説明

点検口照明

【課題】照明装置、あるいは表示装置として使用可能で、かつ、開閉操作性の良好な点検口照明の提供を目的とする。
【解決手段】壁裏空間に固定、保持される外枠1と、
外枠1に回転自在に連結され、壁に開設される開口2を開放操作可能に閉塞する蓋体3とを有し、
前記蓋体3は、該蓋体3の側縁部に配置された光源4からの照射光を側壁面から導光して表面から投光する導光体5を備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検口に照明機能を持たせた点検口照明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明装置を組み込んだ点検口としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、天井点検口は、天井開口に固定される外ケース(外枠)内に取付蓋(内枠)をヒンジを介して回転自在に連結して形成される。
【0003】
内枠には、蛍光ランプが装着され、該蛍光ランプを発光させることにより照明装置としても機能させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6-2508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例において、点検口は、蛍光ランプの収容容器としての内枠を外枠に嵌め込んで開口を閉塞するだけのものであるために、開放操作性が悪いという問題がある。すなわち、内枠には蛍光ランプが露出した状態で装着されており、点検口の開閉操作は、蛍光ランプへの接触による破損を防ぎながら慎重に行う必要があるために、高い操作性を期待できない。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、開閉操作性の良好な点検口照明の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
点検口照明は、天井壁、側壁、あるいは床壁の壁裏空間に固定、保持される矩形枠形状の外枠1と、外枠1に開閉操作可能に連結される蓋体3とを有し、蓋体3を閉塞姿勢にすることにより外枠1の開口、すなわち、壁に開設される開口2を閉塞することができる。
【0008】
蓋体3の側縁部には光源4が配置されるとともに、蓋体3には、側壁面を入射面として上記光源4からの照射光を内部に導光し、蓋体3表面から投光する導光体5が設けられる。
【0009】
したがってこの発明において、光源4は蓋体3の側縁部に配置され、かつ、光源4からの照射光は、導光体5を経由して蓋体3表面から投光されるために、光源4を外部に露出しない位置に配置することが可能になる。この結果、光源4の破損を気にすることなく蓋体3の開放操作を行うことができる。
【0010】
また、光源4は、蓋体3の側縁部であって、導光体5の側壁面を照射できる位置であれば、蓋体3に固定することも、あるいは外枠1側に固定することも可能であり、いずれの場合であっても、導光体5の側壁面への正対部を除いて全体を覆うことにより、光源4の外部への露出を少なくすることができるために、天井壁等に開設される開口2開放後の作業中における光源4への接触も防止できるために、点検作業の効率が向上する。
【0011】
導光体5は、例えば、蓋体3の一部に埋め込んで、蓋体3の一部に適宜のマーク等を光

らせる方向指示灯等として使用することもできるが、
前記蓋体3の表面はほぼ全域にわたって前記導光体5の投光面により形成されるとともに、
前記光源4は、蓋体3の側縁ほぼ全長にわたる長さを有する長尺形状の実装基板6に複数のLED7を実装して形成することにより、照明装置として使用することができる。
【0012】
照明装置として使用する場合、蓋体3の表面を天井面などの壁面とほぼ同一高さに設定すると、壁面とほぼ同一の面を投光面とする照明が可能になるために、上述した従来例のように、光源4と壁面との間が離れている場合に比して、床面等への影の映り込みがなくなるために、見栄えを向上させることができる。
【0013】
蓋体3は、全体を導光体5を含んだ板状に形成し、直接外枠1に連結することも可能であるが、
前記蓋体3は、外枠1に連結される内枠8の開口を前記導光体5と光源4とを組み込んだ照明パネル9により閉塞して形成することができる。
【0014】
