説明

無機EL素子用蛍光体及び製造方法

【課題】 低消費電力タイプの分散型無機EL素子用蛍光体を提供する。
【解決手段】 分散型無機EL素子用蛍光体は、ドナー元素イオンを蛍光体母結晶内部に多量に固溶せしめn型半導体化させると共に、蛍光体表面に、電子及び正孔(ホール)の供給源となる材料を点在・分散化させる構造とした。電子及び正孔の供給源となる材料として光の反射効率の高いAl、Agなどの金属を使用した場合、蛍光体表面に占める面積比率を50%としても、金属薄膜において反射・吸収を繰り返すことにより、最終的に外部に出ることが出来た光の確率(η)は約90%となり、発光効率上はほとんど問題がない。又、電子及び正孔の供給源となる材料として仕事関数の小さなMgなどの金属材料を用いる時は、蛍光体表面に占める面積比率を20%〜30%程度に低くすれば、発光効率上ほとんど問題がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子に用いられる蛍光体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話等のバックライトに使用される薄型光源としてEL素子が知られている。EL素子としては、例えば無機EL素子、発光ダイオード、及び有機EL素子があげられ、中でも、無機EL素子の1つである分散型交流無機EL素子は、広く一般的に用いられている。分散型交流無機EL素子の構造は非常に単純で、電極の間に硫化亜鉛などの発光材料(蛍光体)を挟んで、これに強い交流電界(普通は100V〜200V)をかけて、内部の電子を激しく揺さぶり発光させる。実際に電流が流れることで発光する有機EL素子や発光ダイオードと違って、電子は振動しているだけなので、無駄な電流がほとんど流れないため、低消費電力タイプの光源として期待されてきた。特に昨今の環境問題から、蛍光灯の代替品として、消費電力が1/3程度の消費電力で、蛍光灯と同等の明るさを持つ無機EL光源の実現が期待されているが、従来の分散型無機EL素子用蛍光体は、発光の駆動電圧が高く且つ発光効率が低いという欠点を持つため、いまだ低消費電力タイプの光源が実現できていないのが現状である。又、分散型交流無機EL素子はスクリーン印刷で簡単に作ることが出来るので、低コスト・大面積・フレキシブル基板という展開が可能であるという特徴を持つ。
【0003】
従来の分散型無機EL素子用蛍光体としては、特許文献1に記載のように、硫化亜鉛(ZnS)系蛍光体が使用されている。このZnS系蛍光体として、例えばZnSからなる母体材料に、付活剤としてCu等を添加し、更に共付活剤としてClやAl等のドナー元素を添加したものなどを使用することが出来る。このZnS;Cu、Cl蛍光体を用いた分散型無機EL素子では、CuがZnS結晶格子に入ってアクセプタとなり、Cl等のドナー不純物と共に発光中心を構成する。無機EL発光のタイプとしては、ドナー準位とアクセプタ準位を利用するドナー・アクセプタ再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光の二つがあるが、ZnS系蛍光体の例では、前者のドナー・アクセプタ再結合型発光である。ドナー・アクセプタ再結合型発光ではドナー元素とアクセプタ元素の二つの元素を添加させる必要があるが、局在型発光の場合は発光中心となる一つの元素(希土類など)を添加するだけで良いことになる。ドナー・アクセプタ再結合型発光では、ドナー元素(Cl)とアクセプタ元素(Cu)を1:1の比率で添加すると、ドナー元素(Cl)とアクセプタ元素(Cu)はプラス・マイナスの引力が働き、お互い引き付け合う形でZnSの結晶構造の中に固定される。発光はドナー準位にある電子がアクセプタ準位にある正孔と再結合することにより起こるため、発光波長(発光色)は基本的にドナー準位とアクセプタ準位のエネルギーにより決まり、これが大きいほど短波長の発光となる。発光のエネルギー(k)と発光波長(λ)は下記の式で表される。
k=Eg−(ED+EA)+〔e÷(4×π×ε×ε×r)〕
λ=1240÷k
Eg:ZnSのバンドギャップエネルギー
ED:ドナーの束縛エネルギー(ドナー準位)
EA:アクセプタの束縛エネルギー(アクセプタ準位)
e:電子の電荷量=1.602×10―19(クーロン)
ε:ZnSの比誘電率
ε:真空の誘電率=8.92×10―12
r:ドナーとアクセプタの距離
