説明

点灯装置および照明器具

【課題】始動シーケンスを2つの制御動作モードに分離することで、省電力を図りながら回路動作の安定性および信頼性を向上させた点灯装置および照明器具を提供する。
【解決手段】点灯装置は、照明灯LEDと、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング動作により照明灯を点灯させる照明灯点灯回路OCと、始動シーケンスがスタンバイモードおよびランモードの制御動作を備えていて、電源投入によりまずスタンバイモードの制御動作を開始して、電源監視および調光信号チェックの少なくとも一つを実行し、その結果照明灯を点灯するのに問題があればスタンバイ状態を持続し、問題なければランモードへ移行し、ランモードの制御動作においては照明灯点灯回路の駆動制御電源を立ち上げるように構成された制御手段CCとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明灯などの照明灯を点灯するのに好適な点灯装置およびこれを備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の発光ダイオードからなる照明灯を直列点灯する発光ダイオード点灯装置は既知である(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された点灯回路は、交流の整流電圧を昇圧チョッパで昇圧し、かつ平滑化して複数の発光ダイオードからなる直列回路の複数を並列接続した発光ダイオードに供給して点灯し、昇圧チョッパを制御回路で制御して調光できるようにするとともに、力率も改善できるようにしている。なお、特許文献1に記載の発光ダイオード点灯装置は、電源を投入すると制御回路と昇圧チョッパに同時に電圧が印加され手動作を開始する。
【0003】
他方、一般に例えばインバータなどスイッチング動作を行って照明灯を点灯する照明灯点灯装置の電源を投入する際に、最初に制御回路に電源を供給し、その制御電源が立ち上がった後にスイッチング回路に主回路電源を供給開始するように構成して、回路動作の安定性および信頼性を向上させることが知られている。この場合、制御回路の全体に対して電源が同時に印加される。
【0004】
【特許文献1】特開平11−067471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
点灯装置において、その制御電源を立ち上げる際に、電源が正常であることを確認するのが好ましい。また、照明灯を調光可能に点灯する照明灯点灯装置にあっては、照明灯を点灯させる前に調光信号が調光OFFの状態を指示していないかや調光比を確認するのが好ましい。さらに、負荷である照明灯の状態をチェックするのも好ましいことである。この場合、制御手段には、上述の監視やチェックを行う制御機能と、主回路のスイッチング素子を駆動するための駆動信号発生機能とを備えることになる。
【0006】
ところが、制御手段の全体に対して同時に電源を印加すると、その分制御回路は構成が簡単になるが、監視やチェック中も駆動信号が発生するので、無駄な電力を消費することになる。
【0007】
本発明は、始動シーケンスを2つの制御動作モードに分離することで、省電力を図りながら回路動作の安定性および信頼性を向上させた点灯装置およびこれを備えた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の点灯装置は、照明灯と;スイッチング素子のスイッチング動作により照明灯を点灯させる照明灯点灯回路と;始動シーケンスがスタンバイモードおよびランモードの制御動作を備えていて、電源投入によりまずスタンバイモードの制御動作を開始して、電源監視および調光信号チェックの少なくとも一つを実行し、その結果照明灯を点灯するのに問題があればスタンバイ状態を持続し、問題なければランモードへ移行し、ランモードの制御動作においては照明灯点灯回路の駆動制御電源を立ち上げるように構成された制御手段と;を具備していることを特徴としている。
【0009】
本発明は、以下の態様を許容する。
【0010】
本発明において、照明灯は、特段限定されない。例えば、発光ダイオード、有機EL、放電ランプおよび白熱電球などであることを許容する。
【0011】
照明灯点灯回路は、スイッチング素子を備えていて、そのスイッチング動作によって照明灯を点灯させるように構成されている。本発明において、照明灯点灯回路の具体的な回路構成は、特段限定されない。例えば、直流出力方式の場合には各種チョッパなどのスイッチングレギュレータ、交流出力方式の場合にはインバータなどであることを許容する。また、照明灯点灯回路に無負荷、負荷短絡、出力電圧低下などの異常に対する安全回路を配設することができる。安全回路は、負荷電圧(または出力電圧)検出手段あるいは負荷電流検出手段を配設して、その検出値を制御手段で演算し、その結果照明灯の開放および短絡などの異常点灯状態が発生したと判定したときに、例えばスイッチング素子のスイッチングを停止させて照明灯点灯回路の出力を遮断するように構成されている。
