なるタイプの変位を受けている点検ポートプラグの断面図。
【図2C】本発明の実施形態による、ガスタービンエンジン内に取付けられて該ガスタービンエンジンの中心線の周りで半径方向、軸方向及び円周方向変位のような発生可能性のある異なるタイプの変位を受けている点検ポートプラグの断面図。
【図3】本発明の実施形態による点検ポートプラグ装置の一部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、本発明の実施形態を示しており、従って図面を参照しながら本発明を説明する。
【0011】
図1は、2つの軸方向シャフトつまり第1のシャフト102と第2のシャフト104とを有する点検ポートプラグ100装置の断面図を示している。本発明の実施形態では、点検ポートプラグ100は、着脱可能なプラグ装置である。2つのシャフトの各々つまり第1のシャフト102と第2のシャフト104とはそれぞれ、軸方向に対向する端部つまり第1の端部102aと第2の端部102bと、及び第3の端部104aと第4の端部104bとを有する。点検ポートプラグ100は、環状カラー126aと、環状カラー126a内側の第1の保持部122とを有するキャップ126を含む。キャップ126の環状カラー126aは、第1の保持部122と共に、第1のシャフト102の第1の端部102aを受ける第1の凹部128を形成する。第1のシャフトの第2の端部102bは、第1の密閉プラグ部106を含む。本発明の実施形態では、第1の密閉プラグ部106は、半球形密閉プラグ部である。第1の密閉プラグ部106は、ガスタービンの対応する壁内の円錐形表面によって形成されたポートとの間で第1の線接触の形態になった密閉係合を形成する。
【0012】
第1の密閉プラグ部106は、第2の保持部124を含み、第1の密閉プラグ部106及び第2の保持部124は、第2のシャフト104の第3の端部104aを受ける第2の凹部130を形成する。第1のシャフト102の第2の端部102bと同様に、第2のシャフト104の第4の端部104bは、第2の密閉プラグ部108を含む。本発明の態様では、第2の密閉プラグ部108は、半球形密閉プラグ部とすることができる。第2の密閉プラグ部108は、ガスタービンエンジンの対応する壁内の円錐形表面によって形成されたポートとの間で第2の線接触の形態になった密閉係合を形成する。
【0013】
さらに、第1のシャフト102の第1の端部102aには第1のショルダ部118を設けて、第1の凹部128内における該第1のシャフト102のためのロック機構を形成する。第1のショルダ部118は、第1のシャフト102から半径方向に延びかつ該第1のシャフト102を少なくとも部分的に囲む環状リングを含むことができる。キャップ126の第1の保持部122は、この構成部を第1のショルダ部118とロックさせることによって、第1のシャフト102が第1の凹部128から抜け出るのを防止する。同様に、第2のシャフト104の第3の端部104aは、第2のショルダ部120を有しており、この第2のショルダ部120は、第1の密閉プラグ部106の第2の保持部124と係合することによるロック機構を形成して、第2のシャフト104が第2の凹部130から抜け出るのを防止する。第1のショルダ部118と同様に、第2のショルダ部120は、第2のシャフト104から半径方向に延びかつ該第2のシャフト104を少なくとも部分的に囲む環状リングを含むことができる。本発明の実施形態では、第1のショルダ部118及び第2のショルダ部120は、それらの遠位端に円弧状表面を有して、キャップ126に対する第1のシャフト102のオフアクシス(軸ずれ)運動つまり半径方向移動を可能にする。ギャップにより移動が許されるが、接触面の形状により、第1のシャフト102はギャップの限界範囲内で第1の保持部122に対して同心に保たれる。第1のシャフト102は、この接触面の中心の周りで回転することが可能である。第1のシャフト102の第1の端部102aはさらに、第1のショルダ部118から延びる第1のネック部110を含む。同様に、第2のシャフト104の第3の端部104aは、第2のショルダ部120から延びて第1のシャフト102に対する第2のシャフト104のオフアクシス運動を可能にする第2のネック部112を含む。本発明の実施形態では、第1のネック部110及び第2のネック部112はそれぞれ、その形状が切頭円錐形であって、シャフト102及びシャフト104のキャップ126に対するまた互いに対するオフアクシス運動を可能にする。切頭円錐形形状というのは、円錐台つまりシャフトの端部に向って徐々にテーパした形状を意味している。