この様に、ZnS系蛍光体の場合はドナー・アクセプタペア発光を行う目的でドナー元素(Cl)を添加するのであって、n型半導体化させる目的でドナー元素(Cl)を添加するのではない。但し、ドナー・アクセプタペア発光の二つの元素(Cu、Cl)を添加するだけではEL発光しないため、余分にCuを添加する必要がある。余分に添加され結晶格子に入りきれないCuは、ウルツ型(六方晶)構造と閃亜鉛型(立方晶)構造という二つの混合構造の間の結晶格子欠陥に沿って針状に析出し、CuS(硫化銅)として存在する事になる。電圧を素子に印加すると針状の硫化銅の先端に電界が集中する。針状の硫化銅からは、電子が正極側に近い先端から正孔(ホール)が負極側に近い先端から放出される。ZnS結晶内では、電子はドナー不純物に、正孔はアクセプタにトラップされる。電界の向きが反転するとトラップされていた電子が飛び出し対極側に移動してアクセプタにトラップされた正孔と再結合し、EL発光を生じる。以上の様なメカニズムで無機EL発光するため、分散型無機EL用蛍光体には、蛍光体内部又は表面に電子及び正孔を供給する材料が必要となるが、ZnS系蛍光体では、内部に電子及び正孔を供給する材料である針状のCuS(硫化銅)を容易に作製出来るため広く使用されているのが現状である。
【0004】
しかしながら、従来のZnS系蛍光体を使用した分散型無機EL素子は、下記二つの欠点を持っている。一つ目の欠点は、発光に必要な駆動電圧が高いことである。分散型交流無機EL光源の消費電力及び発光輝度は下記の式で表される。
【0005】
消費電力=電極面積×発光層の誘電率÷発光層の厚み×交流電源の周波数×駆動電圧×誘電正接
発光輝度∝電極面積×発光層の誘電率÷発光層の厚み×交流電源の周波数×駆動電圧
【0006】
即ち、消費電力は駆動電圧の2乗に比例する訳であるが、発光輝度は駆動電圧の1乗に比例するため、同じ発光輝度を実現するのに、駆動電圧が10倍になると 消費電力が100倍と非常に大きくなることになる。従来の分散型無機EL素子の場合、特許文献2のデータに記載の様にAC200V程度の高圧電源が使用されている。AC200V程度の高電圧が必要な理由を説明すると以下の様になる。
【0007】
ZnSは弱いn型半導体を形成し、硫化銅は縮退した弱いP型半導体を形成するため、ZnSと硫化銅の界面は一種のpn接合となり、ZnSと硫化銅の界面にpn接合のバリア(障壁)層が発生する。前記のバリア層を突き破って硫化銅から電子や正孔がZnS結晶内に流れ込むためには1〜10×10 V/cm程度の大きな電界が必要となるが、前記pn半導体の場合、ZnS結晶内の電子密度(キャリア密度)が小さいために、1〜10×10 V/cm程度の大きな電界を作るためには、AC200V程度の大きな駆動電圧が必要になる。
【0008】
次に、ZnSの電子密度(キャリア密度)が小さい理由は下記二つの理由による。一つ目の理由は、ヒューム・ロザリーの法則により、ZnS結晶体の中に、ドナー元素であるClやAlを僅かしか固溶させることが出来ないことによる。
ヒューム・ロザリーの法則とは、溶媒原子の代わりに溶質原子が置き換わる置換型固溶体に於いて、それぞれの原子の大きさが同じぐらいであると、置換がおこなわれ易い。原子半径の違いが10%ぐらいまでは、成分比の全体にわたって完全に固溶するが、それ以上では固溶度は急激に減少し、15%以上ではほとんど固溶しなくなるという法則である。ここで原子半径の違いで表す比率とは、置換元素のイオン半径からドナー元素のイオン半径を差し引いた絶対値を、置換元素のイオン半径で割った値のことである。
即ち、置換元素であるZnの酸化数が+2でイオン半径が約6nmに対し、ドナー元素である酸化数が−1であるClのイオン半径が約18.1nmとZnとのイオン半径の違いが約200%と大き過ぎるため、ヒューム・ロザリーの法則よりZnS結晶体の中に、ドナー元素であるClを僅かしか置換させることが出来ないことになる。同じく、ドナー元素としてAlを使用した場合も、酸化数が+3であるAlのイオン半径が約3.9nmとZnとのイオン半径の違いが約35%と大き過ぎるため、ヒューム・ロザリーの法則よりZnS結晶体の中に、ドナー元素であるAlを僅かしか置換させることが出来ないということになる。非特許文献4では、液相焼結方式でZnS:Cu、Clを作製する時に、Clのモル比率を、0.1%と非常に小さいモル比率にしている事実が、上記の問題を表している。
【0009】
二つ目の理由は、焼結方式を採っているからである。例え、ヒューム・ロザリーの法則に則った適切なイオン半径のドナー元素が選定できたとしても、焼結方式で蛍光体を作製すると、母結晶内部に固溶するドナー元素の比率が少なく、結晶表面に析出するドナー元素の比率が多くなるため、結果的にZnSの電子密度(キャリア密度)は小さくなる。焼結方法を採る理由は、非特許文献3に記載の様に、1000℃を超える高温で焼結させ、結晶性の高いウルツ型(六方晶)構造を作製した後、更に1000℃以下の低温で加熱することにより、閃亜鉛型(立方晶)構造を作製し、前記二つの混合構造の高密度積層欠陥部に電子及び正孔を供給する針状の硫化銅を偏析させる必要があるため、ZnSを融点(1700℃)以上で溶融する溶融方式を採ると、上記の様な二つの混合構造の高密度積層欠陥部を作製出来ず、無機EL素子用蛍光体の役割を果たせないことになる。