【0012】
制御手段は、始動シーケンスすなわち始動時の制御のシーケンスとして少なくともスタンバイモードおよびランモードの2段階の制御動作モードを備えている。スタンバイモードは、ランモードより前にその制御動作を開始する。したがって、ランモードは、スタンバイモードの後にその制御動作を開始する。また、制御手段は、始動シーケンスを行う回路構成がアナログ回路およびディジタル回路のいずれの回路方式で構成されていてもよいし、それらの複合回路であってもよい。
【0013】
スタンバイモードの制御動作においては、電源が投入されると始動シーケンス回路の制御電源が立ち上がる。制御電源が立ち上がると、所定の電源監視および調光信号チェックの少なくとも一方が実行される。電源監視を行う場合、その結果、電源電圧が所定範囲でないなど電源に異常があると判断されたときには、スタンバイ状態を持続して照明灯を点灯させない。なお、電源監視は、照明灯点灯回路が調光機能を有していると否とにかかわらず電源により付勢されて照明灯を点灯するので、照明灯を安全、かつ確実に点灯するために効果的な制御動作である。電源監視の結果、問題がない場合には、次のステップへ進む。
【0014】
調光信号チェックは、例えば外部から到来するか内部で発生する調光信号に応じて照明灯を調光点灯する場合に行われる。そして、調光信号チェックの結果、調光信号が調光OFFの状態を指示している場合には、スタンバイ状態を持続して照明灯を点灯させない。なお、調光OFFとは、照明灯がOFF状態となる調光態様である。調光信号が調光OFF以外の調光態様を指示している場合には、調光信号チェックにおいて問題はないと判断して次のステップへ進む。
【0015】
調光信号チェックを実行するに際して、電源投入時から調光信号が得られるまで待ち時間がある場合には、タイマを配設し、かつ始動シーケンスにタイマチェックのステップを追加して、待ち時間経過後に調光信号チェックを実行するようにスタンバイモードを構成することができる。
【0016】
また、所望により電源監視および調光信号チェックの少なくとも一方に加えて、負荷状態チェックを実行するように始動シーケンスのスタンバイモードを構成することができる。負荷状態としては、チェックする負荷の状態について特段限定されないが、一般的には負荷が接続されていない負荷オープン状態および負荷が短絡している負荷短絡状態をチェックするのが効果的である。このような負荷状態のときは、負荷異常であるから照明灯点灯回路を動作させないように構成するのがよい。
【0017】
さらに、スタンバイモードにおいて、電源監視および調光信号チェックまたはこれらに加えて負荷状態チェックなど複数の始動時の制御動作を行わせる場合、複数の制御動作の時間的順序関係は所望に応じて適宜に組み合わせて設定することができる。そうして、スタンバイモードの予定された全てのステップが終了したらランモードへ移行する。
【0018】
そうして、本発明において、始動シーケンスにおけるスタンバイモードの制御動作は、照明灯点灯回路と分離して行うので、照明灯点灯回路の規模にかかわらず、これを0.1〜1.0W程度の少ない消費電力で実行することができるので、省電力化を図ることができる。
【0019】
ランモードにおいては、照明灯点灯回路の駆動制御電源を立ち上げるように構成される。そして、駆動制御電源が立ち上がると、駆動信号発生回路が動作してスイッチング素子の駆動信号が発生し、照明灯点灯回路が照明灯を点灯する。また、照明灯の点灯中におけるスイッチング素子のスイッチングに対する定電流制御、定電力制御、定電圧制御などの制御特性を負荷の照明灯に応じて制御手段に適宜設定することができる。
【0020】
また、ランモード中においても、電源監視および調光信号チェックなどの制御動作を継続することができる。そして、電源異常時や調光信号チェック結果が調光OFFの際にはスタンバイモードに戻る。また、問題ないときや調光信号が調光OFF以外の場合には照明灯点灯回路による照明灯の点灯動作を継続する。
【0021】
さらに、ランモードにおいては、負荷異常に対する安全回路を照明灯点灯回路の動作開始から適当なタイミング遅れで動作させるように制御することができる。これにより、電源投入に伴う照明灯点灯回路の動作が立ち上がって安定してから、安全回路が機能することで、安全回路の誤動作を防止し、あるいは安全回路の構成を簡単化することができる。なお、安全回路とは、負荷の照明灯が異常のときに照明灯点灯回路の発振を停止して出力を停止したり、出力を低減したりして負荷を保護する回路である。
