説明

点火コイル

【課題】電力の消費を抑制しつつ、点火プラグの火花放電に起因するノイズを低減可能な点火コイルの提供。
【解決手段】電源30と接続される一次コイル50と、一次コイル50への通電のオン・オフを切り換えるイグナイタ40と、一次コイル50の電圧を昇圧することにより点火プラグ10に火花放電を生じさせる放電電圧V2を生成する二次コイル60とを備える点火コイル100において、二次コイル60を点火プラグ10と導通させる導通系統65にノイズ抑制回路80が設けられている。ノイズ抑制回路80は、導通系統65に直列に接続されるバッファコイル70と、当該バッファコイル70と並列に導通系統65に接続される抵抗器77を有している。抵抗器77によってバッファコイル70の共振特性が鈍らされることにより、ノイズ抑制回路80のインピーダンスの確保が可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する点火コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点火プラグに接続され、外部の電源から供給される電圧を昇圧する点火コイルが知られている。このような点火コイルの一種として、例えば特許文献1及び特許文献2には、電源と接続される一次コイル、電源から一次コイルへの通電のオン状態及びオフ状態を切り換えるパワートランジスタ、及び火花放電を生じさせる電圧を生成する二次コイルを備えるものが開示されている。さらに、特許文献1に開示の内燃機関用点火コイル装置は、二次コイルを点火プラグに導通させる導通系統に、電雑抑制用の抵抗が直列に接続されている。また、特許文献2に開示の点火コイルには二次コイルを点火プラグに導通させる導通系統に、バッファコイルが直列に接続されている。これら電雑抑制用の抵抗及びバッファコイルの機能を、以下詳しく説明する。
【0003】
特許文献1の点火コイルでは、一次コイルへの通電がパワートランジスタによってオン状態からオフ状態に切り換えられることにより、火花放電を生じさせる高電圧が、二次コイルに誘導される。二次コイルから点火プラグに出力された電圧は、点火プラグの電極間を絶縁破壊することにより、当該電極間に火花放電を生じさせる。こうした電極間の通電によって、導通系統、さらに当該導通系統と繋がっている点火コイルの各構成には、電流が急激に流れる。このような火花放電によって生じる電流の急激な変動は、点火コイルの各構成に伝導ノイズを惹起する。さらに、伝導ノイズによって惹起された輻射ノイズが、点火コイルの各構成から輻射される。
【0004】
特許文献1の電雑抑制用の抵抗は、電気抵抗(インピーダンス)によって、導通系統における急激な電流の変動を緩和する。また、特許文献2のバッファコイルは、インダクタンスによるインピーダンスによって、導通系統における急激な電流の変動を緩和する。このようにして、電雑抑制用の抵抗及びバッファコイルは、点火コイルの各構成における伝導ノイズ及び輻射ノイズの発生を、低減させられるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−243234号公報
【特許文献2】特開平8−273950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、近年では、点火コイルから点火プラグに供給される点火エネルギが、増加してきている。故に、特許文献1のように電雑抑制用の抵抗を用いる形態では、二次コイルから点火プラグに繋がる配線を流れる電流の増加に起因して、当該電雑抑制用の抵抗による損出が増大してしまう。そのため、特許文献2のようにバッファコイルを用いることにより、抵抗器のような不要な電力の消費を抑制できる形態に対して、強い要望が生じてきている。
【0007】
しかし、点火プラグの電極間には、寄生容量が生じている。そのため、特許文献1のようなバッファコイルを用いる形態では、当該バッファコイルと点火プラグとによって、共振回路が構成されることとなる。故に、バッファコイルのインダクタンスと点火プラグの寄生容量とが共振する特定の周波数帯域の電流に対して、バッファコイルのインピーダンスは、非常に低い値となる。こうしたバッファコイルの特性により、点火プラグの火花放電によって生じる電流の急激な変動が、特定の周波数帯域において、緩和されなくなってしまう。すると、電流の急激な変動によって、点火コイルの各構成に伝導ノイズ及び輻射ノイズが惹起されてしまうのである。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、電力の消費を抑制しつつ、点火プラグの火花放電に起因するノイズを低減可能な点火コイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、点火プラグと接続され、外部の電源から供給される電圧を昇圧することにより、点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する点火コイルであって、電源と接続される一次コイルと、電源から一次コイルへの通電のオン状態及びオフ状態を切り換えるスイッチ手段と、スイッチ手段によって一次コイルへの通電がオン状態からオフ状態に切り換えられることにより、火花放電を生じさせる電圧を生成する二次コイルと、二次コイルを点火プラグと導通させる導通系統に直列に接続されるコイル、及び当該コイルと並列に導通系統に接続され一定の電気抵抗値を備える抵抗器、を有する並列回路とを、備える点火コイルとする。