【0014】
第1の付勢機構114は、第1のシャフト102の第1の端部102aの第1のショルダ部118及び/又は第1のネック部110に結合して、該第1のショルダ部118を第1の凹部128から離れる半径方向外向き方向に拡張するようにすることができる。同様に、第2の付勢機構116は、第2のシャフト104の第3の端部104aの第2のショルダ部120及び/又は第2のネック部112に結合して、該第2のシャフト104の第2のショルダ部120を第2の凹部130から離れる半径方向外向き方向に拡張するようにすることができる。本発明の1つの実施形態では、第1の付勢機構114及び第2の付勢機構116は、スプリング、ベローズ、クレスト又は波形スプリングの少なくとも1つ、或いは力変位装置又は例えば空気圧ピストンなどの一定力装置のようなその他のあらゆる適当な付勢装置を含むことができる。プラグ100を取付けていない場合には、付勢機構114及び116は、第1及び第2のシャフト102及び104を伸縮自在に拡張して1つの細長い同軸シャフトにするように作動する。加えて、第1の付勢機構114は、第2の付勢機構116よりも大きな剛性を有するようにして、該第2の付勢機構116が第1の密閉プラグ部106とその対応するポートとの間の密閉に影響を与えるのを防止することができる。
【0015】
本発明の実施形態では、点検ポートプラグ100は、3つよりも多い間隔を置いて配置された対向壁を有するガスタービンエンジン内に形成されたポートを密閉するような構成になった複数のシャフトを含む。複数のシャフトの各々は、第1のシャフト102及び第2のシャフト104と同様に軸方向に対向する端部を有し、複数のシャフトの各々の一方の端部は、密閉プラグ部を有し、また複数のシャフトの各々の他端部は、先行シャフトの密閉プラグ部によって形成された凹部内に受けられる。それら複数のシャフトのための保持部、ショルダ部及び付勢機構は、図1に説明した第1のシャフト102及び第2のシャフト104と同様である。
【0016】
図2Aは、ガスタービンエンジン内に取付けられた図1の点検ポートプラグ100の断面図を示している。一般的に、ガスタービンエンジン内には、複数の対向する平行及び非平行壁と対応するチャンバとが存在し得る。ボアスコープ又はレーザプローブのような点検装置は、複数の壁間でポートを貫通して複数のチャンバ間で延びることが必要である。例えば、これらの壁は、内側圧縮機、燃焼室、タービンケーシング、ファンダクト又はこれらに類したものの壁とすることができる。点検装置を取外したら、これらの壁間の点検ポートは、プラグ閉塞して、エンジンが作動状態にある時にチャンバ間のあらゆる流れの漏洩を防止する必要がある。
【0017】
図2Aは、3つのそのような間隔を置いて配置された対向壁つまり外壁202、中間壁204及び最内壁206に関係した本発明の実施形態を示している。図1の点検ポートプラグ100は、それぞれ外壁202、中間壁204及び最内壁206によって形成された第1のポート208、第2のポート210及び第3のポート212を同時に密閉するために使用される。
【0018】
キャップ126は、ボルト止めフランジ、Oリング、ねじなどのようなあらゆる適当な手段によって、外壁202上に取付けられて第1のポート208を密閉する。第1の密閉プラグ部106は、その形状が円錐形である第2のポート210との間で第1の線接触214を形成する。本発明の実施形態では、第1の密閉プラグ部106は、半球形密閉プラグ部である。第1の密閉プラグ部106と中間壁204との間に形成された第1の線接触214は、第2のポート210を密閉する。線密閉部を形成するために、第1の密閉プラグ部106は、半球形形状を有する雄本体を含み、また第1のポート208は、円錐形表面を有する雌本体を含む。このようにして、半球形形状は、接触時にその中心の周りで回転しかつ依然として線接触を維持することができる。第2の密閉プラグ部108は、その形状が円錐形である第3のポート212との間で第2の線接触216を形成する。本発明の実施形態では、第2の密閉プラグ部108は、半球形密閉プラグ部である。第2の密閉プラグ部108及び最内壁206によって形成された第2の線接触216は、第3のポート212を密閉する。
【0019】
