説明

無線タグ処理装置,および無線タグ処理方法

【課題】同一の識別子の複数回の通知を防止する識別子通知装置,および識別子通知方法を提供する。
【解決手段】無線タグ処理装置が,無線タグの識別子を受信する受信部と,前記受信する識別子および通知の有無を記憶する記憶部と,前記記憶部の記憶内容に基づいて,未通知の識別子を通知する通知部と,を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,無線タグ処理装置,および無線タグ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードなどに代わる自動認識技術として,無線交信によりリーダとの間で情報をやり取りする無線タグが利用されている。無線タグは,データの書き換えが可能,リーダとの間に他の部材が介在されている場合でも情報の交信が可能,複数のタグの一括読み取りが可能であるなど,多数の利点を有する。
無線タグは製品等種々の物品の管理に用いられる。例えば,物品それぞれに無線タグを取り付けて,無線タグ中の識別子(ID)をリーダで読み取る。この結果,物品を互いに識別し,管理することができる。
なお,リーダがID(タグデータ)を読み取りはじめたときと読み取りをしなくなったときのみタグデータを取り出す状態変化フィルタの技術が開示されている(非特許文献1参照)。状態変化フィルタによって,リーダの読み取り範囲に入り続けている無線タグからの同一IDがフィルタリングされる。
【非特許文献1】http://www.thinkit.co.jp/cert/article/0606/12/4/3.htm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
棚卸などで多くの無線タグからIDを一度に読み取る際に,同一物品のID(同一ID)を複数回読み取る可能性がある。この場合,複数回読み取った同一IDをフィルタリングすることが好ましい。
しかしながら,上記の技術では,同一の無線タグがリーダの読み取り範囲に出入りする場合に,IDをフィルタリングすることは困難である。例えば,無線タグがリーダから離れたり,金属などの障害物を横切ったりして,リーダが一時的にIDを読み取れなかった場合,状態変化フィルタによってIDをフィルタリングすることは出来ない。この場合,同一のIDが複数回通知されることになり,好ましくない。
上記に鑑み,本発明は,同一の識別子の複数回の通知を防止する識別子通知装置,および識別子通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る無線タグ処理装置は,無線タグの識別子を受信する受信部と,前記受信する識別子および通知の有無を記憶する記憶部と,前記記憶部の記憶内容に基づいて,未通知の識別子を通知する通知部と,を具備することを特徴とする。
【0005】
本発明の一態様に係る無線タグ処理方法は,無線タグの識別子を受信するステップと,前記受信する識別子および通知の有無を記憶する記憶部の記憶内容に基づいて,未通知の識別子を通知するステップと,を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば,同一の識別子の複数回の通知を防止する識別子通知装置,および識別子通知方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下,図面を参照して,本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は,本発明の第1実施形態に係る無線タグ処理装置10を表すブロック図である。
無線タグ処理装置10は,複数の無線タグ110を処理するものであり,リーダ120,処理装置本体130を有する。
【0008】
複数の無線タグ(RFID[Radio Frequency IDentification]タグ又は非接触データキャリアなどとも称する)110は,複数の物品それぞれに取り付けられ,物品を互いに識別する。無線タグ110は,例えば13.56MHz帯の周波数で交信を行う電磁誘導方式のタグであって,ICチップやアンテナコイルなどを備える。
【0009】
上記のICチップは,読み出し専用メモリ(ROM),ランダムアクセスメモリ(RAM),ロジック回路,中央演算処理装置(CPU)などを備える。CPUでは,ROMやRAMに格納されたプログラムやデータなどを用いてリーダ120との通信制御や応答処理など各種の演算処理を実行する。また,ROMには,無線タグ110の製造時に,個々の無線タグ110に固有に付与されたタグ識別コード(タグ識別情報(識別子:ID))が記憶されている。さらに,ICチップには,無線交信のためのRF回路の他,コンデンサなども搭載されている。