【0022】
本発明の照明器具は、照明器具本体および点灯装置を具備している。照明器具は、LED照明灯を備えていればよく、その用途は照明目的であるのが一般的であるが、これに限定されない。照明器具本体は、照明器具から点灯装置を除去した残余の全ての部分をいう。点灯装置は、上述の本発明における構成である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、制御手段が、始動シーケンスとしてスタンバイモードとランモードの制御動作を備えていて、スタンバイモードにおいて電源監視および調光信号チェックの少なくとも一方を実行して、その結果に問題があればスタンバイ状態を持続し、問題がなければランモードの制御動作に移行して、照明灯点灯回路の駆動制御電源を立ち上げるように構成されていることにより、省電力を図りながら回路動作の安定性および信頼性を向上させた点灯装置および照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0025】
図1ないし図3は、本発明の点灯装置を実施するための第1の形態を示し、図1は照明灯点灯装置の全体を示す回路図、図2は電源立ち上げ時における始動シーケンスのフローチャート、図3は制御手段の始動シーケンス回路図である。
【0026】
本形態において、点灯装置は、照明灯点灯回路OC、照明灯LEDおよび制御手段CCを具備して構成されていて、商用交流電源ACから給電される。
【0027】
本形態において、照明灯点灯回路OCは、整流化直流電源RDC、昇圧チョッパBUC、降圧チョッパSDC、定電流回路CCRおよび調光信号出力手段DSGを備えている。
【0028】
整流化直流電源RDCは、交流入力端が商用交流電源ACに接続したブリッジ形全波整流回路Recからなり、非平滑直流電圧を出力する。
【0029】
昇圧チョッパBUCは、整流化直流電源RDCの直流出力端に接続したインダクタL1およびスイッチング素子Q1の直列回路、スイッチング素子Q1に並列接続したフライホイールダイオードD1および平滑コンデンサC1の直列回路、ならびに出力電圧検出回路VDを備えていて、後述する制御手段CCの制御によって昇圧動作および力率改善動作を行う。なお、スイッチング素子Q1は、MOSFETからなる。出力電圧検出回路VDは、平滑コンデンサC1に並列接続した電圧分圧回路から分圧された出力電圧を取り出して、後述する制御手段CCに制御入力する。上記電圧分圧回路は、抵抗器R1およびR2の直列回路で構成され、抵抗器R2の端子電圧が出力される。
【0030】
降圧チョッパSDCは、昇圧チョッパBUCの出力端である平滑コンデンサC1の両端間に接続したスイッチング素子Q2およびフライホイールダイオードD2の直列回路、フライホイールダイオードD2に並列接続したインダクタL2およびコンデンサC2の直列回路、ならびに負荷電流検出回路IDを備えていて、後述する制御手段CCの制御によって降圧動作を行う。なお、スイッチング素子Q2は、MOSFETからなる。また、負荷電流検出回路IDは、負荷電流に比例的な入力電流を抵抗器R3で検出して制御手段CCに制御入力するように構成されている。
【0031】
本形態において、照明灯LEDは、LED照明灯の複数が直列接続した直列回路の複数、例えば図示のように3個が並列接続してなり、かつ負荷電流検出回路IDを経由して降圧チョッパSDCの出力端である平滑コンデンサC2の両端に接続している。
【0032】
定電流回路CCRは、照明灯LEDを構成している並列接続した複数の発光ダイオードの直列回路に流れる負荷電流を等しくするもので、本形態においてはカレントミラー定電流回路を用いて構成されている。すなわち、照明灯LEDの並列接続した複数の直列回路にそれぞれ直列にトランジスタQ3および抵抗器R5の直列回路を挿入し、発光ダイオードLEDの並列接続した複数の直列回路のそれぞれに第2のトランジスタQ4を直列に挿入し、かつ各トランジスタQ3のベースを、抵抗器R4を共通に経由して降圧チョッパSDCの出力端の正極に接続して定電流回路CCRが構成されている。
【0033】
調光信号出力手段DSGは、照明灯LEDを調光点灯する場合に配設される調光信号を生成して出力する手段である。なお、調光しない場合には配設していなくてもよい。調光信号出力手段DSGの配設位置は、昇圧チョッパSUCおよび降圧チョッパSDCを含む照明灯点灯装置の主要部に近接した位置、例えば上記主要部と同一の配線基板に実装されている態様でもよい。また、上記主要部から離間した位置に配設されるのであってもよい。
【0034】