【0010】
非特許文献4には、液相焼結方法で作製したウルツ型(六方晶)構造と閃亜鉛型(立方晶)構造の二つの混晶構造のZnS蛍光体で、付活剤の多くが表面近傍に存在するという不具合により、発光強度が著しく減少したという記載がある。従って非特許文献4で示す様に、ドナー元素や付活剤を母結晶内部に固溶させるための工夫は、非常に重要となる。
【0011】
又、pn接合面(空乏層)での電界の強さは下記の式で表される。
E(電界の強さ)∝{2×e×Nd×(Φ+V)÷ε÷ε0.5
e:電子の電荷量=1.602×10―19(クーロン)
Nd:n型半導体の伝導帯に励起された電子の密度
Φ:pn接合面のバリア電圧(使用するp型半導体とn型半導体の電子親和力の差で発生するバリアの強さ)
V:駆動電圧
ε:n型半導体の比誘電率
ε:真空の誘電率=8.92×10―12
【0012】
このように、電界の強さは(電子密度×駆動電圧)0.5に比例するため、同じ電界の強さを得るためには、電子密度が小さいと駆動電圧を大きくする必要がある。この様な理由でZnS系蛍光体の場合、大きな駆動電圧が必要になる。
【0013】
二つ目の欠点は、エネルギー利用効率と耐久性が悪いことである。特許文献2では硫黄の欠陥部に電子がトラップされることにより、電子と正孔の再結合が阻害され、結果的に発光輝度が悪くなるため、蛍光体表面に硫黄を付着させ発光輝度を高めるという記載があるが、それ以外にもエネルギー利用効率を阻害する要因として、結晶粒径の問題がある。蛍光体の結晶粒径が小さいと結晶表面に存在する無輻射失活層(格子欠陥)の体積分率が大きくなり、電子と正孔の再結合が阻害され、発光せず熱損失する割合が高くなり、結果的に発光効率が低くなる。特許文献1では、逆に液相焼結方法で作製し粒径を4μm以下にすることで発光効率を高める旨の記載があるが、これは結晶表面に多数存在する格子欠陥部がドナー電子を与える役割を果たし、結果的に電子密度を高める事で逆に発光効率を高めたことによるものと予想される。非特許文献3にも、同様に発光効率が粒子サイズに反比例して増加するという記載があるが、一方で 蛍光体を微細化すると、耐久性が低下する新たな問題が発生するとの記載がある。
【0014】
以上のことから、エネルギー利用効率と耐久性を両立させるためには、結晶粒径を大きくすると共に、電子密度を高める目的でドナー元素を多量にドープさせ、更にドープしたドナー元素を蛍光体の母結晶内部に固定させることが非常に重要となる。又、結晶粒径を大きくすると ドープしたドナー元素を母結晶内部に固定させる確率が増加し、電子密度が大きくなるため、発光に必要な駆動電圧を低くする効果も同時に期待出来る。
【0015】
【特許文献1】特開2005−132947号公報
【特許文献2】特開2009−152073号公報
【非特許文献3】FUJIFIRLM RESEARCH & DEVELOPMENT(No.51−2006)
【非特許文献4】埼玉県産業技術総合センター研究報告 第6巻(2008)
【特許文献5】特開昭62−250172号公報
【特許文献6】特許第3620842号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ZnS系蛍光体を使用した分散型無機EL素子は、高電圧が必要で且つエネルギー利用効率が悪いため、低消費電力タイプの分散型無機EL光源が実現出来ないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ZnS系蛍光体を使用した分散型無機EL素子の課題を解決するため、本発明に係る蛍光体の構成は、酸化物系蛍光体の母結晶となる材料の粉末と、局在型発光を行う付活剤の粉末と、ドナー元素の粉末とを混合し、この混合物を溶融することにより、ドナー元素イオンを母結晶内部に多量に固溶せしめn型半導体化させると共に、前記蛍光体表面に、電子及び正孔(ホール)の供給源となる材料を点在・分散化させる構成とした。
【0018】
ここで、n型半導体化させるために必要なドナー元素イオンの母結晶内部への固溶量とは、置換元素イオンの原子数換算で1%以上である。
【0019】