【0010】
リーダ120は,無線タグ110から識別子(ID)を読み取る読み取り装置である。リーダ120が,例えば,電磁波を無線タグ110に印加することで,リーダ120,無線タグ110間での通信が可能となる。
また,無線タグ110及びリーダ120は,いわゆるアンチコリジョン機能に対応している。つまり,リーダ120は,所定の読取範囲(通信エリア)内にある複数の無線タグ110を一括して読み取ることができる。
【0011】
処理装置本体130は,IDフィルタ部140,上位アプリケーション部160を有する。IDフィルタ部140は,リーダ120から受信したIDをフィルタリングして上位アプリケーション部160に通知する。上位アプリケーション部160は,IDフィルタ部140から通知されたIDを用いて所定の処理(例えば,在庫管理)を実行する。
【0012】
処理装置本体130は,ハードウェア(例えば,コンピュータ),ソフトウェア(プログラム)の組み合わせにより構成できる。例えば,IDフィルタ部140,上位アプリケーション部160それぞれに対応するソフトウェア(ミドルウェア,上位アプリケーション)によってコンピュータを動作することで,コンピュータが処理装置本体130として機能する。
【0013】
IDフィルタ部140は,通知済みIDリスト記憶部141,未通知IDリスト記憶部142,ID受け取り部143,処理制御部144,リスト処理部145,ID通知部146を有する。
【0014】
通知済みIDリスト記憶部141,未通知IDリスト記憶部142は,受信する識別子および通知の有無を記憶する記憶部として機能し,メモリ,ハードディスク等の記憶媒体から構成できる。
通知済みIDリスト記憶部141は,リーダ120から受け取って上位アプリケーション部160に通知したIDの一覧である通知済みIDリストを記憶する。
未通知IDリスト記憶部142は,リーダ120から受信したが,まだ上位アプリケーション部160に通知していないIDの一覧である未通知IDリストを記憶する。
【0015】
ID受け取り部143は,無線タグの識別子を受信する受信部として機能し,リーダ120から無線タグ110のIDを受信する。
処理制御部144は,ID受取部143,リスト処理部145,ID通知部146間での処理手順を制御する。
リスト処理部145は,通知済みIDリスト記憶部141,未通知IDリスト記憶部142内のリストを処理する。
ID通知部146は,上位アプリケーション部160に無線タグ110のIDの一覧を通知する。
【0016】
リスト処理部145は,通知済みIDリスト判定部151,通知済みID追加部152,未通知IDリスト判定部153,未通知ID追加部154,および未通知ID削除部155を有する。
通知済みIDリスト判定部151は,リーダ120から受信したIDが通知済みIDリストに含まれているか否かを判定する。
通知済みID追加部152は,通知済みIDリストに上位アプリケーション部160に通知したID一覧を追加する。
未通知IDリスト判定部153は,リーダ120から受信したIDが未通知IDリストに含まれているか否かを判定する。
未通知ID追加部154は,未通知IDリストにリーダ120から受信したIDを追加する。
未通知ID削除部155は,未通知IDリストの内容を削除する。
【0017】
(無線タグ処理装置10の動作)
以下,無線タグ処理装置10の動作を説明する。
A.リーダ120からのIDの取得(図2参照)
(1)ID受け取り部143がリーダ120から無線タグ110のIDを受け取る(ステップS11)。
(2)未通知IDリスト判定部153が,未通知IDリストにリーダ120から取得したIDが格納されているかを確認する(ステップS12)。未通知IDリストにリーダ120から取得したIDが格納されていない場合は次のステップS13に進む。
(3)通知済みIDリスト判定部151が,通知済みIDリストにリーダ120から取得したIDが格納されているか確認する(ステップS13)。リーダ120から取得したIDが格納されていない場合は次のステップS14に進む。
(4)未通知ID追加部154が,未通知IDリストにリーダ120から取得したIDを追加する(ステップS14)。
【0018】
B.上位アプリケーション部160へのIDの通知(図3参照)
例えば,上位アプリケーション部160からの通知要求に対応して,IDが通知される。
(1)未通知IDリスト記憶部142の未通知IDリストをバッファに一時記憶する(ステップS21)。
(2)通知済みID追加部152が,未通知IDリストの内容を通知済みIDリストに追加する(ステップS22)。