また、調光信号出力手段DSGは、出力する調光信号の形態が特段限定されない。例えば、調光度に応じてパルスのデューティが変化するデューティ信号、調光度をディジタル化したディジタル信号および調光度に応じて電圧値が変化する可変電圧信号などを選択的に適宜採用することができる。さらに、調光信号出力手段DSGから出力される調光信号は、連続的に変化してもよいし、段階的に変化してもよい。本形態において、調光信号は、調光割合に応じてデューティが変化する電圧パルス列からなる。
【0035】
制御手段CCは、昇圧チョッパBUCおよび降圧チョッパSDCを制御する手段であり、照明灯点灯装置に対して電源を投入した際に、始動シーケンスとして後述するスタンバイモードおよびランモードに分けた制御動作を行って電源を立ち上げる。
【0036】
また、制御手段CCは、照明灯LEDを調光点灯するために、調光信号出力手段DSGから出力される調光信号に応じて降圧チョッパSDCおよび昇圧チョッパBUCの少なくとも一方の出力を制御して発光ダイオードLEDを調光点灯させるための調光制御動作を行わせることができる。なお、昇圧チョッパBUCと降圧チョッパSDCとの制御を統合的に行う必要はなく、両者を格別に制御することができる。例えば、昇圧チョッパBUCの一部として予め専用の制御手段を一体的含んだ構成のものを用いることができる。
【0037】
調光制御動作を行わせる態様において、降圧チョッパSDCおよび昇圧チョッパBUCの少なくとも一方の出力制御は、制御手段CC内に設定した所定の調光特性および調光信号出力手段から出力される調光信号の相関に基づいて行われる。なお、調光特性は、使用する照明灯の種類に応じて予め所望に応じて適宜設定しておくことができる。例えば、照明灯LEDの光量と調光度とが連続的、かつ直線的に変化する調光特性にしたり、照明灯LEDの光量と調光度とが所定の非直線的な変化をする調光特性にしたり、さらには照明灯LEDの光量が段階的に変化する調光特性にしたりすることができる。
【0038】
さらに、制御手段CCは、始動シーケンスの電源立ち上げ制御における少なくともスタンバイモードを実行する部分が後述するようにアナログ回路により構成されている。しかし、その他の制御動作を行う部分が同様にアナログ回路またはマイコンを主体として構成されていてもよいし、マイコンおよびアナログ回路のハイブリット構成であってもよい。
【0039】
昇圧チョッパBUCを制御するためには、昇圧チョッパBUCのスイッチング素子Q1にパルス電圧からなる駆動信号を供給する。また、昇圧チョッパBUCの出力電圧検出回路VDから制御入力される出力電圧が所定値になるように帰還制御して駆動信号のデューティを所定に制御する。
【0040】
降圧チョッパSDCを制御するためには、そのスイッチング素子Q2にパルス電圧からなる駆動信号を供給する。また、降圧チョッパSDCの負荷電流検出回路IDから制御入力される負荷電流が一定になるように帰還制御するとともに、調光する場合には調光信号に応じて駆動信号をPWM制御する。
【0041】
次に、本形態の点灯装置の回路動作を説明する。すなわち、昇圧チョッパBUCが動作することにより、商用交流電源ACの電圧より高くなるように昇圧され、かつ出力電圧検出回路VDから得た帰還電圧を用いて帰還制御された直流電圧が昇圧チョッパBUCから出力される。また、照明灯点灯装置の力率を改善することもできる。
【0042】
昇圧チョッパBUCの出力電圧は、降圧チョッパSDCの入力端に印加される。これにより、降圧チョッパSDCは、降圧動作を行う。
【0043】
そうして、負荷の照明灯LEDに対して降圧チョッパSDCにおいて所要値に調整された直流電圧がその出力端に現れる。その結果、降圧チョッパSDCの負荷として出力端に接続された照明灯LEDに負荷電流が流れるので、照明灯LEDが点灯する。このときの点灯は、照明灯LEDが発光ダイオードの場合、降圧チョッパSDCの負荷電流検出回路IDと制御手段CCの協働によって定電流制御下で行われる。
【0044】
照明灯LEDの並列接続した複数の直列回路に流れる負荷電流は、定電流回路CCRによる定電流動作で等しくなる。すなわち、第1のトランジスタQ3に抵抗器R1を経由して流れる電流が一定になり、第2のトランジスタQ4、Q4に対して一定のベース電流が供給されるので、照明灯LEDの並列接続した複数の直列回路に流れる負荷電流が等しくなる。
【0045】
調光信号出力手段DSGから送出された調光信号が降圧チョッパSDCの制御部に入力すると、当該制御部は調光信号に対応してPWM制御された駆動信号を生成して降圧チョッパSDCのスイッチング素子Q2に供給する。その結果、負荷電流の定電流制御の基準値が調光信号に応じて変更されるため、照明灯LEDは、調光信号に対応する光出力の調光点灯を行う。
【0046】
