説明

無水フタル酸を製造するための触媒ならびに方法

この発明は、不活性の担体を備えていてその上にTiOを含んだ触媒活性材料を有する少なくとも1つの層が塗付されている、特にo−キシロールおよび/またはナフタリンの気相酸化によって無水フタル酸を製造するための触媒であって、使用されるTiOの少なくとも一部が(a)BET比表面積が15m/g超となる、および(b)一次クリスタライトサイズが210オングストローム超となる、特性を有することを特徴とする触媒を開示す。さらに、その種の触媒の好適な製造方法、ならびに本発明に従って使用される二酸化チタンの好適な適用方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、特にo−キシロールおよび/またはナフタリンの気相酸化によって無水フタル酸(PSA)を製造するための触媒に係り、その触媒の触媒活性材料が特定の特性からなる二酸化チタンを含むものである。
【0002】
無水フタル酸の大量生産は、触媒作用によるo−キシロールおよび/またはナフタリンの気相酸化によって達成される。この目的のため、その反応に適した触媒が反応炉、特に多数の管が平行に配置されたいわゆる管束式反応炉内に充填され、上方あるいは下方から炭化水素と酸素含有ガス(例えば空気)との混合物を通流させる。その種の酸化反応における強度の発熱のため、いわゆるホットスポット(“熱点”)を防止するために反応管を熱伝導媒体によって被包し、それによって発生した熱量を放散することが必要となる。そのエネルギーは蒸気の生成に利用することができる。熱伝導媒体として通常塩溶融物、ここでは特にNaNOとKNOの共晶混合物が機能する。
【0003】
同様に、不要なホットスポットを抑制するために構造化された触媒を反応管内に充填し、それによってそれぞれ異なった組成の触媒からなる例えば2つあるいは3つの触媒層を形成することができる。そのようなシステムは、例えば欧州特許第1082317号B1明細書あるいは欧州特許第1084115号B1明細書によって知られている。
【0004】
この層状の触媒構成には、不要な副生成物、すなわち考えられるo−キシロールおよび/またはナフタリンから無水フタル酸への反応メカニズム中において実質的な有用生産物の前に生じる化合物を生PSA中において可能な限り低く抑制する目的もある。その不要な副生成物には、主にo−トリルアルデヒドおよびフタリドが含まれる。加えて、それらの化合物を無水フタル酸へさらに酸化することによって、実質的な有用生産物の選択性がさらに増加する。
【0005】
前記の過少酸化生成物に加えて、反応に際してさらに過剰酸化生成物が発生する。それには、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、安息香酸、および一酸化炭素が含まれる。有用生成物の生産のために、的を絞ってそれらの不要な副生成物の形成を抑制することによって触媒の生産性および経済性のさらなる向上がもたらされる。
【0006】
従って、生産性および経済性の向上を可能にすることができる触媒が常に求められている。
【0007】
以上のことから本発明の目的は、従来の技術の問題点を克服して触媒の活性度、選択性、および/または寿命の改善を可能にする、触媒あるいは触媒システムを開発することである。
【0008】
従って本発明の第1の観点は、不活性の担体を備えていてその上にTiOを含んだ触媒活性材料を有する少なくとも1つの層が塗付されている、特にo−キシロールおよび/またはナフタリンの気相酸化によって無水フタル酸(PSA)を製造するための触媒であって、使用されるTiOの少なくとも一部が(a)BET比表面積が15m/g超となる、および(b)一次クリスタライトサイズが特に210オングストローム超となる、特徴を有する触媒に関する。従属請求項によって好適な追加実施形態が示されている。
【0009】
本発明がその真偽によって限定されるものではないが、前述した特徴を有する二酸化チタンを触媒中に使用することによって、特に細孔構造において、所要の転化のための極めて好適な反応空間が達成し得ることが推定される。それと同時に、本発明に係るTiOマトリクスを使用することによって、TiOマトリクスの表面上の反応中心部への抽出物の好適な供給路、ならびに反応生成物の排出路が形成される。
【0010】
本発明の重要な特徴の1つは、15m/g超、特に約15ないし60m/gの比較的高いBET比表面積を有する、特殊な二酸化チタンを使用することである。
【0011】
別の好適な特徴によれば、約210オングストローム超、特に約250オングストローム超、さらに好適には300オングストローム超、さらに好適には少なくとも約320オングストローム、さらに好適には少なくとも約340オングストローム、特に好適には少なくとも約380オングストロームの一次クリスタライトサイズ(一次粒子大)を有するTiOを使用する。前述したような(最小)サイズを有するTiO一次クリスタライトによって極めて好適な触媒の製造が可能になることが判明した。一次クリスタライトサイズは、900オングストローム未満、特に600オングストローム未満、特に好適には500オングストローム未満となる。本発明がその真偽によって限定されるものではないが、前述した一次クリスタライトサイズによって、過度に圧縮されたものではなく多孔質の二酸化チタン構造の触媒中における形成が可能になると推定される。一次クリスタライトサイズの判定方法は後述する方法欄に定義されている。本発明の別の特徴によれば、前述したように定義された細孔半径分布を同時に保持することが好適ではあるものの、触媒製造に際して使用される二酸化チタンが少なくとも一部において前述した一次クリスタライトサイズを保持するだけで(すなわち前記の細孔半径分布を保持しなくても)、極めて好適な結果が達成されることが判明した。
【0012】
本発明の好適な特徴によって意外なことに、総細孔容積の少なくとも25%、特に少なくとも約40%、さらに好適には少なくとも約50%、特に好適には少なくとも約60%が60ないし400nmの半径を有する細孔によって形成される二酸化チタンを使用すれば、極めて好適な触媒を製造し得ることが判明した。
【0013】
別の好適な特徴によれば、1.0g/ml未満、特に0.8g/ml未満、特に好適には約0.6g/ml未満のかさ密度を有するTiOを使用する。約0.55g/ml超にはならないかさ密度を有するTiO材料が最も好適である。かさ密度の判定方法は後述する方法欄に定義されている。前述したように定義されたかさ密度を有する二酸化チタンの使用によって極めて高性能な触媒の製造が可能になることが判明した。本発明がその真偽によって限定されるものではないが、前記のかさ密度が触媒中で使用可能となっているTiO表面の極めて好適な構造の指標であり、その際過度に圧縮されていない緩やかな構造によって極めて好適な反応空間、ならびに作用物質あるいは反応生成物の供給および排出路が形成されることが推定される。従って本発明の極めて好適な実施形態によれば、使用される二酸化チタンが前述した細孔半径分布および一次クリスタライトサイズと並んで、ここで定義されたようなかさ密度も有している。しかしながら、本発明の別の特徴によれば、前述した細孔半径分布および/または一次クリスタライトサイズとは無関係に前述したように定義されたかさ密度を保持する材料によって、より高いかさ密度を有する比較材料と比べても期待以上に良好な結果が達成されることが判明した。
【0014】
例えば電子顕微鏡画像から明らかなように、本発明の別の特徴によれば、使用される二酸化チタンの一次クリスタライトは少なくとも部分的に凝集体に結合される。それが開孔質で特に“スポンジ状”の凝集体であれば、過度に圧縮されておらず多孔質の二酸化チタンの構造が達成される。本発明の好適な実施形態によれば、TiOの一次クリスタライトが30%超、特に50%超が凝集体、特に開孔質の凝集体に結合される。
【0015】
