説明

無機ナノ粒子およびそれから製造されるポリマー複合体

本発明は、2〜250nmの平均粒子寸法を有する金属酸化物または半金属酸化物ナノ粒子であって、ナノ粒子が少なくとも2つの異なるフリーラジカル重合可能基を表面に有することを特徴とするナノ粒子に関する。本発明は更に、そのようなナノ粒子から製造されるナノ複合体に関し、それらを製造するための方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機ナノ粒子、特に、金属酸化物および半金属酸化物、特にケイ素、チタン、ジルコニウム、セリウム、イットリウム、アルミニウム、亜鉛、アンチモンの酸化物およびそれらの混合物をベースとするナノ粒子であって、フリーラジカル重合可能基を粒子表面に有するナノ粒子、これらのナノ粒子を含有する分散物ならびにこれらの粒子分散物から製造されるポリマー複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
重合可能基(または重合性基)を表面に有する無機ナノ粒子が、例えば、分散媒としてのジプロピレングリコールジアクリレート中のビニル基で修飾されたSiO粒子をベースとする傷の付きにくいコーティングから公知である(独国特許第69826226号)。
【0003】
独国特許第10100633号には、有機ケイ素化合物によって表面に固定されたアリルまたはビニル型の基を有する無機金属酸化物および半金属酸化物が記載されている。
【0004】
Fadel(論文、2004年、ダルムシュタット)は、メタクリルオキシプロピル修飾TiO粒子を合成するためのStoeber法を用いて、TiO/ポリブチルアクリレート衝撃改質剤を合成している。Peyrelasseら(Langmuir、第22巻、第6683頁(2006年))は、Stoeber法によるSiOがグラフトされたポリブチルアクリレート鎖で満たされたポリブチルアクリレートのレオロジー挙動を研究した。
【0005】
メタクリルオキシプロピルがグラフトされたSiOナノ粒子およびメチルメタクリレートをベースとするネットワークが、Maugerらによって記載されている(Polym Int、第53巻:第378頁(2004年))。
【0006】
独国特許第19925331号は、カルボキシル官能性ナノ粒子とエポキシ官能性バインダーとの反応によって製造されるナノ粒子修飾バインダーを開示している。この反応は、マトリクスにおけるナノ粒子の特に良好な分布を達成し、ナノ粒子含有系において頻繁に観察される混和性の問題を取り除くといわれている。
【0007】
独国特許第10259460号には、アゾ開始剤を用いて修飾されるナノ粒子が記載されており、それによってナノ粒子の良好な混入が達成される。
【0008】
ナノ粒子は、多数の用途において材料特性を向上させる。ナノ複合体は、とりわけ、引っかき耐性および摩耗耐性(トライボロジー)、機械的特性(引張り強度、弾性係数、衝撃靱性)、バリア特性(ガスバリア)、燃焼挙動、流動特性(レオロジー)ならびに電気的特性を向上させることができる。プラスチックの屈折率は、高屈折性ナノ粒子によって向上させることができる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、フリーラジカル重合可能基を有するナノ粒子を提供することであり、そのナノ粒子は容易に製造可能であり、無機ナノ粒子と、その無機ナノ粒子でグラフトされた有機ポリマーとの良好な結合を可能にする。本発明の目的は特に、単純なフリーラジカル重合によって無機ナノ粒子と有機ポリマーとの有効な結合を得ることである。
【0010】
本発明は、2〜250nmの平均粒子寸法を有する金属酸化物または半金属酸化物ナノ粒子によってこの目的を達成し、これらのナノ粒子は、少なくとも2つの異なるフリーラジカル重合可能基を表面に有する。
【0011】
本発明によると、第3および第4主族の半金属酸化物および金属酸化物、遷移金属酸化物、ランタニドおよびアクチニドの酸化物ならびにそれらの混合物、ならびにこれらの酸化物をベースとするコアまたはシェルを有するコア−シェル粒子からなる群からのナノ粒子が好ましい。言及してよい例として、ケイ素、チタン、ジルコニウム、セリウム、イットリウム、アルミニウムおよびアンチモンの酸化物が挙げられる。尤も、他の金属酸化物または半金属酸化物を使用することが様々な用途に関して重要であり得る。この場合において、独国特許第10100633号に記載のコア−シェル構造を有するナノ粒子も興味深い。SiOをベースとするナノ粒子が特に好ましい。
【0012】
