点灯装置および灯具
【課題】光源の温度を精度よく測定することができる点灯装置および灯具を提供する。
【解決手段】電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源10に電流を印加する駆動部41と、光源10が取り付けられると共に、発光により発生した熱が伝達可能とされたヒートシンク44と、このヒートシンク44に取り付けられ、光源10の温度の推定に用いられるヒートシンク44の温度を測定する温度測定部43と、が設けられ、空気などの流体を介在させることなく、ヒートシンク44などの固体を介して温度測定部43により光源10の温度を測定する。そのため、ヒートシンク44における光源10が取り付けられている位置と、温度測定部43が取り付けられている位置と、ヒートシンク44を構成する材料および形状が予め判れば、温度測定部43が測定したヒートシンク44の温度に基づいて、光源10の温度を推定することができる。
【解決手段】電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源10に電流を印加する駆動部41と、光源10が取り付けられると共に、発光により発生した熱が伝達可能とされたヒートシンク44と、このヒートシンク44に取り付けられ、光源10の温度の推定に用いられるヒートシンク44の温度を測定する温度測定部43と、が設けられ、空気などの流体を介在させることなく、ヒートシンク44などの固体を介して温度測定部43により光源10の温度を測定する。そのため、ヒートシンク44における光源10が取り付けられている位置と、温度測定部43が取り付けられている位置と、ヒートシンク44を構成する材料および形状が予め判れば、温度測定部43が測定したヒートシンク44の温度に基づいて、光源10の温度を推定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を点灯させる点灯装置および灯具に関し、特にLED(LIght Emitting Diode:発光ダイオード)が光源である場合に用いて好適な点灯装置および灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、灯具の光源としてLEDなどの半導体光源が用いられたものが実用化され、LEDを光源とした灯具が広く用いられ始めている。例えば、車両の前照灯において、LEDを光源として用いたものも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
LEDは、従来の白熱電球などと比較して寿命が長く、点灯と同時に最大光量が得られるという利点がある一方で、熱に弱いという欠点を有している。例えば、LED自身の発光により発生する熱によって、LEDの温度が高くなると素子の劣化が進み、寿命が本来の長さよりも短くなったり、LEDから出射される光量が低下したりするという問題があった。
【0004】
特許文献1に記載された車両用前照灯では、アルミダイカスト鋳造品で構成されたブラケットにLED光源を取付けることにより、ブラケットをLEDにおいて発生した熱を逃がすヒートシンクとして利用している。このようにすることで、発光時におけるLEDの温度上昇が抑制されている。
【0005】
また、LEDを光源とする灯具には、LEDの点灯に用いられる駆動回路が設けられ、LEDと離れた位置に別体に設けられている。この駆動回路には、LEDの温度を測定する温度測定部も設けられている。発光によりLEDにおいて発生した熱は、LEDからブラケット等のヒートシンクを介して、灯具内部に空気に放熱される。空気に伝わった熱は、空気の自然対流による灯具の内部全体に分散し、分散した熱が温度測定部により測定される。言い換えると、温度測定部は、ヒートシンクや灯具内の空気を介してLEDの温度を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−035547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、LEDの温度を、ヒートシンクや灯具内の空気を介して測定する方法では、温度が伝わる経路が長くて外部の影響を受けやすいため、LEDの温度を正確に測定することが難しいという問題があった。さらに、LEDの温度が変化した場合、温度の変化が伝わる速度が遅いため、当該温度の変化を測定するまでに時間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、光源の温度を精度よく測定することができる点灯装置および灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の点灯装置には、電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源に電流を印加する駆動部と、光源が取り付けられると共に、発光により発生した熱が伝達可能とされたヒートシンクと、このヒートシンクに取り付けられ、光源の温度の推定に用いられるヒートシンクの温度を測定する温度測定部と、が設けられている。
【0010】
本発明の点灯装置によれば、光源で発生した熱はヒートシンクに伝わり、ヒートシンクに伝わった熱は温度測定部により測定される。つまり、光源の温度は、空気などの流体を介在させることなく、ヒートシンクなどの固体を介して温度測定部により測定される。
【0011】
ヒートシンク等の個体は、空気などの流体と異なり、対流などの物質の移動を伴う熱の移動がないため、ヒートシンク内における熱の移動を把握しやすい。そのため、ヒートシンクにおける光源が取り付けられている位置と、温度測定部が取り付けられている位置と、ヒートシンクを構成する材料および形状が予め判れば、温度測定部が測定したヒートシンクの温度に基づいて、光源の温度を推定することができる。
【0012】
上記発明のヒートシンクには、駆動部がさらに取り付けられ、温度測定部、光源、および、駆動部における発熱部の相対配置位置は、温度測定部が駆動部における発熱部から受ける熱の影響よりも、光源から受ける熱の影響が大きくなる相対配置位置であることが望ましい。
【0013】
このようにすることで、温度測定部は、駆動部における発熱部の影響を受けることなく、または、発熱部の影響を無視して、ヒートシンクを介して光源の温度を測定することができる。温度測定部が駆動部における発熱部から受ける熱の影響よりも、光源から受ける熱の影響が大きくなる相対位置としては、例えば、温度測定部から駆動部における発熱部までの距離が、温度測定部から光源までの距離よりも長い場合を挙げることができる。
【0014】
さらに、ヒートシンクに駆動部を取付けることにより、駆動部が光源およびヒートシンクとは独立して別個に配置された特許文献1の車両用前照灯と比較して、点灯装置の構成を小型化することができる。さらに光源の熱を逃がすヒートシンクと、駆動部の熱を逃がすヒートシンクとを共通化することで、別々にヒートシンクを設けた場合と比較して、点灯装置の構成を小型化することができる。これにより、本発明の点灯装置を備えた灯具も小型化でき、灯具を可能な限り小型化したいという車両側の要望に応えることができる。また、駆動部から光源までの距離を短縮することができ、駆動部と光源との間の配置される配線を短くすることができる。更に、光源に印加される電流にノイズが含まれることを抑制することができる。
【0015】
上記発明には、駆動部を制御する制御部が更に設けられ、制御部には、異なる種類の発光する半導体素子における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係が予め記憶され、制御部は、駆動部から光源に印加される電流、および、温度測定部により測定された温度に基づいて、駆動部により電流が印加された光源として用いられた発光する半導体素子の種類を判別し、判別した発光する半導体素子の種類に応じて駆動部から光源に印加される電流を制御することが望ましい。
【0016】
このようにすることで、特性の異なる発光する半導体素子(LED)に対して、発光時における温度が所望の範囲に収まるように、印加する電流を制御することができる。つまり、駆動部から光源に印加される電流の情報と、温度測定部により測定された温度の情報とが入力された制御部は、発光する半導体素子の種類ごとに異なる電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係に基づいて、光源として用いられている発光する半導体素子の種類を判定することができる。さらに、制御部は、判定された発光する半導体素子の種類に対応する電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係に基づいて、光源に印加する電流を制御することにより、光源の発光時における光出力や温度を所望の範囲に収めることができる。
【0017】
上記発明の制御部は、温度測定部により測定された温度における時間の経過に伴う変化である温度変化率を求め、少なくとも当該温度変化率に基づいて光源の不具合の有無を判定することが望ましい。
【0018】
このようにすることで、光源である発光する半導体素子におけるチップショートなどの不具合を発見することができる。つまり、光源への電流の印加を開始した時点から、温度測定部により測定された温度の時間経過に伴う変化が、予め記憶されている光源が正常に動作している時の変化と同じか異なるかを判定することにより、制御部は、光源である発光する半導体素子に不具合が発生しているか否かを判定することができる。更に、不具合の種類ごとに、温度測定部により測定された温度の時間経過に伴う変化を予め記憶し、測定された温度の時間経過に伴う変化が、どの変化と一致するか判定することにより、制御部は、光源で発生した不具合の種類を判定することも可能である。
【0019】
上記発明には、ヒートシンク、および、光源の少なくとも一方に空気を送るファンと、少なくとも温度測定部により測定された温度に基づいて、ファンの回転を制御する制御部と、が更に設けられ、制御部には、光源における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係が予め記憶され、制御部は、光源における光出力、および、光源の温度の少なくとも一方が所定の範囲に収まるようにファンの回転数を制御することが望ましい。
【0020】
このようにすることで、制御部によってヒートシンクおよび光源の少なくとも一方に送られる空気の流量が調節され、光源における光出力、または、光源の温度が所定の範囲に収められる。
【0021】
制御部には、温度測定部により測定された温度の情報が入力されると共に、駆動部から光源に印加される電流の情報が入力される。制御部は、入力された電流の情報と、電流と光出力との関係と、から電流の情報に基づく光出力を求める。そして制御部は、入力された温度の情報と、電流の情報に基づく光出力と、温度の光出力との関係と、から光源における光出力を推定する。例えば、光源の温度上昇により推定された光出力が減少して所定の範囲から外れた場合、制御部は、ファンに対して回転数を増加させる制御信号を出力して、光源の温度を直接下げる、または、ヒートシンクの温度を下げることにより間接的に光源の温度を下げる制御を行う。これにより、光源における推定された光出力が増加して、推定された光出力は所定の範囲内に収まる。反対に、光源の温度が下がりすぎて推定された光出力が増加して所定の範囲から外れた場合には、制御部は、ファンに対して回転数を減少させる制御信号を出力して、光源の温度を直接上げる、または、ヒートシンクの温度を上げることにより間接的に光源の温度を上げる制御を行う。これにより、光源における推定された光出力が減少して、推定された光出力は所定の範囲内に収まる。