(3)未通知ID削除部155が,未通知IDリスト記憶部142から未通知IDリストを削除する(ステップS23)。
(4)ID通知部146が,上位アプリケーション部160に未通知IDリストの内容を通知する(ステップS24)。この通知に際して,バッファに記憶される未通知IDリストが用いられる。
【0019】
C.通知済みIDリスト・未通知IDリストの初期化
例えば,上位アプリケーション部160からの初期化要求に対応して,通知済みIDリスト記憶部141,未通知IDリスト記憶部142から通知済みIDリスト・未通知IDリストの内容を破棄する。
【0020】
D.排他制御
以下,(1),(2)の場合に排他制御が必要となる。排他制御の実現方法としては,Java(登録商標)のsynchronizedやデータベースのロック機能など,既存の方法を利用できる。
(1)未通知IDリストの削除とIDの追加の競合
通知要求の処理中にリーダ120から読み取ったIDを未通知IDリストに追加する場合,未通知IDリストの内容を削除する直前にリーダ120から読み取ったIDを追加すると,未通知のIDが削除される可能性がある。即ち,通知要求の処理中はIDの追加を制限し,通知要求の終了後にIDを追加することが好ましい。
【0021】
(2)未通知IDリストへのIDの追加とIDの受け取りの競合
通知済みIDリスト内の検索中に検索中のIDと同じIDをリーダ120から取得し未通知IDリストに追加する場合,未通知のIDリストに同じIDが複数登録される可能性がある。即ち,通知済みIDリスト内の検索中はIDの追加を制限し,通知要求の終了後にIDを追加することが好ましい。
【0022】
(第1の実施形態の利点)
第1の実施形態には,以下の利点がある。
(1)未通知IDリスト内のIDをそのまま通知するために(通知要求時での検索やリストの再構築が不要),応答が速い。
(2)取得IDリスト,未通知IDリスト内のIDに重複が無い(保持するデータ量が小さい)。
【0023】
(第2の実施の形態)
図4は本発明の第2実施形態に係る無線タグ処理装置20を表すブロック図である。
無線タグ処理装置20は,複数の無線タグ110を処理するものであり,リーダ120,処理装置本体230を有する。
【0024】
処理装置本体230は,IDフィルタ部240,上位アプリケーション部160を有する。IDフィルタ部240は,リーダ120から受信したIDをフィルタリングして上位アプリケーション部160に通知する。
【0025】
IDフィルタ部240は,取得IDリスト記憶部241,ID受け取り部143,処理制御部144,リスト処理部245,ID通知部146を有する。
取得IDリスト記憶部241は,リーダ120から受け取ったID一覧である取得IDリストを記憶する。
図5は,取得IDリストの一例を表す模式図である。取得IDリストは,取得IDおよび上位アプリケーション部160に通知したか否かを表す通知フラグを含む。なお,図5では,通知フラグの0,1それぞれで未通知および通知を表現しているが,通知の有無が表現できれば,他の方法で実現しても良い。
【0026】
リスト処理部245は,取得IDリスト判定部251,ID追加部252,未通知フラグ設定部253,未通知IDリスト取得部254,および通知フラグ設定部255を有する。
取得IDリスト判定部251は,リーダ120から受信したIDが取得IDリストに含まれているか否かを判定する。
ID追加部252は,リーダ120から受信したIDを取得IDリストに追加する。
未通知フラグ設定部253は,追加したIDに未通知フラグを設定する。
未通知IDリスト取得部254は,取得IDリストから未通知フラグが設定されているIDの一覧を取得する。
通知フラグ設定部255は,上位アプリケーション部160に通知したIDの通知フラグを通知済みに設定する。
【0027】
(無線タグ処理装置20の動作)
以下,無線タグ処理装置20の動作を説明する。
A.リーダ120からのIDの取得(図6参照)
(1)ID受け取り部143がリーダ120から無線タグ110のIDを受け取る(ステップS31)。
(2)取得IDリスト判定部251が,取得IDリストにリーダ120から取得したIDが格納されているかを確認する(ステップS32)。
(3)取得IDリストにリーダ120から取得したIDが格納されていない場合は,ID追加部252が,取得IDリストにリーダ120から取得したIDを追加する(ステップS33)。このとき通知フラグは未通知にセットする。
【0028】
B.上位アプリケーション部160へのIDの通知(図7参照)
例えば,上位アプリケーション部160からの通知要求に対応して,IDが通知される。