図2Bを参照すると、エンジン半径方向は、エンジン中心線に関して該エンジン中心線から発散する方向として表され、エンジン円周方向は、図2Bに示すようにエンジン軸線の周りで円周に沿った方向として表され、またエンジン軸方向は、図2Cに示すようにエンジン中心線軸に沿った方向として表される。一般的に、点検ポートプラグ100は、エンジン半径方向に挿入されるが、エンジン円周方向及びエンジン軸方向の方向成分を含むことができる。基本的な密閉部は、円錐形ソケット内のボールであって、前に図2Aにおいてそれぞれ示したように、このボールは、第1の密閉プラグ部106又は第2の密閉プラグ部108とすることができ、また円錐形ソケットは、第1のポート210又は第2のポート212とすることができる。密閉部の両側における圧力差は、ボール及び円錐形ソケットのより大きい開口側により大きな圧力が存在している場合には密閉力与えるのを助けることができる。反対に、円錐形ソケットのより小さい開口側において圧力がより大きい場合には、密閉を維持するために十分な力をボールに加えなければならない。従って、壁の半径方向変位に対抗して線接触を維持するためには、十分なエンジン半径方向移動と共に十分なスプリング力が必要である。十分な力があると、エンジン壁間に相対的な半径方向、軸方向又は円周方向変位が生じた場合にも密閉が維持される。そのような変位は、各壁202、204及び206内の温度変化(例えば、作動停止時における低温から作動中の高温まで)、各空洞内の圧力変化、或いはトルク反作用、剪断力、偶力、配管荷重、ステータチューブ支持荷重又はこれらの荷重のあらゆる組合せにより各壁202、204及び206に作用する可変機械的荷重の付加の結果生じる可能性がある。
【0020】
本発明の実施形態を示す図2Aを再び参照すると、この実施形態では、中間壁204及び最内壁206は、図2B及び図2Cに示す様々な荷重によるエンジン半径方向への変位を生じる可能性がある。エンジン半径方向変位に際して第1の線接触214を維持するために、第1の付勢機構114は、第1のシャフト102が所定の距離の範囲内で上向きに移動しないようにする。所定の距離は、第2の付勢機構116の剛性に対する第1の付勢機構114の剛性に応じて決まる。例えば、最内壁206及び中間壁204の互いに向ってのエンジン半径方向移動に適応するためには、第1の付勢機構114の剛性は、第2の付勢機構116の剛性よりも大きいことが望ましいと言える。
【0021】
壁202、204及び206間のエンジン円周方向変位並びにエンジン軸方向変位の適応可能な度合いは、第1の保持部122と第1のシャフト102の第1のショルダ部118の初期位置との間に存在するギャップによって決まる。同様に、第2の保持部124と第2のシャフト104の第2のショルダ部120の初期位置との間に存在するギャップは、第2のポート210と第3のポート212との間で適応可能な相対的不整列(ずれ)を決定する。エンジン軸方向及び円周方向移動の適応可能な度合いもまた、第1のシャフト102及び第2のシャフト104の長さに応じて決まる。第1のシャフト102及び第2のシャフト104の長さが大きくなればなるほど、適応可能なエンジン軸方向及び円周方向不整列は大きくなる。
【0022】
本発明の実施形態では、図2Aに示すような点検ポートプラグ100は、着脱可能なプラグ装置である。着脱可能なプラグ装置の場合には、第2の密閉プラグ部108の全直径は、第2のポート210の最小壁開口の全直径よりも小さくすべきであり、また第1の密閉プラグ部106の全直径は、第1のポート208の最小壁開口の全直径よりも小さくなくてはならない。従って、点検ポートプラグ100は、障害物なしに挿入しまた取外すことができる。
【0023】
図3は、点検ポートプラグ300装置の一部分の断面図を示している。ガスタービンエンジン内には、複数の対向壁と対応するチャンバとが存在し得る。図3は、2つのそのような対向壁つまり最内壁320と後続壁322とを備えた本発明の実施形態を示している。この点検ポートプラグ300は、複数のシャフトを含んでおり、図3にはそれらのうちの2つのシャフトつまり最内シャフト302と後続シャフト304とを示している。最内シャフトは、第1の端部302aと第2の端部302bとを有する。説明を平易にするために、点検ポートプラグ300の断面図は、後続シャフト304の第3の端部304aのみを示している。最内シャフト302の第1の端部302aは、最内密閉プラグ部306を含む。最内密閉プラグ部306は、その形状が円錐形でありかつ最内壁320によって形成された最内ポート310との間で線接触334を形成する。本発明の実施形態では、最内密閉プラグ部306は、半球形密閉プラグ部とすることができる。最内密閉プラグ部306によって形成された線接触334は、最内ポート310を密閉する。