蓋体3を内枠8の開口を照明パネル9により閉塞して形成することにより、照明パネル9を通常の蓋板に交換して仕様変更することが可能になるために、製造管理の融通性が高まる。
【0015】
導光体5は、投光面に光拡散部10を備える板状の導光板11の背面に光反射シート12、および金属製補強プレート13を積層した積層体の両側縁部を断面コ字形状に形成された組立レール14により固定して形成することができ、この場合、光源4は、前記金属製補強プレート13の側縁部を折り返して導光板11の側壁面に正対させた光源固定片15に固定することができる。
【0016】
導光板11は、透明な合成樹脂等の透明材料により板状に形成され、光源4からの照射光を導入することができる程度の側壁面の確保が可能な程度の厚さ寸法を有する。また、必要に応じて導光板11の側壁部の厚みを徐々に増加させ、受光面積を拡大することができる。
【0017】
光反射シート12は、光源4からの導光光が照明パネル9の背面側に透過することを防止して光量損失を防ぐために設けられ、金属製補強プレート13は、導光板11等を背後から支持する機械的補強部材としての機能に加え、光源4の固定、および光源4での発熱の放熱体としても機能する。
【0018】
光拡散部10は、導光板11からの放射光の輝度ムラ等の発生を防止するために導光板11の投光面に配置される。光拡散部10は、導光板11の投光面に多数の光拡散用の白色ドットパターンを印刷したり、あるいは、導光板11に光拡散機能を有する拡散プレートを積層することにより構成される。
【0019】
組立レール14は、導光板11等の構成部品を一体化するための連結部品としての機能に加えて、上述した金属製補強プレート13と協働して光源4の保護カバーとしても機能し、光源4の外部への露出を防ぐ。この結果、点検口照明の開閉操作時、あるいは点検作業時に光源4に接触する虞がなくなるために、作業性が向上する。
【0020】
照明パネル9は、内枠8に突設される内向きフランジ16に周縁を支承されるとともに、内枠8の内側壁に固定されるL字形状の固定具17により挟まれて所定位置に固定することができる。内枠8に内向きフランジ16を突設して照明パネル9を載せ、固定具17により浮き上がりを規制する固定方法を採用することにより、導光板11に止着子等を貫

入させることなく照明パネル9を強固に固定することが可能になり、結果、止着子等による影の発生を防止することができる。
【0021】
光源4にLED7を使用する場合、該光源4への給電は、商用電源をAC/DC変換、降圧回路等の電源調整回路を介して行われる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、照明装置として機能させつつ、かつ、開閉操作性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図2】点検口照明の分解斜視図である。
【図3】天井への取付状態を示す断面図で、(a)は蓋体を閉じた状態を示す図、(b)は蓋体の開放状態を示す図である。
【図4】ロック装置の取付状態を示す図で、(a)は図3(a)の4A部拡大図、(b)は図4(a)の4B方向矢視図である。
【図5】ロック装置を示す図で、(a)は一部を断面で示す側面図、(b)は(a)の5B方向矢視図、(c)は(b)の5C-5C線断面図である。
【図6】照明パネルを示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図7】図6(b)の7A-7A線断面図である。
【図8】照明パネルの取付状態を示す図で、図1(a)の8A-8A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1以下に示すように、点検口照明は、外枠1内に蓋体3を連結して形成され、天井板19に開設された天井開口(開口2)に外枠1を嵌合して固定される。図2に示すように、外枠1は、アルミニウム材に押出加工を施して形成される枠片1aを矩形に枠組みして形成され、吊り金具20を介して天井裏に配設される図外の梁等に固定される。外枠1の下端(以下、本明細書において、天井への取付姿勢を基準に「上下」を決定する。)には、天井開口2の辺縁を確実に覆うことができるように、外向きフランジ1bが形成される。
【0025】
蓋体3は、上記外枠1と同様に、アルミニウム材の枠片8aを枠組みした内枠8の開口を照明パネル9により閉塞して形成される。内枠8は外枠1とほぼ同一の高さ寸法を有し、一側縁部において外枠1に回転自在に連結される。