【0010】
この発明のようなコイルは、個々の構成に起因する自己共振現象を有している。そのため、コイルのインピーダンスは、周波数に応じて大きく変動する。一方で、抵抗器のインピーダンス、即ち電気抵抗値は、周波数によっては実質的に変動せず、一定である。これらコイル及び抵抗器が並列に接続されてなる並列回路のインピーダンスは、コイル及び抵抗器の並列の合成インピーダンスとして定義することができる。一般に、コイルと抵抗器との並列回路のインピーダンスは、コイル単独のインピーダンスよりも、周波数に応じて変動し難くなる。
【0011】
以上のようにしてコイルの共振特性が鈍化された並列回路は、導通系統を通じて接続されている点火プラグの寄生容量との間においても、共振し難くなる。故に、コイルのインダクタンスと点火プラグの寄生容量とが共振する周波数帯域の電流に対しても、並列回路のインピーダンスは、高いまま維持され得る。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、点火プラグと接続され、外部の電源から供給される電圧を昇圧することにより、点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する点火コイルであって、電源と接続される一次コイルと、電源から一次コイルへの通電のオン状態及びオフ状態を切り換えるスイッチ手段と、スイッチ手段によって一次コイルへの通電がオン状態からオフ状態に切り換えられることにより、火花放電を生じさせる電圧を生成する二次コイルと、二次コイルを点火プラグと導通させる導通系統に直列に接続されるコイル、導通系統と電気的に隔てられた環状の隔離系統に直列に接続されコイルと磁気結合する結合コイル、及び一定の電気抵抗値を備え隔離系統に直列に接続される抵抗器、を有する磁気結合回路とを、備える点火コイルとする。
【0013】
この発明では、導通系統に直列に接続されたコイルと、当該導通系統と電気的に隔てられた隔離系統に直列に接続された結合コイルとが、磁気結合されている。故に、結合コイルと共に環状の隔離系統に直列に接続された抵抗器は、コイルに並列に接続された抵抗器と、等価な構成となり得る。故に、導通系統を流れる電流に対する磁気結合回路のインピーダンスは、上述した並列回路のインピーダンスと同様に、コイル単独のインピーダンスよりも、通電される電流の周波数によって変動し難くなる。
【0014】
以上によって共振特性が鈍化された磁気結合回路は、導通系統を通じて接続されている点火プラグの寄生容量との間においても、共振し難くなる。故に、コイルのインダクタンスと点火プラグの寄生容量とが共振する周波数帯域の電流に対しても、磁気結合回路のインピーダンスは、高いまま維持され得る。
【0015】
こうした請求項1の並列回路及び請求項2の磁気結合回路の特性により、点火プラグの火花放電によって導通系統に生じる電流の急激な変動は、当該電流の周波数にかかわらず、並列回路及び磁気結合回路によって緩和可能となる。故に、電流の急激な変動によって惹起される伝導ノイズが、点火コイルのスイッチング手段等の各構成に生じ難くなる。さらに、伝導ノイズによって惹起される輻射ノイズも、点火コイルの各構成から輻射され難くなる。したがって、コイルを用いることで抵抗器による電力の消費を抑制しつつ、点火プラグの火花放電に起因するノイズを低減することが、可能となる。
【0016】
また、小型化の要求される点火コイルにおいては、抵抗器とコイルとを並べる構成とすることが、困難となり得る。仮に、抵抗器とコイルとを離して配置した場合、これら抵抗器及びコイル間を接続する配線と、コイルとの間に寄生容量が生じ得る。この寄生容量は、コイルのインダクタンスとの間で不要な共振を引き起こしたり、コイルを通らないバイパス経路を形成したりするため、並列回路のインピーダンスを特定の周波数帯域にて降下させるおそれがある。
【0017】
そこで、請求項2に記載のように、結合コイルをコイルに磁気結合させることで、抵抗器とコイルとの配線による接続を、省略し得る。故に、抵抗器及びコイル間を接続する配線が不要となるので、当該配線とコイルとの間に寄生容量の生じる事態は、回避可能となる。こうした磁気結合回路を備えることにより、抵抗器とコイルとを並べて配置することが困難な点火コイルであっても、火花放電に起因するノイズは、低減されるのである。
【0018】
請求項3に記載の発明では、磁気結合回路は、磁性材料によって柱状に形成される鉄心部、をさらに有し、コイル及び結合コイルは、共に鉄心部に巻回されてなり、当該鉄心部の軸方向において互いに並ぶことを特徴とする。
