説明

無線タグ情報読み取り装置及び座席情報照合システム

【課題】正当な座席占有権利者を、そうでない者と明確に区別する形で、確実に遠隔にて検出する。
【解決手段】タグリーダ100の送信アンテナ10より、サーチ対象の座席タグT1/座席券タグT10にScroll
ID信号を出力して検出動作を行い、管理サーバ110にて座席タグT1と座席券タグT10を照合する。両者の存在方向が、ある所定の許容範囲内に入っていれば、座席タグT1の存在方向と座席券タグT10の存在方向とが一致したと判断し、適正乗車とみなす。また、座席タグT1の存在方向と座席券タグT10の存在方向とが一致しないと判断されれば、不適正乗車とみなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、無線タグの記憶した無線タグ情報を読み取る無線タグ情報読み取り装置及びこれを利用した座席情報照合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。無線タグは、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、物品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
例えばこの無線タグを列車の検札システムに応用した例として、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術は、列車車両内において車掌が実行する乗車券や定期券等(=以下適宜、チケットと総称する)の車内検札に応用したものであり、乗客が駅に設置された販売機でチケットを購入すると、そのチケットに無線タグ回路素子(データ記憶装置及びアンテナ)が備えられている。そして、車掌の検札時には、携帯用検札装置のアンテナから乗客のチケットの無線タグ回路素子に無線通信を介しアクセスして、チケットの有効区間や日付等のデータを取得し、当該乗車区間に対応しているかどうかや有効日付期間内であるか等をチェックする。これにより、例えば睡眠中の乗客を起こすことなく検札作業を可能としている。
【特許文献1】特開平10−340356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、検札対象の乗客が、当該日付の当該列車の乗車区間に対し有効なチケットを所持しているかを遠隔で照合確認するだけである。このため、例えば列車車両内で乗客が座席指定制又は定員制等の座席に着座している場合に、乗客がその座席を占有又は着座する正当な権利を有しているかまでの照合確認を遠隔で行うことはできない。すなわち、座席とチケットとの適否関係の照合を行っておらず、乗客が誤って他の乗客の座席に着座していてもこれを遠隔検出することは困難である。この結果、着座に対し正当な権利を有さない乗客が当該座席から排除されない可能性があり、正当な権利を有する乗客への座席サービスが低下する畏れがあった。
【0005】
本発明の目的は、正当な座席占有権利者をそうでない者と区別して遠隔検出することで、座席サービスを向上できる無線タグ情報読み取り装置及び座席情報照合システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部及びこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、少なくとも1つの座席に備えられた座席特定用の前記無線タグ回路素子との前記読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、照合対象とする座席又は座席範囲を特定する座席範囲特定情報を取得する情報取得手段と、この情報取得手段で取得された前記座席範囲特定情報に対応づけられる座席利用識別子を、前記読み取り装置側アンテナを用いた無線通信を介して取得する識別子取得手段と、前記識別子取得手段で取得した前記座席利用識別子が、前記座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行うための情報信号を生成し出力する照合情報信号生成手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明においては、所定のスペースに備えられた複数の座席のうち少なくとも1つの座席に座席特定用の無線タグ回路素子が備えられており、無線タグ情報読み取り装置の情報取得手段が、読み取り装置側アンテナを介しその座席特定用無線タグ回路素子と無線通信を行って座席範囲特定情報を取得する。ここで、この取得された座席範囲特定情報に対応付けられる座席範囲内に、当該座席に対応する座席利用識別子を備えたチケットを所有する(あるいは当該識別子そのもののパスワードや暗証番号等を携帯電話・端末等を所有する)等、その座席を占有する(着座する等)正当な権利を有する者が存在したとすると、無線タグ情報読み取り装置の識別子取得手段が、当該座席利用識別子に対し読み取り装置側アンテナを介して無線通信を行い、当該識別子を取得する。そして、これに対応した照合判定用の情報信号が照合情報信号生成手段で生成されて出力される。この結果、上記照合判定用の情報信号に基づき、例えば照合手段で当該人物は正当な座席占有権利者であるかどうかを判定することができるので、従来技術と異なり、正当な座席占有権利者を、そうでない者と明確に区別する形で確実に遠隔にて検出することができ、座席サービスを向上することができる。
【0008】
第2発明は、上記第1発明において、前記情報取得手段は、前記座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス情報に対応した応答信号から、前記座席範囲特定情報としての当該座席特定用無線タグ回路素子の識別情報を取得することを特徴とする。
【0009】
情報取得手段が読み取り装置側アンテナを介し座席特定用無線タグ回路素子の識別情報を取得し、さらに識別子取得手段が対応する座席利用識別子を無線通信により取得することで、正当な座席占有権利者をそうでない者と区別して検出することができる。
【0010】
第3発明は、上記第2発明において、前記情報取得手段は、着座者の着座状態に応じて識別子の一部が設定される前記座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス情報に対応した応答信号から、前記識別情報を取得することを特徴とする。
【0011】
無線タグ回路素子として着座者の着座状態に応じて識別子の一部が設定されるものを用いることにより、情報取得手段は、当該座席が着座状態になったものを識別子で特定して応答信号を受信処理したり、着座状態となったものからのみ応答信号を受信するようにすることができる。この結果、情報取得手段は、座席範囲特定情報に加えて、当該座席範囲における人物の着座情報(=当該座席の座席占有権利者が実際に確かに座っているという情報)を得ることができるので、さらに確実かつ正確な検出を行うことができる。
【0012】
第4発明は、上記第3発明において、前記識別子取得手段は、前記情報取得手段で前記識別情報が取得された前記座席特定用無線タグ回路素子に対応した前記座席利用識別子を取得することを特徴とする。
【0013】
これにより、当該座席が着座状態になったものに対応する座席利用識別子のみ、取得することが可能となるので、無駄な無線タグ回路素子読み取り動作を省き、読み取り装置の動作の効率化及び円滑化を図ることができる。
【0014】
第5発明は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記情報取得手段は、前記照合対象とする座席範囲情報に基づき、前記座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス時の送信信号出力を変化させることを特徴とする。
【0015】
読み取り装置と照合対象とする座席範囲との位置関係によって、当該座席範囲内の部位によっては読み取り装置からのアクセス距離が遠い部位と近い部位とにばらつく場合がある。本願第5発明においては、これに応じて、情報取得手段が、その座席範囲の形状、広さ、位置等の座席範囲情報に基づいて座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス時の送信出力を変化させる。これにより、無駄な電力消費を防止しつつ、目標とする座席範囲の全域を確実に通信可能エリアとすることができる。
【0016】
第6発明は、上記第1発明において、前記情報取得手段は、前記座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス結果に応じて、前記座席範囲特定情報としての前記座席範囲に対応する送信電力情報を取得することを特徴とする。
【0017】
情報取得手段が読み取り装置側アンテナを介し座席特定用無線タグ回路素子へアクセスすることで当該座席範囲に対応する送信電力情報を取得する。これにより、識別子取得手段は、この送信電力情報に基づく送信電力で読み取り装置側アンテナを介した無線通信を行うことで、当該座席範囲に対応づけられる座席利用識別子を取得することができ、正当な座席占有権利者をそうでない者と区別して検出することができる。
【0018】
第7発明は、上記第2乃至第6発明のいずれかにおいて、前記情報取得手段による情報取得対象の前記座席特定用無線タグ回路素子の前記識別情報又はこれに対応する情報を操作者が指定入力するための識別情報操作入力手段を有することを特徴とする。
【0019】
これにより、識別情報を操作者が指定して座席特定用無線タグ回路素子に対しアクセスを行い、当該無線タグ回路素子から識別情報その他の情報やあるいは送信電力情報を取得することが可能となる。
【0020】
第8発明は、上記第1乃至第7発明のいずれかにおいて、操作者が無線通信開始を操作指示するための開始操作手段と、操作者が無線通信終了を操作指示するための終了操作手段とを有し、前記情報取得手段及び前記識別子取得手段は、前記開始操作手段による無線通信開始操作指示があってから、前記終了操作手段による無線通信終了操作指示があるまでの間、繰り返し前記座席範囲特定情報及び前記座席利用識別子の取得を行うことを特徴とする。
【0021】
これにより、操作者が開始操作手段を操作してから終了操作手段を操作するまで、繰り返し座席特定用無線タグ回路素子又は座席利用識別子に対しアクセスを繰り返すことができる。
【0022】
上記目的を達成するために、第9発明は、情報を記憶するIC回路部及びこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、少なくとも1つの座席に備えられた座席特定用の前記無線タグ回路素子との前記読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、照合対象とする座席又は座席範囲を特定する座席範囲特定情報を取得する情報取得手段と、この情報取得手段で取得された前記座席範囲特定情報に対応づけられる座席利用識別子を、前記読み取り装置側アンテナを介した無線通信により取得する識別子取得手段と、前記識別子取得手段で取得した前記座席利用識別子が、前記座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段とを有することを特徴とする。
