説明

点灯装置及びそれを用いた照明システム

【課題】同一の調光信号に対する点灯装置間の平均電流のばらつきを容易に且つ正確に調整可能な点灯装置及びそれを用いた照明システムを提供する。
【解決手段】制御部2は、光源部3の代わりに任意の抵抗値の抵抗器R2を点灯部1に接続し、且つ、調光範囲における任意の調光信号を与えた際に電圧検出・演算部22bが抵抗器R2による電圧降下を出力電圧として検出した検出値と、上記任意の調光信号に応じて予め設定されたデューティ比のPWM信号から想定される電圧降下とを比較する。そして制御部2は、その差が所定範囲内に収まるようにPWM信号のデューティ比を調整し、調整後のPWM信号のデューティ比を調整値として記憶部22cに記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体発光素子を点灯させる点灯装置及びそれを用いた照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より使用されている蛍光灯に替わる代替光源として発光ダイオード(LED)を用いた照明器具が提供されている(例えば特許文献1参照)。この照明器具は、複数の発光ダイオードで構成される発光部と、発光部に点灯電力を供給する点灯装置とを備える。発光ダイオードは、蛍光灯に比べて寿命が長く、発光効率も改善されつつあり、しかも供給電流が低下しても立ち消えすることがないため、深調光が可能である。一方、点灯装置は、インダクタ及びスイッチング素子の直列回路と、スイッチング素子のオフ時にインダクタの蓄積エネルギーを回生させるダイオードとで構成された所謂降圧チョッパ回路を具備する。そして、調光器から入力される調光信号に応じたPWM信号に従ってスイッチング素子をオン/オフさせることにより、上記調光信号に応じた調光レベルで発光部が点灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−198760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に示した点灯装置を複数用意し、これらの点灯装置を同一の調光器で調光制御した場合、同一の調光信号に対して各点灯装置から出力されるピーク電流にばらつきがあると、発光部間の調光レベルにばらつきが生じる。例えば、蛍光灯を深調光させた場合には点灯状態を維持できなくなることから、ピーク電流にばらつきがあったとしても無視できるが、発光ダイオードの場合には上述のように深調光が可能であるため、その差が顕著に現れてしまう。
【0005】
ここで、ピーク電流のばらつきを発生させる要因としては点灯装置間の部品のばらつきが挙げられ、具体的には降圧チョッパ回路を構成するインダクタのインダクタンスのばらつきや電流検出回路の検出遅れのばらつきなどがある。そして、電流検出回路の検出電流を所定の基準値と比較することでインダクタによる回生電流のピーク値を制御しようとしても、電流検出回路の検出遅れによるオーバーシュート電流を避けることはできない。したがって、インダクタに印加される電圧が同じであってもインダクタンスのばらつきや検出遅れのばらつきによって、点灯装置間のオーバーシュート電流にばらつきが生じてしまう。そのため、オーバーシュート電流を含めたピーク電流を正確に補正する必要があるが、従来では、例えばピーク電流に対応する検出電圧に予めオフセット電圧を重畳させておき、可変抵抗器などを用いて上記オフセット電圧を変化させることでピーク電流を調整しており、オフセット電圧の調整に時間がかかる場合があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、同一の調光信号に対する点灯装置間の平均電流のばらつきを容易に且つ正確に調整可能な点灯装置及びそれを用いた照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の点灯装置は、少なくとも1つの固体発光素子を具備した光源部と、電源部から直流電圧が入力されて光源部に点灯電力を供給する点灯部と、点灯部を制御する制御部とを備える。点灯部は、インダクタ及びスイッチング素子の直列回路と、スイッチング素子のオフ期間において光源部にインダクタの蓄積エネルギーを回生させるダイオードとを有する。