【0019】
この発明では、コイル及び結合コイルは、共に鉄心部に巻回されてなり、且つ当該鉄心部の軸方向に並んでいる。この形態によれば、コイル及び結合コイル間における磁気結合の確実性が、向上する。故に、結合コイル及び抵抗器は、コイルに並列接続された抵抗器と等価な構成と確実になり得る。以上により、磁気結合回路は、並列回路と同等のインピーダンスの特性を獲得し得る。したがって、抵抗器の配置の自由度を向上させた形態の点火コイルであっても、点火プラグの火花放電に起因するノイズは、確実に低減可能となるのである。
【0020】
請求項4に記載の発明では、抵抗器の電気抵抗値は、コイルの等価並列抵抗値よりも小さいことを特徴とする。
【0021】
一般に、コイルは、当該コイルを構成する導体の電気抵抗等によって、電気抵抗を備えている。この発明のように、並列回路又は磁気結合回路を並列共振回路として等価回路化した場合のコイルの抵抗値である等価並列抵抗値よりも、抵抗器の電気抵抗値を小さくすることにより、並列回路を流れようとする電流は、コイルよりも抵抗値の小さい抵抗器に流れ易くなる。故に、通電される電流の周波数によってインピーダンスの変動するコイルの特性が、並列回路のインピーダンスの特性に影響し難くなる。以上により、並列回路の共振特性は、確実に鈍化され得る。
【0022】
以上により、並列回路は、点火プラグの寄生容量との共振をさらに生じ難くなる。故に、コイルのインダクタンスと点火プラグの寄生容量とが共振する周波数帯域の電流に対して、並列回路のインピーダンスの確保される確実性が、向上する。こうした並列回路によって、電流の急激な変動を緩和する作用が発揮されることにより、点火コイルの各構成に生じる伝導ノイズ及び輻射ノイズは、さらに低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態による点火コイルの回路構成を、当該点火コイル周辺の回路構成と共に説明するための回路図である。
【図2】本発明の第一実施形態による点火コイルの作動を説明するためのタイミングチャートであって、(a)は制御装置からの点火信号の推移を示し、(b)は一次コイルに流れる一次電流の推移を示し、(c)は二次コイルに生じる二次電圧である放電電圧の推移を示し、(d)は二次コイルから点火プラグに流れる放電電流の推移を示している。
【図3】本発明の第一実施形態によるノイズ抑制回路の構成を概略的に説明するための図である。
【図4】ノイズ抑制回路及び点火プラグを並列共振回路として等価回路化した回路図である。
【図5】ノイズ抑制回路に設けられる抵抗器が共振特性に与える作用を説明するための図であって、(a)は、バッファコイルにおける電流の周波数とインピーダンスとの相関が示される図であり、(b)は、ノイズ抑制回路における電流の周波数とインピーダンスとの相関が示される図である。
【図6】本発明の第二実施形態による点火コイルの回路構成を、当該点火コイル周辺の回路構成と共に説明するための回路図である。
【図7】本発明の第二実施形態によるノイズ抑制回路の構成を概略的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0025】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態による点火コイル100の回路構成を、当該点火コイル100周辺の回路構成と共に説明するための回路図である。点火コイル100は、点火プラグ10と接続されて、ガソリンエンジン等の火花点火機関に用いられる。点火コイル100は、ガソリンエンジンを制御する制御装置20からの点火信号Gに基づいて、オルタネータ等の電源30から供給される一次電圧を昇圧することにより、点火プラグに火花放電を生じさせる二次電圧(以下、放電電圧という)V2を生成する。
【0026】
まず、点火コイル100と接続される点火プラグ10の構成を説明する。点火プラグ10は、ガソリンエンジンの燃焼室にて圧縮された作動ガスに、火花放電によって着火する。点火プラグ10は、金属材料によって形成された一対の電極部11a,11bを備えている。これら電極部11a及び電極部11b間には、ギャップ12が形成されている。これら電極部11a及び電極部11b間に点火コイル100によって放電電圧が印加されることにより、ギャップ12の絶縁は、破壊される。すると、電極部11a及び電極部11b間が通電状態となることにより、ギャップ12に火花放電が生じる。
【0027】
次に、点火コイル100の構成を説明する。点火コイル100は、一次コイル50、二次コイル60、イグナイタ40、及び導通系統65を備えている。
【0028】
一次コイル50は、軟磁性体によって円柱状に形成された中心コアに、銅等の線材を主体とするエナメル銅線を円筒状に巻回することにより、形成されている。一次コイル50は、外部の電源30及びイグナイタ40と、電気的に接続されている。一次コイル50は、電源から供給される電力を通電させることができる。
