説明

無線タグ用アンテナの製造方法及びその方法に用いる型抜切断接着具

【課題】 エッチングを用いる手法及びホットスタンプを用いる手法の不具合を一挙に解消し、少ない工程数で、より安価に、しかもICへの電力供給が十分に行える高性能の無線タグ用アンテナを量産することが可能な無線タグ用アンテナの製造方法を提供する。
【解決手段】 この出願の発明による無線タグ用アンテナの製造方法は、感熱接着剤(3)を塗布した基材シート(1)の表面にアンテナ本体の材料である金属箔(2)を重ね合わせた後、アンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状の型抜切断刃(11)と、その型抜切断刃(11)の外郭の内側に設けられた耐熱性加熱用部材(12)よりなる型抜切断接着具(10)を用いて、アンテナ本体の型抜切断と基材シート(1)への加熱接着を同時に行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、無線タグ用アンテナの製造方法及びその方法に用いる型抜切断接着具に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、より安価に精度の高い無線タグ用アンテナを効率よく量産することができる、新しい無線タグ用アンテナの製造方法及びその方法に用いる型抜切断接着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、市場に出回っている無線タグ[RFID(Radio Frequency Identification)タグ]は、その利用価値が広く知れ渡っており、バーコード技術に代わる新たな技術として、商品管理や在庫管理等に急速に適用されてきている。無線タグは、ICを用いているため非常に多くの情報量を持つことができ、しかも非接触でリーダーライターにより情報の読み取り・書き込みを行える利点がある。
【0003】
ところで無線タグの市場価格は現在1個当り20円〜50円であり、一般的に低価格なバーコードに代わって広く流通させるためには、タグ1個当りの価格をより安価にする必要がある。
【0004】
また、無線タグは、通常、基材シート上に設けられたアンテナとICチップより構成されている。無線タグのアンテナは、一般的に合成樹脂製の基材シート上に銅箔やアルミニウム箔を貼り付け、その上からアンテナパターンをレジストインキで印刷し、エッチング技法によって作製している。ところがこのような工程で無線タグ用アンテナを作製すると、工程数が多くなる上、エッチングのための化学薬品の使用費、廃液処理費等でアンテナ価格が高くなってしまう。また、紙、プラスチックフィルム、布などの安価な素材を基材シートとして使用することはむづかしい。また、蒸着により形成される金属箔は厚さが3μm程度であるため、導電性が不十分でICチップに十分な電力が供給できない。
【0005】
上記の問題のうち、エッチングを用いる場合の不具合を解消するため、特許文献1では、合成樹脂の基材シート上に金属箔をホットスタンプで打抜いて接着させる技術が開示されている。特許文献1に記載のホットスタンプは、打抜かれるアンテナと同形状のパターンを設けた版に熱盤を取り付けた構造を有し、金属箔を版のパターンで打抜いて、熱盤の熱を利用して、基材シート上にアンテナを接着させるようになっている。この手法によると、エッチングを用いないので、化学薬品の使用費、廃液処理費が不要となる上、作業者の健康あるいは周辺環境への悪影響をなくすことができる。
【特許文献1】実願平10−7898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の手法により無線タグ用アンテナを形成した場合、ホットスタンプのヘッド全体で金属箔をアンテナ形状に打抜くため、アンテナの外郭に沿った部分(エッジ)の形状がシャープに切断されず、こまかなギザギザ状の部分が生じ、その部分が電波の伝わり状態に影響を及ぼしてしまう。無線タグ用アンテナのエッジのギザギザ形状は、特にマイクロ波やUHF帯等の電波を利用するケースではその影響はより顕著なものとなる。また、例えば金属箔としてアルミニウム箔を用いる場合、そのアルミニウム箔は圧延により作製されるが、圧延装置の構造上、通常、その厚みは約7μmより厚いものとなる。無線タグ用アンテナに用いる金属箔は厚みが厚い方がICへの電力供給が十分となり特性上の点で有利であるが、特許文献1の手法で厚みの厚い金属箔を打抜いた場合、アンテナの外郭に沿った部分のギザギザの発生はより一層顕著なものとなり、精度の高いアンテナ形成が困難となる。
【0007】