制御部は、点灯部の出力電圧を検出する電圧検出部と、外部から入力される調光信号及び電圧検出部の検出電圧に応じて予め設定又は算出されたデューティ比のPWM信号を出力するPWM信号出力部と、PWM信号のオン期間においてスイッチング素子をPWM信号の周波数よりも高い周波数で駆動させる信号発生部と、記憶部とを有する。スイッチング素子は、PWM信号のオン期間においてスイッチング素子に流れる電流が所定値に達するとオフにされ、スイッチング素子がオフにされた後にインダクタの回生電流が略ゼロに達するとオンにされる。制御部は、光源部の代わりに任意の抵抗値の抵抗器を点灯部に接続し、且つ、調光範囲における任意の調光信号を与えた際に電圧検出部が抵抗器による電圧降下を出力電圧として検出した検出値と、任意の調光信号に応じて予め設定又は算出されたデューティ比のPWM信号から想定される電圧降下とを比較し、その差が所定範囲内に収まるようにPWM信号のデューティ比を調整する。そして制御部は、調整後のPWM信号のデューティ比、調整前後のPWM信号のデューティ比の差、又は調整前後のPWM信号のデューティ比の比を調整値として記憶部に記憶させる。
【0008】
この点灯装置において、PWM信号出力部は、記憶部に記憶させた調整値を調光範囲における他の調光信号に対応するPWM信号に対しても適用し、調整後のPWM信号を出力するのも好ましい。
【0009】
また、この点灯装置において、調光範囲は複数の区間に分割されており、制御部は、各区間における任意の調光信号を用いて各区間毎に調整値を算出するのも好ましい。
【0010】
本発明の照明システムは、上記の点灯装置を複数備えている。
【発明の効果】
【0011】
同一の調光信号に対する点灯装置間の平均電流のばらつきを容易に且つ正確に調整可能な点灯装置及びそれを用いた照明システムを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は実施形態1,2の点灯装置の一例を示す概略回路図、(b)は同上に抵抗器を接続した状態を示す一部拡大図である。
【図2】同上の電流波形図を示し、(a)はばらつきのない理想状態での電流波形図、(b)はばらつきを調整する前の実際の電流波形図、(c)はばらつきを調整した後の実際の電流波形図である。
【図3】同上の調光率とデューティ比との関係を示すグラフである。
【図4】同上を用いた照明システムの一例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、点灯装置及びこの点灯装置を用いた照明システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(実施形態1)
図1(a)は本実施形態の点灯装置Aの一例を示す概略回路図である。この点灯装置Aは、複数(図1(a)では3つ)の発光ダイオード(LED)31が直列に接続された光源部3と、直流電源部4(電源部)の直流電圧を降圧して光源部3に点灯電力を供給する点灯部1と、点灯部1の出力を制御する制御部2とを備える。なお、直流電源部4の入力端にはEMIフィルタ回路5を介して交流電源6が接続されており、直流電源部4は交流電源6の交流電圧から直流電圧を生成して後段の点灯部1に供給する。
【0015】
点灯部1は、直流電源部4の両端に接続されるスイッチング素子Q1、インダクタL1、及び抵抗器R1の直列回路と、スイッチング素子Q1のオフ期間においてインダクタL1の回生電流を流すためのダイオードD1とを備え、所謂降圧チョッパ回路を構成する。スイッチング素子Q1は、例えばnチャネル型MOSFETからなり、後述する信号発生部21aから与えられる駆動信号によりオン/オフが切り替えられる。抵抗器R1は、スイッチング素子Q1又はインダクタL1に流れる電流を検出することで、光源部3に流れる負荷電流を検出するものであって、その高圧側の一端部は後述するピーク電流検知部21cに接続されている。すなわち、抵抗器R1はその両端電圧を検出することで、光源部3に流れる負荷電流を検出する検出回路の役割を果たす。また、点灯部1の出力端間にはコンデンサC2が接続されており、このコンデンサC2はインダクタL1に流れる電流を平滑し、その平均電流を点灯電力として光源部3に供給する。
【0016】