【0022】
光源における光出力や温度における所定の範囲とは、点灯装置が用いられる分野において許容される光出力の変動範囲が異なるため、一律に定めることは難しい。例えば、光源から出射された光が照射された領域における照度の変動が、利用者によって知覚されない、または、近くされにくい程度の範囲を例示することができる。
【0023】
本発明の灯具には、電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源と、上記本発明に記載の点灯装置と、光源および点灯装置を内部に収納する筺体と、が設けられている。本発明の灯具によれば、上述の本発明の点灯装置を備えるため、光源の温度を精度よく測定することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の点灯装置および灯具によれば、光源の温度を、空気などの流体を介在させることなく、ヒートシンクなどの固体を介して温度測定部により測定することにより光源の温度を精度よく測定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1の車両用灯具の構成を説明する断面視図である。
【図3】図2の点灯装置の構成を説明する斜視図である。
【図4】図2の点灯装置の構成を説明する断面視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例におけるLEDに印加される電流の制御を説明するフローチャートである。
【図6】制御部に予め記憶されている電流の値と光束との関係、および、温度と光束との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【図8】図7の車両用灯具におけるファンの駆動制御を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【図10】図9の車両用灯具におけるLEDの不具合発生を判定する処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【図12】図11の車両用灯具の別の実施例を説明するブロック図である。
【図13】図11の車両用灯具の更に別の実施例を説明するブロック図である。
【図14】図12の車両用灯具の更に別の実施例を説明するブロック図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具ついて図1から図4を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両用灯具1の構成を説明するブロック図であり、図2は、図1の車両用灯具1の構成を説明する断面視図である。図3は、図2の点灯装置40の構成を説明する斜視図であり、図4は、図2の点灯装置40の構成を説明する断面視図である。
【0027】
本実施形態の車両用灯具(灯具)1は、車両の前方を照明する前照灯として用いられるものであり、LEDを光源として用いるものである。車両用灯具1には、図1および図2に示すように、LED(光源)10と、反射部20と、レンズ部30と、点灯装置40と、筺体50と、が主に設けられている。
【0028】
LED10は、電流が印加されることにより光を出射するものである。LED10から出射される光束つまり光出力は、LED10に印加される電流の値が大きくなるに伴い大きくなる。また、同じ値の電流が印加されていても、LED10の温度が高くなると、LED10における光出力は低下する。
【0029】
反射部20およびレンズ部30は、LED10から出射された光が、所定の方向、本実施形態では車両用灯具1の前方に向かって出射されるように導く光学部材である。反射部20は、LED10から出射された光が最初に入射する光学部材であり、入射した光をレンズ部30に向かって反射するものである。本実施形態では、反射部20はLED10の上方に配置され、LED10から上方(図2の上方向)に向かって出射された光を水平方向(図2の左方向)に向かって反射させるものである。反射部20は、断面視において中心がLED10から遠ざかる凹曲面状に形成されたものであり、凹状に凹んだ曲面において光を反射している。
【0030】
レンズ部30は、反射部20によって反射された光が、車両用灯具1の前方における所望の領域に照射されるようにするものである。レンズ部30は、光を透過させる透光性材料から形成され、車両用灯具1における前方(図2の左側)の面が凸状に突出する曲面を有する形状に形成されている。
【0031】
筺体50は、図2に示すように、車両用灯具1の外形を構成するものであり、内部にLED10や、反射部20や、レンズ部30や、点灯装置40などを収納するものである。筺体50には、車両用灯具1の前方の面を形成するとともに光を透過させる透光部52と、側方の面や後方の面を形成する本体51とが主に設けられている。LED10や、反射部20や、レンズ部30や、点灯装置40などは、本体51に取り付けられる。また、LED10から出射された光は、透光部52を透過して車両用灯具1の前方に向かって出射される。
【0032】
点灯装置40は、LED10を点灯させるとともに、LED10における光出力を制御するものである。点灯装置40には、図1から図4に示すように、LED駆動部(駆動部)41と、制御部42と、温度測定部43と、ヒートシンク44と、が主に設けられている。
【0033】
LED駆動部41は、LED10に印加する電流を供給する電源回路であり、かつ、制御部42から入力される制御信号に基づいて印加される電流および電圧の値を制御する回路でもある。LED駆動部41は、制御部42および温度測定部43と共に同じ基板上に設けられ、ヒートシンク44に熱の伝達が可能に取り付けられている。LED駆動部41を構成する回路のうち、熱の発生量が多い素子が配置されている発熱部41Aは、温度測定部43から離れた位置、例えば、図4における下方に配置されている。
【0034】
制御部42は、内蔵された記憶部に書き込まれた各種のプログラムを読み込み、読み込んだプログラム実行することにより各種の情報の演算処理を行う演算処理装置である。例えば、LED10の発光時における温度が、LED10の発光を保証する所定温度を超えないように、より好ましくは、所定温度よりも低い所定の温度範囲に収まるように制御するものである。
【0035】
温度測定部43は、ヒートシンク44の温度を測定するものであり、LED10の近くに配置されるものである。本実施形態では、温度測定部43としてサーミスタなどの温度測定素子を用いた例に適用して説明する。
【0036】
ヒートシンク44は、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属、または、これらの合金を材料として形成されたものであり、LED10の点灯時に発生する熱を放熱させるものである。また、LED駆動部41において発生する熱、特に発熱部41Aにおいて発生する熱を放熱させるものでもある。ヒートシンク44には、LED10が熱の伝達可能に取り付けられる光源取付面44Aと、LED駆動部41、制御部42および温度測定部43が取り付けられる回路取付部44Bと、熱の放熱に用いられるフィン部44Cと、が主に設けられている。
【0037】
回路取付部44Bは底を有する四角筒状に形成された部分の底面であり、光源取付面44Aは、当該四角筒における上側の外面である。底を有する四角筒は車両用灯具1の前方に向かって開口するように配置され、フィン部44Cは後方に向かって板状の部材が延び、かつ、左右方向に複数の板状の部材が並んで配置された構成を有している。
【0038】
次に、上記の構成からなる車両用灯具1における照明方法について説明する。
車両の運転手がヘッドランプスイッチをONにする等、車両用灯具1を点灯する指示を入力すると、制御部42に点灯の指示が入力される。制御部42は、図1に示すように、LED駆動部41にLED10へ電流の印加を開始する制御信号を出力する。LED駆動部41は、予め定められたパターンにしたがって電流および電圧の値を制御しながらLED10への電流の印加を開始する。電流が印加されるとLED10は発光を開始し、上方に配置された反射部20に向かって光を出射する。LED10から出射された光は、反射部20によってレンズ部30に向かって反射される。反射された光は、レンズ部30を透過する際に所望の領域を照明するように屈折される。レンズ部30を透過した光は、更に筺体50の透光部52を透過して車両用灯具1の外部へ出射され、車両前方の所望の領域を照明する。
【0039】
LED10における発光時には、光の出射が行われると共に熱が発生する。発生した熱の大半は、熱の伝達が可能に接触する光源取付面44A、つまりヒートシンク44に伝わる。ヒートシンク44に伝わった熱は、ヒートシンク44内を拡散し、フィン部44Cに伝わった熱はフィン部44Cから周囲の空気へ放熱される。
【0040】
その一方で、LED10の近くに配置された温度測定部43は、LED10で発生した熱を受け取ったことにより温度が上昇したヒートシンク44の温度を測定し、測定した温度を示す測定信号を出力する。なお、ヒートシンク44の温度は、外部から熱が伝わる部分に近いほど高く、熱が伝わった部分から離れるに伴い温度が低くなる。そのため、LED10から熱が伝わる光源取付面44Aに近いほど高い。また、LED10以外の熱源(例えば、発熱部41A)から離れるほど、当該熱源から伝わった熱による温度上昇の影響が小さくなる。つまり、温度測定部43をLED10の近くに配置するほど、温度測定部43は、LED10によるヒートシンク44の温度変化を正確に測定することができる。
【0041】
温度測定部43から出力された測定信号は制御部42に入力される。制御部42は、測定信号から温度測定部43が測定した温度を算出し、算出した温度からLED10における温度を推定する。アルミニウム等の金属等から形成されたヒートシンク44における温度分布は、対流等を起こす空気の温度分布などと比較して、シミュレーションや実験などの方法により、高い精度で予め把握することができる。例えば、制御部42における記憶部には、予め求められた温度測定部43が配置された位置における温度と、LED10における温度との関係を表す表(テーブル)が記憶されており、制御部42は、記憶されたテーブルに基づいてLED10の温度を推定することができる。なお、制御部42におけるLED10の温度の推定は、上述のように、予め記憶されたテーブルに基づいて行われてもよいし、LED10の温度を推定するアルゴリズムに基づいて、演算により推定してもよく、特に限定するものではない。
【0042】
制御部42は、推定されたLED10の温度と予め定められた所定の温度との比較を行い、推定されたLED10の温度が所定の温度を超えた場合には、LED10に印加する電流の値を減らす制御信号をLED駆動部41に出力する。このようにすることで、発光時における熱の発生量が多いLED10が混在していても、LED10の温度が所定の温度以下になるように制御することができる。推定されたLED10の温度が所定の温度以下の場合には、LED10に印加する電流の値を変更することなく、LED10を継続して発光させ続ける。