使用されるTiO(アナターゼ変種)は(すべての触媒層中において)、0.3重量%未満、特に0.2重量%未満、さらに好適には0.15重量%未満、さらに好適には0.02重量%未満、特に好適には0.015重量%未満の特にNa等のアルカリ含有量を有している。上記の限界値は特にNaおよびKに対して有効なものである。本発明の別の好適な特徴によれば、使用されるTiOのアルカリ不純物の含有率(総アルカリ含有率)は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウム不純物として計算して、1000ppm未満、特に500ppm未満、特に好適には300ppm未満となる。使用されるTiOのアルカリ不純物含有率の判定方法は、後述する例の前に定義する(DIN ISO 9964−3号)。前述したTiOの総アルカリ不純物含有率によって、触媒のアルカリ作用物質含有率の正確な調節が可能になる。
【0016】
アルカリ不純物の含有率は、当業者において知られているように、1000ppm未満の適宜な領域を達成するために、高められた温度下で例えば希釈した硝酸で洗浄することによって必要に応じて低減することができる。例えば、TiOは0.1MのHNO中に懸濁させ、還流および攪拌しながら90℃の温度で一晩洗浄し、その後濾過して再蒸留した水で3回洗浄し、150℃で乾燥させることができる。続いてアルカリ不純物の含有率を再度測定し、依然として高過ぎる場合は前記の工程を再度実施する。
【0017】
本発明の極めて好適な実施形態によれば、TiOを含んだ触媒が炭化水素の気相酸化のために使用される。特に好適なものは、o−キシロール、ナフタリン、あるいはそれらの混合物の気相酸化による無水フタル酸の製造への適用である。しかしながら、カルボン酸および/または無水カルボン酸を製造するためのベンゾール、キシロール、ナフタリン、トルエン、あるいはズロール等の芳香族炭化水素のような多数の触媒気相酸化が従来の技術において知られている。その際例えば、安息香酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、あるいは無水ピロメリト酸が得られる。その種の転化においても本発明に係る触媒を使用することができる。
【0018】
一般的に前記の転化に際して、分子性酸素を含んだガス例えば空気と酸化させる原料との混合物が固定床反応炉、特に平行に配置された多数の管からなる管束式反応炉を介して誘導される。反応管内には少なくとも1つの触媒からなる充填材料が収容されている。多数の(異なった)触媒からなる充填材料の優位性は既に上述した通りである。
【0019】
o−キシロールおよび/またはナフタリンの気相酸化による無水フタル酸の製造のための本発明に係る触媒の適用に際して意外なことに、本発明に係る触媒によって、極めて低い不要な副生成物COすなわちCOとCOの形成と極めて高い活性度が同時に達成されることが判明した。さらに、極めて良好なC−およびPSAの選択性が示され、それによって触媒の生産性の合計が高められる。多くの場合に、本発明に係る触媒の高いC−選択性と低いCO−選択性が好適なものとなる。低いCO−選択性によって、好適な方式で低い発熱と低いホットスポット温度が達成される。それによって、ホットスポット領域における触媒の不活性化の遅速化が達成される。
【0020】
本発明の好適な実施形態によれば、使用されるTiOが約15ないし45m/g、特に約15ないし30m/gのBET比表面積(DIN66131)を有する。
【0021】
さらに、総細孔容積の最大80%、さらに好適には最大75%、特に好適には最大70%が60ないし400nmの半径を有する細孔から形成される。
【0022】
ここで記述されている細孔容積あるいはその比率の測定は、他に記載が無い場合は、水銀多孔度測定(DIN66133)によって実施される。ここで総細孔容積の記載はいずれの場合も、水銀多孔度測定によって測定された7500ないし3.7nmの細孔半径のものの総細孔容積に関するものである。
【0023】
400nm超の半径を有する細孔は、使用されるTiOの総細孔容積の約30%未満、特に22%未満、特に好適には20%未満となる。
【0024】
さらに、TiOの総細孔容積の約50ないし75%、特に約50ないし70%、特に好適には約50ないし65%が60ないし400nmの半径を有する細孔から形成され、特に総細孔容積の約15ないし25%が400nm超の半径を有する細孔から形成される。
【0025】
より小さい細孔半径に関しては、二酸化チタンの総細孔容積の30%未満、特に20%未満が3.7ないし60nmの半径を有する細孔から形成されることが好適である。この細孔サイズに対する極めて好適な範囲は、総細孔容積の約10ないし30%、特に12ないし20%である。
【0026】
極めて好適な実施形態によれば、使用されるTiOが以下の粒子大分布を有する:D10値は0.5μmあるいはそれ未満となり;D50値(すなわち半分の粒子がそれより大きいあるいはそれより小さい粒子径を有するものとなる)は1.5μmあるいはそれ未満となり;D90値は4μmあるいはそれ未満となることが好適である。使用されるTiOのD90値は約0.5ないし20μm、特に約1ないし10μm、特に好適には約2ないし5μmとなる。二酸化チタンはアナターゼ形態で存在することが好適である。
【0027】
本発明に適したTiO材料は市販されており、例えば大韓民国慶尚南道660−882晋州市ボンコクサボン1108−1のナノ社製のNT22−B20およびNT22−B30の商品名で入手可能である。
【0028】
さらに、当業者においては、TiOの焼きなましあるいは焼結によって一次クリスタライトサイズを増大し得ることが知られている。例えば、一次クリスタライトサイズを増大するために、回転窯内において50%の水蒸気と50%の空気の混合物中および約600℃の温度下で24ないし48時間の焼結を行うことができる。この作業は、本発明の要件である一次クリスタライトサイズに達していない限り繰り返すことができる。その際同時にBET比表面積が低下する可能性があるため、最終的に15m/g超のBET比表面積を保持するために比較的高いBET比表面積を有するTiO材料を原料とすべきである。
【0029】
意図される本発明に係る触媒の適用方法に応じて、本発明に従って使用されるTiOに加えて当業者において知られているその他の成分を触媒の活性材料内に含めることもできる。通常は好ましくないが、考えられる本発明の一実施形態によれば、触媒製造に使用される二酸化チタンのうちの一部のみが前述した特性を有するものとすることも可能である。また、触媒の形態またはその同質あるいは異質構造体も本発明の視点において基本的に制限されることはなく、当業者において周知かつ各適用分野に適した実施形態を含めることができる。
【0030】
極めて好適な実施形態において、本発明に係る触媒を無水フタル酸の製造のために使用する場合は、いわゆる表面含浸触媒が好適である。ここで、その反応条件において不活性である、例えば石英(SiO)、陶磁材、酸化マグネシウム、二酸化錫、炭化珪素、ルチル、アルミナ(Al)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム(ステアタイト)、珪酸ジルコニウムあるいはセルシリケート(Cersilicat)、またはそれらの物質の混合物からなる担体を使用する。担体はリング、球、皿型、あるいは中空シリンダの形状を有することができる。その上に比較的薄い層(外皮)の触媒活性材料が塗布される。その際2つあるいはそれ以上の層の同一あるいは異なった組成の触媒活性材料を塗布することもできる。
【0031】
本発明に係る触媒の触媒活性材料のさらに別(TiO以外)の成分に関しては、関連する技術文献によって開示されており、当業者において周知の組成あるいは構成要素を取り入れることができる。それは主に、チタン酸化物(群)に加えてバナジウム酸化物を含んだ触媒システムに関するものである。そのような触媒は例えば欧州特許第0964744号B1明細書に記載されており、その記載を本明細書中において参照に組み入れてある。
【0032】