制御部2は、点灯部1のスイッチング素子Q1に対して駆動信号を出力する信号発生部21aと、インダクタL1の二次巻線に誘起される電圧から負荷電流のゼロクロスを検出するゼロ電流検知部21bと、光源部3に流れる負荷電流を検出するピーク電流検知部21cとを備える。また制御部2は、直流電源部4の高圧側電圧VDC及びコンデンサC2の低圧側電圧VLを検出する電圧検出・演算部22b(電圧検出部)と、調光器7から入力される調光信号及び電圧検出・演算部22bの検出電圧に応じて予め設定されたデューティ比のPWM信号を出力するPWM信号出力部22aと、記憶部22cとを備える。なお記憶部22cには、調光信号及び上記検出電圧とPWM信号のデューティ比とを対応付けたデータテーブルが予め記憶されており、PWM信号出力部22aは、上記データテーブルに従ってPWM信号のデューティ比を決定する。また、上記信号発生部21a、ゼロ電流検知部21b、及びピーク電流検知部21cは、例えば汎用のPFC−ICからなるIC21で構成され、上記PWM信号出力部22a、電圧検出・演算部22b、及び記憶部22cはIC22で構成されている。
【0017】
ここに、PWM信号出力部22aから出力されるPWM信号の周波数はスイッチング素子Q1の駆動周波数よりも低い周波数に設定されており、信号発生部21aは上記PWM信号のオン期間においてスイッチング素子Q1に対して駆動信号を出力し、上記PWM信号のオフ期間では上記駆動信号を出力しない。
【0018】
次に、点灯装置Aの動作について説明する。調光器7から任意の調光信号が出力されると、PWM信号出力部22aは、記憶部22cに記憶させてあるデータテーブルから上記調光信号及び電圧検出・演算部22bの検出電圧に対応するデューティ比のPWM信号を選択し、選択したPWM信号を信号発生部21aに出力する。上記PWM信号がハイレベルとなりオン期間に移行すると、信号発生部21aはスイッチング素子Q1に対して駆動信号を出力し、スイッチング素子Q1がオンに切り替わる。すると、光源部3、インダクタL1、スイッチング素子Q1、及び抵抗R1に電流が流れ、負荷電流が増大する。この負荷電流が増加することにより抵抗R1の両端電圧、すなわちピーク電流検知部21cの検出電圧も増大し、この検出電圧が所定値(ピーク値)に達すると、ピーク電流検知部21cは信号発生部21aに対して検知信号を出力する。そして信号発生部21aは、上記検知信号を受け取るとスイッチング素子Q1への駆動信号を停止し、スイッチング素子Q1がオフに切り替わる。
【0019】
スイッチング素子Q1がオフに切り替わると、インダクタL1の蓄積エネルギーによりダイオードD1、光源部3、インダクタL1の閉路で回生電流が流れる。そして、負荷電流、すなわちインダクタL1に流れる電流は徐々に減少し、やがてゼロになる。インダクタL1に流れる電流がゼロになり、インダクタL1の作用により電流が反転すると、ダイオードD1等の素子の寄生容量を通じてスイッチング素子Q1に充電されている電荷が放電し、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧が低下する。これにより、インダクタL1の印加電圧が反転するため、この反転をインダクタL1の二次巻線に誘起される電圧からゼロ電流検知部21bが検出する。
【0020】
ゼロ電流検知部21bでは、インダクタL1の印加電圧の反転、すなわちインダクタL1を流れる電流のゼロクロスを検出すると、信号発生部21aに対して検知信号を出力する。そして信号発生部21aは、上記検知信号を受け取るとスイッチング素子Q1に対して駆動信号を出力し、スイッチング素子Q1がオンに切り替わる。これら一連の動作を繰り返すことにより、信号発生部21aはスイッチング素子Q1を所謂電流臨界モードで制御する。そして、光源部3に負荷電流が流れている間は、光源部3の各発光ダイオード31が点灯する。なお、上記PWM信号がローレベルとなりオフ期間に移行した状態では、信号発生部21aはスイッチング素子Q1に対して駆動信号を出力しない。
【0021】