そこで、この出願の発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、エッチングを用いる手法及びホットスタンプを用いる手法の不具合を一挙に解消し、少ない工程数で、より安価に、しかもICへの電力供給が十分に行える高性能の無線タグ用アンテナを量産することが可能な無線タグ用アンテナの製造方法及びその方法に使用される型抜切断接着具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この出願の発明は、上記課題を解決するため、第1には、基材シート上にアンテナ本体を設けてなる無線タグ用アンテナの製造方法において、感熱接着剤を塗布した基材シートの表面にアンテナ本体の材料である金属箔を重ね合わせた後、アンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状の型抜切断刃と、その型抜切断刃の外郭の内側に設けられた耐熱性加熱用部材を備えた型抜切断接着具を用いて、アンテナ本体の型抜切断と基材シートへの加熱接着を同時に行うことを特徴とする無線タグ用アンテナの製造方法を提供する。
【0009】
また、第2には、基材シート上にアンテナ本体を設けてなる無線タグ用アンテナのアンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状の型抜切断刃と、その型抜切断刃の外郭の内側に設けられた耐熱性加熱用部材を備えることを特徴とする型抜切断接着具を提供する。
【0010】
また、第3には、上記第2の発明において、型抜切断接着具の耐熱性加熱用部材の構成材料が、耐熱性及び弾性を有するシリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム又は耐熱性及び弾性を有する高分子材料であることを特徴とする型抜切断接着具を提供する。
【0011】
また、第4には、上記第2又は第3の発明において、熱盤が型抜切断刃及び耐熱性加熱用部材の型抜切断接着側とは反対側に取付ら得れていることを特徴とする型抜切断接着具を提供する。
【0012】
さらに、第5には、上記第3から第4のいずれかの発明において、型抜切断刃の刃先の耐熱性加熱用部材表面からの突出長さが10〜500μmであることを特徴とする型抜切断接着具を提供する。
【発明の効果】
【0013】
この出願の第1の発明によれば、感熱接着剤を塗布した基材シートの表面にアンテナ本体の材料である金属箔を重ね合わせた後、アンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状の型抜切断刃と、その型抜切断刃の外郭の内側に設けられた耐熱性加熱用部材を備えた型抜切断接着具を用い、金属箔を型抜切断刃の鋭い刃先で精度よくシャープに切断すると同時に、耐熱性加熱用部材により、切り抜かれたアンテナ本体の形状の金属箔をその弾性でもって適度に押圧し、加熱によって感熱接着剤を作用させ、基材シートへの接着を行うため、エッチングを用いる手法及びホットスタンプを用いる手法の不具合が一挙に解決され、少ない工程数で、より安価に、しかもICへの電力供給が十分に行える高性能の無線タグ用アンテナを量産することが可能となる。
【0014】
また、この出願の第1の発明は、基材シートとして紙、プラスチックフィルム、布等の安価な材料を使用することができるため、その場合にはさらに安価な無線タグ用アンテナを提供することが可能となる。
【0015】
さらに、この出願の第2から第5の発明によれば、シンプルな構成の治具である型抜切断接着具により、上記のような優れた利点を有する無線タグ用アンテナの製造方法を実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0017】
この出願の発明による無線タグ用アンテナの製造方法は、感熱接着剤を塗布した基材シートの表面にアンテナ本体の材料である金属箔を重ね合わせた後、アンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状の型抜切断刃と、その型抜切断刃の外郭の内側に設けられた耐熱性加熱用部材よりなる型抜切断接着具を用いて、アンテナ本体の型抜切断と基材シートへの加熱接着を同時に行うことを特徴とする。
【0018】
この実施形態の製造方法では、基材シートの材料としては特に限定はされず各種材料を使用することができるが、より低コスト化の観点から紙、プラスチックフィルム、布等の安価な材料の使用が好ましく、特に紙の使用が好ましい。基材シートの最終形態としての形状は、四角形、円形、楕円等、用途に応じて各種形状の形状とすることができる。基材シートの厚さも用途に応じて適宜の厚さとすることができ、通常、0.2〜1mm程度のものが使用されるが、これに限定されない。無線タグ用アンテナを製造する際の基材シートの原反のタイプは枚葉でも、ロール巻でもよい。
【0019】
