説明

無かん水および無塩麺製品およびその製造方法

【課題】本発明は、かん水やアルカリ化合物、食塩や塩化物、卵や牛乳、増粘多糖類、糖類、カルシウム系化合物、大豆や大豆粉、を使用しなくても、食感や風味や食味に優れ、かつ小規模または零細の製麺業者でも導入しやすい、麺類や麺製品、パスタ類やパスタ製品、およびその製造方法を提供するものである。
【構成】 2007年4月上旬、渡辺果樹園(新潟県三条市井戸場)の葡萄畑において、複数の剪定中の葡萄の枝より流出している樹液20lを殺菌済みの採取用ポリタンクに採取した後に、加熱殺菌し、保存用ポリタンクに入れた後に、冷蔵保管した。この葡萄樹液300mlと中華麺用に常用されている小麦粉3kgと適量のクチナシ色素を食品用ミキサーの中に投入し20分ほど混練した後に、保存料としてエチルアルコールをミキサーの内容物の1重量%から5重量%になるよう加配し10分程度のミキシングを行い、得られたそぼろ状のものを次にロールで圧延して、麺帯を作成する。この麺帯は20℃で2時間程度の、いわゆる寝かしを行い熟成させる。熟成の後は常法の製麺工程と同じく、圧延、めん線切り出し、打ち粉でんぷんの振りかけ、玉取り、包装という作業を経過することで、無かん水および無塩の中華麺を30個得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無かん水(または無アルカリ化合物)および無塩(または無塩化物)で、乾燥麺類や乾燥麺製品、生麺類や生麺製品、乾燥パスタ類や乾燥パスタ製品、生パスタ類や生パスタ製品、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に知られている中華麺(例えば、ラーメン、中華風麺、等)としては、通常小麦粉を主成分とし、かん水、食塩(塩化ナトリウム)または食塩水、水、を所定量または適量混練し生地にして、生地を板状にしてから細紐状または太紐状に形成したものであり、生麺、茹で麺(蒸し麺)、乾麺(包装麺)、即席麺(包装麺、カップ麺)などが知られており、何れの場合であっても、かん水が、腰を強くし、食感を向上させるための添加物として古くから用いられてきた。
古代の中国で製麺時に偶然に天然のアルカリ水(かん水)を作用させることで生じた麺質の改変効果(粘性の変化、弾力の変化、結合の変化、化合物の生成、色素の変化、色素の生成、等)や食感(適度の弾力、固さ、口あたりの滑らかさ、等)の変化や風味(麺質の改変効果によって生じた臭気、かん水自体の臭気、等)の変化、を利用したことによって誕生したことが知られている。
現在知られている一般的な中華麺は、天然のアルカリ水としてのかん水から食品添加物として指定されている合成のアルカリ化合物の使用という違いはあるものの、アルカリ性による小麦グルテンの変性作用を利用してることに変わりはなく、その食感や風味は、広く一般の支持を受けているとされている。
食品添加物として指定されている化学合成添加物としてのかん水は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、を主成分としたものであり、これにピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムがそれぞれ2%加えられているものが多くみられている。炭酸カリウムと炭酸ナトリウムの割合は商品により異なり、炭酸カリウムが多いもの、逆に炭酸ナトリウムの方が多いもの、あるいは同量混合されているもの等、様々な種類がある。これらの市販品は、通常白色粉末の形態で販売されることがほとんどで、これを使用時に水に溶解させて用いている。
【0003】
上述したかん水は、アルカリ化合物であり、小麦粉、食塩、水、などの混練物に配合することで、小麦粉のフラボノイド系色素が黄色を呈し、また、小麦粉のグルテンの水和性が増すため、粘性、伸展性が大きくなり、細い強固な麺をつくり易くするという利点があるが、かん水などのアルカリ化合物を、例えば長期にわたり食用に供すると人体に悪影響が及ぼすことが知られている。例えば、かん水はその主成分が上述のように、炭酸塩であるために、体内で炭酸ガスを発生させることが知られており、中華麺を多量に常食することが問題であると指摘されている。また、かん水が添加された中華麺を茹でる場合、茹汁が茶色に濁るため、その都度新しい水で茹でなければならず、多量の燃料の消費、多量の廃水が生じることが、地球環境にとっても問題となっていた。また、健康への関心の高まりから、一部消費者からはかん水を使用しない中華麺のニーズが高まっている。
しかしながら、かん水を使用しない従来の無かん水の中華用麺や中華風麺は、かん水を添加したタイプに比べ、腰、食感、風味の点で必ずしも満足のいくものではなく、従来の一派的な無かんすい麺と称するものは、良好な成果を得ることが難しく、かん水を使用する通常の中華用麺や中華風麺に対して、食品としての嗜好を満足させるのは極めて困難であった。
さらに、かん水と並んで、麺質の改変効果(粘性の変化、弾力の変化、結合の変化、等)や食感(適度の弾力、固さ、口あたりの滑らかさ、等)の変化や保存性の向上、製麺の際の生地収斂、保湿による急乾燥の抑制、等の効果のために食塩(塩化ナトリウム)または食塩水が利用されており、特に乾麺の製造にあたっては、食塩は必須な原材料となっていることが知られている。
【0004】
例えば、中華麺(例えば、ラーメン、中華風麺、等)におけるかん水や食塩やカルシウム化合物の添加物として影響を知るための資料として、「五訂 日本食品標準成分表」から引用して整理した表1と表2を参考にすると、前記中華麺と前記添加物の関係が明白になってくる。なお、表1は小麦粉のミネラル分成分表を整理してまとめたものであり、表2は中華麺のミネラル分成分表を整理してまとめたものであり、例えば、Naはナトリウム、Kはカリウム、Caはカルシウム、Mgはマグネシウム、Pはリン、Feは鉄、Znは亜鉛、Cuは銅、Mnはマンガン、である。
【表1】