図2(a)はばらつきのない理想状態での点灯装置Aの電流波形図であり、PWM信号Sig1がハイレベルとなるオン期間T1では、基準電流I2をピーク値とする高周波三角電流が光源部3に供給される。しかしながら、実際にはインダクタL1のインダクタンスのばらつきや電圧検出・演算部22bの検出遅れなどにより、基準電流I2よりもオーバーシュート電流ΔI1だけ大きい電流I1(>I2)が光源部3に供給される(図2(b)参照)。その結果、光源部3に供給される平均電流がばらつきのない理想状態よりも大きくなり、光源部3の調光レベルが高くなってしまう。そこで本実施形態では、光源部3に供給される平均電流がばらつきのない理想状態と略等しくなるように、PWM信号のデューティ比を調整することで、光源部3間の調光レベルのばらつきを小さくしている。以下、詳細に説明する。
【0022】
ばらつきのない理想状態では、点灯装置Aの調光範囲から選択した任意の調光信号に応じて予め設定されるPWM信号Sig1のデューティ比(1周期に対するオン期間の割合)をDu1とすると、光源部3に供給される平均電流I3は、
I3=(I2×Du1)/2 ・・・・・(1)
となる。
【0023】
一方、ばらつきのある実際の使用状態では、PWM信号Sig1のデューティ比をDu2とすると、光源部3に供給される平均電流I4は、
I4=(I1×Du2)/2 ・・・・・(2)
となる。そして、これらの平均電流I3,I4がI3≒I4となるようにデューティ比Du2を調整することで、光源部3に供給される平均電流を理想状態の平均電流に近づけることができる。以下、デューティ比Du2を求める手順について説明する。
【0024】
例えば、点灯装置Aの生産工程における作業者がデューティ比を調整する工程において、光源部3の代わりに抵抗値Rbの抵抗器R2を点灯部1の出力端間に接続し(図1(b)参照)、制御部2の動作モードをデューティ比を調整するモードに切り替えると、調光器7から任意の調光信号が出力される。PWM信号出力部22aは、上記任意の調光信号に応じて予め設定されるデューティ比Du1のPWM信号Sig1から想定されるコンデンサC2の両端平均電圧Vc1を算出し、記憶部22cに記憶させる。具体的には、ばらつきのない理想状態では抵抗器R2に供給される平均電流がI3であることから、想定されるコンデンサC2の両端平均電圧Vc1は、
Vc1=I3×Rb=(I2×Du1×Rb)/2 ・・・・・(3)
となる。
【0025】
一方、電圧検出・演算部22bで実際に検出されるコンデンサC2の両端平均電圧Vc2は、抵抗器R2に供給される平均電流がI4であることから、
Vc2=I4×Rb=(I1×Du2×Rb)/2 ・・・・・(4)
となる。
【0026】
そして、PWM信号出力部22aは、上記(3),(4)式より求められる両端平均電圧Vc1,Vc2の電圧差が予め設定された所定範囲内に収まるようにPWM信号Sig1のデューティ比Du2を調整する。一例として、PWM信号出力部22aは、Vc1≒Vc2となるようなデューティ比Du2(=(I2/I1)×Du1)を導き出し、このデューティ比Du2を記憶部22cに記憶させる。ここに本例では、調整後のPWM信号Sig1のデューティ比Du2を調整値としている。なお、調整値を求めた後は制御部2の動作モードが通常の点灯モードに切り替えられる。
【0027】
ここで、図3は点灯装置Aの調光率とデューティ比との関係を示すグラフであり、図3中の破線bはばらつきのない理想状態を示し、実線cは実際の使用状態を示している。このグラフによれば、調光率が同じ場合、実際の使用状態でのデューティ比のほうが理想状態でのデューティ比よりも小さくなることが分かる。また、実際の使用状態でのデューティ比はDu2=(I2/I1)×Du1であり、I1>I2の関係にあることからもデューティ比Du2がデューティ比Du1よりも小さくなることが分かる。すなわち、実際の使用状態でのオン期間T2は理想状態でのオン期間T1よりも小さくなる(図2参照)。
【0028】
而して、デューティ比が調整された点灯装置Aの点灯部1の出力端間に光源部3を接続した状態では、調光器7から上記任意の調光信号が出力されると、PWM信号出力部22aは、上記任意の調光信号に応じて予め設定されるデューティ比Du1のPWM信号Sig1ではなく、調整後のデューティ比Du2のPWM信号Sig1を出力する。その結果、光源部3に供給される平均電流I4がばらつきのない理想状態における平均電流I3と略等しくなり、光源部3間の調光レベルのばらつきが小さくなる。