特に従来の技術において触媒の効率を高めるための一連の促進剤が記載されており、それらは本発明においても同様に使用することができる。それには特に、アルカリあるいはアルカリ土類金属、タリウム、アンチモン、リン、鉄、ニオビウム、コバルト、モリブデン、銀、タングステン、錫、鉛、および/またはビスマス、ならびにそれらの成分のうちの2つあるいはそれ以上からなる混合物が含まれる。例えば独国特許出願公開第2159441号A明細書には、アナターゼ変質剤のチタン酸化物に加えて1ないし30重量%の五酸化バナジウムおよび二酸化ジルコニウムを有する触媒が記載されている。個々の促進剤を介して、特に活性度を低下あるいは上昇させることによって、触媒の活性度および選択性に影響がもたらされる。選択性を制御する促進剤には、例えばアルカリ金属酸化物、ならびに選択性を犠牲にして触媒の活性度を高める酸化リン化合物、特にリン五酸化物が含まれる。
【0033】
本発明に係る触媒を製造するために、従来の技術においても多様な方法が知られており、従ってその詳細な説明は原則的に不要である。例えば表面含浸触媒を製造するために、独国特許出願公開第1642938号A明細書または独国特許出願公開第1769998号A明細書を参照することができ、それにおいては、水性および/または有機性溶媒を含んだ溶液、または触媒活性材料および/またはその先駆物質化合物(しばしば“スラリ”と呼ばれる)の成分の懸濁液を加熱されたドラジェドラム装置内において高められた温度下で触媒総重量に対して所要の触媒活性材料の含有率に到達するまで担体材料上に噴霧する。また、独国特許第2106796号明細書によれば、不活性担体上への触媒活性材料の塗付(被覆)が流動被覆装置内で実施される。
【0034】
好適には、50ないし500μmの活性成分の薄い層を不活性担体上に塗付することによっていわゆる表面含浸触媒が製造される(米国特許第2035606号公報)。担体としては特に球状または中空シリンダ形状のものが好適である。この成形体は、触媒を反応管内に充填する際に、低い圧力損失および低い封入不良の危険性をもって、高い封入密度を達成するものである。
【0035】
溶融および焼結された成形体は実施されている反応の温度範囲内において耐熱性を有する必要がある。前述したように、その際例えば炭化珪素、ステアタイト、石英、陶磁材料、SiO、Al、あるいは粘土が使用可能である。
【0036】
流動床内における担体の被覆の利点は層厚の高い均一性であり、それが触媒の触媒性能において決定的な役割を果たす。独国特許第1280756号明細書、独国特許第19828583号明細書、または独国特許第19709589号明細書に記載されているように、流動床内において80ないし200℃に加熱された担体上に活性成分の懸濁液あるいは溶液を噴霧することによって極めて均一な被覆が達成される。ドラジェドラム装置内における被覆と異なって、前記の流動床方式における中空シリンダ材の担体としての使用によって中空シリンダ材の内面も均等に被覆することができる。前述した流動床方式の中では特に独国特許第19709589号明細書に記載の方法が好適であり、それは担体の主に水平かつ円形の動作によって均等な被覆とともに装置部品の低い摩耗が実現されるためである。
【0037】
被覆工程のために、活性材料および特に酢酸ビニル/ビニルラウレート、酢酸ビニル/エチレン、あるいはスチロール/アクリル酸塩からなる共重合体である有機結合剤の水性溶液あるいは懸濁液を、1つあるいは複数のノズルを使用して、加熱されかつ流動化された担体上に噴霧する。噴霧液を最も高い製造速度の場所に放出することが特に好適であり、それによって噴霧剤を均等に流動床内に分散させることができる。この噴霧工程は、懸濁液を使用し切るまであるいは所要の量の活性成分が担体上に塗布されるまで継続される。
【0038】
極めて好適な実施形態によれば、前述したように定義されたTiOを含む本発明に係る触媒の触媒活性材料は、流動床内において適宜な結合剤を使用しながら塗付され、それによって表面含浸触媒が製造される。適宜な結合剤には、当業者において既知の有機結合剤、特に好適には水性分散液の状態の酢酸ビニル/ビニルラウレート、酢酸ビニル/アクリル酸塩、スチロール/アクリル酸塩、酢酸ビニル/マレイン酸塩、ならびに酢酸ビニル/エチレンの共重合体が含まれる。特に好適には、有機重合体性または有機共重合体性接着剤、特に酢酸ビニル共重合体接着剤が結合剤として使用される。使用される結合剤は一般的な量、例えば触媒活性材料の固形物成分に対して約10ないし20重量%で触媒活性材料内に付加される。例えば、欧州特許第744214号明細書を参照することができる。従来の技術において知られているように約150℃の高められた温度で触媒活性材料の塗付を実施する限り、有機結合剤を使用しない担体上への塗付も可能である。前述した結合剤を使用する際に利用可能な被覆温度は、独国特許第2106796号明細書に記載されているように例えば約50ないし450℃となる。使用された結合剤は、充填された反応炉の稼働に際しての触媒の加熱によって短時間のうちに燃焼する。結合剤は、まず第1に触媒活性材料の担体上への付着の強化と触媒の搬送および充填中の摩耗の低減に寄与する。
【0039】
芳香族炭化水素の炭酸および/または無水炭酸への触媒性気相酸化のための別の表面含浸触媒の製造方法が、例えば国際公開第98/00778号パンフレットまたは欧州特許出願公開第714700号A明細書に記載されている。それによれば、必要に応じて触媒製造用の補助剤の存在下において、触媒活性酸化金属および/またはその先駆物質の溶液および/または懸濁液から先ず粉末が製造され、それをその後必要に応じて調質ならびに触媒活性金属酸化物を生成するために必要に応じて熱処理した後、触媒を製造するために担体上に外皮状に塗付し、そのようにして被覆した担体に触媒活性金属酸化物を生成するための熱処理、または揮発性成分を除去するための処理を施す。
【0040】
o−キシロールおよび/またはナフタリンから無水フタル酸を製造するための、炭化水素の気相酸化を実施する方法に適した条件は、当業者において従来の技術によって知られている。特に、ウルマンの工業化学百科辞典1992年第A20版第181頁のK.トワエ、W.エンケ、R.イェク、N.バルガナ氏等による総合的な文献“フタル酸およびその派生物”を参照することができ、ここにおいて引用されている。例えば、静的な酸化の稼働状態については、前記の文献国際公開第98/37967号パンフレットまたは国際公開第99/61433号パンフレットによって知られている境界条件を選択することができる。
【0041】
そのため先ず、例えば塩溶融物によって外部から反応温度に温度調節された反応炉の反応管内に触媒を充填する。そのようにして準備された触媒充填材料を介して、一般的に300ないし450℃、特に320ないし420℃、特に好適には340ないし400℃の温度と、一般的に0.1ないし2.5バール、特に0.3ないし1.5バールへの加圧と、一般的に750ないし5000h−1の空間速度をもって反応ガスを誘導する。
【0042】
触媒に付加される反応ガスは一般的に分子性酸素との混合によって得られたガスであり、これは酸素の他にさらに適宜な反応減速剤および/または、水蒸気、二酸化炭素および/または窒素等の希釈剤を含むことができ、それによって酸化すべき芳香族炭化水素が生成されるものであり、ここで前記分子性酸素を含んでいるガスは一般的に1ないし100、特に2ないし50、特に好適には10ないし30モル%の酸素と、0ないし30、特に0ないし10モル%の水蒸気と、0ないし50、特に0ないし1モル%の二酸化炭素と、その他の窒素を含むことができる。反応ガスを生成するために、分子性酸素を含んだガスに一般的にガスNm当たりに30ないし150gの酸化すべき芳香族炭化水素が供給される。
【0043】