更に、電子及び正孔(ホール)の供給源となる材料としてAl、Ag、Mgなどの金属を使用する構成とした。このような構成を取ることにより、金属とn型半導体との間にショットキー接合が発生することになり、この接合面に高電界を与えることにより金属薄膜部から、n型半導体化させた蛍光体内部に電子及び正孔が流れ込むことになり、ZnS系蛍光体を使用せず、酸化物系蛍光体を使用しても 発光させることが可能になると同時に、酸化物系蛍光体は化学的に安定しているため、耐久性に優れた無機EL光源が可能となる。
【0020】
次に電子及び正孔(ホール)の供給源となる材料の上から、透明性があり且つ絶縁性のある材料で全面を被覆させる構成とした。これにより、分散型無機EL素子として使用した場合に、粒子表面に存在する金属薄膜等が電極面と接触したり、隣り合う粒子の金属薄膜同士が接触することにより、電流の流れる短絡経路が出来るのを防止することが可能となると同時に、蛍光体の母体材料が耐湿性・耐水性に弱い場合には、耐久性を向上させる保護膜の役割も果たすことになる。
【0021】
前記 金属薄膜で蛍光体表面全部を被覆すると蛍光体内部で発光した光は、金属皮膜で反射・吸収され、外部に光として取り出せないため、本発明では金属皮膜の表面積比率を70%以下とした。金属皮膜の表面積比率が小さいと 蛍光体内部に流入する電子及び正孔の量が少なくなり、単位面積当たりの発光量が低くなるため、金属皮膜の表面積比率を10%以上とした。
【0022】
蛍光体表面に金属薄膜を付着させる一般的方法として蒸着方法があるが、蒸着方法では 蒸着用ターゲットの加熱電源をOFFしても、直ぐには蒸発がストップせず、更に、一旦蒸発された気体は容器内に充満し易いため、蛍光体粒子に、任意の面積比率で点在・分散化させることは難しい。又、蒸着方法では蛍光体表面へ強く固着させることが難しく、蛍光体表面に何らかの不純物が付着していた場合には、金属薄膜とn型半導体の間に不純物が介在し、理想的なショットキー接合が発生しないため、スパッタリング方法の様に強いエネルギーで蛍光体表面に金属を食い込ませることが必要になる。
【0023】
このため、本発明では金属薄膜を固着させる方法として、スパッタリング方法を採用した。粒子状の材料表面にスパッタリングする方法としては、特許文献5に記載のように、粉体を上部から落下させ、落下の途中でスパッタリングする方法や、特許文献6に記載のように、多角状のメッシュかごの中に粉体を入れ、かごを回転させることにより、粉体を撹拌・分散させながらスパッタリングする方法が提案されているが、両方共 粒子表面全部に固着してしまう問題がある。従って、本発明では スパッタリングすることで蛍光体の粒子表面に金属等の薄膜を固着させる過程で、スパッタリングターゲットと蛍光体粉末の間に蛍光体粉末の粒径より小さな微細孔を多数設けた遮蔽プレートを置くと共に、連続的にスパッタリングせず間欠的にON・OFFする事により、粒子表面に任意の面積比率で点在・分散化させる方式を採った。ここで、遮蔽プレートに設けた微細孔の大きさは、蛍光体粒径の1%〜20%である。
【0024】
上記の様な製造方法で理想的なシヨットキー接合が出来ても、電子及び正孔を流し込むために必要な電圧が大きくなると、低消費電力化が難しくなる。この問題を解決するため、本発明では、酸化物系蛍光体の母結晶となる材料の粉末と、局在型発光を行う付活剤の粉末と、ドナー元素の粉末とを混合し、この混合物を溶融し、ドナー元素イオンを母結晶内部に多量に固溶させると共に、溶融後、徐冷することで結晶を成長せしめ、大結晶粒径の蛍光体を作製する製造方法とした。
【0025】
ショットキー接合面(空乏層)での電圧(V)、電子密度(Nd)と電界(E)の関係式は、pn接合と同じく下記の様に表される。
E(電界の強さ)={2×e×Nd×(Φ+V)÷ε÷ε0.5
e:電子の電荷量=1.602×10―19(クーロン)
Nd:n型半導体(蛍光体)の伝導帯に励起された電子の密度
Φ:ショットキーバリア電圧(使用する金属の仕事関数と蛍光体の電子親和力の差で発生するバリアの強さ)
V:駆動電圧
ε:n型半導体(蛍光体)の比誘電率
ε:真空の誘電率=8.92×10―12
【0026】
上記の式で、駆動電圧(V)を低くして且つ電界の強さを大きくするには、Nd(n型半導体の伝導帯の電子密度)を大きくする必要がある。Ndの値を大きくするため、本発明ではヒューム・ロザリーの法則に則ったドナー元素を、多量に使用すると共に、母結晶表面に析出せず、母結晶内部に多量に固溶させるため、低温焼結方式でなく 高温溶融方式で作製する方法を採用した。これにより、蛍光体の伝導帯に励起された電子密度が非常に多い、n型半導体を作製出来ることになる。
【0027】