【0043】
上記の構成によれば、LED10で発生した熱はヒートシンク44に伝わり、ヒートシンク44に伝わった熱は温度測定部43により測定される。つまり、LED10の温度は、空気などの流体を介在させることなく、ヒートシンク44などの固体を介して温度測定部43により測定される。ヒートシンク44等の個体は、空気などの流体と異なり、対流などの物質の移動を伴う熱の移動がないため、ヒートシンク44内における熱の移動を把握しやすい。そのため、ヒートシンク44におけるLED10が取り付けられている位置と、温度測定部43が取り付けられている位置と、ヒートシンク44を構成する材料および形状が予め判れば、温度測定部43が測定したヒートシンク44の温度に基づいて、LED10の温度を精度よく測定することができる。
【0044】
温度測定部43がLED駆動部41における発熱部41Aから受ける熱の影響よりも、LED10から受ける熱の影響が大きくなる位置に温度測定部43を配置することで、温度測定部43は、LED駆動部41における発熱部41Aの影響を受けることなく、または、発熱部41Aの影響を無視して、ヒートシンク44を介してLED10の温度を測定することができる。
【0045】
さらに、ヒートシンク44にLED駆動部41を取付けることにより、LED駆動部41がLED10およびヒートシンク44とは独立して別個に配置された特許文献1の車両用前照灯と比較して、点灯装置40の構成を小型化することができる。さらにLED10の熱を逃がすヒートシンクと、LED駆動部41の熱を逃がすヒートシンクとを共通化することで、別々にヒートシンクを設けた場合と比較して、点灯装置40の構成を小型化することができる。これにより、本実施形態の点灯装置40を備えた車両用灯具1も小型化でき、車両用灯具1を可能な限り小型化したいという車両メーカ側の要望に応えることができる。また、LED駆動部41からLED10までの距離を短縮することができ、LED駆動部41とLED10との間の配置される配線を短くすることができる。更に、LED10に印加される電流にノイズが含まれることを抑制することができる。
【0046】
〔第1の実施形態の変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の変形例について図5および図6を参照して説明する。
本変形例の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、制御部によるLEDに印加される電流の制御が異なっている。よって、本変形例においては、図5および図6を用いてLEDに印加される電流の制御について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0047】
図5は、本変形例に係る車両用灯具1の制御部42におけるLED10に印加される電流の制御を説明するフローチャートである。図6(a)は、本変形例に係る制御部42に予め記憶されているLED10に印加される電流の値とLED10から出射される光束との関係を示すグラフであり、図6(b)は、LED10の温度とLED10から出射される光束との関係を示すグラフである。
【0048】
本変形例の車両用灯具1における制御部42(図1参照。)には、図5に示すように、車両の運転手がヘッドランプスイッチをONにする等、車両用灯具1を点灯する指示を入力すると、温度測定部43から出力された測定信号が入力されると共に、LED10に印加される電流の値を示す信号が入力される(S11)。
【0049】
制御部42は、これら入力された信号に基づいて、LED10から出射された光束、つまり光出力が目標の値に到達しているか否かを判定する(S12)。具体的には、制御部42には、図6(a)および図6(b)に示すグラフが記憶されており、入力された信号と、これらグラフに基づいてLED10の光出力を推定する。まず、LED10に印加される電流の値、および図6(a)に示すグラフからLED10における光出力を推定する。さらに、推定された光出力と、温度測定部43の測定信号に基づいて推定されたLED10の温度と、図6(b)に示すグラフから、LED10の温度の影響で低下して光出力を推定する。
【0050】
推定した光出力が、目標の光出力と等しい場合(YESの場合)には、S11に戻り、上述の制御が繰り返し行われる。推定した光出力が、目標の光出力未満の場合(NOの場合)には、制御部42は、LED10の光出力が目標光出力となるようなLED10に印加する電流値の算出を行う(S13)。例えば、図6(a)のグラフに基づいて、推定した光出力と目標光出力との差を埋めるために必要な電流値の増加分を算出し、LED10の光出力が目標光出力となる印加電流値を求める。その後、制御部42は、算出された値の電流をLED10に印加させる制御信号をLED駆動部41に出力する。以後、S11に戻り、上述の制御を繰り返して行う。
【0051】
上記の構成によれば、LED10における光出力、ひいては車両用灯具1における光出力を目標出力と等しくなるように制御することができる。例えば、同じ値の電流が印加されても光出力が異なるLED10(異なるランクのLED10)が混在していたとしても、LED10に対して目標光出力と等しい光出力が得られるように印加する電流の値を制御することができる。その結果、LED10のランク分け(Binning)を厳しく行うことなく、LED10から目標光出力を得ることができる。
【0052】
なお、制御部42には、一つの種類のLED10における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係を示すグラフが記憶されていてもよいし、複数種類のLED10における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係を示すグラフが記憶されていてもよい。この場合、制御部42は、電流、温度、光出力の変化が一致するグラフを、これらグラフの中から選び出すことにより、点灯装置40に取り付けられたLED10の種類を判定することができる。さらに、制御部42は、判定されたLED10の種類に対応する電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係に基づいて、LED10に印加する電流を制御することにより、LED10の発光時における光出力を目標光出力とすることができる。
【0053】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図7および図8を参照して説明する。
本実施形態の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、LEDおよびヒートシンクを冷却するファンが設けられている点が異なっている。よって、本実施形態においては、図7および図8を用いてファンの構成および制御について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0054】
図7は、本実施形態の車両用灯具101の構成を説明するブロック図であり、図8は、図7の車両用灯具101におけるファン162の駆動制御を説明するフローチャートである。本実施形態の車両用灯具(灯具)101には、図7に示すように、LED10と、点灯装置40と、ファン駆動部161と、ファン162と、が主に設けられている。
【0055】
ファン駆動部161は、ファン162を駆動する電流を供給すると共に、ファン162の回転数を制御するものである。ファン駆動部161には、制御部142から制御信号が入力されており、ファン駆動部161は、入力された制御信号に従ってファン162に供給する電流を制御するものである。ファン駆動部161は、点灯装置40のLED駆動部41や、制御部142や、温度測定部43などと共にヒートシンク44に配置されている。
【0056】
ファン162は、LED10およびヒートシンク44の一方、または、両方に向かって送風し、空気を当てることにより冷却を行うものである。ファン162の構成としては、公知の構成を用いることができ、特に限定するものではない。
【0057】
次に、本実施形態に係る車両用灯具101におけるファン162の制御について説明する。
本実施形態の車両用灯具101における制御部142(図7参照。)には、図8に示すように、車両の運転手がヘッドランプスイッチをONにする等、車両用灯具101を点灯する指示を入力すると、温度測定部43から出力された測定信号が入力される(S101)。
【0058】
さらに、制御部142は、これら入力された信号に基づいてLED10の温度を推定し、推定したLED10の温度が目標温度の範囲内に収まっているか否かの判定を行う(S102)。推定したLED10の温度が目標温度の範囲に収まっている場合(YESの場合)には、S101に戻り、上述の制御が繰り返し行われる。
【0059】
推定したLED10の温度が目標温度の範囲から外れている場合(NOの場合)には、制御部142は、ファン162の回転数の算出を行う(S103)。制御部142、ファン162によって送風された空気によって冷却されたLED10の温度が、所定の温度未満となるようにファン162の回転数を算出する。例えば、推定したLED10の温度が目標温度の範囲よりも高い場合には、制御部142は、現在の回転数よりも高い回転数を算出る。制御部142は、算出した回転数に基づいて、ファン駆動部161がファン162に供給すべき電流の値を算出する。さらに、ファン駆動部161に対して、算出した電流の値を出力させる制御信号を出力する(S104)。
【0060】
制御信号が入力されたファン駆動部161は、算出された値の電流をファン162に対して供給する。ファン162は制御部142により算出された回転数で回転し、ファン162から送風される空気の流量が増大する。これにより、LED10やヒートシンク44から空気に奪われる熱の量が増大し、LED10の温度が目標温度の範囲内に収まる。
【0061】
制御部142は、上述のように、LED10における温度が所定の温度未満となるようにファン162の回転を制御してもよいし、第1の実施形態の変形例と同様に、LED10における光出力が目標の光出力となるように、ファン162の回転数を制御してもよい。例えば、LED10の温度が高くなり、光出力が目標光出力に満たない場合には、ファン162の回転数を増やす制御が行われる。これにより、LED10の温度が低下し、LED10の光出力が増加する。
【0062】
上記の構成によれば、制御部142によってヒートシンク44およびLED10の少なくとも一方に送られる空気の流量が調節され、LED10における光出力や、LED10の温度を所定の範囲に収めることができる。
【0063】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図9および図10を参照して説明する。
本実施形態の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、制御部がLEDに不具合が発生したか否か判定する点が異なっている。よって、本実施形態においては、図9および図10を用いて制御部による不具合判定について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0064】