【表2】

【0005】
表1は、麺類やパスタ類に使用される可能性のある一般的な小麦粉類の各ミネラル分の成分表であり、表2は、上記小麦粉類を主原料としかん水や食塩やカルシウム化合物といった添加物を加配して加工される中華麺という製品の各ミネラル分の成分表であるから、表1と表2の各ミネラル分の平均値を比較することで、添加物としてのかん水や食塩やカルシウム化合物の影響を推察することが可能になる。例えば、表2のナトリウムやカリウムやカルシウムの平均値は表1のナトリウムやカリウムやカルシウムの平均値より増加しており、表2のその他のミネラル分の平均値は表1のその他のミネラル分の平均値より減少していることで、食塩(塩化ナトリウム)のナトリウム分とかん水(恐らく、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物)のナトリウム分とカリウム分と前記カルシウム化合物のカルシウム分が影響していると仮定できる。
【0006】
そこで、近年になって、かん水などのアルカリ化合物を全く使用しないか従来よりも少ない量で製造でき、また食塩や塩化物を全く使用しないか従来よりも少ない量で製造できる、中華麺(例えば、ラーメン、中華風麺、等)独特の粘弾性、滑らかさを有する中華風麺の製造する方法の開発が盛んになってきた。
例えば、中華麺に含まれている食塩の量が従来の麺よりも少ない麺やかん水の添加量を低減し又は無くするとともに、中華麺特有の風味とテクスチャーを維持し又はより向上させた中華麺の提供を目的とし、そのために、海洋深層水又は海洋深層水を濃縮して得られる塩分濃度で3.5%〜5.5%に濃縮された濃縮液を含有してなる、生麺又はゆで麺である中華麺の開発案件が知られている。(特許第3354141号公報を参照する)
また、例えば、かん水を用いない中華麺の提供を目的とし、そのために、中華麺原料に対し、甲殻類の殻からタンパクを除去して残渣物を0.4〜0.8重量%含有させる中華麺の開発案件が知られている。(特開平5−268893号公報を参照する)
また、例えば、かんすいを用いないでも美味であると共に、こしがある等の食感に優れ、かつ健康食品としても優れた生ラーメンの提供を目的とし、そのために、小麦粉100重量部と、牛乳3〜20重量部と、生玉子3〜20重量部と、昆布エキス3〜20重量部と、アルコール1〜5重量部と、ふのり0.2〜10重量部とを混練して成ることを特徴とする生ラーメンの開発案件が知られている。(特開平7−177855号公報を参照する)
【0007】
また、例えば、蜂花粉入り無かんすいの中華麺に関し、小麦粉を主体とし、花粉、増粘多糖類、卵殻カルシウム、全卵粉、グルテン、食塩、酵素、アルコール、水を利用して、栄養価が高く且つ高品質の中華麺をかんすいを使用せずに中華麺の製造を行うことを目的とし、そのために、小麦粉重量に対して蜂花粉を2%程度麺の品質改良用資材として増粘多糖類を0.8%程度、全卵粉を0.6%程度、卵殻カルシウムを0.6%程度、グルテンを1%程度、調味料及び品質改良材として食塩を約1%、品質改良材として酵素を約0.8%、保存性の向上のためにアルコールを約7%、水分を適宜含んでいる構成の中華麺の製法が知られている。(特開2003−61602号公報を参照する)
また、例えば、本発明は脱皮生大豆の10ミクロン以下の微粉砕粉を添加して、かんすいを使用せずに中華めん風味の生めんや蒸しめんを製造することを目的とし、その構成が、脱皮生大豆の10ミクロン以下への微粉化、及びこれを用水に懸濁させて原料小麦粉に混合する段階を第1工程とし、この工程ではカルシウム資材や食塩を加え起泡を抑制する作業をも包含し、次にこの混合物のミキシングと寝かしの操作を第2工程とし、圧延、めん線切り出しによる生めんの製造を第3工程とし、蒸しめんの場合はこれより蒸し工程、散水、ほぐし、湯浸、冷水浸漬、水切り、包装があり、これを第4工程とし、以上の第3若しくは第4工程により、微粒子生大豆粉入りの無かんすい生、蒸しめんが製造される開発案件が知られている。(特開2002−186436号公報を参照する)
また、例えば、小麦粉、貝殻焼成カルシウムのようなカルシウム系資材、乾燥卵白、鶏卵、食塩、クチナシ色素などの黄色色素製剤及び水を用いて、中華めん様の風味、食感を有する高品質の無かんすいめんを製造することを目的とし、その構成が、小麦粉、カルシウム系資材、乾燥卵白、鶏卵、食塩、黄色色素製剤などの原料から,食味の優れた無かんすいめんを製造するため、小麦粉への乾燥卵白の均質混合、その後の鶏卵添加、かくはん、食塩及びクチナシ色素の水溶液添加、混捏、圧延、切り出しを行うことを特色とし、かんすいを使用せずに中華めんに極めて近似しためん製品を製造が可能な開発案件が知られている。(特開2000−184859号公報を参照する)
また、例えば、化学的合成品であるかん水のかわりにカルシウムを使用しても製麺性を低下させず、なおかつ食感・食味を含む製麺品質を低下させることなく、中華麺を製造する方法の提供を課題とし、解決手段として、中華麺製造時の粉体原料に対してかん水の代わりに発酵L型乳酸カルシウムを特定量、原料に添加する開発案件が知られている。(特開2000−197458号公報を参照する)
【0008】
次に、従来のうどん、そうめん、ひやむぎの一般的な製造方法について説明すると、従来は、麺帯の原料である小麦粉を常温、13%程度の塩水と混合し、ミキサーによる練り合わせを大気圧で行ってそぼろ状態の麺帯のもとを作り、次に、圧延して麺帯とし、麺帯を例えば6時間放置し麺帯を熟成させてさらに固くしてから切断することにより麺線に形成したものであり、生麺、茹で麺(蒸し麺)、乾麺(包装麺)、即席麺(包装麺、カップ麺)などが知られており、何れの場合であっても、食塩(塩化ナトリウム)または食塩水が、小麦グルテンの形成を促進させることで、腰を強くし、食感を向上させるための添加物として古くから用いられてきた。
このため通常の方法で製造したうどん、そうめん、ひやむぎなどは多くの食塩を含有しており、たとえばうどんでは、通常乾燥重量の5重量%程度の食塩が含まれている。
【0009】
一般的に、高血圧にならないために、あるいは、高血圧の人にとっても食塩の過剰摂取に注意が必要であることが知られている。また、日本人の1日の塩分の平均摂取量は約13gであり、高血圧などの人では、正常な人の塩分摂取量の半分程度が適当といわれている。
例えば、茹でうどん(1玉220g)には食塩が0.7g含まれていることが一般的に知られており、1日の食事の中で塩分の平均摂取量を約13g以下に抑えることには、相当な努力が必要である。ましてや、1日の塩分の平均摂取量を正常の人の半分程度に抑えなければならない高血圧の人にとっては、更なる努力が必要である。そのため、1日3回の食事で食べる主食の選択は重要であり、今のところ、例えば、病院などにおいて、高血圧の病人食の主食としては、通常、塩分をほとんど含まないご飯が用いられており、塩分を含むうどん、そうめん、ひやむぎは主食として用いられていないのが現状である。
また、食塩の効果について捕捉すると、製麺の際の生地収斂、加水量の増加、食味食感改良、静菌、保湿による急乾燥の抑制等があり、特に乾麺の製造にあたっては、食塩は必須な原材料となっていることが知られている。
また、例えば、食塩を使用しない無塩乾燥麺の製造(乾燥工程)にあたっては、通常よりも乾燥時間を長くとる必要があり、この場合、生産効率が著しく低下する問題が発生する。また、元々乾燥難度の高い麺類では、食塩を使用しないと更に乾燥が難しくなり、乾燥条件の変更(時間の延長、温度、湿度等)と調整を行っても乾燥不良品が大量に発生してしまう。麺製造に使用される食塩の代替物については、食塩が非常に安価であること、添加効果が多彩であることや使用にあたっての法規上での制限や制約等もないため、現在まであまり検討されずにきたことから食塩の効果に匹敵するものが確認されないまま現在に至っているのが実状である。
【0010】
また、次に、うどん、そうめん、ひやむぎ、パスタ類(例えば、マカロニ、スパゲッティ)における食塩(塩化ナトリウム)の影響を知るための資料として、「五訂 日本食品標準成分表」から引用して整理した表3と表4を参考にすると、上記の麺類やパスタ類と食塩(NaCl)の関係が明白になってくる。なお、表3はうどん、そうめん、ひやむぎのミネラル分成分表を整理してまとめたものであり、表4はマカロニやスパゲッティのミネラル分成分表を整理してまとめたものであり、例えば、Naはナトリウム、Kはカリウム、Caはカルシウム、Mgはマグネシウム、Pはリン、Feは鉄、Znは亜鉛、Cuは銅、Mnはマンガン、である。
【表3】