【0023】
本願第9発明においては、所定のスペースに備えられた複数の座席のうち少なくとも1つの座席に座席特定用の無線タグ回路素子が備えられており、読み取り装置側アンテナを介したその座席特定用無線タグ回路素子との無線通信に応じて、情報取得手段が座席範囲特定情報を取得する。ここで、この取得された座席範囲特定情報に対応付けられる座席範囲内に、当該座席に対応する座席利用識別子を備えたチケットを所有する(あるいは当該識別子そのもののパスワードや暗証番号等を携帯電話・端末等を所有する)等、その座席を占有する(着座する等)正当な権利を有する者が存在したとすると、当該座席利用識別子に対し読み取り装置側アンテナを介して無線通信が行われ、この無線通信を介し当該識別子が識別子取得手段で取得される。そして、照合手段で、上記取得された座席利用識別子が上記取得された座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定され、当該人物は正当な座席占有権利者であると判定することができる。この結果、従来技術と異なり、正当な座席占有権利者を、そうでない者と明確に区別する形で確実に遠隔にて検出することができ、座席サービスを向上することができる。
【0024】
第10発明は、上記第9発明において、前記照合手段は、前記座席利用識別子が前記座席範囲特定情報と前記所定の関係を満たすかどうか照合判定を行うとともに、前記情報取得手段が前記識別情報を取得したときの当該座席特定用無線タグ回路素子の存在位置情報と前記識別子取得手段が前記座席利用識別子を取得したときの当該識別子の存在位置情報とが予め定められた所定の関係を満たすかどうかの照合判定を行うことを特徴とする。
【0025】
これにより、例えば座席特定用無線タグ回路素子と座席利用識別子との方向一致や場所一致をも判定することが可能となるので、さらに詳細な検出を行うことができる。すなわち、ある席の座席占有権利者が間違って隣の座席に着座していないか、複数の座席占有権利者どうしが互いに席を入れ替わって着座していないかどうか等まで検出することが可能となる。
【0026】
第11発明は、上記第9又は第10発明において、前記照合手段は、座席利用識別子が前記座席範囲特定情報と実質的に一致するかどうかを判定することを特徴とする。
【0027】
座席利用識別子と座席範囲特定情報とが実質一致するかに応じて判定を行い、一致する場合に当該人物は正当な座席占有権利者であるとして検出することができる。
【0028】
第12発明は、上記第9乃至11のいずれか1項発明において、前記照合手段による照合結果を報知するための信号を生成する報知信号生成手段を備えることを特徴とする。
【0029】
これにより、照合結果を確実に操作者に報知することができる。
【0030】
上記目的を達成するために、第13発明は、少なくとも、複数の座席それぞれに関わるチケットが発券されたかどうかに関わる発券情報を格納保持した情報サーバと、前記チケットに備えられたチケット特定用無線タグ回路素子及び前記座席に備えられた座席特定用無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行う読取装置用アンテナ、及び、この読取装置用アンテナを介した前記チケット特定用無線タグ回路素子及び座席特定用無線タグ回路素子へのアクセス情報に対応した応答信号から各座席特定用無線タグ回路素子及び各チケット特定用無線タグ回路素子の識別情報を取得する情報取得手段を備えた無線タグ情報読み取り装置と、特定の座席に関わる前記発券情報、前記座席特定用無線タグ回路素子の識別情報、及び前記チケット特定用無線タグ回路素子の識別情報が、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段と、この照合手段による照合結果を報知するための信号を生成する報知信号生成手段とを有することを特徴とする。
【0031】
本願第13発明においては、所定のスペースに備えられた複数の座席に座席特定用の無線タグ回路素子が備えられており、無線タグ情報読み取り装置の情報取得手段が読み取り装置側アンテナを介しその座席特定用無線タグ回路素子と無線通信を行い、当該座席特定用無線タグ回路素子の識別情報を取得する。ここで当該座席に、対応するチケット特定用無線タグ回路素子を備えたチケットを所有する者が存在したとすると、無線タグ情報読み取り装置の情報取得手段が当該チケット特定用無線タグ回路素子に対し読み取り装置側アンテナを介して無線通信を行い、当該座席特定用無線タグ回路素子の識別情報を取得する。一方、当該チケットが発券されたことを表す発券情報が情報サーバに格納されており、この発券情報と、上記座席特定用無線タグ回路素子の識別情報と、上記チケット特定用無線タグ回路素子の識別情報とが、照合手段において、互いに所定の関係を満たすかどうかを判定され、その照合結果を報知する信号が報知信号生成手段で生成されて所定の報知手段において報知が行われる。
【0032】
これにより、当該座席の人物は正当に発見されたチケットを所有する正当な座席占有権利者であると判定することができる。この結果、従来技術と異なり、正当な座席占有権利者を、そうでない者と明確に区別する形で確実に遠隔にて検出することができ、座席サービスを向上することができる。
【0033】
第14発明は、上記第13発明において、前記情報サーバは、各チケットが改札を通過したかどうかに関わる改札通過情報をさらに格納保持し、前記照合手段は、特定の座席に関わる前記発券情報、前記改札通過情報、前記座席特定用無線タグ回路素子の識別情報、及び前記チケット特定用無線タグ回路素子の識別情報とが、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行うことを特徴とする。
【0034】
例えば発券情報のみならず、改札通過情報も加味して正当権利者かどうかを判定することができるので、さらに確実かつ正確な検出を行うことができる。
【0035】
第15発明は、上記第13又は第14発明において、前記照合手段は、前記チケット特定用無線タグ回路素子から前記識別情報を取得したときの当該チケット特定用無線タグ回路素子の存在位置情報が、対応する座席位置情報に対し、予め定められた所定の関係を満たすかどうかの位置照合判定を行うことを特徴とする。
【0036】
これにより、チケット特定用無線タグ回路素子とこれに対応する座席との方向一致や場所一致をも判定することが可能となるので、さらに詳細な検出を行うことができる。すなわち、ある席の座席占有権利者が間違って隣の座席に着座していないか、複数の座席占有権利者どうしが互いに席を入れ替わって着座していないかどうか等まで検出することが可能となる。
【0037】
第16発明は、上記第15発明において、前記座席位置情報は、前記情報サーバに格納保持されていることを特徴とする。
【0038】
照合手段が、情報サーバから取得した座席位置情報を用いて、チケット特定用無線タグ回路素子の存在位置情報が対応する上記座席位置情報に対し予め定められた所定の関係を満たすかどうかの位置照合判定を行い、チケット特定用無線タグ回路素子とこれに対応する座席との方向一致や場所一致を判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、正当な座席占有権利者をそうでない者と区別して遠隔検出することで、座席サービスを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、例えば列車指定席の座席情報照合システムに本発明を適用した例である。
【0041】
図1は、本実施形態の座席情報照合システムの概略を表すシステム構成図である。図1において、この座席情報照合システム1は、アンテナ108(読み取り装置側アンテナ)により所定の広さの列車フロア内の無線タグを検出するためのタグリーダ(無線タグ情報読み取り装置)100と、このタグリーダ100に適宜の通信回線(有線等)C1で接続された操作・表示装置(指令端末)102と、通信回線C1上に設けられた中継機104から無線回線C2を介して接続された管理サーバ110(情報サーバ)と、管理サーバ110に備えられた(あるいはサーバ110外にてサーバ110に接続されていてもよい)データベース110aとから構成されている。操作・表示装置102での操作入力による指示信号等(動作開始及び動作終了の指示を含む)が通信ネットワークC1を介しタグリーダ100へ出力され、タグリーダ100からは検出(検索)対象の無線タグについての検出信号等が操作・表示装置102へと出力される。また、操作・表示装置102からは、通信回線C1、中継機104、及び無線回線C2を介して管理サーバ110に指示を出したり、管理サーバ110から応答を受けたりなど、種々のデータのやり取りが行えるようになっている。
【0042】
操作・表示装置102は、例えばパソコンで構成されており、操作部(操作手段)、表示部、CPU、ROM、RAM等を備えている。操作部は、操作入力手段として適宜のキー、ボタン、スイッチ、パッド等を備えており、表示や検索(サーチ)等に係わる種々の操作入力が行えるようになっている。この操作・表示装置102は例えば列車車両の乗務員室等に置かれる。
【0043】
データベース110aには、座席に関するデータ(号車や席番号のことで、以下座席データという)の他、必要に応じて、列車や乗客に関する各種情報データ、例えば列車の種別、発駅及び着駅、日付や発車時刻や到着時刻、座席の種別(普通車やグリーン車、禁煙席か一般席かなど)、切符の発売情報(発券したかどうか等)、乗客に関する情報(大人または小人の種別、乗車駅、改札を正常に通過したか、改札の入場時刻)等が格納されており、適宜管理サーバ110からの呼び出しに応じてデータの取得、参照が行われ、または必要に応じてデータが書き込まれる。この管理サーバ110及びデータベース110aは、通常、列車とは別の管理センター等に設置されており、管理サーバ110及びデータベース110aを除く部分は、列車車両に搭載されている。
【0044】
各座席106にはその座席に固有の座席タグT1が取り付けられており、座席に着席する乗客M1が所持する座席券(切符)R1には座席券タグ(図4参照)T10が取り付けられている。タグリーダ100のアンテナ108からは読み取り信号(問いかけ信号)S1が発信され、それに応じて座席タグT1及び座席券タグT10からは、座席タグIDや座席券タグIDとそれぞれの存在方向の情報を含むリプライ信号(応答信号、返答信号)S2が発信されてタグリーダ100のアンテナ108で受信される。
【0045】
図2は列車内の座席状況を示す上面図である。各座席106には、その座席固有の座席タグT1が取り付けられており、タグリーダ100は列車内の適当な位置、例えば天井などに取り付けられる。座席券タグT10付きの座席券を買った乗客M1がこれを所持して座席106に着席する。そして、列車内に設置されたタグリーダ100は、前述した読み取り信号S1の発信及びリプライ信号S2の受信を通じて、座席タグT1と乗客が所持する座席券タグT10それぞれのID及び存在方向を読み取る。この時、前記存在方向は、所在場所を表す角度(方向)から特定することができる。
【0046】