アンテナ本体の材料としては、導電性が良く、安価なアルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、スズ箔等の金属箔を使用することが好ましい。金属箔の厚みは用途に応じて適宜の厚みとすることができるが、その使用目的から、通常、7〜24μm程度とすることができる。アンテナ本体の材料である金属箔の原反のタイプは枚葉でも、ロール巻でもよい。
【0020】
基材シート上に金属箔を加熱接着させるための感熱接着剤としては、少なくとも70℃以上の耐熱性を有しているものが望ましく、各種の合成接着剤を用いることができるが、例えば酢酸ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、イソシアネート系接着剤、フッ素系接着剤の使用が好ましい。また、感熱接着剤としては、水溶性、溶剤系、固形分100%のホットメルト系の接着剤を使用することができる。作業性の観点からは、水溶性の接着剤が好ましく、その場合、塗膜厚はウェットの状態で4.5〜12μm程度、ドライの状態で1〜5μm程度が好ましい(ただし、接着剤の含有固形分を考慮する必要がある)。ホットメルト系の接着剤を使用する場合には、塗布厚のコントロールが必要である。感熱接着剤は、基材シート上の塗布後、乾燥等の方法でドライの状態とされる。
【0021】
この実施形態の製造方法では、型抜切断接着具を用いて、アンテナ本体の型抜切断と基材シートへの加熱接着を同時に行う。型抜切断接着具の一構成例を図1に模式的に断面図で示す。図1において、(1)は基材シート、(2)は金属箔、(3)は感熱接着剤、(4)は積層体、(10)は型抜切断接着具である。型抜切断接着具(10)は、アンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状の型抜切断刃(11)と、その型抜切断刃(11)の外郭の内側に設けられ、感熱接着剤(3)を作用させるための熱を伝える耐熱性加熱用部材(12)と、型抜切断刃(11)及び耐熱性加熱用部材(12)を支持するとともに、耐熱性加熱用部材(12)を加熱する熱盤(13)を有する。型抜切断刃(11)と熱盤(13)は一体に形成されていてもよい。型抜切断接着具(10)の型抜切断刃(11)の刃先(11A)の先端は、耐熱性加熱用部材(12)の最外面(12A)から突出して、ギャップ(14)が形成されるようにする。そのギャップ(14)の寸法(最外面(12A)から刃先(11A)の先端までの長さ)は、切断する金属箔(2)の膜厚に応じて適宜設定されるが、例えば10〜500μm、より好ましくは10〜200μm程度とすることができる。このギャップ(14)を設けることにより、型抜切断刃(11)による切断作用が良好に発揮するとともに、耐熱性加熱用部材(12)の最外面(12A)を積層体(4)側へ当接させ、感熱接着剤(3)に熱を伝え、金属箔(2)の切断と同時に金属箔(2)を基材シート(1)に接着させる。
【0022】
型抜切断刃(11)は、アンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状に形成されているものを使用する。型抜切断刃(11)はリーダーの搬送波周波数(125kHz、134.2kHz、13.56MHz、433MHz、860〜956MHz、2.54GHzなど)に見合ったアンテナ本体の外郭形状であるコイル型、ダイポール型、パッチ型などの各種形状とすることができる。
【0023】
型抜切断刃(11)の材料としては、例えば鉄、ステンレス鋼等の金属を用いることができる。また、型抜切断刃(11)の刃先の角度、硬度、形状の選定には、金属箔(2)の切断を精度良くできるように十分な考慮をする必要がある。型抜切断刃(11)の刃先の角度は鋭角であることが望ましいが、金属箔(2)を切断することを考慮すると30〜60度程度が好ましい。また、型抜切断刃(11)の刃先の硬度についても金属箔(2)を切断することを考慮すると、硬目であることが好ましく、例えばロックウエルHRC46〜68のものを使用することができる。また、型抜切断刃(11)の刃先の形状は、両刃、片刃のいずれでもよいが、両刃の方が金属箔切断時のトラブルが少ない。型抜切断刃(11)の刃の高さは形成するアンテナ本体の形状、種類等により異なり、通常、1〜1.2mm程度であるが、これに限定されない。
【0024】
耐熱性加熱用部材(12)は、感熱接着剤(3)を作用させるために感熱接着剤(3)に熱を伝える役割を行うとともに、型抜切断刃(11)が積層体(4)に切り込んだときにその最外面(12A)を積層体(4)に当接させ、切り抜いた金属箔(2)よりなるアンテナ本体が基材シート(1)に確実に接着するよう押圧力を加える役割をし、さらに型抜切断刃(11)の刃先を金属箔(2)の角から弾性力を与えてきれいに剥がす役割もする。
【0025】
このため、耐熱性加熱用部材(12)に用いる材料としては、少なくとも100℃以上の耐熱性と適度な弾性を有することが好ましく、そのような性質を有するシリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムや、各種高分子材料を用いることができる。各種高分子材料としては、上記のような性質を有するプラスチックや、接着剤硬化物等が使用できる。