【表4】


【0011】
表3は、前記小麦粉類や表1の小麦粉類を主原料とし、食塩や食塩水を加配して加工される、うどん、そうめん、ひやむぎ、という製品の各ミネラル分の成分表であるから、表1と表3の各ミネラル分の平均値を比較することで、食塩(塩化ナトリウム)の影響を推察することが可能になる。例えば、表3のナトリウムの平均値は表1のナトリウムの平均値より約380倍も増加しており、表3のその他のミネラル分の平均値は表1のその他のミネラル分の平均値より減少していることで、食塩(塩化ナトリウム)のナトリウム分の影響力は驚異的である。
表4は、マカロニ・スパゲッティのミネラル分の成分表であるが、前記パスタ類は主にデュラム・セモリナという種類の小麦粉を主原料としているので、前記小麦粉類や表1の小麦粉類のデータとは直接比較はできないが、参考にはなるので推察してみるが、表1と表4の各ミネラル分の平均値を比較してみると、例えば、表4のナトリウムの平均値は表1のナトリウムの平均値より約360倍も増加していることで、マカロニ・スパゲッティの食塩(塩化ナトリウム)のナトリウム分の影響力は驚異的である。
【0012】
そこで、近年になって、食塩(塩化ナトリウム)や食塩水や塩化物を全く使用しないか従来よりも少ない量で製造できる、うどん、そうめん、ひやむぎを製造する方法の開発が盛んになってきた。
例えば、食味食感が通常のゆで麺と遜色なく、低蛋白で無塩のゆで麺、及びその製造方法の提供を課題とし、解決手段として、ミキサーに第1原料のα化温度の低い澱粉のみを入れ、熱湯を加えてα化し糊化させ、次に第2原料としてアミロペクチン100%の澱粉を加えてミキシングし、次いで第3原料の小麦粉、そば粉、キビ粉及びアワ粉から選択される少なくとも1種以上の穀類粉を加えて再度ミキシングし、生地を造る。次に、この生地を使用して、真空装置付高圧押出機で減圧下のもとに、麺線を押出すか、又は、麺体を押し出し圧延し切り出し機にて麺線にすることで生麺とする。更にこの生麺を常法によりα化処理した後、酢の希釈液に浸漬させ、麺のpHを酸性域に調整することで、ゆで麺を製造する開発案件が知られている。(特許第3113873号公報を参照する)
また、例えば、健康的にも、栄養価においても、味覚性においても、さらに保存性においても良好なうどんの提供を目的とし、そのために、塩と水を全く使用しないで、塩と水の替りに、米酢に梅の果肉成分を浸出させた梅酢に南天の実の粉末、笹の葉の粉末、赤紫蘇の葉の粉末のうち少なくとも二種以上の少量を添加して成る薬草入り梅酢及び牛乳を加えることにより、得られたうどんの開発案件が知られている。(第2835512号特許公報を参照する)
【0013】
また、例えば、うどん等に使用される食塩のような高血圧症の原因とされるアルカリ塩類を使用しなくても、これらの麺と同等以上の風味と食感を有し、かつ、冷凍ゆでうどん・そば等の冷凍手段や冷凍保存経過日数による冷凍劣化が少なく長期の保存に耐えうる新規な麺類の提供を目的とし、そのために、全脂大豆粉、及び、無蒸煮醗酵大豆ペーストの何れか一方、又は、その両方を、総量で0.1〜5重量%の割合で含有させることで得られる麺類の開発案件が知られている。(特開平5−284924号公報を参照する)
また、例えば、製造の際の作業性、製品の品質などが食塩を用いた場合と同等以上である低塩もしくは無塩乾燥麺の製造方法の提供を課題とし、解決手段として、乾燥麺類の製造にあたり、食塩の代替物として糖類を使用することを特徴とし、この糖類の主成分が、保湿性を有する糖類であることを特徴とし、糖類が液状糖類であり難結晶性糖類を主成分とするものであることを特徴とすることで、食塩を使用しない無塩乾燥麺類であることを特徴とする乾燥麺類の製造方法が知られている。(特開2005−278567号公報を参照する)
また、例えば、高血圧の人の病人食として冷凍無塩うどんの提供を課題とし、解決手段として、練り合わせ時に0℃〜12℃に冷却した水を小麦粉と減圧下で練り合わせて麺帯のもとを形成し、これを圧延して麺帯とし、圧延した麺帯を切断して麺線とし、麺線を茹であげてから素早く冷凍して製造することで、麺帯が固くなりうま味特性を有するうどんとなる製造方法が知られている。(特開2006−230222号公報を参照する)
また、例えば、超微粒に粉砕した麺用粉、又は混合粉を、所定の割合で麺用粉に混ぜ、浸透性のよい活性化されたイオン水を用いて、減塩及び無塩麺を製造する方法とその方法で作った麺の提供を目的とし、そのためには、麺用粉の粒子と粒子の集まりの中で出来る空間に、超微粒に粉砕した粉を侵入させ、練り上げることで、互いに作用しあい、強力な粘着力を持ち、練り水に浸透性の良い活性イオン水を使うことで、得られる無塩麺の製造法及びそれによって製造した麺が知られている。(特開平9−47244号公報を参照する)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、近年開発が進められてきたはずの、かん水や食塩を使用しない中華麺(例えば、ラーメン、中華風麺、等)の製造方法に関しても、種々の問題点を指摘されている。
例えば、特許第3354141号公報の生麺又はゆで麺である中華麺の開発案件では海洋深層水又は海洋深層水を濃縮して得られる塩分濃度で3.5%〜5.5%に濃縮された濃縮液を含有してなることを特徴とするが、近年ではかん水ばかりでなく塩分の過剰摂取も問題視されており、本発明での塩分の使用は消費者の支持を受けにくいというという指摘を受けている。
また、例えば、特開平5−268893号公報の中華麺の開発案件では、中華麺原料に対し、甲殻類の殻からタンパクを除去して残渣物を0.4〜0.8重量%含有させることを特徴とする。ところが、中華麺は、特有の風味とテクスチャーを有することから好まれる食品であり、かん水を卵に置き換えて製造された中華麺は、中華麺特有の風味とテクスチャーを欠いてしまう場合があり、かん水の代わりに添加する素材によっては、その素材自体が有する風味が問題となることがある、という指摘を受けている。
また、例えば、特開平7−177855号公報の生ラーメンの開発案件では、小麦粉100重量部と、牛乳3〜20重量部と、生玉子3〜20重量部と、昆布エキス3〜20重量部と、アルコール1〜5重量部と、ふのり0.2〜10重量部とを混練して成ることを特徴とするが、近年では牛乳アレルギーや玉子アレルギーの消費者が増加傾向にあり、本発明を量産化しようとする場合の問題点になるだろうという業界関係者の指摘を受けている。
【0016】
また、例えば、特開2003−61602号公報の中華麺の製法では、小麦粉重量に対して蜂花粉を2%程度麺の品質改良用資材として増粘多糖類を0.8%程度、全卵粉を0.6%程度、卵殻カルシウムを0.6%程度、グルテンを1%程度、調味料及び品質改良材として食塩を約1%、品質改良材として酵素を約0.8%、保存性の向上のためにアルコールを約7%、水分を適宜含んでいることを特徴とするが、一般的にカルシウム系資材は食感に悪影響が残ることが業界関係者により指摘されている。
また、例えば、特開2002−186436号公報の微粒子生大豆粉入りの無かんすい生、蒸しめんの製造方法では、脱皮生大豆の10ミクロン以下への微粉化、及びこれを用水に懸濁させて原料小麦粉に混合する段階を第1工程とし、この工程ではカルシウム資材や食塩を加え起泡を抑制する作業をも包含し、次にこの混合物のミキシングと寝かしの操作を第2工程とすることを特徴とするが、大豆粉を添加しためんの結着力を高めるためには、脱皮生大豆粉を従来よりも細粉化して、粒子の直径を10ミクロン以下にまで微細化することが第一に必要であり、この条件に適合した大豆粉は最近開発され、入手が可能になっているが、この脱皮生大豆粉をめんに添加する場合、たとえ粒子の直径が10ミクロン以下であってもめんの結着性に対し微妙な影響が出ることが想定されるので、製法上の工夫を施すことで結着性に対する影響を極力なくすための検討が不可欠である。また、かんすいを使用せずにめんを調製しようとする場合、かんすいの代替資材としてカルシウム系の資材を用いることが一般的であるが、本案のカルシウム資材も食感に悪影響が残ることが指摘されている。
また、例えば、特開2000−184859号公報の開発案件では、小麦粉、カルシウム系資材、乾燥卵白、鶏卵、食塩、黄色色素製剤などの原料から,食味の優れた無かんすいめんを製造するため、小麦粉への乾燥卵白の均質混合、その後の鶏卵添加、かくはん、食塩及びクチナシ色素の水溶液添加、混捏、圧延、切り出しを行うことを特色とするが、一般的にカルシウム系資材は食感に悪影響が残ることが業界関係者により指摘されている。
また、例えば、特開2000−197458号公報の開発案件では、中華麺製造時の粉体原料に対してかん水の代わりに発酵L型乳酸カルシウムを特定量、原料に添加することを特徴とするが、この当該カルシウム系資材に関しても食感が改善されるには至ってないことが業界関係者により指摘されている。
【0017】
さらに、近年開発が進められてきたはずの、食塩(塩化ナトリウム)または食塩水を使用しないうどん、そうめん、ひやむぎの製造方法に関しても、種々の問題点を指摘されている。