図3(a)は座席タグT1の構成を示す図である。座席タグT1にはIC回路部(IC回路部)150及びアンテナ151(タグ側アンテナ)を備えた無線タグ回路素子Toと、人感センサ163と、バッテリ164と、スイッチ165とが設置されている。IC回路部150には、少なくとも自身が座席タグであることを表す識別情報(以下、適宜座席タグIDという)が記憶されている(例えば5号車12番A席などその座席106固有の番号を併せて記憶してもよいし、その記憶はされず、上記座席タグIDをもとに上記データベース110a等より取得されるようにしてもよい)。人感センサ163にはバッテリ164から電力が供給され、乗客が座席106に着席すると、その重量を人感センサ163が感知してスイッチ165をONにし、これによってIC回路部150にバッテリ164から電力が供給されて、無線タグT1の無線タグ回路素子Toが作動するようになっている。従って、空席の場合には、無線タグT1は作動せず、無駄な電力の消費が避けられる。なお、図3(b)については後述する変形例(3)で説明する。
【0047】
図4は座席券(切符)R1の構成を示す図である。座席券には、その固有情報、例えば列車の種別、発駅及び着駅、日付や発車時刻や到着時刻、座席の種別(普通車やグリーン車、禁煙席か一般席かなど)等が印刷されており、同様の情報が公知の方式によって自動改札機で読み取り可能となっており、さらに座席券タグT10が券面(裏面でもよい)に取り付けられている。この座席券タグT10には、上記図3(a)の無線タグT1と同様の無線タグ回路素子Toが備えられており、IC回路部150には自身が座席券タグであることを表す識別情報(座席券タグID)が予め記録されている(図3(a)の座席券タグと同様、5号車12番A席などの情報を併せて記憶してもよいし、その記憶はされず、上記座席券タグIDをもとに別途データベース110a等より取得されるようにしてもよい)。
【0048】
図5は、上述したタグリーダ100の検索(サーチ)対象である座席タグT1及び座席券タグT10に備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0049】
図5において、無線タグ回路素子Toは、タグリーダ100と例えばUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
【0050】
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介してIC回路部150の作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0051】
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記タグリーダ100のアンテナ108からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、タグリーダ100のアンテナ108より受信された搬送波を変調反射する。
【0052】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0053】
図6は、上記タグリーダ100の機能的構成の詳細を表す機能ブロック図である。
【0054】
図6において、タグリーダ100は、制御部120と、アンテナ108とを有している。制御部120は、CPU(中央演算装置)121と、上記ネットワークC1を介した信号授受の制御を行うネットワーク通信制御部122と、例えばRAMやROM等からなるメモリ123と、アンテナ108を介し座席タグT1/座席券タグT10の無線タグ回路素子Toに備えられたアンテナ151と通信制御を行うRF通信制御部140とを備えている(操作部126及び表示部127については後述の変形例を参照)。
【0055】
図7は、上記RF通信制御部140及びアンテナ108の詳細構成を表す機能ブロック図である。
【0056】
図7において、アンテナ108は、1つの送信アンテナ(アンテナ素子)10と、複数(この例では8つ)の受信アンテナ(アンテナ素子)11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11H(但し煩雑防止のため一部図示省略、以下同様)とから構成されている。
【0057】
RF通信制御部140は、上記送信アンテナ10及び受信アンテナ11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11Hを介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(無線タグ情報)へアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための送信部212及び受信部213(=高周波回路)と、受信アンテナ11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11Hにそれぞれ係わる位相制御ユニット203A,203B,203C,203D,203E,203F,203G,203Hと、これら位相制御ユニット203A〜203Hからの出力を加算する加算器205とを有し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み取られた信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含む上記CPU121と接続されている。
【0058】
位相制御ユニット203A,203B,203C,203D,203E,203F,203G,203Hは、CPU121からの位相制御信号を入力しこれに応じて受信アンテナ11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11Hにおける受信電波信号の位相をそれぞれ可変に設定する移相器206A,206B,206C,206D,206E,206F,206G,206Hと、CPU121からの信号を入力しこれに応じて移相器206A,206B,206C,206D,206E,206F,206G,206Hから入力した信号を可変に増幅し上記加算器205に出力する可変ゲインアンプ(増幅率可変アンプ)208A,208B,208C,208D,208E,208F,208G,208Hとを備えている。
【0059】
送信部212は、送信アンテナ10を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信するものであり、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶発振回路215と、上記CPU121から供給される信号に基づいて上記搬送波発生部により発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU121からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU121からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する送信アンプ217とを備えている。そして、上記搬送波発生部により発生される搬送波は、好適には周波数300MHz以上とされ、望ましくは900MHz近傍あるいは2.45GHz近傍とされ、上記送信アンプ217の出力は、送信アンテナ10に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。
【0060】
受信部213は、受信アンテナ11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11Hで受信され上記位相制御ユニット203A,203B,203C,203D,203E,203F,203G,203Hを経て加算器205で合算された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記搬送波発生部により発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記受信アンテナ11A〜11Hで受信され上記位相制御ユニット203A〜203Hを経て加算器205で合算された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記搬送波発生部により発生された後に移相器227で位相を90°遅らせた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU121に入力されて処理される。
【0061】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU121に入力される。このようにして、本実施形態のタグリーダ100のRF通信制御部140では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0062】
CPU121は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。このCPU121は、上述した高周波回路受信部213からの受信信号等を入力した後所定の演算処理を行い、上述した高周波回路送信部212への増幅制御信号及び変調制御信号、位相制御ユニット203A〜203Hへの位相制御信号等を出力する。
【0063】
なお、上記CPU121は、例えば上記ネットワーク通信制御部122(又はそれとは別の入出力インターフェイス)を介し、図示しないルートサーバ、他の端末、汎用コンピュータ、及び情報サーバ等との間で情報のやりとりが可能なように構成してもよい。
【0064】
図8は、上記受信アンテナ11A〜11Hによるメインローブの方向を変化させる原理を表す説明図である。図示のように、タグリーダ100では、受信アンテナ11A〜11Hが円周上配置となるように例えば等間隔で配置されている。そして、前述のCPU121からの制御信号に基づき位相制御ユニット203A〜203Hが上記受信アンテナ11A〜11Hからの受信信号それぞれの位相を異ならせるとともに可変ゲインアンプ208A〜208Hの利得を制御することにより、受信アンテナ11A〜11Hによる通信方向(メインローブの方向)を可変して360°回転させられるようになっている。
【0065】
以上の構成において、本実施形態の座席情報照合システム1では、タグリーダ100が、管理サーバ110から取得される各種情報に基づき、列車車両内の自らの受け持ち領域における上記複数の座席タグT1/座席券タグT10に備えられた無線タグ回路素子Toの検出(スキャン)を行う。
【0066】
図9は、管理サーバ110が、タグリーダ100による検出動作に先立って実行する制御手順(次の図10におけるステップS101のタグリーダ100からの問合せに伴う動作)を表すフローチャートである。まず、ステップS11で、乗務員等の操作者が操作・表示装置102等を介しこれに対応して照合対象とする座席範囲情報等を入力すると、これに対応する所定の問合せ信号がタグリーダ100から出力され、この問い合わせ信号が管理サーバ110へと入力される。
【0067】
