点灯制御装置およびヘッドランプ装置
【課題】ヘッドランプケースと光源および点灯制御装置が互いに誤り組み付けになることを防止するとともに、量産性の妨げとならず、また、コストアップにならないようにする。
【解決手段】電子部品を内蔵し、その電子部品が発する熱を放熱する材料で形成されたケース1と、このケース1の外面に取り付けられ該ケース1との絶縁と電流を短絡することのない材料で形成された電源コネクタ10とを備え、前記電源コネクタ10を、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたものである。
【解決手段】電子部品を内蔵し、その電子部品が発する熱を放熱する材料で形成されたケース1と、このケース1の外面に取り付けられ該ケース1との絶縁と電流を短絡することのない材料で形成された電源コネクタ10とを備え、前記電源コネクタ10を、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子部品を内蔵し、その電子部品が発する熱を放熱する機能を有するケースと電源コネクタとを有し、車両に搭載してヘッドランプの点灯を制御する機能を有する点灯制御装置および該装置を備えたヘッドランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ヘッドランプ用の光源として、近年は、従来のハロゲン電球の代替として、長寿命で明るい放電灯(HIDランプ)が普及し、発光部に水銀を使用する放電灯あるいは水銀を使用しない放電灯や、定格電力の異なる放電灯、配光特性の異なる放電灯等、複数種類の放電灯が用いられている。
【0003】
この配光特性や定格電力等の異なる放電灯に対し、不適切な出力特性の点灯制御装置を接続すると、本来の設定された配光や明るさが得られない可能性がある。また、放電灯や点灯制御装置に何らかの故障を誘発する危険性もある。
【0004】
従来、高電圧放電ランプ用口金に関する特許文献1には、放電灯が白熱灯やハロゲン電球用の照明器具に装着されないように、嵌合ピンを設け、このピンの位置を変えることにより、多数の使用に対応できることが開示されている。
また、放電灯点灯装置および車両用灯具に関する特許文献2には、放電灯が外された後に再度装着され点灯するときに判別用電力制御モードで点灯を行い、装着された放電灯が正規の放電灯か否かを電気的に判断することが開示されており、同様な口金形状の発光部に水銀を使用する放電灯と水銀を使用しない放電灯を判別し、適切な投入電力によって点灯する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−310025号公報
【特許文献2】特開2006−261032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1、2に開示されたものは、定格電力の異なる放電灯、あるいは、水銀入りか否かによる特性の差異を、放電灯と点灯制御装置の間で行っている。しかしながら、車載のヘッドランプから出力される光は、放電灯と点灯制御装置それにヘッドランプケースに収められた反射鏡等の光学式の一式で、明るさと配光の基準を満たす構成になっている。確かに、特許文献2に開示されたように、同様な形状の口金を備えた水銀入りか否かのそれぞれの放電灯に、適切な点灯制御装置が接続されることは当然必要な条件ではあるが、光学系(ヘッドランプケース)に対する適切な点灯制御装置の接続も重要である。
【0007】
特に、成熟期に至る放電灯および点灯制御装置に関する現状の技術においては、各社の放電灯の点灯制御装置の大きさと形状には、大きな差異が見られなくなっており、上記のように発光部に水銀を使用する放電灯と、水銀を使用しない放電灯、さらに定格電力も35Wの放電灯以外に、25Wの放電灯も出現している。このため、放電灯と点灯制御装置の組み合わせが不明確になる可能性が高く、互いの誤り組み付けを防止する必要があるが、特許文献1、2に開示されたものには、上記のような誤り組み付けを防止することについては何ら技術的説明がなされていない。
【0008】
この発明は上記の課題を解消するためになされたもので、ヘッドランプケースとヘッドランプおよび点灯制御装置が互いに適切な組み合わせになるようにし、誤り組み付けを防止するとともに、量産性の妨げとならず、また、コストアップにならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る点灯制御装置は、電子部品を内蔵し、その電子部品が発する熱を放熱する機能を有するケースと、このケースの一面に取り付けられ該ケースとの絶縁と電流を短絡することなく通電する機能を有する電源コネクタとを備え、電源コネクタを、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電源コネクタをヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたので、光学系(ヘッドランプケース)と点灯制御装置とを互いに適切な組み合わせにすることができ、配光特性や定格電力等が異なる複数種類のヘッドランプに対応する専用の点灯制御装置を誤りなく組み付けることができる。また、成形金型の安価な、設計自由度が高く複雑な形状の形成が可能な電源コネクタにより、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状を形成したので、量産性に適し、コストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ヘッドライト装置の縦断面図である。
【図2】実施の形態1の点灯制御装置の斜視図である。