例えば、特許第3113873号公報のゆで麺を製造する開発案件では、ミキサーに第1原料のα化温度の低い澱粉のみを入れ、熱湯を加えてα化し糊化させ、次に第2原料としてアミロペクチン100%の澱粉を加えてミキシングし、次いで第3原料の小麦粉、そば粉、キビ粉及びアワ粉から選択される少なくとも1種以上の穀類粉を加えて再度ミキシングし、生地を造り、この生地を使用して、真空装置付高圧押出機で減圧下のもとに、麺線を押出すか、又は、麺体を押し出し圧延し切り出し機にて麺線にすることで生麺とすることを特徴とするが、この発明においては、蛋白分であるグルテンを含まないため、グルテン作用を高める食塩を添加することなく麺を製造しているが、このような技術は、通常の小麦粉を主成分とした麺の製造に応用できるものではない。
また、例えば、第2835512号特許公報のうどんの開発案件では、塩と水を全く使用しないで、塩と水の替りに、米酢に梅の果肉成分を浸出させた梅酢に南天の実の粉末、笹の葉の粉末、赤紫蘇の葉の粉末のうち少なくとも二種以上の少量を添加して成る薬草入り梅酢及び牛乳を加えることを特徴とするが、一般的に支持されているうどんの魅力とは、小麦の風味や旨味であり、のどごしや麺のコシであるが、本発明では小麦の風味や旨味の魅力が減少しており、消費者にはなかなか支持されないだろう、という指摘を受けている。
【0018】
また、例えば、特開2005−278567号公報の乾燥麺類の製造方法では、乾燥麺類の製造にあたり、食塩の代替物として糖類を使用することを特徴とし、この糖類の主成分が、保湿性を有する糖類であることを特徴とし、糖類が液状糖類であり難結晶性糖類を主成分とするものであることを特徴とするが、近年では塩類ばかりでなくカロリーの過剰摂取も問題視されており、本発明での糖類の使用は消費者の支持を受けにくいというという指摘を受けている。
また、例えば、特開2006−230222号公報のうどんの製造方法では、練り合わせ時に0℃〜12℃に冷却した水を小麦粉と減圧下で練り合わせて麺帯のもとを形成し、これを圧延して麺帯とし、圧延した麺帯を切断して麺線とすることを特徴とするが、本発明では製麺時に水と小麦粉を減圧下で練り合わせる手段(装置)が必要であり、小規模または零細の製麺業者にとっては導入しづらい技術であるという指摘を受けている。
また、例えば、特開平9−47244号公報の無塩麺の製造法では、麺用粉の粒子と粒子の集まりの中で出来る空間に、超微粒に粉砕した粉を侵入させ、練り上げることで、互いに作用しあい、強力な粘着力を持ち、練り水に浸透性の良い活性イオン水を使うことを特徴とするが、超微粒に粉砕した麺用粉は通常の製粉法では得られず、原料粉の調製が困難であり、また粉立ちが多く取り扱いにくいという問題を業界関係者によって指摘されていた。
【0020】
本発明は上述した問題点を解決するために本発明者が鋭意研究した結果成されたもので、かん水やアルカリ化合物、食塩や塩化物、卵や牛乳、増粘多糖類、糖類、カルシウム系化合物、大豆や大豆粉、を使用しなくても、食感や風味や食味に優れ、かつ小規模または零細の製麺業者でも導入しやすい、麺類や麺製品、パスタ類やパスタ製品、およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
課題を解決するための第一の手段(請求項1)は、無かん水および無塩で乾燥麺類や乾燥麺製品を得る方法において、穀粉類の中から選択した少なくとも1種の粉体に10〜50重量%のぶどう樹木から得られる液体と0〜2重量%の着色料と0〜40重量%の水または温水または熱水とを混合し常法の生地手段や麺帯手段や製麺手段および常法の乾燥手段を用いて乾燥麺類や乾燥麺製品を得ることを特徴とする、無かん水および無塩麺製品およびその製造方法を提供することである。
【0022】
課題を解決するための第一の手段で言う、無かん水に関しては、一般的に知られている「かん水」、かん水のような作用を示すアルカリ化合物、を包含し、これらのかん水やアルカリ化合物を一切使用しないことを示している。また、無塩に関しては、一般的に知られている食塩や食塩水や塩類のことをいい、例えば、海水塩や岩塩や塩化ナトリウムなどを含むものとする。また、塩類としては、例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、などが知られている。
【0023】
課題を解決するための第一の手段で言う、穀粉類に関しては、デュラム小麦粉(デュラムセモリナ)、強力小麦粉(一等、二等、全粒粉)、中力小麦粉(一等、二等、全粒粉)、薄力小麦粉(一等、二等、全粒粉)、大麦粉、ライ麦粉、蕎麦粉、とうもろこし粉等を使用することができ、製造する麺類の種類により、これら穀粉類の中から選択した少なくとも一種を単独で用いてもよいし、もしくは組み合わせて用いてもよい。また、前記穀粉類には、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、山いも澱粉等の澱粉を適宜配合してもよい。また、前記穀粉類や前記澱粉に関しては、品種を限定しないものとする。
また、前記小麦粉に関しては、精白した小麦粉でも玄小麦粉でも使用可能であり、産地や品種に関しても特に限定せず、一般的に入手しやすいタイプを用いればよい。前記大麦粉に関しては、精白した大麦粉でも玄大麦粉でも使用可能であり、産地や品種に関しても特に限定せず、一般的に入手しやすいタイプを用いればよい。前記ライ麦粉に関しては、精白したライ麦粉でも玄ライ麦粉でも使用可能であり、産地や品種に関しても特に限定せず、一般的に入手しやすいタイプを用いればよい。前記蕎麦粉に関しては、精白した蕎麦粉でも玄蕎麦粉でも使用可能であり、産地や品種に関しても特に限定せず、一般的に入手しやすいタイプを用いればよい。
【0024】
課題を解決するための第一の手段で言う乾燥麺類に関しては、通常の乾麺製造と同様の製造方法で製造することができる。例えば、前記穀粉類の中から選択した少なくとも1種の所望する量の粉体を主成分とし、後述する適量の葡萄の樹液を加え、混練して生地を調製し、所定の厚さに圧延し、所望の幅に切りだした後乾燥させ、所定の長さに裁断する方法が挙げられる。原料粉に添加する葡萄の樹液は混練により生地を調製できる量であればよく、原料粉に添加する水または温水または熱水の量は、混練により生地を調製できる量であればよく、原料粉の性状、混練条件などにより適宜調整することができ、例えば葡萄の樹液の添加量は通常原料粉の20〜40重量%程度であることが好ましく、例えば水または温水または熱水の添加量は通常原料粉の0〜20重量%程度で使用することができる。
このようにして本発明の乾燥麺類を製造する際の加水、混練、圧延、切りだし、乾燥、裁断などの各工程は、乾麺を製造する従来公知の方法および手段を適宜用いて行うことができる。
また、前記乾燥麺類に関しては、一般的には、うどん、ひやむぎ、そうめん、ラーメン(中華麺)、蕎麦などを示している。なお、本発明でいうラーメン(中華麺)とは、これらの範疇に含まれる麺又はこれらに類似した麺をも意味する。また、ラーメン(中華麺)の製造は、常法に従って製麺する方法であれば特に限定されるものではないが、一般的には以下のような方法に従い製造される。すなわち、中華麺の製麺工程は、一般的に小麦粉等の中華麺の原材料、従来であればここでかん水や食塩を混合する混合工程、本発明ではここでぶどう樹液や水を混合する混合工程、により混練された生地を混捏する混捏工程、生地を熟成させる熟成工程及び一定の太さに成形する圧延成形工程、乾麺の場合に関してはこの後に乾燥工程とからなる。
課題を解決するための第一の手段で言う乾燥麺製品に関しては、前記乾燥麺類を形態別に分類すると、袋入り乾麺、容器入り乾麺、カップ麺、揚げ麺、袋入り揚麺、容器入り揚麺、カップ入り揚麺、袋入りインスタント麺(油揚げタイプ、ノンフライタイプ)、容器入りインスタント麺(油揚げタイプ、ノンフライタイプ)、カップ入りインスタント麺(油揚げタイプ、ノンフライタイプ)、という形態で一般的には知られている。また、揚げ麺、袋入り揚麺、容器入り揚麺、カップ入り揚麺、袋入りインスタント麺(油揚げタイプ)、容器入りインスタント麺(油揚げタイプ)、カップ入りインスタント麺(油揚げタイプ)、の場合は、上述の方法により製造された生麺や蒸し麺を乾燥、または油で揚げ製品とする。
【0025】
課題を解決するための第一の手段で記述された、ぶどう樹木から得られる液体に関しては、本発明者は、上記の課題を解決すべく主に特許文献による調査を重ねた結果、ぶどう樹液の存在に着目した。ぶどう樹液の成分分析例は、特開平10−45564号公報で公知であり、表5にその内容を記述した。そこで、本発明者は、表5のぶどう樹液の成分分析表より、一般的なぶどう樹液が、pHが5.95の弱酸性の液体であり、有機酸が4種類で766ppm含有され、カリウムが214ppm含有され、カルシウムが106ppm含有され、糖類が3種類で14.0(g/L)含有されている混合液体である、という点に注目し、この混合液体が前記かん水や前記食塩の代用になるかもしれない、という仮説を導き出し、鋭意研究を重ねた結果、本発明は、葡萄の樹液、特に春先の発芽期前後に剪定された葡萄の枝より流出する樹液を用いて、前記穀粉類の中から選択した、例えば、小麦粉等の中華麺の原材料に添加して中華麺を製造することにより、従来の中華麺と同等な風味とテクスチャーを有する中華麺が得られるとともに、従来ならば中華麺に含まれている食塩の量を不使用にさせ、かつかん水の添加量を不使用にさせることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0026】
【表5】