【0026】
耐熱性加熱用部材(12)の厚さについては、型抜切断刃(11)の高さ及び金属箔(2)等の厚みを考慮して適切な厚さに設定することが好ましい。また、耐熱性加熱用部材(12)の硬度も、その最外面(12A)で金属箔(2)を基材ソート(1)側に押圧し、熱を感熱接着剤(3)に作用させて、加熱接着させるのに適した弾性を有することが好ましい。柔らかすぎると、押圧による加熱接着が適切に行えないので、押圧が適度に行える程度の弾性を有することが望ましい。
【0027】
熱盤(13)は、図示しないヒーター等の加熱手段により所要温度に加熱され、その熱を耐熱性加熱用部材(12)を介して感熱接着剤(3)に伝え、感熱接着剤(3)を作用させる役割をする。そのため加熱盤(13)は、型抜切断刃(11)及び耐熱性加熱用部材(12)の型抜切断接着側とは反対側に取付られている。加熱盤(13)は例えば鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属材料を用いて構成される。加熱盤(13)と型抜切断刃(11)及び耐熱性加熱用部材(12)の取付けは、熱盤(13)からの熱供給に耐え得る耐熱性(例えば100℃以上の耐熱性)を有する接着剤を用いて行うことができ、そのような接着剤としては、酢酸ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、イソシアネート系接着剤、フッ素系接着剤等が好ましい。
【0028】
アンテナ本体のパターンの型抜切断及び接着に使用する動力機械としては、平判タイプのものでも、シリンダータイプのものでもよい。
【0029】
なお、型抜切断接着具は、複数のものを同時に使用することもできる。
【0030】
さらに、この実施形態の製造方法により形成された無線タグ用アンテナは、アンテナ本体上にICを実装してタグを作製した後、タグ表面を保護するためにカバーフィルム、カバー紙などの保護シートを再度熱接着することが可能となり、コスト低減になる利点もある。
【0031】
次に、この実施形態の製造方法の一例を図2に従い説明する。
【0032】
図2において、(21)は基材シート(1)を巻回した基材シート用ロールであり、(22)は金属箔(2)を巻回した金属箔用ロールである。基材シート用ロール(21)の下流側には基材シート(1)のカールを補整するデカーラ(R)が配置され、その下流側には感熱接着剤(3)をベタコートする感熱接着剤コーター(23)が配置され、さらにその下流側にはウェットな感熱接着剤(3)をドライにする乾燥機構(24)が配置されている。(25)は金属箔(2)を供給するためのテンションロールであり、(26)は供給されてきた金属箔(2)を、感熱接着剤(3)を設けた基材シート(1)と重ね合わせるための重ね合わせロールである。重ね合わされた感熱接着剤(3)付き基材シート(1)と金属箔(2)の積層体(4)は、型抜切断接着具(10)により、金属箔(2)が所定形状に型抜切断され、同時に熱盤(13)の熱が耐熱性加熱用部材(12)を介して感熱接着剤(3)に伝わり、耐熱性加熱用部材(12)の最外面(12A)が積層体(4)を押圧し、金属箔(2)が感熱接着剤(3)により基材シート(1)に確実に接着される。このとき、金属箔(2)は一般のホットスタンプのようにアンテナ本体の全体に力をかけて切断するのではなく、部分的に力を加えて切断するため、得られたアンテナ本体のパターンは非常に精度のすぐれたものとなる。
【0033】
その後、例えばバキューム方式の不用金属箔除去機構(27)により不用金属箔を除去した後、無線タグ用アンテナ(28)が得られ、巻取ロール(29)で巻き取られる。個々のアンテナ付き基材シートはアンテナ形成直後に切り抜かれても、ICタグを取り付けた後に切り抜かれてもよい。
【0034】
以上、基材シート(1)と金属箔(2)の原反をロール巻のタイプのもので説明したが、上述したように、いずれか一方あるいは両方を枚葉のタイプのものとしてもよい。
【0035】
以下、実施例によりこの出願の発明ついてさらに詳しく説明する。もちろん、この出願の発明は上記の実施形態及び以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【実施例】
【0036】
[実施例1]