【0029】
ところで、上述の実施例では調整後のPWM信号Sig1のデューティ比Du2を調整値としているが、上記任意の調光信号に応じて予め設定されるPWM信号Sig1のデューティ比Du1と調整後のデューティ比Du2との差(Du2−Du1)や、デューティ比Du1,Du2の比((Du2−Du1)/Du1)を調整値としてもよい。特に、デューティ比Du1,Du2の比は、ばらつきのない理想状態に対する誤差の割合であり、点灯装置Aの調光範囲における全ての調光信号が同じ割合の誤差を有している。したがって、デューティ比Du1,Du2の比を調整値とした場合には、調光信号に応じて予め設定されるデューティ比に上記誤差分を増減させることにより、上記調光範囲における全ての調光信号に対して平均電流のばらつきを調整することができる。
【0030】
而して本実施形態によれば、光源部3の代わりに抵抗値Rbの抵抗器R2を点灯部1の出力端間に接続し、且つ、点灯装置Aの調光範囲における任意の調光信号を与えた際に電圧検出・演算部22bが抵抗器R2による電圧降下を出力電圧として検出した検出値と、上記任意の調光信号に応じて予め設定されるデューティ比Du1のPWM信号Sig1から想定される電圧降下との差が所定範囲内に収まるようにPWM信号Sig1のデューティ比Du2を調整することで、各点灯装置A間の部品による平均電流のばらつきや検出遅れによる平均電流のばらつきを小さくすることができ、その結果、光源部3間の調光レベルを略同じ値に調整することができる。特に、デューティ比Du1,Du2の比((Du2−Du1)/Du1)を調整値とした場合には、上記調光範囲内における全て調光信号に対して平均電流のばらつきを調整することができる。また、従来例のように可変抵抗器などを用いてオフセット電圧を調整しなくてもいいので、平均電流のばらつきを容易に且つ正確に調整することができる。
【0031】
なお本実施形態では、記憶部22cに予め記憶させたデータテーブルに基づいてPWM信号のデューティ比を決定しているが、例えば記憶部22cに計算式を記憶させておき、この計算式からデューティ比を算出するようにしてもよい。また本実施形態では、3つの発光ダイオード31を用いているが、1つ、2つ又は4つ以上の発光ダイオード31で光源部3を構成してもよく、また発光ダイオード31を直列に接続するのではなく並列に接続して光源部3を構成してもよい。さらに本実施形態では、光源部3の発光源として発光ダイオード31を用いているが、例えば有機EL素子などの他の固体発光素子を用いて光源部3を構成してもよい。また本実施形態では、コンデンサC2の両端平均電圧Vc1,Vc2が略等しくなるデューティ比Du2を算出しているが、両端平均電圧Vc1,Vc2の差が所定範囲内に収まっていればよく、本実施形態に限定されるものではない。さらに、光源部3の代わりに点灯部1の出力端間に接続される抵抗器の抵抗値は本実施形態に限定されるものではなく、任意の値でよい。
【0032】
(実施形態2)
点灯装置Aの実施形態2について説明する。実施形態1では、デューティ比Du1,Du2の比((Du2−Du1)/Du1)を調整値とすることで、上記調光範囲における全ての調光信号に対して平均電流のばらつきを調整することができた。しかしながら、上記調光範囲における調光下限では平均電流が極めて小さく、しかもピーク電流のばらつきだけでなくコンデンサC2の漏れ電流等の影響も無視できないことから、調整が十分ではなかった。そこで本実施形態では、上記調光範囲を、調光下限を含む第1の区間と調光下限を含まない第2の区間とに分け、それぞれの区間における任意の調光信号を用いて各区間毎に調整値を求めている。なお、調光下限を含む第1の区間の調整値を求める際には、第2の区間の調整値を求める際に点灯部1の出力端間に接続される抵抗器よりも抵抗値の大きい抵抗器が点灯部1の出力端間に接続される。それ以外の構成は実施形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0033】