(1)未通知IDリスト取得部254が,通知フラグが未通知にセットされているIDの一覧を取得IDリストから取得する(ステップS41)。
(2)通知フラグ設定部255が,取得したIDの通知フラグを通知済みにセットする(ステップS42)。
(3)ID通知部146が,取得したIDの一覧を通知する(ステップS43)。
【0029】
C.取得IDリストの初期化
例えば,上位アプリケーション部160からの初期化要求に対応して,取得IDリスト記憶部241から取得IDリストの内容を通知フラグも含めて破棄する。
【0030】
D.排他制御
以下の場合に排他制御が必要となる。排他制御の実現方法としては,Java(登録商標)のsynchronizedやデータベースのロック機能など,既存の方法を利用できる。
・IDを追加する処理同士の競合
リーダ120から取得したIDを追加する処理に関して,連続して未通知のIDが送られてくる場合がある。即ち,IDを追加する複数の処理が競合しないようにすることが好ましい。
【0031】
(第2の実施形態の利点)
第2の実施形態には,以下の利点がある。
(1)保持するべきIDのリストが1つで足り(取得IDリスト),IDのデータが重複しない。
【0032】
(2)上位アプリケーション部160が複数ある場合への拡張が容易である。
上位アプリケーション部160が複数ある場合,取得IDリスト記憶部241にそれぞれの上位アプリケーション部160に通知したか否かを表す通知フラグを複数記憶することで対応できる。
【0033】
(3)リーダ120から取得したIDを追加する処理と通知要求の処理の間での排他制御が不要である。
通知要求の処理では上位アプリケーション部160に通知したIDの通知フラグを通知済みに設定するだけで削除を行わない,このため,IDを追加する処理と競合する畏れがない。
【0034】
(第3の実施の形態)
図8は本発明の第3実施形態に係る無線タグ処理装置30を表すブロック図である。
無線タグ処理装置30は,複数の無線タグ110を処理するものであり,リーダ120,処理装置本体330を有する。
【0035】
処理装置本体330は,IDフィルタ部340,上位アプリケーション部160を有する。IDフィルタ部340は,リーダ120から受信したIDをフィルタリングして上位アプリケーション部160に通知する。
【0036】
IDフィルタ部340は,取得IDリスト記憶部341,通知済みIDリスト記憶部342,ID受け取り部143,処理制御部144,リスト処理部345,ID通知部146を有する。
取得IDリスト記憶部341は,リーダ120から受け取ったID一覧である取得IDリストを記憶する。
通知済みIDリスト記憶部342は,上位アプリケーション部160に通知したIDの一覧である通知済みIDリストを記憶する。
【0037】
リスト処理部345は,取得IDリスト判定部351,取得ID追加部352,未通知IDリスト抽出部353,および通知済みID追加部354を有する。
取得IDリスト判定部351は,リーダ120から受信したIDが取得IDリストに含まれているか否かを判定する。
取得ID追加部352は,取得IDリストにリーダ120から受信したIDを追加する。
未通知IDリスト抽出部353は,通知済みIDリストと取得IDリストから未通知のID一覧である未通知IDリストを構築する。
通知済みID追加部354は,通知済みIDリストに上位アプリケーション部160に通知したIDの一覧を追加する。
【0038】
(無線タグ処理装置30の動作)
以下,無線タグ処理装置30の動作を説明する。
A.リーダ120からのIDの取得(図9参照)
(1)ID受け取り部143がリーダ120から無線タグ110のIDを受け取る(ステップS51)。
(2)取得IDリスト判定部351が,取得IDリストにリーダ120から取得したIDが格納されているかを確認する(ステップS52)。
(3)取得IDリストにリーダ120から取得したIDが格納されていない場合は,取得ID追加部352が,取得IDリストにリーダ120から取得したIDを追加する(ステップS53)。
【0039】
B.上位アプリケーション部160へのIDの通知(図10参照)
例えば,上位アプリケーション部160からの通知要求に対応して,IDが通知される。
(1)未通知IDリスト抽出部353が,取得IDリストに含まれ,通知済みIDリストに含まれていないIDの一覧を抽出する(ステップS61)。
(2)通知済みID追加部354が,通知済みIDリストに抽出したIDの一覧を追加する(ステップS62)。
(3)ID通知部146が,抽出したIDの一覧を通知する(ステップS63)。
【0040】