【0029】
二次コイル60は、樹脂材料によって円筒状に形成されたボビンに、銅等の線材を主体とするエナメル銅線を円筒状に巻回することにより、形成されている。ボビンの内部には一次コイル50が収容されている。二次コイル60は、一次コイル50と磁気的に結合さることにより、当該一次コイル50及び中心コア等と共に点火コイル100の磁気回路を形成している。二次コイル60を形成するエナメル銅線の線径は、一次コイル50を形成するエナメル銅線の線径よりも小さくされている。また、二次コイル60においてエナメル銅線が巻回されている回数は、一次コイル50においてエナメル銅線が巻回されている回数よりも、多くされている。二次コイル60は、外部の電源30及び導通系統65と電気的に接続されている。
【0030】
イグナイタ40は、制御装置20と接続されており、当該制御装置20からの点火信号Gに基づいて、外部の電源30から供給される電力の一次コイル50への通電を制御する。イグナイタ40は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)41等のスイッチング素子を実装した回路基板を、絶縁性の樹脂材料によってモールドすることにより、形成されている。IGBT41のエミッタは、外部のグラウンドと繋がる配線と接続されることによって、接地されている。IGBT41のベースは、制御装置20と接続されることによって、制御装置20のよる点火信号Gを受信する。IGBT41のコレクタは、一次コイル50を通じて電源30と接続されている。以上の構成によるイグナイタ40は、制御装置20からのオン状態の点火信号GがIGBT41のベースに入力されることにより、コレクタ及びエミッタ間を通電させる。これにより、IGBT41のコレクタ及び電源30間に接続されている一次コイル50には、当該電源30による一次電流i1が流れる。
【0031】
導通系統65は、二次コイル60及び点火プラグ10と接続されており、二次コイル60を点火プラグ10と導通させている。導通系統65は、二次コイル60によって生成される放電電圧V2を点火プラグ10に印加させる。導通系統65は、具体的には、導電性の材料によって形成されたターミナル及びコイルスプリング等によって構成されている。
【0032】
以上の構成による点火コイル100が、点火プラグ10に火花放電を生じさせるための放電電圧V2を生成する作動について、以下図1及び図2に基づいて説明する。
【0033】
制御装置20からの点火信号Gがオフ状態からオン状態に切り換えられると(図2(a) t1参照)、電源30から一次コイル50への一次電流i1の通電は、IGBT41によってオフ状態からオン状態に切り換えられる(図2(b)参照)。一次電流i1が十分な電流値に達した時点で、点火信号Gは、オン状態からオフ状態に切り換えられる(図2(a) t2参照)。これにより、電源30から一次コイル50への一次電流i1の通電は、IGBT41によってオン状態からオフ状態に切り換えられる(図2(b)参照)。これにより、一次コイル50に流れる一次電流i1が遮断されて、一次電流i1の通電時に点火コイル100の磁気回路に蓄積された磁気エネルギが、二次コイルに誘導される。
【0034】
このような相互誘導作用によって二次コイル60に誘導された磁気エネルギは、一次コイル50よりもエナメル銅線の巻き数の多い二次コイル60にて、一次コイル50を流れる一次電流i1の電圧から例えば30〜50kV程度まで昇圧される。この電圧は、点火プラグ10に火花放電を生じさせる放電電圧V2として、二次コイル60から点火プラグ1に出力される(図2(c)参照)。二次コイル60に生じる放電電圧V2が点火プラグ10のギャップ12の絶縁破壊電圧に達することにより、当該ギャップ12において放電が開始され、放電電流i2が流れる(図2(d)参照)。この現象をさらに詳記すると、点火プラグ10のギャップ12近傍の周辺浮遊容量成分を介して、大電流である容量放電電流が、瞬時に流れる(図2(d) t2における電流の急峻な立下がりを参照)。続いて、放電電圧が一定の期間中に(図2(c)参照)、誘導放電電流が漸減しながら流れる。以上の作動により、所定の点火時期において、点火コイル100は、点火プラグ10に火花放電を生じさせる。
【0035】
以上のような点火コイル100において、点火プラグ10の電極部11a,11b間の通電によれば、これら電極部11a,11bがノイズの発生源となり、上述の容量放電電流によって生じるノイズを、導通系統65及び当該導通系統65と繋がっている点火コイル100の各構成、さらには制御回路20等に供給する。このような火花放電によって生じる容量放電電流に伴う急激な電流の変動は、点火コイル100の各構成に伝導ノイズを惹起する。さらに、伝導ノイズによって惹起された輻射ノイズが、点火コイル100の各構成から輻射されることとなる。
【0036】
(特徴部分)
次に、上述したような伝導ノイズ及び輻射ノイズを抑制するための構成であって、第一実施形態の特徴部分であるノイズ抑制回路80について、詳細に説明する。