【0024】
同様に、後続シャフト304の第3の端部304aは、後続密閉プラグ部308を含む。後続密閉プラグ部308は、その形状が円錐形でありかつ後続壁322によって形成された後続ポート312との間で面接触336を形成する。本発明の実施形態では、後続密閉プラグ部308は、該密閉プラグ部308を形成した半球形形状の故に、期待する面接触領域を有することができる。この接触構成は、後続密閉プラグ部308と後続壁322との相対運動による磨耗に一層耐えることができる。
【0025】
さらに、後続シャフト304の後続密閉プラグ部308と分割ブロック314とによって形成された第1の凹部316は、最内シャフト302の第2の端部302bを受ける。最内シャフト302の第2の端部302bは、該第2の端部302bの最上部分340に隣接する下方端部342においてテーパさせて、該最上部分340が最内シャフト302の下方部分338の半径よりも大きい半径を有するようにすることができる。第2の端部302bの最上部分340は、第1の凹部316内に収容され、他方、第1のシャフト302の下方部分338は、分割ブロック314内部に収容される。分割ブロック314は、後続密閉プラグ部308の内表面によって形成されたスロット344内に配置される。分割ブロック314は、最内シャフト302の下方部分338を囲む円形断面を有する。円筒形部品として形成されている分割ブロック314は、最内シャフト302上に組立てることができないことになるので、その軸方向中心線を通して少なくとも半分に切断して組立てるべきである。分割ブロック314は、最内シャフト302上に組立てたら、保持部324によって第1の凹部316の端部内に保持される。分割ブロック314は、最内シャフト302が第1の凹部316から抜け出るのを防止するロック構成を可能にする。さらに、最内シャフト302の第2の端部302bは、ショルダ部330を有しており、このショルダ部330は、最内シャフト302から半径方向に延びかつ該最内シャフト302を少なくとも部分的に囲む環状リングを含むことができる。最内シャフト302が外向きに移動した時、第2の端部302bの下方端部342におけるテーパ部分は、分割ブロック314のテーパ部345と係合する。
【0026】
本発明の実施形態では、付勢機構328は、最内シャフト302の第2の端部302bのショルダ部330及び/又はネック部332において最内シャフト302に結合することができる。本発明の実施形態では、付勢機構は、スプリング、ベローズ、クレスト又は波形スプリングの少なくとも1つ、或いは力変位装置又は例えば空気圧ピストンなどの一定力装置のようなその他のあらゆる適当な付勢装置を含むことができる。再び図3を参照すると、点検ポートプラグ300組立体がエンジンから取外されかつ付勢機構328により最内シャフト302が外向きに完全に拡張した時に、分割ブロック314のテーパ部345は、下方端部342のテーパ部分と係合し、また分割ブロック314と最内シャフト302との間に保持部324によって形成された裕度もまた閉鎖又は実質的に閉鎖されて、この機構を組立てるために必要な幾らかの円周方向裕度326を除けば、最内シャフト302及び後続シャフト304を中心線軸に対して同心にさせる。
【0027】
本発明の別の実施形態では、付勢機構は、点検ポートプラグ装置が取付けられかつエンジンが作動状態にない初期状態に圧縮されたスプリングである。最内壁320及び後続壁322は、初期には互に対して一定位置にあり、その後エンジン作動中に互いに対して変位する。そのような変位は、例えば作動停止時における低温から作動中の高温までのような各壁内の温度変化、各空洞内の圧力変化、或いはトルク反作用、剪断力、偶力、配管荷重、ステータチューブ支持荷重又はこれらの荷重のあらゆる組合せにより各壁に作用する可変機械的荷重の付加の結果生じる。これらの変位は、最内壁320及び後続壁322に図2B及び図2Cに関して説明したような同一方向又は反対方向のエンジン半径方向変位を生じさせる可能性がある。面接触336を維持するために、付勢機構328は、最内シャフト302を外向きに移動させて、エンジン半径方向変位によって生じた不整列に適応させる。