C.取得IDリスト・通知済みIDリストの初期化
例えば,上位アプリケーション部160からの初期化要求に対応して,取得IDリスト記憶部341,通知済IDリスト記憶部342から取得IDリストおよび通知済IDリストの内容を破棄する。
【0041】
(第3の実施形態の利点)
第3の実施形態には,以下の利点がある。
(1)取得IDリスト,通知済みIDリスト内のIDを削除する必要が無い。
(2)IDの取得,通知に用いるリストが異なるため(取得IDリスト,通知済みIDリスト),IDの取得,通知が競合する畏れがない(排他制御が不要)。
【0042】
(第4の実施の形態)
図11は本発明の第4実施形態に係る無線タグ処理装置40を表すブロック図である。
無線タグ処理装置40は,複数の無線タグ110を処理するものであり,リーダ120,処理装置本体430を有する。
【0043】
処理装置本体430は,IDフィルタ部440,上位アプリケーション部160を有する。IDフィルタ部440は,リーダ120から受信したIDをフィルタリングして上位アプリケーション部160に通知する。
【0044】
IDフィルタ部440は,取得IDリスト記憶部441,未通知IDリスト記憶部442,ID受け取り部143,処理制御部144,リスト処理部445,ID通知部146を有する。
取得IDリスト記憶部441は,リーダ120から受け取ったID一覧である取得IDリストを記憶する。
未通知IDリスト記憶部442は,上位アプリケーション部160に通知していないIDの一覧である未通知IDリストを記憶する。
【0045】
リスト処理部445は,取得IDリスト判定部451,取得ID追加部452,未通知ID追加部453,および未通知ID削除部454を有する。
取得IDリスト判定部451は,リーダ120から受信したIDが取得IDリストに含まれているか否かを判定する。
取得ID追加部452は,取得IDリストにリーダ120から受信したIDを追加する。
未通知ID追加部453は,未通知IDリストにリーダ120から受信したIDを追加する。
未通知ID削除部454は,未通知IDリストを削除する。
【0046】
(無線タグ処理装置40の動作)
以下,無線タグ処理装置40の動作を説明する。
A.リーダ120からのIDの取得(図12参照)
(1)ID受け取り部143がリーダ120から無線タグ110のIDを受け取る(ステップS71)。
(2)取得IDリスト判定部451が,取得IDリストにリーダ120から取得したIDが格納されているかを確認する(ステップS72)。
(3)取得IDリストにリーダ120から取得したIDが格納されていない場合は,取得ID追加部452および未通知ID追加部453が,取得IDリストおよび未通知IDリストにリーダ120から取得したIDを追加する(ステップS73)。
【0047】
B.上位アプリケーション部160へのIDの通知(図13参照)
例えば,上位アプリケーション部160からの通知要求に対応して,IDが通知される。
(1)未通知IDリスト記憶部442の未通知IDリストをバッファに一時記憶する(ステップS81)。
(2)未通知IDリスト記憶部442の未通知IDリストを削除する(ステップS82)。
(3)ID通知部146が,未通知IDリストを通知する(ステップS831)。
【0048】
C.取得IDリスト・未通知IDリストの初期化
例えば,上位アプリケーション部160からの初期化要求に対応して,取得IDリスト記憶部441および未通知IDリスト記憶部442から取得IDリストおよび未通知IDリストの内容を破棄する。
【0049】
D.排他制御
未通知リストへのアクセスを排他制御することが好ましい。未通知リストへのアクセスを排他制御しない場合,新たに取得したIDが上位アプリケーション部160に通知されない可能性がある。例えば,リーダ120からのID取得と上位アプリケーション部160からの通知要求がほぼ同時の場合である。この場合,未通知のIDを未通知IDリストから取得した直後に,リーダ120から受信したIDを未通知リストに追加することで,未通知リストに追加したIDを上位アプリケーション部160に通知する前に削除してしまう畏れがある。排他制御の実現方法としては,Java(登録商標)のsynchronized等,既存の方法を利用してもよい。
なお,未通知IDリストを削除する際に,取得したデータのみを削除する場合,排他制御は必要ない。
【0050】
(第4の実施形態の利点)
(1)IDの通知の際の応答が早い(リストの検索,データの追加が不要)。
【0051】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線タグ処理装置を表すブロック図である。