【0037】
ノイズ抑制回路80は、図1,3,4に示されるように、バッファコイル70及び抵抗器77を有している。バッファコイル70は、導通系統65に直列に接続されている。バッファコイル70は、図3に示されるように、フェライト等の磁性材料によって円柱状に形成された鉄心73の外周側に、例えばエナメル銅線72を巻回することによって、形成されている。バッファコイル70は、図4に等価回路として示されるように、コイルとしてのインダクタンス成分70lに加えて、内部抵抗成分70r、及び寄生容量成分70cを備えている。第一実施形態では、これらインダクタンス成分70l、内部抵抗成分70r、及び寄生容量成分70cが互いに並列にて接続された構成が、バッファコイル70と等価な構成とされている。バッファコイル70の内部抵抗成分70rは、例えば鉄心73のヒステリシスによる損失等に起因して生じている。また、寄生容量成分70cは、互いに近接して隣り合うエナメル銅線72間に蓄積される電荷により、生じている。
【0038】
抵抗器77は、図1に示されるように、バッファコイル70と並列となるように、導通系統65に接続されている。抵抗器77は、具体的には、図3に示されるように、バッファコイル70のエナメル銅線72と、リード等の配線を通じて接続されている。抵抗器77は、ノイズ抑制回路80を並列共振回路として等価回路化した図4に示されるように、予め設定された一定の電気抵抗値Rrを備えている。抵抗器77の電気抵抗値Rrは、通電される電流の周波数によっては実質的に変動しない。抵抗器77の電気抵抗値Rrは、バッファコイル70の内部抵抗成分70rの等価並列抵抗値Rcよりも小さくされている。尚、等価並列抵抗値Rcは、ノイズ抑制回路80を並列共振回路として等価回路化した場合の、バッファコイル70の抵抗値である。
【0039】
以上の構成において、ノイズ抑制回路80の有する抵抗器77の機能を、図4及び共振特性を示す図5に基づいて詳細に説明する。図5の(a)には、バッファコイル70について、当該バッファコイル70に通電される電流の周波数とインピーダンスとの相関が、示されている。一方、図5の(b)には、ノイズ抑制回路80について、当該ノイズ抑制回路80に通電される電流の周波数とインピーダンスとの相関が、示されている。尚、図5の(a)及び(b)において、横軸には、電流の周波数が常用対数にて示され、縦軸には、インピーダンスが常用対数にて示されている。
【0040】
図5(a)及び図4に示されるように、単独のバッファコイル70では、互いに並列に接続されたインダクタンス成分70l及び寄生容量成分70cが、これらの値によって定まる共振周波数Fres1にて、並列共振を起こす。このような並列共振状態下では、インダクタンス成分70l及び寄生容量成分70cには、互いに同じ大きさであって且つ逆向きの電流が流れる。すると、インダクタンス成分70l及び寄生容量成分70cを通じた二次コイル60(図1参照)から点火プラグ10への電流の流れは、ごく僅かとなる。故に、実質的に内部抵抗成分70rを通過した電流のみが、二次コイル60から点火プラグ10に流れるようになる。以上により、インダクタンス成分70lと寄生容量成分70cとが並列共振(以下、自己共振という)する自己共振周波数Fres1にて、バッファコイル70のインピーダンスは、極大となる。
【0041】
さらに、点火プラグ10のギャップ12には、寄生容量成分10cが生じている。故に、バッファコイル70のインダクタンス成分70l及び点火プラグ10の寄生容量成分10cによって、直列共振回路が構成される。そのため、インダクタンス成分70lと寄生容量成分10cとが、これらの値によって定まる共振周波数Fres2(図5(a)参照)にて、直列共振を起こす。このような直列共振状態下では、インダクタンス成分70l及び寄生容量成分10cには、互いに同じ大きさであって且つ逆向きの電流が流れる。すると、バッファコイル70及び点火プラグ10における電圧降下が、ごく僅かとなる。故に、二次コイル60から点火プラグ10へと流れる電流は、インダクタンス成分70lを通過し易くなる。以上により、インダクタンス成分70lと寄生容量成分10cとが直列共振する共振周波数Fres2にて、バッファコイル70のインピーダンスは、極小となる。
【0042】
以上説明したバッファコイル70単独の共振特性に対して、抵抗器77を有するノイズ抑制回路80の共振特性は、図5(b)に示されるように、鈍化されている。図5(b)及び図4に基づいて詳記すると、抵抗器77がバッファコイル70と並列に接続されることによって、ノイズ抑制回路80における合成抵抗値Rは、バッファコイル70の等価並列抵抗値Rcよりも低くなる。すると、二次コイル60(図1参照)から点火プラグ10へと流れる電流は、内部抵抗成分70r及び抵抗器77を通過し易くなる。故に、二次コイル60から点火プラグ10への電流は、自己共振周波数Fres1近傍の帯域にてインダクタンス成分70l及び寄生容量成分70cを通過し難くても、内部抵抗成分70r及び抵抗器77を通過することができる。以上により、ノイズ抑制回路80のインピーダンスは、自己共振周波数Fres1にて極大となるものの、バッファコイル70単独のインピーダンス(図5(a)参照)のような急激な上昇を示さなくなる。