次に、点灯装置に商用交流電源ACを投入した際の始動シーケンスによる電源立ち上げ時の制御動作について図2および図3を参照して説明する。
【0047】
最初に、始動シーケンスの制御動作の流れを説明する。図2に示すフローチャートは、商用交流電源AC投入時における照明灯点灯装置内部の電源立ち上げに係わる始動シーケンスの制御動作の流れを説明している。すなわち、照明灯点灯装置内部の電源立ち上げに係わる始動シーケンスの制御動作は、スタンバイモードおよびランモードに別れており、図中の[電源投入]において商用交流電源ACを投入すると、最初にスタンバイモードの制御動作を行う。
【0048】
スタンバイモードにおいては、[Vccスタート]で関係する制御電源Vccを立ち上げると、<電源監視>が行われる。電源監視は、電源に異常がないかチェックし、問題がなくてOKであれば、次の<調光信号チェック>のステップへ進む。問題があってNGであれば、再び<電源監視>に戻る。調光信号チェックは、調光信号の内容が調光OFFか否かがチェックされる。その結果、調光OFF以外であれば、問題がないため、スタンバイモードが終了するので、次のランモードへ移行する。調光OFFであれば、照明灯LEDを点灯しないために、再び<電源監視>に戻る。したがって、スタンバイモードでは、電源監視および調光信号チェックのいずれかに問題があれば、スタンバイ状態が持続するので、点灯装置が動作しないから、照明灯LEDは消灯状態を維持する。
【0049】
ランモードにおいては、[Vddスタート]で制御手段CC内の駆動信号発生回路の電源Vddを立ち上げる。これにより駆動信号発生回路から駆動信号が発生し、照明灯点灯回路OCのスイッチング素子Q1、Q2に駆動信号が印加されるので、[メインスイッチングスタート(点灯開始)]が行われ、照明灯点灯回路OCが動作を開始して照明灯LEDが点灯する。
【0050】
図3に示す回路図は、制御手段CC内の始動シーケンス回路を示す。すなわち、始動シーケンス回路は、トランジスタQ4により駆動信号発生回路の電源Vddを立ち上げ、コンパレータCP1によりスタンバイモードからランモードへ切り換え、トランジスタQ5により電源監視結果に応じてコンパレータCP1の反転端子に対する入力電圧を切り換え、トランジスタQ6により調光信号チェック結果に応じてコンパレータCP1の反転端子に対する入力電圧を切り換える。
【0051】
トランジスタQ4は、そのコレクタが制御電源Vccに接続し、エミッタがコンデンサC3を介して接地し、ベースが抵抗器R6を介して制御電源Vccに接続している。そして、トランジスタQ4がONしているときには、コンデンサC3の両端から電源Vddが得られる。
【0052】
コンパレータCP1は、制御電源Vccから受電して動作し、その出力端が抵抗器R7を介してトランジスタQ4のベースに接続し、非反転入力端子が基準電位Eを介して接地している。反転入力端子は、トランジスタQ5、Q6および後述する電圧源にそれぞれ接続している。
【0053】
トランジスタQ5およびQ6は、それらのコレクタ・エミッタがコンパレータCP1の反転入力端子と接地との間に並列接続している。トランジスタQ5のベースは、電源監視回路SVMに接続する。トランジスタQ6のベースは、調光信号チェック回路DSCに接続する。
【0054】
電圧源は、抵抗器R8は、抵抗器R9を介して商用交流電源ACに接続した全波整流回路FWRに接続して構成されていて、コンパレータCP1の反転入力端子に抵抗器R8の両端間に得られる直流電圧を印加する。
【0055】
そうして、電源監視回路SVMは、電源監視の結果に問題がある場合には、トランジスタQ5をONさせ、問題がない場合にはOFFさせる。調光信号チェック回路DSCは、調光信号が調光OFFの場合には、トランジスタQ6をONさせ、その他の場合にはOFFさせる。コンパレータCP1は、その反転入力端子の電圧が非反転入力端子の基準電圧Eより低い場合に出力電圧がハイ(Hi)になり、基準電圧より高い場合にロー(Low)になる。
【0056】
したがって、スタンバイモードにおいて、電源監視回路SVMによる電源監視の結果に問題がなく、かつ調光信号チェック回路DSCによる調光信号チェックの結果、調光信号の内容が調光OFF以外のときに、トランジスタQ5およびQ6がともにOFFし、電源電圧が一定以上であれば、コンパレータCP1の反転入力端子の電圧が基準電圧Eより高くなり、出力電圧がマイナスになる。その結果、トランジスタQ4がONしてランモードへ移行する。ランモードになると、トランジスタQ4がONするから、コンデンサC3の両端から電源Vddが得られる。そのため、制御手段CC内の図示しない駆動信号発生回路が電源Vddにより作動してスイッチング素子Q1、Q2に供給する駆動信号が発生するので、照明灯点灯回路OCが作動して照明灯LEDが点灯する。