SiO粒子は好ましくは少なくとも50%の個別の非凝集または非集塊の一次粒子を含有する。更に好ましい下限は70%、80%、90%、95%および98%である。これらのパーセンテージは重量基準である。従って、本発明のこの要旨によると、SiO粒子の凝集体および/または集塊を本質的に含有しない分散物を提供することが可能である。これにより、その粒子によって製造される中間生成物および最終生成物の加工性(より低い粘度)および機械的特性が向上する。従来技術において公知の焼成シリカは、より大きい構造を形成する一次粒子の凝集体/集塊を有し、それは製造ルート(火炎熱分解)に起因し、その焼成シリカを用いて製造される中間生成物および最終生成物の加工性を困難なものにする。
【0013】
ナノ粒子の平均粒子寸法は2〜250nmの範囲である。粒子寸法の好ましい下限は4nm、5nmおよび8nmである。好ましい上限は150nm、50nmおよび30nmである。言及した上限および下限は、本発明の範囲を与えるために、いかようにも組み合わせることができる。
【0014】
粒子寸法は、Horiba製「Dynamic Light Scattering Particle Size Analyzer LB−550」において10重量%以下の粒子濃度で測定可能であり、分散物は25℃において3mPasの最大動粘度を有することが許容される。粒度分布のメジアン(または中央値、D50)を粒子寸法として報告する。
【0015】
固体において、粒子寸法は、透過電子顕微鏡法によって測定可能である。この目的のために、少なくとも100個の粒子を測定して粒度分布を構成する。
【0016】
本発明の一の要旨によると、2つの異なるフリーラジカル重合可能基(以下、AおよびB基と呼ぶ)は、これらが共に、互いに交互共重合体を選択的に形成しないように選択される。従って、2つの共重合パラメータ
【数1】

【数2】

は好ましくは共に0.5以上であるべきである;2つの共重合パラメータが共に1以上であることが好ましい。
【0017】
本発明の更なる好ましい要旨によると、単量体M1(例えば、粒子が分散している単量体)と、粒子における反応性基(各々の場合において単量体2)との共重合挙動に以下のルールを適用する:
M1とAとの共重合に関して:
r1<0.8(好ましくは<0.5)
r2>0.9(好ましくは>1.5);
M1とBとの共重合に関して:
r1>1.0(好ましくは>3)
r2<0.5(好ましくは<0.3)。
【0018】
表面における反応性基のrパラメータは、困難と共にのみ測定し得る。この理由のために、最も近い低分子量化合物のrパラメータを利用する。ここで、以下のスキームに従って基を分類する:
基: 参照:
アクリロ メチルアクリレート
メタクリロ メチルメタクリレート
イタコニル イタコン酸
クロトニル クロトン酸メチル
ビニル ビニルアセテート
アリル、アルケニル アリルアセテート
スチリル スチレン
【0019】
ここに列挙していない基は、金属原子を水素原子で置き換えることによって、第1金属原子に対する断片(またはフラグメント)として評価する。アクリルアミドプロピルシランは、N−プロピルアクリルアミドとして評価する。
(例えば塩基性酸化アルミニウム表面における)オレイン酸塩等の塩、(酸性表面における)ビニルピリジンは遊離単量体と同様に評価する。反応性側鎖を有するポリマーは、単独の各側鎖基と同様に評価する(例えば、ポリアリルメタクリレートをアリルアセテートと同様に評価する)。
【0020】
本発明のナノ粒子は、好ましくは第1にメタクリル、アクリル、スチリルおよび/またはイタコニル基(A基)、ならびに第2にビニル、アリル、アルケニルおよび/またはクロトニル基(B基)を表面において有する。
【0021】
ナノ粒子表面におけるこれらの各々の基の濃度は、好ましくは1nm当たり0.01〜10個(または基)、好ましくは1nm当たり0.1〜4個、より好ましくは1nm当たり0.1〜1個である。
【0022】
粒子は、重合性基とは別に、重合において反応しない基も有することができる。
【0023】
球状粒子の場合、粒子の表面積は粒子寸法から計算可能である。計算は、粒度分布のメジアン(D50)を用いて行う。その後、粒子の密度(ρ)を用いて比表面積(A)が計算可能である:
【数3】

【0024】
コロイド状二酸化ケイ素の密度は2.1g/cmである。単位表面積当たりの反応性基の数(n)は、単位質量当たりの反応性基の数(n)を比表面積で除したもので与えられる:
【数4】

【0025】
単位質量当たりの反応性基の数nは適切な分析方法によって測定可能である。アルコキシシラン、アシルオキシシラン、アセトキシシラン、アルケノキシシランまたはオキシモシラン(oximosilane)型のシランが反応性基を表面に結合させるのに用いられる場合、シランの完全な加水分解を仮定し得、即ち用いられる全ての基が粒子表面に存在する。
【0026】