又、ヒューム・ロザリーの法則に則ったドナー元素を多量に結晶内部に固定するため、酸化物系蛍光体を構成する元素の内で、ドナー元素と置換される元素のイオン半径の±10%以内の大きさのイオン半径を持つドナー元素を使用すると共に、置換するドナー元素比率を1%以上とした。これにより、蛍光体の伝導帯に励起された電子密度が非常に多い、n型半導体を作製出来ることになる。
【0028】
更に溶融後にゆっくり冷却し、大結晶粒径の蛍光体を作製することにより、表面格子欠陥が少ない エネルギー利用効率の高い蛍光体を作製することが可能となる。又、大結晶粒径の蛍光体を作製することにより、ドナー元素を母結晶内部に固定させる確率が増加し、電子密度が大きくなるため、低電圧で発光する蛍光体を作製することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来のZnS系蛍光体に比べて、低い駆動電圧で発光出来、且つエネルギー利用効率に優れた、低消費電力タイプの分散型無機EL光源の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)蛍光体の表面にAgを全面に被覆した断面図 (b)蛍光体の表面にAgを点在・分散化させた断面図 (c)蛍光体の表面にAgを点在・分散化させた後に、更に透明・絶縁膜を被覆した断面図
【図2】銀薄膜と蛍光体の間に厚いフラックス層が介在した場合の断面図
【図3】蛍光体を一層状に印刷した分散型交流無機EL素子の構造案
【図4】蛍光体表面に銀薄膜を固着させた場合の、負極側に近い銀薄膜と蛍光体の間に発生するバリア(障壁)層と空乏層の関係を表した模式図
【図5】Agを蛍光体表面に点在・分散化させるスパッタリング装置の構造
【図6】蛍光体表面に銀微粒子を点在・分散化させる原理図
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて説明する。分散型無機EL素子を光源として使用するには、赤色・緑色・青色の3原色の蛍光体が必要であるが、今回は赤色蛍光体の実施例として、赤色発光のブラウン管用蛍光材料として使用されているYVO:Eu+3を選定した場合について詳細を述べる。
【0032】
酸化物系蛍光体としてYVOを選定した場合、局在型発光を行うイオンとしてはEu+3を使用する訳であるが、まずn型半導化させるために必要なドナー元素の選定について説明する。YVOの中の置換元素であるY(イットリウム)の酸化数が+3で且つイオン半径が約9nmなので、ドナー元素としては酸化数が+4で且つイオン半径が9nm×(90%〜110%)=8.1nm〜9.9nm の元素となる。上記 条件に当てはまるドナー元素としてCe(セリウム)は酸化数が+4で且つイオン半径が約8.6nm とYのイオン半径との違いが4.4%と、上記条件に当てはまるので、ドナー元素として選定した。
【0033】
次に 電子及び正孔の供給源となる材料として、Ag薄膜を前記YVO:Eu+3蛍光体表面に点在・分散化させるスパッタリング工程について説明する。スパッタリングとは、真空中に不活性ガス(主にArガス)を導入しながら、基板とターゲット(成膜させる物質:銀等)間に直流高電圧を印加し、イオン化したArをターゲットに衝突させて、はじき飛ばされたターゲット物質を基板に成膜させる方法である。
【0034】
図5はAgを蛍光体表面に点在・分散化させるスパッタリング装置の構造の概念図で、円筒状のメッシュかごの中に蛍光体粉末を入れ、ターゲットと前記蛍光体粉末の間に、蛍光体粉末の粒径より小さな微細孔を多数設けた遮蔽プレートを置き、スパッタリングする構成とした。図6は蛍光体表面に銀微粒子を点在・分散化させる原理図で、この様に遮蔽プレートを設けてスパッタリングすることで銀微粒子を蛍光体表面に点在・分散化させることが可能となる。この様な方式で 一定時間、例えば1分間連続的にスパッタリングすると、蛍光体表面に銀薄膜を1μm程度の厚みで点在・分散化させることが可能となる。
但し、このままでは、メッシュかごに入れられた多量の蛍光体粉末のごく一部の表面にしか、銀薄膜を点在・分散化出来ないため、この後、スパッタリングを停止し、円筒状のメッシュかごを回転や振動を加えることで粉末を撹拌する工程を
追加した。粉末撹拌後 メッシュかごへの回転や振動を停止し、スパッタリングを再び開始するという様にスパッタリングを連続的に行わず、間欠的にON・OFFする事により、蛍光体表面に銀薄膜を50%程度、点在・分散化させることが可能となる。
【0035】
次に YVO;Eu+3蛍光体表面に銀薄膜を50%程度、点在・分散化させた場合に、蛍光体内部で発光した光が外部に出る確率を計算してみる。図1(a)はYVO蛍光体にAgを全面に被覆した断面図で、蛍光体の内部で発光した光は、銀膜で反射され続け、最終的には銀膜に総て吸収されてしまう。