【図3】その点灯制御装置の正面図である。
【図4】その点灯制御装置の電源コネクタを示す斜視図である。
【図5】その電源コネクタを示す正面図である。
【図6】実施の形態1の他の点灯制御装置の斜視図である。
【図7】その点灯制御装置の正面図である。
【図8】その点灯制御装置の電源コネクタを示す斜視図である。
【図9】その電源コネクタを示す正面図である。
【図10】実施の形態2の点灯制御装置の斜視図である。
【図11】その点灯制御装置の平面図である。
【図12】その点灯制御装置の電源コネクタを示す斜視図である。
【図13】その電源コネクタを示す正面図である。
【図14】実施の形態2の他の点灯制御装置の斜視図である。
【図15】その点灯制御装置の平面図である。
【図16】その点灯制御装置の電源コネクタを示す斜視図である。
【図17】その電源コネクタを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明をより詳細に、この発明を実施するための形態について添付の図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1はヘッドライト装置を示す縦断面図であり、このヘッドライト装置はヘッドランプケース1、このヘッドランプケース1の前面開口に取り付けたガラス等の投光板2、特定の配光特性や定格電力等の放電灯が装着されたヘッドランプ3、このヘッドランプ3から放出された光を反射する第1の反射板4、この第1の反射板4で反射された光を投光板2側に反射する第2の反射板5、ヘッドランプケース1の下面に取り付けられた点灯制御装置6とで構成されている。
ヘッドランプケース1の後端にはヘッドランプ3を出し入れする開口が形成されており、この開口には着脱可能なキャップ1aが取り付けられている。
【0013】
点灯制御装置6は図2に示すように、外装ケース7の左右側面および後面に設けられた取り付け腕部7a,7b,7cを介して、ヘッドランプケース1の下面にねじ12等で取り付けられる。この点灯制御装置6の外装ケース内部には、ヘッドランプ3の点灯制御用の電子部品(図示せず)が内蔵されており、外装ケース上面には電子部品に接続されたリード線8を取り出し、ヘッドランプ3に接続する取り付け筒部9が設けられている。この外装ケース7は内蔵電子部品の発する熱を放熱する機能と、走行車両が被る水に対する防水性が要求され、金属を主な材料として構成されている。また、外装ケース7は形状が複雑であり、その形状毎の金型が必要になり、その金型の保管管理も必要となるので、複数種別のヘッドランプ3に対し共用化する。
【0014】
また、外装ケース7の前面には電源コネクタ10が取り付けられている。この電源コネクタ10は外装ケース7との絶縁と電流を短絡することのないことが要求されるため、絶縁性樹脂により構成され、その基部には左右に突出して取り付け用フランジ10a,10aが形成されている。そして、この電源コネクタ10は内部の端子を外装ケース7に内蔵された電子部品と接続させて取り付け用フランジ10a,10aを該外装ケース7の前面に当接させ、この取り付け用フランジ10a,10aに通したねじ11で外装ケース7の前面に取り付け固定される。この電源コネクタ10は樹脂製であり、成型金型が安価で、設計自由度が高く、複雑な形状の成型が可能であるから、複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用の形状とする。
【0015】
この専用の形状とするために、図3〜図5に示す例えば25W用の電源コネクタ10では、電力供給用コネクタ(図示せず)を接続する嵌合口の横断面形状を四角形に形成し、図6〜図9に示す例えば35W用の電源コネクタ10では、電力供給用コネクタを接続する嵌合口の横断面形状を楕円形に形成したものである。
【0016】
このように構成すると、25W用の電源コネクタ10には断面四角形の嵌合口と同形の電力供給用コネクタを接続することになり、誤りなく25W用の電源コネクタ10に対しては25W用の電力供給用コネクタを接続することができる。また、35W用の電源コネクタ10には断面楕円形の嵌合口と同形の電力供給用コネクタを接続することになり、誤りなく35W用の電源コネクタ10に対しては35W用の電力供給用コネクタを接続することができる。
【0017】
以上のように、実施の形態1によれば、電源コネクタを、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたので、電源コネクタに対する電力供給用コネクタの誤り接続を回避することができ、ヘッドランプに対しては定格電力に適した電力供給を誤りなく行うことができ、誤り接続による本来の設定された配光特性や明るさが得られない可能性やヘッドランプあるいは点灯制御装置に何らかの故障を誘発する危険性を回避することができる。
【0018】
また、金属製の外装ケースは複数種別のヘッドランプに共用化するようにし、樹脂製で成型金型が安価で、設計自由度が高く、複雑な形状の成型が可能な電源コネクタを、複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたので、配光特性や定格電力等が異なる複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用の点灯制御装置を容易に構成することができる。
さらに、電源コネクタの嵌合口の形状を変えて、複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用化を図っているので、車体の配線に対して、異なる配光特性や定格電力等の点灯制御装置の誤り組み付けを回避することができる。
【0019】
実施の形態2.