【0057】
これに対して、トランジスタQ5およびQ6のいずれか一つがONまたは電源電圧が一定以下にナれば、コンパレータCP1の反転入力端子の電圧は、基準電圧Eより低くなるので、出力電圧がプラスになる。その結果、トランジスタQ4がOFF状態を維持するので、ランモードへ移行することができずにスタンバイ状態を持続する。
【0058】
図4ないし図6は、本発明の点灯装置を実施するための第2の形態を示し、図4は電源立ち上げ時における始動シーケンスのフローチャート、図5は制御手段の始動シーケンス回路図、図6は負荷状態チェックに用いる負荷状態検出回路である。なお、図1ないし図3と同一部分には同一符号および同一表記を行い説明は省略する。
【0059】
第2の形態は、スタンバイモードが、電源監視および調光信号チェックに加えて負荷状態チェックのステップを含んでいる。すなわち、図4において、<電源監視>の次に<負荷状態チェック>が行われた後に<調光信号チェック>のステップへ進む。
【0060】
負荷状態チェックにおいては、負荷の短絡またはオープンの状態であるか、否かを図7に示す後述する負荷状態検出回路を用いてチェックする。なお、負荷がオープンの状態とは、負荷である照明灯LEDが照明灯点灯回路OCに接続していない状態である。いずれの状態のときには、問題があるので、照明灯点灯回路OCを動作させないようにスタンバイ状態を持続する。
【0061】
図5に示す制御手段の始動シーケンス回路図は、図3との対比において、コンパレータCP1を制御するトランジスタQ5およびQ6に加えてトランジスタQ7および負荷状態チェック回路LSCが付加されている。
【0062】
そうして、負荷状態チェックのステップにおいて、負荷状態チェックの結果、負荷の照明灯LEDが短絡またはオープンの状態でないときに、トランジスタQ7がOFFし、短絡またはオープンの状態のときにはONする。
【0063】
したがって、トランジスタQ5、Q6およびQ7がともにOFFし、電源電圧が一定以上であれば、コンパレータCP1の反転入力端子の電圧が基準電圧Eより高くなり、出力電圧がロー(Low)になる。その結果、トランジスタQ4がONしてランモードへ移行する。
【0064】
これに対して、トランジスタQ5、Q6およびQ7のいずれか一つがONまたは電源電圧が一定以下であれば、コンパレータCP1の反転入力端子の電圧は、基準電圧Eより低くなるので、出力電圧がプラスになる。その結果、トランジスタQ4がOFF状態を維持するので、ランモードへ移行することができずにスタンバイ状態を持続する。
【0065】
負荷状態検出回路は、図6に示すように、降圧チョッパSDCの出力電圧すなわち負荷電圧を抵抗器R13、R14で分圧して検出し、負荷状態チェック回路LSCにおいてチェックする。
【0066】
図7および図8は、本発明の点灯装置を実施するための第3の形態を示し、図7は電源立ち上げ時における始動シーケンスのフローチャート、図8は制御手段の始動シーケンス回路図である。なお、図2および図3と同一部分には同一符号および同一表記を行い説明は省略する。
【0067】
第3の形態においては、調光信号チェックを電源投入から第1の所定時間経過後に実行するように構成されている。したがって、第3の形態は、電源投入から調光信号発生までにいくらか時間遅れ、例えば0.7〜1秒程度が伴う場合に好適である。この場合、上記第1の所定時間を上記時間遅れの後になるように設定する。また、ランモードにおける安全回路を電源投入から第2の所定時間経過後に有効にするように構成されている。上記第2の所定時間は、照明灯点灯回路が立ち上がったときにオーバーシュートなど出力が一時的に不安定になりやすい場合に、その不安定期間の終了後に安全回路を有効にするのに効果的である。これにより、安全回路が誤動作しなくなるとともに、安全回路の構成が簡単になる。
【0068】
次に、始動シーケンスの制御動作の流れを、図7を参照して説明する。すなわち、照明灯点灯装置内部の電源立ち上げに係わる始動シーケンスのスタンバイモードにおいては、[Vccスタート]で関係する制御電源Vccを立ち上げると、<電源監視>が行われる。電源監視は、図2に示す第1の形態におけるのと同様である。電源に問題がなくてOKであれば、[タイマスタート]に進み、タイマ動作が開始されるとともに、<調光信号チェック>のステップへ進む。調光信号チェックは、図2に示す第1の形態におけるのと同様である。すなわち、調光信号の内容が調光OFFか否かがチェックされる。その結果、調光OFF以外であれば、問題がないため、次にタイマチェックが行われる。タイマチェックは、電源投入から第1の所定時間を経過しているか否かをチェックする。第1の所定時間未満のときは繰り返し調光信号チェックを繰り返す。第1の所定時間が経過していれば、スタンバイモードが終了し、次のランモードへ移行する。調光OFFであれば、照明灯LEDを点灯しないために、タイマをリセットして再び<電源監視>へ戻る。したがって、第3の形態において、スタンバイモードでは、電源監視、調光信号チェックおよびタイマチェックのいずれかに問題があれば、スタンバイ状態が持続するので、点灯装置が動作しないから、照明灯LEDは消灯状態を維持する。