次に、ステップS12で、上記ステップS11で入力した座席範囲情報に基づきデータベース110aへアクセスし、当該座席範囲情報に対応する各座席の座席タグID及び座席券タグIDを検索して取得する。なお、さらに、当該座席券が確かに正当に発売(発券)され乗客によって駅の(自動)改札を通されたかどうかの情報等についても取得する。
【0068】
その後、ステップS13で、上記ステップS12で検索結果(検索して取得した情報)をタグリーダ100へ出力し、このフローを終了する。
【0069】
図10は、上記タグリーダ100が座席タグT1/座席券タグT10の無線タグ回路素子Toの検出を行う際に、その制御部120のCPU121が実行する制御手順を表すフローチャートである。例えば、車掌等の操作者が操作・表示装置102等を介し、タグリーダ100による検出(無線通信)開始等を指示すると、これに対応する信号等がネットワークC1及びネットワーク通信制御部122を介しCPU121に入力されて、このフローが開始される。
【0070】
まず、ステップS101で、前述したように乗務員等の操作者が操作・表示装置102等を介しこれに対応して照合対象とする座席範囲情報等を入力すると、これに対応する所定の問合せ信号を管理サーバ110へと出力する。
【0071】
前述したように、上記ステップS101の問い合わせ信号に対応し管理サーバ110でデータベース検索が行われ、ステップS102でその応答信号(座席タグIDや座席券タグID等を含む検索結果)が、入力される。
【0072】
次に、ステップS103に移り、タグリーダ100のメインローブ方向(タグの検索方向)を示すメインローブ方向角θの初期値をθ0に設定する。このときのメインローブ方向角θの値は例えばタグリーダ100から向かって真左の方向を基準角度(θ=0°)として表され、例えば上記θ0=0°とすれば真左方向からタグの検索動作を開始することができる。
【0073】
その後、ステップS104に移る。ステップS104では、メインローブ方向角θの値に応じ、受信アンテナ11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11Hに係る位相を決定し、これに対応した位相制御信号を位相制御ユニット203A,203B,203C,203D,203E,203F,203Gに出力する。
【0074】
具体的には、一般に、受信電波の隣接するアンテナ素子間での受信信号の位相差は、隣接する受信アンテナ素子の間隔をd、受信電波の波長をλ、メインローブ方向角をθとして(2・π・d・cosθ)/λで表されることから、対応する位相差が位相制御ユニット203A〜203Hにそれぞれ与えられる。
【0075】
その後、ステップS105で、上記のように受信アンテナ11A〜11Hの位相を設定した(言いかえればメインローブ方向角θを設定した)条件のもと、上記ステップS102で取得したサーチ対象の座席タグT1又は座席タグT10のタグIDを用い、このIDを指定して、送信アンテナ10よりサーチ対象の座席タグT1/座席券タグT10に対する呼びかけ信号であるScroll
ID信号(条件付き情報取得命令)を出力する。詳細には、「TX_ASK」信号を生成して送信乗算回路216に出力し、送信乗算回路216で対応する上記振幅変調が行われアクセス情報としての「Scroll ID」信号となる。一方CPU121は「TX_PWR」信号を生成して送信アンプ217に出力し、送信アンプ217でその「TX_PWR」信号に基づく増幅率で信号増幅が行われ、最終的に送信アンテナ10を介し送信され、サーチ対象である座席タグT1/座席券タグT10の無線タグ回路素子Toからのリプライ信号の返信を促す。
【0076】
なお、サーチ対象とする座席タグT1又は座席券タグT10の数が比較的多数である場合には、上記のようにいきなり「Scroll ID」信号を送信するのではなく、「Ping」信号(探索命令)を送信して階層的に各タグT1,T10からの応答を受信しBinaryTree方式で数を特定した後にScroll ID信号を送信し上記のようにリプライ信号を受信してIDを確定するようにしてもよい。
【0077】
その後、ステップS106で、上記「Scroll ID」信号等に対応してサーチ対象の座席タグT1/座席券タグT10のIC回路部T11/T21から送信された返答信号(=リプライ信号;少なくともタグ識別情報であるタグIDを含む)を受信アンテナ11A〜11Hより受信し、位相制御ユニット203A〜203Hでその位相を制御し、加算器205及び受信部213を介し取り込む(言い換えればタグIDの2次取得となる)。このときのRSSI回路226からの受信信号強度信号「RSSI」が入力され、その値をステップS107でメモリ123に記憶させる。
【0078】
そしてステップS108で、θが、予めメインローブ方向角θを順次変化させるときの最終値として設定されたθEND(例えばタグリーダ100において円周方向に1周サーチする場合にはθEND=θ0+360°、2周サーチする場合にはθEND=θ0+720°等)に等しくなったかどうかを判定する。最初はθ=θ0であるから判定が満たされず、ステップS109で予め定められた所定のθSTEP(例えばθSTEP=15°)だけ加え、ステップS104に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0079】
こうしてステップS104〜ステップS109を繰り返してθの値にθSTEPを小刻みに加え、全受信アンテナ11A〜11Hによって生じるメインローブ(指向性)の方向を単一方向に保持しつつそのメインローブ方向角θを徐々に変化させながら、信号送信及び受信を繰り返しその都度受信信号を記憶していく。そしてθ=θENDになったらステップS108の判定が満たされ、ステップS110に移る。
【0080】
ステップS110では、上記繰り返しの間にステップS107でメモリ123に記憶した信号強度に基づき、座席タグT1/座席券タグT10の存在する方向(タグ方向)θTを決定する。
【0081】
その後ステップS111に移り、上記ステップS110で決定したタグ位置情報(上記の例ではタグ存在方向)を、対応する座席タグID/座席タグIDとともにネットワーク通信部122及び通信ネットワークC1を介して管理サーバ110に送信し、このフローを終了する。
【0082】
上記のようなタグリーダ100によるステップS101からステップS111までの動作は、例えば、座席タグT1に対するスキャン動作と、座席券タグT10に対するスキャン動作の合計2回行えばよい。これらの順序はどちらが先でどちらが後でもよい。2回のタグリーダ100によるステップS101からステップS111までの制御動作が終了すると、座席タグT1及び座席券タグT10の存在方向を表す信号を受信した管理サーバ110では、次の図11に示すような照合動作が行われる。
【0083】
図11は、管理サーバ110での座席タグT1と座席券タグT10との照合動作時に実行する制御手順を表すフローチャートである。まず、ステップS201において、上記ステップS111でタグリーダ100から出力された、座席タグT1及び座席券タグT10それぞれのタグID及びタグ位置情報を入力(識別)する。
【0084】
その後、ステップS202において、上記ステップS201で座席タグT1と座席券タグT10の2種類の情報が取得されたかどうかが判断される。座席タグT1と座席券タグT10の2種類の情報が取得された場合には次のステップS203に進み、2種類の情報が取得されていなければ、ステップS201に戻って、2種類の情報が取得されるまで同様の手順を繰り返す。
【0085】
そして、次のステップS203において、上記ステップS201で入力されたタグ位置情報に基づき、すべての座席タグT1とすべての座席券タグT10とが一対一に対応しているかどうか(応答している座席タグT1に対して、対応する座席券タグT10はすべて存在しているかどうか)、そして、それら対応する座席タグT1及び座席券タグT10どうしの存在方向が一致しているかどうかが照合される。
【0086】
その後、ステップS204において、対応する個々の座席タグT1の存在方向と座席券タグT10の存在方向とが、一致するかが判断される。このとき、タグリーダ100の検出精度や誤差等を考慮して、両者の存在方向がある所定の許容範囲内(例えば±5°の許容範囲内)に入っていれば、一致したものとみなすようにすればよい。また、方向のみならず、例えばタグリーダ100における受信信号強度に応じて対応する個々の座席タグT1及び座席券タグT10のタグリーダ100から距離を検出し、これの一致をみるようにしてもよい。あるいは方向及び距離の両者の一致をみるようにしてもよい。
【0087】
ステップS204で座席タグT1の存在方向と座席券タグT10の存在方向とが一致したと判断された場合、ステップS205に進み、利用者(乗客)が指定座席に正しく着いている(適正着座)とみなし、その旨を所定の記憶手段(サーバ内、あるいはデータベース110a内でもよい)に記録する(フラグを記録するようにしてもよい)。なおこの際、図9で説明したように、該当する座席券が正当に発券され、乗客によって駅の(自動)改札に座席券が正常に通されたことを前提としこれらも満たされたときにのみ適正とみなすようにしてもよい。
【0088】
一方、ステップS204で、座席タグT1の存在方向と座席券タグT10の存在方向とが一致しないと判断された場合は、ステップS206に進み、利用者(乗客)が指定座席に正しく着いていない(不適正着座)とみなし、その旨を所定の記憶手段(サーバ内、あるいはデータベース110a内でもよい)に記録する(フラグを記録するようにしてもよい)。この不適正着座の場合は、例えば異なる座席券を持った乗客が間違って座席に着いているか、座席券を正しく購入していないか、あるいは座席券を全く持っていない乗客が座席に着いている場合等が考えられる。
【0089】
次に、ステップS207に移り、所定数(例えば、最初に乗務員等の操作者が操作・表示装置102等を介し入力した照合対象とする座席範囲)の座席をすべて検出照合したかが判断され、所定数の座席を全て検出照合した場合には、ステップS208に進んで、車掌室等に置いてある操作・表示装置102にその結果を表示し、このフローを終了する。所定数の座席の検出照合が完了していない場合は、ステップS201に戻って同様の手順を繰り返す。
【0090】
以上において、座席券タグT10に備えられた無線タグ回路素子ToのタグIDが各請求項記載の座席利用識別子を構成し、タグリーダ100の制御部120のCPUが実行する図10に示すフローのステップS101〜ステップS110が、上記座席利用識別子を、読み取り装置側アンテナを用いた無線通信を介して取得する識別子取得手段を構成するとともに、照合対象とする座席又は座席範囲を特定する座席範囲特定情報を取得する情報取得手段をも構成する。
【0091】
また、ステップS111が、識別子取得手段で取得した座席利用識別子が、座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行うための情報信号を生成し出力する照合情報信号生成手段を構成する。
【0092】