図9は、本実施形態に係る車両用灯具201の構成を説明するブロック図であり、図10は、図9の車両用灯具201におけるLED10の不具合発生を判定する処理を説明するフローチャートである。本実施形態の車両用灯具(灯具)201には、図7に示すように、LED10と、点灯装置40と、CAN(Controller Area Network)261と、が主に設けられている。
【0065】
CAN261は、車両用灯具201が設けられた車両における車速を測定する車速センサ(図示せず)や、車両外の気温を測定する外気温センサ(図示せず)などと、制御部242との間で、情報や信号の送受信を行う車載通信網である。本実施形態では、CAN261が車速センサにより測定された車両の車速に関する測定信号や、外気温センサにより測定された外気の温度に関する測定信号を制御部242に送信する際に用いられる例に適用して説明する。
【0066】
次に、本実施形態に係る車両用灯具201におけるLED10の不具合発生の判定について説明する。
本実施形態の車両用灯具201における制御部242(図9参照。)には、図10に示すように、車両の運転手がヘッドランプスイッチをONにする等、車両用灯具201を点灯する指示を入力すると、温度測定部43から出力された測定信号が入力される(S201)。
【0067】
制御部242は、温度測定部43から入力された測定信号に基づいて、LED10の温度を推定し、更に、推定した温度の時間変化を算出する(S202)。制御部242は、算出した温度の時間変化が正常な範囲に含まれるか否かの判定を行う(S203)。制御部242には、LED10が正常に動作した時の温度の時間変化が予め記憶されている。制御部242は、CAN261を介して入力された車速を示す測定信号や、外気温を示す測定信号を考慮しつつ、算出された温度の時間変化と、記憶された温度の時間変化との対比を行うことで判定を行う。このように、車速や外気温を考慮することで、車両用灯具201に当たる風による温度の変動や、外気温の影響を除去した温度の時間変化を用いて判定を行うことができる。
【0068】
算出した温度の時間変化が正常な範囲に含まれる場合(YESの場合)には、S201に戻り、上述の処理が繰り返し行われる。算出した温度の時間変化が正常な範囲から外れた場合(NOの場合)には、制御部242は、LED10にチップショート等の不具合が発生したと判断し、ダイアグノーシスに不具合の発生を知らせる信号を出力する(S204)。
【0069】
なお、上述のように、LED10が正常に動作している時の温度の時間変化のみと、対比してLED10の不具合発生を判定してもよいし、LED10の不具合の種類ごとの温度の時間変化を制御部242に予め記憶させておき、これらの温度の時間変化との対比で、LED10の不具合の種類を判別してもよい。
【0070】
上記の構成によれば、LED10におけるチップショートなどの不具合を発見することができる。つまり、LED10への電流の印加を開始した時点から、温度測定部43により測定された温度の時間経過に伴う変化が、予め記憶されているLED10が正常に動作している時の変化と同じか異なるかを判定することにより、制御部242は、LED10に不具合が発生しているか否かを判定することができる。更に、不具合の種類ごとに、温度測定部43により測定された温度の時間経過に伴う変化を予め記憶し、測定された温度の時間経過に伴う変化が、どの変化と一致するか判定することにより、制御部242は、LED10で発生した不具合の種類を判定することも可能である。
【0071】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図11から図14を参照して説明する。
本実施形態の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、LEDから出射される光の方向を上下方向に調節可能である点が異なっている。よって、本実施形態においては、図11から図14を用いて光の出射方向を調節する機構について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0072】
図11は、本実施形態に係る車両用灯具301の構成を説明するブロック図である。本実施形態の車両用灯具(灯具)301には、図11に示すように、LED10と、点灯装置40と、CAN261と、LIN(Local Interconnect Network)361と、レベリングモータ362と、が主に設けられている。
【0073】
LIN361は、制御部342から出力された制御信号をレベリングモータ362に送信する車載通信網である。
レベリングモータ362は、LED10や、反射部20や、レンズ部30など(図1参照。)の配置姿勢を変更するものであり、車両用灯具301から出射される光の方向を上下方向に変更するものである。また、レベリングモータ362は、制御部342から入力された制御信号に基づいて動作するものである。
【0074】
次に、上記の車両用灯具301から出射される光の方向の制御について説明する。
運転者が、車両用灯具301から出射される光の方向を上下方向に調節することを意図して、スイッチ等を操作すると、スイッチ等から操作による信号がCAN261を介して制御部342に入力される。制御部342は入力された信号に基づいて、レベリングモータ362を駆動制御する制御信号を生成し、LIN361を介してレベリングモータ362へ制御信号を出力する。制御信号が入力されたレベリングモータ362は、LED10や、反射部20や、レンズ部30など配置姿勢の変更を行う。これにより、車両用灯具301から出射される光の方向の変更が行われる。
【0075】
図12は、図11の車両用灯具の別の実施例を説明するブロック図である。
なお、上述の実施形態のように、制御部342からLIN361を介してレベリングモータ362を直接に駆動制御してもよいし、図12に示すように、制御部342からモータドライバ361Aに制御信号を出力し、モータドライバ361Aにおいてレベリングモータ362に供給する電流を制御してレベリングモータ362の動作を制御してもよい。
【0076】
図13は、図11の車両用灯具の更に別の実施例を説明するブロック図であり、図14は、図12の車両用灯具の更に別の実施例を説明するブロック図である。
なお、上述の実施形態のように車両用灯具301から出射される光の方向を上下方向にのみ調節可能としてもよいし、図13および図14に示すように、左右方向に調節するスイブルモータ363を更に設け、スイブルモータ363によって、LED10や、反射部20や、レンズ部30などの配置姿勢を変更し、車両用灯具301から出射される光の方向を左右方向に変更してもよい。図13には、制御部342がLIN361を介してレベリングモータ362やスイブルモータ363を駆動制御する実施例が示されている。図14には、制御部342から制御信号が入力されたモータドライバ361Aがレベリングモータ362やスイブルモータ363を駆動制御する実施例が示されている。
【0077】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について図15を参照して説明する。
本実施形態の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、車両用灯具から出射される光の配光を制御する点が異なっている。よって、本実施形態においては、図15を用いて光の出射方向を調節する機構について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0078】
図15は、本実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。本実施形態の車両用灯具(灯具)401には、図15に示すように、LED10と、点灯装置40と、CAN261と、配光制御部461と、配光部462と、が主に設けられている。
【0079】
配光制御部461は、制御部442から出力された制御信号に基づいて配光部462に供給する電流を制御するものである。
配光部462は、LED10から出射された光の一部を遮光等することにより、車両用灯具401から出射される光の配光特性を制御するものである。本実施形態では、配光部462がモータ等によって配置位置等を制御できるシェードである例に適用して説明する。
【0080】
次に、上記の車両用灯具401から出射される配光特性の制御について説明する。
運転者が、車両用灯具401から出射される配光特性を調節することを意図して、スイッチ等を操作すると、スイッチ等から操作による信号がCAN261を介して制御部442に入力される。制御部442は入力された信号に基づいて、配光制御部461に入力する制御信号を生成し、配光制御部461へ制御信号を出力する。制御信号が入力された配光制御部461は、制御信号に基づいて配光部462のモータに電流を供給する。電流が供給された配光部462では、シェードである配光部462が所定の位置に移動し、車両用灯具401から出射される配光特性が変更される。
【符号の説明】
【0081】
1,101,201,301,401…車両用灯具(灯具)、10…LED(光源)、40…点灯装置、50…筺体、41…LED駆動部(駆動部)、42,142…制御部、43…温度測定部、44…ヒートシンク、162…ファン
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を点灯させる点灯装置および灯具に関し、特にLED(LIght Emitting Diode:発光ダイオード)が光源である場合に用いて好適な点灯装置および灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、灯具の光源としてLEDなどの半導体光源が用いられたものが実用化され、LEDを光源とした灯具が広く用いられ始めている。例えば、車両の前照灯において、LEDを光源として用いたものも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
LEDは、従来の白熱電球などと比較して寿命が長く、点灯と同時に最大光量が得られるという利点がある一方で、熱に弱いという欠点を有している。例えば、LED自身の発光により発生する熱によって、LEDの温度が高くなると素子の劣化が進み、寿命が本来の長さよりも短くなったり、LEDから出射される光量が低下したりするという問題があった。
【0004】
特許文献1に記載された車両用前照灯では、アルミダイカスト鋳造品で構成されたブラケットにLED光源を取付けることにより、ブラケットをLEDにおいて発生した熱を逃がすヒートシンクとして利用している。このようにすることで、発光時におけるLEDの温度上昇が抑制されている。
【0005】