【0026】
上記内枠8にはロック装置22が固定される。図4、5に示すように、ロック装置22はハンドルベース23に操作ハンドル24を連結して形成され、内枠8への固定は、内枠8の内壁に固定されるL型固定金具25の水平片25aにハンドルベース23の飾り座金部23aを固定して行われる。飾り座金部23aとL型固定金具25の水平片25aとの間には、後述する照明パネル9の切欠部9aを下方から覆い、切欠部9a辺縁の外部への露出を防ぐためのカバープレート26が介装される。
【0027】

図5に示すように、ロック装置22の操作ハンドル24は、ハンドルベース23に空転自在に挿入される操作軸27に連結され、回り止め膨隆部24aをハンドルベース23に設けられた嵌合凹部23bに嵌合させることにより操作軸27への回転操作が規制される。また、操作ハンドル24は、操作軸27に対して支軸28周りに回転自在に連結されており、図5(a)に示す嵌合位置と、図5(a)において鎖線で示す引き出し位置との間で回転操作することができる。
【0028】
操作ハンドル24は図外のクリック機構によって嵌合位置に保持されており、クリック機構による思案点を超えて操作ハンドル24を引き出し位置側に引き出すと、回り止め膨隆部24aと嵌合凹部23bとの嵌合状態が解消されて、以後、操作軸27への回転操作を行い、次いで、照明パネル9に触れることなく、操作ハンドル24を握って点検口を開口することができる。
【0029】
図5(b)に示すように、上記操作軸27への回転操作角を規制するために、操作軸27には、角柱状突部27aに嵌合させて空転が規制される角度規制プレート29が連結されるとともに、ハンドルベース23には、角度規制プレート29の角度規制用切欠29aに当接して回転ストローク終端を規制する回転角規制用突部23cが形成される。
【0030】
以上のように構成されるロック装置22は、図4に示すように、操作ハンドル24を下方に向けるととともに、操作軸27が垂直姿勢をとるようにして内枠8に固定され、さらに、操作軸27の上端にロックレバー30が連結される。ロックレバー30は上端に係止片30aを備えており、操作ハンドル24が嵌合凹部23bに嵌合し、操作軸27が一方のストローク終端位置(ロック位置)にあるときに、外枠1の上端に係止して内枠8の回転移動を規制する。
【0031】
したがってこの実施の形態において、操作ハンドル24が嵌合位置にあり、操作軸27がロック位置にあるときには、ロックレバー30が外枠1に係止して内枠8は閉塞位置に保持され、この状態から一旦操作ハンドル24を引き出した後、ロック解除位置まで回転操作すると、係止片30aの外枠1との係止が解除され、内枠8を図3(b)に示す位置まで回転させることができる。
【0032】
一方、上記照明パネル9は、図6に示すように、内枠8の開口に嵌合可能な矩形形状に形成され、一側縁部に内枠8から突設されるロック装置22との干渉を防ぐための切欠部9aが形成される。図7、8に示すように、この照明パネル9は、透明な合成樹脂材により形成される導光板11と、導光板11の上面に積層される光反射シート12と、光反射シート12上に積層される金属製補強プレート13とを有し、金属製補強プレート13の両側縁を折り返して導光板11の側壁面に正対させた光源固定片15に光源4が固定される。
【0033】
光源4は、金属製補強プレート13の辺長、すなわち、導光板11の辺長にほぼ等しい長さを有する実装基板6上に複数のLED7素子を実装して形成され、実装基板6が金属製補強プレート13の光源固定片15に固定される。固定状態において、各LED7素子の投光面が導光板11の側壁面に正対する。
【0034】
さらに、上記導光板11の下面には、光拡散プレートが積層されて光拡散部10が形成され、照明パネル9は、上記各構成部品を積層した後、切欠部9aに隣接する二側縁部に組立レール14を装着して一体化される。組立レール14は、断面コ字形状を有しており、対向配置される一対の押さえ片14aにより積層体を挟み付けることによって各構成部品の分離を規制する。また、照明パネル9には、図示しないプラグを介して商用電源を入力し、変圧、AC/DC変換を行ってLED7に給電するための電源装置(ACアダプタ

)31が接続される。
【0035】