【0036】
そのため、図1(b)の様に銀固着層が点在・分散化させる構造とした。この銀固着層は蛍光体の表面に食い込むように付着している。銀固着層が蛍光体表面に占める面積比率を50%とした場合の内部で発光した光が外部に出る確率を計算するとη(外部に出る光の確率)=50%+45%×50%+20.25%×50%+9.1125%×50%+・・・・≒90%、即ち、第一回目の反射で50%の光が外に出て、50%の光が反射膜で反射されることになるが、Agは光の反射効率が90%と高く、吸収率が10%と低いため、第一回目の反射で損失した光は50%×10%=5%となり、残った光は45%となる。残った45%の光が 再び第二回目の反射をおこすと、第二回目の反射で損失した光は22.5%×10%=2.25%となり、残った光は20.25%となる。この様に 反射・吸収を繰り返すことにより、最終的に外部に出ることが出来た光の確率(η)は約90%となり、蛍光体表面に占める面積比率を50%としても、光の反射効率が高いAl、Ag などの金属を使用すると、発光効率上はほとんど問題がないことになる。又、電子及び正孔の供給源となる材料として仕事関数の小さなMgなどの金属材料を用いる時は、蛍光体表面に占める面積比率を20%〜30%程度に低くすれば、発光効率上ほとんど問題がなくなる。
図1(c)は銀薄膜を点在・分散化した上から、透明性があり且つ絶縁性のある被膜例として、SiO皮膜を被覆した構造を示したものである。
【0037】
次にドナー元素であるCe(セリウム)をY(イットリウム)の15%ドープさせ、結晶粒径が50μm程度の蛍光体粉末を作製する工程について説明する。母体材料として酸化イットリウム(YO)と酸化バナジウム(VO)を事前に焼結したY0.85VOを175.5gr、付活剤として酸化ユウロピウム(EuO)を0.23gr、ドナー元素として酸化セリウム(CeO)を23.8gr秤量し、ボールミルなどで混合した後、アルミナ坩堝内に充填し 前記坩堝をYVOの融点である1825℃以上の高温で1時間程度 加熱溶融し、その後徐冷することで大結晶粒径の蛍光体が得られる。
前記 使用材料の中でYVOを使用せずY0.85VOとY(イットリウム)を15%不足させた構造にしたのは、Y+3の不足した場所に、Ce+4を固定させるためである。即ち、最終的な化合物の構造式はY0.85Ce0.15 VOとなる。
【0038】
得られた蛍光体を粉砕・分級することで、結晶粒径が50μm付近に中心を持つシャープな粒度分布の蛍光体が得られる。但し、酸化イットリウム(YO)と酸化バナジウム(VO)を事前に焼結した焼結材料を使用しないと、酸化イットリウムの融点である2400℃以上の高温が必要になるため、アルミナ坩堝が溶けだすなどのトラブルが発生するため、事前焼結が望ましい。
【0039】
又、上記工程中で、溶融温度や焼結温度を下げるためにフラックス材を使用して蛍光体を作製すると、図2の様に、銀薄膜と蛍光体の間に厚いフラックス層が介在し、電子及び正孔を供給する筈の銀薄膜から、電子及び正孔が蛍光体内部に流れ込むことが出来なくなる恐れがあるので、フラックス材を使用しないで 作製する方が望ましい。
【0040】
次に 低消費電力タイプの分散型交流無機EL素子の構造について説明する。図3は上記蛍光体を一層状に印刷した構造案である。EL素子の構造は非常に単純で、電極の間に交流電圧をかけて、電子が負極側に近い銀薄膜から、正孔が正極側に近い銀薄膜より蛍光体内部に流れ込むことになる。蛍光体内部に流れ込んだ電子は伝導帯に入り、正孔は価電子帯に入り、最終的にはYVO内に固定された発光中心であるEu+3で再結合し、発光を行うことになる。この時、発光に必要な駆動電圧が6V程度の低電圧になれば、発光に要するエネルギーが非常に少なくなる。
【0041】
次に 本発明に於いて、上記構造案で6V程度の低電圧で1〜10×10 V/cm程度の大きな電界を発生させるために必要なドナー電子密度を計算で求めることにする。図4は蛍光体表面に銀薄膜を固着させた場合の、負極側に近い銀薄膜と蛍光体の間に発生するバリア(障壁)層と空乏層の関係を表した模式図である。電子が負極側に近い銀薄膜から、正孔が正極側に近い銀薄膜より、蛍光体内部に流れ込むことで発光する訳であるが、ポテンシャルバリアの影響が大きいのは電子が流れ込む負極側で、正孔が流れ込む正極側ではポテンシャルバリアの影響は小さいため、発光に必要な駆動電圧は負極側だけ考えて良いことになる。
【0042】