また、管理サーバ110が実行する図11のフローのステップS204が、識別子取得手段で取得した座席利用識別子が、座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段を構成する。また、管理サーバ110が実行する図11のフローのステップS208が、照合手段による照合結果を報知するための信号を生成する報知信号生成手段を構成する。なお、図11に示した制御フローは上記では管理サーバ110が実行する手順となっているが、これに限られず、タグリーダ100において照合(ステップS204)及び報知信号出力(ステップS208)を行うようにしてもよい。
【0093】
以上のような本発明の第1の実施の形態によれば、操作・表示端末102の操作に基づきタグリーダ100で対応する座席範囲の座席タグT1の無線タグ回路素子Toと無線通信を行い、タグIDをそれぞれ取得する。ここで、その座席範囲内に、各座席106に対応するチケットを所有する者が存在したとすると、各チケットの座席券タグT10に備えられた無線タグ回路素子ToのタグIDが無線通信によってタグリーダ100で取得される。そして、これら座席タグT1のタグID及び座席券タグT10のタグIDが管理サーバ110へ出力され、これらに基づき、管理サーバ110で当該人物は正当な座席占有権利者であるかどうかが判定される。このようにして、従来技術と異なり、正当な座席占有権利者を、そうでない者と明確に区別する形で確実に遠隔にて検出することができ、座席サービスを向上することができる。
【0094】
また、この実施形態では特に、座席券タグT10と座席タグT1との方向一致(又は場所一致)をも判定することができ、さらに詳細な検出を行うことができる。すなわち、ある席の座席占有権利者が間違って隣の座席に着座していないか、複数の座席占有権利者どうしが互いに席を入れ替わって着座していないかどうか等まで検出することが可能となる。さらに、この実施形態では特に、管理サーバ110において発券情報や改札通過情報も加味して正当権利者かどうかを判定することができ、さらに確実かつ正確な検出を行うことができる。
【0095】
また、この実施形態では特に、座席タグT1は、人感センサ163がONになった場合にのみ通信機能が活性化されるので、タグリーダ100では座席106が着座状態になった座席タグT1からのみ応答信号を受信する。この結果、管理サーバ110での判定の際、座席106における人物の着座情報(=当該座席の座席占有権利者が実際に確かに座っているという情報)をも得ることができ、さらに確実かつ正確な検出を行うことができる。また、座席106が着座状態になったものに対応する座席タグIDのみ取得するので、無駄なサーチを省き、タグリーダ100の動作の効率化及び円滑化を図れる効果もある。
【0096】
なお、上記第1の実施の形態は、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0097】
(1)タグ方向検出を行わない場合
図10では、タグリーダ100によって座席タグT1/座席券タグT10の存在方向(又は距離情報)を検出したが、この変形例では、存在方向を検出せず、タグリーダ100からのある一定強度の電波が届く範囲の全ての座席タグT1及び座席券タグT10を検出するものである。
【0098】
図12は、この変形例によるタグリーダ100の制御部120のCPU121が実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図10に対応する図である。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0099】
まず、ステップS301において、タグに対する呼びかけ信号(無条件)であるScroll All ID信号(無条件情報取得命令)をタグリーダ100から送信する。詳細には、「TX_ASK」信号を生成して送信乗算回路216に出力し、送信乗算回路216で対応する上記振幅変調が行われアクセス情報としての「Scroll
All ID」信号となる。一方CPU121は「TX_PWR」信号を生成して送信アンプ217に出力し、送信アンプ217でその「TX_PWR」信号に基づく増幅率で信号増幅が行われ、最終的に送信アンテナ10を介し送信され、通信範囲内にあるすべての座席タグT1/座席券タグT10の無線タグ回路素子Toからのリプライ信号の返信を促す。
【0100】
なお、応答されると予想される座席タグT1又は座席券タグT10の数が比較的多数である場合には、上記のようにいきなり「Scroll All ID」信号を送信するのではなく、前述した実施形態のように操作・表示装置102からの操作に応じた所定座席範囲に対応した「Scroll
All ID」信号を送信するようにしてもよいし、さらには前述のように「Ping」信号(探索命令)を送信して階層的に各タグT1,T10からの応答を受信しBinaryTree方式で数を特定した後にScroll ID信号を送信し上記のようにリプライ信号を受信してIDを確定するようにしてもよい。
【0101】
その後、ステップS302においては、上記Scroll All ID信号に応答する全ての座席タグT1/座席券タグT10からのリプライ信号(タグ識別情報であるタグIDを含む)を、受信アンテナ11A〜11Hより受信し、受信部213を介し取り込む。
【0102】
次に、ステップS303に移り、タグリーダ100で受信した検出結果、即ち対応する通信範囲にある全てのタグ(座席タグT1及び座席券タグT10)の存在情報(=タグID)を、ネットワーク122通信部及び通信ネットワークC1を介して管理サーバ110に送信し、このフローを終了する。
【0103】
上記のようなタグリーダ100によるステップS301からステップS303までの動作も、図10のときと同様に、座席タグT1に対する動作と、座席券タグT10に対する動作の合計2回行う。これらの順序もどちらが先でどちらが後でもよい。
【0104】
図13は、この変形例の管理サーバ110での座席タグT1と座席券タグT10との照合動作時に実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記図11に対応する図である。まず、ステップS401において、上記ステップS303でタグリーダ100から出力された、座席タグT1及び座席券タグT10それぞれのIDと位置情報をタグリーダ100から入力(識別)する。
【0105】
次にステップS402において、前述のステップS202と同様、座席タグT1と座席券タグT10の2種類の情報が取得されたかどうかが判断される。座席タグT1と座席券タグT10の2種類の情報が取得された場合には次のステップS403に進み、2種類の情報が取得されていなければ、ステップS401に戻って、2種類の情報が取得されるまで同様の手順を繰り返す。
【0106】
そして、次のステップS403において、上記ステップS401で入力された情報に基づき、すべての座席タグT1とすべての座席券タグT10とが一対一に対応しているかどうか(応答している座席タグT1に対して、対応する座席券タグT10はすべて存在しているかどうか)のみ照合する。言い換えれば、タグリーダ100からのScroll All ID信号に応答した座席タグT1又は座席券タグT10をそれぞれひとつの集合体として照合し、集合体どうしが対応していればよく、各集合体内において方向等の位置情報が一致しているかまでは問わない。
【0107】
そして、ステップS404において、上記照合が満たされたか(座席タグT1の集合体と座席券タグT10の集合体とが一致したか)が判断される。集合体として一致したと判断されれば、ステップS405に進み、利用者(乗客)は適正な乗車状態にある(適正乗車、隣りどうしの座席券を持った乗客が互いに入れ替わって着座している場合等も含まれる)とみなし、前述と同様、その旨を所定の記憶手段(サーバ内、あるいはデータベース110a内でもよい)に記録する(フラグを記録するようにしてもよい)。なおこの際、図9で説明したように、該当する座席券が正当に発券され、乗客によって駅の(自動)改札に座席券が正常に通されたことを前提としこれらも満たされたときにのみ適正とみなすようにしてもよい。す。
【0108】
また、上記照合が満たされない場合は、ステップS406に進み、座席タグIDと座席券タグIDとの不一致が存在することから、利用者(乗客)の一部が適正な乗車状態にない(例えば隣の車両等通信範囲外の座席券を所持した乗客が着座している、あるいは座席券を全く持っていない乗客が座席に着いている等の不適正乗車)とみなす。
【0109】
そして、ステップS407において、車掌室等に置いてある操作・表示装置102にその結果を表示し、このフローを終了する。
【0110】
以上において、タグリーダ100の制御部120のCPUが実行する図12に示すフローのステップS301及びステップS302が、座席利用識別子を、読み取り装置側アンテナを用いた無線通信を介して取得する識別子取得手段を構成するとともに、照合対象とする座席又は座席範囲を特定する座席範囲特定情報を取得する情報取得手段をも構成する。
【0111】
また、ステップS303が、識別子取得手段で取得した座席利用識別子が、座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行うための情報信号を生成し出力する照合情報信号生成手段を構成する。
【0112】
また、管理サーバ110が実行する図13のフローのステップS403が、識別子取得手段で取得した座席利用識別子が、座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段を構成する。また、ステップS407が、照合手段による照合結果を報知するための信号を生成する報知信号生成手段を構成する。なお、図13に示した制御フローは上記では管理サーバ110が実行する手順となっているが、これに限られず、タグリーダ100において照合(ステップS403)及び報知信号出力(ステップS407)を行うようにしてもよい。
【0113】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。また、上記実施形態のように座席タグIDと座席券タグIDとの方向一致を問わないため、信号処理や制御内容をその分簡素化することができ、また方向不一致検出等によるエラーの発生がなくなる。また実際問題として、知人同士やグループでは購入座席全体の中で入れ替わって座ったり、代表者が全員分のチケットをまとめて所持していたり、さらに他人の個人どうしであってもその場の合意で席を譲って別の席に座ったりすることもままある。このため、着座占有権と実際の着座占有との対応関係は、乗客同士の規律やモラルに任せるほうが現実的であり、(このような場合も方向不一致として検出する上記実施形態に比べ)より現実的かつ効率的なシステムとすることができる。さらに、通信範囲内における着座位置を問わないことから、座席指定制でない場合の、自由席車両や定員制車両における検出にも適用することができ、応用性が高い。
【0114】
(2)送信出力値を変化させる場合
上記実施の形態においては、図10で説明したタグリーダによるタグ存在方向(角度)の検出を、ある一定の信号出力で行うこととしたが、これに限られず、座席の位置等に応じて信号出力を変化させてもよい。
【0115】