図10〜図17はこの発明の実施の形態2に係る点灯制御装置6の外観形状を示すもので、複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用化を図るために、図10〜図13に示す例えば25W用の点灯制御装置6では、電源コネクタ10が有する取り付け用フランジ10a,10aの前面一端側に前方に突出する係合部としての突起21を設け、図14〜図17に示す例えば35W用の点灯制御装置6では、電源コネクタ10の一端側の取り付け用フランジ10aの側面より前方に突出する係合部としての突起22を設けたものである。
【0020】
この構成により、点灯制御装置6は電源コネクタ10の突起21または突起22がヘッドランプケース1の下面に形成された係合部と係合することにより該ヘッドランプケース1に組み付けることができるので、特定の配光特性や定格電力等が異なる放電灯を装着したヘッドランプ3に対して、配光特性や定格電力等が異なる点灯制御装置6の誤り取り付けを回避することができる。
【0021】
以上のように、この実施の形態2によれば、ヘッドランプケースの下面に形成された係合部と係合する係合部を電源コネクタに形成したので、この係合部が係合する電源コネクタを有する点灯制御装置をヘッドランプケースに取り付けることにより、ヘッドランプに適する点灯制御装置を誤りなくヘッドランプケースの下面に取り付けることができる。また、電源コネクタの突起と係合する凹凸を備えたヘッドランプケースを用いることにより、誤り組み付けが発生しにくいヘッドランプ装置を構成できる。
【0022】
また、外装ケースおよび内蔵する構成電子部品の一部を複数種別のヘッドランプに対し共用化することにより、特定の配光特性や定格電力等が異なる複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用の点灯制御装置を構成しながら、コストを低減することができる。
【0023】
なお、図示の電源コネクタ10は両側に取り付け用フランジ10a,10aを備え、この取り付け用フランジ10a,10aを外装ケース7にねじ11でねじ止めしているが、電源コネクタ10は取り付け用フランジ10a,10aを設けることなく、接着剤等で直接外装ケース7に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 ヘッドランプケース、1a キャップ、2 投光板、3 ヘッドランプ、4 第1の反射板、5 第2の反射板、6 点灯制御装置、7 外装ケース、7a,7b,7c 取り付け腕部、8 リード線、9 取り付け筒部、10 電源コネクタ、10a,10a 取り付け用フランジ、11,12 ねじ、21,22 突起。
【技術分野】
【0001】
この発明は電子部品を内蔵し、その電子部品が発する熱を放熱する機能を有するケースと電源コネクタとを有し、車両に搭載してヘッドランプの点灯を制御する機能を有する点灯制御装置および該装置を備えたヘッドランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ヘッドランプ用の光源として、近年は、従来のハロゲン電球の代替として、長寿命で明るい放電灯(HIDランプ)が普及し、発光部に水銀を使用する放電灯あるいは水銀を使用しない放電灯や、定格電力の異なる放電灯、配光特性の異なる放電灯等、複数種類の放電灯が用いられている。
【0003】
この配光特性や定格電力等の異なる放電灯に対し、不適切な出力特性の点灯制御装置を接続すると、本来の設定された配光や明るさが得られない可能性がある。また、放電灯や点灯制御装置に何らかの故障を誘発する危険性もある。
【0004】
従来、高電圧放電ランプ用口金に関する特許文献1には、放電灯が白熱灯やハロゲン電球用の照明器具に装着されないように、嵌合ピンを設け、このピンの位置を変えることにより、多数の使用に対応できることが開示されている。
また、放電灯点灯装置および車両用灯具に関する特許文献2には、放電灯が外された後に再度装着され点灯するときに判別用電力制御モードで点灯を行い、装着された放電灯が正規の放電灯か否かを電気的に判断することが開示されており、同様な口金形状の発光部に水銀を使用する放電灯と水銀を使用しない放電灯を判別し、適切な投入電力によって点灯する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−310025号公報