また、LEDを光源とする灯具には、LEDの点灯に用いられる駆動回路が設けられ、LEDと離れた位置に別体に設けられている。この駆動回路には、LEDの温度を測定する温度測定部も設けられている。発光によりLEDにおいて発生した熱は、LEDからブラケット等のヒートシンクを介して、灯具内部に空気に放熱される。空気に伝わった熱は、空気の自然対流による灯具の内部全体に分散し、分散した熱が温度測定部により測定される。言い換えると、温度測定部は、ヒートシンクや灯具内の空気を介してLEDの温度を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−035547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、LEDの温度を、ヒートシンクや灯具内の空気を介して測定する方法では、温度が伝わる経路が長くて外部の影響を受けやすいため、LEDの温度を正確に測定することが難しいという問題があった。さらに、LEDの温度が変化した場合、温度の変化が伝わる速度が遅いため、当該温度の変化を測定するまでに時間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、光源の温度を精度よく測定することができる点灯装置および灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の点灯装置には、電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源に電流を印加する駆動部と、光源が取り付けられると共に、発光により発生した熱が伝達可能とされたヒートシンクと、このヒートシンクに取り付けられ、光源の温度の推定に用いられるヒートシンクの温度を測定する温度測定部と、が設けられている。
【0010】
本発明の点灯装置によれば、光源で発生した熱はヒートシンクに伝わり、ヒートシンクに伝わった熱は温度測定部により測定される。つまり、光源の温度は、空気などの流体を介在させることなく、ヒートシンクなどの固体を介して温度測定部により測定される。
【0011】
ヒートシンク等の個体は、空気などの流体と異なり、対流などの物質の移動を伴う熱の移動がないため、ヒートシンク内における熱の移動を把握しやすい。そのため、ヒートシンクにおける光源が取り付けられている位置と、温度測定部が取り付けられている位置と、ヒートシンクを構成する材料および形状が予め判れば、温度測定部が測定したヒートシンクの温度に基づいて、光源の温度を推定することができる。
【0012】
上記発明のヒートシンクには、駆動部がさらに取り付けられ、温度測定部、光源、および、駆動部における発熱部の相対配置位置は、温度測定部が駆動部における発熱部から受ける熱の影響よりも、光源から受ける熱の影響が大きくなる相対配置位置であることが望ましい。
【0013】
このようにすることで、温度測定部は、駆動部における発熱部の影響を受けることなく、または、発熱部の影響を無視して、ヒートシンクを介して光源の温度を測定することができる。温度測定部が駆動部における発熱部から受ける熱の影響よりも、光源から受ける熱の影響が大きくなる相対位置としては、例えば、温度測定部から駆動部における発熱部までの距離が、温度測定部から光源までの距離よりも長い場合を挙げることができる。
【0014】
さらに、ヒートシンクに駆動部を取付けることにより、駆動部が光源およびヒートシンクとは独立して別個に配置された特許文献1の車両用前照灯と比較して、点灯装置の構成を小型化することができる。さらに光源の熱を逃がすヒートシンクと、駆動部の熱を逃がすヒートシンクとを共通化することで、別々にヒートシンクを設けた場合と比較して、点灯装置の構成を小型化することができる。これにより、本発明の点灯装置を備えた灯具も小型化でき、灯具を可能な限り小型化したいという車両側の要望に応えることができる。また、駆動部から光源までの距離を短縮することができ、駆動部と光源との間の配置される配線を短くすることができる。更に、光源に印加される電流にノイズが含まれることを抑制することができる。
【0015】
上記発明には、駆動部を制御する制御部が更に設けられ、制御部には、異なる種類の発光する半導体素子における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係が予め記憶され、制御部は、駆動部から光源に印加される電流、および、温度測定部により測定された温度に基づいて、駆動部により電流が印加された光源として用いられた発光する半導体素子の種類を判別し、判別した発光する半導体素子の種類に応じて駆動部から光源に印加される電流を制御することが望ましい。
【0016】
このようにすることで、特性の異なる発光する半導体素子(LED)に対して、発光時における温度が所望の範囲に収まるように、印加する電流を制御することができる。つまり、駆動部から光源に印加される電流の情報と、温度測定部により測定された温度の情報とが入力された制御部は、発光する半導体素子の種類ごとに異なる電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係に基づいて、光源として用いられている発光する半導体素子の種類を判定することができる。さらに、制御部は、判定された発光する半導体素子の種類に対応する電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係に基づいて、光源に印加する電流を制御することにより、光源の発光時における光出力や温度を所望の範囲に収めることができる。
【0017】
上記発明の制御部は、温度測定部により測定された温度における時間の経過に伴う変化である温度変化率を求め、少なくとも当該温度変化率に基づいて光源の不具合の有無を判定することが望ましい。
【0018】
このようにすることで、光源である発光する半導体素子におけるチップショートなどの不具合を発見することができる。つまり、光源への電流の印加を開始した時点から、温度測定部により測定された温度の時間経過に伴う変化が、予め記憶されている光源が正常に動作している時の変化と同じか異なるかを判定することにより、制御部は、光源である発光する半導体素子に不具合が発生しているか否かを判定することができる。更に、不具合の種類ごとに、温度測定部により測定された温度の時間経過に伴う変化を予め記憶し、測定された温度の時間経過に伴う変化が、どの変化と一致するか判定することにより、制御部は、光源で発生した不具合の種類を判定することも可能である。
【0019】
上記発明には、ヒートシンク、および、光源の少なくとも一方に空気を送るファンと、少なくとも温度測定部により測定された温度に基づいて、ファンの回転を制御する制御部と、が更に設けられ、制御部には、光源における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係が予め記憶され、制御部は、光源における光出力、および、光源の温度の少なくとも一方が所定の範囲に収まるようにファンの回転数を制御することが望ましい。
【0020】
このようにすることで、制御部によってヒートシンクおよび光源の少なくとも一方に送られる空気の流量が調節され、光源における光出力、または、光源の温度が所定の範囲に収められる。
【0021】
制御部には、温度測定部により測定された温度の情報が入力されると共に、駆動部から光源に印加される電流の情報が入力される。制御部は、入力された電流の情報と、電流と光出力との関係と、から電流の情報に基づく光出力を求める。そして制御部は、入力された温度の情報と、電流の情報に基づく光出力と、温度の光出力との関係と、から光源における光出力を推定する。例えば、光源の温度上昇により推定された光出力が減少して所定の範囲から外れた場合、制御部は、ファンに対して回転数を増加させる制御信号を出力して、光源の温度を直接下げる、または、ヒートシンクの温度を下げることにより間接的に光源の温度を下げる制御を行う。これにより、光源における推定された光出力が増加して、推定された光出力は所定の範囲内に収まる。反対に、光源の温度が下がりすぎて推定された光出力が増加して所定の範囲から外れた場合には、制御部は、ファンに対して回転数を減少させる制御信号を出力して、光源の温度を直接上げる、または、ヒートシンクの温度を上げることにより間接的に光源の温度を上げる制御を行う。これにより、光源における推定された光出力が減少して、推定された光出力は所定の範囲内に収まる。
【0022】
光源における光出力や温度における所定の範囲とは、点灯装置が用いられる分野において許容される光出力の変動範囲が異なるため、一律に定めることは難しい。例えば、光源から出射された光が照射された領域における照度の変動が、利用者によって知覚されない、または、近くされにくい程度の範囲を例示することができる。
【0023】
本発明の灯具には、電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源と、上記本発明に記載の点灯装置と、光源および点灯装置を内部に収納する筺体と、が設けられている。本発明の灯具によれば、上述の本発明の点灯装置を備えるため、光源の温度を精度よく測定することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の点灯装置および灯具によれば、光源の温度を、空気などの流体を介在させることなく、ヒートシンクなどの固体を介して温度測定部により測定することにより光源の温度を精度よく測定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1の車両用灯具の構成を説明する断面視図である。
【図3】図2の点灯装置の構成を説明する斜視図である。
【図4】図2の点灯装置の構成を説明する断面視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例におけるLEDに印加される電流の制御を説明するフローチャートである。
【図6】制御部に予め記憶されている電流の値と光束との関係、および、温度と光束との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【図8】図7の車両用灯具におけるファンの駆動制御を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【図10】図9の車両用灯具におけるLEDの不具合発生を判定する処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【図12】図11の車両用灯具の別の実施例を説明するブロック図である。
【図13】図11の車両用灯具の更に別の実施例を説明するブロック図である。
【図14】図12の車両用灯具の更に別の実施例を説明するブロック図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具ついて図1から図4を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両用灯具1の構成を説明するブロック図であり、図2は、図1の車両用灯具1の構成を説明する断面視図である。図3は、図2の点灯装置40の構成を説明する斜視図であり、図4は、図2の点灯装置40の構成を説明する断面視図である。
【0027】
本実施形態の車両用灯具(灯具)1は、車両の前方を照明する前照灯として用いられるものであり、LEDを光源として用いるものである。車両用灯具1には、図1および図2に示すように、LED(光源)10と、反射部20と、レンズ部30と、点灯装置40と、筺体50と、が主に設けられている。
【0028】
LED10は、電流が印加されることにより光を出射するものである。LED10から出射される光束つまり光出力は、LED10に印加される電流の値が大きくなるに伴い大きくなる。また、同じ値の電流が印加されていても、LED10の温度が高くなると、LED10における光出力は低下する。
【0029】
