説明

無洗米製造装置

【課題】粒状物を再生利用する際の品質管理を高精度に行うことが可能な無洗米製造装置を提供する。
【解決手段】原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無洗米製造装置に関するもので、詳しくは、粒状物(タピオカパール)の循環使用の際に品質管理を高精度に行うことが可能な無洗米製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精米機で精白した後の米に付着しているアリューロン層(糊粉層)を除去することにより、炊飯時の水研ぎを不要とする、いわゆる無洗米が普及され、年々、生産量が増加している。特に、タピオカパールの粘着力を利用してアリューロン層(糊粉層)を除去する方法は精米工場での水使用量を大幅に削減することから、注目されている。このタピオカパールの粘着力を利用してアリューロン層(糊粉層)を除去する加工方法が特許文献1に開示されている。この方法は、精白穀類に水分を添加してその表面を軟化させる工程と、該精白穀類と、1.0mm〜1.7mmの粒度に調製して60℃以上に加熱した粒状物(タピオカパール)とを混合・攪拌し、精白穀類の穀粒表面に残存する糠を粒状物に吸着させて除去する工程と、該精白穀類と粒状物とを分離する工程と、を備えたものである。
【0003】
更に、このタピオカパールを循環使用して無洗米を製造することが可能な装置が特許文献2に開示されている。この装置は、原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物(タピオカパール)を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱付着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物に対し、これに付着した糠を剥離するとともに、粒選別を行う粒状物整粒部と、整粒された粒状物を乾燥する乾燥部と、乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を有する粒状物再生部とを備えてなり、前記粒状物整粒部が、粒状物を粒選別する選別筒と、粒状物に付着した糠を除去する剥離ロール部と、から構成したことを特徴とするものである。これにより、粒状物の表面に付着した糠の除去及び糠除去後の粒状物の粒選別を整粒部で行うことができ、従来のように篩を使用することなく、糠の除去及び粒選別を行うことができるので、装置の小型化が可能となるといった作用・効果が生じるものである。
【0004】
しかしながら、上記のようなタピオカパールを循環使用して無洗米を製造することが可能な装置にあっては、タピオカパールを再生利用する際の品質管理項目として、タピオカパールの水分及び容積重といった簡単な検査項目だけで品質管理を行っており、高精度とは言い難(かた)かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3206752号公報
【特許文献2】特許第4415498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点にかんがみ、タピオカパールを再生利用する際の品質管理を高精度に行うことが可能な無洗米製造装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設ける、という技術的手段を講じた。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、前記再利用検査器は、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の測定により再生利用可能か否かの検査を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明によれば、原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けるとともに、該再利用検査器は、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の変化に応じて、前記粒状物研磨部における粒状物の研磨度合いを調節するよう前記粒状物研磨部に連絡したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明によれば、前記粒状物研磨部は、前記粒状物研磨部の剥離ロール部の回転数、流量調節部の流量及び/又は剥離室の圧力のいずれかを調節することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明によれば、原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けるとともに、該再利用検査器は、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の変化に応じて、前記粒状物研磨部における循環回数を調節するよう前記粒状物研磨