その結果、調光下限を含む第1の区間では、この区間内の任意の調光信号を用いて調整値を求めており、ピーク電流のばらつきだけでなくコンデンサC2の漏れ電流等の影響も考慮されるので、調光下限においても平均電流のばらつきを小さくすることができる。また、調光下限を含まない第2の区間においても、この区間内の任意の調光信号を用いて調整値を求めており、求めた調整値を用いることでこの区間内の全ての調光信号に対して平均電流のばらつきを小さくすることができる。
【0034】
なお本実施形態では、上記調光範囲を2つの区間に分けているが、何れかの区間に調光下限が含まれるようになっていればよく、3つ以上の区間に分けてもよい。
【0035】
(実施形態3)
上述の実施形態1,2で説明した点灯装置Aを用いた照明システムの実施形態を図4に基づいて説明する。本実施形態の照明システムは、図4に示すように、1つの調光器7と、複数(図4では3つ)の点灯装置Aとを備え、各点灯装置Aに対して調光器7から同一の調光信号が入力されるようになっている。そして本実施形態では、上述の実施形態1,2で説明した点灯装置Aを用いているため、同一の調光信号に対する点灯装置A間の平均電流のばらつきを容易に且つ正確に調整することができる。
【0036】
なお本実施形態では、1つの調光器7に対して3つの点灯装置Aを接続しているが、2つ又は4つ以上の点灯装置Aを調光器7に接続してもよく、本実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0037】
1 点灯部
2 制御部
3 光源部
22b 電圧検出・演算部(電圧検出部)
22c 記憶部
R2 抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固体発光素子を具備した光源部と、
電源部から直流電圧が入力されて前記光源部に点灯電力を供給する点灯部と、
前記点灯部を制御する制御部とを備え、
前記点灯部は、インダクタ及びスイッチング素子の直列回路と、前記スイッチング素子のオフ期間において前記光源部に前記インダクタの蓄積エネルギーを回生させるダイオードとを有し、
前記制御部は、前記点灯部の出力電圧を検出する電圧検出部と、外部から入力される調光信号及び前記電圧検出部の検出電圧に応じて予め設定又は算出されたデューティ比のPWM信号を出力するPWM信号出力部と、前記PWM信号のオン期間において前記スイッチング素子を前記PWM信号の周波数よりも高い周波数で駆動させる信号発生部と、記憶部とを有し、
前記スイッチング素子は、前記PWM信号のオン期間において前記スイッチング素子に流れる電流が所定値に達するとオフにされ、前記スイッチング素子がオフにされた後に前記インダクタの回生電流が略ゼロに達するとオンにされ、
前記制御部は、前記光源部の代わりに任意の抵抗値の抵抗器を前記点灯部に接続し、且つ、調光範囲における任意の調光信号を与えた際に前記電圧検出部が前記抵抗器による電圧降下を出力電圧として検出した検出値と、前記任意の調光信号に応じて予め設定又は算出されたデューティ比のPWM信号から想定される電圧降下とを比較し、その差が所定範囲内に収まるように前記PWM信号のデューティ比を調整し、調整後の前記PWM信号のデューティ比、調整前後の前記PWM信号のデューティ比の差、又は調整前後の前記PWM信号のデューティ比の比を調整値として前記記憶部に記憶させることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記PWM信号出力部は、前記記憶部に記憶させた前記調整値を前記調光範囲における他の調光信号に対応する前記PWM信号に対しても適用し、調整後の前記PWM信号を出力することを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記調光範囲は複数の区間に分割されており、前記制御部は、前記各区間における任意の調光信号を用いて前記各区間毎に前記調整値を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の点灯装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の点灯装置を複数備えていることを特徴とする照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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