反射部20およびレンズ部30は、LED10から出射された光が、所定の方向、本実施形態では車両用灯具1の前方に向かって出射されるように導く光学部材である。反射部20は、LED10から出射された光が最初に入射する光学部材であり、入射した光をレンズ部30に向かって反射するものである。本実施形態では、反射部20はLED10の上方に配置され、LED10から上方(図2の上方向)に向かって出射された光を水平方向(図2の左方向)に向かって反射させるものである。反射部20は、断面視において中心がLED10から遠ざかる凹曲面状に形成されたものであり、凹状に凹んだ曲面において光を反射している。
【0030】
レンズ部30は、反射部20によって反射された光が、車両用灯具1の前方における所望の領域に照射されるようにするものである。レンズ部30は、光を透過させる透光性材料から形成され、車両用灯具1における前方(図2の左側)の面が凸状に突出する曲面を有する形状に形成されている。
【0031】
筺体50は、図2に示すように、車両用灯具1の外形を構成するものであり、内部にLED10や、反射部20や、レンズ部30や、点灯装置40などを収納するものである。筺体50には、車両用灯具1の前方の面を形成するとともに光を透過させる透光部52と、側方の面や後方の面を形成する本体51とが主に設けられている。LED10や、反射部20や、レンズ部30や、点灯装置40などは、本体51に取り付けられる。また、LED10から出射された光は、透光部52を透過して車両用灯具1の前方に向かって出射される。
【0032】
点灯装置40は、LED10を点灯させるとともに、LED10における光出力を制御するものである。点灯装置40には、図1から図4に示すように、LED駆動部(駆動部)41と、制御部42と、温度測定部43と、ヒートシンク44と、が主に設けられている。
【0033】
LED駆動部41は、LED10に印加する電流を供給する電源回路であり、かつ、制御部42から入力される制御信号に基づいて印加される電流および電圧の値を制御する回路でもある。LED駆動部41は、制御部42および温度測定部43と共に同じ基板上に設けられ、ヒートシンク44に熱の伝達が可能に取り付けられている。LED駆動部41を構成する回路のうち、熱の発生量が多い素子が配置されている発熱部41Aは、温度測定部43から離れた位置、例えば、図4における下方に配置されている。
【0034】
制御部42は、内蔵された記憶部に書き込まれた各種のプログラムを読み込み、読み込んだプログラム実行することにより各種の情報の演算処理を行う演算処理装置である。例えば、LED10の発光時における温度が、LED10の発光を保証する所定温度を超えないように、より好ましくは、所定温度よりも低い所定の温度範囲に収まるように制御するものである。
【0035】
温度測定部43は、ヒートシンク44の温度を測定するものであり、LED10の近くに配置されるものである。本実施形態では、温度測定部43としてサーミスタなどの温度測定素子を用いた例に適用して説明する。
【0036】
ヒートシンク44は、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属、または、これらの合金を材料として形成されたものであり、LED10の点灯時に発生する熱を放熱させるものである。また、LED駆動部41において発生する熱、特に発熱部41Aにおいて発生する熱を放熱させるものでもある。ヒートシンク44には、LED10が熱の伝達可能に取り付けられる光源取付面44Aと、LED駆動部41、制御部42および温度測定部43が取り付けられる回路取付部44Bと、熱の放熱に用いられるフィン部44Cと、が主に設けられている。
【0037】
回路取付部44Bは底を有する四角筒状に形成された部分の底面であり、光源取付面44Aは、当該四角筒における上側の外面である。底を有する四角筒は車両用灯具1の前方に向かって開口するように配置され、フィン部44Cは後方に向かって板状の部材が延び、かつ、左右方向に複数の板状の部材が並んで配置された構成を有している。
【0038】
次に、上記の構成からなる車両用灯具1における照明方法について説明する。
車両の運転手がヘッドランプスイッチをONにする等、車両用灯具1を点灯する指示を入力すると、制御部42に点灯の指示が入力される。制御部42は、図1に示すように、LED駆動部41にLED10へ電流の印加を開始する制御信号を出力する。LED駆動部41は、予め定められたパターンにしたがって電流および電圧の値を制御しながらLED10への電流の印加を開始する。電流が印加されるとLED10は発光を開始し、上方に配置された反射部20に向かって光を出射する。LED10から出射された光は、反射部20によってレンズ部30に向かって反射される。反射された光は、レンズ部30を透過する際に所望の領域を照明するように屈折される。レンズ部30を透過した光は、更に筺体50の透光部52を透過して車両用灯具1の外部へ出射され、車両前方の所望の領域を照明する。
【0039】
LED10における発光時には、光の出射が行われると共に熱が発生する。発生した熱の大半は、熱の伝達が可能に接触する光源取付面44A、つまりヒートシンク44に伝わる。ヒートシンク44に伝わった熱は、ヒートシンク44内を拡散し、フィン部44Cに伝わった熱はフィン部44Cから周囲の空気へ放熱される。
【0040】
その一方で、LED10の近くに配置された温度測定部43は、LED10で発生した熱を受け取ったことにより温度が上昇したヒートシンク44の温度を測定し、測定した温度を示す測定信号を出力する。なお、ヒートシンク44の温度は、外部から熱が伝わる部分に近いほど高く、熱が伝わった部分から離れるに伴い温度が低くなる。そのため、LED10から熱が伝わる光源取付面44Aに近いほど高い。また、LED10以外の熱源(例えば、発熱部41A)から離れるほど、当該熱源から伝わった熱による温度上昇の影響が小さくなる。つまり、温度測定部43をLED10の近くに配置するほど、温度測定部43は、LED10によるヒートシンク44の温度変化を正確に測定することができる。
【0041】
温度測定部43から出力された測定信号は制御部42に入力される。制御部42は、測定信号から温度測定部43が測定した温度を算出し、算出した温度からLED10における温度を推定する。アルミニウム等の金属等から形成されたヒートシンク44における温度分布は、対流等を起こす空気の温度分布などと比較して、シミュレーションや実験などの方法により、高い精度で予め把握することができる。例えば、制御部42における記憶部には、予め求められた温度測定部43が配置された位置における温度と、LED10における温度との関係を表す表(テーブル)が記憶されており、制御部42は、記憶されたテーブルに基づいてLED10の温度を推定することができる。なお、制御部42におけるLED10の温度の推定は、上述のように、予め記憶されたテーブルに基づいて行われてもよいし、LED10の温度を推定するアルゴリズムに基づいて、演算により推定してもよく、特に限定するものではない。
【0042】
制御部42は、推定されたLED10の温度と予め定められた所定の温度との比較を行い、推定されたLED10の温度が所定の温度を超えた場合には、LED10に印加する電流の値を減らす制御信号をLED駆動部41に出力する。このようにすることで、発光時における熱の発生量が多いLED10が混在していても、LED10の温度が所定の温度以下になるように制御することができる。推定されたLED10の温度が所定の温度以下の場合には、LED10に印加する電流の値を変更することなく、LED10を継続して発光させ続ける。
【0043】
上記の構成によれば、LED10で発生した熱はヒートシンク44に伝わり、ヒートシンク44に伝わった熱は温度測定部43により測定される。つまり、LED10の温度は、空気などの流体を介在させることなく、ヒートシンク44などの固体を介して温度測定部43により測定される。ヒートシンク44等の個体は、空気などの流体と異なり、対流などの物質の移動を伴う熱の移動がないため、ヒートシンク44内における熱の移動を把握しやすい。そのため、ヒートシンク44におけるLED10が取り付けられている位置と、温度測定部43が取り付けられている位置と、ヒートシンク44を構成する材料および形状が予め判れば、温度測定部43が測定したヒートシンク44の温度に基づいて、LED10の温度を精度よく測定することができる。
【0044】
温度測定部43がLED駆動部41における発熱部41Aから受ける熱の影響よりも、LED10から受ける熱の影響が大きくなる位置に温度測定部43を配置することで、温度測定部43は、LED駆動部41における発熱部41Aの影響を受けることなく、または、発熱部41Aの影響を無視して、ヒートシンク44を介してLED10の温度を測定することができる。
【0045】
さらに、ヒートシンク44にLED駆動部41を取付けることにより、LED駆動部41がLED10およびヒートシンク44とは独立して別個に配置された特許文献1の車両用前照灯と比較して、点灯装置40の構成を小型化することができる。さらにLED10の熱を逃がすヒートシンクと、LED駆動部41の熱を逃がすヒートシンクとを共通化することで、別々にヒートシンクを設けた場合と比較して、点灯装置40の構成を小型化することができる。これにより、本実施形態の点灯装置40を備えた車両用灯具1も小型化でき、車両用灯具1を可能な限り小型化したいという車両メーカ側の要望に応えることができる。また、LED駆動部41からLED10までの距離を短縮することができ、LED駆動部41とLED10との間の配置される配線を短くすることができる。更に、LED10に印加される電流にノイズが含まれることを抑制することができる。
【0046】
〔第1の実施形態の変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の変形例について図5および図6を参照して説明する。
本変形例の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、制御部によるLEDに印加される電流の制御が異なっている。よって、本変形例においては、図5および図6を用いてLEDに印加される電流の制御について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0047】
図5は、本変形例に係る車両用灯具1の制御部42におけるLED10に印加される電流の制御を説明するフローチャートである。図6(a)は、本変形例に係る制御部42に予め記憶されているLED10に印加される電流の値とLED10から出射される光束との関係を示すグラフであり、図6(b)は、LED10の温度とLED10から出射される光束との関係を示すグラフである。
【0048】
本変形例の車両用灯具1における制御部42(図1参照。)には、図5に示すように、車両の運転手がヘッドランプスイッチをONにする等、車両用灯具1を点灯する指示を入力すると、温度測定部43から出力された測定信号が入力されると共に、LED10に印加される電流の値を示す信号が入力される(S11)。
【0049】
制御部42は、これら入力された信号に基づいて、LED10から出射された光束、つまり光出力が目標の値に到達しているか否かを判定する(S12)。具体的には、制御部42には、図6(a)および図6(b)に示すグラフが記憶されており、入力された信号と、これらグラフに基づいてLED10の光出力を推定する。まず、LED10に印加される電流の値、および図6(a)に示すグラフからLED10における光出力を推定する。さらに、推定された光出力と、温度測定部43の測定信号に基づいて推定されたLED10の温度と、図6(b)に示すグラフから、LED10の温度の影響で低下して光出力を推定する。