極めて好適な実施形態によれば、本発明に係る触媒は約7ないし12重量%、特に8ないし10重量%の活性剤含有量を有し、その活性材料(触媒活性材料)は5ないし15重量%のVと、0ないし4重量%のSbと、0.2ないし0.75重量%のCsと、0ないし3重量%のNbを含んでいる。前述した成分の他に、活性材料の残りの部分は少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%、さらに好適には少なくとも98重量%、さらに好適には少なくとも99重量%、さらに好適には少なくとも99.5重量%、最も好適には100重量%の割合でTiOからなる。この種の本発明に係る触媒は、例えば2層あるいはそれより多層の触媒中においてガス流入側に配置された第1の触媒層内に適用することができる。
【0044】
本発明の極めて好適な実施形態によれば、触媒のBET比表面積は15ないし約25m/gとなる。その第1の触媒層が存在する全ての触媒層の全長(存在する触媒床の全長)に対して約40ないし60%の長さ比率を有していれば、さらに好適である。
【0045】
別の好適な実施形態によれば、本発明に係る触媒は約6ないし11重量%、特に7ないし9重量%の活性材料含有率を有し、その活性材料は5ないし15重量%のVと、0ないし4重量%のSbと、0.05ないし0.3重量%のCsと、0ないし2重量%のNbを含んでいる。前述した成分の他に、活性材料の残りの部分は少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%、さらに好適には少なくとも98重量%、さらに好適には少なくとも99重量%、さらに好適には少なくとも99.5重量%、最も好適には100重量%の割合でTiOからなる。この種の本発明に係る触媒は、例えばガス流入側に配置された第1の触媒層(前記参照)の下流側に配置された第2の触媒層として好適に使用することができる。この触媒は、約15ないし25m/gのBET比表面積を有することが好適である。その第2の触媒層が存在する全ての触媒層の全長に対して約10ないし30%の長さ比率を有していれば、さらに好適である。
【0046】
別の好適な実施形態によれば、本発明に係る触媒は約5ないし10重量%、特に6ないし8重量%の活性材料含有率を有し、その活性材料(触媒活性材料)は5ないし15重量%のVと、0ないし4重量%のSbと、0ないし0.1重量%のCsと、0ないし1重量%のNbを含んでいる。前述した成分の他に、活性材料の残りの部分は少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%、さらに好適には少なくとも98重量%、さらに好適には少なくとも99重量%、さらに好適には少なくとも99.5重量%、最も好適には100重量%の割合でTiOからなる。この種の本発明に係る触媒は、例えば前述の第2の触媒層の下流側に配置された第3の触媒層として好適に使用することができる。この触媒のBET比表面積はよりガス流入側に配置された層のものに比べて幾らか高いものとなり、特に約25ないし約45m/gの範囲であることが好適である。その第3の触媒層が存在する全ての触媒層の全長に対して約10ないし50%の長さ比率を有していれば、さらに好適である。
【0047】
意外なことに、本発明に係る多層あるいは多段触媒、特に3層あるいはそれより多くの層からなる触媒は、個々の触媒層が互いに特定の長さ比で存在していれば極めて効果的に適用し得ることが判明した。
【0048】
本発明の極めて好適な実施形態によれば、ガス流入側に配置された第1の触媒層が触媒床の全長に対して少なくとも40%、特に少なくとも45%、特に好適には少なくとも50%の長さ比率を有している。特に、触媒床の全長に対する第1の触媒層の比率は、40ないし70%、特に40ないし55%、特に好適には40ないし52%となる。
【0049】
第2の層は、触媒床の全長の約10ないし40%、特に約10ないし30%を占める。さらに意外なことに、第2の触媒層の長さに対する第3の触媒層の長さの比が約1ないし2、特に1.2ないし1.7、特に好適には1.3ないし1.6であれば、原料使用効率および触媒の生産性等の経済性の観点において極めて良好な結果が達成されることが判明した。
【0050】
前述した個々の触媒層の長さ比の選択によって、特に第1の触媒層内における、極めて良好なホットスポットの配置と、長期の触媒稼働時間においても過度に高いホットスポット温度を防止するための良好な温度管理が可能になることが判明した。それによって、特に触媒の寿命に対しての生産効率が改善される。本発明がその真偽によって限定されるものではないが、前述した個々の触媒層の間の長さ比によって、第2の触媒層内で使用されるo−キシロールの実質的に完全な転化が実施され、従って前述した利点を有する第3の触媒層内においてはいわゆる“製品仕上げ”が実施され、すなわち実質的な有用製品への酸化による反応ガスからの不要な副生成物の洗浄が実施されると推定される。さらに、当業者においては、一定の経過時間の後にそのような触媒がホットスポットの領域(通常第1の層)において不活性化することが知られている。その不活性化によって第2の活性層内への反応の移動が生じ、それによって極めて高いホットスポット温度とそれに伴った選択性および装置安全性の問題が生じる。本発明に係る触媒において選択された長さ比によって、既知の利点を有するものである第1の層内におけるホットスポットの最大滞留時間が保証され、それと同時に本発明に係る第2と第3の層の長さによって実質的な有用生産物の最大生産効率と並んで最小の不要副生成物の比率が保証される。
【0051】
o−キシロールの無水フタル酸への気相酸化における温度管理は当業者において従来の技術によって周知であり、例えば独国特許出願公開第10040827号A1明細書を参照することができる。
【0052】
さらに、本発明に係る触媒を多層触媒床内に使用する際に、各触媒層内のアルカリ金属含有率をガス流入側からガス流出側に向かって低下するものとすれば好適である。
【0053】
意外なことに、活性材料含有率がガス流入側に配置された第1の触媒層からガス流出側に配置された触媒層に向かって低下するものとすることによって、多くの場合に極めて好適な3層あるいはそれより多い層からなる触媒を製造できることが判明した。その際第1の触媒層が約7ないし12重量%、特に約8ないし11重量%の活性材料含有率を有し、第2の触媒層が約6ないし11重量%、特に約7ないし10重量%の活性材料含有率を有し、第3あるいは最終の触媒層が約5ないし10重量%、特に約6ないし9重量%の活性材料含有率を有することが好適であると判明した。
【0054】
本発明において第1、第2あるいは第3の触媒層という表現は以下のような定義で使用される:第1の触媒層は、ガス流入側に配置された触媒層を示す。本発明に係る触媒においてはガス流出側にさらに2つの別の触媒層が設けられ、それらは第2あるいは第3の触媒層として呼称される。ここで第3の触媒層は、第2の触媒層に比べてガス流出側の近くに配置される。
【0055】
極めて好適な実施形態によれば、本発明に係る触媒は3つの触媒層からなる。その際第3の触媒層がガス流出側に配置される。しかしながら、第1の触媒層のガス流下流側に追加的な触媒層が存在することも除外されない。例えば、本発明の一実施形態によれば、第3の触媒層に対して(その第3の触媒層と等しいかあるいはさらに低い活性材料含有率を有する)第4の触媒層が後続することができる。
【0056】
本発明によれば、第1と第2の触媒層の間および/または第2と第3の触媒層の間で活性材料含有率が低下する。
【0057】
本発明の極めて好適な実施形態によれば、第2と第3の触媒層の間で活性材料含有率が低下する。ガス流入側からガス流出側に向かった触媒層の順序において活性材料含有率は決して増加することなく、最大でも等しく保持されることが理解される。
【0058】