以上の結果より、負極側に近い銀薄膜と蛍光体の界面に6Vをかけた時に、6×10V/cmの電界を発生させるために必要なドナー電子密度を計算で求めと下記の様になる。ショットキー接合面(空乏層)での電圧(V)、電子密度(Nd)と電界(E)の関係式は、
E(電界の強さ)={2×e×Nd×(Φ+V)÷ε÷ε0.5
と表されるので、この式に、
E=6×10 V/cm 、Φ=2.5V、V=6V、ε=15を代入すると、
Nd=17.9×1020(ヶ/cm)となる。
【0043】
次に Nd=17.9×1020(ヶ/cm)のドナー電子密度を作るために必要な、ドナー元素(Ce)の必要量を計算で求めると、Y(イットリウム)に対し15%という多量のCe(セシウム)が必要になる。この様に ドナー元素であるCe(セシウム)をYVO:Eu+3蛍光体の母結晶内部に多量に固定させるためには、低温焼結方式では無理で、高温溶融方式で作製することが必須となる。
【0044】
上記の様な多量のドナー元素を母結晶内部に固定させることが出来ても、ドナー準位(ED)が大きい場合には、伝導帯に励起される電子の比率が低くなり、Ndが小さくなるという不具合が考えられる。Ndとドナー元素の密度とEDの関係式は、室温(300゜K)では下記の様に表される。
Nd=ドナー元素の密度×EXP(−ED×96,500÷8.314÷300)
この式にドナー元素の密度=17.9×1020(ヶ/cm)、ED=0.2(eV)を代入すると、Nd=(17.9×1020)×(4.36×10−4)=7.80×1017(ヶ/cm
と非常に小さくなり問題となるが、これはプール・フレンケル効果により解決できる。プール・フレンケル効果とは、誘電体の禁制帯(バンドギャップ)中にドナー準位などが存在する場合、この場に電界(E)を印加するとドナー準位の大きさは(e×E÷π÷ε÷ε0.5だけ低下するという内容である。
e:電子の電荷量=1.602×10―19(クーロン)
ε:n型半導体(蛍光体)の比誘電率
ε:真空の誘電率=8.92×10―12
ショットキー接合面(空乏層)に於いて、E(電界強度)が印加されていないと仮定し、ED=0.2eVとしNdを求めるとNd=7.80×1017(ヶ/cm)となる。次にNd=7.80×1017(ヶ/cm)の時の 空乏層内のE(電界強度)を求めると
E=1.26×10(V/cm)となる。次にE=1.26×10(V/cm)の電界が発生するとプール・フレンケル効果によりドナー準位(ED)が小さくなるので、EDを求めるとED=0.131eVと減少する。
次にED=0.131eVとして、Ndを求めるとNd=11.26×1018(ヶ/cm)と増加する。次にNd=11.26×1018(ヶ/cm)の時の 空乏層内のE(電界強度)を求めるとE=4.78×10(V/cm)と増加する。
次にE=4.78×10(V/cm)の電界が発生するとプール・フレンケル効果により、
ドナー準位(ED)が小さくなるので、EDを求めるとED=0.065eVと更に減少する。
この様に繰り返し計算していくと、ショットキー接合面(空乏層)に於いては、プール・フレンケル効果によりドナー準位(ED)は限りなく0eVに近づくため最終的にNd=17.9×1020(ヶ/cm)となり問題ないことになる。
【0045】
最後に、6×10V/cmの電界でどの程度の電流が流れることが可能であるか、計算で求めることにする。大きなバリア層に於いて、高電界を印加して流れる電流は下記2つの電流がある。
(1)ショットキー効果による電流
(2)トンネル効果による電流(ファウラー・ノルドハイム電流)
ショットキー効果による電流とは、バリアの上部を超えて注入される漏れ電流のことで、トンネル効果による電流とは、バリアの下を通るトンネル電流のことでファウラー・ノルドハイム電流と呼ばれている。ここでは、ショットキー効果による電流は非常に小さいので、トンネル効果によるファウラー・ノルドハイム電流のみについて計算する。ショットキー接合面(空乏層)での電界(E)とファウラー・ノルドハイム電流(J)の関係式は下記の様に表される。
J=(2.2×e×E÷8÷π÷h÷Φ)×EXP〔−8×π×Φ×(2×m×Φ)0.5÷2.96÷h÷e÷E〕
e:電子の電荷量=1.602×10―19(クーロン)
h:プランク定数=6.626×10−34(J・s)
Φ:ショットキーバリア電圧(V)
m:電子の有効質量(Kg)