【0050】
推定した光出力が、目標の光出力と等しい場合(YESの場合)には、S11に戻り、上述の制御が繰り返し行われる。推定した光出力が、目標の光出力未満の場合(NOの場合)には、制御部42は、LED10の光出力が目標光出力となるようなLED10に印加する電流値の算出を行う(S13)。例えば、図6(a)のグラフに基づいて、推定した光出力と目標光出力との差を埋めるために必要な電流値の増加分を算出し、LED10の光出力が目標光出力となる印加電流値を求める。その後、制御部42は、算出された値の電流をLED10に印加させる制御信号をLED駆動部41に出力する。以後、S11に戻り、上述の制御を繰り返して行う。
【0051】
上記の構成によれば、LED10における光出力、ひいては車両用灯具1における光出力を目標出力と等しくなるように制御することができる。例えば、同じ値の電流が印加されても光出力が異なるLED10(異なるランクのLED10)が混在していたとしても、LED10に対して目標光出力と等しい光出力が得られるように印加する電流の値を制御することができる。その結果、LED10のランク分け(Binning)を厳しく行うことなく、LED10から目標光出力を得ることができる。
【0052】
なお、制御部42には、一つの種類のLED10における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係を示すグラフが記憶されていてもよいし、複数種類のLED10における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係を示すグラフが記憶されていてもよい。この場合、制御部42は、電流、温度、光出力の変化が一致するグラフを、これらグラフの中から選び出すことにより、点灯装置40に取り付けられたLED10の種類を判定することができる。さらに、制御部42は、判定されたLED10の種類に対応する電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係に基づいて、LED10に印加する電流を制御することにより、LED10の発光時における光出力を目標光出力とすることができる。
【0053】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図7および図8を参照して説明する。
本実施形態の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、LEDおよびヒートシンクを冷却するファンが設けられている点が異なっている。よって、本実施形態においては、図7および図8を用いてファンの構成および制御について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0054】
図7は、本実施形態の車両用灯具101の構成を説明するブロック図であり、図8は、図7の車両用灯具101におけるファン162の駆動制御を説明するフローチャートである。本実施形態の車両用灯具(灯具)101には、図7に示すように、LED10と、点灯装置40と、ファン駆動部161と、ファン162と、が主に設けられている。
【0055】
ファン駆動部161は、ファン162を駆動する電流を供給すると共に、ファン162の回転数を制御するものである。ファン駆動部161には、制御部142から制御信号が入力されており、ファン駆動部161は、入力された制御信号に従ってファン162に供給する電流を制御するものである。ファン駆動部161は、点灯装置40のLED駆動部41や、制御部142や、温度測定部43などと共にヒートシンク44に配置されている。
【0056】
ファン162は、LED10およびヒートシンク44の一方、または、両方に向かって送風し、空気を当てることにより冷却を行うものである。ファン162の構成としては、公知の構成を用いることができ、特に限定するものではない。
【0057】
次に、本実施形態に係る車両用灯具101におけるファン162の制御について説明する。
本実施形態の車両用灯具101における制御部142(図7参照。)には、図8に示すように、車両の運転手がヘッドランプスイッチをONにする等、車両用灯具101を点灯する指示を入力すると、温度測定部43から出力された測定信号が入力される(S101)。
【0058】
さらに、制御部142は、これら入力された信号に基づいてLED10の温度を推定し、推定したLED10の温度が目標温度の範囲内に収まっているか否かの判定を行う(S102)。推定したLED10の温度が目標温度の範囲に収まっている場合(YESの場合)には、S101に戻り、上述の制御が繰り返し行われる。
【0059】
推定したLED10の温度が目標温度の範囲から外れている場合(NOの場合)には、制御部142は、ファン162の回転数の算出を行う(S103)。制御部142、ファン162によって送風された空気によって冷却されたLED10の温度が、所定の温度未満となるようにファン162の回転数を算出する。例えば、推定したLED10の温度が目標温度の範囲よりも高い場合には、制御部142は、現在の回転数よりも高い回転数を算出る。制御部142は、算出した回転数に基づいて、ファン駆動部161がファン162に供給すべき電流の値を算出する。さらに、ファン駆動部161に対して、算出した電流の値を出力させる制御信号を出力する(S104)。
【0060】
制御信号が入力されたファン駆動部161は、算出された値の電流をファン162に対して供給する。ファン162は制御部142により算出された回転数で回転し、ファン162から送風される空気の流量が増大する。これにより、LED10やヒートシンク44から空気に奪われる熱の量が増大し、LED10の温度が目標温度の範囲内に収まる。
【0061】
制御部142は、上述のように、LED10における温度が所定の温度未満となるようにファン162の回転を制御してもよいし、第1の実施形態の変形例と同様に、LED10における光出力が目標の光出力となるように、ファン162の回転数を制御してもよい。例えば、LED10の温度が高くなり、光出力が目標光出力に満たない場合には、ファン162の回転数を増やす制御が行われる。これにより、LED10の温度が低下し、LED10の光出力が増加する。
【0062】
上記の構成によれば、制御部142によってヒートシンク44およびLED10の少なくとも一方に送られる空気の流量が調節され、LED10における光出力や、LED10の温度を所定の範囲に収めることができる。
【0063】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図9および図10を参照して説明する。
本実施形態の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、制御部がLEDに不具合が発生したか否か判定する点が異なっている。よって、本実施形態においては、図9および図10を用いて制御部による不具合判定について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0064】
図9は、本実施形態に係る車両用灯具201の構成を説明するブロック図であり、図10は、図9の車両用灯具201におけるLED10の不具合発生を判定する処理を説明するフローチャートである。本実施形態の車両用灯具(灯具)201には、図7に示すように、LED10と、点灯装置40と、CAN(Controller Area Network)261と、が主に設けられている。
【0065】
CAN261は、車両用灯具201が設けられた車両における車速を測定する車速センサ(図示せず)や、車両外の気温を測定する外気温センサ(図示せず)などと、制御部242との間で、情報や信号の送受信を行う車載通信網である。本実施形態では、CAN261が車速センサにより測定された車両の車速に関する測定信号や、外気温センサにより測定された外気の温度に関する測定信号を制御部242に送信する際に用いられる例に適用して説明する。
【0066】
次に、本実施形態に係る車両用灯具201におけるLED10の不具合発生の判定について説明する。
本実施形態の車両用灯具201における制御部242(図9参照。)には、図10に示すように、車両の運転手がヘッドランプスイッチをONにする等、車両用灯具201を点灯する指示を入力すると、温度測定部43から出力された測定信号が入力される(S201)。
【0067】
制御部242は、温度測定部43から入力された測定信号に基づいて、LED10の温度を推定し、更に、推定した温度の時間変化を算出する(S202)。制御部242は、算出した温度の時間変化が正常な範囲に含まれるか否かの判定を行う(S203)。制御部242には、LED10が正常に動作した時の温度の時間変化が予め記憶されている。制御部242は、CAN261を介して入力された車速を示す測定信号や、外気温を示す測定信号を考慮しつつ、算出された温度の時間変化と、記憶された温度の時間変化との対比を行うことで判定を行う。このように、車速や外気温を考慮することで、車両用灯具201に当たる風による温度の変動や、外気温の影響を除去した温度の時間変化を用いて判定を行うことができる。
【0068】
算出した温度の時間変化が正常な範囲に含まれる場合(YESの場合)には、S201に戻り、上述の処理が繰り返し行われる。算出した温度の時間変化が正常な範囲から外れた場合(NOの場合)には、制御部242は、LED10にチップショート等の不具合が発生したと判断し、ダイアグノーシスに不具合の発生を知らせる信号を出力する(S204)。
【0069】
なお、上述のように、LED10が正常に動作している時の温度の時間変化のみと、対比してLED10の不具合発生を判定してもよいし、LED10の不具合の種類ごとの温度の時間変化を制御部242に予め記憶させておき、これらの温度の時間変化との対比で、LED10の不具合の種類を判別してもよい。
【0070】
上記の構成によれば、LED10におけるチップショートなどの不具合を発見することができる。つまり、LED10への電流の印加を開始した時点から、温度測定部43により測定された温度の時間経過に伴う変化が、予め記憶されているLED10が正常に動作している時の変化と同じか異なるかを判定することにより、制御部242は、LED10に不具合が発生しているか否かを判定することができる。更に、不具合の種類ごとに、温度測定部43により測定された温度の時間経過に伴う変化を予め記憶し、測定された温度の時間経過に伴う変化が、どの変化と一致するか判定することにより、制御部242は、LED10で発生した不具合の種類を判定することも可能である。
【0071】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図11から図14を参照して説明する。
本実施形態の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、LEDから出射される光の方向を上下方向に調節可能である点が異なっている。よって、本実施形態においては、図11から図14を用いて光の出射方向を調節する機構について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0072】