粒子表面における重合可能基の数は、NMR分光法またはDSC(示差走査熱量測定)によっても測定可能である。これらの方法は、反応性基の測定に適した分析方法(例えばビニル基の場合におけるヨウ素価測定)が利用できない場合に特に使用可能である。DSCにおいて、粒子表面における重合可能基の数の尺度として重合熱を測定する。このDSC測定において、規定された量の表面修飾SiO粒子を標準ペルオキシド溶液に混合して反応熱を測定する。この方法は例えばDE 36 32 215 A1に記載されている。
【0027】
0.01〜10個/nmのメタクリル基および更に0.01〜10個/nmのビニルまたはアリル基を表面において有するナノ粒子が極めて好ましい。表面において0.01〜6個/nmのメタクリルオキシプロピル基を含有し、0.01〜6個/nmのビニル基も含有するナノ粒子が特に好ましい。適用数に関して(以下を参照)、表面において僅か0.01〜1個/nmのメタクリル基を有するが、1〜10個/nmのビニル基を有する粒子が好都合である。
【0028】
本発明は、本発明のナノ粒子を含有する重合可能複合体(ポリマー複合体)も提供する。そのような複合体を製造するのに用いられる重合可能樹脂を、以下、分散媒とも呼ぶ。表面修飾ナノ粒子はその中に分散される。樹脂の硬化において、ナノ粒子は表面における重合可能基によって共重合して、ネットワークが形成され、そして、粒子表面における複数の反応性基により架橋点が形成され得る。粒子が樹脂(好ましくは(メタ)アクリレート)中に分散状態で存在するという事実により、重合の間の粒子の均一な分散が可能となる。粒子が(メタ)アクリレート中に分散状態で存在しない場合、ポリマー中の粒子の集塊または不均一分布が重合において生じ得る。
【0029】
表面においてA型およびB型の基で修飾された粒子に対して好ましい分散媒は、アクリル酸のC1〜C8−エステルである。メタクリル酸のC1〜C8−アルキルエステルも分散媒として用いることができる。
【0030】
本発明によると、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%のナノ粒子が個別の非凝集または非集塊の一次粒子の形態で存在することが好ましい。これらの重量基準のパーセンテージは、分散物中のナノ粒子の総重量を基準としている。
【0031】
本発明によるSiO粒子の二重表面修飾(即ち、2つの異なるフリーラジカル重合可能基による修飾)は、SiO粒子が重合の異なる段階においてポリマー鎖に組み込まれるという利点を有する。従って、粒子表面におけるメタクリレート基は、SiO粒子が重合の初期段階においてさえポリマー鎖に結合されること、およびポリマーマトリクスにおける粒子の良好な分布がこの結合によって確保されることを確実にする。一方、ビニル基は、特に高転化において、即ち最後の重合において有効である。従って、重合の初期における事象は、二重修飾によって最後の重合における事象と関連付けられる。例えば均一な伸縮性ネットワークがこのようにして得られる。
【0032】
2つの異なるフリーラジカル重合可能基によるこの表面修飾が、基AおよびBと種々のフリーラジカル重合可能単量体との完全に異なる共重合挙動をもたらすことが特に重要である。
【0033】
従って、媒体としてのメチルアクリレートにおける、メタクリル基およびビニル基を表面に有するナノ粒子の分散物のフリーラジカル重合において、粒子表面のメタクリル基はポリメチルアクリレート鎖の中に選択的に組み込まれ、一方、ビニル基は、異なる共重合パラメータの組み合わせの結果として、僅かに共重合し又は全く共重合しない:
メチルアクリレート=M1/メチルメタクリレート=M2
式中r1=0.4、r2=2
メチルアクリレート=M1/ビニルアセテート=M2
式中r1=9、r2=0.05
メチルアクリレート=M1/エチレン=M2
式中r1=11、r2=0.2
【0034】
ここで、粒子表面のメタクリルオキシプロピルは、メタクリル酸エステルと同様に振る舞い、例えばビニルトリメトキシシランによって導入されるビニル基は、標準的なビニル基、例えばビニルアセテートまたはエチレン型のビニル基と同様に共重合すると仮定する。共重合パラメータの問題に関しては、J.Brandrup、E.H.Immergut『Polymerhandbook』第3版(1989年、J.Wiley&sons、ニューヨーク)を参照のこと。
【0035】
メチルメタクリレート中の分散物としての、メタクリルオキシプロピルおよびビニル基を表面に有するこれらのナノ粒子の重合における共重合比は類似している(同様である?)。従って、MMA/エチレン系に関する値は以下の通りである:
メチルメタクリレート=M1/エチレン=M2
式中r1=17、r2=0.2
【0036】
約1の値は、メタクリルオキシプロピル基とMMAとの共重合パラメータの近似値であると仮定され、この値は種々のメタクリル酸エステル相互の通常の共重合パラメータに対応する。