【特許文献2】特開2006−261032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1、2に開示されたものは、定格電力の異なる放電灯、あるいは、水銀入りか否かによる特性の差異を、放電灯と点灯制御装置の間で行っている。しかしながら、車載のヘッドランプから出力される光は、放電灯と点灯制御装置それにヘッドランプケースに収められた反射鏡等の光学式の一式で、明るさと配光の基準を満たす構成になっている。確かに、特許文献2に開示されたように、同様な形状の口金を備えた水銀入りか否かのそれぞれの放電灯に、適切な点灯制御装置が接続されることは当然必要な条件ではあるが、光学系(ヘッドランプケース)に対する適切な点灯制御装置の接続も重要である。
【0007】
特に、成熟期に至る放電灯および点灯制御装置に関する現状の技術においては、各社の放電灯の点灯制御装置の大きさと形状には、大きな差異が見られなくなっており、上記のように発光部に水銀を使用する放電灯と、水銀を使用しない放電灯、さらに定格電力も35Wの放電灯以外に、25Wの放電灯も出現している。このため、放電灯と点灯制御装置の組み合わせが不明確になる可能性が高く、互いの誤り組み付けを防止する必要があるが、特許文献1、2に開示されたものには、上記のような誤り組み付けを防止することについては何ら技術的説明がなされていない。
【0008】
この発明は上記の課題を解消するためになされたもので、ヘッドランプケースとヘッドランプおよび点灯制御装置が互いに適切な組み合わせになるようにし、誤り組み付けを防止するとともに、量産性の妨げとならず、また、コストアップにならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る点灯制御装置は、電子部品を内蔵し、その電子部品が発する熱を放熱する機能を有するケースと、このケースの一面に取り付けられ該ケースとの絶縁と電流を短絡することなく通電する機能を有する電源コネクタとを備え、電源コネクタを、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電源コネクタをヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたので、光学系(ヘッドランプケース)と点灯制御装置とを互いに適切な組み合わせにすることができ、配光特性や定格電力等が異なる複数種類のヘッドランプに対応する専用の点灯制御装置を誤りなく組み付けることができる。また、成形金型の安価な、設計自由度が高く複雑な形状の形成が可能な電源コネクタにより、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状を形成したので、量産性に適し、コストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ヘッドライト装置の縦断面図である。
【図2】実施の形態1の点灯制御装置の斜視図である。
【図3】その点灯制御装置の正面図である。
【図4】その点灯制御装置の電源コネクタを示す斜視図である。
【図5】その電源コネクタを示す正面図である。
【図6】実施の形態1の他の点灯制御装置の斜視図である。
【図7】その点灯制御装置の正面図である。
【図8】その点灯制御装置の電源コネクタを示す斜視図である。
【図9】その電源コネクタを示す正面図である。
【図10】実施の形態2の点灯制御装置の斜視図である。
【図11】その点灯制御装置の平面図である。
【図12】その点灯制御装置の電源コネクタを示す斜視図である。
【図13】その電源コネクタを示す正面図である。
【図14】実施の形態2の他の点灯制御装置の斜視図である。
【図15】その点灯制御装置の平面図である。
【図16】その点灯制御装置の電源コネクタを示す斜視図である。
【図17】その電源コネクタを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明をより詳細に、この発明を実施するための形態について添付の図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1はヘッドライト装置を示す縦断面図であり、このヘッドライト装置はヘッドランプケース1、このヘッドランプケース1の前面開口に取り付けたガラス等の投光板2、特定の配光特性や定格電力等の放電灯が装着されたヘッドランプ3、このヘッドランプ3から放出された光を反射する第1の反射板4、この第1の反射板4で反射された光を投光板2側に反射する第2の反射板5、ヘッドランプケース1の下面に取り付けられた点灯制御装置6とで構成されている。