すなわち、タグリーダ100と照合対象とする座席範囲との位置関係によって、当該座席範囲内の部位によってはタグリーダからのアクセス距離が遠い部位と近い部位とにばらつく場合がある(例えば図2に示した例で、図示の20座席が照合対象範囲だとすると、20座席で構成する略正方形形状のうち四隅に位置する座席106はタグリーダ100からの距離が相対的に遠いが、略正方形形状の各辺中点に位置する座席106はタグリーダ100からの距離が相対的に近い)。そこで、例えば、最初に乗務員等の操作者が操作・表示装置102等を介し照合対象とする座席範囲を入力すると、この座席範囲の形状、広さ、位置等に対応した各座席の実際の位置情報(車両寸法等に基づくタグリーダ100からの距離情報)が管理サーバ110からタグリーダ100に出力される。タグリーダ100ではこの位置情報に基づき、CPU121が、図10のステップS105や図12のステップS301で送信するときの送信乗算回路216への「TX_PWR」信号を増減制御し、これによってタグへのアクセス時の送信出力を変化させる。これにより、無駄な電力消費を防止しつつ、目標とする座席範囲の全域を確実に通信可能エリアとすることができる。
【0116】
(3)人感センサの他の利用手法
上記実施形態においては、無線タグT1において、乗客が座席106に着席すると人感センサ163が感知してスイッチ165をONにし無線タグ回路素子Toが作動し、これによって着座の有無を検知する(非着座ではリーダ100にて返信信号が受信されない)ようになっていたが、これに限られない。すなわち、人感センサ163の出力によりIC回路部150が応答する識別子としてのビットを対応させる構成としてもよい。図3(b)はこの例を表しており、上記図3(a)におけるスイッチ165を省略した構成とするとともに、この場合の人感センサ163の検出信号に対応し、IC回路部150から応答する識別子の一部は人感センサ163の状態を反映し、非着座状態で人感センサ163が作動しないと無線タグ回路素子Toからリーダ100へ返信される上記リプライ信号S2に含まれる着座ビットが「0」となり、着座により人感センサ163が作動すると無線タグ回路素子Toからリーダ100へ返信されるリプライ信号S2に含まれる着座ビットが「1」となる。この場合、リーダ100からの読み取り信号S1に対する返答がなにもない場合は座席タグT1の無線タグ回路素子が壊れており、リプライ信号の着座ビットが「0」の場合は非着座状態であり、リプライ信号の着座ビットが「1」の場合は着座状態となる。この結果、タグの破壊と非着座状態との区別が困難である上記実施形態と異なり、タグの破壊が識別可能となる。
【0117】
(4)サーバ及びデータベースを車内に設ける場合
また、上記実施形態においては、管理サーバ110及びデータベース110aが列車外に設置され、タグリーダ100からこの管理サーバ110及びデータベース110aに対してデータ送受信を行ったが、これに限られない。すなわち列車内に上記管理サーバ100及びデータベース110aの機能に準じる車内サーバ及び車内データベースを設けておき、例えば、発車前や途中の主要駅停車時等、所定段階等において、当該列車の座席に関わるすべての(あるいは主要な)データをデータベース110aから管理サーバ110を介し上記車内サーバにより車内データベースに移動(あるいは複製)しておく。そして上述したような管理サーバ100及びデータベース110aによるタグリーダ100との情報送受信及びその他の制御を、この車内サーバ及び車内データベースが実行するようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0118】
(5)人感センサなし
図3(a)及び図3(b)では、乗客が座席に着席すると、その重量を感知する人感センサを座席タグに備え、これによって着座検出を行うこととしたが、これに限られず、着座検出を行う必要のない場合(すなわち座席タグと座席券タグとが照合合致すれば正当権利者の占有又は着座使用であるとみなす)には、人感センサを備えない構成としてもよい。この場合、常時無線タグ回路素子Toに電力が供給された状態としておくか、あるいは電力供給をしないでも動作可能な無線タグ回路素子Toを用いればよい。
【0119】
(6)その他
以上の第1の実施の形態及び各変形例においては、本発明を列車に適用する場合について説明したが、列車以外の乗り物の座席や、その他の座席に適用することもできることは、言うまでもない。
【0120】
以下、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、例えば指定席制の映画館、劇場、コンサート、スポーツ競技場等の各種イベントや、オフィス等に本発明を適用した例である。
【0121】
図14は、本実施形態の座席情報照合システムの概略を表すシステム構成図である。この座席情報照合システム2は、アンテナ608により所定の広さのフロア内の無線タグを検出するための携帯型(ハンディタイプ)のタグリーダ(以下、ハンディーリーダと称する)600を有する。
【0122】
このハンディーリーダ600は例えばパソコンの機能も有しており、操作部(操作手段)、表示部、CPU、ROM、RAM等を備えている。操作部は、操作入力手段として適宜のキー、ボタン、スイッチ、パッド等を備えており、表示やサーチ等に係わる種々の操作入力が行えるようになっており、一連の動作開始及び動作終了の指示をすることも可能となっている。このハンディーリーダ600からの操作入力によって検出(検索)対象の無線タグに検出用の信号電波が送信され、リプライ信号が受信されて処理結果がハンディーリーダ600において直接表示出力される。
【0123】
座席606は上記フロア内に複数個配列されているうち、その一部(例えば数個ごと、詳細は後述)に座席タグT2が取り付けられており、座席に着席する観客等M2が所持する座席券(切符)R2には座席券タグT20が取り付けられている。なお、図示は省略するが、座席券(切符)R2に取り付けられる座席券タグT20は、図4の座席券タグT10と同様の構成(IC回路部150とアンテナ151とからなる無線タグ回路素子Toを備えた構成)となっている。座席タグT2についても、上記図3(a)の座席タグT1より人感センサ163及びバッテリ164並びにスイッチ165を省略した構成(言い換えれば座席券タグT10やT20と同様、IC回路部150とアンテナ151とからなる無線タグ回路素子Toを備えた構成)となっている。
【0124】
ハンディーリーダ600のアンテナ608からは読み取り信号S3が発信され、それに応じて座席タグT2及び座席券タグT20からは、識別情報としての座席タグIDや座席券タグIDを含むリプライ信号S4が発信されてハンディーリーダ600のアンテナ608にて受信される。
【0125】
図15はフロア内の座席状況を示す上面図である。各座席606には座席タグT2が座席に取り付けられており、座席券タグT20付きの座席券を買って所持した観客等M2が座席606に着席している状態を表している。図15には、1列の座席606しか示していないが、実際には、このような座席の列が、複数存在しているとする。また、図15に示す1列分の座席606(例えば10個の座席)を一つの座席集合体606Aと定義し、各集合体606Aごとに、一方側端部(この図示では操作者である映画館等の係員M10から最も遠い1つの座席606、図15中紙面最下方)の座席606にのみ座席タグT2が取り付けられている。
【0126】
ハンディーリーダ600は係員M10が携行して、座席を巡回する。そして、係員M10が携行するハンディーリーダ600は、前述した読み取り信号S3の発信及びリプライ信号S4の受信を通じて、座席タグT2と観客等が所持する座席券タグT20それぞれのID及び位置情報を読み取る。この場合、前述のように座席タグT2は、集合体を代表するどれか1つ(図15の場合は最も遠い座席)にのみ備えられるが、電波到達の目標位置(詳細は後述)として機能するものである。
【0127】
ハンディーリーダ600による読み取り信号S3の発信は、第1の実施の形態のように順次角度を変えて行う必要はなく、座席の集合体606Aを代表する座席タグT2の方向にのみ読み取り信号S3の発信を行う(指向性は一方向のみ)。この場合のハンディーリーダ600からの信号出力は、初期設定した値から段階的に増大して行き、1つの集合体606Aを代表する座席タグT2が検出可能な値になるまでこの段階的増大を続ける。この動作については、図18のフローチャートで後述する。
【0128】
図16(a)はハンディーリーダ600の外観を表す上面図であり、図16(b)は、その正面図である。図16(a)及び図16(b)において、このハンディーリーダ600は、本体ユニット302と、この本体ユニット302に着脱可能に取り付けられるアンテナ608(読み取り装置側アンテナ)とを有している。
【0129】
本体ユニット302は、筐体304と、この筐体304の上部(図16(a)中手前側)の大部分を占めるように配設された表示部305と、筐体304のうち表示部305の側方(図16(a)中左側)に配設された操作部306及び音声報知手段307(例えばブザー、アラーム、チャイムスピーカ等)とを備えている。
【0130】
操作部306は、係員M10による操作入力手段として適宜のキー、ボタン、スイッチ、パッド等を備えており、表示やサーチ等に係わる種々の操作入力が行えるようになっている。なお、表示部305を公知のタッチパネルとし、操作部306の機能の一部又は全部をこのタッチパネルにて行えるようにしてもよい。
【0131】
アンテナ608は、ユニット基部309と、この基部309内に設けられ座席タグT2/座席券タグT20への信号を送信する1つの送信アンテナ(図示せず)と、基部309より左右に突出するように設けられ座席タグT2/座席券タグT20からの信号を受信する受信アンテナ(図示せず)及びそれらを内包するアンテナカバー313A,313Bとを備えている。受信アンテナは、先の実施形態において図7等に示したものと同様、アレイアンテナとして動作する(指向性を制御可能である)。
【0132】
筐体304内には、先の実施形態の図6に示した制御部120(図7に示したRF通信制御部140を含む)と同様の構成の制御部620が備えられている。図17はこの制御部620の機能的構成を表す機能ブロック図である。図17において、制御部620は、上記制御部120とほぼ同等の機能を果たすようになっており、同等の機能部には同一の符号を付している。本実施の形態の制御部620には、先の実施形態の図1の操作・表示装置102と同様の機能を果たす上記操作部306及び表示部305が接続されており、その一方で、図6に示したネットワーク通信制御部122は省略されている。
【0133】
上記のような構成において、本実施形態では、前述したように、1つの座席集合体606Aを単位として、その他方側端部(図15中紙面最上部)から一方側端部(図15中紙面最上部)までを通信範囲とするようにまず座席タグT2を用いてハンディーリーダ600からの通信出力設定を行い、その後、当該設定出力で無線通信を行い当該座席集合体606Aの範囲内の座席券タグ20の一斉検出を行うものである。
【0134】
図18は、上記ハンディーリーダ600に備えられた上記制御部620のCPU121が実行する制御手順を表すフローチャートである。まず、ステップS501で、ハンディーリーダ600からの無線通信時の信号出力(電力値)をPo(所定の比較的小さい値)に初期設定する。例えばこの値はメモリ123(図6参照)に記憶される。
【0135】