【0027】
課題を解決するための第一の手段で記述された、着色料に関しては、本発明では、着色料は全く使用しなくとも製造は可能であるが、製品価値を向上させるために(消費者への訴求効果、安全性に関しての担保性、の向上のために)、食品添加物として指定されている材料なら0.1〜2重量%の範囲で使用しても構わない。だが、ビタミン系色素、クチナシ色素製剤、リボフラビン製剤、植物抽出色素、天然色素、などから選択して単独または組み合わせて0.1〜2重量%の範囲で使用することが好ましい。
課題を解決するための第一の手段で使用する水または温水または熱水に関しては、例えば水に関しては約20〜30℃の範囲が好ましく、例えば温水に関しては約30〜50℃の範囲が好ましく、例えば熱水に関しては約50〜100℃の範囲が好ましい。また使用する水または温水または熱水に関しては、前記麺類の原料粉に添加する葡萄の樹液の加減によって適宜調整するか、前記麺類の混練物の混練具合により生地を調製できる量であればよい。また使用する水または温水または熱水に関しては、飲料水であれば何を用いても構わないが、ミネラル分が比較的豊富な水の使用が好ましい。
【0030】
課題を解決するための第二の手段(請求項2)は、無かん水および無塩で生麺類や生麺製品を得る方法において、穀粉類の中から選択した少なくとも1種の粉体に10〜50重量%のぶどう樹木から得られる液体と0〜2重量%の着色料や1〜5重量%の保存料と0〜40重量%の水または温水または熱水とを混合し常法の生地手段や麺帯手段や製麺手段を用いて生麺類や生麺製品を得ることを特徴とする、無かん水および無塩麺製品およびその製造方法を提供することである。
【0031】
課題を解決するための第二の手段で示された、無かん水および無塩に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第二の手段で示された、穀粉類に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第二の手段で示された、ぶどう樹木から得られる液体に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第二の手段で示された、着色料に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第二の手段で示された、水または温水または熱水に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
【0032】
課題を解決するための第二の手段で言う生麺類に関しては、通常の生麺製造と同様の製造方法で製造することができる。例えば、前記穀粉類の中から選択した少なくとも1種の所望する量の粉体を主成分とし、後述する適量の葡萄の樹液を加え、混練して生地を調製し、所定の厚さに圧延し、所望の幅に切りだした後に、生麺、蒸し麺、茹で麺、として製品化する。原料粉に添加する葡萄の樹液は混練により生地を調製できる量であればよく、原料粉に添加する水または温水または熱水の量は、混練により生地を調製できる量であればよく、原料粉の性状、混練条件などにより適宜調整することができ、例えば葡萄の樹液の添加量は通常原料粉の20〜40重量%程度であることが好ましく、例えば水または温水または熱水の添加量は通常原料粉の0〜20重量%程度で使用することができる。
このようにして本発明の生麺類を製造する際の加水、混練、圧延、切りだし、などの各工程は、生麺を製造する従来公知の方法および手段を適宜用いて行うことができる。
また、前記生麺類に関しては、一般的には、うどん、ひやむぎ、そうめん、ラーメン(中華麺)、蕎麦などを示している。なお、本発明でいうラーメン(中華麺)とは、これらの範疇に含まれる麺又はこれらに類似した麺をも意味する。また、ラーメン(中華麺)の製造は、常法に従って製麺する方法であれば特に限定されるものではないが、一般的には以下のような方法に従い製造される。すなわち、中華麺の製麺工程は、一般的に小麦粉等の中華麺の原材料、従来であればここでかん水や食塩を混合する混合工程、本発明ではここでぶどう樹液や水を混合する混合工程、により混練された生地を混捏する混捏工程、生地を熟成させる熟成工程及び一定の太さに成形する圧延成形工程、からなる。
課題を解決するための第二の手段で言う生麺製品に関しては、前記生麺類を形態別に分類すると、袋入り生麺、容器入り生麺、カップ入り生麺、冷凍包装ゆで麺、などが知られている。
【0033】
課題を解決するための第二の手段で示された保存料に関しては、食品添加物として指定されている材料なら1〜5重量%の範囲で何を使用しても構わない。だが、製品価値向上(消費者への訴求効果、安全性に関しての担保)のためにはアルコール類の使用が好ましい。特に、エチルアルコールは防腐効果を持つものとして知られているが、1重量部未満であると防腐効果が弱くなり、5重量部を越えると風味が悪くなるので、本発明においてはエチルアルコールを1〜5重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0035】
課題を解決するための第三の手段(請求項3)は、無かん水および無塩で乾燥パスタ類や乾燥パスタ製品を得る方法において、穀粉類の中から選択した少なくとも1種の粉体に10〜50重量%のぶどう樹木から得られる液体と0〜40重量%の水または温水または熱水とを混合し常法のパスタ製品形成手段や常法の乾燥手段を用いて乾燥パスタ製品を得ることを特徴とする、無かん水および無塩麺製品およびその製造方法を提供することである。
【0036】
課題を解決するための第三の手段で示された無かん水および無塩に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第三の手段で示された、穀粉類に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第三の手段で示された、ぶどう樹木から得られる液体に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第三の手段で示された、水または温水または熱水に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずる。
【0037】
課題を解決するための第三の手段で記述する乾燥パスタ類に関しては、公知のパスタ製造と同様の製造方法で製造することができる。例えば、前記穀粉類の中から選択した少なくとも1種の所望する量の粉体を主成分とし、適量の前記葡萄の樹液を加え、混練して生地を調製し、所定の厚さに圧延し、所望の幅に切りだした後乾燥させ、または前記生地を一般的に市販されているパスタマシーンを用いて所望形状の生パスタを製造した後に常法の乾燥手段で乾燥し、所定の長さに裁断する方法が挙げられる。原料粉に添加する葡萄の樹液は混練により生地を調製できる量であればよく、原料粉に添加する水または温水または熱水の量は、混練により生地を調製できる量であればよく、原料粉の性状、混練条件などにより適宜調整することができ、例えば葡萄の樹液の添加量は通常原料粉の20〜40重量%程度であることが好ましく、例えば水または温水または熱水の添加量は通常原料粉の0〜20重量%程度で使用することができる。
このようにして本発明の乾燥パスタ類を製造する際の加水、混練、圧延、切りだし、乾燥、裁断などの各工程は、パスタ類を製造する従来公知の方法および手段を適宜用いて行うことができる。
【0038】
また前記乾燥パスタ類に関しては、一般的には、パスタ(pasta)というと、小麦粉(一般的にはデュラム小麦粉またはデュラムセモリナと称されているタイプが主に用いられている)をこねて作るイタリアの麺類の総称であり、例えば、スパゲッティー、マカロニ、ラビオリ、カネロニ、フェットチーネ、ペンネ、などの棒状や管状や長板状や型を用いての形成体などが知られているが、本発明では一般的に知られているパスタ状またはパスタ様またはパスタ類似品の概略全てを対象にしている。
また、前記小麦粉に関しては精白した小麦粉でも玄小麦粉でも使用可能であり、また、前記小麦粉に関しては品種を限定しない。
課題を解決するための第三の手段で記述する乾燥パスタ製品に関しては、前記乾燥パスタ類を形態別に分類すると、袋入り乾燥パスタ、容器入り乾燥パスタ、カップパスタ、という形態で一般的には知られている。
【0040】