【0028】
本発明の別の実施形態では、上記変位の内の1つ以上により、図3の後続壁322及び最内壁320は、エンジン半径方向変位を生じる可能性がある。面接触336を維持するために、付勢機構328は、エンジン半径方向変位の場合には、最内シャフト302が所定の距離の範囲内で上向きに移動しないようにする。所定の距離は、エンジン半径方向変位の度合いに対する付勢機構328の剛性に応じて決めることができる。
【0029】
本発明のさらに別の態様では、上記の複合作用により生じた面外変位は、後続ポート312に対して最内ポート310を不整列状態にする可能性がある。そのようなエンジン軸方向又は円周方向変位或いは両変位の組合せは、最内シャフト302の長さと共に付勢機構328によって、少なくとも部分的に適応することができる。
【0030】
本明細書は、実施例を使用して本発明を開示しまたさらに当業者があらゆる装置又はシステムを製作しかつ使用すること並びにあらゆる組入れた方法を実行することを含む本発明の実施を行うのを可能にする。本発明の特許性がある技術的範囲は、特許請求の範囲によって定まり、かつ当業者が想起するその他の実施例を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有するか又はそれらが特許請求の範囲の文言と本質的でない相違を有する均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲内に属することになることを意図している。
【符号の説明】
【0031】
100 点検ポートプラグ
102 第1のシャフト
102a 第1の端部
102b 第2の端部
104 第2のシャフト
104a 第3の端部
104b 第4の端部
106 第1の密閉プラグ部
108 第2の密閉プラグ部
110 第1のネック部
112 第2のネック部
114 第1の付勢機構
116 第2の付勢機構
118 第1のショルダ部
120 第2のショルダ部
122 第1の保持部
124 第2の保持部
126 キャップ
126a 環状カラー
128 第1の凹部
130 第2の凹部
202 外壁
204 中間壁
206 最内壁
208 第1のポート
210 第2のポート
212 第3のポート
214 第1の線接触
216 第2の線接触
300 点検ポートプラグ
302 最内シャフト
302a 第1の端部
302b 第2の端部
304 後続シャフト
304a 第3の端部
306 最内密閉プラグ部
308 後続密閉プラグ部
310 最内ポート
312 後続ポート
314 分割ブロック
316 第1の凹部
320 最内壁
322 後続壁
324 保持部
326 円周方向裕度
328 付勢機構
330 ショルダ部
332 ネック部
334 線接触
336 面接触
338 下方部分
340 最上部分
342 下端部
344 スロット
345 テーパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン上の複数の実質的に対向する点検ポートを密閉するための点検ポートプラグ装置(100)であって、
第1の凹部を備えたキャップ(126)と、
対向する第1の端部(102a)及び第2の端部(102b)を有し、前記第1の端部(102a)が前記キャップ(126)の第1の凹部(128)内に受けられまた前記第2の端部(102b)が第2の凹部(130)を備えた第1の密閉プラグ部(106)を有する第1のシャフト(102)と、
前記第1のシャフト(102)の第1の端部(102a)に結合されかつ該第1のシャフト(102)を前記第1の凹部(128)から離れる半径方向外向きに拡張するように付勢した第1の付勢機構(114)と、
対向する第3の端部(104a)及び第4の端部(104b)を有し、前記第3の端部(104a)が前記第1の密閉プラグ部(106)の第2の凹部(130)内に受けられまた前記第4の端部(104b)が第2の密閉プラグ部(108)を有する第2のシャフト(104)と、
前記第2のシャフト(104)の第3の端部(104a)に結合されかつ該第2のシャフト(104)を前記第2の凹部(130)から離れる半径方向外向きに拡張するように付勢した第2の付勢機構(114)と、を含む、
プラグ装置。
【請求項2】
前記第2の密閉プラグ部(108)が、第3の凹部を備え、該装置が、