【図2】ID取得時の無線タグ処理装置の動作の流れを表すフロー図である。
【図3】ID通知時の無線タグ処理装置の動作の流れを表すフロー図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る無線タグ処理装置を表すブロック図である。
【図5】取得IDリストの一例を表す模式図である。
【図6】ID取得時の無線タグ処理装置の動作の流れを表すフロー図である。
【図7】ID通知時の無線タグ処理装置の動作の流れを表すフロー図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る無線タグ処理装置を表すブロック図である。
【図9】ID取得時の無線タグ処理装置の動作の流れを表すフロー図である。
【図10】ID通知時の無線タグ処理装置の動作の流れを表すフロー図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る無線タグ処理装置を表すブロック図である。
【図12】ID取得時の無線タグ処理装置の動作の流れを表すフロー図である。
【図13】ID通知時の無線タグ処理装置の動作の流れを表すフロー図である。
【符号の説明】
【0053】
10…無線タグ処理装置,110…無線タグ,120…リーダ,130…処理装置本体,140…IDフィルタ部,141…通知済みIDリスト記憶部,142…未通知IDリスト記憶部,143…ID受け取り部,144…処理制御部,145…リスト処理部,146…ID通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグの識別子を受信する受信部と,
前記受信する識別子および通知の有無を記憶する記憶部と,
前記記憶部の記憶内容に基づいて,未通知の識別子を通知する通知部と,
を具備することを特徴とする無線タグ処理装置。
【請求項2】
前記記憶部が,通知済みの識別子の一覧を表す第1のリストおよび未通知の識別子の一覧を表す第2のリストを記憶し,
前記無線タグ処理装置が,前記受信した識別子が前記第1,第2のリストの何れにも含まれないときに,この識別子を第2のリストに追加する第1の追加部と,前記通知部が通知した識別子を前記第1のリストに追加する第2の追加部と,をさらに具備し,
前記通知部が,前記第2のリストに基づいて,未通知の識別子を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理装置。
【請求項3】
前記記憶部が,識別子と通知の有無を対応して表すリストを記憶し,
前記無線タグ処理装置が,前記受信した識別子が前記リストに含まれないときに,この識別子を未通知として前記リストに追加する追加部,をさらに具備し,
前記通知部が,前記リストに基づいて,未通知の識別子を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理装置。
【請求項4】
前記記憶部が,受信した識別子の一覧を表す第1のリストおよび通知済みの識別子の一覧を表す第2のリストを記憶し,
前記無線タグ処理装置が,前記第1のリストに含まれない前記受信した識別子を第1のリストに追加する第1の追加部と,前記通知部が通知した識別子を前記第2のリストに追加する第2の追加部と,をさらに具備し,
前記通知部が,前記第1,第2のリストに基づいて,未通知の識別子を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理装置。
【請求項5】
前記記憶部が,受信した識別子の一覧を表す第1のリストおよび未通知の識別子の一覧を表す第2のリストを記憶し,
前記無線タグ処理装置が,前記第1のリストに含まれない前記受信した識別子を第1,第2のリストに追加する追加部をさらに具備し,
前記通知部が,前記第2のリストに基づいて,未通知の識別子を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理装置。
【請求項6】
無線タグの識別子を受信するステップと,
前記受信する識別子および通知の有無を記憶する記憶部の記憶内容に基づいて,未通知の識別子を通知するステップと,
を具備することを特徴とする無線タグ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−217570(P2008−217570A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55869(P2007−55869)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】