図11は、本実施形態に係る車両用灯具301の構成を説明するブロック図である。本実施形態の車両用灯具(灯具)301には、図11に示すように、LED10と、点灯装置40と、CAN261と、LIN(Local Interconnect Network)361と、レベリングモータ362と、が主に設けられている。
【0073】
LIN361は、制御部342から出力された制御信号をレベリングモータ362に送信する車載通信網である。
レベリングモータ362は、LED10や、反射部20や、レンズ部30など(図1参照。)の配置姿勢を変更するものであり、車両用灯具301から出射される光の方向を上下方向に変更するものである。また、レベリングモータ362は、制御部342から入力された制御信号に基づいて動作するものである。
【0074】
次に、上記の車両用灯具301から出射される光の方向の制御について説明する。
運転者が、車両用灯具301から出射される光の方向を上下方向に調節することを意図して、スイッチ等を操作すると、スイッチ等から操作による信号がCAN261を介して制御部342に入力される。制御部342は入力された信号に基づいて、レベリングモータ362を駆動制御する制御信号を生成し、LIN361を介してレベリングモータ362へ制御信号を出力する。制御信号が入力されたレベリングモータ362は、LED10や、反射部20や、レンズ部30など配置姿勢の変更を行う。これにより、車両用灯具301から出射される光の方向の変更が行われる。
【0075】
図12は、図11の車両用灯具の別の実施例を説明するブロック図である。
なお、上述の実施形態のように、制御部342からLIN361を介してレベリングモータ362を直接に駆動制御してもよいし、図12に示すように、制御部342からモータドライバ361Aに制御信号を出力し、モータドライバ361Aにおいてレベリングモータ362に供給する電流を制御してレベリングモータ362の動作を制御してもよい。
【0076】
図13は、図11の車両用灯具の更に別の実施例を説明するブロック図であり、図14は、図12の車両用灯具の更に別の実施例を説明するブロック図である。
なお、上述の実施形態のように車両用灯具301から出射される光の方向を上下方向にのみ調節可能としてもよいし、図13および図14に示すように、左右方向に調節するスイブルモータ363を更に設け、スイブルモータ363によって、LED10や、反射部20や、レンズ部30などの配置姿勢を変更し、車両用灯具301から出射される光の方向を左右方向に変更してもよい。図13には、制御部342がLIN361を介してレベリングモータ362やスイブルモータ363を駆動制御する実施例が示されている。図14には、制御部342から制御信号が入力されたモータドライバ361Aがレベリングモータ362やスイブルモータ363を駆動制御する実施例が示されている。
【0077】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について図15を参照して説明する。
本実施形態の車両用灯具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、車両用灯具から出射される光の配光を制御する点が異なっている。よって、本実施形態においては、図15を用いて光の出射方向を調節する機構について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0078】
図15は、本実施形態に係る車両用灯具の構成を説明するブロック図である。本実施形態の車両用灯具(灯具)401には、図15に示すように、LED10と、点灯装置40と、CAN261と、配光制御部461と、配光部462と、が主に設けられている。
【0079】
配光制御部461は、制御部442から出力された制御信号に基づいて配光部462に供給する電流を制御するものである。
配光部462は、LED10から出射された光の一部を遮光等することにより、車両用灯具401から出射される光の配光特性を制御するものである。本実施形態では、配光部462がモータ等によって配置位置等を制御できるシェードである例に適用して説明する。
【0080】
次に、上記の車両用灯具401から出射される配光特性の制御について説明する。
運転者が、車両用灯具401から出射される配光特性を調節することを意図して、スイッチ等を操作すると、スイッチ等から操作による信号がCAN261を介して制御部442に入力される。制御部442は入力された信号に基づいて、配光制御部461に入力する制御信号を生成し、配光制御部461へ制御信号を出力する。制御信号が入力された配光制御部461は、制御信号に基づいて配光部462のモータに電流を供給する。電流が供給された配光部462では、シェードである配光部462が所定の位置に移動し、車両用灯具401から出射される配光特性が変更される。
【符号の説明】
【0081】
1,101,201,301,401…車両用灯具(灯具)、10…LED(光源)、40…点灯装置、50…筺体、41…LED駆動部(駆動部)、42,142…制御部、43…温度測定部、44…ヒートシンク、162…ファン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源に電流を印加する駆動部と、
前記光源が取り付けられると共に、発光により発生した熱が伝達可能とされたヒートシンクと、
該ヒートシンクに取り付けられ、前記光源の温度の推定に用いられる前記ヒートシンクの温度を測定する温度測定部と、
が設けられていることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記ヒートシンクには前記駆動部がさらに取り付けられ、
前記温度測定部、前記光源、および、前記駆動部における発熱部の相対配置位置は、前記温度測定部が前記駆動部における発熱部から受ける熱の影響よりも、前記光源から受ける熱の影響が大きくなる相対配置位置であることを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記駆動部を制御する制御部が更に設けられ、
前記制御部には、異なる種類の発光する半導体素子における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係が予め記憶され、
前記制御部は、前記駆動部から前記光源に印加される電流、および、前記温度測定部により測定された温度に基づいて、前記駆動部により電流が印加された前記光源として用いられた発光する半導体素子の種類を判別し、判別した発光する半導体素子の種類に応じて前記駆動部から前記光源に印加される電流を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度測定部により測定された温度における時間の経過に伴う変化である温度変化率を求め、少なくとも当該温度変化率に基づいて前記光源の不具合の有無を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記ヒートシンク、および、前記光源の少なくとも一方に空気を送るファンと、
少なくとも前記温度測定部により測定された温度に基づいて、前記ファンの回転を制御する制御部と、が更に設けられ、
前記制御部には、前記光源における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係が予め記憶され、
前記制御部は、前記光源における光出力、および、前記光源の温度の少なくとも一方が所定の範囲に収まるように前記ファンの回転数を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項6】
電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源と、
請求項1から5のいずれか1項に記載された点灯装置と、
前記光源および前記点灯装置を内部に収納する筺体と、
が設けられていることを特徴とする灯具。
【請求項1】
電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源に電流を印加する駆動部と、
前記光源が取り付けられると共に、発光により発生した熱が伝達可能とされたヒートシンクと、
該ヒートシンクに取り付けられ、前記光源の温度の推定に用いられる前記ヒートシンクの温度を測定する温度測定部と、
が設けられていることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記ヒートシンクには前記駆動部がさらに取り付けられ、
前記温度測定部、前記光源、および、前記駆動部における発熱部の相対配置位置は、前記温度測定部が前記駆動部における発熱部から受ける熱の影響よりも、前記光源から受ける熱の影響が大きくなる相対配置位置であることを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記駆動部を制御する制御部が更に設けられ、
前記制御部には、異なる種類の発光する半導体素子における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係が予め記憶され、
前記制御部は、前記駆動部から前記光源に印加される電流、および、前記温度測定部により測定された温度に基づいて、前記駆動部により電流が印加された前記光源として用いられた発光する半導体素子の種類を判別し、判別した発光する半導体素子の種類に応じて前記駆動部から前記光源に印加される電流を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度測定部により測定された温度における時間の経過に伴う変化である温度変化率を求め、少なくとも当該温度変化率に基づいて前記光源の不具合の有無を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記ヒートシンク、および、前記光源の少なくとも一方に空気を送るファンと、
少なくとも前記温度測定部により測定された温度に基づいて、前記ファンの回転を制御する制御部と、が更に設けられ、
前記制御部には、前記光源における電流と光出力との関係、および、温度と光出力との関係が予め記憶され、
前記制御部は、前記光源における光出力、および、前記光源の温度の少なくとも一方が所定の範囲に収まるように前記ファンの回転数を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項6】
電流が印加されることにより発光する半導体素子である光源と、
請求項1から5のいずれか1項に記載された点灯装置と、
前記光源および前記点灯装置を内部に収納する筺体と、
が設けられていることを特徴とする灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−138294(P2012−138294A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290905(P2010−290905)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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