対向する第5の端部及び第6の端部を有し、前記第5の端部が前記第2の密閉プラグ部(108)の第3の凹部内に受けられまた前記第6の端部が第3の密閉プラグ部を有する第3のシャフトと、
前記第3のシャフトの第5の端部に結合されかつ該第3のシャフトを前記第3の凹部から離れる半径方向外向きに拡張するように付勢した第3の付勢機構と、をさらに含む、
請求項1記載のプラグ装置。
【請求項3】
前記第1の付勢機構(114)が、前記第2の付勢機構(116)よりも大きい付勢力を発生する、請求項1記載のプラグ装置。
【請求項4】
前記第1のシャフト(102)の第1の端部(102a)が、第1のネック部(110)と半径方向に延びる第1のショルダ部(118)とを備え、
前記第1の付勢機構(114)が、前記第1のネック部(110)及び第1のショルダ部(118)において前記第1のシャフト(102)に係合する、
請求項1記載のプラグ装置。
【請求項5】
前記第1のショルダ部(118)が、その遠位端に円弧状表面を備える、請求項4記載のプラグ装置。
【請求項6】
前記第2のシャフト(104)の第3の端部(104a)が、第2のネック部(112)と半径方向に延びる第2のショルダ部(120)とを含み、
前記第2の付勢機構(116)が、前記第2のネック部(112)及び第2のショルダ部(120)において前記第2のシャフト(104)に係合する、
請求項1記載のプラグ装置。
【請求項7】
前記第2のシャフト(104)の第2のネック部(112)の形状が、前記第1のシャフト(102)に対する該第2のシャフト(104)のオフアクシス運動を可能にするような切頭円錐形である、請求項6記載のプラグ装置。
【請求項8】
前記第1の密閉プラグ部(106)及び第2の密閉プラグ部(108)の形状が、半球形である、請求項1記載のプラグ装置。
【請求項9】
前記第1の密閉プラグ部(106)が、前記第2の密閉プラグ部(108)よりも大きい直径を有する、請求項8記載のプラグ装置。
【請求項10】
タービンエンジンであって、
該エンジンの外壁(202)内の第1の点検ポート(208)と、前記第1の点検ポート(208)と実質的に対向しかつ円錐形の密閉表面を備えた該エンジンの中間壁(204)内の第2の点検ポート(210)と、前記第2の点検ポート(210)と実質的に対向しかつ円錐形の密閉表面を備えた該エンジンの最内壁(206)内の第3の点検ポート(212)と、
前記第1の点検ポート(208)、第2の点検ポート(210)及び第3の点検ポート(212)を密閉する着脱可能なプラグ装置(100)と、
を含み、前記プラグ装置が、
第1の凹部(128)を形成した環状カラー(126a)を備えかつ前記第1の点検ポート(208)を密閉するキャップ(126)と、
対向する第1の端部(102a)及び第2の端部(102b)を有し、前記第1の端部(102a)が前記キャップ(126)の第1の凹部(128)内に受けられまた前記第2の端部(102b)が第2の凹部(130)を備えた第1の密閉プラグ部(106)を有する第1のシャフト(102)と、
前記第1のシャフト(102)の第1の端部(102a)に結合されかつ該第1のシャフト(102)を前記第1の凹部(128)から外向きに拡張するように付勢して前記第2の点検ポート(210)と密閉状態に前記第1の密閉プラグ部(106)が付勢されるようにする第1の付勢機構(114)と、
対向する第3の端部(104a)及び第4の端部(104b)を有し、前記第3の端部(104a)が前記第1の密閉プラグ部(106)の第2の凹部(130)内に受けられまた前記第4の端部(104b)が第2の密閉プラグ部(108)を備えた第2のシャフト(104)と、
前記第2のシャフト(104)の第3の端部(104a)に結合されかつ該第2のシャフト(104)を前記第2の凹部(130)から外向きに拡張するように付勢して前記第3の点検ポート(212)と密閉状態に前記第2の密閉プラグ部(108)が付勢されるようにする第2の付勢機構(116)と、を含む、
タービンエンジン。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−185812(P2009−185812A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17848(P2009−17848)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】