本発明がその真偽によって限定されるものではないが、個々の層内における異なった活性材料含有率を伴った異なった層厚の触媒活性材料、特に好適には第1の層から第3の層に向かって低下する触媒活性材料の層厚によって、まず第1あるいは場合によって第2の層内におけるo−キシロールからPSAへの反応に影響がもたらされ、さらにより薄い活性材料の層を有する第3の層内において過少酸化生成物、例えばフタリドからPSAへの酸化が達成されるが、PSAからいわゆる過剰酸化生成物、例えばCOxへの酸化は生じないことが推定される。それによって、構造化されたパッケージ全体にわたってo−キシロールからPSAへの酸化に際していわゆる不要な副生成物の比率を最小化しながら最大の生産性が達成される。
【0059】
本発明の好適な実施形態によれば、BET比表面積はガス流入側に配置された第1の触媒層からガス流出側に配置された第3の触媒層に向かって増加する。それによって極めて良好な触媒作用を達成することができる。好適なBET比表面積の範囲は、第1の触媒層については15ないし25m/g、第2の触媒層についても15ないし25m/g、第3の触媒層については25ないし45m/gとなる。
【0060】
本発明によれば一般的に、第1の触媒層のBET比表面積が第3の触媒層のBET比表面積に比べて小さくなることが好適である。第1および第2の触媒層のBET比表面積を均等にして、一方最終の触媒層のBET比表面積をそれよりも大きくすれば、極めて好適な触媒が得られる。本発明の好適な実施形態によれば、ガス流入側の触媒活性度はガス流出側の触媒活性度に比べて小さくなる。
【0061】
原則的に、前述したように詳細に定義されたTiOと並んで、異なった特徴、すなわち異なったBET比表面積、多孔度および/または粒子大分布を有する別の二酸化チタンとの混合も可能である。しかしながら本発明によれば、少なくとも50%、特に少なくとも75%、特に好適には使用されるTiOの全量がここで定義されたようなBET比表面積および多孔度と、また前記の粒子大分布を有することが好適である。ここで異なったTiO材料の混合物を使用することもできる。
【0062】
さらに、好適な実施形態によれば、本発明に係る触媒を触媒活性材料中に全くリンを含まないものとし、それを本発明に従って使用されるTiOと組み合わせることによって極めて良好な活性度と同時に極めて高い選択性を可能にすることが判明した。さらに、触媒活性材料の少なくとも0.05重量%(アルカリ金属として計算して)が少なくとも1つのアルカリ金属から形成されることが好適である。ここで特に好適なアルカリ金属はセシウムである。
【0063】
さらに、一実施形態によれば、本発明に係る触媒は触媒活性材料の0.01ないし2重量%、特に0.5ないし1重量%の量のニオビウム(Niob)を含んでいる。
【0064】
本発明に係る触媒は、通常使用前に熱処理あるいは焼結(調質)される。その際、触媒を少なくとも24時間少なくとも390℃、特に24ないし72時間少なくとも400℃の温度で、酸素を含んだガス、特に空気中で焼結すれば極めて好適であることが判明した。その温度は約500℃、特に約470℃を超えないことが好適である。しかしながら、当業者において適宜に判断されるその他の焼結条件を使用することも原則的に排除されない。
【0065】
別の側面において本発明は、前述した触媒の製造方法に係り:
a. 上記で定義されたような、特に上記で詳細に特徴付けられたTiOを含んだ触媒活性材料を製造し、
b. 不活性担体、特に不活性担体成形体を製造し、
c. 特に流動層あるいは流動床内で前記触媒活性材料を前記不活性担体上に塗付する、
各ステップからなる。
【0066】
別の観点によれば本発明はさらに、上記において定義された二酸化チタンの、特に炭化水素の気相酸化用の触媒、特に好適にはo−キシロールおよび/またはナフタリンから無水フタル酸への気相酸化のための触媒の製造への適用方法に関する。
【0067】
方法:
本発明に係る触媒のパラメータを判定するために以下の方法が使用される:
【0068】
1. BET比表面積:
その判定はDIN(ドイツ規格協会)66131号に従ってBET方法によって実施され;BET方法の開示はJ.Am.Chem.Soc.第60版第309頁(1938)に記載されている。
【0069】
2. 細孔半径分布:
使用されるTiOの細孔半径分布の判定はDIN66133号に従った水銀多孔度測定によって実施され;最大圧力:製造者の提示仕様によれば、2000バール、ポロシメータ4000(ドイツポロテック社製)となる。
【0070】
3. 一次クリスタライトサイズ:
一次クリスタライトサイズ(一次粒子大)の判定は、粉末X線回折法によって実施される。その分析はドイツ国ブルッカー社製のブルッカーAXS−D4エンデバー型の装置によって実施した。得られたX線回折画像をパッケージソフト“ディフラクプラスD4メジャーメント”を使用して製造者の指示に従って撮影し、一次クリスタライトサイズを判定するために100%反射の半値全幅をソフトウェア“ディフラクプラス評価”を使用し製造者の指示に従いデバイ−シェラー公式に基づいて評価した。
【0071】
4. 粒子大:
粒子大の判定は、フリッチ・パーティクル・サイザ・アナライセット22エコノミー(ドイツ国フリッチ社製)を使用し製造者の提示仕様に従ってレーザ回折法を実施し、また次の試料の前処理も実施した:試料を消イオン化した水中で補助剤を添加せずに均質化し、5分間超音波処理する。
【0072】
5. TiOのアルカリ含有率
TiOのアルカリ含有率はDIN ISO 9964−3号に従って判定する。すなわち、アルカリはICP−AES(誘導結合プラズマ−原子発光分析)装置を使用して測定され、必要に応じてTiOの総アルカリ含有率を合算することができる。
【0073】
6. かさ密度:
かさ密度は、触媒を製造するために使用したTiO(150℃で減圧下で乾燥し、焼結はしない)について判定した。3回の測定から数値を求めた。
【0074】
かさ密度は、100gのTiO材料を1000mlの計量器に充填して約30秒間振盪することによって判定した。
【0075】
メスシリンダ(正確に100mlの容量)を空の状態で10mgに計量する。それに対してスタンドとクランプを備えた粉末漏斗をシリンダの口の上に固定する。ストップウォッチを始動した後、15秒間でメスシリンダにTiO材料を充填する。へらを使用して充填材料を流動的に追加注入し、それによってメスシリンダが常に幾らか張り出すように充填されるようにする。2分後に張り出した分をへらで除去し、その際圧力によってシリンダ内の材料が圧縮されないように留意する。充填されたメスシリンダをブラッシングして計量する。
【0076】
かさ密度は、g/mlで示される。
【0077】
BET比表面積、細孔半径分布あるいは細孔容積、ならびに一次クリスタライトサイズおよび粒子大分布の判定は、いずれも150℃で真空乾燥し、未焼結の材料上で二酸化チタンについて実施した。
【0078】
本明細書中における触媒あるいは触媒層のBET比表面積に関しての仕様も、それぞれ使用されるTiO材料(上記と同様に、150℃で真空乾燥、未焼結)のBET比表面積に関するものとなる。
【0079】
通常触媒のBET比表面積は使用されるTiOのBET比表面積によって判定され、その際追加的な触媒活性成分を添加することによってBET比表面積を一定の範囲で変化させることができる。このことは当業者において周知である。
【0080】
活性材料含有率(結合剤を除いた触媒活性材料の比率)はいずれの場合も各触媒層中の担体を含めた触媒の総重量に対する触媒活性材料比率(重量%)に係り、空気中において400℃で4時間調質した後測定される。
【0081】
次に、本発明につき、それに限定するものではないが、以下に記述する例を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0082】

例1: 触媒Aの製造(比較例1)