この式にE=6×10(V/cm)=6×10(V/m)、Φ=2.5V、m=0.2×9.11×10−31Kgを代入すると、J=672(A/m)となり、1m2当たり672アンペアという、発光に充分な大電流を流すことが可能となる。ファウラー・ノルドハイム電流の場合は、電界の強さが少し小さくなっただけで、電流は大幅に減少する性質がある。例えばE=6×10(V/cm)の場合には、J=672(A/m)と大きいが、E=4×10(V/cm)とほんの少し小さくなっただけで、J=0.011A/m2と大幅に減少し、結果的に発光が確認出来なくなるぐらい小さくなる。このため、或る閾値電圧で発光を開始すると、急激に発光輝度が上昇するという、スレシュホールド電圧が存在することになる。
【0046】
但し、従来の分散型無機EL素子の例では、前記スレシュホールド電圧が見当たらず、100V付近から発光を開始すると緩やかに発光輝度が上昇していくことになる。これは、蛍光体の粒子径が均一でなく、且つ 蛍光体が層状に印刷されずランダムに存在するため、蛍光体にかかる電界強度にバラツキが生じるためである。即ち、印加される電界に対し、微細な粒子が1個だけ存在する場所では、微細な粒子に大きな電界が加わるが、大きな粒子が団子状に複数重なって存在する場所では、大きな粒子には小さな電界しか加わらないためである。この様に、緩やかに発光輝度が上昇していくと実用レベルの発光輝度にするには、更に電圧を加え150V〜200V程度にする必要が発生する。
【0047】
本発明の実施例では図3で示すように、50μm前後の大結晶粒径の蛍光体を1層状に印刷することで、スレシュホールド電圧として6V前後という非常に低い電圧から急激に発光輝度が上昇することになり、低消費電力化が実現できることになる。この様に、蛍光体を1層状、或いは2層状と層状に印刷することは低消費電力化を実現するために重要となるが、層状に印刷することを可能にするには、金属薄膜を点在・分散化させた後、透明性があり且つ絶縁性のある材料で粒子全面を被覆し、粒子表面に存在する金属薄膜が電極面と接触したり、隣り合う粒子の金属薄膜同士が接触することにより、電流の流れる短絡経路が出来るのを防止することが必要となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物系蛍光体の母結晶となる材料の粉末と、局在型発光を行う付活剤の粉末と、ドナー元素の粉末とを混合し、この混合物を溶融することにより、ドナー元素イオンを母結晶内部に多量に固溶せしめn型半導体化させると共に、前記蛍光体表面に、電子及び正孔(ホール)の供給源となる材料を点在・分散化させることを特徴とする無機EL素子用蛍光体。
【請求項2】
請求項1に記載の無機EL素子用蛍光体において、電子及び正孔(ホール)の供給源となる材料としてAl、Ag、Mgなどの金属を使用することを特徴とする無機EL素子用蛍光体。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の無機EL素子用蛍光体において、電子及び正孔(ホール)の供給源となる材料を点在・分散化させた上から、透明性があり且つ絶縁性のある材料で粒子全面を被覆させることを特徴とする無機EL素子用蛍光体。
【請求項4】
請求項1至乃請求項3に記載の無機EL素子用蛍光体において、前記蛍光体表面に点在・分散化させた電子及び正孔(ホール)の供給源となる材料の占める表面積比率を10%〜70%にすることを特徴とする無機EL素子用蛍光体。
【請求項5】
請求項1至乃請求項4に記載の無機EL素子用蛍光体を製造する方法であって、スパッタリングすることで蛍光体の粒子表面に金属等の薄膜を固着させる過程で、スパッタリングターゲットと蛍光体粉末の間に蛍光体粉末の粒径より小さな微細孔を多数設けた遮蔽プレートを置くと共に、連続的にスパッタリングせず間欠的にON・OFFする事により、粒子表面に任意の面積比率で点在・分散化させることを特徴とする無機EL素子用蛍光体の製造方法。
【請求項6】
請求項1至乃請求項4に記載の無機EL素子用蛍光体の製造方法において、溶融後、徐冷することで結晶を成長せしめ、大結晶粒径の蛍光体を得ることを特徴とする無機EL素子用蛍光体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−111477(P2011−111477A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266893(P2009−266893)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【特許番号】特許第4498464号(P4498464)
【特許公報発行日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(501147509)
【出願人】(509343909)株式会社金星 (1)
【Fターム(参考)】