部に連絡したことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明によれば、前記再利用検査器は、光源部、測定部及び受光センサ部を備えてなり、前記光源部は、前記測定部に対する照射光が集中的に照射されるよう、複数の光源を前記測定部に対して平面視で略八の字状に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けたので、従来のように、オペレータが粒状物をサンプリングし、粒状物の水分及び容積重といった簡単な検査項目に基づいて再生利用が可能か否かを判断するのではなく、再利用検査器に基づいて測定器によって粒状物が再生利用が可能か否かを判断するので、粒状物を再生利用する際の品質管理を高精度かつ正確に行うことが可能となる。
【0014】
また、請求項2記載の発明によれば、前記再利用検査器が、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の測定により再生利用が可能か否かの検査を行うので、粒状物の水分及び容積重といった簡単な検査項目に加え、白度の測定を加えて粒状物を再生利用する際の品質管理を行うため品質管理を高精度かつ正確に行うことが可能となる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けるとともに、該再利用検査器は、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の変化に応じて、前記粒状物研磨部における粒状物の研磨度合いを調節するよう前記粒状物研磨部に連絡したので、再利用検査器は、粒状物の反射率・透過率を測定するとともに、使用済みの粒状物の白度が計算され、この白度は新品粒状物の白度と比較され過不足の白度に応じ、粒状物研磨部における粒状物の研磨度合いが調節されるから、粒状物研磨部が自動的に調節されて、使用済みの粒状物は任意の白度に確実に研磨されるとともに、一定の白度に保持することができる。
【0016】
また、請求項4記載の発明によれば、前記粒状物研磨部は、前記粒状物研磨部の剥離ロール部の回転数、流量調節部の流量及び/又は剥離室の圧力のいずれかを調節するものであり、使用済みの粒状物の白度と新品の粒状物の白度とが比較され過不足の白度に応じて、粒状部研磨部の剥離ロールの回転数、流量調節部の流用及び/又は剥離室の圧力のいずれかが自動的に調節されるものであるから、使用済みの粒状物は任意の白度に確実に研磨されるとともに、一定の白度に保持され、さらに、再生粒状物の量産ができるという効果がある。
【0017】
さらに、請求項5記載の発明によれば、原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けるとともに、該再利用検査器は、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の変化に応じて、前記粒状物研磨部における循環回数を調節するよう前記粒状物研磨部に連絡したので、再利用検査器は、粒状物の反射率・透過率を測定するとともに、使用済みの粒状物の白度が計算され、この白度は新品粒状物の白度と比較され過不足の白度に応じ、粒状物研磨部における粒状物の循環回数が調節されるから、粒状物研磨部が自動的に調節されて、使用済みの粒状物は任意の白度に確実に研磨されるとともに、一定の白度に保持することができる。
【0018】
そして、請求項6記載の発明によれば、前記再利用検査器は、光源部、測定部及び受光センサ部を備えてなり、前記光源部は、前記測定部に向かう照射光が集中的に照射されるよう、前記測定部に対して複数の光源を平面視で略八の字状に配置してあるから、測定部に向かう照射光が集中的に照射され、検査器における粒状物の反射率・透過率の測定精度が向上するとともに、粒状物の白度が精度よく計算されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る無洗米製造装置の概要を示す工程図である。
【図2】本発明の特徴的な構成の一つである再利用検査器の斜視図である。
【図3】同上の一部を破断断面で示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<基本工程>
本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の無洗米製造装置の概要を示す工程図である。図1を参照して基本工程を説明する。原料精白米Aを第1工程の湿式加工部Cに投入すると、原料精白米Aに水Bが添加され、該原料精白米Aが攪拌されながら原料精白米A表面の残留糠が軟質化されるようになる。そして、表面の残留糠が軟質化された精白米Aが湿式加工部Cから排出されると、引き続いて第2工程の熱付着材加工部Eに投入される。すると、粘着力を有する加熱した粒状物D(例えば、熱したタピオカパール)が投入され、精白米Aとともに混合・攪拌されて軟質化した残留糠が粒状物Dに吸着されるようになる。そして、これら混合物は、第3工程である分離乾燥部Fに投入されて乾燥されるとともに、粒大選別によって無洗米Gと再利用粒状物D1とに分離され、無洗米Gは精品として回収されることになる。