【0037】
従って、分散媒としてのMMAの場合において、粒子表面のメタクリルオキシプロピル基の、PMMA鎖への統計的(またはランダムな)混入、およびビニル基の区別が見られる。
【0038】
2つの異なる重合可能基を粒子表面に有する本発明のナノ粒子からのポリマー複合体の合成は、分散媒または樹脂として(メタ)アクリル酸エステルを使用することに限定されない。
【0039】
むしろ、本発明のナノ粒子の表面における反応性基と共重合可能な他の単量体を用いることも可能である(好ましくは第1に(メタ)アクリル酸エステルならびに第2にビニル、アリル、ヘキセニルおよびクロトニル基)。言及してよい例として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリロニトリル、スチレン、ビニルエステルおよびビニルアミドが挙げられる。
【0040】
全調合(複合体)におけるこれらの追加の単量体の割合は、好ましくは0〜50重量%、好ましくは0〜20重量%である。
【0041】
2つの異なるフリーラジカル重合可能基を表面に有する本発明のナノ粒子の製造は、例えば、コロイド状の金属酸化物または半金属酸化物を種々のシラン(例えばメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシラン)の混合物と反応させることによって行われる。
【0042】
ナノ粒子における重合可能基と分散媒の単量体との共重合は、バルクにおいて、または溶媒の存在下で行われ得る。更に、その共重合は、沈殿重合として行うことも可能である。
【0043】
特に溶媒における重合において、第1の単量体(単量体1)を加えて例えば粒子表面のメタクリルオキシプロピル基と反応させることによって、ポリマー1がグラフトされたナノ粒子がまず発生し、その後、第2の単量体(単量体2)を加えることによって、粒子表面に残存する基、例えばビニル基を介してポリマー2がナノ粒子に結合する機会が存在する。ナノ粒子によって架橋されたポリマー1−ポリマー2ブロック共重合体はこのようにして得られる。
【0044】
本発明の二重修飾ナノ粒子を使用する利点は、例えばメタクリレートキャスティング樹脂の硬化において見られる。従って、ナノ粒子表面に存在するメタクリレート基は、ポリメタクリレートに対するナノ粒子の早期結合の形成をもたらし、それにより、粒子とメタクリレートマトリクスとの良好な相溶性をもたらす。
【0045】
対照的に、粒子表面のビニル基は最後の重合に関与する。従って、純粋なメタクリレートは、堅固なポリメタクリレート鎖を理由として、極めて低い天井温度(例えばPMMAに関して約160℃)を示す。
【0046】
従って、最後の重合は困難と共にのみ可能である。残留メタクリレート単量体は平衡において常に残されるであろう。この熱力学的に規定されたメタクリル基の残留含有量は通常、アクリル酸エステル(天井温度:ほぼ400℃)を加えることによって減らすことができる。多数のアクリレート単量体の顕著な刺激作用に起因して、これらの単量体の使用は、特に医学的用途において制限される。
【0047】
ここで、二重修飾ナノ粒子が援助を行う。上述のように、MMAとビニル基との共重合においてビニル基が残され、一方、メタクリレートは選択的にポリマー鎖に組み込まれる。このようにして、後に残る残留単量体、例えばMMAは、ナノ粒子に存在するビニル基との共重合によって実質上滴定除去(titrated away)される。最終的に、少数のビニル基が残留単量体基として粒子表面に残る。しかし、ナノ粒子がポリマーマトリクスにしっかりと結合されているので、これらの基は移動活性(migration active)でない。
【0048】
例としてアクリルゴムに関して以下に示すように、本発明の二重修飾ナノ粒子は、ビニルポリマーの架橋剤として極めて一般的に使用可能である。第1反応段階において、ナノ粒子は(メタ)アクリルオキシ基によってポリマーに結合し、一方、ビニル、アリル、ヘキセニルまたはクロトニル基による架橋は第2段階において起こる。
【0049】
アクリルゴムを製造するために、本発明のナノ粒子をC1〜C8−アルキル(メタ)アクリレート中に分散する。好ましい単量体は、エチル、ブチルおよび2−エチルヘキシルアクリレートである。一般に、単量体混合物は、0℃より低い、好ましくは−20℃より低いガラス転移温度を有する共重合体が得られるように選択される。
【0050】
共重合体のガラス転移温度は、Fox式によって計算可能である(T.G.Fox、Bull.Am.Phys.Soc.(Ser.II)、1、123(1956))。
【0051】