【0069】
ランモードにおいては、[Vddスタート]で制御手段CC内の駆動信号発生回路の電源Vddを立ち上げる。これにより駆動信号発生回路から駆動信号が発生し、照明灯点灯回路OCのスイッチング素子Q1、Q2に駆動信号が印加されるので、[メインスイッチングスタート(点灯開始)]が行われ、照明灯点灯回路OCが動作を開始して照明灯LEDが点灯する。そして、点灯後も電源監視、調光信号チェックおよびタイマチェックを行う。電源監視および調光信号チェックの結果、問題があるときには、スタンバイモードに戻る。そのため、照明灯LEDは消灯し、その状態を問題がなくなるまで持続する。
【0070】
これに対して、ランプモードにおけるタイマチェックは、電源投入から第2の所定時間、例えば3秒が経過しているか否かをチェックする。その結果、経過時間が第2の所定時間内、すなわち2秒超〜3秒未満であれば、再びランモードにおける電源監視および調光信号チェックを繰り返す。また、経過時間が第2の所定時間すなわち3秒を経過していれば、安全回路を有効にする。なお、安全回路は、例えば異常時発振停止ないし出力低減機能など異常時に負荷の安全を図る機能を意味する。
【0071】
次に、図8を参照して始動シーケンス回路を説明する。第3の形態においては、電源監視を、ヒステリシスコンパレータCP2を主体として構成された電源監視回路SVMにより実行し、第1の所定時間チェックおよび第2の所定時間チェックをタイマTMにより実行するように構成しているが、その他の構成は第1の形態における図3に示す始動シーケンス回路とほぼ同様である。以下、さらに具体的に説明する。
【0072】
電源監視回路SVMは、ヒステリシスコンパレータCP2の非反転入力端子に分圧回路の抵抗器R8の端子電圧が入力するように接続し、反転入力端子が基準電圧E1を介して接地している。ヒステリシスコンパレータCP2の正帰還回路は、抵抗器R10および回り込み防止用のダイオードD3の直列回路からなる。ヒステリシスコンパレータCP2の出力端子は、回り込み防止用のダイオードD4および抵抗器R11を直列に介してコンパレータCP1の反転入力端子および後述する第1のタイマTM1に接続している。
【0073】
調光信号チェック回路DSCによりON、OFFするトランジスタQ6は、ヒステリシスコンパレータCP2の非反転入力端子と接地との間に接続している。そして、調光信号が調光OFFのときトランジスタQ6はONし、その他の調光信号のときOFFする。
【0074】
タイマTMは、抵抗器R12、トランジスタQ8のコレクタ・エミッタおよびコンデンサC4からなる第1の直列回路における抵抗器R12の外端が制御電源Vccに、コンデンサC4の外端が接地されている。また、ツェナーダイオードZD1および抵抗器R13からなる第2の直列回路が第1の直列回路と並列に接続し、ツェナーダイオードZD1および抵抗器R13の接続点がトランジスタQ8のベースに接続している。さらに、トランジスタQ8のエミッタとコンデンサC4の接続点がコンパレータCP1の反転入力端子とダイオードD4および抵抗器R11を直列に介してヒステリシスコンパレータCP2の出力端子とに接続している。
【0075】
一方、第2の所定時間は、タイマTMのコンデンサC4の充電電圧がツェナーダイオードZD2のツェナー電圧を越えるときで計時される。
【0076】
本発明の第3の形態における始動シーケンス回路動作を簡単に説明する。
【0077】
スタンバイモードにおいて、制御電源Vccが立ち上がると、始動シーケンス回路が動作を開始する。そして、電源監視回路SVMが有するヒステリシスが電源電圧の許容範囲を決定し、基準電圧E2より抵抗器R8の端子電圧が所定範囲高いとき、換言すれば電源電圧が許容範囲内のときにヒステリシスコンパレータCP2の出力端子がハイ(Hi)になる。これに対して、交流電源ACの電源電圧が許容範囲を下回り、抵抗器R8の端子電圧が基準電圧E2より低いときには、出力がロー(Low)となる。
【0078】
調光信号チェック回路DSCとトランジスタQ6の関係は、第1の形態と同様である。
【0079】