課題を解決するための第四の手段(請求項4)は、無かん水および無塩で生パスタ類や生パスタ製品を得る方法において、穀粉類の中から選択した少なくとも1種の粉体に10〜40重量%のぶどう樹木から得られる液体と1〜5重量%の保存料や0〜40重量%の水または温水または熱水とを混合し常法のパスタ製品形成手段を用いて生パスタ類や生パスタ製品を得ることを特徴とする、無かん水および無塩麺製品およびその製造方法を提供することである。
【0041】
課題を解決するための第四の手段で記述するパスタ類に関しては、課題を解決するための第三の手段で記述した内容に準ずる。
課題を解決するための第四の手段で示された無かん水および無塩に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第四の手段で示された、穀粉類に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第四の手段で示された、ぶどう樹木から得られる液体に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずるものとする。
課題を解決するための第四の手段で示された、水または温水または熱水に関しての記述は、課題を解決するための第一の手段で記述された内容に順ずる。
課題を解決するための第四の手段で示された、保存料に関しては、課題を解決するための第二の手段で示された保存料に関して記述された内容に順ずる。
【0042】
課題を解決するための第四の手段で記述する生パスタ類に関しては、公知のパスタ製造と同様の製造方法で製造することができる。例えば、前記穀粉類の中から選択した少なくとも1種の所望する量の粉体を主成分とし、適量の前記葡萄の樹液を加え、混練して生地を調製し、所定の厚さに圧延し、所望の幅に切りだした後乾燥させ、または前記生地を一般的に市販されているパスタマシーンを用いて所望形状の生パスタを製造した後に、所定の長さに裁断する方法が挙げられる。原料粉に添加する葡萄の樹液は混練により生地を調製できる量であればよく、原料粉に添加する水または温水または熱水の量は、混練により生地を調製できる量であればよく、原料粉の性状、混練条件などにより適宜調整することができ、例えば葡萄の樹液の添加量は通常原料粉の20〜40重量%程度であることが好ましく、例えば水または温水または熱水の添加量は通常原料粉の0〜20重量%程度で使用することができる。
このようにして本発明の生パスタ類を製造する際の加水、混練、圧延、切りだし、乾燥、裁断などの各工程は、パスタ類を製造する従来公知の方法および手段を適宜用いて行うことができる。
【0043】
また前記生パスタ類に関しては、一般的には、パスタ(pasta)というと、小麦粉(一般的にはデュラム小麦粉またはデュラムセモリナと称されているタイプが主に用いられている)をこねて作るイタリアの麺類の総称であり、例えば、スパゲッティー、マカロニ、ラビオリ、カネロニ、フェットチーネ、ペンネ、などの棒状や管状や長板状や型を用いての形成体などが知られているが、本発明では一般的に知られているパスタ状またはパスタ様またはパスタ類似品の概略全てを対象にしている。
また、前記小麦粉に関しては精白した小麦粉でも玄小麦粉でも使用可能であり、また、前記小麦粉に関しては品種を限定しない。
課題を解決するための第四の手段で記述する生パスタ製品に関しては、前記生パスタ類を形態別に分類すると、袋入り生パスタ、容器入り生パスタ、カップパスタ、冷凍包装ゆでパスタ、という形態で一般的には知られている。
【0045】
課題を解決するための第五の手段(請求項5)は、前記ぶどう樹液が、ぶどう樹木から得られる原液または所定比率で濃縮して得られる濃縮ぶどう樹液または所定比率で希釈して得られる希釈ぶどう樹液であることを特徴とする、課題を解決するための第一の手段(請求項1)から課題を解決するための第四の手段(請求項4)のいずれかに記載の無かん水および無塩麺製品およびその製造方法を提供することである。
【0046】
本発明で使用するぶどう(葡萄、ブドウ)の樹液は、ぶどう(葡萄、ブドウ)(Vitaceae)に属した植物の樹液であれば特にその種属や品種を限定するものではなく、また栽培されている地域、栽培方法等を限定するものではない。
【0047】
前記ぶどう樹液を希釈して得られる希釈液に関しては、原料の前記ぶどう樹液の重量に対して、10重量%から50重量%の範囲で水を混合することが可能であり、使用する水に関しては、硬水またはミネラル水の使用が好ましい。
前記ぶどう樹液を濃縮して得られる濃縮液に関しては、原料の前記ぶどう樹液の重量が、99重量%から50重量%になる範囲で、濃縮して使用することが可能であり、濃縮手段に関しては公知の手段で構わない。
【0048】
前記濃縮液の添加量は、小麦粉100重量部に対して10重量部〜30重量部が好ましい。なお、中華麺の原材料として使用する場合には前記濃縮率の範囲内で、前記濃縮液の添加量は適宜増減することができる。また、必要に応じて、前記濃縮液に水を添加してもよい。
【発明の効果】
【0050】
本発明の無かん水麺または(及び)無塩麺の製造方法を提供することで、以下のような発明の効果が可能になる。
【0051】
以上の説明と後述の発明を実施するための最良の形態の内容を吟味すると、本発明品は、中華麺類に関しては、かん水を使用せずかつ食塩も使用しないにも関わらず、総合評価では市販品よりも優れていることが判明し、本発明品が商品化された場合には、消費者から相当な支持が得られる可能性が高い。
【0052】
また、本発明品は、うどん麺類に関しては、食塩を使用しないにも関わらず、総合評価では市販品よりも優れていることが判明し、本発明品が商品化された場合には、消費者から相当な支持が得られる可能性が高い。
【0053】
また、本発明品は、パスタ類に関しては、食塩を使用しないにも関わらず、総合評価では市販品よりも優れていることが判明し、本発明品が商品化された場合には、消費者から相当な支持が得られる可能性が高い。
【0054】
また、本発明品の製造方法を採用することで、かん水やアルカリ性化合物を使用しないので、茹汁が変色したり濁ることがなくなり、差水をすれば何回でも使用でき、燃料の消費を低減することができ、廃水量を著しく減少することができるので、環境問題や地球温暖化対策に貢献することができる。
【0055】
また、本発明品は、保存料や着色料を使用しないでも製品化できるので、無添加食品として病院などの患者の食事にも採用することが可能となり、更に食塩による錆、かん水やアルカリ性化合物によるアクの発生が無いために、使用器具の汚れが少なく、使用後の洗浄が簡単となる。
【0056】
また、本発明によれば、かん水やアルカリ性化合物を使用することなく、滑かで粘弾性に富み、しかも透明感のある中華風麺を得ることができる。また本発明により得られた中華風麺は、アルカリ剤を使用しないため有機酸の添加によりpHを調整し、長期保存可能な完全包装麺とすることもできる。
【0057】
また、本発明のうどん、そうめん、ひゃむぎの製造によれば、食塩や保存料の無添加の乾麺を製造することができるので、高血圧の人の病人食として使用でき、かつうま味特性を有するうどんを提供できる。
【0058】
また、本発明で使用する葡萄の樹液には、植物性のミネラル成分が比較的豊富に含まれていることから、本発明による麺類やパスタ類を食することにより、身体への吸収率が高いとされている植物ミネラル分を摂取することが出来る。
【0059】
また、本発明の中華麺類に関しては、市販品に比べて風味が優れている理由の一つが、かん水やアルカリ性化合物を使用しないので、独特の臭いおよび味がない為に、原料粉の味が引き出され、味覚が一段と向上したからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、本発明の無かん水および無塩麺製品およびその製造方法の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、実施の形態に記載されている材料、構成要素、数値などは特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【実施例1】
【0066】
2007年4月上旬、新潟県三条市井戸場の渡辺果樹園の葡萄畑において、複数の剪定中の葡萄の枝より流出している樹液20lを殺菌済みの採取用ポリタンクに採取した後に、加熱殺菌し、保存用ポリタンクに入れた後に、冷蔵保管した。
なお、渡辺果樹園の葡萄畑は、10年以上除草剤や化学肥料を使っていない、植物系完熟肥料を用いた有機栽培であることを特徴とする。
【実施例2】
【0067】
実施例1の葡萄樹液を(財)日本食品分析センターに依頼し、表6を得た。
【表6】