ヘッドランプケース1の後端にはヘッドランプ3を出し入れする開口が形成されており、この開口には着脱可能なキャップ1aが取り付けられている。
【0013】
点灯制御装置6は図2に示すように、外装ケース7の左右側面および後面に設けられた取り付け腕部7a,7b,7cを介して、ヘッドランプケース1の下面にねじ12等で取り付けられる。この点灯制御装置6の外装ケース内部には、ヘッドランプ3の点灯制御用の電子部品(図示せず)が内蔵されており、外装ケース上面には電子部品に接続されたリード線8を取り出し、ヘッドランプ3に接続する取り付け筒部9が設けられている。この外装ケース7は内蔵電子部品の発する熱を放熱する機能と、走行車両が被る水に対する防水性が要求され、金属を主な材料として構成されている。また、外装ケース7は形状が複雑であり、その形状毎の金型が必要になり、その金型の保管管理も必要となるので、複数種別のヘッドランプ3に対し共用化する。
【0014】
また、外装ケース7の前面には電源コネクタ10が取り付けられている。この電源コネクタ10は外装ケース7との絶縁と電流を短絡することのないことが要求されるため、絶縁性樹脂により構成され、その基部には左右に突出して取り付け用フランジ10a,10aが形成されている。そして、この電源コネクタ10は内部の端子を外装ケース7に内蔵された電子部品と接続させて取り付け用フランジ10a,10aを該外装ケース7の前面に当接させ、この取り付け用フランジ10a,10aに通したねじ11で外装ケース7の前面に取り付け固定される。この電源コネクタ10は樹脂製であり、成型金型が安価で、設計自由度が高く、複雑な形状の成型が可能であるから、複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用の形状とする。
【0015】
この専用の形状とするために、図3〜図5に示す例えば25W用の電源コネクタ10では、電力供給用コネクタ(図示せず)を接続する嵌合口の横断面形状を四角形に形成し、図6〜図9に示す例えば35W用の電源コネクタ10では、電力供給用コネクタを接続する嵌合口の横断面形状を楕円形に形成したものである。
【0016】
このように構成すると、25W用の電源コネクタ10には断面四角形の嵌合口と同形の電力供給用コネクタを接続することになり、誤りなく25W用の電源コネクタ10に対しては25W用の電力供給用コネクタを接続することができる。また、35W用の電源コネクタ10には断面楕円形の嵌合口と同形の電力供給用コネクタを接続することになり、誤りなく35W用の電源コネクタ10に対しては35W用の電力供給用コネクタを接続することができる。
【0017】
以上のように、実施の形態1によれば、電源コネクタを、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたので、電源コネクタに対する電力供給用コネクタの誤り接続を回避することができ、ヘッドランプに対しては定格電力に適した電力供給を誤りなく行うことができ、誤り接続による本来の設定された配光特性や明るさが得られない可能性やヘッドランプあるいは点灯制御装置に何らかの故障を誘発する危険性を回避することができる。
【0018】
また、金属製の外装ケースは複数種別のヘッドランプに共用化するようにし、樹脂製で成型金型が安価で、設計自由度が高く、複雑な形状の成型が可能な電源コネクタを、複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたので、配光特性や定格電力等が異なる複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用の点灯制御装置を容易に構成することができる。
さらに、電源コネクタの嵌合口の形状を変えて、複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用化を図っているので、車体の配線に対して、異なる配光特性や定格電力等の点灯制御装置の誤り組み付けを回避することができる。
【0019】
実施の形態2.