アクリルゴムの合成に好ましいナノ粒子は、粒子表面に(メタ)アクリル基およびビニル基の両方を有する粒子である。メタクリルオキシプロピル基およびビニル基で修飾されたSiO粒子が特に好ましい。
【0052】
例えばブチルアクリレート中に分散された、例えばメタクリルおよびビニル基を有するナノ粒子のキャスティング法による重合は、熱分解する開始剤、レドックス開始剤、UV開始剤を用いて、または硬放射線(または高エネルギー放射線)によって行われる。熱活性開始剤による重合の場合において、開始剤混合物であって、1つの種が比較的低い温度で分解して比較的安定なCラジカル(例えばt−アミルペルオキシピバレート、半減期:71℃で1時間)を形成し、他の種が比較高い温度でのみ分解してグラフト活性なOおよびCラジカル(例えばt−ブチルペルオキシベンゾアート、半減期:124℃で1時間)を形成する開始剤混合物を用いることが好ましい。
【0053】
ポリブチルアクリレートに対する(メタクリルオキシプロピル基による)ナノ粒子の早期結合が形成され、最後の重合事象においてビニル基によってナノ粒子が包含されることにより、良好な機械的特性および光学特性を有するアクリルゴムの形成がもたらされる。これらのゴムの硬度は、例えばナノ粒子の含有量およびガラス転移温度によって調節可能である。一般に、この用途におけるナノ粒子の含有量は、5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲である。
【0054】
2重修飾ナノ粒子を用いたアクリルゴムの製造は、2段階プロセスとしても容易に実施可能であることがわかった。ここで、(メタ)アクリル基およびビニル、アリル、アルケニルまたはクロトニル型の基を有するナノ粒子は、第1段階において、適切である場合には不活性溶媒、例えばブチルアセテートの存在下で、例えばブチルアクリレート中に分散され、開始剤、例えばAIBNによって約90%の転化率に重合し、その開始剤は分解してグラフト活性をほとんど有しない安定なラジカルを形成する。その後、溶媒および未だ存在するブチルアクリレートも除去する。
【0055】
このようにして得られるナノ粒子含有粘性液状ゴムを、熱分解するグラフト活性開始剤またはUV開始剤を加えた後に適切な鋳型に導入し、熱、光によって、または添加することなく硬放射線によって直接的に加硫する。
【0056】
ナノ粒子含有液状ゴムのこの加硫はペルオキシド硬化であると考えることができ、ナノ粒子のビニル基は、コモノマーとして作用して架橋効果を増大させる(図1を参照のこと)。アクリレートゴムのこの2段階製造に好ましい単量体は、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートである。
【0057】
ビニル基を有し且つメタクリレート基によって固定されるナノ粒子を含有するポリブチルアクリレートによるアクリレートゴムの合成のこの形態は、実質上収縮性がなく、無臭であり、かつエミッションフリーである。この方法において、硬度は、ナノ粒子の含有量、粒子表面における重合可能基の数および用いられるペルオキシドの量によって調節可能である。
【0058】
この液状ゴムプロセスにおいて、比較的低い含有量、例えば0.01〜1個/nmの(メタ)アクリル基を有し、それと同時に比較的高い含有量、例えば2〜10個/nmのビニル基を有するナノ粒子が好ましい。
【0059】
硬化の間に揮発性成分を全く加えないこの純粋な液状ゴム合成とは別に、第1段階において、ブチルアクリレートおよび溶媒において2重修飾ナノ粒子を重合させ、その後溶媒を除去し、それを他の単量体、例えばMMAまたはスチレンで置き換えることによって、2段階プロセスを行うことも可能である。
【0060】
従って、例えば、第1段階からの80部の(例えば20重量%の2重修飾ナノ粒子を含有する)ポリブチルアクリレートおよび20部のスチレンの混合物を、第2段階においてペルオキシドと混合し、鋳型に導入して重合させる。この場合において、ナノ粒子およびポリスチレン領域によって架橋されたアクリルゴムが得られる。コモノマーとしてスチレンを用いる場合において、アリル基は、粒子表面における重合可能基Bとして注目される。
【0061】
金属酸化物粒子は好ましくはそれらを官能化するための表面修飾を有し、適切である場合にはそれらの粒子を単量体と混合可能にする。当該技術分野において公知でありよく知られている表面官能化方法は、例えば、表面のシラン化、チタナートおよびジルコナートとの反応、アルコール分解、極性表面とイオン結合を形成する酸性、塩基性またはイオン性化合物の使用、ポリマーと単量体とのフリーラジカル結合、ならびに疎水性ポリマーの単に物理的な付着である。
【0062】