【0043】
このような共振特性を示す値として、以下の式(1)のQがある。このQの値が小さくなるほど、共振を生じ難い回路となる。
(数1)
Q=R/(2πf・L)・・・(1)
【0044】
この式(1)において、fは、回路に導通される電流の周波数を示し、Lは、バッファコイル70のインダクタンス成分70lの値を示している。ノイズ抑制回路80においては、式(1)の右辺の分子である合成抵抗値Rが、バッファコイル70への抵抗器77の並列接続によって低減される。故に、抵抗器77の追加によれば、Qが小さくなるので、ノイズ抑制回路80の共振特性は鈍化されることとなる。
【0045】
以上のようにしてバッファコイル70の共振特性が鈍化されたノイズ抑制回路80は、導通系統65を通じて接続されている点火プラグ10の寄生容量成分10cとの間においても、共振し難くなる。故に、バッファコイル70のインダクタンス成分70lと点火プラグ10の寄生容量成分10cとが共振する共振周波数Fres2近傍の帯域の電流に対しても、ノイズ抑制回路80のインピーダンスは、予め設定された基準値Zbl(図5(b)にて破線にて図示)よりも高いまま維持され得るのである。
【0046】
ここまで説明した第一実施形態によれば、点火プラグ10の火花放電によって導通系統65に生じる放電電流i2(図2(d)等参照)の急激な変動は、当該電流の周波数にかかわらず、ノイズ抑制回路80によって緩和可能となる。故に、放電電流i2の急激な変動によって惹起される伝導ノイズが、点火コイル100のイグナイタ40及び一次コイル50(図1参照)といった各構成に生じ難くなる。さらに、伝導ノイズによって惹起される輻射ノイズも、点火コイル100の各構成から輻射され難くなる。したがって、バッファコイル70を用いることで抵抗器77による電力の消費を抑制しつつ、点火プラグ10の火花放電に起因するノイズを低減することが、可能となる。
【0047】
加えて第一実施形態によれば、バッファコイル70の等価並列抵抗値Rcよりも、抵抗器77の電気抵抗値Rrが小さいので、ノイズ抑制回路80を流れようとする電流は、内部抵抗成分70rよりも抵抗器77に流れ易くなる。故に、抵抗器77の追加によるノイズ抑制回路80の合成抵抗値Rの低減作用は、確実なものとなり得る。よって、インピーダンスの変動するバッファコイル70の特性が、ノイズ抑制回路80のインピーダンスの特性に影響し難くなる。以上により、ノイズ抑制回路80の共振特性は、確実に鈍化され得る。
【0048】
以上により、ノイズ抑制回路80は、点火プラグ10の寄生容量成分70cとの直列共振をさらに生じ難くなる。故に、共振周波数Fres2近傍の帯域の電流に対して、ノイズ抑制回路80のインピーダンスの確保される確実性が、向上する。こうしたノイズ抑制回路80によって、電流の急激な変動を緩和する作用が発揮されることにより、点火コイル100の各構成に生じる伝導ノイズ及び輻射ノイズは、さらに低減可能となる。
【0049】
尚、第一実施形態において、イグナイタ40が特許請求の範囲の「スイッチ手段」に相当し、バッファコイル70が特許請求の範囲の「コイル」に相当し、ノイズ抑制回路80が特許請求の範囲の「並列回路」に相当する。
【0050】
(第二実施形態)
図6及び図7に示される本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態のノイズ抑制回路280は、結合コイル276及び隔離系統275を、第一実施形態と実質的に同一のバッファコイル70及び抵抗器77と共に有している。
【0051】
結合コイル276は、隔離系統275に直列に接続されている。結合コイル276は、鉄心73の外周側にエナメル銅線272を巻回することによって、形成されている。結合コイル276及びバッファコイル70は、共に鉄心73巻回されてなり、当該鉄心73軸方向において互いに並んでいる。以上の配置によって、結合コイル276は、バッファコイル70と磁気結合している。
【0052】
隔離系統275は、導通系統65と電気的に隔てられている。隔離系統275は、結合コイル276の両端部のうちの一方と抵抗器77の両端部のうちの一方とを接続すると共に、結合コイル276の両端部のうちの他方と抵抗器77の両端部のうちの他方とを接続している。以上の構成により、隔離系統275は、環状をなし、結合コイル276及び抵抗器77と協働で閉回路を形成している。
【0053】
バッファコイル70は、第一実施形態と同様に、導通系統65に直列に接続されている。一方で、抵抗器77は、結合コイル276と共に隔離系統275に直列に接続されている。抵抗器77は、具体的には、結合コイル276のエナメル銅線272と、リード等の配線を通じて接続されている。抵抗器77は、予め設定された一定の電気抵抗値Rr(図4参照)を備えており、隔離系統275における電流の流れを妨げる。抵抗器77の電気抵抗値Rrは、通電される電流の周波数によっては実質的に変動しない。抵抗器77の電気抵抗値Rrは、バッファコイル70の等価並列抵抗値Rc(図4参照)よりも小さくされている。