図10〜図17はこの発明の実施の形態2に係る点灯制御装置6の外観形状を示すもので、複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用化を図るために、図10〜図13に示す例えば25W用の点灯制御装置6では、電源コネクタ10が有する取り付け用フランジ10a,10aの前面一端側に前方に突出する係合部としての突起21を設け、図14〜図17に示す例えば35W用の点灯制御装置6では、電源コネクタ10の一端側の取り付け用フランジ10aの側面より前方に突出する係合部としての突起22を設けたものである。
【0020】
この構成により、点灯制御装置6は電源コネクタ10の突起21または突起22がヘッドランプケース1の下面に形成された係合部と係合することにより該ヘッドランプケース1に組み付けることができるので、特定の配光特性や定格電力等が異なる放電灯を装着したヘッドランプ3に対して、配光特性や定格電力等が異なる点灯制御装置6の誤り取り付けを回避することができる。
【0021】
以上のように、この実施の形態2によれば、ヘッドランプケースの下面に形成された係合部と係合する係合部を電源コネクタに形成したので、この係合部が係合する電源コネクタを有する点灯制御装置をヘッドランプケースに取り付けることにより、ヘッドランプに適する点灯制御装置を誤りなくヘッドランプケースの下面に取り付けることができる。また、電源コネクタの突起と係合する凹凸を備えたヘッドランプケースを用いることにより、誤り組み付けが発生しにくいヘッドランプ装置を構成できる。
【0022】
また、外装ケースおよび内蔵する構成電子部品の一部を複数種別のヘッドランプに対し共用化することにより、特定の配光特性や定格電力等が異なる複数種別のヘッドランプの仕様に対応する専用の点灯制御装置を構成しながら、コストを低減することができる。
【0023】
なお、図示の電源コネクタ10は両側に取り付け用フランジ10a,10aを備え、この取り付け用フランジ10a,10aを外装ケース7にねじ11でねじ止めしているが、電源コネクタ10は取り付け用フランジ10a,10aを設けることなく、接着剤等で直接外装ケース7に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 ヘッドランプケース、1a キャップ、2 投光板、3 ヘッドランプ、4 第1の反射板、5 第2の反射板、6 点灯制御装置、7 外装ケース、7a,7b,7c 取り付け腕部、8 リード線、9 取り付け筒部、10 電源コネクタ、10a,10a 取り付け用フランジ、11,12 ねじ、21,22 突起。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を内蔵し、その電子部品が発する熱を放熱する材料で形成されたケースと、このケースの外面に取り付けられ該ケースとの絶縁と電流を短絡することのない材料で形成された電源コネクタとを備え、前記電源コネクタを、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたことを特徴とする点灯制御装置。
【請求項2】
電源コネクタは、嵌合口をヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたことを特徴とする請求項1記載の点灯制御装置。
【請求項3】
電源コネクタは、ヘッドランプの仕様に対応してヘッドランプケースに形成された係合部と係合する専用の係合部を有することを特徴とする請求項1記載の点灯制御装置。
【請求項4】
外装ケースと内蔵電子部品の一部を複数種別のヘッドランプに対し共通にしたことを特徴とする請求項1記載の点灯制御装置。
【請求項5】
請求項3記載の点灯制御装置の電源コネクタに形成された係合部と係合する専用の係合部を有するヘッドランプケースを用いることを特徴とするヘッドランプ装置。
【請求項1】
電子部品を内蔵し、その電子部品が発する熱を放熱する材料で形成されたケースと、このケースの外面に取り付けられ該ケースとの絶縁と電流を短絡することのない材料で形成された電源コネクタとを備え、前記電源コネクタを、ヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたことを特徴とする点灯制御装置。
【請求項2】
電源コネクタは、嵌合口をヘッドランプの仕様に対応する専用の形状としたことを特徴とする請求項1記載の点灯制御装置。
【請求項3】
電源コネクタは、ヘッドランプの仕様に対応してヘッドランプケースに形成された係合部と係合する専用の係合部を有することを特徴とする請求項1記載の点灯制御装置。
【請求項4】
外装ケースと内蔵電子部品の一部を複数種別のヘッドランプに対し共通にしたことを特徴とする請求項1記載の点灯制御装置。
【請求項5】
請求項3記載の点灯制御装置の電源コネクタに形成された係合部と係合する専用の係合部を有するヘッドランプケースを用いることを特徴とするヘッドランプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−216393(P2011−216393A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85063(P2010−85063)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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