【0021】
一方、分離乾燥部Fで分離された再利用粒状物D1は、循環系Hにて再生されて再利用されることになる。すなわち、再利用粒状物D1は、その一部を採取して試験サンプルとして再利用検査器Iに投入し、粒状物Dとして再生利用可能か否かの検査が行われる。
【0022】
再利用検査器Iにおいて、再利用粒状物D1の検査が行われるのであるが、残留糠の吸着が多量であって、粒状物研磨機Jを通過させる必要がある場合は、経路S1により粒状物研磨機Jを通過させて再利用粒状物D1の表面を研磨して再生利用する。一方、再利用検査器Iにおいて、再利用粒状物D1への残留糠の吸着が極めて少なく、粒状物研磨機Jに通過させることなく再利用可能と判断した場合は、経路S2により粒状物研磨機Jを回避させて粒状物乾燥機Lへ至る。
【0023】
前記粒状物研磨機Jを通過させた再生粒状物D2は、経路S3を介してその一部が試験サンプルとして再利用検査器Kに供給される。そして、再生粒状物D2の研磨が適性か否かの検査が行われ、再生粒状物D2の研磨が適正である場合は経路S4を介して粒状物乾燥機Lへ至り、再生粒状物D2の研磨が不足する場合は経路S5を介して再度粒状物研磨機Jに循環し、再研磨が行われる。
【0024】
<粒状物の再利用検査器について>
次に、本発明の特徴的な構成の一つである図1の再利用検査器I,Kについて説明する。図3は、再利用検査器の構造を示す概略斜視図であり、図4は、同上の一部を破断断面で示した平面図であり、これら図3及び図4を参照して詳細に説明する。
【0025】
再利用検査器は、外箱1内に、入・切スイッチ2、インレットフィルター付電源コンセント3及びスイッチング回路4からなる電源部5と、USB出力端子、RS-232C出力端子等を備えた出力部6と、ノイズフィルター7と、波長として、例えば、475nm付近の青色光を照射する複数のLED発光素子8a,8bを備えた光源部9と、光源部9から外箱1の中央部寄りに配設した測定部10と、透過光受光センサ11及び反射光受光センサ12からなる受光センサ部13と、を備えて構成される。
【0026】
前記測定部10は、サンプルケース14が挿入可能な開口部15が設けられ、該サンプルケース14は保持枠16によって支持される。サンプルケース14は、例えば、幅54mm、厚14mm及び長さ105mmの寸法の直方体に形成されており、一側面が閉鎖されるとともに、他端面は試料を充填することが可能な試料挿入口14aが設けられ、該試料挿入口14a近傍には、挿入口を被覆するための蓋部材14dが設けられる。そして、サンプルケース14の両側面部14b,14cには、石英ガラス等からなる透明窓17a,17bを設ける。
【0027】
前記複数のLED発光素子8a,8bは、測定部10の開口部15からサンプルケース14を挿入したときに、サンプルケース14の透明窓17a上に透明窓17aの平面に対して照射光が集中的に照射されるよう、平面視で略八の字状に配置する。このときの角度としては透明窓17aの平面から45度の角度でそれぞれ配置するとよい。そして、反射光受光センサ12は透明窓17aに正対するとともに、透過光受光センサ11は透明窓17bに正対するようにそれぞれを配置している。
【0028】
外箱1の前面側には、表示部18が設けられ、その下方にCPUおよびメモリ等を備えた基板から構成される演算部(図示せず)を内装する。表示部18は、回数表示部19、白度表示部20、透過度表示部21等を備えている。
【0029】
<粒状物の再利用検査器の具体的作動について>
次に、上記再利用検査器の具体的作動について説明する。電源部5の入・切スイッチ2をオンすると、光源部9のLED発光素子8a,8bが点灯するとともに、受光センサ部13の透過光受光センサ11及び反射光受光センサ12に電源が投入されて数秒後にスタンバイ状態となる。その後、校正ボタン22を押して校正を行う。校正には、残留糠が吸着されていない新品の粒状物D(図1参照)をサンプルケース14に充填し、これを測定部10の保持枠16に挿入して行う。そして、光源部9のLED発光素子8a,8bからの照射光は、測定部10のサンプルケース14の透明窓17aに向けて照射され、該透明窓17a、サンプルケース14内部、及び透明窓17bを透過した光は、透過光受光センサ11に到達し、このときの光量をもって透過度100%とする。一方、透明窓17aから反射される光は、反射光受光センサ12に到達し、このときの光量をもって反射度100%とする。これをもって校正が終了し、表示部18の回数表示部19、白度表示部20、透過度表示部21の全てが「0」表示する。
【0030】
校正が終了すると、サンプルケース14を抜き出し、試験サンプルとなる再利用粒状物D1(図1参照、例えば、使用済みの糠の付着したタピオカパール)を充填して測定部10の保持枠16に挿入する。そして、出力ボタン23を押すと、サンプルとなる再利用粒状物D1の白度(研磨度)の測定が開始される。すなわち、光源部9のLED発光素子8a,8bからの照射光は、透過光受光センサ11及び反射光受光センサ12よってサンプルからの透過光量と反射光量とがそれぞれ取り込まれ、電気信号に変換して演算部(図示せず)に取り込まれる。演算部においては、校正時に設定された反射度及び透過度各100%に対する比率で反射度と透過度とを算出する。