次に、ステップS502において、係員M10が操作部306を介し目標とする座席タグ、即ち座席の集合体606Aを代表する座席タグT2を指定(例えば座席位置や座席番号等で指定)すると、これに対応する操作信号が入力される(このとき当該座席タグT2に対応するタグIDも例えばハンディーリーダ600内のデータベースから取得される)。その後、ステップS503において、目標とする座席タグT2に対する呼びかけ信号であるScroll ID信号を送信する。詳細には、上記第1の実施形態と同様、「TX_ASK」信号を生成して送信乗算回路216に出力し(図7参照、以下同様)、送信乗算回路216で対応する上記振幅変調が行われアクセス情報としての「Scroll
ID」信号となる。その一方「TX_PWR」信号を生成して送信アンプ217に出力し、送信アンプ217でその「TX_PWR」信号に基づく増幅率で信号増幅が行われ、最終的にアンテナ608を介し送信され、サーチ対象である座席タグT2の無線タグ回路素子Toからのリプライ信号の返信を促す。
【0136】
その後、ステップS504で、上記「Scroll ID」信号に応答して、サーチ対象の座席タグT2から送信された返答信号(=リプライ信号;少なくともタグ識別情報であるタグIDを含む)がアンテナ608を介し受信されたか(受信部213を介しCPU121で取り込まれたか)どうかが判断される。
【0137】
最初は前述のようにステップS501で送信信号出力が比較的小さく設定されているため通信可能範囲が小さく、座席タグT2からリプライ信号が受信されないため、ステップS504の判定が満たされず、ステップS505に移る。ステップS505では、信号出力(電力値)Pに増分△Pを加算して新たな信号出力(電力値)Pとし、ステップS503に戻って同様の手順を繰り返す。
【0138】
このようにして、ステップS503→ステップS504→ステップS505と繰り返しながら△Pずつ信号出力を増大させながら(言いかえれば通信可能範囲を拡大しながら)「Scroll ID」信号の送信を繰り返し、ついにハンディリーダ600からの通信可能範囲に座席タグT2が入り、座席タグT2からのリプライ信号が受信されたらステップS504の判定が満たされ、ステップS505に進む。
【0139】
ステップS505では、この時の信号出力(電力値)Pをメモリ123に記憶させて、このフローを終了する。
【0140】
図19は、上記図18に示したフローのようにして通信出力設定終了後、続いて制御部620のCPU121で実行する、座席券タグT20の一斉検出に関わる制御手順を表すフローチャートである。
【0141】
まず、ステップS601において、図18のステップS506でメモリ123に記憶しておいた値を読み出し、ハンディーリーダ600からの無線通信時の信号出力(電力値)Pの設定を当該読み出した値に設定する。
【0142】
次に、ステップS602において、座席券タグT20に対する呼びかけ信号であるScroll All ID信号を一斉送信する。詳細には、上記第1の実施形態と同様、「TX_ASK」信号を生成して送信乗算回路216に出力し(図7参照、以下同様)、送信乗算回路216で対応する上記振幅変調が行われアクセス情報としての「Scroll
ALL ID」信号となる。その一方「TX_PWR」信号を生成して送信アンプ217に出力し、送信アンプ217でその「TX_PWR」信号に基づく増幅率で信号増幅が行われ、最終的にアンテナ608を介し送信され、今回のサーチ対象である座席券タグT20の無線タグ回路素子Toからのリプライ信号の返信を促す。
【0143】
その後、ステップS603で、上記「Scroll All ID」信号に応答して、送信範囲にある(言い換えればサーチ対象の)全ての座席券タグT20から送信された返答信号(=リプライ信号;少なくともタグ識別情報であるタグIDを含む)をアンテナ608を介し受信し、受信部213を介しCPU121で取り込む。
【0144】
その後、ステップS604に進み、上記ステップS603での受信結果、即ち対応する範囲にある座席券タグT20のIDを表示部305に出力し、このフローを終了する。
【0145】
ここで、座席集合体606Aが、例えば10個の座席A1〜A10で構成されていると仮定すると、上述のようにして得られた表示部305で表示された検出結果が、A1〜A10にそれぞれ対応する10個の座席券タグT20のみが存在していれば、係員M10は、利用者(観客等)が指定座席に正しく着いている適正着席状態とみなすことができる。一方、得られた検出結果にA11などの集合体606Aに含まれない座席に対応する座席券タグが存在すると表示していれば、A1〜A10いずれかの席にこの座席集合体606Aに着座する正当な権利のない者がいることから、係員M10は、利用者(観客)が指定座席に正しく着いていない不適正着席状態とみなすことができる。また、得られた検出結果が9人分の存在しか表示していないのに、係員M10が目視にて10人が着席していることを確認できたならば、座席券を正しく購入していないか、あるいは座席券を全く持っていない観客等が座席に着いている不適正着席状態であるとみなすことができる。
【0146】
なお、上記のようにして1つの座席集合体606Aに対する上記動作の終了後、さらに検出すべき座席集合体が残っていれば、順次次の集合体について、図18及び図19を用いて上述したような係員M10の操作が行われ、同様の制御手順が繰り返し行われる。
【0147】
また、開始操作手段としての上記操作部306を用いて係員M10が操作指示してから、その後終了操作手段としての上記操作部306を用いて係員M10が操作指示するまで、CPU121が上記図18又は図19に示した制御手順を繰り返すようにしてもよい。
【0148】
以上において、ハンディリーダ600の制御部620のCPU121が実行する図18に示したフローのステップS503〜ステップS506が、各請求項記載の、照合対象とする座席又は座席範囲を特定する座席範囲特定情報を取得する情報取得手段を構成し、ステップS502が、情報取得手段による情報取得対象の座席特定用無線タグ回路素子の識別情報又はこれに対応する情報を操作者が指定入力する(前述のように係員M10が間接的に座席範囲情報等を入力してもよいし、直接タグIDを入力してもよい)ための識別情報操作入力手段を構成する。
【0149】
また、図19に示したフローのステップS601〜ステップS603が、座席利用識別子(座席券タグT20のタグID)を読み取り装置側アンテナを用いた無線通信を介して取得する識別子取得手段を構成し、ステップS604が、識別子取得手段で取得した座席利用識別子が座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか(操作者である係員Mが)照合判定を行うための情報信号を生成し出力する照合情報信号生成手段を構成する。
【0150】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、図18に示すフローに基づき、ハンディーリーダ600から座席タグT2の無線タグ回路素子Toへ送信出力を増大しながらアクセスすることで、所定の座席範囲(前述の例ではA1〜A10等)に対応する送信電力情報を取得する(ステップS506)。そして、図19のステップS602に示したすように、その後その送信電力で当該座席範囲の座席券タグT20にアクセスしてそれぞれのタグIDを取得することができるので、従来技術と異なり、当該座席範囲(上記A1〜A10等)に対する正当な座席占有権利者をそうでない者と区別して確実に遠隔にて検出することができる。したがって座席サービスを向上することができる。
【0151】
またこの実施形態では特に、座席及び座席券を集合体として扱うことにより、上記第1実施形態の(1)変形例と同様、無駄を省いて能率的に検出を行うことができると共に、ある程度座席を融通し合うなどして座席が多少入れ替わっていることにも柔軟に対応できる。
【0152】
なお、上記第2の実施の形態では、ハンディーリーダ600にパソコンの機能を持たせて、種々の操作入力が行えるようにし、第1の実施の形態のような管理サーバを特に備えなかったが、第1の実施の形態の管理サーバと同様のサーバを備えていてもよい。
【0153】
また、上記第2の実施の形態では、指定席制の座席に本発明を適用した例を示したが、自由席制や定員制の座席に適用してもよい。その場合は座席と座席券の個数のみを検出して照合することとなる。
【0154】
さらに、上記第2の実施の形態では、座席及び座席券を集合体として扱って、座席が多少入れ替わっていることにも柔軟に対応できるようにしたが、第1の実施の形態のように、各座席の全てに座席タグを取り付けておき、個々の座席と座席券の方向又は位置を厳密に検出し、厳密に両者の対応を判断してもよい。
【0155】
さらに、上記第2の実施の形態のハンディリーダ600による読み取り手法を上記第1の実施形態の列車の座席に対し適用することもできる。この場合、上記第2実施形態と同様に座席タグT1を電力値設定のためのみに用いてもよいが、これに限られない。すなわち、車掌等がハンディリーダ600を携帯しつつ目視で所定座席の着席状況を確認後、ハンディリーダ600の操作部306で当該座席に対応する座席券タグIDを入力指定して(あるいは座席番号や座席位置情報を入力してハンディリーダ600内のデータベースより座席券タグIDを取得し指定する等でもよい)「ScrollID」信号を送信し(図19のステップS602に準じる)、そのリプライ信号を受信することで当該座席券タグIDを取得し、これに応じた結果を表示部305に表示する(図19のステップS604に準じる)ようにしてもよい。
【0156】
また、以上においては、紙のチケット(座席券)に座席券タグT10,T20が設けられ、それに備えられた無線タグ回路素子Toが座席利用識別子としての座席券タグIDを備えていた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、座席利用識別子として、携帯電話や携帯端末、パソコン等にて取得され記憶保持されている電子チケットやこれに相当する識別番号ID、暗証番号等を用い、これをタグリーダ100やハンディリーダ600側から無線通信にて取得するようにしてもよい。これらの場合も同様の効果を得る。
【0157】
なお、以上で用いた「ScrollAllID」信号、「ScrollID」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
【0158】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の第1の実施形態による座席情報照合システムの概略を表すシステム構成図である。
【図2】図1の座席情報照合システムを適用した列車内の座席状況の概略を示す上面図である。
【図3】座席タグの構成、及び着座者の有無を応答信号のビットにて反映させる変形例を示す図である。
【図4】座席券(切符)の構成を示す図である。
【図5】無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図6】図1に示したタグリーダの機能的構成の詳細を表す機能ブロック図である。