タイマTMは、コンデンサC4を、抵抗器R12およびトランジスタQ8を通じて充電することでタイマ動作を行う。電源監視および調光信号チェック結果に問題がなくて、電源監視回路SVMからの出力がダイオードD4によりブロックされているとき、タイマTMは、制御電源Vccの立ち上がりによりタイマ動作をスタートし、第1の所定時間を超えると、そのコンデンサC4の電圧がコンパレータCP1の基準電圧E1を超える。その結果、コンパレータCP1の出力端子がロー(Low)となり、トランジスタQ4がONするので、ランモードへ移行し、コンデンサC3から電源Vddが得られる。
【0080】
これに対して、電源監視および調光信号チェック結果に問題があってヒステリシスコンパレータCP2の出力端子がロー(Low)のときには、タイマTMは、抵抗器R11およびダイオードD4を通じてリセットされる。
【0081】
ランモードにおいては、電源監視回路SVMおよび調光信号チェック回路DSCが動作を継続する。一方、第2の所定時間は、タイマTMのコンデンサC4の充電電圧がツェナーダイオードZD2のツェナー電圧を越えるときで計時され、第2の所定時間を超えるとトランジスタQ9がONする。これにより、安全回路が有効になる。
【0082】
図9および図10は、本発明の点灯装置を実施するための第4の形態を示し、図9は始動シーケンスのフローチャート、図10は制御手段の始動シーケンス回路図である。各図において、図7および図8と同一部分には同一表記および符号を付して説明は省略する。
【0083】
第4の形態は、第3の形態の構成に加えて負荷状態チェックが付加されている。始動シーケンスのフローチャートでは、スタンバイモードにおいて、電源監視の後に負荷状態チェックが行われるが、ランモードにおいては、負荷状態チェックを行わない。
【0084】
制御手段の始動シーケンス回路においては、負荷状態チェックを行うために、負荷状態チェック回路LSCおよびトランジスタQ7が追加されている。
【0085】
図11は、本発明の点灯装置を実施するための第5の形態における制御手段の始動シーケンス回路図である。すなわち、第5の形態においては、始動シーケンス回路がマイコンにより構成されている。回路動作の機能は、第4の形態におけるのとほぼ同様である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の点灯装置を実施するための第1の形態の全体を示す回路図
【図2】同じく始動シーケンスのフローチャート
【図3】同じく制御手段の始動シーケンス回路図
【図4】本発明の点灯装置を実施するための第2の形態における始動シーケンスのフローチャート
【図5】同じく制御手段の始動シーケンス回路図
【図6】負荷状態チェックに用いる負荷状態検出回路
【図7】本発明の点灯装置を実施するための第3の形態における始動シーケンスのフローチャート
【図8】同じく制御手段の始動シーケンス回路図
【図9】本発明の点灯装置を実施するための第4の形態における始動シーケンスのフローチャート
【図10】同じく制御手段の始動シーケンス回路図
【図11】本発明の点灯装置を実施するための第5の形態における制御手段の始動シーケンス回路図
【符号の説明】
【0087】
BUC…昇圧チョッパ、CC…制御手段、CCR…定電流回路、DSG…調光信号出力手段、ID…負荷電流検出回路、LED…発光ダイオード、RDC…整流化直流電源、SDC…降圧チョッパ、VD…出力電圧検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明灯と;
スイッチング素子のスイッチング動作により照明灯を点灯させる照明灯点灯回路と;
始動シーケンスがスタンバイモードおよびランモードの制御動作を備えていて、電源投入によりまずスタンバイモードの制御動作を開始して、電源監視および調光信号チェックの少なくとも一つを実行し、その結果照明灯を点灯するのに問題があればスタンバイ状態を持続し、問題なければランモードへ移行し、ランモードの制御動作においては照明灯点灯回路の駆動制御電源を立ち上げるように構成された制御手段と;
を具備していることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
制御手段は、そのスタンバイモードの制御動作における調光信号チェックを、電源投入から所定時間経過後に実行することを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
制御手段は、そのスタンバイモードの制御動作において、照明灯の負荷状態チェックを実行することを特徴とする請求項1または2記載の灯点灯装置。
【請求項4】
照明器具本体と;
照明器具本体に配設された請求項1ないし3のいずれか一記載の点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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