【0031】
反射度と透過度とから白度(研磨度)を演算することになる。白度(研磨度)は、試験的に求めたデータから回帰式を求めることよって算出可能であり、新品の粒状物Dの白度(研磨度)を100%としたときの、糠の付着した使用済みの粒状物D1の白度(研磨度)を求めることができる。新品の粒状物Dは白っぽいものであるが、糠が付着した使用済みの粒状物D1であれば、黄色っぽく黒ずんだ色であり、該使用済みの粒状物D1の白度(研磨度)は80%以下となると思われる。
【0032】
このようにして求めた白度(研磨度)、透過度は、測定回数とともにそれぞれ表示部18の白度表示部20、透過度表示部21にそれぞれ表示される。
【0033】
<粒状物研磨機および粒状物乾燥部について>
次に、図1の粒状物研磨機Jであるが、粒状物研磨機Jとしては、前述の特許文献2の段落0022から0025、及び図3から図5に開示された形態の粒状物研磨機Jを適用することができる。また、粒状物乾燥部Lとしても、特許文献2の段落0026から0030、及び図6に開示された形態の粒状物乾燥部Lを適用することができる。
【0034】
<作用>
上記構成における無洗米製造装置の作用を説明する。図1の湿式加工部Cにおいて、搗精された原料精白米Aを供給するとともに、該原料精白米Aの重量比約5%の水を供給すると、供給された原料精白米Aは、湿式加工部Cのスクリュー(図示せず)の回転作用により搬送されながら、攪拌され、原料精白米A表面に残留した残留糠が水分を吸収して軟質化され、さらに、一部の残留糠が精白米から剥離することになる。
【0035】
次に、軟質化された精白米Aは熱付着材加工部Eに投入される。すると、粘着力を有する加熱した粒状物D(例えば、熱したタピオカパール)が投入され、精白米Aとともに混合・攪拌されて軟質化した残留糠が粒状物Dに吸着されるようになる。
【0036】
そして、残留糠を吸着した粒状物Dと残留糠が除去された精白米Aとは、分離乾燥部Fに供給され、該分離乾燥部Fの攪拌翼(図示せず)の作用を受けて攪拌される。このとき、分離乾燥部Fでは乾燥風が供給されて、粒状物D及び精白米Aは乾燥作用を受けるとともに、粒状物Dは分離乾燥部Fのスクリーン筒(図示せず)の網目を通過して精白米Aと分離されて再利用粒状物D1として取り出され、精白米Aは無洗米Gとして取り出される。
【0037】
<再利用粒状物の品質管理>
分離乾燥部Fから取り出された再利用粒状物D1は、その一部を採取して試験サンプルとして再利用検査器Iに投入し、粒状物Dとして再生利用可能か否かの検査が行われる。このとき、新品の粒状物Dの白度(研磨度)を100%としたときの、糠の付着した使用済みの粒状物D1の白度(研磨度)を求めるものであり、新品の粒状物Dは白っぽいもので白度(研磨度)が高く、糠が付着した使用済みの粒状物D1であれば、黄色っぽく黒ずんだ色であり、新品の粒状物Dよりも白度(研磨度)が低いものになると思料される。
【0038】
【表1】

【0039】
表1は、株式会社サタケ製の搗精度計 型式MM1Dにより各粒状物の白度(研磨度)を測定したものである。すなわち、B精米工場における新品の粒状物D、糠の付着した使用済みの粒状物D1、及び使用済みの粒状物D1を粒状物研磨機Jにより再生した粒状物D2の白度(研磨度)をそれぞれ測定したものである。その結果、新品の粒状物Dに比べて使用済みの粒状物D1は白度(研磨度)が低く、使用済みの粒状物D1を粒状物研磨機Jにより再生することで白度(研磨度)が向上することが確認できた。
【0040】
図1の再利用検査器Iでは、再利用粒状物D1の白度(研磨度)を算出するとともに、白度表示部20に表示し、再利用検査器Iの演算部(図示せず)からの信号が粒状物研磨機Jの制御部(図示せず)に入力され、再利用粒状物D1の白度(研磨度)の変化に応じて粒状物研磨機Jの研磨度合いが調節される。すなわち、粒状物研磨機Jの研磨度合いは、粒状物研磨機Jの剥離ロール部の回転数、供給タンク下部に設けた流量調節部の流量、及び剥離ロール部とスクリーン筒との間隙に設けられる剥離室の圧力などが研磨度合いに関係するパラメータとなる。
【0041】
そして、予め設定した研磨度合いとなるよう、剥離ロールの回転数、流量及び剥離室の内圧が調節された粒状物研磨機Jに再利用粒状物D1が供給される。再利用粒状物D1は、剥離ロールの突起部の作用を受けて攪拌され、粒々摩擦作用やスクリーン筒との接触作用などによって表面に吸着した残留糠が除去される。そして、残留糠は、スクリーン筒から漏出して除去され、再利用粒状物D1は、排出部から機外に排出される。
【0042】
粒状物研磨機Jから排出された再生粒状物D2は、経路S3を介してその一部が試験サンプルとして再利用検査器Kに供給される。そして、再生粒状物D2の研磨が適性か否かの検査が行われ、再生粒状物D2の研磨が適正である場合は経路S4を介して粒状物乾燥機Lへ至り、再生粒状物D2の研磨が不足する場合は経路S5を介して再度粒状物研磨機Jに至り、再研磨が行われる。