【0054】
以上の構成のノイズ抑制回路280では、バッファコイル70と結合コイル276とが磁気結合されているので、隔離系統275に接続された抵抗器77は、バッファコイル70と並列に接続された抵抗器と、等価な構成となり得る。以上により、ノイズ抑制回路280は、図4に示される回路と等価な構成とみなすことができる。故に、導通系統65を流れる電流に対するノイズ抑制回路280のインピーダンスは、第一実施形態のノイズ抑制回路80と同様に、バッファコイル70単独のインピーダンスよりも、通電される電流の周波数によって変動し難くなるのである。
【0055】
このようにして共振特性が鈍化されたノイズ抑制回路280は、導通系統65を通じて接続されている点火プラグ10の寄生容量成分10cとの間においても、共振し難くなる。故に、インダクタンス成分70lと寄生容量成分10cとが共振する共振周波数Fres2近傍の帯域の電流に対しても、ノイズ抑制回路280のインピーダンスは、予め設定された基準値Zblよりも高いまま維持され得るのである(図5(b)参照)。
【0056】
ここまで説明した図6に示される第二実施形態によっても、点火プラグ10の火花放電によって導通系統65に生じる放電電流i2(図2(d)等参照)の急激な変動は、当該電流の周波数にかかわらず、ノイズ抑制回路280によって緩和可能となる。故に、放電電流i2の急激な変動によって惹起される伝導ノイズが、点火コイル100のイグナイタ40及び一次コイル50といった各構成に生じ難くなる。さらに、伝導ノイズによって惹起される輻射ノイズも、点火コイル100の各構成から輻射され難くなる。したがって、バッファコイル70を用いることで抵抗器77による電力の消費を抑制しつつ、点火プラグ10の火花放電に起因するノイズを低減することが、可能となる。
【0057】
加えて、小型化の要求される近年の点火コイル100においては、抵抗器77とバッファコイル70とを並べる構成とすることが、困難となり得る。仮に、抵抗器77とバッファコイル70とを離して配置した場合、これら抵抗器77及びバッファコイル70間を接続する配線とバッファコイル70のエナメル銅線72とが互いに近接することにより、寄生容量が生じ得る。この寄生容量は、バッファコイル70のインダクタンス成分70l(図4参照)との間で不要な共振を引き起こし、またこのバッファコイル70を通らないバイパス経路を形成するため、ノイズ抑制回路のインピーダンスを、特定の周波数帯域にて降下させるおそれがある。
【0058】
そこで第二実施形態では、結合コイル276をバッファコイル70に磁気結合させることにより、抵抗器77とバッファコイル70との配線による直接的な接続が、省略可能となっている。故に、抵抗器77及びバッファコイル70間を接続する配線が不要となるので、当該配線とエナメル銅線72との間に寄生容量の生じる事態は、回避可能となる。こうしたノイズ抑制回路280を備えることにより、抵抗器77とバッファコイル70とを並べて配置することが困難な点火コイル100であっても、火花放電に起因する伝導及び輻射ノイズは、低減されるのである。
【0059】
また第二実施形態では、結合コイル276及びバッファコイル70が軸方向に並べられているので、当該結合コイル276の追加による点火コイル100の大型化は、生じ難い。加えて、バッファコイル70及び結合コイル276は、鉄心73の軸方向に並ぶと共に、同一の鉄心73に巻回されている。故に、バッファコイル70及び結合コイル276間における磁気結合の確実性が、向上する。よって、結合コイル276及び抵抗器77は、バッファコイル70に並列接続された抵抗器と等価な構成と確実になり得る。以上により、ノイズ抑制回路280は、第一実施形態のノイズ抑制回路80(図4参照)と同等のインピーダンスの特性を確実に獲得し得る。したがって、抵抗器77の配置の自由度を向上させた形態の点火コイル100であっても、点火プラグ10の火花放電に起因するノイズは、確実に低減可能となるのである。
【0060】
尚、第二実施形態において、鉄心73が特許請求の範囲の「鉄心部」に相当し、ノイズ抑制回路280が特許請求の範囲の「磁気結合回路」に相当する。
【0061】
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0062】
上記実施形態では、抵抗器77の電気抵抗値Rrは、バッファコイル70の等価並列抵抗値Rcよりも小さく設定されていた。しかし、抵抗器の内部抵抗値は、バッファコイルの等価並列抵抗値及びノイズ抑制回路に要求されるインピーダンスの基準値等に応じて、適宜変更されてよい。また、バッファコイルのインダクタンスの値も、点火プラグに生じる寄生容量の大きさ及びノイズ抑制回路に要求されるインピーダンスの基準値等に応じて、エナメル銅線の巻き数及び線径の調整によって、適宜変更されてよい。さらに、バッファコイルのインダクタンスの値と、抵抗器の電気抵抗値との比率も、ノイズ抑制が効果的に実施できるように、適宜変更されてよい。