8重量%の活性材料含有率を有していて、7.5重量%の五酸化バナジウムと3.2重量%の三酸化アンチモンと0.40重量%のセシウム(セシウムとして計算して)と0.2重量%のリン(リンとして計算して)と残りの成分としての二酸化チタン(デュイスブルグ市のザハトレーベンヘミー有限会社製の商品名:ホンビカートT;製造番号E3−588−352−001)の組成からなる触媒Aを製造するため、いわゆる流動床塗布装置内において、8×6×5mmの大きさの中空シリンダ形状のステアタイト部材2600gを、17.9gの五酸化バナジウムと、7.6gの三酸化アンチモンと、1.28gの硫酸セシウムと、1.9gの二水素リン酸アンモニウムと、364.4gの二酸化チタンと、130.5gの50%濃度で拡散させた水および酢酸ビニル/エチレン共重合体からなる結合剤(ワッカー社製のビナパス(R)EP65W)と、1000gの水とからなる懸濁液によって70℃の温度下で被覆した。活性材料は薄い層の形式で塗布された。
【0083】
その二酸化チタンは、26m/gのBET比表面積と、1.23g/mlのかさ密度と、200オングストロームの一次クリスタライトサイズと、
− 総細孔容積の50%が7500ないし400nmの半径を有する細孔からなり、
− 総細孔容積の1.7%が400ないし60nmの半径を有する細孔からなり、
− 総細孔容積の48%が60ないし3.7nmの半径を有する細孔からなる、
細孔半径分布と、
d10=12.4μm
d50=31.6μm
d90=64.7μm
である粒子大分布と、
さらに2000ppm超の総アルカリ含有率(Li+Na+K+Rb+Cs)を有していた。
【0084】
例2: 触媒Bの製造(比較例2)
8重量%の活性材料含有率を有していて、7.5重量%の五酸化バナジウムと3.2重量%の三酸化アンチモンと0.40重量%のセシウム(セシウムとして計算して)と0.2重量%のリン(リンとして計算して)と残りの成分としての二酸化チタンの組成からなる触媒Bを製造するため、いわゆる流動床塗布装置内において、8×6×5mmの大きさの中空シリンダ形状のステアタイト部材2200gを、15.1gの五酸化バナジウムと、6.4gの三酸化アンチモンと、1.08gの炭酸セシウムと、1.5gの二水素リン酸アンモニウムと、178.62gの二酸化チタンと、130.5gの結合剤(例1参照)と、2000gの水とからなる懸濁液によって70℃の温度下で被覆した。活性材料は薄い層の形式で塗布された。
【0085】
例1の二酸化チタンを0.1Mの水性HNO中で湿潤化し、還流および攪拌しながら90℃の温度で一晩洗浄し、その後濾過して再蒸留した水で3回洗浄し、150℃で空気乾燥させる。その後でその二酸化チタンは、24.3m/gのBET比表面積と、1.09g/mlのかさ密度と、200オングストロームの一次クリスタライトサイズと、
− 総細孔容積の52%が7500ないし400nmの半径を有する細孔からなり、
− 総細孔容積の4.7%が400ないし60nmの半径を有する細孔からなり、
− 総細孔容積の43%が60ないし3.7nmの半径を有する細孔からなる、
細孔半径分布と、
d10=9.8μm
d50=32.5μm
d90=65.1μm
である粒子大分布と、
さらに1000ppm未満の総アルカリ含有率(Li+Na+K+Rb+Cs)を有していた。
【0086】
例3: 触媒Cの製造(本発明)
8重量%の活性材料含有率を有していて、7.5重量%の五酸化バナジウムと3.2重量%の三酸化アンチモンと0.40重量%のセシウム(セシウムとして計算して)と0.2重量%のリン(リンとして計算して)と残りの成分としての二酸化チタンの組成からなる触媒Cを製造するため、いわゆる流動床塗布装置内において、8×6×5mmの大きさの中空シリンダ形状のステアタイト部材2000gを、17gの五酸化バナジウムと、7.03gの三酸化アンチモンと、1.14gの硫酸セシウムと、1.7gの二水素リン酸アンモニウムと、195.0gの二酸化チタンと、130.5gの結合剤(例1参照)と、2000gの水とからなる懸濁液によって70℃の温度下で被覆した。活性材料は薄い層の形式で塗布された。
【0087】
その二酸化チタン(大韓民国慶尚南道660−882晋州市ボンコクサボン1108−1のナノ社製の商品名NT22−B20)は、18m/gのBET比表面積と、0.48g/mlのかさ密度と、390オングストロームの一次クリスタライトサイズと、
− 総細孔容積の43%が7500ないし400nmの半径を有する細孔からなり、
− 総細孔容積の47%が400ないし60nmの半径を有する細孔からなり、
− 総細孔容積の10%が60ないし3.7nmの半径を有する細孔からなる、
細孔半径分布と、
10=0.4μm
50=1.2μm
90=2.8μm
である粒子大分布と、
さらに1000ppm未満の総アルカリ含有率を有していた。
【0088】
例4: 触媒Dの製造(本発明)
8重量%の活性材料含有率を有していて、7.5重量%の五酸化バナジウムと3.2重量%の三酸化アンチモンと0.40重量%のセシウム(セシウムとして計算して)と0.2重量%のリン(リンとして計算して)と残りの成分としての二酸化チタンの組成からなる触媒Dを製造するため、いわゆる流動床塗布装置内において、8×6×5mmの大きさの中空シリンダ形状のステアタイト部材2000gを、17gの五酸化バナジウムと、7.03gの三酸化アンチモンと、1.14gの硫酸セシウムと、1.7gの二水素リン酸アンモニウムと、195.0gの二酸化チタンと、130.5gの結合剤(例1参照)と、2000gの水とからなる懸濁液によって70℃の温度下で被覆した。活性材料は薄い層の形式で塗布された。
【0089】
その二酸化チタン(前記ナノ社製の商品名NT22−B30)は34m/gのBET比表面積を有していて、回転窯内において50%の水蒸気と50%の空気の混合物中かつ600℃の温度下で48時間処理した。この熱処理の後に二酸化チタンは、24m/gのBET比表面積と、0.47g/mlのかさ密度と、349オングストロームの一次クリスタライトサイズと、
− 総細孔容積の19%が7500ないし400nmの半径を有する細孔からなり、
− 総細孔容積の66%が400ないし60nmの半径を有する細孔からなり、
− 総細孔容積の16%が60ないし3.7nmの半径を有する細孔からなる、
細孔半径分布と、
10=0.4μm
50=1.4μm
90=16.9μm
である粒子大分布と、
さらに1000ppm未満の総アルカリ含有率を有していた。
【0090】
例5: 触媒Aの触媒性能データ測定(比較例1)
120cmの長さおよび24.8mmの内径を有する反応管内に、40gの触媒Aを8×6×5mmのサイズのステアタイトリング材200gで希釈してホットスポットを防止するために80cmの長さまで充填する。この反応管は450℃の温度に加熱可能な液体状の溶融塩内に配置される。触媒積層物中には熱電素子を備えた3mmの保護管が存在しており、それによって全ての触媒組合せ体についての触媒温度を表示することができる。触媒性能を判定するために、この触媒Aを介して60g/Nmまでのo−キシロール(純度99.9%)を最大400Nlの空気/時の速度で誘導し、従って420℃の平均触媒温度において触媒材料に関しての空間速度が5.12l/h×mCatとなるように設定し、反応管から流出した後の反応ガスの成分を分析する。その検査の結果は表1に記載する。
【0091】
例6: 触媒Bの触媒性能データ測定(比較例2)
120cmの長さおよび24.8mmの内径を有する反応管内に、40gの触媒Bを8×6×5mmのサイズのステアタイトリング材200gで希釈してホットスポットを防止するために80cmの長さまで充填する。それ以外は例3の記述と同様に実施する。その検査の結果は表1に記載する。
【0092】
例7: 触媒Cの触媒性能データ測定(本発明)
120cmの長さおよび24.8mmの内径を有する反応管内に、40gの触媒Cを8×6×5mmのサイズのステアタイトリング材200gで希釈してホットスポットを防止するために80cmの長さまで充填する。それ以外は例3の記述と同様に実施する。
【0093】
例8: 触媒Dの触媒性能データ測定(本発明)
120cmの長さおよび24.8mmの内径を有する反応管内に、40gの触媒Dを8×6×5mmのサイズのステアタイトリング材200gで希釈してホットスポットを防止するために80cmの長さまで充填する。それ以外は例3の記述と同様に実施する。