表5より、カリウム(K)は214ppmであり、カルシウム(Ca)は106ppmであり、マグネシウム(Mg)は10ppmであり、リン(P)は14ppmであり、ナトリウム(Na)は1ppmであったが、表6の、カリウム(K)は239ppmであり表5より多く、カルシウム(Ca)は136ppmであり表5より多く、マグネシウム(Mg)は20ppmであり表5より多く、リン(P)は44ppmであり表5より多く、ナトリウム(Na)は検出されなかった。すなわち表5と表6より、実施例1の葡萄樹液は、一般的な葡萄樹液よりも有用なミネラル分が多く、ナトリウム分が検出されないという、本発明にとっては理想的なタイプであることが判明した。
【実施例3】
【0068】
この実施の形態例では、無かん水および無塩の中華麺およびその製造方法の一例を示す。中華麺用に常用されている小麦粉3kgに対して、実施例1の葡萄樹液の原液を約10重量%〜30重量%加減しながら添加して製麺用の一般的なミキサーの中に投入し、均一になるまでよく混練する。30分程度のミキサーによる攪拌の後、保存料としてエチルアルコールをミキサーの内容物の1重量%から5重量%になるよう加配した後に20分程度のミキシングを行い、得られたそぼろ状のものを次にロールで圧延して、麺帯を作成する。この麺帯は20℃で2時間程度の、いわゆる寝かしを行い熟成させる。熟成の後は常法の製麺工程と同じく、圧延、めん線切り出し、打ち粉でんぷんの振りかけ、玉取り、包装という作業を経過することで、麺製品として生中華麺を30個得た。
以上は生麺タイプの製造方法の例であるが、茹で麺タイプはこれを沸騰水で数分間ゆでた後、冷却、水切りをしたものであり、乾麺タイプは生麺を乾燥させたものである。尚、乾麺タイプの場合は生麺タイプで用いた保存料としてエチルアルコールの不使用も可能である。
【実施例4】
【0069】
この実施の形態例では、無塩のうどん麺およびその製造方法の一例を示す。うどん麺用に常用されている小麦粉3kgに対して、実施例1の葡萄樹液の原液を約20重量%〜40重量%加減しながら添加して製麺用の一般的なミキサーの中に投入し、均一になるまでよく混練する。20分程度のミキサーによる攪拌の後、保存料としてエチルアルコールをミキサーの内容物の1重量%から5重量%になるよう加配した後に10分程度のミキシングを行い、得られたそぼろ状のものを次にロールで圧延して、麺帯を作成する。この麺帯は20℃で3時間程度の、いわゆる寝かしを行い熟成させる。熟成の後は常法の製麺工程と同じく、圧延、めん線切り出し、打ち粉でんぷんの振りかけ、玉取り、包装という作業を経過することで、麺製品として袋入り生うどんを30個得た。
以上は生麺タイプの製造方法の例であるが、茹で麺タイプはこれを沸騰水で数分間ゆでた後、冷却、水切りをしたものであり、乾麺タイプは生麺を乾燥させたものである。尚、乾麺タイプの場合は生麺タイプで用いた保存料としてエチルアルコールの不使用も可能である。
【実施例5】
【0070】
この実施の形態例では、無塩の生パスタおよびその製造方法の一例を示す。パスタ用に常用されている小麦粉3kgに対して、実施例1の葡萄樹液の原液を約10重量%〜20重量%加減しながら添加して製麺用の一般的なミキサーの中に投入し、均一になるまでよく混練する。30分程度のミキサーによる攪拌の後、保存料としてエチルアルコールをミキサーの内容物の1重量%から5重量%になるよう加配した後に20分程度のミキシングを行い、得られたそぼろ状のものを次にロールで圧延して、麺帯を作成する。この麺帯は20℃で2時間程度の、いわゆる寝かしを行い熟成させる。熟成の後は常法のパスタ製造工程と同じく、圧延、切り出し、打ち粉の振りかけ、玉取り、包装という作業を経過することで、袋入り生パスタを30個得た。
以上は生パスタタイプの製造方法の例であるが、茹でパスタタイプはこれを沸騰水で数分間ゆでた後、冷却、水切りをしたものであり、乾燥パスタタイプは生パスタを乾燥させたものである。尚、乾燥パスタタイプの場合は生パスタタイプで用いた保存料としてエチルアルコールの不使用も可能である。
【試験例1】
【0071】
実施例3の中華麺の試食試験は以下に示す手段で実施された。
試食評価は、本発明品と一般的なスーパーで市販されている、袋入りの生中華麺を用いて、つけ麺(冷やし麺)をつくり、試食パネラー6名(A;30代男性,B;30代女性,C;40代男性,D;40代女性,E;50代男性,F;50代女性)により、歯ごたえ、こし、喉ごし、風味、等の項目について行った。調理時間は、本発明品、市販品、ともに3分で統一した。また、評価項目の、歯ごたえ、こし、喉ごし、風味、の評価基準は、次のように設定した。
歯ごたえの評価基準
5;良好………非常に歯ごたえがある。
4;やや良好…少し歯ごたえがある。
3;普通………歯ごたえは普通である。
2;やや不良…あまり歯ごたえがない。
1;不良………全然歯ごたえがない。
こしの評価基準
5;良好………非常に腰がある。
4;やや良好…少し腰がある。
3;普通………腰は普通である。
2;やや不良…あまり腰がない。
1;不良………全然腰がない。
喉ごしの評価基準
5;良好………非常に喉ごしが良い。
4;やや良好…喉ごしが良い。
3;普通………喉ごしは普通である。
2;やや不良…喉ごしが良くない。
1;不良………喉ごしが悪い。
風味の評価基準
5;良好………非常に風味がある。
4;やや良好…少し風味がある。
3;普通………風味は普通である。
2;やや不良…あまり風味がない。
1;不良………全然風味がない。
総合の評価基準(市販品の場合)
5;すぐにでも購入してみたい。
4;いつか購入するかもしれない。
3;興味があるが購入するかどうかわからない。
2;あまり興味がない。
1;購入したいとは思わない。
総合の評価基準(本発明品の場合)
5;無かん水又は無塩なのに美味しいのですぐにでも購入してみたい。
4;無かん水又は無塩なので健康のために購入するかもしれない。
3;無かん水又は無塩ではあるが購入するかどうかわからない。
2;無かん水又は無塩ということにあまり興味がない。
1;無かん水又は無塩ではあるが購入したいとは思わない。
【試験結果1】
【0072】
試験例1の結果をまとめ、つけ麺(市販品)の試食例を表7とし、つけ麺(本発明品)の試食例を表8として示した。
【表7】