以上のように構成される照明パネル9は、図7、8に示すように、組立レール14を内枠8の下端から内方に突設される内向きフランジ16上に載せられて装着される。照明パネル9の装着は、図4に示すように、切欠部9aが形成される辺をロック装置22が取り付けられる辺に対応させて行われ、切欠部9aは、図4(b)に示すように、下方からカバープレート26により覆われ、端縁の下面への露出が防がれる。カバープレート26は、下枠の内向きフランジ16の上端面と照明パネル9の光拡散プレート10の下端面との隙間に挿入可能な厚さ(この実施の形態においては、組立レール14の板厚とほぼ同一厚み)に形成される。
【0036】
また、照明パネル9の四隅部には、ゴムシート等により形成される緩衝体18が配置され、側方へのずれが防止される。
【0037】
内向きフランジ16に載せられた照明パネル9の上方への移動を規制するために、内枠8には、L字形状をした固定具17が連結される。図2に示すように、固定具17は、内枠8の各枠片にネジ止めされ、固定状態において水平片が照明パネル9の上面を押し付け、結果、照明パネル9は内枠8の内向きフランジ16と固定具17の水平片に挟み込まれた状態で所定位置に固定される。
【0038】
固定具17の内枠8への連結は、図8に示すように、内枠8に開設された透孔8bを貫通するビス32を固定具17のねじ穴17aにねじ込んで行われ、照明パネル9等の誤差を吸収して該照明パネル9を確実に押し付けることができるように、透孔8bは、縦長の長孔として形成される。
【0039】
したがってこの実施の形態において、蓋体3を閉塞した状態で電源装置31を介して光源4に給電すると、LED7からの発光光は側壁面から導光板11に導光され、光拡散プレート10により拡散されて床面側に投光され、照明装置として機能させることができる。また、この状態からロック装置22を解除して内枠8を開放位置まで回転させると、天井開口2を開放することができ、この状態で天井裏の配管、配線等の点検を行うことができる。
なお、以上の実施の形態においては、点検口照明を天井点検口として構成する場合を示したが、壁点検口や床点検口として構成することも可能である。この場合には、それぞれの使用環境を考慮して、操作ハンドル24が嵌合位置をとるときに床面等の壁面から突出しないようにロック装置22に変更を加えたり、外枠1や蓋体3自体の強度、さらにはこれらの壁面への固定強度を高める変更を施したりすることが望ましい。
【符号の説明】
【0040】
1 外枠
2 開口
3 蓋体
4 光源
5 導光体
6 実装基板
7 LED
8 内枠
9 照明パネル
10 光拡散部
11 導光板
12 光反射シート
13 金属製補強プレート
14 組立レール
15 光源固定片
16 内向きフランジ
17 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁裏空間に固定、保持される外枠と、
外枠に回転自在に連結され、壁に開設される開口を開放操作可能に閉塞する蓋体とを有し、
前記蓋体は、該蓋体の側縁部に配置された光源からの照射光を側壁面から導光して表面から投光する導光体を備える点検口照明。
【請求項2】
前記蓋体の表面はほぼ全域にわたって前記導光体の投光面により形成されるとともに、
前記光源は、蓋体の側縁ほぼ全長にわたる長さを有する長尺形状の実装基板に複数のLEDを実装して形成される請求項1記載の点検口照明。
【請求項3】
前記蓋体は、外枠に連結される内枠の開口を前記導光体と光源とを組み込んだ照明パネルにより閉塞して形成される請求項1または2記載の点検口照明。
【請求項4】
前記導光体は、投光面に光拡散部が配置された板状の導光板の背面に光反射シート、および金属製補強プレートを積層した積層体の両側縁部を断面コ字形状に形成された組立レールにより固定して形成されるとともに、
前記光源が、前記金属製補強プレートの側縁部を折り返して導光板の側壁面に正対させた光源固定片に固定される請求項3記載の点検口照明。
【請求項5】
前記照明パネルは内枠に突設される内向きフランジに周縁を支承されるとともに、内枠の内側壁に固定される固定具により挟まれて所定位置に固定される請求項3または4記載の点検口照明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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