酸性表面を有する酸化物、例えば二酸化ケイ素は、塩基性分子とイオン結合を形成し得る。これらの塩基性分子には好ましくは窒素化合物が含まれる。これらの窒素化合物は更なる重合可能基を有し得る。例として、ビニルピリジン、ビニルピロリドンおよびアリルアミンが挙げられる。塩基性表面を有する酸化物、例えば酸化アルミニウムおよび酸化亜鉛は有機酸と反応してイオン結合を形成し得る。例として、オレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。
【0063】
SiO粒子表面のシラン化は、好ましくは有機シランまたは有機シロキサンを用いて行われる。シラン化は、当該技術分野においてよく知られている技術である。
【0064】
有機シランまたは有機シロキサンは好ましくは、式RSiX4−aの有機シラン、式(RSi)NR3−bの有機シラン、および式RSiO(4−n)/2の有機シロキサンからなる群から選択され、式中、各々のRは独立して、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルまたは1〜18個の炭素原子を有する有機官能性炭化水素ラジカルまたは水素原子の中から選択され、各々のXは独立して加水分解性基の中から選択され、a=0、1、2または3であり、b=1、2または3であり、nは2〜3(2および3を含む)である。加水分解性基の例として、ハロゲン、アルコキシ、アルケノキシ、アシルオキシ(acyloxy)、オキシミノ(oximino)およびアミノキシ(aminoxy)基が挙げられる。有機官能性炭化水素ラジカルの中で、フリーラジカル重合において反応性を示す不飽和ラジカルが特に好ましい。そのような有機ラジカルの例として、メタクリロイル、アクリロイル、スチリル、ビニル、ヘキセニルおよびアリル官能基または基を有する有機ラジカルが挙げられる。
【0065】
粒子を反応性基で官能化するために、例えば以下のものが使用可能である。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリアセトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジエトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン、ビニルベンジルエチレンジアミンプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルエチレンジアミンプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、アリルエチレンジアミンプロピルトリメトキシシラン、アリルエチレンジアミンプロピルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリメチルトリビニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタビニルシクロペンタシロキサンおよびヘキサメチルヘキサビニルシクロヘキサシロキサン。これらのシラン同士の混合物またはこれらのシランとクロロトリメチルシランもしくはオクチルトリメトキシシラン等の非官能化シランとの混合物を用いることも可能である。シラン化は、複数の工程で、および異なる溶媒において行うことも可能である。
【0066】
表面修飾を行う別の方法において、SiO粒子をアルコール、ポリオールまたはそれらの混合物で処理し得る。処理の結果として、SiO粒子表面におけるシラノール基がアルコールのヒドロキシル基と化学結合し、表面に結合されたエステル基が形成される。この技術は、例えばUS−A−2801185に記載されている。本発明の目的のために、不飽和1級アルコールを少なくとも部分的に用いることが好ましい。そのようなアルコールの例として、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびアリルアルコールが挙げられる。
【0067】
官能化を行う更なる方法は、アンカー基、例えば官能化シランによる表面修飾である。これらのシランは、第2工程において分子自体が2つの反応性基を有する分子と反応し得る反応性基を有する。一方の基はシランと反応し、もう一方の基はフリーラジカル重合において反応性を示す。
【実施例】
【0068】
[実施例1 ナノ粒子分散物の製造]
(P1)
コロイド状シリカゾル(水中の40重量%のSiO、動的光散乱による粒子寸法(D50):25nm、NaOHで安定化)を、酸性イオン交換体(Amberjet 1200H、Rohm&Haas)において、pH2〜3に達するまで撹拌した。イオン交換体から濾過した後、2000gの酸性ゾルを、59.6gのMEMOおよび35.6gのビニルトリメトキシシランと共に2時間撹拌した。
【0069】