【表8】

【比較例1】
【0073】
試食試験結果は、表7と表8に示すように、つけ麺の場合では、歯ごたえに関しては本発明品は市販品に比べ若干劣り、こしに関しては本発明品は市販品に比べ若干劣り、喉ごしに関しては本発明品は市販品と同レベルであり、風味に関しては本発明品は市販品より優れ、総合では本発明品は市販品よりも優れ、本発明品が商品化された場合には、消費者から相当な支持が得られることが分かった。
【試験例2】
【0074】
実施例4のうどん麺の試食試験は以下に示す手段で実施された。
試食評価は、本発明品と一般的なスーパーで市販されている、袋入り生うどんを用いて、かけ麺(温かい麺)をつくり、前記試食パネラー6名により、歯ごたえ、こし、喉ごし、風味、等の項目について行った。調理時間は、本発明品、市販品、ともに4分で統一した。また、評価項目の、歯ごたえ、こし、喉ごし、風味、総合の評価基準は、試験例1の内容に準拠するものとする。
【試験結果2】
【0075】
試験例2の結果をまとめ、かけ麺(温かい麺)(市販品)の試食例を表9とし、かけ麺(温かい麺)(本発明品)の試食例を表10として示した。
【表9】

【表10】

【比較例2】
【0076】
試食試験結果は、表9と表10に示すように、うどんかけ麺の場合では、歯ごたえに関しては本発明品は市販品に比べ若干劣り、こしに関しては本発明品は市販品と同レベルであり、喉ごしに関しては本発明品は市販品より優れ、風味に関しては本発明品は市販品より優れ、総合では本発明品は市販品よりも相当に優れ、本発明品が商品化された場合には、消費者から相当な支持が得られることが推察される。
【試験例3】
【0077】
実施例5の生パスタの試食試験は以下に示す手段で実施された。
試食評価は、本発明品と一般的なスーパーで市販されている、袋入り生パスタを用いて各々市販のパスタソースを用いてつくり、前記試食パネラー6名により、歯ごたえ、こし、喉ごし、風味、等の項目について行った。調理時間は、本発明品、市販品、ともに5分で統一した。また、評価項目の、歯ごたえ、こし、喉ごし、風味、総合の評価基準は、試験例1の内容に準拠するものとする。
【試験結果3】
【0078】
試験例3の結果をまとめ、袋入り生パスタ(市販品)の試食例を表11とし、袋入り生パスタ(本発明品)の試食例を表12として示した。
【表11】

【表12】

【比較例3】
【0079】
試食試験結果は、表11と表12に示すように、袋入り生パスタの場合では、歯ごたえに関しては本発明品は市販品に比べ若干劣り、こしに関しては本発明品は市販品に比べ若干劣り、喉ごしに関しては本発明品は市販品より優れ、風味に関しては本発明品は市販品より優れ、総合では本発明品は市販品よりも相当に優れ、本発明品が商品化された場合には、消費者から相当な支持が得られることが判断できる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の無かん水および無塩麺製品およびその製造方法に関しては、本発明で示した麺類やパスタ類の製造以外にも用いることができるものであり、例えば、餃子やシューマイの皮の製造に応用しても上述した発明の効果を期待することができることから、我が国の食品産業の発展に寄与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無かん水および無塩で乾燥麺類や乾燥麺製品を得る方法において、穀粉類の中から選択した少なくとも1種の粉体に10〜50重量%のぶどう樹木から得られる液体と0〜2重量%の着色料と0〜40重量%の水または温水または熱水とを混合し常法の生地手段や麺帯手段や製麺手段および常法の乾燥手段を用いて乾燥麺類や乾燥麺製品を得ることを特徴とする、無かん水および無塩麺製品およびその製造方法。
【請求項2】
無かん水および無塩で生麺類や生麺製品を得る方法において、穀粉類の中から選択した少なくとも1種の粉体に10〜50重量%のぶどう樹木から得られる液体と0〜2重量%の着色料や1〜5重量%の保存料と0〜40重量%の水または温水または熱水とを混合し常法の生地手段や麺帯手段や製麺手段を用いて生麺類や生麺製品を得ることを特徴とする、無かん水および無塩麺製品およびその製造方法。
【請求項3】
無かん水および無塩で乾燥パスタ類や乾燥パスタ製品を得る方法において、穀粉類の中から選択した少なくとも1種の粉体に10〜50重量%のぶどう樹木から得られる液体と0〜40重量%の水または温水または熱水とを混合し常法のパスタ製品形成手段や常法の乾燥手段を用いて乾燥パスタ類や乾燥パスタ製品を得ることを特徴とする、無かん水および無塩麺製品およびその製造方法。
【請求項4】
無かん水および無塩で生パスタ類や生パスタ製品を得る方法において、穀粉類の中から選択した少なくとも1種の粉体に10〜50重量%のぶどう樹木から得られる液体と1〜5重量%の保存料や0〜40重量%の水または温水または熱水とを混合し常法のパスタ製品形成手段を用いて生パスタ類や生パスタ製品を得ることを特徴とする、無かん水および無塩麺製品およびその製造方法。
【請求項5】
前記ぶどう樹液が、ぶどう樹木から得られる原液または所定比率で濃縮して得られる濃縮ぶどう樹液または所定比率で希釈して得られる希釈ぶどう樹液であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の無かん水および無塩麺製品およびその製造方法。

【公開番号】特開2009−11300(P2009−11300A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198116(P2007−198116)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(507256991)有限会社アーリイバード (2)
【出願人】(506015247)坂井製粉製麺有限会社 (3)
【出願人】(507256717)
【Fターム(参考)】