基材シートとして厚さ0.38mm、幅200mm(アンテナの長さ方向)の長尺の紙シート、金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔、感熱接着剤として(商品名OSC−1694(酢酸ビニル系接着剤):バンセイスズキ社製)を用い、図1のような構成の型抜切断接着具により、ダイポールアンテナを形成し、その上に導電性両面テープによりICチップ(エイリアンテクノロジ製ストラップ(915MHz))を取り付けて、図3に示すような無線タグを作製した。図中(30)はICチップである。ダイポールアンテナの幅は3mmで、長さ(片方)は表1に示すように40〜80mmまで5mmずつ変えたものとした。なお、表1には、通信特性を調べるため十分な通信距離でないものも併せて示してある。
【0037】
型抜切断接着具としては、型抜切断刃の材料がステンレス鋼製、刃先角度50度、刃先の硬度HRC68度、刃の高さ1.2mmのものを使用した。耐熱性加熱用部材としては、シリコーンゴム(耐熱温度180℃)を用い、シリコーンゴムの温度は70℃、硬度(ショア反発硬さ)70度、高さ0.8mm、熱盤の温度は130℃とした。
【0038】
上記で作製した無線タグのアンテナ本体の外郭部の様子を観察したところ、非常に鮮明に型抜切断が行われており、精度の高いアンテナ形成がなされていることを確認した。
【0039】
また、この実施例の無線タグを用いて、リーダーライター(エイリアンテクノロジ製)を用いて通信距離を測定した。その結果を表1及び図4に示す。
【0040】
【表1】

[実施例2]
実施例1において、金属箔をアルミニウム箔の代わりに銅箔とした以外は同様にして無線タグを作製した。
【0041】
上記で作製した無線タグのアンテナ本体の外郭部の様子を観察したところ、非常に鮮明に型抜切断が行われており、精度の高いアンテナ形成がなされていることを確認した。
【0042】
また、この実施例の無線タグを用いて、リーダーライター(エイリアンテクノロジ製)を用いて通信距離を測定した。その結果を表1及び図4に示す。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この出願の発明による一実施形態の製造方法で用いる型抜切断接着具の一構成例を模式的に示す断面図である。
【図2】上記実施形態の製造方法の一例を説明するための模式図である。
【図3】実施例1で作製したダイポールアンテナを備えた無線タグを示す平面図である。
【図4】実施例で作製した無線タグで測定したアンテナ長と通信距離の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 基材シート
2 金属箔
3 感熱接着剤
4 積層体
10 型抜切断接着具
11 型抜切断刃
11A 刃先
12 耐熱性加熱用部材
12A 最外面
13 熱盤
14 ギャップ
21 金属箔用ロール
22 基材シート用ロール
23 感熱接着剤コーター
24 乾燥機構
26 重ね合わせロール
28 無線タグ用アンテナ
29 巻取ロール
30 ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート上にアンテナ本体を設けてなる無線タグ用アンテナの製造方法において、
感熱接着剤層を塗布した基材シートの表面にアンテナ本体の材料である金属箔を重ね合わせた後、アンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状の型抜切断刃と、その型抜切断刃の外郭の内側に設けられた耐熱性加熱用部材を備えた型抜切断接着具を用いて、アンテナ本体の型抜切断と基材シートへの加熱接着を同時に行うことを特徴とする無線タグ用アンテナの製造方法。
【請求項2】
基材シート上にアンテナ本体を設けてなる無線タグ用アンテナのアンテナ本体の外郭形状と同じ外郭形状の型抜切断刃と、その型抜切断刃の外郭の内側に設けられた耐熱性加熱用部材を備えることを特徴とする型抜切断接着具。
【請求項3】
型抜切断接着具の耐熱性加熱用部材の構成材料が、耐熱性及び弾性を有するシリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム又は耐熱性及び弾性を有する高分子材料であることを特徴とする請求項2に記載の型抜切断接着具。
【請求項4】
熱盤が型抜切断刃及び耐熱性加熱用部材の型抜切断接着側とは反対側に取付られていることを特徴とする請求項2又は3に記載の型抜切断接着具。
【請求項5】
型抜切断刃の刃先の耐熱性加熱用部材表面からの突出長さが10〜500μmであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の型抜切断接着具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−295485(P2006−295485A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112436(P2005−112436)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(393000881)株式会社マルアイ (10)
【Fターム(参考)】