ゾルを2800gのイソプロパノールで希釈し、その結果、イソプロパノールおよび水の70:30の比の混合物において17重量%の固体含有量を有するゾルが得られた。粒子は、1nm当たり1.6の(ビニルトリメトキシシランからの)ビニル基および1nm当たり1.6の(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランからの)メタクリル基を表面に有する。
【0070】
(P2)
コロイド状シリカゾル(水中の40重量%のSiO、動的光散乱による粒子寸法(D50):25nm、NaOHで安定化)を、酸性イオン交換体(Amberjet 1200H、Rohm&Haas)において、pH2〜3に達するまで撹拌した。イオン交換体から濾過した後、400gの酸性ゾルを、11.9gのMEMOおよび7.1gのビニルトリメトキシシランと共に2時間撹拌した。混合物を2400gのイソプロパノールと混合し、約450gが残るまで減圧下で蒸留した。
【0071】
1600gの安定化されたブチルアクリレート(メトキシヒドロキノンで安定化)を加え、イソプロパノールが除去されるまで混合物を減圧下で蒸留した。33.4重量%の固体含有量を有する分散物が得られた。粒子は、1.6mmol/nmの(ビニルトリメトキシシランからの)ビニル基および1.6mmol/nmの(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランからの)メタクリル基を表面に有する。
【0072】
[実施例2 ナノ粒子分散物P2をベースとするアクリルゴムプレート]
0.07gのジドデカノイルペルオキシド
0.11gのベンゾイルペルオキシド(25重量%の水を含有)
2gのブチルアクリレートおよび
48gのP2
の混合物を脱気(約20mbar)し、室温にて重合チャンバーに導入する。重合チャンバーの外形寸法:150×200mm。チャンバーの構成:ガラスプレート/スペーシング・ストリング(Spacing string)(3mm)/ガラスプレート。
【0073】
その後、重合を水浴においてまず70℃で3時間、次いで85℃で2時間行う。炉において110℃で2時間加熱することによって、最後の重合を行う。
【0074】
これにより無色透明のアクリルゴムプレートが得られる。
【0075】
[実施例3 ナノ粒子の含有量を減少させた粒子分散物P2をベースとするアクリルゴムプレート]
実施例2の重合実験を繰り返すが、異なる組成を選択する:
用いられる重量:
0.05gのジドデカノイルペルオキシド
0.10gのt−ブチルペルベンゾアート
10gのブチルアクリレート
40gのP2
【0076】
重合およびその後の熱処理(130℃で2時間)の後に、僅かに黄色を帯びた透明な可とう性ゴムプレートが得られた。
【0077】
[実施例4 ナノ粒子の含有量を更に減少させた粒子分散物P2をベースとするアクリルゴムプレート]
実施例2による実験を繰り返したが、異なる組成を選択した:
用いられた重量:
0.05gのジドデカノイルペルオキシド
0.10gのジベンゾイルペルオキシド
20gのブチルアクリレート
30gのP2
【0078】
これにより、無色透明のゴムプレートが得られた。
【0079】
[実施例5 2段階プロセスによるブチルアクリレートゴムの合成]
13.7gのP2、4.2gのブチルアクリレート、72.7gのブチルアセテートおよび0.025gのAIBNの混合物を、保護ガスとしてのアルゴン下で83℃にて30分間撹拌しながら重合する。これにより、流動性の透明な溶液(固体含有量:15%)が得られる。
【0080】
揮発性成分を除去すると、無色透明の変形可能な(または可塑性)組成物が得られる。
【0081】
架橋実験:
15gの溶液を、固体を基準として2重量%のジベンゾイルペルオキシドと混合し、ガラス皿に入れる。乾燥後、混合物を140℃で2時間加熱する。
【0082】
これにより、ガラス皿の形状を再現する、透明で僅かに黄色を帯びたゴムが得られる。
【0083】
[実施例6 ポリブチルアクリレート/ポリビニルピロリドングラフト共重合体を製造するための2重修飾ナノ粒子の使用]
43.5gのP1、34.3gのイソプロパノール、7.5gのブチルアクリレートおよび0.12gのAIBNの混合物を、保護ガスとしてのアルゴン下で撹拌装置に入れ、75℃に加熱する(初期温度)。初期温度に達した後、それを10分間保持する。その後、12gのN−ビニルピロリドンを30分間にわたって滴加し、次いで、混合物を75℃で更に30分間撹拌する。
【0084】
室温に冷却すると、27.7重量%の固体含有量を有する安定な流動性透明分散物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2〜250nmの平均粒子寸法を有する金属酸化物または半金属酸化物ナノ粒子であって、ナノ粒子が少なくとも2つの異なるフリーラジカル重合可能基を表面に有することを特徴とする、ナノ粒子。