【図7】図6に示したRF通信制御部及びアンテナの詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図8】受信アンテナによるメインローブの方向を変化させる原理を表す説明図である。
【図9】タグリーダによる検出動作に先立って管理サーバが実行する制御手順を示すフローチャートである。
【図10】タグリーダの制御部のCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図11】照合時に管理サーバが実行する制御手順を示すフローチャートである。
【図12】タグ方向検出を行わない変形例におけるタグリーダの制御部のCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図13】照合時に管理サーバが実行する制御手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態による座席情報照合システムの概略を表すシステム構成図である。
【図15】図14の座席情報照合システムを適用したフロア内の座席状況の概略を示す上面図である。
【図16】図14の座席情報照合システムで使用されるハンディーリーダの外観を表す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図17】制御部の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図18】ハンディーリーダに備えられた制御部のCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図19】ハンディーリーダに備えられた制御部のCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0160】
1 座席情報照合システム
2 座席情報照合システム
8 アンテナ
10 送信アンテナ
11A〜11H 受信アンテナ
100 タグリーダ
102 操作・表示装置
106 座席
108 アンテナ
110 管理サーバ
110a データベース
120 制御部
121 CPU
123 メモリ
126 操作部
127 表示部
140 RF通信制御部
150 IC回路部
163 人感センサ
305 表示部
306 操作部
600 ハンディーリーダ
606 座席
606A 座席集合体
608 アンテナ
R 座席券
T1 座席タグ
T10 座席券タグ
T2 座席タグ
T20 座席券タグ
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部及びこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、
少なくとも1つの座席に備えられた座席特定用の前記無線タグ回路素子との前記読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、照合対象とする座席又は座席範囲を特定する座席範囲特定情報を取得する情報取得手段と、
この情報取得手段で取得された前記座席範囲特定情報に対応づけられる座席利用識別子を、前記読み取り装置側アンテナを用いた無線通信を介して取得する識別子取得手段と、
前記識別子取得手段で取得した前記座席利用識別子が、前記座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行うための情報信号を生成し出力する照合情報信号生成手段と
を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記情報取得手段は、前記座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス情報に対応した応答信号から、前記座席範囲特定情報としての当該座席特定用無線タグ回路素子の識別情報を取得することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項3】
請求項2記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記情報取得手段は、着座者の着座状態に応じて識別子の一部が設定される前記座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス情報に対応した応答信号から、前記識別情報を取得することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項4】
請求項3記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記識別子取得手段は、前記情報取得手段で前記識別情報が取得された前記座席特定用無線タグ回路素子に対応した前記座席利用識別子を取得することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記情報取得手段は、前記照合対象とする座席範囲情報に基づき、前記座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス時の送信信号出力を変化させることを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項6】
請求項1記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記情報取得手段は、前記座席特定用の無線タグ回路素子へのアクセス結果に応じて、前記座席範囲特定情報としての前記座席範囲に対応する送信電力情報を取得することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか1項記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記情報取得手段による情報取得対象の前記座席特定用無線タグ回路素子の前記識別情報又はこれに対応する情報を操作者が指定入力するための識別情報操作入力手段を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の無線タグ情報読み取り装置において、
操作者が無線通信開始を操作指示するための開始操作手段と、
操作者が無線通信終了を操作指示するための終了操作手段とを有し、
前記情報取得手段及び前記識別子取得手段は、前記開始操作手段による無線通信開始操作指示があってから、前記終了操作手段による無線通信終了操作指示があるまでの間、繰り返し前記座席範囲特定情報及び前記座席利用識別子の取得を行うことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項9】
情報を記憶するIC回路部及びこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、
少なくとも1つの座席に備えられた座席特定用の前記無線タグ回路素子との前記読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、照合対象とする座席又は座席範囲を特定する座席範囲特定情報を取得する情報取得手段と、
この情報取得手段で取得された前記座席範囲特定情報に対応づけられる座席利用識別子を、前記読み取り装置側アンテナを介した無線通信により取得する識別子取得手段と、
前記識別子取得手段で取得した前記座席利用識別子が、前記座席範囲特定情報と予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段と
を有することを特徴とする座席情報照合システム。
【請求項10】
請求項9記載の座席情報照合システムにおいて、
前記照合手段は、前記座席利用識別子が前記座席範囲特定情報と前記所定の関係を満たすかどうか照合判定を行うとともに、前記情報取得手段が前記識別情報を取得したときの当該座席特定用無線タグ回路素子の存在位置情報と前記識別子取得手段が前記座席利用識別子を取得したときの当該識別子の存在位置情報とが予め定められた所定の関係を満たすかどうかの照合判定を行うことを特徴とする座席情報照合システム。
【請求項11】
請求項9又は10記載の座席情報照合システムにおいて、
前記照合手段は、座席利用識別子が前記座席範囲特定情報と実質的に一致するかどうかを判定することを特徴とする座席情報照合システム。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1項記載の座席情報照合システムにおいて、
前記照合手段による照合結果を報知するための信号を生成する報知信号生成手段を備えることを特徴とする座席情報照合システム。
【請求項13】
少なくとも、複数の座席それぞれに関わるチケットが発券されたかどうかに関わる発券情報を格納保持した情報サーバと、
前記チケットに備えられたチケット特定用無線タグ回路素子及び前記座席に備えられた座席特定用無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行う読取装置用アンテナ、及び、この読取装置用アンテナを介した前記チケット特定用無線タグ回路素子及び座席特定用無線タグ回路素子へのアクセス情報に対応した応答信号から各座席特定用無線タグ回路素子及び各チケット特定用無線タグ回路素子の識別情報を取得する情報取得手段を備えた無線タグ情報読み取り装置と、
特定の座席に関わる前記発券情報、前記座席特定用無線タグ回路素子の識別情報、及び前記チケット特定用無線タグ回路素子の識別情報が、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段と、
この照合手段による照合結果を報知するための信号を生成する報知信号生成手段と
を有することを特徴とする座席情報照合システム。
【請求項14】
請求項13記載の座席情報照合システムにおいて、
前記情報サーバは、各チケットが改札を通過したかどうかに関わる改札通過情報をさらに格納保持し、
前記照合手段は、特定の座席に関わる前記発券情報、前記改札通過情報、前記座席特定用無線タグ回路素子の識別情報、及び前記チケット特定用無線タグ回路素子の識別情報とが、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行うことを特徴とする座席情報照合システム。
【請求項15】
請求項13又は14記載の座席情報照合システムにおいて、
前記照合手段は、前記チケット特定用無線タグ回路素子から前記識別情報を取得したときの当該チケット特定用無線タグ回路素子の存在位置情報が、対応する座席位置情報に対し、予め定められた所定の関係を満たすかどうかの位置照合判定を行うことを特徴とする座席情報照合システム。
【請求項16】
請求項15記載の座席情報照合システムにおいて、
前記座席位置情報は、前記情報サーバに格納保持されていることを特徴とする座席情報照合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−350841(P2006−350841A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178324(P2005−178324)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】