【0094】
それらの検査結果は表1に記載する。
【0095】
【表1】

【0096】
例9: 本発明に係る3層触媒の製造
本発明に係る3層触媒は例えば以下のように製造することができる:
9重量%の活性材料含有率を有していて、7.5重量%の五酸化バナジウムと3.2重量%の三酸化アンチモンと0.40重量%のセシウム(セシウムとして計算して)と0.2重量%のリン(リンとして計算して)と残りの成分としての二酸化チタンの組成からなる触媒Eを製造するため、いわゆる流動床塗布装置内において、8×6×5mmの大きさの中空シリンダ形状のステアタイト部材2000gを、17.0gの五酸化バナジウムと、7.0gの三酸化アンチモンと、1.1gの硫酸セシウムと、1.65gの二水素リン酸アンモニウムと、194.9gの18m/gのBET比表面積を有する二酸化チタン(例3と同様)と、102.1gの50%濃度で拡散させた水および酢酸ビニル/エチレン共重合体からなる結合剤(ワッカー社製のビナパス(R)EP65W)と、2000gの水とからなる懸濁液によって70℃の温度下で被覆した。活性材料は薄い層の形式で塗布された。
【0097】
8重量%の活性材料含有率を有していて、7.5重量%の五酸化バナジウムと3.2重量%の三酸化アンチモンと0.20重量%のセシウム(セシウムとして計算して)と0.2重量%のリン(リンとして計算して)と残りの成分としての二酸化チタンの組成からなる触媒Fを製造するため、いわゆる流動床塗布装置内において、8×6×5mmの大きさの中空シリンダ形状のステアタイト部材2000gを、15.1gの五酸化バナジウムと、6.3gの三酸化アンチモンと、0.53gの硫酸セシウムと、1.47gの二水素リン酸アンモニウムと、173.7gの18m/gのBET比表面積を有する二酸化チタン(例3と同様)と、101gの50%濃度で拡散させた水および酢酸ビニル/エチレン共重合体からなる結合剤(ワッカー社製のビナパス(R)EP65W)と、2000gの水とからなる懸濁液によって70℃の温度下で被覆した。活性材料は薄い層の形式で塗布された。
【0098】
8重量%の活性材料含有率を有していて、7.5重量%の五酸化バナジウムと3.2重量%の三酸化アンチモンと0.2重量%のリン(リンとして計算して)と残りの成分としての二酸化チタンの組成からなる触媒Gを製造するため、いわゆる流動床塗布装置内において、8×6×5mmの大きさの中空シリンダ形状のステアタイト部材2000gを、15.1gの五酸化バナジウムと、6.25gの三酸化アンチモンと、1.47gの二水素リン酸アンモニウムと、174.11gの27m/gのBET比表面積を有する二酸化チタン(NT22−B20(例3参照)とNT22−B30(例4参照、非焼結)の混合物)と、101gの50%濃度で拡散させた水および酢酸ビニル/エチレン共重合体からなる結合剤(ワッカー社製のビナパス(R)EP65W)と、2000gの水とからなる懸濁液によって70℃の温度下で被覆した。活性材料は薄い層の形式で塗布された。触媒E,F,Gのいずれにおいても、TiOのかさ密度は0.5g/ml未満、一次クリスタライトサイズは340オングストローム超となり;また総細孔容積の少なくとも25%が60ないし400nmの半径を有する細孔によって形成されている。
【0099】
触媒層の順序は:160cmの触媒E、60cmの触媒F、70cmの触媒Gである。
【0100】
例10: 本発明に係る3層触媒の触媒性能
450cmの長さの反応管内に、70cmの触媒Gと60cmの触媒Fと160cmの触媒Eを層状に充填する。この反応管は450℃の温度に加熱可能な液体状の溶融塩内に配置される。触媒積層物中には熱電素子を備えた3mmの保護管が存在しており、それによって全ての触媒組合せ体についての触媒温度を表示することができる。触媒性能を判定するために、前記の触媒組合せ体を介してD・E・Fの触媒順で0から最大70g/Nmまでのo−キシロール(純度99.9%)を3.6Nmの空気/時の速度で誘導し、反応管から流出した後凝縮器を介して反応ガスを誘導し、その中で一酸化炭素および二酸化炭素を除いた反応ガスの全ての有機成分を分離する。分離された原料生成物を高温蒸気によって溶融させ、それを収集して計量する。
【0101】
総生産効率は以下のように算定する。
【0102】
最大の生PSA生産率[重量%]=(生PSAの正味重量[g]×100)/(o−キシロールの投入量[g]×o−キシロールの純度[%/100])
【0103】
その実験結果は表2に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
表2から明らかなように、例9の本発明に係る触媒は極めて良好なPSA生産効率およびPSA品質を有している。ホットスポットは好適に第1の触媒層内に位置している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性の担体を備えていてその上にTiOを含んだ触媒活性材料を有する少なくとも1つの層が塗付されている、特にo−キシロールおよび/またはナフタリンの気相酸化によって無水フタル酸を製造するための触媒であって、使用されるTiOの少なくとも一部が(a)BET比表面積が15m/g超となる、および(b)一次クリスタライトサイズが210オングストローム超となる、特性を有することを特徴とする触媒。
【請求項2】
使用されるTiOのかさ密度が1.0g/ml未満、特に0.8g/ml未満、特に好適には0.6g/ml未満であることを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項3】
使用されるTiOの少なくとも一部が:その総細孔容積の少なくとも25%が60ないし400nmの半径を有する細孔によって形成される特性を有することを特徴とする請求項1または2記載の触媒。
【請求項4】
使用されるTiOの少なくとも一部が、1000ppm未満の総アルカリ含有率である特性を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の触媒。
【請求項5】
一次粒子大が220オングストローム超、特に250オングストローム超、さらに好適には300オングストローム超、さらに好適には320オングストローム超、さらに好適には340オングストローム超、特に好適には380オングストローム超であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の触媒。
【請求項6】
TiOのBET比表面積が約15ないし60m/g、特に約15ないし45m/g、特に好適には約15ないし30m/gであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の触媒。
【請求項7】
総細孔容積の少なくとも約40%、特に少なくとも約50%が60ないし400nmの半径を有する細孔によって形成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の触媒。
【請求項8】
総細孔容積の最大70%、特に最大75%が60ないし400nmの半径を有する細孔から形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の触媒。
【請求項9】
触媒活性材料が流動床あるいは渦流動床内で塗布されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の触媒。
【請求項10】
総細孔容積の約30%未満、特に22%未満が400nm超の半径を有する細孔から形成されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の触媒。
【請求項11】
総細孔容積の約17ないし27%が400nm超の半径を有する細孔から形成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の触媒。
【請求項12】