【請求項2】
平均粒子寸法が少なくとも4nm、好ましくは少なくとも5nm、より好ましくは少なくとも8nmであること;および平均粒子寸法が好ましくは150nm以下、より好ましくは20nm以下、より好ましくは30nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
ナノ粒子が、第3および第4主族の金属酸化物、遷移金属酸化物、ランタニドおよびアクチニドの酸化物からなる群から選択され、ナノ粒子が好ましくはSiOナノ粒子であることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
少なくとも2つの異なるフリーラジカル重合可能基が、第1にメタクリル、アクリル、スチリルおよびイタコニル基、ならびに第2にビニル、アリル、アルケニルおよびクロトニル基の中から選択され、ナノ粒子表面における各々の基の濃度が、好ましくは1nm当たり0.01〜10個、好ましくは1nm当たり0.1〜4個、より好ましくは1nm当たり0.1〜1個であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項5】
ナノ粒子が、非重合性の疎水化基、例えばメチル、エチル、プロピル、フェニルを更に含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項6】
ナノ粒子が、表面において0.01〜6個/nmのメタクリルオキシ基および0.01〜6個/nmのビニル基を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項7】
少なくとも1つの硬化性樹脂と、その中に分散された請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノ粒子とを含有し、好ましくはアクリル酸および/またはメタクリル酸のC1〜C8−アルキルエステルを含有することを特徴とする、硬化性ナノ複合体。
【請求項8】
少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のナノ粒子が個別の非凝集または非集塊の一次粒子の形態で存在することを特徴とする、請求項7に記載のナノ複合体。
【請求項9】
金属酸化物または半金属酸化物のコロイド状溶液または分散物を、混合物と反応させる、または複数の段階において少なくとも2つのシランと反応させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
シランがメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシランを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項7または8に記載の硬化性ナノ複合体が、フリーラジカル活性開始剤の添加によって及び/又は高エネルギー放射線によって重合することを特徴とする、硬化ナノ複合体の製造方法。
【請求項12】
少なくとも2つの重合段階で実施されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
全バッチを基準として少なくとも10重量%の溶媒の存在下で第1段階を実施し、全バッチを基準として5重量%以下の溶媒の存在下で第2段階を実施することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1重合段階の単量体と異なる単量体を用いて第2重合段階を実施することを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法によって製造される液状ゴムを、硬放射線の作用によって、(UV開始剤の存在下で)光によって、またはペルオキシドの使用によって加硫することを特徴とする、アクリレートゴムの製造方法。

【公表番号】特表2011−517718(P2011−517718A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504383(P2011−504383)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002854
【国際公開番号】WO2009/127433
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(510027537)ナノレジンス・アクチェンゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】nanoresins AG
【Fターム(参考)】