【0063】
上記第二実施形態では、バッファコイル70及び結合コイル276は、同一の鉄心73に巻回されて、当該鉄心73の軸方向に並んでいた。しかし、バッファコイル及び結合コイルが互いに確実に磁気結合され得るのであれば、これら相対位置は、適宜変更されてよい。加えて、バッファコイル及び結合コイルは、異なる鉄心に巻回されていてもよい。具体的に、結合コイルは、バッファコイルと並列に配置されるように、バッファコイルの外周側に位置していてもよい。さらに、第一,第二実施形態の鉄心73は、省略されていてもよい。
【0064】
また、上記第二実施形態における結合コイル276のエナメル銅線272の巻き数及び線径は、適宜変更されてよい。例えば、結合コイルの巻き数は、バッファコイルの巻き数より少なくてもよく、又は多くてもよい。加えて、結合コイルを形成するエナメル銅線の線径は、バッファコイルを形成するエナメル銅線の線径よりも小さくてもよく、又は大きくてもよい。或いは、これら巻き数及び線径の少なくとも一方が、結合コイル及びバッファコイルにおいて同一とされていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
Fres1 自己共振周波数、Fres2 共振周波数、G 点火信号、i1 一次電流、i2 放電電流、R 合成抵抗値、Rc 等価並列抵抗値、Rr 電気抵抗値、V2 放電電圧、Zbl 基準値、10 点火プラグ、10c 寄生容量成分、11a,11b 電極部、12 ギャップ、20 制御装置、30 電源、40 イグナイタ(スイッチ手段)、41 IGBT、50 一次コイル、60 二次コイル、65 導通系統、70 バッファコイル(コイル)、70c 寄生容量成分、70l インダクタンス成分、70r 内部抵抗成分、72,272 エナメル銅線、73 鉄心(鉄心部)、275 隔離系統、276 結合コイル、77 抵抗器、80 ノイズ抑制回路(並列回路)、280 ノイズ抑制回路(磁気結合回路)、100 点火コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火プラグと接続され、外部の電源から供給される電圧を昇圧することにより、前記点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する点火コイルであって、
前記電源と接続される一次コイルと、
前記電源から前記一次コイルへの通電のオン状態及びオフ状態を切り換えるスイッチ手段と、
前記スイッチ手段によって前記一次コイルへの通電がオン状態からオフ状態に切り換えられることにより、前記火花放電を生じさせる電圧を生成する二次コイルと、
前記二次コイルを前記点火プラグと導通させる導通系統に直列に接続されるコイル、及び前記コイルと並列に前記導通系統に接続され一定の電気抵抗値を備える抵抗器、を有する並列回路とを、
備えることを特徴とする点火コイル。
【請求項2】
点火プラグと接続され、外部の電源から供給される電圧を昇圧することにより、前記点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する点火コイルであって、
前記電源と接続される一次コイルと、
前記電源から前記一次コイルへの通電のオン状態及びオフ状態を切り換えるスイッチ手段と、
前記スイッチ手段によって前記一次コイルへの通電がオン状態からオフ状態に切り換えられることにより、前記火花放電を生じさせる電圧を生成する二次コイルと、
前記二次コイルを前記点火プラグと導通させる導通系統に直列に接続されるコイル、前記導通系統と電気的に隔てられた環状の隔離系統に直列に接続され前記コイルと磁気結合する結合コイル、及び一定の電気抵抗値を備え前記隔離系統に直列に接続される抵抗器、を有する磁気結合回路とを、
備えることを特徴とする点火コイル。
【請求項3】
前記磁気結合回路は、磁性材料によって柱状に形成される鉄心部、をさらに有し、
前記コイル及び前記結合コイルは、共に前記鉄心部に巻回されてなり、当該鉄心部の軸方向において互いに並ぶことを特徴とする請求項2に記載の点火コイル。
【請求項4】
前記抵抗器の電気抵抗値は、前記コイルの等価並列抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の点火コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−251519(P2012−251519A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126374(P2011−126374)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】