【0043】
粒状物乾燥機Lでは、再生粒状物Dが約100℃〜120℃の熱風を受けて乾燥される。また、粒状物乾燥機Lには、熱付着材加工部E、分離乾燥部F及び粒状物研磨機Jなどによって損耗した粒状物を補給するための新規粒状物の補給機Mが接続されている。そして、粒状物乾燥機Lから排出された乾燥粒状物D3は、経路S6を介して粒状物Dとして返還される。
【0044】
以上説明したように本発明によれば、原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けたので、従来のように、オペレータが粒状物をサンプリングし、粒状物の水分及び容積重といった簡単な検査項目に基づいて再生利用が可能か否かを判断するのではなく、再利用検査器に基づいて測定器によって粒状物が再生利用が可能か否かを判断するので、粒状物を再生利用する際の品質管理を高精度かつ正確に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1 外箱
2 入・切スイッチ
3 電源コンセント
4 スイッチング回路
5 電源部
6 出力部
7 ノイズフィルター
8 LED発光素子
9 光源部
10 測定部
11 透過光受光センサ
12 反射光受光センサ
13 受光センサ部
14 サンプルケース
15 開口部
16 保持枠
17 透明窓
18 表示部
19 回数表示部
20 白度表示部
21 透過度表示部
22 校正ボタン
23 出力ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、
該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、
該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、
該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、
前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けたことを特徴とする無洗米加工装置。
【請求項2】
前記再利用検査器は、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の測定により再生利用可能か否かの検査を行う請求項1記載の無洗米製造装置。
【請求項3】
原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、
該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、
該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、
該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、
前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けるとともに、該再利用検査器は、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の変化に応じて、前記粒状物研磨部における粒状物の研磨度合いを調節するよう前記粒状物研磨部に連絡したことを特徴とする無洗米製造装置。
【請求項4】
前記粒状物研磨部は、前記粒状物研磨部の剥離ロール部の回転数、流量調節部の流量及び/又は剥離室の圧力のいずれかを調節してなる請求項3記載の無洗米製造装置。
【請求項5】
原料精白米表面の糠を軟質化させる湿式加工部と、
該湿式加工部で処理された精白米に加熱した粒状物を加え、精白米表面の糠を粒状物に吸着させる熱着材加工部と、
該熱付着材加工部で処理された精白米の表面を乾燥させるとともに、粒状物を分離する分離乾燥部と、
該分離乾燥部で分離された粒状物の糠を剥離する粒状物研磨部、研磨された粒状物を乾燥する乾燥部、及び乾燥された粒状物を前記熱付着材加工部に還流する搬送部を備えた粒状物再生部と、を備えた無洗米製造装置であって、
前記分離乾燥部と前記粒状物再生部との間に、前記分離乾燥部で分離された粒状物が再生利用可能か否かの検査を行う再利用検査器を設けるとともに、該再利用検査器は、前記分離乾燥部で分離された粒状物の白度の変化に応じて、前記粒状物研磨部における循環回数を調節するよう前記粒状物研磨部に連絡したことを特徴とする無洗米製造装置。
【請求項6】
前記再利用検査器は、光源部、測定部及び受光センサ部を備えてなり、前記光源部は、前記測定部に向かう照射光が集中的に照射されるよう、前記測定部に対して複数の光源を平面視で略八の字状に配置してなる請求項1から5のいずれかに記載の無洗米製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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