総細孔容積の約50ないし70%、特に約50ないし65%が60ないし400nmの半径を有する細孔から形成されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の触媒。
【請求項13】
総細孔容積の30%未満、特に20%未満が3.7ないし60nmの半径を有する細孔から形成されることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の触媒。
【請求項14】
総細孔容積の約10ないし30%が3.7ないし60nmの半径を有する細孔から形成されることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の触媒。
【請求項15】
使用されるTiOのD90値が約0.5ないし20μm、特に約1ないし10μm、特に好適には約2ないし5μmとなることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の触媒。
【請求項16】
総細孔容積の10%未満、特に5%未満が3.7nm未満の細孔半径を有する微細孔からなることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の触媒。
【請求項17】
8重量%あるいはそれより多い触媒活性材料、特に五酸化バナジウムとして計算して約8ないし15重量%のバナジウムが存在することを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の触媒。
【請求項18】
触媒活性材料のうちの、アルカリ金属として計算して少なくとも0.05重量%が少なくとも1つのアルカリ金属からなることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の触媒。
【請求項19】
触媒活性材料の結合剤として有機重合体あるいは共重合体、特に酢酸ビニル共重合体を使用することを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の触媒。
【請求項20】
触媒を少なくとも24時間390℃超の温度、特に24ないし72時間400℃以上の温度で、酸素を含んだガス、特に空気中において焼結あるいは調質することを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載の触媒。
【請求項21】
触媒活性材料の0.1ないし2重量%、特に0.5ないし1重量%の量でニオビウムが存在することを特徴とする請求項1ないし20のいずれかに記載の触媒。
【請求項22】
唯1つのTiO源のみを使用し、その際使用されるTiOが上記の請求項のいずれか1つあるいは複数において定義されたBET比表面積あるいは細孔半径分布を有することを特徴とする請求項1ないし21のいずれかに記載の触媒。
【請求項23】
活性材料中にリンを全く含まないことを特徴とする請求項1ないし22のいずれかに記載の触媒。
【請求項24】
ガス流入側に配置された第1の触媒層と、よりガス流出側の近くに配置された第2の触媒層と、さらにガス流出側の近くあるいはガス流出口上に配置された第3の触媒層とを含み、各触媒層がそれぞれ異なった組成からなるとともにいずれもTiOを含んだ活性材料を有していて、活性材料含有率が第1の触媒層から第3の触媒層に向かって低下するものであってその度合いが、
a) 第1の触媒層が約7ないし12重量%の活性材料含有率を有し、
b) 第2の触媒層が6ないし11重量%の範囲の活性材料含有率を有し、その際この第2の触媒層の活性材料含有率が前記第1の触媒層の活性材料含有率よりも小さいかあるいは等しいものとなり、
c) 第3の触媒層が5ないし10重量%の範囲の活性材料含有率を有し、その際この第3の触媒層の活性材料含有率が前記第2の触媒層の活性材料含有率よりも小さいかあるいは等くなる、
ものである、請求項1ないし23のいずれかに記載の触媒。
【請求項25】
第1の触媒層が約8ないし11重量%の活性材料含有率を有することを特徴とする請求項1ないし24のいずれかに記載の触媒。
【請求項26】
第2の触媒層が約7ないし10重量%の活性材料含有率を有することを特徴とする請求項1ないし25のいずれかに記載の触媒。
【請求項27】
第3の触媒層が約6ないし9重量%の活性材料含有率を有することを特徴とする請求項1ないし26のいずれかに記載の触媒。
【請求項28】
ガス流入側の触媒層の触媒活性度がガス流出側の触媒層の触媒活性度に比べて小さくなることを特徴とする請求項1ないし27のいずれかに記載の触媒。
【請求項29】
第1の触媒層のBET比表面積が第3の触媒層のBET比表面積に比べて小さいことを特徴とする請求項1ないし28のいずれかに記載の触媒。
【請求項30】
第1および第2の触媒層のBET比表面積が等しくなり、一方第3の触媒層のBET比表面積はそれより大きくなることを特徴とする請求項1ないし29のいずれかに記載の触媒。
【請求項31】
第1および第2の触媒層のBET比表面積がそれぞれ約15ないし25m/g、第3の触媒層のBET比表面積は25ないし45m/gとなることを特徴とする請求項1ないし30のいずれかに記載の触媒。
【請求項32】
ガス流入側に配置された第1の触媒層が触媒床の全長に対して少なくとも40%、特に少なくとも45%、特に好適には少なくとも50%の長さ比率を有していることを特徴とする請求項1ないし31のいずれかに記載の触媒。
【請求項33】
触媒床の全長に対する第1の触媒層の比率が、40ないし70%、特に40ないし55%、特に好適には40ないし52%となることを特徴とする請求項1ないし32のいずれかに記載の触媒。
【請求項34】
触媒床の全長に対する第2の触媒層の比率が、約10ないし40%、特に約10ないし30%となることを特徴とする請求項1ないし33のいずれかに記載の触媒。
【請求項35】
第2の触媒層の長さに対する第3の触媒層の長さの比が約1ないし2、特に1.2ないし1.7、特に好適には1.3ないし1.6となることを特徴とする請求項1ないし34のいずれかに記載の触媒。
【請求項36】
前記請求項1ないし35のいずれかに記載の触媒を製造する方法であって:
a. 前記請求項1ないし15のいずれかに記載のTiOを少なくとも含んだ活性材料を生成し、
b. 不活性な担体、特に不活性な担体成形材を生成し、
c. 特に渦流床あるいは流動床内において前記触媒活性材料を前記不活性な担体上に塗布する、
ステップからなる方法。
【請求項37】
15m/g超のBET比表面積と22オングストローム超の一次粒子大を有する二酸化チタンの、特に炭化水素の気相酸化用の触媒、特に好適にはo−キシロールおよび/またはナフタリンから無水フタル酸への気相酸化用の触媒の製造への適用方法。
【請求項38】
二酸化チタンが1.0g/ml未満、特に0.8g/ml未満、特に好適には0.6g/ml未満のかさ密度を有することを特徴とする請求項37記載の適用方法。
【請求項39】
二酸化チタンが210オングストローム超、特に250オングストローム超、さらに好適には300オングストローム超、さらに好適には320オングストローム超、さらに好適には340オングストローム超、特に好適には380オングストローム超の一次クリスタライトサイズを有することを特徴とする請求項37または38記載の適用方法。

【公表番号】特表2008−540124(P2008−540124A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512691(P2008−512691)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012701
【国際公開番号】WO2006/125467
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507294959)ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (21)
【Fターム(参考)】